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ヘパリン注射とNIPT|不育症治療中でも検査可能?休薬期間・判定保留のリスクを専門医が解説

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医として遺伝医療に携わっています。

「不育症の治療でヘパリン注射を続けています。このままNIPTは受けられますか」。この疑問への答えは、受けられます。ヘパリンを使っていることは、NIPTを受けられない理由にはなりません。ただし、ヘパリンを使っている方では、結果が出ない「判定保留」が増えるという報告が複数あります[1][2][3]。そして、検査のためにヘパリンを休む(休薬する)かどうかは、ヘパリンを処方している主治医が決めることです。この記事では、妊娠中のヘパリン注射の基本、NIPTへの影響について研究で分かっていること・まだ分かっていないこと、判定保留になったときの選択肢を、出典を示しながら順に解説します。

この記事でわかること
📖 読了時間:約15分
💉 NIPT・ヘパリン・不育症
★ 臨床遺伝専門医監修
  • ➤ヘパリン注射(ヘパリン皮下注射)とは何か、妊娠中の自己注射の基本
  • ➤ヘパリン注射中でもNIPTを受けられる理由と、当院が休薬を受検の条件にしていない理由
  • ➤ヘパリンと判定保留・胎児分画の関係について、研究で分かっていること
  • ➤休薬期間に決まった基準がないことと、休薬の判断を主治医がする理由
  • ➤判定保留になったときの選択肢(再採血・別の方式のNIPT・確定検査)
  • ➤ミネルバクリニックでの検査の流れ(来院は1回・90分の受診枠)

⏱️ 30秒でわかる要約

💉 Q. ヘパリン注射中でもNIPTは受けられますか?

受けられます。不育症の治療でヘパリンを使っていても、NIPTは受けられます。ヘパリン使用中は判定保留(結果が出ない判定)が増えるという報告がありますが、当院はヘパリンを休むことを受検の条件にしていません。休薬するかどうかは、処方している主治医が決めます。

🧬 Q. ダウン症候群だけ調べれば大丈夫ですか?

大丈夫とは言えません。治療を続けながら受ける検査だからこそ、調べる範囲も一度確かめてください。子育ての負担を最も大きく左右するのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷、睡眠の問題といった行動の問題です。こうした問題を伴いやすい微小欠失症候群や単一遺伝子疾患は、三大トリソミーだけの検査では調べられません。当院のNIPTはこれらの病気まで調べられます。

⏰ Q. 判定保留を避けるための休薬期間に、決まりはありますか?

決まった基準はありません。休薬すれば判定保留が減るかどうかを確かめた研究は、まだありません。ヘパリンを休むと血栓などのリスクが心配されるため、休むか続けるかは主治医が判断します。

🔄 Q. 判定保留になったらどうなりますか?

再採血、別の方式のNIPT、確定検査(羊水検査・絨毛検査)から選べます。判定保留になった方が2回目を受けた研究では、約77%の方に結果が出ています。現在当院で扱っているNIPTでは、判定保留は出ていません。

\ ダウン症候群だけで大丈夫ですか? /

当院のNIPTは、子育ての負担につながりやすい微小欠失症候群や単一遺伝子疾患まで調べられます。ヘパリン注射は主治医の指示どおりに続けたままで受けられ、どこまで調べるかは、90分の受診枠の中で臨床遺伝専門医と一緒に決められます。

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✅ 結論:ヘパリン注射中でもNIPT検査は可能です

不育症の治療でヘパリン皮下注射を使っている方でも、NIPTを受けることは可能です。ヘパリン使用中は判定保留が増えるという報告がありますが[1][2][3]、検査のために休薬するかどうかは、ヘパリンを処方している主治医が決めます。自己判断で注射を休まないでください。

🏥 ミネルバクリニックの方針:当院は、NIPTのためにヘパリンを休むことを受検の条件にしていません。主治医の指示どおりに注射を続けたままで受けられます。現在当院で扱っているNIPTでは、判定保留(結果が出ない判定)は出ていません。ただし、ヘパリンを使っている方に結果が出ることをお約束するものではありません。判定保留になった場合は、再採血のときに休薬するかどうかを、主治医と相談して決めていただきます。

ヘパリン注射(ヘパリン皮下注射)とは?不育症治療での役割

ヘパリン注射とは、血液を固まりにくくする薬「ヘパリン」を注射で使う治療です。点滴や静脈注射で使う方法と、皮下に注射する方法があります。妊娠中の不育症治療では、ヘパリンカルシウム皮下注を、妊婦さん自身が1日2回注射する「在宅自己注射」が使われます[10][11]。抗リン脂質抗体症候群など、血液が固まりやすい体質が流産や死産にかかわっていると考えられる場合に、低用量アスピリン(LDA)と組み合わせて使われます[9][10]。不妊治療を経て妊娠し、そのまま不育症の治療としてヘパリン注射を続けている方にも、この記事の内容は当てはまります。

💡 用語解説:抗リン脂質抗体症候群(こうリンししつこうたいしょうこうぐん)

