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体外受精後の染色体異常リスクと拡大NIPTの必要性|最新研究エビデンス

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医として遺伝医療に携わっています。

体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)で妊娠したあと、「体外受精だと、ダウン症候群などの染色体異常のリスクは高くなるのだろうか」「NIPT(新型出生前診断)は受けたほうがよいのだろうか」と調べている方へ。先に結論をお伝えします。体外受精という方法そのものが、赤ちゃんの染色体の数の病気を増やすという根拠は、現在の研究でははっきりしていません[1][2]。確率を主に左右するのは、卵子を採ったとき(採卵時)のお母さんの年齢です。一方で、顕微授精では新しく生じる染色体の変化がやや多いという報告があり、お父さんの年齢が上がると遺伝子の新しい変化も増えます。この記事では、何が分かっていて何が分かっていないのかを出典つきで整理し、体外受精で妊娠したあとに「どこまで調べるか」を考える材料をお渡しします。なお、当院は体外受精や顕微授精、着床前検査を行っていません。妊娠したあとの出生前検査(NIPTと確定検査)を担当する立場から書いています。

この記事でわかること
📖 読了時間:約15分
🧬 体外受精・顕微授精とNIPT
★ 臨床遺伝専門医監修
  • ➤体外受精・顕微授精で染色体異常のリスクは上がるのか(大規模研究の数字)
  • ➤体外受精でもダウン症候群の赤ちゃんを妊娠することがある理由と、年齢別の確率
  • ➤Y染色体の微小欠失・インプリンティング疾患の報告と、NIPTでわかること・わからないこと
  • ➤お父さんの年齢と単一遺伝子疾患(新しく起こる遺伝子の変化)
  • ➤体外受精で妊娠したあと、当院のどのプランでどこまで調べられるか

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. 体外受精だとダウン症候群などの染色体異常のリスクは上がりますか?

体外受精という方法そのもので染色体の数の病気が増えるという根拠は、はっきりしていません。確率を主に左右するのは採卵時のお母さんの年齢です。体外受精でも、自然妊娠と同じようにダウン症候群の赤ちゃんを妊娠することはあります。胚の見た目のグレードでは染色体の数は分かりません。なお顕微授精では、新しく生じる染色体の変化がやや多いという報告があります。

🔎 Q. ダウン症候群だけ調べれば大丈夫ですか?

大丈夫とは言えません。体外受精で妊娠した方の心配はダウン症候群に向きがちですが、子育ての負担を最も大きく左右するのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷、睡眠の問題といった行動の問題だと分かっています。こうした行動の問題を伴いやすい病気は微小欠失症候群や単一遺伝子疾患に多く含まれ、三大トリソミーだけの検査では調べられません。当院のNIPTはこれらの病気まで調べられます。

🏥 Q. 体外受精で妊娠したら、NIPT(出生前診断)は受けたほうがいいですか?

受けるかどうかはご夫婦が決めることです。米国母体胎児医学会は、着床前検査を受けたかどうかにかかわらず、体外受精で妊娠したすべての方に出生前のスクリーニング検査と確定検査の選択肢を示すよう勧めています。当院のNIPTは妊娠9週から(妊娠6〜8週は臨床研究)受けられ、陽性のときは確定検査まで院内で受けられます。

🌱 Q. 自閉症や発達障害も、NIPTでわかりますか?

一部はわかります。当院のNIPTは、自閉症・発達障害・知的障害の原因になる染色体や遺伝子の変化の一部を調べられます。ただし、自閉症そのものを診断する検査ではなく、陰性でも自閉症や発達障害がないとは言えません。

ダウン症候群だけで大丈夫ですか?

体外受精で授かった赤ちゃんについて、どこまで調べるか。当院のNIPTは、子育ての負担につながりやすい微小欠失症候群や単一遺伝子疾患、一部の自閉症・発達障害の原因まで調べられます。
調べる範囲は、90分の受診枠の中で、常駐する臨床遺伝専門医と一緒に決められます。

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体外受精(IVF)妊娠と染色体異常のリスク:科学的エビデンス

体外受精や顕微授精で生まれた赤ちゃんの染色体について、これまでに多くの研究が行われてきました。結論を先に言うと、「体外受精だから染色体の数の病気が増える」とは言えない、というのが現在の到達点です。米国母体胎児医学会(SMFM)も、体外受精という手技そのものが染色体異常を増やすようにはみえないと述べています[2]。ただし、研究によって結果に幅があり、顕微授精や双子の妊娠では注意が必要な報告もあります。以下、順に見ていきます。

このページが扱うのは「体外受精で妊娠したあと、赤ちゃんの染色体や遺伝子をどこまで調べるか」です。お母さんの体や妊娠の経過、生まれたあとの発達まで含めた全体像は、体外受精のリスク(母体・妊娠・子ども)のページにまとめています。

大規模研究が示す体外受精児の染色体異常リスク

まず、主な研究の結果を表にまとめます。ポイントは、お母さんの年齢などの条件をそろえて比べたかどうかで、結果の読み方が変わることです。体外受精を受ける方は自然妊娠の方より年齢が高い傾向があるため、条件をそろえずに比べると、年齢の影響が体外受精の影響のように見えてしまいます。

