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16トリソミーは流産原因No.1|9〜16番染色体の異常と寿命【全染色体検査ガイドVol.2】

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

「流産の原因は16トリソミーだったと言われた」「NIPTで16番の異常を指摘された。赤ちゃんは生まれてくるの?寿命は?」。この記事は、そうした疑問に答えるための全染色体検査ガイドの第2回です。最初に結論をお伝えすると、16トリソミーは初期流産で見つかるトリソミーの中で最も多い染色体異常で、16番が3本そろった「完全型」で生まれてきた赤ちゃんの報告はありません。一方で、異常な細胞と正常な細胞が混ざった「モザイク型」では、出生前に診断された妊娠の約3分の2が出生に至ったという報告があります。この記事では、16トリソミーの寿命・出産の見通し・特徴に加えて、9番から16番までの染色体の異常と、それぞれをNIPT(新型出生前診断)のどのプランで調べられるかを、臨床遺伝専門医が解説します。

この記事でわかること
📖 読了時間:約15分
🧬 染色体異常・全染色体検査
★ 臨床遺伝専門医監修
  • ➤16トリソミー:初期流産の検体の約7%から見つかり、トリソミーの中で最も多い
  • ➤16トリソミーの寿命・出産:完全型は出生の報告がなく、モザイク型は約3分の2が出生
  • ➤13トリソミー(パトウ症候群):生存期間の中央値は12.5日、10年生存率は12.9%という報告
  • ➤14番・15番:片親性ダイソミーでテンプル症候群やプラダー・ウィリー症候群などが起こる
  • ➤NIPT:13番は全プラン、15・16番はプレミアムプラン・ダイヤモンドプラン、9〜16番すべては双子マックスプラン・インペリアルプランで調べられる

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. 16トリソミーの赤ちゃんは生まれる?寿命は?

16番がすべての細胞で3本ある完全型は、ほとんどが妊娠初期に流産となり、生まれてきた報告はありません。異常な細胞が一部だけのモザイク型では、出生前に診断された162例のうち66%が出生しました。出生は平均35.7週と早めで、体重は小さめ、45%に心室中隔欠損などの合併がありました。生まれた後の寿命をまとめた統計はまだありません。

👶 Q. ダウン症候群だけ調べれば大丈夫ですか?

そうとは言えません。知的障害を伴う病気のお子さんのご家族を比べた研究では、子育てのストレスを最も強く左右していたのは、知的障害の程度よりも攻撃的な行動や自傷、睡眠といった「行動の問題」でした。こうした問題を伴いやすい微小欠失症候群や単一遺伝子疾患は、三大トリソミーだけの検査では調べられません。

🔬 Q. 9〜16番の異常はNIPTで調べられる?

ミネルバクリニックのNIPTでは、13番は全プラン、15番・16番はプレミアムプラン・ダイヤモンドプラン、9〜16番のすべての数の異常は双子マックスプラン・インペリアルプランで調べられます。陽性のときは、羊水検査・絨毛検査を院内で受けられます。

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妊娠9週から(妊娠6〜8週は臨床研究として)受けられます。臨床遺伝専門医が常駐しています。
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全染色体検査ガイドシリーズ

1. 16トリソミーとは?流産で最も多いトリソミーである理由

【結論】16トリソミーは、16番染色体が通常の2本ではなく3本ある状態です。妊娠初期の流産検体を集計したデータでは流産検体の約7.3%から見つかり、常染色体トリソミー全体(約22.3%)の約3分の1を占めて、トリソミーの中で最も多い異常です[1]。完全型で生まれた報告はありませんが、モザイク型として出生に至ることがあります[2][3]。

「流産の原因は何だったのだろう」「また同じことが起きるのではないか」。流産を経験すると、原因を知りたいと思うのは自然なことです。妊娠初期の流産では、赤ちゃん(胚)側の染色体異常が最も多い原因で、中国で妊娠初期の流産832例を調べた研究では44.2%に染色体異常が見つかり、数の異常の中で最も多かったのが16トリソミーでした(数の異常310例中121例)[4]。

ただし、「16トリソミーが流産の原因で1番」と言い切ることはできません。複数の研究をまとめたデータでは、X染色体が1本しかない45,X(モノソミーX)が流産検体の8.6%、三倍体が7.7%で、16トリソミーの7.27%と同じくらいの頻度で見つかっています[1]。正確には、16トリソミーは「初期流産で見つかるトリソミーの中で最も多い」異常です。

💡 用語解説:トリソミーとは?

