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高齢出産で発達障害・自閉症の確率は上がる?父親の年齢と実際のリスク

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医として遺伝医療に携わっています。

高齢出産で、子どもが自閉スペクトラム症(自閉症)などの発達障害になる確率は、わずかに上がることが大規模な研究で分かっています。ただし、上がり方は父親・母親とも「1.5倍前後」で、もともとの頻度がおよそ100人に1〜3人であることを考えると、40代で出産しても大半のお子さんは自閉スペクトラム症ではありません。この記事では、よく引用される「父親が40代だと6倍」という数字がその後どう修正されたか、実際の確率、そして「妊娠中に自閉症かどうか分かる検査はあるのか」という疑問まで、臨床遺伝専門医の立場から解説します。

この記事でわかること
📖 読了時間:約10分
👶 高齢出産・発達障害・自閉症
★ 臨床遺伝専門医監修

Q. 高齢出産で自閉症(自閉スペクトラム症)になる確率は上がりますか?

A. わずかに上がります。父親が50歳以上で約1.7倍、母親が40代で約1.2〜1.5倍という報告が代表的です。もともとの頻度はおよそ100人に1〜3人なので、1.5倍になっても100人のうち95人以上のお子さんは自閉スペクトラム症ではありません。また、自閉スペクトラム症そのものを妊娠中に診断できる検査はありません。

  • ➤父親の年齢 → 初期の研究では40代で約6倍とされたが、その後の大規模研究では1.5倍前後
  • ➤母親の年齢 → 40代で1.2〜1.5倍程度
  • ➤実際の確率 → 倍率より「もともとの頻度」で考えると、大半は自閉スペクトラム症ではない
  • ➤ダウン症との違い → ダウン症は染色体の病気で、母親の年齢の影響がずっと大きい
  • ➤検査 → 妊娠中に自閉スペクトラム症を診断する検査はない

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1. 高齢出産・発達障害・自閉スペクトラム症とは

高齢出産とは、一般に35歳以上での出産を指します。日本では初産の年齢が年々上がり、30代後半から40代での出産も珍しくなくなりました。それとともに、「高齢出産だと子どもに発達障害が出やすいのでは」という不安の声も多く聞かれるようになっています。

発達障害は、生まれつきの脳の働き方の違いによって、幼いころから行動や学習、対人関係などに特性があらわれる状態の総称です。自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害(限局性学習症)などが含まれます。

自閉スペクトラム症は、以前は「自閉症」「アスペルガー症候群」などと分けて呼ばれていたものを、ひとつながりの連続体(スペクトラム)としてまとめた診断名です。主な特徴は、対人関係やコミュニケーションの難しさと、興味や行動の強いこだわりの2つです。特性の強さは人によって大きく異なり、知的発達の遅れを伴う方もいれば、伴わない方もいます。知的発達の遅れを伴わないタイプについては高機能自閉症の解説もご覧ください。

💡 ダウン症は「発達障害」ではありません

「高齢出産で心配な病気」としてダウン症と自閉症が並べて語られることがありますが、両者はまったく別のものです。ダウン症(ダウン症候群)は21番染色体が1本多いことによる染色体の病気で、発達障害には分類されません。自閉スペクトラム症は、多くの遺伝的要因と環境要因が重なって生じる発達の特性です。親の年齢との関係の強さも大きく異なるため、この記事では分けて説明します。

2. 高齢出産で自閉症・発達障害の確率は上がる?父親と母親の年齢

父親・母親ともに年齢が上がるほど、子どもが自閉スペクトラム症と診断される割合は少しずつ高くなります。27の研究をまとめたメタ解析では、親の年齢が10歳上がるごとにリスクは母親で18%、父親で21%高くなり、最も年齢の高いグループと基準のグループを比べると、母親で1.41倍、父親で1.55倍でした[1]。

父親の年齢:「40代で6倍」はその後の研究で修正された

父親の年齢と自閉スペクトラム症の関係が注目されるきっかけになったのは、2006年のイスラエルの研究です。17歳時の徴兵検査の記録を使ったこの研究では、父親が40歳以上の子どもは、30歳未満の子どもに比べて自閉スペクトラム症と診断される割合が5.75倍と報告されました[2]。「父親が40代だと6倍」という数字は、この研究に由来します。