📊 体外受精・顕微授精と染色体異常:主な研究

研究 比べたもの 主な結果
米国4州の出生登録
(2021年)[1]
体外受精・顕微授精の子ども約13万5千人と、自然妊娠の子ども約107万人。お母さんの年齢などをそろえて比較 単胎では、染色体の病気の増加はみられなかった。双子では約1.9倍(調整オッズ比1.89、95%信頼区間1.10〜3.24)
メタ解析(双子など多胎)
(2018年)[3]
体外受精・顕微授精の多胎と、自然妊娠の多胎(21の研究) 染色体の病気は約1.36倍(相対リスク1.36、95%信頼区間1.04〜1.77)
メタ解析(単胎)
(2018年)[4]
体外受精・顕微授精の単胎 約15万9千人(34の研究) 染色体の病気は出生1万人あたり約36人(95%信頼区間26〜50人)。自然妊娠との比較ではなく頻度の推定
メタ解析(顕微授精)
(2021年)[5]
顕微授精と、通常の体外受精・自然妊娠 条件をそろえない比較では自然妊娠の約2.5倍(オッズ比2.46)。条件をそろえた比較では差はみられなかった(調整オッズ比1.29、95%信頼区間0.69〜2.43)
単一施設の研究(顕微授精)
(2020年)[6]
顕微授精の妊娠で出生前検査を受けた胎児1,114人 3.2%に新しく生じた染色体の変化(95%信頼区間2.3〜4.4%)。精子の数が少ないほど多かった。比較する対照群はない
妊娠初期後半の染色体検査
(2011年)[7]
不妊治療による妊娠559人と、自然妊娠1,606人 染色体異常の割合に差はなかった(5.4%と7.0%)

※「調整オッズ比」は、お母さんの年齢などの条件をそろえたうえで、何倍起こりやすいかを示した数字です。95%信頼区間が1をまたぐ場合、統計的には「差があるとは言えない」と読みます。

表から分かることは3つあります。1つ目に、単胎の妊娠では、年齢などをそろえると染色体の病気は増えていません[1]。2つ目に、顕微授精では「条件をそろえないと多く見えるが、そろえると差がはっきりしない」という結果で、研究者自身が証拠の確かさは非常に低いとしたうえで、仮にリスクの上昇があったとしても絶対的なリスクは小さいと述べています[5]。3つ目に、双子など多胎の妊娠では、やや多いという報告が続いています[1][3]。

なお、「体外受精で先天異常が約1.3倍になる」という数字を目にした方もいるかもしれません。これは心臓や泌尿器などの体のつくりの異常を含めた先天異常全体についての数字で(相対リスク1.32、95%信頼区間1.24〜1.42)[8]、染色体の数の病気だけを指したものではありません。この2つは分けて考える必要があります。

💡 用語解説:染色体の数の異常(トリソミー)と、新しく生じた変化(de novo)

染色体は通常2本ずつ23組(46本)あります。そのうち特定の1組が3本になった状態をトリソミーといい、21番が3本ならダウン症候群(21トリソミー)です。「新しく生じた変化(de novo、デノボ)」とは、ご両親から受け継いだものではなく、卵子や精子ができるとき、あるいは受精のあとに新しく起こった染色体や遺伝子の変化のことです。

体外受精でもダウン症候群の赤ちゃんを妊娠することはある ― 確率を左右するのは採卵時の年齢

「体外受精でグレードの良い胚を移植したのに、ダウン症候群だった」。こうした経験を調べている方は少なくありません。お伝えしたいのは、体外受精は、染色体の数の病気を防ぐ治療ではないということです。ダウン症候群の多くは、卵子ができるときに染色体がうまく分かれないことで偶然に起こります。体外受精を選んだことや、妊娠中のお母さんの行動が原因ではありません。

体外受精でもダウン症候群の赤ちゃんを妊娠する理由は、次の3つに整理できます。

  • 胚のグレードは見た目の評価です。形がきれいな胚でも、染色体の数までは分かりません。くわしくは胚盤胞グレードと染色体異常の関係をご覧ください。
  • 着床前検査(PGT-A)を受けていない胚は、染色体を調べていません。受けた場合でも、検査には限界があるため、妊娠後の検査の代わりにはなりません[2][9]。くわしくは着床前診断のあとのNIPTで説明しています。
  • 凍結した胚でも、卵子の年齢は採卵したときのままです。凍結胚移植そのものの影響については凍結胚移植とダウン症候群のページで扱っています。

では、確率はどのくらいでしょうか。日本産科婦人科学会の2023年の集計では、体外受精などの治療を受けた女性の平均年齢は37.3歳で、治療周期の36.7%は40歳以上の方でした[10]。ダウン症候群の頻度はお母さんの年齢とともに上がるため[11]、体外受精で妊娠した方の集団では、年齢の分だけ頻度が高くなります。下の表は、英国の登録データから作られた計算式による、出生時の頻度の目安です。

📊 お母さんの年齢とダウン症候群の頻度(出生時)

年齢 出生時の頻度の目安
30歳 約940人に1人
35歳 約350人に1人
37歳 約200人に1人
40歳 約86人に1人
42歳 約55人に1人
45歳 約36人に1人

出典:Morrisら(J Med Screen, 2002)[11]の計算式から算出した出生時の頻度です。NIPTを受ける妊娠初期の頻度は、その後に自然に流産となる妊娠が含まれるぶん、これより高くなります。年齢ごとの一覧はダウン症候群の確率と母体年齢のページにあります。

