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妊婦健診でNTが厚いのに説明されない…「大丈夫」を信じていい?20代で陽性だった実例|東京・ミネルバクリニック

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

「妊婦健診でNTを測ってもらえなかった」「カルテに『NT』と書いてあったのに、何も説明がなかった」。そんなとき、最初に知っておいていただきたいのは、NTの計測は、通常の妊婦健診で全員に行う項目ではないということです。産婦人科の診療ガイドラインは、NT値の計測を出生前検査(非確定的検査)の1つと位置づけています[1]。ですから、「測らなかった」「説明がなかった」は、「異常がなかった」という意味ではありません。この記事では、妊婦健診でNTを測らない・説明されない理由、NT肥厚とは何か、何mmから厚いのか、20代でNIPTが陽性だった実例、そして今できることを、臨床遺伝専門医が順に解説します。

この記事でわかること
📖 読了時間:約15分
🩺 NT肥厚・出生前検査
★ 臨床遺伝専門医監修
  • ➤妊婦健診でNTを測らない・説明されない理由 → ガイドライン上の位置づけと、国の方針の移り変わり
  • ➤NT肥厚とは → 何mmから厚いのか(95パーセンタイルと3.5mmの意味)
  • ➤20代でも陽性になる実例 → 28歳でNT肥厚を指摘され、18トリソミーが確定した例
  • ➤「若いから大丈夫」の落とし穴 → 年齢だけでは決められない理由
  • ➤今できること → 担当医への聞き方と、NIPT・確定検査という選択肢

⏱️ 30秒でわかる要約

🩺 Q. 妊婦健診でNTを測らない・説明されないのはなぜ?

NTの計測は、通常の妊婦健診で全員に行う項目ではないからです。診療ガイドラインはNT計測を出生前検査(非確定的検査)の1つと位置づけており、測らない・エコー写真に載っていないことは見落としではありません。ただし、「説明がない」ことは「異常がないと確かめた」という意味でもありません。

🔎 Q. ダウン症候群だけ調べれば大丈夫ですか?

NTを測っていない方も、NTが目安の範囲内だった方も、大丈夫とは言えません。子育ての負担を最も大きく左右するのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷、睡眠の問題といった行動の問題です。それを伴いやすい微小欠失症候群や単一遺伝子疾患は、三大トリソミーだけの検査では調べられません。当院のNIPTはこれらの病気まで調べられます。

📏 Q. NT肥厚とは?何mmから厚いのですか?

妊娠11〜13週の赤ちゃんの首の後ろにある液体の層(NT)が、目安より厚い状態です。目安(95パーセンタイル)は週数とともに約2.1mmから約2.7mmへ上がり、3.5mm以上は週数によらず99パーセンタイル超です。厚くても多くは染色体に変化のない赤ちゃんで、NTだけでは診断できません。

🌸 Q. 説明がなくて不安なとき、何ができますか?

①担当医に「NTは測りましたか、何mmでしたか」と聞く、②遺伝カウンセリングを受ける、③NIPTで確かめる、の3つです。当院のNIPTは妊娠9週から(妊娠6〜8週は臨床研究)受けられ、陽性のときは確定検査まで院内で受けられます。

\ ダウン症候群だけで大丈夫ですか? /

NTを測っていない方にも、NTが厚いと言われた方にも、考えていただきたい問いです。当院のNIPTは、子育ての負担につながりやすい微小欠失症候群や単一遺伝子疾患まで調べられます。妊娠9週から受けられ(妊娠6〜8週は臨床研究)、どこまで調べるかは、90分の受診枠の中で臨床遺伝専門医と一緒に決められます。

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1. なぜ産婦人科医はNTを説明しないのか

【結論】 妊婦健診でNTを測らない・説明されないのは、NT計測が通常の妊婦健診の項目ではなく、出生前検査(非確定的検査)の1つとして扱われているからです[1]。担当医が不親切なわけではありません。ただし、説明がないことは「異常なし」を意味しません。

「妊婦健診でカルテに『NT』と書かれていたのに、先生は何も言ってくれなかった」「エコー写真を見返しても、NTの数値がどこにも載っていない」「帰宅してから調べて不安になった」。こうした戸惑いの背景には、日本の出生前検査の位置づけがあります。理由を知っておくと、次に何を尋ねればよいかが見えてきます。

妊婦健診でNTを測らない・説明されない3つの理由

① NTの計測は「出生前検査」の扱いだから
産婦人科の診療ガイドラインは、NT値の計測を出生前遺伝学的検査(非確定的検査)と位置づけ、計測する場合は倫理的な面に十分配慮するよう求めています[1]。通常の妊婦健診の超音波は、赤ちゃんの心拍や大きさなど発育を確かめるためのもので、NTを全員に一律に測る検査ではありません。そのため、エコー写真やカルテにNTが載っていなくても、珍しいことではありません。

② 長く「積極的に知らせる必要はない」とされてきたから
1999年に国の専門委員会は、母体血清マーカー検査について、医師が妊婦さんに「本検査の情報を積極的に知らせる必要はない」とする見解を出しました[2]。2021年、国の専門委員会はこの方針を「適切な解決策であるとは言えず」と見直し、妊娠の初期段階に、誘導とならない形で出生前検査の情報提供を行う方向へ改めています[3]。方針は変わりましたが、説明のしかたは今も施設や医師によって違います。