トリソミー(Trisomy)とは、通常2本ずつある染色体が3本になっている状態のことです。16トリソミーは16番染色体が3本ある状態を指します。染色体が1本多いと、その染色体にある遺伝子の量のバランスが崩れ、多くの場合は発生の初期に妊娠を続けられなくなります。

16トリソミーが流産で多い理由

16トリソミーが流産で多いのは、受精卵の段階で起こる頻度そのものが高いからです。16トリソミーは、確認された妊娠の1%以上に起こると見積もられ、そのほぼすべてが、卵子ができるときの減数第一分裂で染色体がうまく分かれないこと(染色体不分離)で起こります[5]。そして、この不分離は母体の年齢が上がるほど起こりやすくなります[5]。

🧬 16トリソミーが流産で多い2つの理由

理由 内容
起こる頻度が高い 確認された妊娠の1%以上に起こり、ほぼすべてが卵子の減数第一分裂での不分離。母体年齢とともに増える[5]
完全型では妊娠を続けられない 16番が3本そろった完全型は、ほとんどが妊娠初期に流産となり、出生の報告はない[2]

これは受精の時点で決まっていることで、妊娠中の仕事や運動、食事で起こるものではありません。また、1回の16トリソミーによる流産は、多くの場合、次の妊娠で同じことが起こることを意味しません。NIPTで陰性だった後の流産の原因については、NIPT陰性だったのに流産したのはなぜ?で詳しく解説しています。

16トリソミーの寿命と出産の見通し

「16トリソミーの赤ちゃんはどのくらい生きられるのか」という疑問には、完全型とモザイク型を分けて答える必要があります。

📊 16トリソミーの型別の見通し

型 出産・寿命の見通し
完全型(すべての細胞で3本) ほとんどが妊娠初期に流産となり、生まれてきた報告はない[2]
モザイク型(一部の細胞だけ3本) 出生前に診断された162例のうち66%が出生。出生は平均35.7週、出生体重は平均より小さめ(平均−1.93SD)[3]
胎盤だけの異常(CPM) 赤ちゃん本人の染色体は正常。ただし胎盤の働きが落ち、赤ちゃんが小さく育つことがある[2][3]

出典:Benn 1998[2]、Yongら 2003[3]。モザイク型の数字は、出生前(主に絨毛検査・羊水検査)に16トリソミーのモザイクが見つかった妊娠をまとめたものです。

モザイク型で生まれた赤ちゃんの寿命を長期にまとめた統計は、現時点ではありません。報告の多くは出生前後の経過で、生まれた後の見通しは、異常な細胞がどの臓器にどのくらいあるかで大きく変わります。そのため、モザイク型と分かった場合は、超音波で赤ちゃんの発育や心臓を確認しながら、個別に見通しを考えていきます。

16トリソミー(モザイク型)の特徴・症状

出生前にモザイク型と診断されて生まれた赤ちゃんでは、45%に少なくとも1つの合併症があり、多かったのは心室中隔欠損(心臓の壁の穴)、心房中隔欠損、尿道下裂でした[3]。また、早産になりやすいことと、お腹の中で小さく育つこと(胎児発育不全)がよく見られる特徴です[3]。合併症がまったくない赤ちゃんもいるため、特徴の現れ方には大きな幅があります。

2. 第9番〜第16番染色体トリソミーの頻度比較

【結論】妊娠初期の流産検体で見つかる9〜16番のトリソミーの中では、16トリソミーが7.27%と飛び抜けて多く、次いで15トリソミー(1.68%)、13トリソミー(1.07%)の順です[1]。完全型で生まれることがあるのは13番だけで、ほかはモザイク型として生まれることがある程度です。