ただし、この研究で自閉スペクトラム症と診断されていたのは約13万人のうち110人と少なく、5.75倍という数字の幅(95%信頼区間)も2.65〜12.46倍と非常に広いものでした[2]。

その後、はるかに大きな規模で行われた研究では、父親の年齢による上昇は1.5倍前後に落ち着いています。デンマーク・スウェーデン・ノルウェー・フィンランド・西オーストラリアの5か国・地域の約570万人の子どもを調べた研究では、父親が50歳以上の場合、20代の場合と比べて1.66倍でした[3]。先ほどのメタ解析でも、父親の年齢が最も高いグループで1.55倍です[1]。

つまり、父親の年齢が上がるとリスクが高くなるという方向性は多くの研究で一致していますが、「6倍」は初期の小規模な研究の数字で、現在の知見に照らすと大きすぎると考えてよいでしょう。

母親の年齢:40代で1.2〜1.5倍程度

母親の年齢も、父親の年齢とは独立してリスクに関わることが分かっています。米国カリフォルニア州の約500万件の出生を調べた研究では、母親が40歳以上の場合、25〜29歳と比べて1.51倍、25歳未満と比べて1.77倍でした[4]。一方、5か国の約570万人を調べた研究では、母親が40代の場合、20代と比べて1.15倍でした[3]。

研究によって数字には幅がありますが、母親の年齢による上昇もおおむね1.2〜1.5倍程度の範囲に収まっています。なお、同じ研究では、母親が20歳未満の場合にもリスクがわずかに高く(1.18倍)なっており[3]、「若ければリスクがない」という単純な関係ではありません。

📊 親の年齢と自閉スペクトラム症の主な研究

研究 比べた年齢 リスクの倍率
イスラエル(2006年) 父親40歳以上 vs 30歳未満 5.75倍(幅2.65〜12.46倍)
5か国・約570万人(2016年) 父親50歳以上 vs 20代 1.66倍
5か国・約570万人(2016年) 母親40代 vs 20代 1.15倍
カリフォルニア州(2010年) 母親40歳以上 vs 25〜29歳 1.51倍
27研究のメタ解析(2017年) 最も高い年齢群 vs 基準群 父親1.55倍/母親1.41倍

※出典はイスラエル[2]、5か国[3]、カリフォルニア州[4]、メタ解析[1]。倍率は「リスクが何倍になるか」を表す相対的な数字で、実際に自閉スペクトラム症になる確率ではありません。

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3. 実際の確率は?倍率ではなく「もともとの頻度」で考える

「1.5倍」と聞くと大きく感じますが、実際の確率で考えると、高齢出産でも大半のお子さんは自閉スペクトラム症ではありません。倍率は、もともとの頻度に掛け算して初めて意味を持つ数字だからです。

自閉スペクトラム症の頻度は、調べ方や国・地域によって差があります。世界各地の調査をまとめた報告では、およそ100人に1人とされています[5]。診断が積極的に行われている米国では、2022年の8歳児で約3.2%(31人に1人)でした[6]。つまり、もともとの頻度はおよそ100人に1〜3人と考えられます。

🧮 もともとの頻度に倍率を掛けた場合の目安

もともとの頻度 1.5倍になった場合 自閉スペクトラム症ではない子ども
100人に1人(1%) 100人に1.5人(1.5%) 100人中98人以上
100人に2人(2%) 100人に3人(3%) 100人中97人
100人に3人(3%) 100人に4.5人(4.5%) 100人中95人以上

※考え方を示すための単純な計算例です。実際のリスクは両親の年齢の組み合わせや家族歴などによって変わります。

このように、親の年齢によってリスクが1.5倍になったとしても、100人のうち95人以上のお子さんは自閉スペクトラム症ではありません。親の年齢は、自閉スペクトラム症に関わる数多くの要因のうちのひとつにすぎず、年齢だけでお子さんの将来が決まるわけではないことを知っておいてください。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「何倍」より「何人に何人」で考える】

リスクの話は、「何倍になるか」だけが強調されがちです。けれども、もともとの頻度が低いものは、何倍かになっても低いままであることが少なくありません。リスクを受け止めるときには「100人のうち何人か」という絶対的な数字に置き換えて考えることが大切だと考えています。