③ 正確に測るには、時期と条件が限られるから
NTは妊娠11週0日〜13週6日(赤ちゃんの頭からおしりまでの長さ=CRLが45〜84mm)にだけ評価でき、決められた断面と拡大率で、0.1mm単位で測る必要があります[4]。一方、通常の健診の超音波でも、こうした所見が偶然見えることはあります[3]。偶然見えた所見をどこまで、どう伝えるかは難しい判断で、カルテに書かれただけで説明がない、ということが起こります。

💡 用語解説:NT(Nuchal Translucency)とは

NT(エヌティー)とは、妊娠初期の赤ちゃんの首の後ろに、超音波で黒く透けて見える液体の層のことです。「胎児後頸部透亮像(こうけいぶとうりょうぞう)」「首のむくみ」とも呼ばれます。どの赤ちゃんにも見えるもので、厚みが増すほど、染色体の変化や心臓の病気などが見つかる割合が上がることが知られています[4][5]。

海外との違い:出生前診断への姿勢

出生前検査の案内のしかたは、国によって違います。たとえば英国では、公的な検診プログラムとして、ダウン症候群・18トリソミー・13トリソミーの検査が対象となるすべての妊婦さんに案内され、妊娠初期にはコンバインド検査が使われます[6]。コンバインド検査は、NTの計測と血液検査を組み合わせた検査です[4]。受けるかどうかを決めるのは、どの国でも妊婦さん本人です。

🌍 NTと出生前検査の案内のしかた(日本と英国)

項目 日本 英国(公的プログラム)
NTの計測 通常の妊婦健診の項目ではなく、出生前検査(非確定的検査)の扱い[1] コンバインド検査の一部として、妊娠初期に行われる[4][6]
検査の案内 1999年は「積極的に知らせる必要はない」。2021年に、妊娠初期に誘導とならない形で情報提供する方針へ[2][3] 対象となるすべての妊婦さんに案内される[6]
受けるかどうか 妊婦さん本人が決める 妊婦さん本人が決める

どちらが良い・悪いという話ではなく、制度の違いです。日本で説明が少なくなりやすい背景として知っておいてください。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「説明しない」は「異常なし」ではない】

「説明がなかった」ことと「異常がなかった」ことは、別のことです。測っていないのに「大丈夫」と受け取ってしまうこと。偶然見えた所見が、説明のないままカルテに残ること。不安のもとは、多くの場合このどちらかだと考えています。

NTは本来、決められた方法で測ることと、その結果の意味を説明することが、セットであるべき検査です。数値のない「大丈夫」も、説明のない「NT」の2文字も、判断の材料にはなりません。

カルテにNTと書かれていたら、数値と、その週数での意味を遠慮なく尋ねてください。尋ねることは、担当医を疑うことではありません。ご自身の妊娠について知るための、当然の質問だと考えています。

2. NT肥厚とは何か?基準値・正常値・重要性を解説

【結論】 NT肥厚とは、妊娠11〜13週の超音波で見える赤ちゃんの首の後ろの液体の層(NT)が、その週数の目安より厚い状態のことです[4]。病名ではなく、超音波で見える「所見」です。目安は週数とともに上がりますが、3.5mm以上は週数によらず99パーセンタイルを超える値で、詳しい検査について説明を受ける目安になります[4][5]。

NTは、1990年代に英国で、母体の年齢と組み合わせて染色体の変化の可能性を見積もる検査として使われ始めました[4]。正式には「Nuchal Translucency(ニューカル・トランスルーセンシー)」といい、日本語では「首のむくみ」「胎児頸部浮腫」などと呼ばれます。

🔬 NTの基本情報

項目 内容
測る時期 妊娠11週0日〜13週6日(CRL 45〜84mm)[4]
95パーセンタイル(目安の上限) CRL 45mm(11週ごろ)で約2.1mm → CRL 84mm(13週6日ごろ)で約2.7mm[4]
99パーセンタイル 約3.5mm(週数によらずほぼ一定)[4]
関係が知られているもの ダウン症候群、18トリソミー、13トリソミー、ターナー症候群、心臓の病気、一部の遺伝性の症候群[4][5]

NT肥厚と染色体異常の関係

NTが厚いからといって、必ず異常があるわけではありません。ただ、厚くなるほど染色体異常が見つかる割合は上がります。NTの厚さ別に経過を調べた報告をまとめた総説では、次のように整理されています[5]。

📊 NTの厚さと、染色体異常・その後の経過

NTの厚さ 染色体異常が見つかった割合 大きな異常がなく元気に生まれた割合
95〜99パーセンタイル(3.5mm未満) 3.7% 約93%
3.5〜4.4mm 21.1% 約70%
4.5〜5.4mm 33.3% 約50%
5.5〜6.4mm 50.5% 約30%
6.5mm以上 64.5% 約15%

出典:Soukaら(2005)[5]。集団での割合であり、お一人おひとりの確率をそのまま表すものではありません。

⚠️ 知っておきたいこと

NTは可能性を見積もるための手がかりで、診断ではありません。3.5mm未満の肥厚であれば、9割以上の赤ちゃんは大きな異常がなく元気に生まれています[5]。実際に染色体に変化があるかどうかを確かめるには、羊水検査や絨毛検査といった確定検査が必要です。