下のグラフと表は、妊娠初期に流産した検体で、それぞれの染色体のトリソミーが見つかった割合を示しています。16番染色体のトリソミーが、ほかを大きく引き離して多いことがわかります。

▼ 自然流産における各染色体トリソミーの頻度比較(第9番〜第16番)

自然流産における各染色体トリソミーの頻度比較第9~16番

📊 流産検体での頻度と予後(第9番〜第16番)

染色体 流産検体での頻度 完全型の予後 生まれてくる可能性
第9番 0.72% ほとんどが流産 モザイク型でまれに出生
第10番 0.36% ほとんどが流産 モザイク型の報告はごくわずか
第11番 0.04% ほとんどが流産 モザイク型の報告はごくわずか
第12番 0.18% ほとんどが流産 12番短腕が4本になるパリスター・キリアン症候群として出生
第13番 1.07% 出生することがある パトウ症候群として出生
第14番 0.82% ほとんどが流産 モザイク型でまれに出生。片親性ダイソミーに注意
第15番 1.68% ほとんどが流産 モザイク型でまれに出生。片親性ダイソミー(プラダー・ウィリー症候群など)に注意
第16番 7.27% 出生の報告なし モザイク型・胎盤だけの異常(CPM)として出生することがある

出典:妊娠初期に確認された自然流産の染色体を、複数の研究からまとめた表(Simpson・Carson、GLOWM)[1]。同じ表で、45,X(モノソミーX)は8.6%、三倍体は7.7%、常染色体トリソミー全体は22.3%です。

💡 なぜ13番だけが完全型でも生まれることがあるのか?

13番・18番・21番は、遺伝子の数が比較的少ない染色体です。そのため、1本多くても発生が完全には止まらず、出生に至ることがあります。一方、16番は遺伝子の数が少ない染色体ではないため、3本そろうと発生を続けられません。16トリソミーが流産で最も多いのは、16番が特に「重い」からというより、受精卵の段階で起こる頻度が高いためです[5]。

3. 各染色体異常の特徴と予後(第9番〜第12番)

【結論】第9番〜第12番染色体のトリソミーは、完全型ではほとんどが流産となり、モザイク型としてまれに生まれることがあります。特に、12番の短腕が4本になるパリスター・キリアン症候群は、通常の血液の染色体検査では見つかりにくいことに注意が必要です[6]。

第9番染色体トリソミー(モザイク型)

9番がすべての細胞で3本ある完全型は、ほとんどが流産となります。モザイク型として生まれた赤ちゃんの報告はありますが数は少なく、症例報告の段階です。報告されている主な特徴は次のとおりです。9番の短腕だけが多い「9p重複症候群」は別の病気で、成人まで生活している方も多くいます。詳しくは9番染色体異常の解説をご覧ください。

🧬 モザイク型9トリソミーで報告されている特徴

部位 主な特徴
頭・顔 小頭症、深くくぼんだ目、小さなあご
骨格 関節の拘縮・脱臼、背骨の異常
内臓 先天性心疾患(心室中隔欠損・心房中隔欠損など)、腎臓の形の異常

第12番染色体異常:パリスター・キリアン症候群(PKS)

パリスター・キリアン症候群は、12番染色体の短腕(12p)が2本つながった余分な染色体〔i(12p)〕があり、12pが4本分になる病気です。この余分な染色体は血液のリンパ球の培養ではふつう見つからず、皮膚の線維芽細胞や口の中の粘膜、絨毛、羊水の細胞で見つかります[6]。

⚠️ 診断上の注意点:「血液の検査で正常」でも否定できない

パリスター・キリアン症候群は、組織によって異常な細胞の割合が大きく違う組織限局性モザイクの代表です。血液の染色体検査で正常でも、症状からこの病気が疑われる場合は、皮膚の線維芽細胞や口の粘膜の細胞で調べることが勧められます[6]。