ここでいう年齢は、卵子の年齢です。ダウン症候群の頻度が年齢とともに上がるのは、卵子ができるときの染色体の分かれ方の誤りが増えるためなので、凍結しておいた胚を移植した場合に目安になるのは、移植したときではなく採卵したときの年齢と考えられます。たとえば35歳で採卵し、38歳で移植した場合は、35歳の数字が目安になります。

顕微授精(ICSI)と性染色体異常のリスク

顕微授精については、通常の体外受精とは少し違う報告があります。ベルギーの施設が顕微授精の妊娠1,586人の胎児を調べた研究では、新しく生じた染色体の変化が1.6%にみられ、同じ年齢層の羊水検査での頻度(0.5%)より多いという結果でした[12]。内訳は、性染色体の変化が10人、常染色体の変化が15人です。同じ施設がその後に行った研究でも、胎児1,114人のうち3.2%に新しく生じた変化がみられ、精子の濃度が低い(1mLあたり1,500万未満)場合に約2倍多いという関連がありました(調整オッズ比2.10、95%信頼区間1.14〜3.78)[6]。

このことから、顕微授精という操作そのものより、顕微授精が必要になった背景(精子の数が少ないことなど)が関係していると考えられています。ただし、これらの研究には比較する対照群がなく、出生前検査を受けたのは妊娠全体の約2割だったため、実際より多く見えている可能性があると著者自身が述べています[6]。性染色体の数の変化(ターナー症候群、クラインフェルター症候群など)は、当院ではスタンダード・プレミアム・ダイヤモンド・インペリアルの各プランで調べられます(双子マックスプランは性染色体を調べません)。

また、論文の著者は、新しく生じた構造の変化や性染色体の変化には比較的おだやかな経過をとるものがあることも含めて、検査を受けるかどうかを選べるようにご夫婦へ情報を伝えるべきだと述べています[12]。数字だけを見て心配を大きくするのではなく、「見つかった場合にどういう意味をもつのか」まで含めて知ることが大切です。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「体外受精だから」ではなく、「何が関係しているか」で考える】

体外受精で授かった赤ちゃんについて調べると、「リスクが高い」という言葉が先に目に入り、治療を選んだこと自体を悔やむ方がいます。けれども、研究を一つひとつ読むと、染色体の数の病気に関係しているのは体外受精という方法ではなく、卵子の年齢であることが分かります。年齢は、誰の責任でもありません。

臨床遺伝専門医として大切だと考えているのは、「体外受精かどうか」という大きなくくりで心配するのではなく、採卵時の年齢、精子の所見、お父さんの年齢、ご家族の病気の歴史といった、一人ひとりで違う要素に分けて考えることです。分けて考えると、何を調べれば自分たちの心配に答えられるのかが見えてくると考えています。

体外受精児における微細欠失症候群と、まれな遺伝性疾患

染色体の数の病気のほかに、体外受精や顕微授精との関係が報告されている遺伝の話題が2つあります。Y染色体の微小欠失(微細欠失)と、インプリンティング疾患です。どちらも、NIPTではわからない部分が大きいので、何がわかって何がわからないのかを正直に書きます。

Y染色体微細欠失と男性不妊

男性不妊の原因の1つに、Y染色体の一部(AZF領域)が欠けている「Y染色体微小欠失」があります。一般の男性ではおよそ4,000人に1人ですが、精子がない、または非常に少ない男性ではより多くみられ、男性不妊の遺伝的な原因としてはクラインフェルター症候群に次いで多いとされています[13]。

Y染色体は父から息子へそのまま受け継がれます。そのため、この欠失をもつ男性が顕微授精で男の子を授かった場合、欠失は息子に必ず受け継がれ、息子も将来、精子をつくる力が弱くなると考えられています。欧州の専門学会の指針は、治療の前に遺伝カウンセリングでこのことを伝えるよう求めています[13]。これは赤ちゃんの命や発達にかかわる病気ではなく、将来の妊娠のしやすさにかかわる体質です。

2024年には、へその緒の血液を調べた研究で、Y染色体の部分的な欠失が顕微授精の男の子35人中8人(22.9%)、通常の体外受精の男の子37人中4人(10.8%)、自然妊娠の男の子114人中1人(0.9%)にみられたと報告されました[14]。ただし、1つの施設の少人数の研究で、部分的な欠失が将来の精子の数にどう影響するかは分かっていません。現時点では「そういう報告がある」という段階です。

大切な点として、Y染色体の微小欠失は、当院のNIPTでは調べられません。心配な場合は、お父さん自身の血液で調べる検査があります。しくみはAZF欠失(Y染色体微小欠失)のページで解説しています。

インプリンティング疾患のリスク

インプリンティング疾患とは、遺伝子の「父由来・母由来の目印」(主にDNAのメチル化)がうまくつかないことなどで起こる病気です。体外受精・顕微授精で生まれた子どもに多いことが、複数の研究をまとめた解析で報告されています[15]。日本の全国調査でも、ベックウィズ・ヴィーデマン症候群とシルバー・ラッセル症候群で同じ傾向がみられました[16]。