自分の体の成分に対する抗体(抗リン脂質抗体)ができ、血液が固まりやすくなる自己免疫の病気です。妊娠中は、流産や死産をくり返す原因になることがあります。抗リン脂質抗体が続けて陽性で、流産・死産をくり返した女性を対象にした研究のまとめ(5つの研究・1,295人)では、ヘパリンと低用量アスピリンを一緒に使うと、アスピリンだけの場合より、赤ちゃんが生まれる割合が高くなる可能性がある(相対リスク1.27、95%信頼区間1.09〜1.49)と報告されています。ただし、根拠の確かさは「低い」と評価されています[9]。

妊婦さんのヘパリン自己注射:基本情報

💉 不育症治療で使うヘパリン注射の基本

項目 内容
薬の名前 ヘパリンカルシウム皮下注(未分画ヘパリン)
はたらき 血液が固まるのを防ぐ(抗凝固作用)
量と回数 5,000単位を1日2回(朝・夕)、皮下に注射[10]
使い方 医師の指導を受けたうえで、妊婦さん自身が注射する(在宅自己注射)[11]
始める時期 妊娠反応が陽性になってから始めるのが一般的[10]
注射後の血中濃度 皮下注射の約2.7時間後に、血液中の効き目(抗Xa活性)が最も高くなる[11]
半減期 点滴や静脈注射では、量によって約30分〜約2時間半[12]。皮下注射の半減期の数字は、添付文書には示されていない[11]
注意する副作用 出血、ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)、長く使った場合の骨量の減少、肝機能の数値(AST・ALT)の上昇など[10][11]

量・回数・期間は、主治医が一人ひとりの状態に合わせて決めます。ここに示したのは、提言や添付文書に書かれている一般的な内容です。

不育症におけるヘパリン療法の目的

ヘパリン療法とは、ヘパリンで血液を固まりにくくして、血栓(血のかたまり)を防ぐ治療です。抗リン脂質抗体症候群のように血液が固まりやすい状態では、流産や死産が起こりやすくなることがあり、ヘパリン療法は妊娠を続けるための治療として行われます[9][10]。不育症は、2回以上の流産・死産などをくり返す状態をいい、2回続けて流産する方は4.2%、3回以上の方は0.88%と報告されています[10]。不育症の検査や原因については、不育症とは?知っておきたい基礎知識や検査方法で解説しています。

妊娠中のヘパリン注射はいつまで続ける?やめたいときは

厚生労働省の研究班の提言では、ヘパリンの皮下注射は分娩が始まるときまで続けるのが基本とされています。低用量アスピリンの終了時期は、妊娠28週まで、または36週までと、方針が分かれています[10]。実際にいつまで続けるかは、主治医が妊娠の経過をみて決めます。

毎日2回の自己注射は、体にも気持ちにも負担のかかる治療です。血栓ができやすい体質の妊婦さん317人の調査では、肝機能の数値(AST・ALT)の上昇が13.2%、注射した場所のかゆみが10.1%、腫れが3.8%、骨量の減少が0.3%にみられました[11]。「もうやめたい」と感じたときも、自己判断で中止せず、まず主治医に伝えてください。ヘパリンは、血栓と妊娠の経過の両方にかかわる薬だからです。

ヘパリン注射中でもNIPT検査は受けられる?【結論:可能です】

ヘパリン注射中でも、NIPTを受けることは可能です。ヘパリンは「NIPTを受けてはいけない薬」ではありません。知っておきたい点は、次の4つです。

✅ ヘパリン注射中のNIPTで知っておきたい4つの点

ポイント 内容
受けられるか 受けられる。ヘパリンを使っていることは、NIPTを受けられない理由にならない
起こりうること 判定保留(結果が出ない判定)が増えるという報告がある[1][2][3]。影響はなかったとする報告もある[5]
休薬 休薬すれば判定保留が減るかどうかは、まだ分かっていない[1]。休薬するかどうかは、処方している主治医が決める
施設による違い 休薬を条件にする施設、事前の申告を求める施設、受け付けていない施設がある。予約の前に確認する

医療機関による対応の違い

ヘパリンを使っている方への対応は、NIPTを行う施設によって分かれます。予約の前に、受ける施設がどの対応をとっているかを確認してください。

🏥 ヘパリン使用中の方への対応の例

対応 内容 受ける側が確認すること
休薬を条件にしない ヘパリンを続けたままで採血する 判定保留になったときの再採血や、確定検査の受け方
採血前の休薬を条件にする 施設が決めた時間だけ休薬してから採血する 休薬してよいかどうかを、必ず主治医に確認する
事前の申告を求める 予約のときにヘパリンの使用を伝え、個別に対応する 予約のときに必ず伝える
受け付けていない ヘパリン使用中は検査を行わない ほかの施設を探す

当院は「休薬を条件にしない」にあたります。予約のときに、ヘパリンを使っていることをお知らせください。

🏥 ミネルバクリニックの方針と、その理由

現在当院で扱っているNIPTでは、判定保留(結果が出ない判定)は出ていません。今の検査では、血液中の赤ちゃん由来のDNAの割合(胎児分画)を測り、検査会社ごとに正確性を保証できる基準(スタンダード・プレミアム・ダイヤモンドプランは3%、インペリアル・双子マックスプランは3.5%)を設けています。

