InstagramInstagram

小眼球症とNIPT検査 | 遺伝カウンセリングの重要性

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

小眼球症(しょうがんきゅうしょう)は、生まれつき眼球が小さい状態です。眼球がまったく見当たらないものは無眼球症(むがんきゅうしょう)と呼ばれ、両者は同じ病気の連続した重さの違いと考えられています。原因は一つではなく、染色体の数の異常、一つの遺伝子の変化、妊娠中の感染症などの環境要因に分かれます。そのため、「NIPTでわかるか」の答えも原因によって変わります。13トリソミーなど染色体の数の異常に伴う小眼球症はNIPTで手がかりが得られますが、SOX2などの遺伝子の変化や感染症が原因のものはNIPTではわかりません。この記事では、小眼球症とは何か、妊婦健診のエコーでいつわかるのか、遺伝する確率、NIPTでわかることとわからないことを、臨床遺伝専門医の立場から順に解説します。

この記事でわかること
📖 読了時間:約10分
👁️ 小眼球症・無眼球症・NIPT
★ 臨床遺伝専門医監修
  • ➤小眼球症・無眼球症とは何か、どのくらいの赤ちゃんにみられるか
  • ➤原因(染色体・単一遺伝子・環境要因)と、それぞれNIPTでわかるかどうか
  • ➤妊婦健診のエコーでいつわかるか、エコーの限界
  • ➤親が小眼球症のとき、きょうだいに起こる確率の考え方
  • ➤生まれてからの遺伝子パネル検査と、NIPTで陽性だったときの確定検査

⏱️ 30秒でわかる要約

👁️ Q. 小眼球症とは?赤ちゃんの小眼球症はいつわかる?

生まれつき眼球が小さい状態で、出生10万人あたり約14人とされ、眼球が見当たらない無眼球症とあわせると10万人あたり最大30人ほどです。妊娠12週ごろから妊娠中期のエコーで見つかることがありますが、妊娠後期や生まれてから気づかれる例もあります。

🧬 Q. ダウン症候群だけで大丈夫?

小眼球症の原因になりうる13トリソミーは、どのプランでも調べます。ただし赤ちゃんの病気の原因は、3つのトリソミーだけではありません。当院では、プランにより微小欠失(最大92種類)や単一遺伝子の病気(ダイヤモンド56遺伝子、インペリアル最大155遺伝子)まで調べる範囲を選べます。

🔍 Q. 小眼球症はNIPTでわかる?

原因によります。13トリソミーなど染色体の数の異常が原因なら、NIPTで手がかりが得られます。SOX2などの遺伝子の変化や、風疹・サイトメガロウイルスなどの感染症が原因のものはNIPTではわからず、エコーや、生まれてからの遺伝子パネル検査で調べます。

\ ダウン症候群だけで大丈夫?調べる範囲から選びたい方へ /

📅NIPTを予約する

NIPTのプランを見る | オンラインNIPT

小眼球症(小眼球)とは

小眼球症は、生まれつき眼球全体が小さい状態です。目安として、眼球の前後の長さ(眼軸長)が同じ年齢の平均より明らかに短いものをいいます[1]。程度には幅があり、ほとんど見た目では分からない軽度のものから、まぶたの奥に小さな眼球の名残しかない重度のものまであります。片目だけのこともあれば、両目のこともあります。

頻度は、出生10万人あたり小眼球症が約14人、無眼球症が約3人と見積もられ、両者をあわせると10万人あたり最大30人ほどとされています[1]。英国で16歳までの子どもを前向きに追った調査では、無眼球症・小眼球症・眼球コロボーマ(目の組織の一部が欠ける状態)をあわせた頻度は10万人あたり11.9人で、両目に起きていたのは55.5%でした[2]。

無眼球症とは:小眼球症との違い

無眼球症は、眼球が見当たらない状態です。ただ、詳しく調べるとごく小さな眼球の組織が残っていることも多く、重い小眼球症と無眼球症は、同じ一続きの病気の端と端と考えられています。目の形が作られる妊娠のごく早い時期に、何らかの理由で発生が止まったり、うまく進まなかったりすることで起こります[1]。