🧬 インプリンティング疾患と体外受精・顕微授精:報告されている関連

病気 海外のメタ解析 日本の全国調査 当院のNIPTで調べられるか
ベックウィズ・ヴィーデマン症候群 約5.8倍(95%信頼区間3.1〜11.1) 予想の4.46倍 メチル化の異常によるタイプは調べられない
シルバー・ラッセル症候群 約11.3倍(95%信頼区間4.5〜28.5) 予想の8.91倍 メチル化の異常によるタイプは調べられない
プラダー・ウィリー症候群 約2.2倍(95%信頼区間1.6〜3.0) 予想の3.44倍 欠失によるタイプのみ(全プラン)
アンジェルマン症候群 約4.7倍(95%信頼区間2.6〜8.5) 増加はみられなかった 欠失によるタイプのみ(全プラン)

出典:海外のメタ解析[15]、日本の全国調査[16]。「予想の何倍」は、生殖補助医療で生まれた子どもの割合から予想される患者数に対して、実際の患者数が何倍だったかを示します。

倍率だけを見ると大きく感じますが、もともとまれな病気です。ベックウィズ・ヴィーデマン症候群は一般にはおよそ1万人に1人で、体外受精などで生まれた子どもでの絶対的なリスクは「高くても1,000人に1人」と、国際的な合意文書に書かれています[17]。米国母体胎児医学会も、こうした病気は不妊のご夫婦の子どもに多いと考えられているものの、絶対的なリスクは小さいとしています[2]。

そして、ここが出生前検査を考えるうえで重要な点です。体外受精などに関連して増えているのは、染色体の一部が欠けるタイプではありません。日本の調査では、生殖補助医療で生まれたベックウィズ・ヴィーデマン症候群とシルバー・ラッセル症候群の患者さんは、調べられた全員がDNAメチル化の異常によるタイプでした[16]。プラダー・ウィリー症候群で増えていたのは、15番染色体が2本ともお母さんから来るタイプ(片親性ダイソミー)で、欠失によるタイプは増えていませんでした[16]。

NIPTで検出できるのは欠失によるタイプだけで、メチル化の異常や片親性ダイソミーは、いまのNIPTではわかりません。つまり、体外受精に関連して増えると報告されているインプリンティング疾患は、NIPTでは調べられないタイプが中心です。「拡大NIPTを受ければインプリンティング疾患も調べられる」とは言えません。

⚠️ 重要ポイント:数字は「確率の話」であり、NIPTにはわからないこともあります

ここまでの研究結果は、集団としての確率の違いを示したもので、体外受精で生まれる赤ちゃんの大多数には当てはまりません。また、Y染色体の微小欠失、インプリンティング疾患のうちメチル化の異常や片親性ダイソミーによるタイプ、心臓など体のつくりの異常は、NIPTではわかりません。体のつくりは超音波検査で確かめます。米国母体胎児医学会は、体外受精・顕微授精で妊娠した方に、くわしい超音波検査を行い、赤ちゃんの心臓の超音波検査(胎児心エコー)の選択肢を示すよう勧めています[2]。妊婦健診を受けている産科でご確認ください。

単一遺伝子疾患と体外受精:父親の年齢の影響

染色体の数や形の変化のほかに、1つの遺伝子の変化で起こる病気(単一遺伝子疾患)があります。その多くは、ご両親から受け継いだものではなく、新しく起こった遺伝子の変化(de novo変異)が原因です。体外受精を受けるご夫婦は年齢が高いことが多いため、とくにお父さんの年齢との関係を知っておくと、調べる範囲を考える助けになります。

父親年齢効果と突然変異リスク

精子のもとになる細胞は、生涯にわたって分裂を続けます。分裂のたびにDNAを写し取るため、年齢とともに写し間違いが積み重なります。アイスランドの78家族の全ゲノムを調べた研究では、子どもに伝わる新しい変異はお父さんの年齢が1歳上がるごとに約2個ずつ増えると報告されました[18]。

お父さんの年齢とともに増えることが知られている病気には、軟骨無形成症(FGFR3遺伝子)、アペール症候群(FGFR2遺伝子)などがあり、「父親年齢効果」のある病気と呼ばれています[19]。1つひとつはまれな病気です。くわしくはNIPTと単一遺伝子疾患(父親の年齢とde novo変異)で解説しています。

体外受精で、新しい遺伝子の変化は増えるのか

では、体外受精や顕微授精という方法そのもので、新しい遺伝子の変化は増えるのでしょうか。研究の結果は分かれています。中国の出生コホート研究(生殖補助医療の160家族と自然妊娠の205家族)では、生殖補助医療で生まれた子どもは新しい変異が平均4.59個多く、その多くはお父さん由来で、お父さんの不妊と関連していました[20]。一方、オランダの研究(53人の子ども)では、自然妊娠・体外受精・顕微授精のあいだで新しい変異の数に差はなく、はっきりしていたのはお父さんの年齢の影響(35歳未満で平均71個、45歳を超えると平均94個)でした[21]。