ダウン症候群とNT肥厚の関係

ダウン症候群(21トリソミー)は、NT肥厚との関係がよく知られている染色体の変化の1つです。ただし、NT肥厚=ダウン症候群ではありません。母体の年齢とNTを組み合わせた検査で見つかるダウン症候群は約75%(偽陽性率5%のとき)と報告されており[4]、年齢とNTを組み合わせても、ダウン症候群の赤ちゃんの約4人に1人は見つかりません。「NTが正常だったから大丈夫」とも言い切れない、ということです。NTの厚さ別のダウン症候群の確率は、胎児の首のむくみ(NT)とは?ダウン症の確率・3.5mmの基準で詳しく解説しています。

3. 20代で陽性だった実例|「若いから大丈夫」ではなかった

【結論】 年齢が若くても、染色体の変化は起こります。当院では、28歳でNT肥厚を指摘された方が、NIPTで18トリソミー陽性となり、羊水検査で確定した例がありました。「若いから大丈夫」は「確率が低い」という意味で、「ゼロ」という意味ではありません。

📋 実例:28歳Aさんの経過

項目 内容
年齢 28歳
超音波の所見 妊娠12週の妊婦健診で「首のむくみが少し厚め」と言われた
そのときの説明 「若いから大丈夫でしょう」。数値や、その先の検査についての説明はなかった
NIPTの結果 18トリソミー陽性
確定検査 羊水検査で18トリソミーと確定

※1例の経過です。NT肥厚を指摘された方の多くに当てはまるものではありません。

この例で大切なのは、結果そのものよりも、確定検査で確かめてから、ご家族で考える時間を持てたという点です。NTを指摘されたときに、年齢だけを理由に話が終わってしまうと、確かめる機会がないまま妊娠が進むことがあります。20代の陽性例とその後の選択については、20代NIPT陽性事例と出生前診断の選択でも紹介しています。

若年妊婦でも染色体異常が起こる理由

お母さんの年齢が上がるほど、ダウン症候群など染色体の数の異常の頻度が上がることは確かです。けれども、これは「確率」の話で、若い方では起こらない、という意味ではありません。出生時の頻度は、次のように報告されています[7]。

👶 年齢別のダウン症候群の頻度(出生時)

出産時の年齢 出生時の頻度
20歳 約1,480人に1人
25歳 約1,340人に1人
30歳 約940人に1人
35歳 約350人に1人
40歳 約86人に1人

出典:Morrisら(2002)[7]。出生時の数字で、妊娠初期(検査を受ける時期)の頻度はこれより高くなります。どの年齢でも、大多数の赤ちゃんには当てはまらない数字です。年齢ごとの一覧はダウン症の確率を年齢別に解説にまとめています。

もう1つ、見落とされやすい点があります。年齢とともに増えるのは主に染色体の数の異常で、22q11.2欠失症候群のような微小欠失は、お母さんの年齢と関係なく起こります[8]。「若いから」という理由が当てはまらない病気がある、ということです。若い世代が出生前検査をどう考えるかは、20代・30代前半が出生前診断を受ける割合は?で整理しています。

💡 大切なポイント

「確率が低い」ことと「ゼロ」は違います。1,000人に1人という数字は、999人には当てはまらない一方で、ゼロでもありません。年齢だけで結論を出さず、NTの数値など手元にある情報を合わせて考えることが大切です。

4. 「若いから大丈夫」の落とし穴

【結論】 年齢は、確率を左右する要素の1つにすぎません。NTは年齢とは別の、独立した手がかりです[4]。NTが厚いと言われたのに年齢だけを理由に「大丈夫」とされたなら、判断の材料が1つ抜けています。

「先生に『若いから大丈夫』と言われたのだから、安心していいはず」。そう思いたい気持ちは自然なものです。そのうえで、この言葉には知っておきたい点が3つあります。

① NTの数値が考慮されていない
NTの厚さは、年齢とは別に確率を変えます。若くてもNTが厚ければ確率は上がり、年齢が高くてもNTが目安の範囲内なら確率は下がります[4]。

② 「低い」と「ゼロ」は違う
20代の確率が低いのは事実ですが、ゼロではありません。「大丈夫」という言葉では、この違いが伝わりません。

③ 選ぶ機会がなくなる
「大丈夫」と言われると、詳しい検査を受けるという選択肢が頭から消えてしまいがちです。出生前検査は、説明を受けたうえで、受けるかどうかを妊婦さん本人が決める検査です[3]。

国際基準(FMF)に基づく正しいリスク評価

英国のFMF(Fetal Medicine Foundation)が広めた方法では、年齢だけでなく、NTの厚さと血液検査の値を組み合わせて、確率を「○人に1人」という数字で示します。年齢とNTの組み合わせで見つかるダウン症候群は約75%、血液検査(free β-hCGとPAPP-A)を加えると85〜90%(いずれも偽陽性率5%のとき)と報告されています[4]。

💡 用語解説:FMF(Fetal Medicine Foundation)

英国に本部を置く、胎児医学の研究・教育を行う団体です。NTの測り方の基準を定め、測る人の資格認定を行っています。NTは測り方で数値が変わるため、決められた方法で測られた数値かどうかが、結果を読むうえで大切です。

⚖️ 年齢だけで考える場合と、複数の情報を組み合わせる場合

判断の材料 年齢だけで考える場合 FMFの方法
母体の年齢 これだけで判断する 材料の1つとして使う
NTの厚さ 考慮されない 年齢とは別の手がかりとして使う
血液検査の値 考慮されない 組み合わせて使う
結果の示し方 「大丈夫」などの言葉 「○人に1人」という数字