▼ パリスター・キリアン症候群(PKS)の細胞遺伝学的機序と組織特異性

パリスター・キリアン症候群の細胞遺伝学的機序と組織特異性

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「血液で正常」の意味を正しく読む】

パリスター・キリアン症候群のように、どの組織で調べるかによって結果が変わる染色体異常があります。「血液の検査で正常」は、あくまで「血液の細胞では異常が見つからなかった」という意味です。

臨床遺伝専門医として大切だと考えているのは、検査の結果だけでなく、「その検査で、どの細胞の、何を見たのか」まで含めて結果を解釈することです。症状と検査結果が一致しないときに、どの組織で、どの方法で調べ直すかを判断する。その判断を、検査を選ぶ段階から結果の説明まで一貫して担うことが、遺伝の専門医の役割だと考えています。

4. 13番染色体異常:パトウ症候群の特徴と予後

【結論】13トリソミー(パトウ症候群)は、出生1万〜2万人に1人の重い染色体異常です[7]。カナダの集団研究では生存期間の中央値は12.5日、10年生存率は12.9%でした[8]。13トリソミーは、ミネルバクリニックのNIPTのすべてのプランで調べられます。

パトウ症候群は、21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)に次いで多い常染色体トリソミーです。症状・確率・寿命の詳しい解説は13トリソミー(パトウ症候群)とは?症状・顔貌・寿命・確率で、妊娠中の超音波(エコー)でわかる所見は13トリソミーはエコーでいつわかる?で解説しています。ここでは概要をお伝えします。

パトウ症候群の主な特徴

🧬 パトウ症候群で見られる主な特徴

部位 主な特徴
脳・顔 全前脳胞症(約74%)、両側の口唇口蓋裂、小眼球症[7]
手足・皮膚 小指側の多指症、ゆり椅子状の足底、頭皮の欠損
内臓 先天性心疾患(76〜90%)、腎臓の異常、消化管の異常[7]

生存率の推移

▼ パトウ症候群(Trisomy 13)の生存曲線

パトウ症候群トリソミー13の生存曲線

📊 13トリソミーの生存の目安

指標 数字 出典
生存期間の中央値 12.5日 カナダ・オンタリオ州の集団研究[8]
1年生存率 19.8%(別のまとめでは6〜12%) 集団研究[8]、StatPearls[7]
10年生存率 12.9% 集団研究[8]

数字は国・時代・治療方針で変わります。集団の平均であり、個々の赤ちゃんの見通しをそのまま示すものではありません。

💡 治療方針の考え方の変化

かつて「生きられない病気」とされたパトウ症候群ですが、近年は「生命を脅かす(Life-limiting)」状態として捉え直す動きがあります。同じ集団研究で、手術を受けた子どもの手術後1年生存率は70.7%でした。ただし、手術を受けられる状態の子どもが選ばれていることの影響が大きいと、研究者自身が述べています[8]。ご家族の価値観にもとづいて方針を決めること(共同意思決定)が重視されるようになっています。

5. モザイク型と限局性胎盤モザイク(CPM)

【結論】完全型では生まれられない染色体でも、モザイク型として生まれることがあります。特に16トリソミーでは、異常な細胞が胎盤だけにある限局性胎盤モザイク(CPM)が多く、赤ちゃん本人の染色体が正常でも、胎盤の働きが落ちて小さく育つことがあります[2][3]。

💡 用語解説:モザイク現象とは?