赤ちゃんの見え方と、治るかどうか

見え方は、眼球の大きさだけでなく、網膜や視神経がどのくらい形づくられているかで決まります。軽度で片目だけなら、もう片方の目でふつうに生活できることも少なくありません。一方、両目が重い場合は、強い視覚障害になることがあります。小さく生まれた眼球を大きくする治療はありませんが、残っている視力を生かす眼鏡やロービジョンの支援、顔の骨の成長を助けるための義眼床(ぎがんしょう)や義眼による治療が、生まれてから早い時期に始められます。

「無眼球症の寿命」を心配される方もいますが、目の病気そのものが命に関わることは通常ありません。寿命や生活への影響は、13トリソミーなど全身の病気を伴っているかどうかで大きく変わります。そのため、小眼球症が見つかったときは、目だけでなく全身に別の特徴がないかを確かめることが大切です。小眼球症の患者さん141人を調べた研究では、34%に目以外の異常があり、最も多いのは神経の異常でした[3]。

💡 用語解説:眼球コロボーマ

コロボーマは、目ができる途中で閉じるはずの裂け目が閉じきらず、虹彩(茶目)・網膜・視神経などの一部が欠けた状態です。小眼球症と一緒にみられることが多く、無眼球症・小眼球症・眼球コロボーマの3つは、原因の遺伝子が重なる一つのグループとして扱われます[2]。

小眼球症の原因:染色体・単一遺伝子・環境要因

小眼球症の原因は、大きく3つに分けられます[1]。どれが原因かで、NIPTでわかるかどうか、次の子に起こる確率がまったく変わります。

① 染色体の異常

染色体の数や構造の異常に伴って、小眼球症が起こることがあります。代表的なのが13トリソミー(パトウ症候群)で、脳が左右に分かれない全前脳胞症に伴って、目が小さい・両目が近い・目が一つになるなど、目と顔の異常がみられることがあります。13トリソミーの胎児33例のエコー所見をまとめた研究では、顔の異常が48%、全前脳胞症が39%にみられました[5]。13トリソミーの全体像はパトウ症候群(13トリソミー)の総論で解説しています。

② 一つの遺伝子の変化(単一遺伝子)

目の発生にかかわる遺伝子の変化でも、小眼球症は起こります。最も多いのはSOX2遺伝子で、両目の重い無眼球症・小眼球症の10〜20%がSOX2の変化によると報告されています。その多くは両親にない変化が新たに生じたもの(新生突然変異)です。ほかにOTX2、RAX、VSX2(CHX10)、PAX6などの遺伝子も知られています[1]。また、目のコロボーマや小眼球を伴うCHARGE症候群(CHD7遺伝子)のように、全身の症状の一部として目に変化が出る病気もあります。SOX2についてはSOX2遺伝子の解説をご覧ください。

③ 妊娠中の環境要因

妊娠中の感染症では、風疹・トキソプラズマ・水痘・サイトメガロウイルスとの関係が報告されています。感染症以外では、母体のビタミンA不足、発熱、X線、サリドマイドやワルファリンなどの薬、アルコールなどが挙げられています[1]。サイトメガロウイルスについては先天性サイトメガロウイルス感染症で解説しています。

🧬 小眼球症の原因と、NIPTでわかるかどうか

原因 例 NIPTでわかるか
染色体の数の異常 13トリソミーなど わかる(手がかりになる)。13トリソミーは当院の全プランが対象
染色体の一部の欠失・重複 染色体の一部が欠けたり増えたりするもの 一部はわかる。微小欠失・重複を最大92種類と5Mb超の構造異常まで調べるのは双子マックス・インペリアル
単一遺伝子(目の発生の遺伝子) SOX2・OTX2・RAX・VSX2・PAX6など NIPTでは調べない。生まれてからの遺伝子パネル検査で調べる
単一遺伝子(全身の症候群) CHARGE症候群(CHD7) ダイヤモンド・インペリアルの対象
環境要因 風疹・サイトメガロウイルスなどの感染症、薬など わからない(遺伝子の病気ではないため)