5. NT肥厚の基準値と見方

【結論】 NTの目安は、妊娠週数(赤ちゃんの大きさ)によって変わります。95パーセンタイルは約2.1mmから約2.7mmへ上がり、99パーセンタイルの約3.5mmは週数によらずほぼ一定です[4]。「何mmから厚いか」は、1つの数字では決められません。

「NTが○mmと言われたけれど、これは正常なの?」という疑問には、そのときの赤ちゃんの大きさ(CRL:頭殿長)と合わせて答える必要があります。

📏 NTの厚さの見方

NTの厚さ 考え方
95パーセンタイル未満
(11週ごろ約2.1mm未満〜13週の終わりごろ約2.7mm未満)
多くの赤ちゃんがおさまる範囲
95〜99パーセンタイル
(上の目安を超え、3.5mm未満)
染色体異常が見つかった割合は3.7%。約93%は大きな異常がなく元気に生まれている[5]
3.5mm以上
(99パーセンタイル超)
厚くなるほど染色体異常や心臓などの形の異常の割合が上がる。確定検査や、妊娠20〜22週ごろの詳しい超音波検査について説明を受ける範囲[5]

CRL(頭殿長)とNT値の関係

CRL(頭殿長)は、赤ちゃんの頭のてっぺんからおしりまでの長さです。妊娠週数が進むとCRLが大きくなり、それにつれてNTの目安も少しずつ上がります[4]。同じ2.5mmでも、11週のはじめと13週の終わりとでは意味が違うのは、このためです。

妊娠週数別・NT正常値の目安

🗓️ 週数(CRL)別の目安

赤ちゃんの大きさ(おおよその週数) 95パーセンタイル 99パーセンタイル
CRL 45mm(妊娠11週ごろ) 約2.1mm 約3.5mm
CRL 84mm(妊娠13週6日ごろ) 約2.7mm 約3.5mm

出典:Nicolaides(2004)[4]。施設によって用いる基準が異なることがあります。週ごとの詳しい基準値はNTの正常値は?妊娠11週・12週・13週の基準値をご覧ください。

NT 2.5mm・2.8mmと言われたら

NT 2.5mmは、妊娠11週ごろなら95パーセンタイル(約2.1mm)を超えますが、13週の終わりごろ(約2.7mm)なら目安の範囲内です。NT 2.8mmは、どの週数でも95パーセンタイルをわずかに超えますが、99パーセンタイルの3.5mmには届きません[4]。この95〜99パーセンタイルの範囲では、染色体異常が見つかった割合は3.7%、約93%は大きな異常がなく元気に生まれたと報告されています[5]。1.2mmや1.7mmのような1mm台は、95パーセンタイルより下の範囲です。

何ミリからNT肥厚と考えるかはエコーで首のむくみ(NT肥厚)は何ミリから?で、13週で指摘されたときに今できることは13週でNT(首のむくみ)を指摘されたらで詳しく解説しています。

⚠️ 測り方で数値は変わります

NTは0.1mm単位で測る検査で、赤ちゃんの姿勢や画像の拡大率などによって数値が変わります[4]。目安の境目に近い数値のときは、1回の数値だけで結論を出さないことが大切です。

6. NIPTで確かめるという選択

【結論】 NIPT(新型出生前診断)は、お母さんの採血だけで、赤ちゃんの染色体の変化の可能性を調べるスクリーニング検査です。ダウン症候群については検出率99.7%・偽陽性率0.04%と報告されています[9]。NTを測ってもらえなかった方も、NTが気になる方も受けられます。ただし診断ではないので、陽性のときは確定検査で確かめることが前提です。

NIPTと他の検査の比較

🧪 出生前検査の比較

検査 受ける時期 ダウン症候群の見つけやすさ 流産の心配 種類
NIPT 当院は妊娠9週から(6〜8週は臨床研究) 検出率99.7%(偽陽性率0.04%)[9] なし(採血のみ) スクリーニング
コンバインド検査(NT+血液検査) 妊娠11〜13週 検出率85〜90%(偽陽性率5%)[4] なし スクリーニング
絨毛検査 妊娠11〜14週ごろ(当院では妊娠11〜13週) 染色体を直接調べて診断する 検査による流産の上乗せは、近年の報告ではほとんどみられない[10] 確定検査
羊水検査 妊娠15週以降 染色体を直接調べて診断する 検査による流産の上乗せは、近年の報告ではほとんどみられない[10] 確定検査

⚠️ 陽性のときは、確定検査で確かめてから

NIPTはスクリーニング検査で、陽性でも実際には異常がないこと(偽陽性)があり、まれですが偽陰性の可能性もあります。陽性のときは、確定検査で確かめてから考えることが大切です。当院では確定検査(羊水検査・絨毛検査)まで院内で受けられ、主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。精度の数字の読み方はNIPTの精度(陽性的中率)で解説しています。

なお、NTが3.5mm以上のときは、染色体の数の異常だけでなく、心臓などの形の異常や遺伝性の症候群との関係も知られています[5]。NIPTで調べられる範囲と、確定検査で調べられる範囲の違いについて、説明を受けたうえで検査を選んでください。