モザイク現象(Mosaicism)とは、染色体が正常な細胞と異常な細胞が、体の中に混ざっている状態のことです。異常な細胞の割合や、どの臓器にあるかによって、症状の重さは大きく変わります。

16トリソミーの転帰:流産から生存への分岐

16トリソミーの受精卵の多くは流産となりますが、一部では、発生の途中で余分な16番が1本失われる「トリソミーレスキュー」が起こり、正常な細胞が増えて生存への道が開かれます[2]。このとき、異常な細胞が胎盤だけに残るとCPMに、赤ちゃんの体にも残るとモザイク型になります。

▼ 第16番染色体トリソミーの転帰:流産から生存への分岐

16番染色体トリソミーの転帰:流産から生存への分岐

🔄 限局性胎盤モザイク(CPM)とは

項目 内容
定義 異常な細胞が胎盤だけにあり、赤ちゃん本人の染色体は正常な状態
NIPTとの関係 NIPTが見ているDNAの多くは胎盤由来のため、CPMでは赤ちゃんの実際とは異なる陽性が出ることがある[9]
妊娠経過への影響 16トリソミーのCPMでは、胎児発育不全・早産などが起こりやすい[2][3]

胎盤の異常と赤ちゃんの発育の関係は、限局性胎盤モザイク(CPM)と胎児発育不良(FGR)の関係で詳しく解説しています。

14番・15番染色体と片親性ダイソミー(UPD)

14番と15番の染色体には、父親由来か母親由来かで働き方が変わる遺伝子(インプリンティング遺伝子)があります。トリソミーレスキューで余分な1本が失われたとき、残った2本がたまたま同じ親から来たものだと、片親性ダイソミー(UPD)となり、次のような病気が起こることがあります[10][11]。しくみは片親性ダイソミー(UPD)の解説をご覧ください。

🧬 14番・15番の片親性ダイソミーと関連する病気

染色体 UPDの親由来 関連する病気 主な症状
第14番 母性UPD14 テンプル症候群 低身長、思春期早発、小さな手足
第14番 父性UPD14 鏡-緒方症候群 ベル型の胸郭、重い呼吸障害
第15番 母性UPD15 プラダー・ウィリー症候群 筋緊張低下、過食・肥満、知的障害
第15番 父性UPD15 アンジェルマン症候群 重い知的障害、ことばの遅れ、歩行のふらつき

ここが、出生前検査で大切な点です。NIPTで14番や15番のトリソミーが陽性になり、確定検査で赤ちゃんの染色体の数が正常と分かっても、トリソミーレスキューによる片親性ダイソミーの可能性は残ります。そのため、こうした場合には羊水の細胞で片親性ダイソミーの検査を追加することが勧められています[9]。数の異常だけを見て「正常だった」で終わらせないことが、臨床遺伝の視点です。

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🧬 各染色体異常の詳細(第9番〜第16番)

第9番から第16番染色体の数の異常や、微小欠失・重複による病気と予後は、以下のページで詳しく解説しています。

6. NIPTで全染色体検査を受けるメリット

【結論】ミネルバクリニックのNIPTでは、13番はすべてのプランで、15番・16番はプレミアムプラン・ダイヤモンドプランで、9〜16番のすべての数の異常は双子マックスプラン・インペリアルプランで調べられます。陽性のときは、羊水検査・絨毛検査を院内で受けられます。

「13・18・21番のトリソミー以外も調べられるの?」という疑問に、この記事で扱った9〜16番について、プラン別にお答えします。

9〜16番の異常を調べられるプラン

🔬 9〜16番の染色体異常と、ミネルバクリニックのNIPTのプラン

調べたい異常 調べられるプラン
13トリソミー スタンダード・プレミアム・ダイヤモンド・双子マックス・インペリアル(全プラン)
15トリソミー・16トリソミー プレミアム・ダイヤモンド・双子マックス・インペリアル
9・10・11・12・14トリソミー 双子マックス・インペリアル(全常染色体の数の異常が対象)
5Mbを超える部分的な欠失・重複 双子マックス・インペリアル(すべての染色体が対象)
15番の微小欠失(プラダー・ウィリー症候群・アンジェルマン症候群) 全プラン

※双子マックスプランは双子の妊娠でも受けられます。プレミアム・ダイヤモンド・インペリアルは単胎(赤ちゃんが1人)の妊娠が対象です。性染色体の数の異常は、双子マックスプランでは調べません。