そのため当院は、①NIPTのためにヘパリンを休むことを受検の条件にせず、不育症の治療を優先します。②判定保留になった場合は、再採血のときに休薬するかどうかを、処方している主治医と相談して決めていただきます。③ヘパリンを使っている方に結果が出ることを、お約束するものではありません。

以前(2017年〜2018年夏)に扱っていた検査では、判定保留が1例ありました。その方は羊水検査で確認し、異常はありませんでした。当時の検査では、胎児分画の値が結果に示されませんでした。当院はその後、胎児分画を測って確かめられる、より精度の高い検査に順次切り替え、その検査は現在扱っていません。判定保留の理由と選択肢は、他院でNIPT判定保留…当院保留率0%の理由と選択肢でくわしく解説しています。

⚠️ 大切な注意

ヘパリンを休むかどうかは、必ず処方している主治医に相談してください。不育症の治療中は血栓ができやすい状態にあるため、自己判断での休薬は危険です。当院が、ヘパリンの休薬を指示することはありません。

ヘパリンがNIPT検査結果に影響を与える理由

ヘパリンとNIPTの関係は、まだ完全には解明されていません。これまでの研究をまとめると、「ヘパリンを使っている方では、赤ちゃん由来のDNAの割合(胎児分画)が低くなり、判定保留が増える」という報告が多い一方で、「影響はなかった」とする報告もある、という状況です。

💡 用語解説:胎児分画(たいじぶんかく)とcfDNA

妊婦さんの血液には、細胞の外に出たDNAの断片(cfDNA)が流れています。その大部分はお母さん由来で、一部が胎盤(赤ちゃん側)由来です。この胎盤由来のDNAが全体に占める割合を、胎児分画といいます。胎児分画が低すぎると、赤ちゃんの染色体の変化を読み取れず、判定保留になります。多くの研究は、4%未満を判定保留の基準にしています[1][5]。胎児分画が低くなる理由は、胎児分画が低いとどうなる?NIPTの判定保留とリスク解説と、胎児ゲノム率が低い=異常?4%基準と再検査の考え方で解説しています。

科学的根拠:これまでの主な研究

🔬 ヘパリン・抗凝固薬とNIPTの判定保留を調べた研究

研究 対象 結果
Shreeら(2024年・米国)[1] 1,707人(抗凝固薬を使っている方は29人) 胎児分画は、使っている方で9.3%、使っていない方で11.7%。判定保留は17.2%と2.7%。体格や妊娠週数をそろえて比べても、判定保留は約8.7倍(95%信頼区間3.1〜24.9)
Burnsら(2017年・米国)[2] 2,890人(低分子ヘパリンのエノキサパリンを使っている方は28人) 胎児分画が低いために結果が出なかった方は、エノキサパリン使用者で28人中5人(18%)。調整後のオッズ比は37.5(95%信頼区間11.19〜125.87)
Nakamuraら(2020年・日本)[3] ヘパリンを使っている23人と、使っていない2,628人 判定保留は、使っている方で8.7%(23人中2人)、使っていない方で0.15%(2,628人中4人)
Suzumoriら(2019年・日本)[4] NIPTを受けた34,626人 判定保留は110人(0.32%)。このうち13人(11.8%)が、ヘパリンの皮下注射を使っていた
Dabiら(2018年)[5] 9,867人(判定保留58人と、比べる相手295人) 判定保留と独立して関係していたのは、自己免疫疾患(オッズ比10.38)や体重などで、ヘパリンは残らなかった

研究ごとに、判定保留の決め方や検査の方式が違います。数字をそのまま横に並べて比べることはできません。

どの研究も、ヘパリンを使っている方の人数は23〜29人ほどと少なく、「ヘパリンを使うと何%が判定保留になる」と言い切れる段階ではありません。分かっているのは、「使っていない方より判定保留が多い傾向が、複数の研究で示されている」ということです。

ヘパリンがNIPTに影響すると考えられている3つのメカニズム

🧪 考えられているしくみと、その根拠

しくみ 内容
① 胎児分画が下がる 抗凝固薬を使っている方では、血液中のDNAの総量が多く(1μLあたり218pgと83.7pg)、お母さん由来のDNAが増えて、赤ちゃん由来のDNAが薄まるためと考えられている[1]
② DNA断片の性質が変わる 低分子ヘパリンを使う5人で、DNA断片が短くなり、GC含量(DNAの成分のかたより)が高くなったと報告されている[6]。日本の報告でも同じ傾向がみられた[3]。一方で、はっきりした差はなかったとする報告もある[1]
③ 測定(PCR)への影響 ヘパリンがPCR(DNAを増やす反応)に影響することは、1990年代から報告されている[8]。ただし、治療で使う濃度の低分子ヘパリンを血漿に加えた実験では、胎児分画・DNAの量・読み取りの数に差は出なかった[5]

もう一つ大切なのが、「ヘパリンの影響なのか、もとの病気の影響なのか」という点です。ヘパリンを使う方の多くは、抗リン脂質抗体症候群などの自己免疫疾患をもっています。自己免疫疾患そのものが判定保留と関係するという報告があり[5]、ヘパリンと病気の影響をはっきり分けることは、今の研究ではできていません[1]。