ミネルバクリニックのNIPTの特徴

🔬 調べる範囲を5つのプランから選べる
当院のNIPTは、13・18・21トリソミーだけでなく、プランによって微小欠失や単一遺伝子疾患まで調べられます。結果は基本10〜14日で出ます(インペリアルプランの単一遺伝子の結果だけは3〜4週間)。

🧬 当院のNIPTプランと調べる範囲

プラン 染色体の数の異常 微小欠失・重複 単一遺伝子 対象
スタンダード 13・18・21トリソミー、性染色体の数の異常 6種類7疾患(22q11.2欠失など) ― 単胎・双胎
プレミアム 13・18・21・15・16・22トリソミー、性染色体の数の異常 12種類13疾患 ― 単胎のみ
ダイヤモンド プレミアムと同じ 12種類13疾患 56遺伝子(ヌーナン症候群など) 単胎のみ
双子マックス 全常染色体(1〜22番)の数の異常 92種類+5Mbを超える構造異常 ― 単胎・双胎
インペリアル 全常染色体の数の異常 92種類+5Mbを超える構造異常 最大155遺伝子(202疾患) 単胎のみ

💎 ダイヤモンドプランの検査方式
ダイヤモンドプランは、米国の3大遺伝子検査会社の一角が提供する新技術『COATE法』(SNP法とターゲット法の組み合わせ)※で、単一遺伝子(de novo変異)56遺伝子まで調べます。

※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。

👩‍⚕️ 臨床遺伝専門医が常駐
90分の受診枠の中で、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行います。陽性のときの遺伝カウンセリングは、何度でも無料です。

💰 2つの互助会
羊水検査互助会(カトレア会)は1回のNIPTにつき8,000円で、陽性のときの確定検査の費用を上限なく補助します。安心検査結果保障制度は1回のNIPTにつき6,000円で、再検査が必要になったのに、流産のため再検査ができず結果が出なかったときに、検査代金(諸費用を除く)を返金します。どちらも全員に加入いただく制度で、収益を目的としないため消費税の対象外です。

ダウン症候群だけで大丈夫? ― 「値段」ではなく「調べられる範囲」で選ぶ

NTを指摘された方も、測ってもらえなかった方も、まず心配になるのは「ダウン症候群かどうか」ではないでしょうか。けれども、NTが厚いときに関係するのはダウン症候群だけではなく[4][5]、出生前検査で調べる病気は、どれも赤ちゃんとご家族の暮らしに大きくかかわります。知的障害を伴う病気のお子さんのご家族を比べた研究では、子育ての負担を最も大きく左右していたのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷、睡眠の問題といった「行動の問題」でした[11]。行動の問題を伴いやすい病気には、微小欠失症候群や単一遺伝子疾患が多く含まれ[11][12]、三大トリソミー(21・18・13トリソミー)だけを調べる検査では、これらの病気は調べられません。

たとえば、他人への攻撃的な行動はアンジェルマン症候群やスミス・マゲニス症候群で、自傷はコルネリア・デ・ランゲ症候群やスミス・マゲニス症候群、プラダー・ウィリー症候群で多いと報告されています[12]。当院では、スミス・マゲニス症候群・プラダー・ウィリー症候群・アンジェルマン症候群はスタンダードプランから、コルネリア・デ・ランゲ症候群はダイヤモンドプラン・インペリアルプランで調べられます。

また、22q11.2欠失症候群は、お母さんの年齢と関係なく起こり、心臓の病気や発達の遅れなどを伴うことがあります[8]。米国臨床遺伝・ゲノム学会(ACMG)は、年齢にかかわらずすべての妊婦さんに、22q11.2欠失症候群のNIPTを提供することを提案しています[13]。当院ではスタンダードプランから調べられます。自閉症・発達障害・知的障害についても、原因の一部は染色体の微細な欠失・重複で(発達の遅れや知的障害、自閉スペクトラム症のある方をマイクロアレイ検査で調べると、約15〜20%に見つかります[14])、その一部は当院のNIPTで妊娠中に調べられます。ただし、自閉症そのものを診断する検査ではなく、陰性でも自閉症や発達障害がないとは言えません。微小欠失は数の異常より陽性的中率が低めなので、陽性のときは必ず確定検査で確かめます(自閉症はNIPTでわかりますか?)。

出生前検査は、その後の人生を左右するかもしれない検査です。プランを選ぶ物差しが「安さ」だけでよいのか、申し込む前に一度考えてみてください。

考え方の1つとして、検査の費用を、調べられる病気の数で割ってみます。三大トリソミーだけを調べる検査を仮に10万円とすると、調べる病気は3つなので、1つの病気あたりは約3万3千円です。当院のインペリアルプランは、全常染色体と性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、202の単一遺伝子疾患を調べます。性染色体の数の異常も含めて、数えられる病気だけで320になり、同じように割ると1つの病気あたりは約1,719円です。5Mbを超える欠失・重複はすべての染色体が対象なので、実際には、この数に入らない変化も調べています。

プラン 主に調べる範囲 数えた病気の数 1つの病気あたり
三大トリソミーだけを調べる検査
(仮に10万円とした場合)
13・18・21トリソミー 3 約33,333円
スタンダード
(220,000円)
13・18・21トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失6種類7疾患 14 約15,714円
プレミアム
(264,000円)
13・18・21・15・16・22トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失12種類13疾患 23 約11,478円
ダイヤモンド
(407,000円)
プレミアムの範囲+単一遺伝子56 79 約5,152円
双子マックス
(440,000円)
全常染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常 114+α 約3,860円
インペリアル
(550,000円)
全常染色体と性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常、単一遺伝子202疾患 320+α 約1,719円