ダイヤモンドプランは、米国の3大遺伝子検査会社の一角が提供する新技術「COATE法」(SNP法とターゲット法の組み合わせ)※で検査し、プレミアムプランの範囲(常染色体トリソミー6種類・性染色体の数の異常・微小欠失12種類13疾患)に加えて、56遺伝子の単一遺伝子疾患を調べます。インペリアルプランは、低深度の全ゲノムシーケンスとターゲット法を組み合わせ、全常染色体・性染色体の数の異常、最大92か所の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常、最大155遺伝子(202疾患)の単一遺伝子疾患を調べます。精度のデータはCOATE法のエビデンスで紹介しています。

※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。

まれなトリソミーが陽性になったとき

13・18・21番以外のトリソミー(まれな常染色体トリソミー)がNIPTで陽性になった場合、その多くは胎盤だけの異常(CPM)で、赤ちゃん本人の染色体は正常なことが少なくありません[9]。一方で、その後の流産や胎児発育不全と関係することも分かっています[9]。そのため、陽性のときは次のように確かめます。

① NIPT陽性16番などのまれなトリソミー
▶
② 羊水検査赤ちゃん本人の染色体を確認
▶
③ 必要に応じて追加14・15番などは片親性ダイソミーも
▶
④ 妊娠経過の確認超音波で赤ちゃんの発育を見る

絨毛検査は胎盤の細胞を調べるため、CPMの場合は胎盤の異常をそのまま拾ってしまいます。まれなトリソミーの陽性では、赤ちゃん本人の細胞を調べる羊水検査が中心になります[9]。NIPTはスクリーニング検査で、まれなトリソミーや微小欠失の陽性的中率は13・18・21番より低いため、陽性のときは必ず確定検査で確かめます[12]。

陽性のときの備え:ミネルバクリニックの体制

🛡️ 陽性・流産のときの支え(事実)

項目 内容
確定検査 2025年6月から羊水検査・絨毛検査を院内で実施。主要な検査項目は3日以内、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます
陽性のときの遺伝カウンセリング 何度でも無料。常駐する臨床遺伝専門医が担当します
カトレア会(8,000円) NIPTを受ける方の全員加入の互助会。羊水検査の費用を補助し、上限はありません
安心検査結果保障制度(6,000円) 全員加入の互助会。結果が出ず再検査が必要なのに、流産で再検査ができなかった場合に備える仕組みです
結果が出るまで 基本は10〜14日。インペリアルプランの単一遺伝子の結果だけは3〜4週間(ダイヤモンドプランは単一遺伝子も10〜14日)

※互助会の会費は収益を目的としない事業のため、消費税の対象外です。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「正確性」を最優先する理由】

NIPTの結果は、お子さんの生涯、そしてご家族の人生に関わる情報です。「早く知りたい」というお気持ちは自然なものですが、不正確な結果にもとづく判断は取り返しがつかないこともあります。だからこそ、結果の速さより正確さを優先すべきだと考えています。

この記事で見てきたように、16トリソミーの陽性は胎盤だけの異常かもしれず、14番・15番では数が正常でも片親性ダイソミーの可能性が残ります。陽性という結果を「何を意味し、何をまだ意味しないのか」まで読み解き、どの確定検査を、どの順番で受けるかを示すこと。それが臨床遺伝専門医の仕事だと考えています。

ダウン症候群だけで大丈夫? ― 「値段」ではなく「調べられる範囲」で選ぶ

「ダウン症候群だけが心配」という方は少なくありません。けれども、出生前検査で調べる病気は、どれも赤ちゃんとご家族の暮らしに大きくかかわるものです。知的障害を伴う病気のお子さんのご家族を比べた研究では、スミス・マゲニス症候群、ウィリアムズ症候群、プラダー・ウィリー症候群のご家族は、ダウン症候群のご家族より子育てのストレスが高く、それを最も強く左右していたのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷、睡眠の問題といった「行動の問題」でした[13]。こうした行動の問題は、微小欠失症候群や単一遺伝子疾患で多くみられます[14]。三大トリソミーだけを調べる検査では、これらの病気は調べられません。