低分子ヘパリンと未分画ヘパリン:影響の違いは分かっているか

💊 ヘパリンの種類と、NIPTとの関係を調べた報告

種類 代表的な薬 NIPTとの関係を調べた報告
未分画ヘパリン ヘパリンカルシウム皮下注(日本の在宅自己注射で使われる[10]) 日本の報告[3][4]は、ヘパリンの注射を使っている妊婦さんが対象
低分子ヘパリン(LMWH) エノキサパリンなど 海外の報告の多く[2][5][6]が対象

2つを直接比べて、NIPTへの影響の大きさが違うかどうかを調べた研究は見当たりません。2024年の研究も、薬の種類や量ごとの違いは調べられなかったとしています[1]。

ご自身が使っているヘパリンの種類が分からない場合は、主治医にご確認ください。どちらの種類でも、NIPTを受けること自体はできます。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「結果が出ない」と「結果が間違う」は、別の問題です】

ヘパリンがNIPTに影響すると聞くと、「受けても意味がない」「結果が当てにならない」と受け取られがちです。けれども、研究が示しているのは主に「結果が出ないことが増える」という点で、「出た結果が間違いやすくなる」ことを示した大きなデータはありません。この2つは、分けて考える必要があると考えています。

そのうえで大切なのは、赤ちゃん由来のDNAの割合(胎児分画)を測り、足りないときは「足りない」と分かる検査を使うことです。胎児分画が分からないまま出た「陰性」は、根拠の弱い陰性になりかねません。当院が、胎児分画を測って基準を設けている検査を扱っているのは、そのためです。

判定保留を避けるための休薬期間 ― 決まった基準はなく、判断は主治医

「採血の何時間前からヘパリンを休めばよいか」という疑問に、根拠のある決まった答えはありません。休薬すれば判定保留が減るかどうかを確かめた研究が、まだないからです[1]。休薬期間について、研究で分かっていることを整理します。

⏰ 休薬と採血のタイミングについて、分かっていること

疑問 分かっていること
休薬すれば判定保留は減る? 調べた研究はない。2024年の研究は、注射を1回遅らせることや、次の注射の前に採血することを安全に行えるかどうかは、お母さんのリスクを考えたうえで、今後調べるべき課題だとしている[1]
採血は注射のどのタイミングがよい? 低分子ヘパリンを使う5人で、次の注射の直前に採血し直した報告がある[6]。人数が少なく、決まった方法として確立したものではない
何時間あければ薬は抜ける? 皮下注射の約2.7時間後に血中濃度が最も高くなる[11]。ただし、血中濃度が下がればNIPTへの影響がなくなるかどうかは分かっていない
再採血で結果は出る? 抗凝固薬などを使っていて判定保留になった方の再採血(1〜3週間後)では、4人中2人に結果が出た[1]

ヘパリンの半減期と、注射後の血中濃度

ヘパリンの半減期(血液中の量が半分になるまでの時間)は、使い方と量で変わります。点滴や静脈注射では、体重1kgあたり25単位で約30分、100単位で約60分、400単位で約150分と、量が多いほど長くなります[12]。不育症の治療で使う皮下注射では、薬がゆっくり吸収され、血液中の効き目(抗Xa活性)は注射の約2.7時間後に最も高くなります[11]。皮下注射の半減期の数字は、添付文書には示されていません[11]。「半減期の何倍の時間をあければ、NIPTに影響しない」という目安も、研究で確かめられたものはありません。

⚠️ 休薬に関する大切な注意

自己判断での休薬は避けてください。休薬してよいかどうか、どのくらい休むかを決めるのは、ヘパリンを処方している主治医です。不育症の治療中は血栓ができやすい状態にあり、NIPTよりも、お母さんと赤ちゃんの安全が優先されます。出血があるときなど、そのときの体の状態によっても判断は変わります。

検査スケジュールの立て方

① 主治医に伝えるNIPTを受けたいこと。休薬が必要かは主治医が判断
▶
② 予約のときに申告ヘパリンを使っていることを施設に伝える
▶
③ 採血の日注射は主治医の指示どおりに
▶
④ 採血のあと休薬した場合は、主治医の指示どおりに再開

NIPTを受ける施設が休薬を条件にしている場合は、その条件を主治医に伝え、休薬してよいかを確認してください。当院は休薬を条件にしていないため、主治医から特別な指示がなければ、ふだんどおりに注射を続けたままで受けられます。

判定保留になる確率とその対処法

判定保留の発生率

日本のNIPTコンソーシアムの集計では、NIPTを受けた34,626人のうち、判定保留は110人(0.32%)でした[4]。内訳は、胎児分画が低い(4%未満)方が22人(20.0%)、お母さん側のDNAの変化(悪性腫瘍を含む)が疑われた方が18人(16.4%)で、13人(11.8%)がヘパリンの皮下注射を使っていました[4]。

ヘパリンや抗凝固薬を使っている方に限ると、判定保留の割合は8.7%〜17.2%と報告されています(使っていない方は0.15%〜2.7%)[1][3]。前の章で述べたとおり、人数の少ない研究の数字です。判定保留は、体重が重いことでも起こりやすくなります[2][5]。