※価格は事前学習動画を見て来院した場合の当日割引後の税込価格です。最新の料金は料金ページをご確認ください。
※病気の数は、数の異常・微小欠失・重複・単一遺伝子疾患を1つずつ数えたものです。性染色体の数の異常は4種類(ターナー症候群・クラインフェルター症候群・トリプルX症候群・XYY症候群)として数えています。5Mbを超える構造異常は数に入れていないため、双子マックスとインペリアルは実際にはさらに多くの変化を調べています。
※「三大トリソミーだけを調べる検査」は計算のための仮の例で、特定の施設の価格ではありません。

ただし、調べる病気の数が多いほど良い検査、ということではありません。調べる範囲が広がると、陽性になる可能性も、確定検査が必要になる場面も増えます。NTをきっかけに検査を考えるときこそ、何を知りたいのかを先に整理することが大切です。どこまで調べたいかは、ご家族によって違います。90分の受診枠の中で、常駐する臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、どのプランが合うかを一緒に考えます。

\ 陽性でも、確定検査まで院内で受けられます /

当院では、確定検査(羊水検査・絨毛検査)まで院内で受けられます。主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。陽性のときの遺伝カウンセリングは何度でも無料で、確定検査の費用は互助会が上限なく補助します。

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7. 不安への対処法|今できること

【結論】 NTについて説明がなく不安なときにできることは、①担当医に数値を尋ねる ②遺伝カウンセリングを受ける ③NIPTで確かめるの3つです。

インターネットで調べるほど不安が大きくなる、ということは珍しくありません。情報が多すぎて、どれがご自身に当てはまるのか分からなくなるからです。まずは、ご自身の妊娠についての事実を1つずつ確かめるところから始めてください。

① 担当医に数値を尋ねる
「カルテにNTと書いてあったのですが、測っていただいたのでしょうか。何mmでしたか」と尋ねてみましょう。測っていない場合は、そう教えてもらえます。メモを取りながら聞くと、あとで振り返りやすくなります。

② 遺伝カウンセリングを受ける
担当医の説明だけでは分からないときは、臨床遺伝専門医のいる施設で遺伝カウンセリングを受ける方法があります。検査を受けるかどうかを決める前に、数値の意味と選べる検査を整理できます。

③ NIPTで確かめる
NIPTは採血だけで受けられます。当院では妊娠9週から(妊娠6〜8週は臨床研究)受けられ、NTを測る時期を待つ必要はありません。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「調べる不安」と「知らない不安」】

調べるほど不安になる方と、知らないままのほうが不安な方がいます。どちらが正しいということはありません。検査を受けないことも、1つの選択です。

ただ、インターネットの断片的な情報は、ご自身の数値や週数とは切り離された一般論です。「NTが厚い」という言葉だけで調べると、最も厚い場合の情報まで、すべて自分のことのように読めてしまいます。大切なのは、「あなたの場合はどうなのか」を、数値にもとづいて整理することだと考えています。

出生前検査は、結果を知ってどうするかまで含めて考える検査です。早さよりも、何がわかり、何がわからないのかを理解したうえで受けることを優先していただきたいと考えています。

担当医への質問例

「何を聞けばいいかわからない」という方は、次の質問をそのまま使ってください。

💬 担当医への質問例

・「カルテにNTと書いてありましたが、測った数値は何mmでしたか?」
・「そのときの赤ちゃんの大きさ(CRL)と週数を教えてください」
・「その数値は、この週数の目安の範囲内ですか?」
・「追加で受けたほうがよい検査はありますか?」
・「遺伝カウンセリングを受けられる施設を紹介していただけますか?」

8. ミネルバクリニックのサポート体制

ミネルバクリニックは、臨床遺伝専門医が運営するクリニックです。NTが気になる方、「若いから大丈夫」と言われて迷っている方がNIPTを受けるときの体制を、事実でお伝えします。

🏥 当院の体制

項目 内容
検査前 90分の受診枠の中で、常駐する臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行う
受けられる時期 妊娠9週から(妊娠6〜8週は臨床研究)
結果まで 基本10〜14日(インペリアルプランの単一遺伝子の結果だけは3〜4週間)
陽性のとき 遺伝カウンセリングは何度でも無料。2025年6月から産婦人科を併設し、確定検査(羊水検査・絨毛検査)まで院内で実施。主要な検査項目は3日以内、マイクロアレイ検査は2週間ほど
費用の備え 羊水検査互助会(カトレア会)8,000円:陽性時の確定検査費用を上限なく補助/安心検査結果保障制度6,000円(どちらも消費税の対象外)
遠方の方 オンラインNIPT:Zoomで臨床遺伝専門医の遺伝カウンセリングを受け、全国110か所の提携施設で採血(採血料は施設ごとに別途)

🏥 NTのことを、数値と根拠で確かめたい方へ

ミネルバクリニックのNIPTは妊娠9週から受けられます(妊娠6〜8週は臨床研究)。90分の受診枠の中で、常駐する臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、どのプランが合うかを一緒に考えます。陽性でも、確定検査(羊水検査・絨毛検査)まで院内で受けられ、主要な検査項目は3日以内に結果が出ます。来院が難しい方は、オンラインNIPT(Zoomでの遺伝カウンセリング+全国110か所の提携施設で採血)もご利用いただけます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 妊婦健診でNTを測らない・説明されないのは普通のことですか?