どちらの研究も規模は大きくなく、結論は出ていません。現時点で確かなのは、方法の違いよりも、お父さんの年齢のほうが影響ははっきりしているということです。

当院のNIPTで調べられる単一遺伝子疾患

こうした単一遺伝子疾患は1つひとつはまれですが、わずか30遺伝子・25疾患を合わせただけでも、約600人に1人(0.17%)の頻度になると報告されています[22][23]。これは、ダウン症候群の出生頻度(全体で約700人に1人)と同じくらいの数字です。当院のインペリアルプランでは、最大155遺伝子・202疾患のde novo変異を対象にしています(ダイヤモンドプランは56遺伝子)。

  • ダイヤモンドプラン(56遺伝子):ヌーナン症候群、アラジール症候群、CHARGE症候群、ソトス症候群、骨形成不全症、コルネリア・デ・ランゲ症候群、レット症候群、軟骨無形成症、アペール症候群など
  • インペリアルプラン(最大155遺伝子・202疾患):上の病気に加えて、ピット・ホプキンス症候群、フェラン・マクダーミッド症候群、KBG症候群、ルビンシュタイン・テイビ症候群、ドラベ症候群など

精度については、インペリアルプランと同じ155遺伝子・202疾患を対象にした検証研究(赤ちゃんに超音波で異常がみられた妊娠など750例)で、陽性的中率96.9%、感度100%、特異度99.9%と報告されています[24]。ダイヤモンドプランの方式を検証した研究(1,090例)では、感度98.5%、特異度99.3%でした[25]。この研究では、染色体の検査に加えて単一遺伝子の病気も調べると、見つかった病気の数が約1.6倍(61件→98件、60.7%増)に増えたと報告されています[25]。ただし、超音波検査で赤ちゃんに異常が疑われた妊婦さんなど、病気の可能性が高いと考えられた方を対象にした研究で、すべての妊婦さんで1.6倍になるという意味ではありません。まれですが偽陰性の可能性もあり、陽性のときは確定検査が必要です。

体外受精妊娠における拡大NIPTの重要性 ― 妊娠したあと、どこまで調べるか

ここまでの内容をふまえて、体外受精で妊娠したあとの出生前検査を考えます。NIPT(新型出生前診断)は、お母さんの血液に含まれる赤ちゃん由来のDNAを調べる検査で、採血だけで受けられます。結果は「可能性が高いかどうか」を示すもので、診断を確定する検査ではありません。NIPTの基本はNIPTとはのページにまとめています。

米国の2つの学会は、次のように勧めています。米国母体胎児医学会は、体外受精・顕微授精を受けた方に遺伝カウンセリングを提供すること、そして着床前検査を受けたかどうかにかかわらず、体外受精で妊娠したすべての方に、出生前のスクリーニング検査と確定検査(絨毛検査・羊水検査)の選択肢を示すことを勧めています[2]。米国産科婦人科学会も、着床前検査は一様に正確ではないため、受けた方にも出生前検査を提供するよう求めています[9]。

体外受精で妊娠した方が、調べる範囲を考えるときの視点は4つあります。

  • ① 採卵時の年齢:染色体の数の病気の確率を主に左右します。13・18・21トリソミーのほか、15・16・22トリソミーや全染色体まで調べるかを考えます。
  • ② 顕微授精かどうか・精子の所見:新しく生じる染色体の変化(性染色体を含む)がやや多いという報告があります[12][6]。性染色体の数の変化を調べるプランかどうかを確かめます。
  • ③ お父さんの年齢:年齢とともに新しい遺伝子の変化が増えます[18]。単一遺伝子疾患まで調べるプラン(ダイヤモンド・インペリアル)が選択肢になります。
  • ④ 着床前検査を受けたかどうか:受けていない胚は染色体を調べていません。受けていても、妊娠後の検査の代わりにはなりません[2][9]。

プラン別:体外受精妊娠でどこまで調べられるか

🧬 当院のNIPTプランと調べられる範囲

プラン 染色体の数の異常 微小欠失・重複 単一遺伝子 単胎・双胎
スタンダード 13・18・21トリソミー+性染色体 6種類7疾患 ― 単胎・双胎
プレミアム 13・18・21・15・16・22トリソミー+性染色体 12種類13疾患 ― 単胎のみ
ダイヤモンド プレミアムと同じ 12種類13疾患 56遺伝子 単胎のみ
双子マックス 全常染色体(1〜22番) 92種類+5Mbを超える構造異常 ― 単胎・双胎
インペリアル 全常染色体+性染色体 92種類+5Mbを超える構造異常 最大155遺伝子・202疾患 単胎のみ

※体外受精で双子を妊娠した方が受けられるのは、スタンダードプランと双子マックスプランです。単一遺伝子疾患は、双子の妊娠では調べられません。微小欠失・重複は、数の異常より陽性的中率が低め(項目によって60〜70%程度)で、陽性のときは必ず確定検査が必要です。

体外受精妊娠でNIPTを受けるときに知っておきたいこと

受けられる時期:当院のNIPTは妊娠9週から受けられます。できるだけ早く結果を知りたい方のために、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられる体制を整えています。体外受精では妊娠週数が正確に分かっているため、時期の計画を立てやすい利点があります。ただし、週数が早いほど赤ちゃん由来のDNAが少なく、判定できずに再検査になることがあります。再検査が必要になったのに流産して再検査ができず、結果が出なかった場合に検査代金(諸費用を除く)を返金する「安心検査結果保障制度」(1回のNIPTにつき6,000円)があります。早い時期の検査については早期NIPTのページをご覧ください。