出生前検査は、その後の人生を左右するかもしれない検査です。「安さ」だけで選んで大丈夫でしょうか。

三大トリソミーだけを調べる検査を仮に10万円とすると、1つの病気あたりは約3万3千円です。当院のインペリアルプランは、全常染色体と性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、202の単一遺伝子疾患を調べます。性染色体の数の異常も含めて、数えられる病気だけで320になり、1つの病気あたりは約1,700円です。さらに、5Mbを超える欠失・重複はすべての染色体が対象なので、数えきれないほどの変化を調べていることになります。

ただし、病気の数が多いほど良い検査、というわけではありません。調べる範囲が広がると、陽性になる可能性も、確定検査が必要になる場面も増えます。だからこそ、どこまで調べるかは、検査前の遺伝カウンセリングでご家族の考えに合わせて選ぶことが大切です。

🧬 調べられる範囲と「1つの病気あたり」の目安

プラン 主に調べる範囲 数えた病気の数 1つの病気あたり
三大トリソミーだけを調べる検査
(仮に10万円とした場合)
13・18・21トリソミー 3 約33,333円
スタンダード
(220,000円)
13・18・21トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失6種類7疾患 14 約15,714円
プレミアム
(264,000円)
13・18・21・15・16・22トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失12種類13疾患 23 約11,478円
ダイヤモンド
(407,000円)
プレミアムの範囲+単一遺伝子56 79 約5,152円
双子マックス
(440,000円)
全常染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常 114+α 約3,860円
インペリアル
(550,000円)
全常染色体の数の異常、性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常、単一遺伝子202疾患 320+α 約1,719円

※価格は事前学習動画を見て来院した場合の当日割引後の税込価格です。最新の料金は料金ページをご確認ください。※病気の数は、数の異常・微小欠失・重複・単一遺伝子疾患を1つずつ数えたものです。性染色体の数の異常は4種類(ターナー症候群・クラインフェルター症候群・トリプルX症候群・XYY症候群)として数えています(性染色体を調べるのはスタンダード・プレミアム・ダイヤモンド・インペリアル。双子マックスは調べません)。5Mbを超える構造異常は数に入れていないため、双子マックスとインペリアルは実際にはさらに多くの変化を調べています。※「三大トリソミーだけを調べる検査」は計算のための仮の例で、特定の施設の価格ではありません。

どこまで調べたいかは、ご家族によって違います。90分の受診枠の中で、常駐する臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、どのプランが合うかを一緒に考えます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 16トリソミーとは何ですか?

16番染色体が通常の2本ではなく3本ある状態です。妊娠初期の流産検体の約7.3%から見つかり、常染色体トリソミーの中で最も多い異常です。ほぼすべてが卵子ができるときの染色体の不分離で起こり、母体年齢とともに増えます。完全型で生まれた報告はありませんが、モザイク型や胎盤だけの異常(限局性胎盤モザイク)として出生に至ることがあります。

Q2. ダウン症候群だけ調べれば大丈夫ですか?

ダウン症候群だけを調べれば大丈夫、とは言えません。知的障害を伴う病気のお子さんのご家族を比べた研究では、スミス・マゲニス症候群、ウィリアムズ症候群、プラダー・ウィリー症候群のご家族は、ダウン症候群のご家族より子育てのストレスが高く、ストレスを最も強く左右していたのは知的障害の程度よりも行動の問題でした。こうした病気は三大トリソミーだけを調べる検査ではわかりません。当院ではスタンダードプランから22q11.2欠失症候群やプラダー・ウィリー症候群、アンジェルマン症候群などの微小欠失を、ダイヤモンドプラン・インペリアルプランでは単一遺伝子疾患まで調べられます。どこまで調べるかは、検査前の遺伝カウンセリングで一緒に考えます。

Q3. 16トリソミーの赤ちゃんは生まれてきますか?寿命はどのくらいですか?