判定保留になった場合の選択肢

🔄 判定保留のあとの選択肢

選択肢 内容 知っておきたいこと
NIPTの再検査(再採血) 日をあけて、もう一度採血する 判定保留になった方が2回目を受けた研究では、48人中37人(約77%)に結果が出た[5]。休薬するかどうかは主治医と相談する
別の方式のNIPT 方式や胎児分画の基準が違う検査を受ける 検査の方式や基準は、検査によって違う
確定検査(羊水検査・絨毛検査) 赤ちゃんの染色体を直接調べる 胎児分画に左右されない。検査による流産の上乗せは、近年の大規模な解析ではほとんど見られないと報告されている[13]。ヘパリンを使っている方は、検査前後の注射について主治医の指示が必要
検査を行わない NIPTも確定検査も受けない 染色体の変化があるかどうかは分からないまま、超音波検査などで経過をみる

NIPTで陽性になった場合も、同じように確定検査で確かめることが必要です。NIPTは可能性を調べる検査で、診断を確定する検査ではないからです。当院では、確定検査(羊水検査・絨毛検査)まで院内で受けられます。

🏥 判定保留・陽性のときの、ミネルバクリニックの体制

・陽性の場合、陽性後の遺伝カウンセリングは何度でも無料です。
・確定検査(羊水検査・絨毛検査)は、院内で受けられます(2025年6月から産婦人科を併設)。主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。
・羊水検査互助会(カトレア会)(1回のNIPTにつき8,000円)が、陽性時の確定検査の費用を補助します。補助に上限はありません。
・安心検査結果保障制度(1回のNIPTにつき6,000円)は、再検査が必要になったのに流産して再検査ができず、結果が出なかったときに、検査代金(諸費用を除く)を返金する制度です。

ミネルバクリニックでの検査の流れ(ヘパリン使用中の方)

当院では、ヘパリン注射を主治医の指示どおりに続けたままで、NIPTを受けられます。来院は1回で、90分の受診枠の中で、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行います。

ミネルバクリニックの特徴

🏥 当院のNIPTの体制

項目 内容
臨床遺伝専門医が常駐 90分の受診枠の中で、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行う。当院は非認証施設
胎児分画を測る検査 胎児分画を測り、検査会社ごとに基準を設けている(スタンダード・プレミアム・ダイヤモンドプランは3%、インペリアル・双子マックスプランは3.5%)
確定検査まで院内で 2025年6月から産婦人科を併設。羊水検査・絨毛検査を院内で行う
4Dエコー NIPTの前に、当日の赤ちゃんの様子を4Dエコーで確認する(2022年11月から)
安心検査結果保障制度 再検査が必要になったのに流産して再検査ができず、結果が出なかったときに、検査代金(諸費用を除く)を返金する(2025年1月から)
オンラインNIPT Zoomで臨床遺伝専門医の遺伝カウンセリングを受け、全国110か所の提携施設で採血する。採血料は施設ごとに別にかかる

検査の流れ(1回の来院で完結)

📝 予約から結果まで

ステップ 内容
① 予約 予約のときに、ヘパリンを使っていることをお知らせください
② 事前準備 検査コースの説明動画を、来院の前に見ていただきます(当日割引は、事前学習動画を見た方に適用されます)
③ 来院(90分の受診枠) 4Dエコーで赤ちゃんの様子を確認 → 臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリング → プランを決める → 採血
④ 採血のあと ヘパリン注射は、主治医の指示どおりに続けてください
⑤ 結果 基本は10〜14日で結果が出ます(インペリアルプランの単一遺伝子の結果だけは3〜4週間)。陰性の場合はマイページでお知らせします。陽性の場合は、陽性後の遺伝カウンセリング(何度でも無料)を行います

NIPTは妊娠9週から受けられます(妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます)。妊娠週数が早いほど胎児分画は低くなりやすいため、受ける時期も遺伝カウンセリングで確認します。

来院を1回にしているのは、妊娠初期のつわりの時期に通院の回数を増やさないためです。不育症の治療中は、もともと通院の回数が多くなります。遠方で来院が難しい方は、オンラインNIPTも利用できます。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【検査のために治療を止めるかどうかを、検査をする側が決めない】

流産をくり返した方にとって、「ヘパリンを休んだら、また同じことが起こるかもしれない」という怖さは、とても現実的なものだと思います。ヘパリンは、その方の血栓のリスクと妊娠の経過をふまえて処方されている薬です。

内科医の立場からも、検査のために治療薬を休むかどうかは、その薬を処方し、経過を知っている医師が決めるべきことだと考えています。休薬で判定保留が減るという根拠も、まだありません。当院が休薬を受検の条件にしていないのは、こうした考えによるものです。

主治医との連携が重要な理由

ヘパリン注射中のNIPTでは、休薬の判断を含めて、不育症の主治医の方針が土台になります。当院が、主治医の治療方針を変えるような指示をすることはありません。

ヘパリンを休むことのリスク

🚨 休薬で心配されること

・血栓ができやすくなる(抗リン脂質抗体症候群では、もともと血液が固まりやすい)
・お母さんの血栓症(深部静脈血栓症や肺塞栓症)
・妊娠の経過への影響(流産や死産をくり返した方では、特に慎重な判断が必要)