高齢出産を理由に妊娠をためらっている方には、倍率の数字だけで判断せず、実際の確率を知ったうえでご夫婦で話し合っていただきたいと考えています。

4. なぜ親の年齢でリスクが上がるのか

親の年齢とリスクの関係には、いくつかの仕組みが重なっていると考えられています。5か国の大規模研究も、父親と母親の年齢がそれぞれ独立してリスクに関わり、両親の年齢差が大きい場合にもリスクが高くなることから、複数の仕組みが関与していると結論づけています[3]。

父親の加齢と精子の新生突然変異

父親の年齢で最もよく知られている仕組みは、精子にできる新しい遺伝子の変化(新生突然変異、de novo変異)です。精子のもとになる細胞は思春期以降、生涯にわたって分裂を続けるため、年齢とともにDNAの複製の誤りが少しずつ積み重なります。アイスランドの親子の全ゲノムを調べた研究では、子どもに新しく生じる変異の数は父親の年齢が1歳上がるごとに約2個増え、約16.5年で2倍になると推定されています[7]。

これらの変化の大部分は健康に影響しませんが、ごく一部が脳の発達に関わる遺伝子に起きると、自閉スペクトラム症などの原因になりえます。なお、ここで増えるのは主に1つの塩基が置き換わるような小さな変化で、ダウン症のような染色体の数の異常が父親の加齢で増えるわけではありません。精子と卵子のつくられ方の違いは配偶子形成と受精のしくみで解説しています。

また、父親の加齢によって精子のDNAメチル化などの「エピゲノム」が変化し、それが子どもの脳の発達に影響している可能性も研究されています。詳しくはエピゲノム(父親の加齢と精子エピゲノム)の解説をご覧ください。

母親の年齢と、年齢以外の要因

母親の年齢が関わる仕組みは、父親ほどはっきりしていません。妊娠・出産に伴う合併症の増加など、年齢とともに変わるさまざまな条件が関わっていると考えられています。

さらに、親の年齢そのものではなく、親自身が持っている特性が関係している可能性も指摘されています。自閉スペクトラム症は遺伝的な要因の影響が大きい特性で、親自身に同じような傾向があると、結婚や子どもを持つ時期が遅くなりやすいという見方です。つまり、「年齢が高いから」だけでなく、「その親から受け継ぐ遺伝的な素因」が年齢と一緒に見えている部分もあると考えられます。

5. 高齢出産とダウン症など染色体の病気は別の話

高齢出産で確率がはっきり上がるのは、ダウン症(21トリソミー)などの染色体の数の異常です。これは主に、卵子がつくられる過程(減数分裂)で染色体がうまく分かれない「不分離」が、母親の年齢とともに起こりやすくなるためです。自閉スペクトラム症の1.5倍前後とは、上がり方の大きさがまったく違います。

🧬 母親の年齢と、出生時の染色体異常の頻度の目安

母親の年齢 ダウン症候群 染色体異常全体
25歳 約1/1,250 約1/476
30歳 約1/952 約1/385
35歳 約1/385 約1/192
40歳 約1/106 約1/66
45歳 約1/30 約1/21

※Hook(1981年)の出生時の推定値[8]。「染色体異常全体」にはダウン症候群のほか、18トリソミー・13トリソミーや性染色体の異常などが含まれ、自閉スペクトラム症は含まれません。

ダウン症候群は25歳から45歳までの間に約40倍に増えますが、自閉スペクトラム症の上がり方は1.5倍前後です。「高齢出産で障害のある子が生まれやすい」という話の大部分は、この染色体の異常についての話であり、自閉スペクトラム症にそのまま当てはまるわけではありません。

染色体の数の異常は、妊娠中にNIPT(新型出生前診断)や羊水検査で調べることができます。ただし、次の章で説明するように、これらの検査で自閉スペクトラム症が分かるわけではありません。

6. 妊娠中に自閉症かどうか分かる検査はある?