珍しいことではありません。産婦人科の診療ガイドラインは、NT値の計測を出生前遺伝学的検査(非確定的検査)と位置づけ、計測する場合は倫理的な面に十分配慮するよう求めています[1]。通常の妊婦健診の超音波は、赤ちゃんの発育を確かめるためのもので、NTを全員に一律に測る検査ではありません。ですから、測らなかった・説明がなかったことは見落としではなく、同時に「異常がないと確かめた」という意味でもありません。

Q2. ダウン症候群だけ調べれば大丈夫ですか?

NTをきっかけに検査を考える方にこそ知っていただきたいのですが、ダウン症候群だけを調べれば大丈夫、とは言えません。知的障害を伴う病気のお子さんのご家族を比べた研究では、子育てのストレスを最も強く左右していたのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷、睡眠の問題といった行動の問題でした[11]。こうした行動の問題を伴いやすい微小欠失症候群や単一遺伝子疾患は、三大トリソミーだけの検査では調べられません。当院では、スタンダードプランから22q11.2欠失症候群・プラダー・ウィリー症候群・アンジェルマン症候群などの微小欠失を、ダイヤモンドプラン・インペリアルプランでは単一遺伝子疾患まで調べられます。

Q3. 妊婦健診でNTが説明されなかったのですが、赤ちゃんに異常はないと考えてよいですか?

説明がなかったことだけでは、どちらとも言えません。NTを測っていない場合と、測って目安の範囲内だった場合と、偶然見えたけれど説明されなかった場合があるからです。気になるときは、担当医に「NTは測りましたか。測ったなら何mmでしたか」と尋ねてください。それでも分からないときは、臨床遺伝専門医のいる施設で遺伝カウンセリングを受ける方法があります。

Q4. エコー写真やカルテにNTの数値が載っていないのはなぜですか?

通常の妊婦健診ではNTを計測の対象にしていないことが多いためです。NTは妊娠11週0日〜13週6日に、決められた断面と拡大率で測ってはじめて評価できます[4]。その時期の健診でも、発育の確認だけを行った場合は、写真やカルテにNTは載りません。載っていないことは、見落としを意味しません。

Q5. NTが厚いと言われました。何mmから「厚い」のですか?

1つの数字では決まりません。NTの95パーセンタイル(100人中95人がおさまる上限)は、赤ちゃんの大きさ(CRL)が45mmのころは約2.1mm、84mmのころは約2.7mmと、週数とともに上がります[4]。一方、3.5mmは週数によらず99パーセンタイルにあたり、染色体の変化などが見つかる割合がはっきり上がる目安です[4][5]。数値を聞いたときは、そのときの週数やCRLも一緒に確かめてください。

Q6. NTが2.5mm・2.8mmと言われました。どう考えればよいですか?

2.5mmは、妊娠11週ごろなら95パーセンタイル(約2.1mm)を超えますが、13週の終わりごろ(約2.7mm)なら目安の範囲内です。2.8mmは95パーセンタイルをわずかに超えますが、99パーセンタイルの3.5mmには届きません[4]。95〜99パーセンタイルの赤ちゃんでは、染色体異常が見つかった割合は3.7%で、約93%は大きな異常がなく元気に生まれたと報告されています[5]。

Q7. NTが厚いと必ず染色体異常がありますか?

いいえ。NTは診断ではなく、可能性を見積もる手がかりです。染色体異常が見つかった割合は、95〜99パーセンタイルで3.7%、3.5〜4.4mmで21.1%、6.5mm以上で64.5%と、厚くなるほど上がります[5]。裏を返せば、3.5〜4.4mmでも約8割は染色体に変化がありません。実際にどうなのかは、NIPTや羊水検査・絨毛検査で確かめます。

Q8. 20代でも染色体異常の赤ちゃんが生まれることはありますか?

あります。ダウン症候群の出生時の頻度は、20歳で約1,480人に1人、25歳で約1,340人に1人、30歳で約940人に1人と報告されています[7]。大多数の赤ちゃんには当てはまらない数字ですが、ゼロではありません。また、22q11.2欠失症候群のような微小欠失は、お母さんの年齢と関係なく起こります[8]。当院でも、28歳でNT肥厚を指摘され、NIPTと羊水検査で18トリソミーが確定した例がありました。

Q9. 担当医に「大丈夫」と言われましたが、本当に信じていいですか?

その「大丈夫」が何を根拠にしているかを確かめることが大切です。「NTは○mmで、この週数の目安の範囲内です」であれば、数値にもとづいた説明です。一方、「若いから大丈夫」は確率が低いという意味で、NTの数値を踏まえた説明ではありません。気になるときは、数値と週数を尋ねる、遺伝カウンセリングを受ける、NIPTで確かめる、という方法があります。

Q10. NIPTはいつから受けられますか?

当院のNIPTは妊娠9週から受けられます。できるだけ早い時期に結果を知りたい方のために、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられる体制も整えています。NTを測る時期(11〜13週)より前に受けることも、NTを指摘されてから受けることもできます。ただし、週数が早いほど赤ちゃん由来のDNAが少なく、判定できずに再検査になることがあります。

Q11. NIPTで陽性だった場合、必ず染色体異常がありますか?