NIPTの陰性は「調べた範囲では可能性が低い」という意味で、小眼球症がないことを保証するものではありません。

小眼球症・無眼球症はいつわかる?エコーで気づかれる時期と限界

小眼球症・無眼球症は、妊娠中の超音波検査(エコー)で目の大きさを測ることで見つかることがあります。経腟エコーでは妊娠12週ごろから、一般には妊娠中期の早い時期から評価でき、測った値を週数ごとの基準と比べて判断します[1]。

ただし、エコーには限界があります。妊娠14〜24週の30,989人に前向きにエコーを行った研究では、小眼球症が見つかった13人の赤ちゃんのうち12人に、ほかの体のつくりの異常や染色体の異常がありました[4]。目だけの軽い小眼球症は見つけにくく、ふつうの妊婦健診では目の大きさまで細かく測らないことも多いのです。

さらに同じ研究では、妊娠の早い時期と中期のエコーでは目が正常に見えていたのに、妊娠後期や生まれてから小眼球症と分かった赤ちゃんが4人いました。著者らは、妊娠初期・中期に目の大きさが正常でも、その後に小眼球症になることは否定できないと結論しています[4]。「無眼球症はエコーでわかるか」という問いへの答えは、わかることが多いが、すべてではないとなります。

妊娠9週〜NIPTで染色体の数の異常などを調べる
▶
妊娠12週ごろ〜エコーで目を評価できることがある
▶
妊娠中期胎児スクリーニングで見つかることが多い
▶
妊娠後期・出生後後から分かる例もある

エコーで小眼球症が疑われたときは、脳・心臓・手足など全身にほかの所見がないかを確かめ、染色体の検査(羊水検査など)を考えるきっかけになります。13トリソミーで妊娠週数ごとにみられるエコー所見は13トリソミーはエコーでいつわかる?で一覧にしています。

小眼球症の遺伝について

ご自身やご家族が小眼球症の方にとって、いちばん気になるのは「子どもにも起こるのか」という点でしょう。答えは原因が何かで大きく変わるため、まず原因を確かめることが出発点になります。

  • 常染色体顕性(優性)遺伝:変化をもつ親から子に伝わる確率は1回の妊娠ごとに50%です。SOX2やOTX2の変化をもつ人が子をもつ場合などが当てはまります。ただし同じ変化でも、症状の重さには家族の中でも差があります。
  • 常染色体潜性(劣性)遺伝:両親がともに同じ遺伝子の変化を1つずつもつ保因者の場合、子に起こる確率は25%です。
  • X連鎖遺伝:X染色体上の遺伝子が原因のもので、主に男の子に症状が出ます。
  • 新生突然変異:両親にはない変化が子どもで新たに生じたものです。SOX2による重い小眼球症の多くはこれにあたります[1]。

家族の中で重なることもあります。英国の調査では、きょうだいが同じ病気になる危険は一般の人の210倍と見積もられ[2]、原因の分からない小眼球症の家族を調べた研究でも、家族内で起きていた10家族のうち9家族で顕性遺伝が考えられました[3]。一方、13トリソミーのような染色体の数の異常や、感染症などの環境要因が原因であれば、多くは偶然起きたもので、次の子で同じことが起こる確率は低くなります。

このように、「小眼球症の遺伝の確率は○%」と一つの数字では言えません。ご本人の原因遺伝子が分かれば、次の妊娠での確率を個別に見積もることができ、妊娠中に何を調べられるかも決まります。

NIPT(非侵襲的出生前遺伝学的検査)とは

NIPTは、お母さんの血液に含まれる赤ちゃん(胎盤)由来のDNAの断片を調べ、決められた染色体の変化などがあるかどうかを推定する検査です。採血だけで行うため、流産のリスクはありません。当院では通常は妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。結果は基本10〜14日で、インペリアルプランの単一遺伝子の結果だけは3〜4週間かかります。

小眼球症はNIPTでわかる?わかるもの・わからないもの

小眼球症そのものを直接見る検査ではありませんが、原因が染色体の数の異常であれば、NIPTで手がかりが得られます。13トリソミーは当院のすべてのプランで調べており、陽性であれば、エコーで目や脳を詳しく確かめることにつながります。また、ダイヤモンドプラン・インペリアルプランでは、目のコロボーマなどを伴うCHARGE症候群も対象に入っています。

