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認定施設で双子のNIPT陽性、羊水検査で一人ダウン症、医者に中絶を拒否された

東北に近い日本医学会認証施設(基幹施設)で、初めての妊娠のときにNIPTを受けたAさん。二卵性双生児を妊娠していました。

NIPTの結果は陽性。
産婦人科ベースの遺伝専門医でしたので、スムースに羊水検査に進みました。
結果は、1人がダウン症トリソミー21)陽性でした。もう一人のお子さんは正常でした。

ところが。遺伝専門医Bはこういいました。
「僕はね、中絶はダメなことだと思っているので、この病院では中絶をすることは出来ない。」

Aさんは泣く泣く、ネットで一生懸命中絶をできるところを探して、300キロ近く離れた関東の南の方の病院で中絶することになりました。

わたしは、この話を聞いて、腹が立ちました。なぜなら、日本医学会の施設認定基準では、基幹施設は中絶まできちんとできる医療機関でであること、と定められています。

日本医学会では以下のように説明されていました。

【3】基幹施設が備えるべき要件

【3】基幹施設が備えるべき要件

1.出生前検査、とくに 13 トリソミー、18 トリソミー、21 トリソミーついて、自然史や支援体制を含めた十分な知識及び豊富な診療経験を有する産婦人科医師(産婦人科専門医*1)と、出生前検査、とくに 13 トリソミー、18 トリソミー、21 トリソミーについて、自然史や支援体制を含めた十分な知識及び豊富な診療経験を有する小児科医師(小児科専門医*2)がともに常時勤務している(あるいは、常時勤務に準ずる体制が整備されていると認定される)ことを要し、医師以外の認定遺伝カウンセラー*3または遺伝看護専門看護師*4 が在籍していることが望ましい。上記の産婦人科医師(産婦人科専門医*1)は臨床遺伝専門医*5であることが望ましく、上記の小児科医師(小児科専門医*2)は臨床遺伝専門医*5 または周産期(新生児)専門医*6 であることが望ましい。上記の産婦人科医師(産婦人科専門医*1)、小児科医師(小児科専門医*2)の少なくとも一方は臨床遺伝専門医*5 の資格を有することを要する。

2.遺伝に関する専門外来を設置し、1項に述べた産婦人科医師と小児科医師(及び認定遺伝カウンセラーまたは遺伝看護専門看護師)が協力して診療を行っていること。

3.検査を希望する妊婦に対する検査施行前・後の NIPT に関わる「遺伝カウンセリング」はいずれについても、十分な時間をとって行う体制が整えられていること。なお、検査施行前後の NIPT に関わる遺伝カウンセリングには、1項で挙げた専門職のすべてが互いに連携して関与することが望ましい。また検査施行前の NIPT に関わる遺伝カウンセリングから検査の実施までには、被検妊婦自身が検査受検について十分に考慮する時間をもつことができるよう配慮すること。

4.NIPT の実施前後の妊婦の意思決定について、妊婦が希望する場合は小児医療の専門家(【2】*2 の記載参照)の支援を受けられるようにすること。

5.検査施行後の分娩まで含めた妊娠経過の観察、及び妊婦の希望による妊娠中断の可否の判断及び処置を自施設において行うことが可能であり、現に行っていること。

6.絨毛検査や羊水検査等の侵襲を伴う胎児染色体検査を、妊婦の意向に応じて適切に施行することが可能であること。

7.妊婦が5項に述べた侵襲を伴う胎児染色体検査を受けた後も、妊婦のその後の判断に対して支援し、適切な NIPT に関わる遺伝カウンセリングを継続できること。

8.出生後の児への医療やケアを実施できる、またはそのような施設と密に連携する体制を有すること。

9.連携施設において検査の結果陽性または判定保留が出た妊婦について、連携施設からの連絡を受けて4~7の対応を行うことが可能であること。

10.遺伝診療についての会議を定期的に開催して2の遺伝に関する専門外来に関わる医療者内で診療についての情報共有を図ること。連携施設がある場合は連携施設において NIPT に関わる遺伝カウンセリングを実施している産婦人科医師の会議への参加を6か月に1回程度で受け入れて、統括する体制全体の出生前検査に関する医療の質の向上に努めること。

11. 自治体においても、包括的な妊婦支援の一環として、出生前検査に関する情報提供等を行っている。基幹施設は、地域の母子保健担当者と情報交換を行い、連携をとれる体制づくりに努めること。

*1 日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医
*2 日本小児科学会認定小児科専門医
*3 日本人類遺伝学会・日本遺伝カウンセリング学会認定遺伝カウンセラー
*4 日本看護協会認定遺伝看護専門看護師
*5 日本人類遺伝学会・日本遺伝カウンセリング学会認定臨床遺伝専門医
*6 日本周産期・新生児医学会周産期(新生児)専門医

引用を終了します。

どうです?本当に書いてあるでしょう?基幹施設は中絶まできちんとできる医療機関っていうことが条件なのです。
それなのに、この産婦人科医(遺伝専門医)は、自分の考え、つまり、「中絶は悪いことだ、中絶を選ぶなら僕は診ない、よそに行って」ということを患者さんに押し付けたんです。
これって、遺伝カウンセリングですか??

患者さんの気持ちを無視して、自分の価値観を押し付ける。そんなのありですか???
初めての妊娠で双子で、片方だけダウン症候群で、正常な一人がいて、こんな複雑な状況で、患者さんを突き放す???

わたしは怒りに震えました。

彼女も当時から怒りに震えていたので、次はもう絶対、認定施設なんて行かない、何が認定施設だと怒っていました。当然です。

そうして彼女は無事にNIPTを受け、今度は陰性でした。

やっぱ、こういう施設認定基準っていくら作っても、患者さんが守られなければ全然だめだと感じます。
さらに、認定施設だからって自分たちが優れているみたいな話しか彼らからは出てこないのですが。
実際にこういう問題点もあるのだということを知ってもらいたくて、この記事を書きました。皆さんはどう思いましたか?

院長アイコン

ミネルバクリニックでは、NIPT検査を提供しています。少子化の時代、より健康なお子さんを持ちたいという思いが高まるのは当然のことと考えています。そのため、当院では世界の先進的特許技術に支えられた高精度、かつ、ご希望に合わせてたくさんの疾患検査を提供してくれる確かな技術力のある検査会社を遺伝専門医の目で選りすぐりご提供しています。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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