胎児分画と判定保留:体外受精の妊娠では、血液中の赤ちゃん由来のDNAの割合(胎児分画)がやや低いことが報告されています。体外受精の妊娠992人と自然妊娠4,633人を比べた研究では、胎児分画の中央値は体外受精で10.3%、自然妊娠で11.9%、結果が出なかった割合は体外受精で5.2%、自然妊娠で2.2%でした[26]。体外受精の妊娠でNIPTが受けられないという意味ではなく、再検査の可能性があることを知っておく、という位置づけです。胎児分画については胎児分画が低いとどうなるかで解説しています。

2個の胚を移植した場合:2個移植して片方が早い時期に育たなくなった場合(バニシングツイン)は、その影響でNIPTが偽陽性になることがあります[9]。該当する方は、検査の前に必ずお伝えください。くわしくはバニシングツインとNIPTのページにあります。

結果が出るまで:基本は10〜14日です。インペリアルプランの単一遺伝子の結果だけは3〜4週間かかります(ダイヤモンドプランは単一遺伝子も10〜14日)。

陽性だったとき:NIPTはスクリーニング検査なので、陽性のときは確定検査(絨毛検査・羊水検査)で確かめてから考えることが大切です。当院は2025年6月から産婦人科を併設し、確定検査まで院内で受けられます。主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。近年の大規模な解析では、絨毛検査・羊水検査による流産の上乗せはほとんどみられていません(絨毛検査0.29%、羊水検査−0.36%、どちらも統計的な差なし)[27]。陽性的中率の考え方はNIPTの精度と陽性的中率のページで説明しています。

① 予約妊娠9週から(6〜8週は臨床研究)
▶
② 来院・採血90分の受診枠の中で遺伝カウンセリング
▶
③ 結果基本は10〜14日
▶
④ 陽性のとき院内で確定検査。陽性後のカウンセリングは何度でも無料

来院が難しい方は、オンラインNIPT(Zoomでの遺伝カウンセリング+全国110か所の提携施設で採血)も利用できます。採血料は施設ごとに別にかかります。

ダウン症候群だけを調べればよいわけではない ― 自閉症・発達障害・知的障害もNIPTで一部わかる

不妊治療を経て授かった赤ちゃんについて、まずダウン症候群を心配するのは自然なことです。ただ、出生前検査で調べる病気は、どれも命や発達、ご家族の暮らしに大きくかかわりますが、その中身は病気によって違います。違いは「命の見通し」「自立の見通し」「自閉症や強い行動の問題を伴うか」「ご家族の介護や見守りの負担」に表れます。

たとえば命の見通しでは、ダウン症候群の平均寿命は58.6歳と報告されています[28]。これに対して、1年生存率は18トリソミーで13.4%、13トリソミーで11.5%です[29]。自閉スペクトラム症の特徴がみられる割合は、レット症候群61%、コルネリア・デ・ランゲ症候群43%、アンジェルマン症候群34%、CHARGE症候群30%で、ダウン症候群は16%、22q11.2欠失症候群は11%と報告されています[30]。ダウン症候群は、出生前検査で調べるほかの病気と比べると、見通しが比較的立てやすい病気だといえます。だからこそ、より負担の大きい病気まで広く調べる意味があります。

知的障害を伴う病気のお子さんのご家族を比べた研究では、スミス・マゲニス症候群、ウィリアムズ症候群、プラダー・ウィリー症候群のご家族は、ダウン症候群のご家族より子育てのストレスが高いと報告されています[31]。ストレスを最も強く左右していたのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷などの行動の問題、睡眠の問題でした[31]。自傷はコルネリア・デ・ランゲ症候群、スミス・マゲニス症候群、プラダー・ウィリー症候群などで、他人への攻撃的な行動はアンジェルマン症候群とスミス・マゲニス症候群で多いことが分かっています[32]。

また、22q11.2欠失症候群は微小欠失症候群の中で最も多く、妊娠中の赤ちゃんのおよそ1,000人に1人にみられます[33]。お母さんの年齢とは関係なく起こるため、採卵時の年齢が若い方にも関係があります。米国臨床遺伝・ゲノム学会(ACMG)は、すべての妊婦さんに22q11.2欠失症候群のNIPTを提供することを提案しています(条件付きの推奨)[34]。当院では、スタンダードプランから調べられます。

自閉症・発達障害・知的障害と、当院のNIPTでわかること

「体外受精で生まれた子は発達障害になりやすいのでは」と心配する方もいます。自閉症や発達障害、知的障害の原因はさまざまで、多くは特定できませんが、一部は染色体や遺伝子の変化によって起こります。知的障害の遺伝的な原因で最も多いのはダウン症候群で、発達の遅れや先天異常のある方をマイクロアレイ検査で調べると、約15〜20%に染色体の微細な欠失・重複が見つかります[35]。