一方、SOX2・OTX2など目の発生にかかわる遺伝子の変化や、感染症など環境要因による小眼球症は、NIPTではわかりません。ご両親のどちらかが小眼球症で、原因遺伝子が分かっている場合は、NIPTではなく、羊水検査・絨毛検査でその変化を直接調べる方法を考えます。原因遺伝子がまだ分かっていない場合は、まずご本人の遺伝子パネル検査で原因を探します(下の章)。

ダイヤモンドプラン・インペリアルプランで調べる単一遺伝子の病気は、多くが両親にない変化が新たに生じる新生突然変異で起こります。新生突然変異と父親の年齢の関係はNIPTと単一遺伝子疾患|父親の年齢リスクで解説しています。

⚠️ NIPTの特性と限界

NIPTはスクリーニング検査です。陽性でも確定ではなく、羊水検査や絨毛検査などの確定検査で確かめる必要があります。また、陰性でも、調べていない病気や、エコーで後から分かる体のつくりの異常がないことまでは保証しません。妊娠中のエコー検査は、NIPTの結果にかかわらず続けて受けてください。

ダウン症候群だけで大丈夫? ― 「値段」ではなく「調べられる範囲」で選ぶ

出生前検査というと、ダウン症候群(21トリソミー)・18トリソミー・13トリソミーの3つが思い浮かぶかもしれません。三大トリソミーは出生前検査で広く調べられている基本の項目ですが、赤ちゃんの病気の原因は、3つのトリソミーだけではありません。当院では、スタンダードプランでも22q11.2欠失症候群を含む微小欠失を調べ、プランによって範囲を広げられます。

📋 当院のNIPTプランと調べられる範囲

プラン 染色体の数 微小欠失・重複 単一遺伝子
スタンダード 13・18・21番+性染色体 6種類7疾患 ―
プレミアム 13・15・16・18・21・22番+性染色体 12種類13疾患 ―
ダイヤモンド プレミアムと同じ 12種類13疾患 56遺伝子(CHARGE症候群・ヌーナン症候群など)
双子マックス 全常染色体 92種類+5Mb超の構造異常 ―
インペリアル 全常染色体+性染色体 92種類+5Mb超の構造異常 最大155遺伝子(202疾患)

スタンダード・双子マックスは単胎・双胎、それ以外は単胎のみ。料金はNIPTの費用・料金をご覧ください。

超音波検査で赤ちゃんの異常が疑われた妊婦さんを対象にした研究では、染色体の検査に加えて単一遺伝子の病気も調べると、見つかった病気の数が約1.6倍(61件→98件、60.7%増)に増えたと報告されています[6]。すべての妊婦さんで1.6倍になるという意味ではありませんが、何を調べ、何を調べないかを知ったうえで選ぶことが大切です。

小眼球症・無眼球症・眼球コロボーマ遺伝子パネル検査について

SOX2・OTX2・RAX・VSX2・PAX6など、小眼球症の原因になる多くの遺伝子は、生まれてから、またはご本人が受ける遺伝子パネル検査でまとめて調べます。当院では「小眼球症・無眼球症・眼球コロボーマ遺伝子パネル検査」を行っています。

この検査が役立つのは、次のような方です。

  • 小眼球症・無眼球症・眼球コロボーマと診断されたお子さんの原因を知りたいご家族
  • ご自身が小眼球症で、子どもをもつ前に原因遺伝子と遺伝の確率を知りたい方
  • 小眼球症のお子さんがいて、次の妊娠で起こる確率や、妊娠中に調べられることを知りたい方

原因遺伝子が分かれば、次の妊娠では羊水検査・絨毛検査でその変化を直接調べることができます。対象の遺伝子や結果までの期間は小眼球症・無眼球症・眼球コロボーマ遺伝子パネル検査のページで説明しています。