だからこそ、休薬するかどうかは、必ず主治医が判断します。

主治医に伝えること

・NIPTを受けたいと考えていること
・検査を受ける予定の日と、そのときの妊娠週数
・NIPTを受ける施設が、休薬を条件にしているかどうか(当院は条件にしていません)
・これまでの流産・死産や、血栓症の経過

ダウン症候群だけで大丈夫? ― 「値段」ではなく「調べられる範囲」で選ぶ

ヘパリンの治療を続けながら受けるNIPTだからこそ、「受けられるかどうか」と同じくらい、「何を調べるか」も大切です。出生前検査で調べる病気は、どれも命・発達・ご家族の暮らしに大きくかかわりますが、その中身は病気によって違います。知的障害を伴う病気のお子さんのご家族を比べた研究では、子育てのストレスを最も強く左右していたのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷などの行動の問題、睡眠の問題でした[14]。こうした行動の問題は、スミス・マゲニス症候群、プラダー・ウィリー症候群、アンジェルマン症候群(当院では全プランで調べられます)、コルネリア・デ・ランゲ症候群(ダイヤモンド・インペリアルプランで調べられます)などで多いことが分かっています[15]。三大トリソミーだけを調べる検査では、これらの病気は調べられません。

三大トリソミーだけを調べる検査を仮に10万円とすると、1つの病気あたりは約3万3千円です。当院のプランを同じ数え方で並べると、次のようになります。

プラン 主に調べる範囲 数えた病気の数 1つの病気あたり
三大トリソミーだけを調べる検査
(仮に10万円とした場合)
13・18・21トリソミー 3 約33,333円
スタンダード(220,000円) 13・18・21トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失6種類7疾患 14 約15,714円
プレミアム(264,000円) 13・18・21・15・16・22トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失12種類13疾患 23 約11,478円
ダイヤモンド(407,000円) プレミアムの範囲+単一遺伝子56 79 約5,152円
双子マックス(440,000円) 全常染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常 114+α 約3,860円
インペリアル(550,000円) 全常染色体の数の異常、性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常、単一遺伝子202疾患 320+α 約1,719円

※価格は事前学習動画を見て来院した場合の当日割引後の税込価格です。最新の料金は料金ページをご確認ください。
※病気の数は、数の異常・微小欠失・重複・単一遺伝子疾患を1つずつ数えたものです。性染色体の数の異常は4種類(ターナー症候群・クラインフェルター症候群・トリプルX症候群・XYY症候群)として数えています(性染色体を調べるのはスタンダード・プレミアム・ダイヤモンド・インペリアル。双子マックスは調べません)。5Mbを超える構造異常は数に入れていないため、双子マックスとインペリアルは実際にはさらに多くの変化を調べています。
※「三大トリソミーだけを調べる検査」は計算のための仮の例で、特定の施設の価格ではありません。

ただし、調べる病気の数が多いほどよい検査、というわけではありません。範囲が広がると、陽性になる可能性も、確定検査が必要になる場面も増えます。微小欠失は、染色体の数の異常より陽性的中率が低めで、陽性なら必ず確定検査が必要です。だから、検査前の遺伝カウンセリングで、ご家族がどこまで知りたいかを確かめてからプランを選びます。各プランの内容は、スタンダードプラン、プレミアムプラン、ダイヤモンドプラン、双子マックスプラン、インペリアルプランの各ページでご覧いただけます。

自閉症・発達障害・知的障害の原因はさまざまで、多くは特定できませんが、一部は染色体や遺伝子の変化によるものです。発達の遅れや知的障害のある方をマイクロアレイ検査で調べると、約15〜20%に染色体の微細な欠失・重複が見つかると報告されています[16]。当院のNIPTは、その一部を妊娠中に調べられます。ただし、自閉症そのものを診断する検査ではなく、陰性でも自閉症・発達障害・知的障害がないとは言えません。くわしくは、自閉症はNIPTでわかりますか?をご覧ください。

\ ヘパリンの治療を続けたまま、調べる範囲から選べます /

陽性の場合も、確定検査(絨毛検査・羊水検査)まで院内で受けられます。主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。予約のときに、ヘパリンを使っていることをお知らせください。

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ミネルバクリニックの強み:これまでに整えてきた体制

ミネルバクリニックは、NIPTを始めてから、結果が出たあとの体制を一つずつ加えてきました。ヘパリンを使っている方にとっては、判定保留や陽性のあとに、同じ施設で次の検査まで進めるかどうかが、施設を選ぶときの物差しになります。

📅 当院がこれまでに加えてきた体制

時期 取り組み 内容
NIPT開始当初から 羊水検査互助会(カトレア会) 陽性時の確定検査の費用を補助する。補助に上限はない
2022年11月 4Dエコー NIPTの前に、当日の赤ちゃんの様子を確認する
2025年1月 安心検査結果保障制度 再検査が必要になったのに流産して再検査ができず、結果が出なかったときに、検査代金(諸費用を除く)を返金する
2025年6月 産婦人科を併設 確定検査(羊水検査・絨毛検査)を院内で行う。主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出る