一部の自閉症・発達障害・知的障害の原因は、当院のNIPTでわかります。プランごとに調べられる主な病気は次のとおりです。

🧬 自閉症・発達障害・知的障害を伴うことがある病気と、調べられるプラン

プラン 微小欠失・重複 単一遺伝子 自閉症・発達障害・知的障害を伴うことがある主な病気
スタンダード 6種類7疾患 ― 22q11.2欠失症候群、プラダー・ウィリー症候群、アンジェルマン症候群、スミス・マゲニス症候群、1p36欠失症候群
プレミアム 12種類13疾患 ― 上の病気+2q33欠失症候群、9p欠失症候群、18q欠失症候群など
ダイヤモンド 12種類13疾患 56遺伝子 上の病気+レット症候群、コルネリア・デ・ランゲ症候群、CHARGE症候群、ソトス症候群
双子マックス 92種類 ― プレミアムまでの微小欠失の病気+ウィリアムズ症候群、16p11.2欠失・重複など
インペリアル 92種類 最大155遺伝子・202疾患 上のすべて+フェラン・マクダーミッド症候群、ピット・ホプキンス症候群など

ただし、限界もあります。NIPTは自閉症そのものを診断する検査ではありません。陽性のときは確定検査が必要で、微小欠失・重複は数の異常より陽性的中率が低めです。陰性でも、自閉症・発達障害・知的障害がないとは言えません。脆弱X症候群のようにNIPTでは調べられない原因もあり、見つかった場合も症状の出方までは予測できません。くわしくは自閉症はNIPTでわかりますか?をご覧ください。

\ 体外受精で妊娠したあと、調べる範囲から選びたい方へ /

ダウン症候群だけでなく、18・13トリソミーや微小欠失症候群、一部の自閉症・発達障害・知的障害の原因まで、当院のNIPTでわかります。
陽性の場合も、確定検査(絨毛検査・羊水検査)まで院内で受けられ、主要な検査項目は3日以内に結果が出ます。

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ダウン症候群だけで大丈夫? ― 「値段」ではなく「調べられる範囲」で選ぶ

体外受精には、すでに多くの時間と費用がかかっています。そのため、妊娠後の検査は「まずはダウン症候群だけを、できるだけ費用を抑えて」と考える方もいます。出生前検査で調べる病気は、どれも赤ちゃんとご家族の暮らしに大きくかかわるものです。そして、ご家族の子育ての負担を最も大きく左右するのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷、睡眠の問題といった「行動の問題」だと分かっています[31]。こうした行動の問題を伴いやすい病気は、微小欠失症候群や単一遺伝子疾患に多く含まれます[31][32]。三大トリソミーだけを調べる検査では、これらの病気は調べられません。

出生前検査は、その後の人生を左右するかもしれない検査です。「安さ」だけで選んで大丈夫でしょうか。考え方の目安として、検査の料金を「調べられる病気の数」で割ってみます。三大トリソミーだけを調べる検査を仮に10万円とすると、1つの病気あたりは約3万3千円です。当院のインペリアルプランは、全常染色体と性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、202の単一遺伝子疾患を調べます。数えられる病気だけで320になり、1つの病気あたりは約1,700円です。さらに、5Mbを超える欠失・重複はすべての染色体が対象なので、実際にはもっと多くの変化を調べていることになります。

プラン 主に調べる範囲 数えた病気の数 1つの病気あたり
三大トリソミーだけを調べる検査
(仮に10万円とした場合)
13・18・21トリソミー 3 約33,333円
スタンダード
(220,000円)
13・18・21トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失6種類7疾患 14 約15,714円
プレミアム
(264,000円)
13・18・21・15・16・22トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失12種類13疾患 23 約11,478円
ダイヤモンド
(407,000円)
プレミアムの範囲+単一遺伝子56 79 約5,152円
双子マックス
(440,000円)
全常染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常 114+α 約3,860円
インペリアル
(550,000円)
全常染色体の数の異常、性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常、単一遺伝子202疾患 320+α 約1,719円

※価格は事前学習動画を見て来院した場合の当日割引後の税込価格です。最新の料金は料金ページをご確認ください。
※病気の数は、数の異常・微小欠失・重複・単一遺伝子疾患を1つずつ数えたものです。性染色体の数の異常は4種類(ターナー症候群・クラインフェルター症候群・トリプルX症候群・XYY症候群)として数えています(性染色体を調べるのはスタンダード・プレミアム・ダイヤモンド・インペリアル。双子マックスは調べません)。5Mbを超える構造異常は数に入れていないため、双子マックスとインペリアルは実際にはさらに多くの変化を調べています。
※「三大トリソミーだけを調べる検査」は計算のための仮の例で、特定の施設や検査の価格を示すものではありません。

ただし、調べる病気の数が多いほど良い検査、というわけではありません。調べる範囲が広がると、陽性になる可能性も、確定検査が必要になる場面も増えます。採卵時の年齢、顕微授精かどうか、お父さんの年齢、単胎か双子かによって、合うプランは変わります。だから、検査の前の遺伝カウンセリングで、ご夫婦の状況に合わせて調べる範囲を決めることが大切です。当院では、90分の受診枠の中で、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行います。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【長い治療の先にある検査だからこそ、ご夫婦で決めてほしい】

不妊治療を経て妊娠された方にとって、出生前検査は気持ちの面で大きな選択です。「やっと授かったのに、調べるのが怖い」という思いも、「ここまで来たからこそ、分かることは知っておきたい」という思いも、どちらも自然なものだと考えています。

出生前検査は、受けることが正しく、受けないことが間違い、という検査ではありません。知ったうえで赤ちゃんを迎える準備をするための検査です。そのために必要なのは、何がわかり、何がわからないのかについての正確な情報だと考えています。この記事で、わからないことまで書いたのはそのためです。