⚠️ 大切なこと

自閉スペクトラム症そのものを、妊娠中に診断できる検査はありません。NIPTや羊水検査で分かるのは、染色体の数の異常や、一部の染色体の欠け(微小欠失)などです。自閉スペクトラム症かどうかは、生まれたあとの行動やコミュニケーションの様子を見て診断されます。

自閉スペクトラム症は、血液検査や画像検査ではなく、お子さんの行動の特徴をもとに診断されます。そのため、特性がはっきりしてくる幼児期以降にならないと診断できません。米国の調査でも、診断された子どもの診断時の年齢の中央値は4歳前後でした[6]。

染色体の一部の欠けや重複(コピー数の変化)の中には、自閉スペクトラム症の特性を伴いやすいものもあります。しかし、それが見つかったとしても自閉スペクトラム症になると決まるわけではなく、逆に、自閉スペクトラム症のお子さんの多くでは、こうした染色体の変化は見つかりません。自閉スペクトラム症には非常に多くの遺伝子と環境要因が関わっており、妊娠中の検査で「自閉症かどうか」を判定することはできないのです。

7. ミネルバクリニックの自閉症の遺伝子検査でわかること・わからないこと

ミネルバクリニックの自閉症の遺伝子検査は、自閉スペクトラム症と診断された、または疑われているお子さん本人の遺伝子を調べる検査です。妊娠中の赤ちゃんが自閉症かどうかを調べる検査ではありません。

🔬 自閉症の遺伝子検査でわかること・わからないこと

わかること わからないこと
自閉スペクトラム症に関連する遺伝子の変化のうち、検査で調べた範囲にあるもの 妊娠中の赤ちゃんが自閉スペクトラム症かどうか
変化が見つかった場合、その変化が両親から受け継がれたものか、新しく生じたものか(ご両親の確認検査による) 検査で調べていない遺伝子や、環境要因による影響
見つかった変化をもとにした、次のお子さんでの再発リスクの見積もり 変化が見つからなかった場合に、遺伝的な要因がないこと

※遺伝子検査で原因となる変化が見つかるのは、自閉スペクトラム症のお子さんの一部です。

遺伝子検査で分かるのは、自閉スペクトラム症に関連する遺伝子の変化の一部です。原因となる変化が見つかれば、お子さんの特性の理解や健康管理、ご家族の次の妊娠を考える際の情報になります。一方で、変化が見つからないことも多く、その場合でも自閉スペクトラム症という診断が変わるわけではありません。

検査を受けるかどうかは、検査で何が分かり、何が分からないのかを理解したうえで決めることが大切です。ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医が検査の前後に遺伝カウンセリングを行い、結果の意味をご説明します。

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8. 高齢出産を考えるご夫婦が知っておきたいこと

親の年齢によって自閉スペクトラム症のリスクを下げる、確立された方法はありません。だからこそ、実際の確率を正しく知り、年齢だけにとらわれずに妊娠・出産を考えることが大切です。

女性の場合

女性は35歳を過ぎると、卵子の数と質の変化によって妊娠しにくくなり、流産やダウン症などの染色体の異常の頻度も上がっていきます。妊娠を希望する場合は、年齢による妊娠のしやすさの変化を踏まえて、早めに計画を立てることが役立ちます。出産方法についての不安がある方は、無痛分娩のリスクと自閉症の関係の解説もご覧ください。無痛分娩と自閉スペクトラム症の関係については、科学的な根拠に疑問が示されています。

男性の場合

男性も年齢とともに精子の量や運動率が下がり、精子のDNAの損傷も増えていきます。自閉スペクトラム症については、先に説明したように父親の年齢も関わることが分かっています。妊娠を考え始めたら、女性だけでなく男性も一緒に体の状態を確認することが大切です。男性の妊活については妊活で男性がやるべきことで紹介しています。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【年齢だけで「あきらめる理由」にしないでほしい】

自閉スペクトラム症は病気ではなく、生まれつきの特性のひとつです。特性に合った環境や関わり方を整えることで、その人が本来持っている力を発揮しやすくなると考えています。

高齢であることを理由に子どもを持つことをためらっているご夫婦には、倍率の数字だけで結論を出すのではなく、正確な情報をもとに判断していただきたいと考えています。不安の中身を一つずつ整理することが、納得のいく選択につながると考えています。

よくある質問(FAQ)

Q1. 高齢出産で自閉症になる確率はどのくらいですか?

親の年齢によるリスクの上昇は、父親・母親とも1.5倍前後と報告されています。自閉スペクトラム症のもともとの頻度はおよそ100人に1〜3人なので、1.5倍になっても100人のうち95人以上のお子さんは自閉スペクトラム症ではありません。

Q2. 父親が40代だと自閉症のリスクが6倍になるというのは本当ですか?