\ 陽性なら確定検査まで院内で /

📅NIPTを予約する

羊水検査・絨毛検査 | NIPTのアフターサポート

NIPTで陽性だったとき:確定検査は院内で

NIPTで13トリソミーなどが陽性だった場合は、羊水検査や絨毛検査で赤ちゃんの染色体を直接調べて確かめます。当院では羊水検査・絨毛検査を院内で行い、主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。陽性のカウンセリングは何度でも無料です。

また、NIPTを受ける方は全員、羊水検査の費用を補助するカトレア会(8,000円)と、流産で再検査ができず結果が出ない場合に備える安心検査結果保障制度(6,000円)に加入します。詳しくはNIPTのアフターサポートで説明しています。

遺伝の視点:遺伝カウンセリングの重要性

小眼球症は、同じ「目が小さい」という状態でも、原因が染色体なのか、一つの遺伝子なのか、環境要因なのかで、次の子に起こる確率も、妊娠中に調べられることも変わります。遺伝カウンセリングでは、ご本人とご家族の経過や家族歴をうかがい、次のことを一緒に確かめます。

  • どの原因が考えられるか、原因を調べるにはどの検査が適しているか
  • 原因が分かった場合、次の妊娠で起こる確率はどのくらいか
  • 妊娠中に調べられるのはNIPTか、羊水検査・絨毛検査か、エコーか
  • 結果が出たあとに、どのような選択肢があるか

遺伝カウンセリングの内容は遺伝カウンセリングとはで詳しく説明しています。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「NIPTでわかるか」は、原因で答えが変わる】

「小眼球症はNIPTでわかりますか」という問いに、ひと言で「はい」とも「いいえ」とも答えられないのが、この病気の難しいところです。13トリソミーに伴うものなら手がかりが得られますが、SOX2の新生突然変異や、妊娠中の感染症によるものはNIPTの守備範囲の外です。そして、妊娠中期のエコーで正常でも、後から目が小さいと分かる赤ちゃんもいます。

臨床遺伝専門医として大切だと考えているのは、検査の名前ではなく「どの原因なら、どの検査で、いつわかるのか」を整理することです。ご自身やご家族に小眼球症の方がいるなら、まず原因遺伝子を確かめることが、次の妊娠で何を調べればよいかを決めるいちばんの近道だと考えています。

まとめ

小眼球症は生まれつき眼球が小さい状態で、無眼球症とあわせて出生10万人あたり最大30人ほどです。原因は染色体・単一遺伝子・環境要因に分かれ、13トリソミーなど染色体の数の異常によるものはNIPTで手がかりが得られますが、SOX2などの遺伝子の変化や感染症によるものはNIPTではわかりません。エコーでは妊娠12週ごろから見つかることがある一方、後期や生まれてから分かる例もあります。ご家族に小眼球症の方がいる場合は、まず原因遺伝子を確かめ、次の妊娠で調べる方法を選んでください。

🏥 小眼球症の遺伝やNIPTについて相談したい方へ

臨床遺伝専門医が常駐し、NIPTの陽性時は羊水検査・絨毛検査まで院内で受けられます。主要な検査項目は3日以内に結果が出ます。NIPT専用ダイヤル:03-3408-3768

小眼球症とNIPT検査に関するよくある質問

Q1. ダウン症候群だけで大丈夫?

小眼球症の原因になりうる13トリソミーは、当院のどのプランでも調べます。ただし、赤ちゃんの病気の原因は3つのトリソミーだけではありません。当院では、プランにより微小欠失・重複(最大92種類)や単一遺伝子の病気(ダイヤモンド56遺伝子、インペリアル最大155遺伝子)まで調べる範囲を選べます。何を調べ、何を調べないかを知ったうえで選んでください。

Q2. 小眼球症はNIPTでわかりますか?

原因によります。13トリソミーなど染色体の数の異常が原因なら、NIPTで手がかりが得られます。ダイヤモンド・インペリアルでは、目のコロボーマなどを伴うCHARGE症候群も対象です。一方、SOX2・OTX2など目の発生にかかわる遺伝子の変化や、風疹・サイトメガロウイルスなどの感染症が原因のものはNIPTではわかりません。

Q3. 赤ちゃんの小眼球症・無眼球症はいつわかりますか?エコーでわかりますか?