🏥 体外受精で妊娠したあとのNIPTを、調べる範囲から選ぶために

ミネルバクリニックは臨床遺伝専門医が運営し、常駐しています。90分の受診枠の中で、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、採卵時の年齢やお父さんの年齢に合わせて、どのプランが合うかを一緒に考えます。陽性の場合も、確定検査(絨毛検査・羊水検査)まで院内で受けられます。主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。まだ決めていない方は、まず料金とプランをご確認ください。来院が難しい方は、オンラインNIPT(Zoomでの遺伝カウンセリング+全国110か所の提携施設で採血)もご利用いただけます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 体外受精で妊娠した場合、染色体異常のリスクはどのくらい高くなりますか?

体外受精という方法そのもので染色体の数の病気が増えるという根拠は、はっきりしていません。米国の大規模な出生登録の研究では、お母さんの年齢などをそろえて比べると、単胎では染色体の病気の増加はみられませんでした[1]。確率を主に左右するのは採卵時の年齢です。ただし、双子の妊娠ではやや多いという報告があり[1][3]、顕微授精では新しく生じる染色体の変化がやや多く、精子の所見と関連するという報告があります[6]。

Q2. ダウン症候群だけ調べれば大丈夫ですか?

大丈夫とは言えません。体外受精で妊娠した方の年齢を考えるとダウン症候群が気になるのは当然ですが、子育ての負担を最も大きく左右するのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷、睡眠の問題といった「行動の問題」だと分かっています[31]。こうした行動の問題を伴いやすい病気は、微小欠失症候群や単一遺伝子疾患に多く含まれ、三大トリソミーだけの検査では調べられません。当院のNIPTはこれらの病気まで調べられます。お父さんの年齢が高い場合は、単一遺伝子疾患まで調べるダイヤモンドプラン・インペリアルプランも選択肢になります。

Q3. 体外受精でグレードの良い胚を移植しても、ダウン症候群の赤ちゃんを妊娠することはありますか?

あります。胚のグレードは見た目の評価で、染色体の数までは分かりません。ダウン症候群の多くは卵子ができるときの偶然の誤りで起こり、頻度は採卵時の年齢とともに上がります。出生時の頻度の目安は、35歳で約350人に1人、40歳で約86人に1人です[11]。体外受精を選んだことや、妊娠中の行動が原因ではありません。

Q4. 拡大NIPTと通常のNIPTの違いは何ですか?

13・18・21番の3つのトリソミーだけを調べる検査を基本とすると、拡大NIPTはそれに加えて、ほかの染色体の数の異常、微小欠失・重複、単一遺伝子疾患まで調べる検査です。当院では、スタンダードプランで微小欠失6種類7疾患、プレミアム・ダイヤモンドプランで12種類13疾患、インペリアル・双子マックスプランで92種類の微小欠失・重複を調べます。単一遺伝子疾患は、ダイヤモンドプランで56遺伝子、インペリアルプランで最大155遺伝子・202疾患が対象です。

Q5. NIPTは何週目から受けられますか?体外受精の場合はいつがおすすめですか?

当院のNIPTは妊娠9週から受けられます。妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。体外受精では妊娠週数が正確に分かるため、計画を立てやすい利点があります。陽性だった場合の確定検査は、一般に絨毛検査が妊娠11〜13週ごろ、羊水検査が妊娠15週以降に行われるため、早めに結果を知ることで考える時間を持てます。ただし、週数が早いほど赤ちゃん由来のDNAが少なく、再検査になることがあります。

Q6. 男性不妊が原因で顕微授精を行った場合、遺伝的リスクは高まりますか?

顕微授精の妊娠では、新しく生じる染色体の変化がやや多く、精子の数が少ないほど多いという報告があります[12][6]。また、お父さんにY染色体の微小欠失がある場合、男の子には必ず受け継がれます[13]。性染色体の数の変化はNIPTで調べられますが、Y染色体の微小欠失は当院のNIPTでは調べられません。どちらも、赤ちゃんの大多数には当てはまらない確率の話です。

Q7. 着床前検査(PGT-A)を受けていても、妊娠後にNIPTなどの出生前診断は必要ですか?

受けるかどうかはご夫婦が決めることですが、着床前検査は妊娠後の検査の代わりにはなりません。米国母体胎児医学会は、着床前検査を受けたかどうかにかかわらず、体外受精で妊娠したすべての方に出生前のスクリーニング検査と確定検査の選択肢を示すよう勧めています[2]。なお、当院は体外受精や着床前検査を行っていません。

Q8. NIPTで陽性結果が出た場合、次のステップは何ですか?

NIPTはスクリーニング検査なので、陽性のときは確定検査(絨毛検査・羊水検査)で確かめます。当院は確定検査まで院内で受けられ、主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。陽性後の遺伝カウンセリングは何度でも無料です。確定検査の費用は、羊水検査互助会(カトレア会、1回のNIPTにつき8,000円)から補助されます(補助の上限はありません)。

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※本記事は一般の方に向けた情報提供を目的とするもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。体外受精・顕微授精や着床前検査については、治療を受けている医療機関にご確認ください。当院は体外受精・顕微授精・着床前検査・分娩を行っていません。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

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