2006年のイスラエルの研究で約6倍(5.75倍)と報告されましたが、診断された人数が少なく、数字の幅も大きい研究でした。その後の約570万人を対象とした大規模研究やメタ解析では、父親の年齢による上昇は1.5倍前後(50歳以上で1.66倍)に落ち着いています。

Q3. 高齢出産で発達障害が増えるのはなぜですか?

父親の加齢で精子に新しい遺伝子の変化(新生突然変異)が増えること、精子のエピゲノムの変化、母親の妊娠・出産に関わる条件の変化などが考えられています。また、親自身が持つ遺伝的な素因が年齢と一緒に見えている可能性も指摘されており、複数の仕組みが重なっていると考えられています。

Q4. NIPTや羊水検査で自閉症は分かりますか?

分かりません。NIPTや羊水検査で分かるのは、ダウン症などの染色体の数の異常や一部の染色体の欠けなどです。自閉スペクトラム症は生まれたあとの行動の特徴をもとに診断されるため、妊娠中に診断できる検査はありません。

Q5. 自閉症の遺伝子検査では何が分かりますか?

自閉スペクトラム症と診断された、または疑われているお子さん本人の遺伝子を調べ、関連する遺伝子の変化の一部を見つける検査です。変化が見つかれば、両親から受け継いだものかどうかや、次のお子さんでの再発リスクを考える手がかりになります。妊娠中の赤ちゃんが自閉症かどうかを調べる検査ではありません。

まとめ

高齢出産では、子どもが自閉スペクトラム症と診断される割合がわずかに高くなります。父親の年齢については、初期の研究で「40代で約6倍」と報告されましたが、その後の大規模研究やメタ解析では1.5倍前後に落ち着いています[1][3]。母親の年齢による上昇も1.2〜1.5倍程度です[3][4]。

もともとの頻度はおよそ100人に1〜3人であり、1.5倍になっても大半のお子さんは自閉スペクトラム症ではありません。また、高齢出産で大きく増えるダウン症などの染色体の異常と、自閉スペクトラム症は別の話です。自閉スペクトラム症そのものを妊娠中に診断できる検査はなく、遺伝子検査で分かるのも関連する遺伝子の変化の一部です。

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参考文献

  • [1] Wu S, Wu F, Ding Y, et al. Advanced parental age and autism risk in children: a systematic review and meta-analysis. Acta Psychiatr Scand. 2017;135(1):29-41. [PubMed 27858958]
  • [2] Reichenberg A, Gross R, Weiser M, et al. Advancing paternal age and autism. Arch Gen Psychiatry. 2006;63(9):1026-1032. [PubMed 16953005]
  • [3] Sandin S, Schendel D, Magnusson P, et al. Autism risk associated with parental age and with increasing difference in age between the parents. Mol Psychiatry. 2016;21(5):693-700. [Mol Psychiatry]
  • [4] Shelton JF, Tancredi DJ, Hertz-Picciotto I. Independent and dependent contributions of advanced maternal and paternal ages to autism risk. Autism Res. 2010;3(1):30-39. [PubMed 20143326]
  • [5] Zeidan J, Fombonne E, Scorah J, et al. Global prevalence of autism: a systematic review update. Autism Res. 2022;15(5):778-790. [PubMed 35238171]
  • [6] Shaw KA, et al. Prevalence and Early Identification of Autism Spectrum Disorder Among Children Aged 4 and 8 Years — Autism and Developmental Disabilities Monitoring Network, 16 Sites, United States, 2022. MMWR Surveill Summ. 2025;74(No. SS-2). [CDC MMWR]
  • [7] Kong A, Frigge ML, Masson G, et al. Rate of de novo mutations and the importance of father’s age to disease risk. Nature. 2012;488(7412):471-475. [PubMed 22914163]
  • [8] Hook EB. Rates of chromosome abnormalities at different maternal ages. Obstet Gynecol. 1981;58(3):282-285. [PubMed 6455611]

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、
臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。
のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、
検査結果の数値そのものだけでなく、
「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、
一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、
日本人として異文化の中で生活した経験があります。
価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。
この経験は現在の診療においても、
「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、
36週6日で一人を死産した経験があります。
その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、
そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。
現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、
出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、
家族の未来に関わる重要な意思決定です。
年齢や統計だけで判断するのではなく、
医学的根拠と心理的支援の両面から、
ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/
日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。
2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、
複数の海外メディア・専門誌で特集掲載
されました。

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