経腟エコーでは妊娠12週ごろから、一般には妊娠中期の早い時期から、目の大きさを測って見つかることがあります。ただし、妊娠初期・中期のエコーで目が正常でも、妊娠後期や生まれてから小眼球症と分かる例が報告されています。目だけの軽いものは、ふつうの妊婦健診では見つかりにくいこともあります。

Q4. 小眼球症は子どもに遺伝しますか?

原因によって異なります。SOX2やOTX2などの変化をもつ親から子に伝わる確率は1回の妊娠ごとに50%、両親がともに保因者の潜性遺伝なら25%です。一方、新生突然変異や染色体の数の異常、感染症が原因なら、次の子に同じことが起こる確率は低くなります。まず原因遺伝子を確かめることで、確率を個別に見積もれます。

Q5. 無眼球症とは?小眼球症とどう違いますか?

無眼球症は眼球が見当たらない状態です。詳しく調べるとごく小さな眼球の組織が残っていることも多く、重い小眼球症と無眼球症は一続きの病気と考えられています。出生10万人あたり、小眼球症は約14人、無眼球症は約3人と見積もられています。

Q6. 小眼球症は治りますか?寿命に影響しますか?

小さく生まれた眼球を大きくする治療はありませんが、残っている視力を生かす支援や、顔の骨の成長を助けるための義眼床・義眼による治療が、生まれてから早い時期に始められます。目の病気そのものが命に関わることは通常なく、寿命への影響は、13トリソミーなど全身の病気を伴うかどうかで決まります。

Q7. 親が小眼球症の場合、妊娠中に赤ちゃんを調べられますか?

親の原因遺伝子が分かっていれば、羊水検査や絨毛検査でその変化を直接調べることができます。原因が分かっていない場合は、まずご本人の遺伝子パネル検査で原因を探します。NIPTではSOX2などの目の発生にかかわる遺伝子の変化は調べないため、妊娠前か妊娠の早い時期に遺伝カウンセリングで方法を相談してください。

関連記事

参考文献

  • [1] Verma AS, FitzPatrick DR. Anophthalmia and microphthalmia. Orphanet J Rare Dis. 2007;2:47. [DOI 10.1186/1750-1172-2-47]
  • [2] Shah SP, Taylor AE, Sowden JC, et al. Anophthalmos, microphthalmos, and typical coloboma in the United Kingdom: a prospective study of incidence and risk. Invest Ophthalmol Vis Sci. 2011;52(1):558-564. [DOI 10.1167/iovs.10-5263]
  • [3] Skalicky SE, White AJR, Grigg JR, et al. Microphthalmia, anophthalmia, and coloboma and associated ocular and systemic features: understanding the spectrum. JAMA Ophthalmol. 2013;131(12):1517-1524. [DOI 10.1001/jamaophthalmol.2013.5305]
  • [4] Blazer S, Zimmer EZ, Mezer E, Bronshtein M. Early and late onset fetal microphthalmia. Am J Obstet Gynecol. 2006;194(5):1354-1359. [DOI 10.1016/j.ajog.2005.11.010]
  • [5] Lehman CD, Nyberg DA, Winter TC 3rd, et al. Trisomy 13 syndrome: prenatal US findings in a review of 33 cases. Radiology. 1995;194(1):217-222. [DOI 10.1148/radiology.194.1.7997556]
  • [6] Zhang J, Wu Y, Chen S, et al. Prospective prenatal cell-free DNA screening for genetic conditions of heterogenous etiologies. Nat Med. 2024;30(2):470-479. [DOI 10.1038/s41591-023-02774-x]

※本記事は一般の方に向けた情報提供を目的とするもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。小眼球症の診断や治療は眼科専門医に、遺伝や出生前検査については臨床遺伝専門医にご相談ください。

プロフィール
仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続け、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、検査結果の数値そのものだけでなく、「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、日本人として異文化の中で生活した経験があります。価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。この経験は現在の診療においても、「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、36週6日で一人を死産した経験があります。その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、家族の未来に関わる重要な意思決定です。年齢や統計だけで判断するのではなく、医学的根拠と心理的支援の両面から、ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

関連記事