いいえ。NIPTはスクリーニング検査で、陽性でも実際には異常がない「偽陽性」があります。陽性のときは、羊水検査・絨毛検査という確定検査で確かめてから考えることが大切です。当院では確定検査まで院内で受けられ、主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。羊水検査互助会(カトレア会)により、陽性時の確定検査の費用は上限なく補助されます。

Q12. NIPTで自閉症や発達障害はわかりますか?

一部はわかります。当院のNIPTは、自閉症・発達障害・知的障害の原因になる遺伝子や染色体の変化の一部を調べられます。たとえば、アンジェルマン症候群・プラダー・ウィリー症候群・22q11.2欠失症候群はスタンダードプランから、レット症候群・コルネリア・デ・ランゲ症候群はダイヤモンドプラン・インペリアルプランの対象です。ただし、自閉症そのものを診断する検査ではなく、原因の多くは特定できません。陰性でも自閉症や発達障害がないとは言えず、陽性のときは確定検査が必要です。詳しくは自閉症はNIPTでわかりますか?をご覧ください。

Q13. 遠方ですが、NIPTを受けられますか?

オンラインNIPTをご利用いただけます。Zoomで臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングを受け、全国110か所の提携施設で採血する方法です。採血料は施設ごとに別にかかります。

Q14. 検査についてしっかり説明を受けてから決めたいのですが。

当院では、90分の受診枠の中で、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行います。検査でわかること・わからないこと、結果の受け取り方、陽性だった場合に選べることを確かめたうえで、どのプランを受けるかを決められます。

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参考文献

  • [1] 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会. 産婦人科診療ガイドライン―産科編2023. CQ106-3「nuchal translucency(NT)値の計測については?」. 日本産科婦人科学会; 2023.
  • [2] 厚生科学審議会先端医療技術評価部会 出生前診断に関する専門委員会. 母体血清マーカー検査に関する見解(報告). 1999年6月. [厚生労働省]
  • [3] 厚生科学審議会科学技術部会 NIPT等の出生前検査に関する専門委員会. NIPT等の出生前検査に関する専門委員会報告書. 2021年5月. [厚生労働省]
  • [4] Nicolaides KH. Nuchal translucency and other first-trimester sonographic markers of chromosomal abnormalities. Am J Obstet Gynecol. 2004;191(1):45-67. [PubMed 15295343]
  • [5] Souka AP, von Kaisenberg CS, Hyett JA, Sonek JD, Nicolaides KH. Increased nuchal translucency with normal karyotype. Am J Obstet Gynecol. 2005;192(4):1005-1021. [DOI 10.1016/j.ajog.2004.12.093]
  • [6] NHS England. NHS Fetal Anomaly Screening Programme (FASP): programme overview. 2024年7月8日更新. [GOV.UK]
  • [7] Morris JK, Mutton DE, Alberman E. Revised estimates of the maternal age specific live birth prevalence of Down’s syndrome. J Med Screen. 2002;9(1):2-6. [PubMed 11943789]
  • [8] McDonald-McGinn DM, Sullivan KE, Marino B, et al. 22q11.2 deletion syndrome. Nat Rev Dis Primers. 2015;1:15071. [DOI 10.1038/nrdp.2015.71]
  • [9] Gil MM, Accurti V, Santacruz B, Plana MN, Nicolaides KH. Analysis of cell-free DNA in maternal blood in screening for aneuploidies: updated meta-analysis. Ultrasound Obstet Gynecol. 2017;50(3):302-314. [PubMed 28397325]
  • [10] Beta J, Zhang W, Geris S, Kostiv V, Akolekar R. Procedure-related risk of miscarriage following chorionic villus sampling and amniocentesis. Ultrasound Obstet Gynecol. 2019;54(4):452-457. [DOI 10.1002/uog.20293]
  • [11] Fitzgerald J, Gallagher L. Parental stress and adjustment in the context of rare genetic syndromes: A scoping review. J Intellect Disabil. 2022;26(2):522-544. [DOI 10.1177/1744629521995378]
  • [12] Arron K, Oliver C, Moss J, Berg K, Burbidge C. The prevalence and phenomenology of self-injurious and aggressive behaviour in genetic syndromes. J Intellect Disabil Res. 2011;55(2):109-120. [DOI 10.1111/j.1365-2788.2010.01337.x]
  • [13] Dungan JS, Klugman S, Darilek S, et al. Noninvasive prenatal screening (NIPS) for fetal chromosome abnormalities in a general-risk population: An evidence-based clinical guideline of the American College of Medical Genetics and Genomics (ACMG). Genet Med. 2023;25(2):100336. [DOI 10.1016/j.gim.2022.11.004]
  • [14] Miller DT, Adam MP, Aradhya S, et al. Consensus statement: chromosomal microarray is a first-tier clinical diagnostic test for individuals with developmental disabilities or congenital anomalies. Am J Hum Genet. 2010;86(5):749-764. [DOI 10.1016/j.ajhg.2010.04.006]

※本記事は一般の方に向けた情報提供を目的とするもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。NTの数値や検査の選び方については、担当医・専門医にご確認ください。

プロフィール
仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続け、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、検査結果の数値そのものだけでなく、「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、日本人として異文化の中で生活した経験があります。価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。この経験は現在の診療においても、「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、36週6日で一人を死産した経験があります。その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、家族の未来に関わる重要な意思決定です。年齢や統計だけで判断するのではなく、医学的根拠と心理的支援の両面から、ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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