まとめ:不育症治療とNIPT検査の安全な両立

📝 この記事の重要ポイント

・ヘパリン注射中でもNIPTは受けられます。ヘパリンを使っていることは、NIPTを受けられない理由になりません。
・ヘパリン使用中は、判定保留が増えるという報告が複数あります(8.7%〜17.2%)。影響はなかったとする報告もあります。
・休薬で判定保留が減るかどうかは分かっておらず、決まった休薬期間はありません。
・休薬するかどうかは、ヘパリンを処方している主治医が決めます。
・当院は、休薬を受検の条件にしていません。現在当院で扱っているNIPTでは、判定保留(結果が出ない判定)は出ていません(結果が出ることをお約束するものではありません)。
・判定保留になったときは、再採血・別の方式のNIPT・確定検査から選べます。
・陽性の場合は、確定検査(羊水検査・絨毛検査)まで院内で受けられます。

不育症の治療を続けながら迎えた妊娠では、検査一つを受けるにも迷いが生まれます。治療を止めずに受けられること、結果が出なかったときにも次の選択肢があることを知ったうえで、検査を受けるかどうか、どこまで調べるかを選んでいただければと思います。

🏥 ヘパリン注射中でNIPTをご検討の方へ

ミネルバクリニックは、NIPTのためにヘパリンを休むことを受検の条件にしていません。臨床遺伝専門医が常駐し、陽性の場合は、確定検査(羊水検査・絨毛検査)まで院内で受けられます。予約のときに、ヘパリンを使っていることをお知らせください。来院が難しい方は、オンラインNIPT(Zoomでの遺伝カウンセリング+全国110か所の提携施設で採血)もご利用いただけます。

よくある質問(FAQ)

Q1. ヘパリン注射中でもNIPTは受けられますか?

はい、受けられます。ヘパリンを使っていることは、NIPTを受けられない理由にはなりません。ヘパリン使用中は判定保留(結果が出ない判定)が増えるという報告がありますが[1][2][3]、当院はヘパリンを休むことを受検の条件にしていません。休薬するかどうかは、ヘパリンを処方している主治医が決めます。

Q2. ダウン症候群だけ調べれば大丈夫ですか?

大丈夫とは言えません。ヘパリンの治療を続けながら受ける検査だからこそ、何を調べるかも確かめておきたい点です。子育ての負担を最も大きく左右するのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷、睡眠の問題といった行動の問題です。こうした問題を伴いやすい微小欠失症候群や単一遺伝子疾患は、三大トリソミーだけの検査では調べられません。当院のNIPTはこれらの病気まで調べられます。

Q3. NIPTのために、ヘパリンを休む(休薬する)必要はありますか?

当院では、休薬を受検の条件にしていません。休薬すれば判定保留が減るかどうかを確かめた研究はまだなく[1]、ヘパリンを休むと血栓などのリスクが心配されるためです。休薬するかどうか、休む場合の時間は、ヘパリンを処方している主治医が決めます。自己判断で休まないでください。

Q4. ヘパリンを使っていると、判定保留になる確率はどのくらいですか?

研究によって幅があります。日本の報告ではヘパリンを使っている23人中2人(8.7%)[3]、米国の報告では抗凝固薬を使っている方の17.2%[1]が判定保留でした。使っていない方では、それぞれ0.15%、2.7%です。どちらも人数の少ない研究で、判定保留の決め方も違うため、「何%」と言い切れる段階ではありません。現在当院で扱っているNIPTでは判定保留は出ていませんが、結果が出ることをお約束するものではありません。

Q5. ヘパリン注射の何時間後に採血すればよいですか?半減期から計算できますか?

半減期から計算した「この時間をあければよい」という目安は、研究で確かめられていません。皮下注射のヘパリンは、注射の約2.7時間後に血液中の効き目が最も高くなりますが[11]、血中濃度が下がればNIPTへの影響がなくなるかどうかは分かっていません。主治医から「当日の注射は休んで」と指示された場合は、その指示に従ってください。指示がないのに、ご自身の判断で注射を抜く必要はありません。

Q6. ヘパリン注射の数時間後に採血して、結果が出ました。この結果は信頼できますか?

ヘパリンで起こりうる主な問題は「結果が出ない(判定保留)」ことで、結果が出た場合に精度が下がることを示した大きなデータはありません。米国の研究でも、抗凝固薬による偽陽性は確認されませんでした[1]。一方で、低分子ヘパリンを使っていて胎児分画が低く、21トリソミーが陰性と判定された例が1例報告されています[7]。NIPTは確定検査ではないため、ヘパリンを使っているかどうかにかかわらず、まれですが偽陰性の可能性はあります。

Q7. 判定保留になったらどうなりますか?

選択肢は、日をあけて再採血する、別の方式のNIPTを受ける、確定検査(羊水検査・絨毛検査)を受ける、検査を行わない、の4つです。判定保留になった方が2回目の検査を受けた研究では、48人中37人(約77%)に結果が出ています[5]。再採血のときに休薬するかどうかは、主治医と相談して決めます。確定検査は当院の院内で受けられます。

Q8. 妊娠中のヘパリン注射は、いつまで続けますか?