16番がすべての細胞で3本ある完全型は、ほとんどが妊娠初期に流産となり、生まれてきた報告はありません。一部の細胞だけが3本のモザイク型では、出生前に診断された162例のうち66%が出生し、出生は平均35.7週でした。生まれた後の寿命を長期にまとめた統計はまだなく、見通しは異常な細胞がどの臓器にどのくらいあるかで大きく変わります。

Q4. 16トリソミー(モザイク型)の特徴や症状は?

出生前にモザイク型と診断されて生まれた赤ちゃんでは、45%に少なくとも1つの合併症があり、多かったのは心室中隔欠損、心房中隔欠損、尿道下裂でした。早産や、お腹の中で小さく育つ胎児発育不全もよく見られます。一方で合併症のない赤ちゃんもいて、現れ方には大きな幅があります。

Q5. 9〜16番の染色体異常は、NIPTのどのプランで調べられますか?

ミネルバクリニックでは、13トリソミーはすべてのプランで、15トリソミー・16トリソミーはプレミアムプラン・ダイヤモンドプラン・双子マックスプラン・インペリアルプランで調べられます。9・10・11・12・14番を含む全常染色体の数の異常と、5Mbを超える欠失・重複は、双子マックスプランとインペリアルプランが対象です。陽性のときは羊水検査・絨毛検査を院内で受けられます。

Q6. 13トリソミー(パトウ症候群)の寿命はどのくらいですか?

カナダの集団研究では、生存期間の中央値は12.5日、1年生存率は19.8%、10年生存率は12.9%でした。別のまとめでは1年を超えて生存するのは6〜12%とされています。手術を受けた子どもの手術後1年生存率は70.7%という報告もありますが、手術を受けられる状態の子どもが選ばれていることの影響が大きいとされています。

Q7. プラダー・ウィリー症候群とアンジェルマン症候群は何が違いますか?

どちらも15番染色体の同じ領域の異常に関係しますが、どちらの親から受け継いだ染色体の働きが失われているかが違います。母親由来の15番だけを2本持つ母性片親性ダイソミーなどではプラダー・ウィリー症候群(筋緊張低下、過食・肥満、知的障害)が、父親由来の15番だけを2本持つ父性片親性ダイソミーなどではアンジェルマン症候群(重い知的障害、ことばの遅れ、歩行のふらつき)が起こります。15番の微小欠失による両症候群は、当院のNIPTのすべてのプランで調べられます。

Q8. モザイク型とは何ですか?

染色体が正常な細胞と異常な細胞が、体の中に混ざっている状態です。異常な細胞の割合や、どの臓器にあるかによって症状の重さは大きく変わり、完全型では生まれられない染色体の異常でも、モザイク型として生まれることがあります。

Q9. NIPTで16トリソミーが陽性だった場合、赤ちゃんは必ず16トリソミーですか?

いいえ。NIPTはスクリーニング検査で、確定診断ではありません。NIPTが見ているDNAの多くは胎盤由来のため、16トリソミーでは胎盤だけに異常がある限局性胎盤モザイクで陽性になることが少なくありません。陽性の場合は、赤ちゃん本人の細胞を調べる羊水検査で確かめます。ただし胎盤だけの異常でも、赤ちゃんが小さく育つことがあるため、妊娠経過を超音波で確認していきます。

Q10. 遠方ですが検査を受けられますか?

はい。オンラインNIPTを利用すると、全国110か所の提携施設で採血できます。遺伝カウンセリングは臨床遺伝専門医がオンラインで行います。

🏥 13・18・21番以外の染色体まで、調べる範囲から選ぶ

ミネルバクリニックは臨床遺伝専門医が常駐し、NIPTの遺伝カウンセリングから結果の説明、陽性のときの羊水検査・絨毛検査まで院内で対応します。9〜16番を含む全常染色体の数の異常は、双子マックスプラン・インペリアルプランで調べられます。

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参考文献

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※本記事は一般の方に向けた情報提供を目的とするもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。検査や妊娠経過については、主治医・専門医にご相談ください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

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