厚生労働省の研究班の提言では、ヘパリンの皮下注射は分娩が始まるときまで続けるのが基本とされています[10]。低用量アスピリンは、妊娠28週まで、または36週までと、方針が分かれています[10]。実際にいつまで続けるかは、主治医が妊娠の経過をみて決めます。

Q9. ヘパリン注射がつらくて、やめたいと思っています。どうすればよいですか?

1日2回の自己注射は負担が大きく、注射した場所のかゆみ(10.1%)や腫れ(3.8%)も珍しくありません[11]。それでも、自己判断でやめることは避けてください。血栓や妊娠の経過にかかわる治療だからです。つらさは、そのまま主治医に伝えてください。なお、NIPTを受けるためにヘパリンをやめる必要はありません。

Q10. 低用量アスピリン(バイアスピリン)や、ヒルドイドなどの塗り薬はNIPTに影響しますか?

低用量アスピリンだけを使っている方では、判定保留の割合は使っていない方と差がなかったと報告されています(3.7%と2.7%)[1]。ヒルドイドなどのヘパリン類似物質の塗り薬については、NIPTの判定保留との関係を調べた研究は見当たりません。これまでの研究が対象にしているのは、注射のヘパリンです。使っている薬は、予約のときと当日にお知らせください。

Q11. 何回通う必要がありますか?事前にカウンセリングだけ受けられますか?

来院は1回です。事前に検査コースの説明動画を見ていただき、当日は90分の受診枠の中で、4Dエコー、臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリング、プランの決定、採血まで行います。遺伝カウンセリングだけを別の日に受ける形はとっていません。

Q12. 陽性だった場合、確定検査と費用はどうなりますか?

陽性後の遺伝カウンセリングは何度でも無料で、確定検査(羊水検査・絨毛検査)は院内で受けられます(2025年6月から産婦人科を併設)。主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。羊水検査互助会(カトレア会・1回のNIPTにつき8,000円)が確定検査の費用を補助し、補助に上限はありません。ヘパリンを使っている方は、確定検査の前後の注射について主治医の指示が必要です。

Q13. ミネルバクリニックは認証施設ですか?

当院は非認証施設です。臨床遺伝専門医が常駐し、90分の受診枠の中で遺伝カウンセリングを行います。2025年6月から産婦人科を併設しており、陽性の場合は確定検査(羊水検査・絨毛検査)まで院内で受けられます。

Q14. 自閉症や発達障害は、NIPTでわかりますか?

一部はわかります。当院のNIPTは、自閉症・発達障害・知的障害の原因になる染色体や遺伝子の変化の一部を調べられます。ただし、自閉症そのものを診断する検査ではなく、陰性でも自閉症・発達障害・知的障害がないとは言えません。陽性の場合は確定検査が必要です。

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参考文献

  • [1] Shree R, MacKinnon HJ, Hannan J, Kolarova TR, Reichel J, Lockwood CM. Anticoagulation use is associated with lower fetal fraction and more indeterminate results. Am J Obstet Gynecol. 2024;230(1):95.e1-95.e10. PMID: 37429430. [DOI 10.1016/j.ajog.2023.07.005]
  • [2] Burns W, Koelper N, Barberio A, Deagostino-Kelly M, Mennuti M, Sammel MD, Dugoff L. The association between anticoagulation therapy, maternal characteristics, and a failed cfDNA test due to a low fetal fraction. Prenat Diagn. 2017;37(11):1125-1129. PMID: 28881030. [DOI 10.1002/pd.5152]
  • [3] Nakamura N, et al. Nonreportable rates and cell-free DNA profiles in noninvasive prenatal testing among women with heparin treatment. Prenat Diagn. 2020;40(7):838-845. PMID: 32274797. [PubMed]
  • [4] Suzumori N, Sekizawa A, Takeda E, et al. Classification of factors involved in nonreportable results of noninvasive prenatal testing (NIPT) and prediction of success rate of second NIPT. Prenat Diagn. 2019;39(2):100-106. [DOI 10.1002/pd.5408]
  • [5] Dabi Y, Guterman S, Jani JC, Letourneau A, Demain A, Kleinfinger P, Lohmann L, Costa JM, Benachi A. Autoimmune disorders but not heparin are associated with cell-free fetal DNA test failure. J Transl Med. 2018;16:335. [DOI 10.1186/s12967-018-1705-2]
  • [6] Grömminger S, Erkan S, Schöck U, Stangier K, Bonnet J, Schloo R, et al. The influence of low molecular weight heparin medication on plasma DNA in pregnant women. Prenat Diagn. 2015;35(11):1155-1157. [DOI 10.1002/pd.4668]
  • [7] Ma GC, Wu WJ, Lee MH, Lin YS, Chen M. Low-molecular-weight heparin associated with reduced fetal fraction and subsequent false-negative cell-free DNA test result for trisomy 21. Ultrasound Obstet Gynecol. 2018;51(2):276-277. [DOI 10.1002/uog.17473]
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  • [9] Hamulyák EN, Scheres LJJ, Marijnen MC, Goddijn M, Middeldorp S. Aspirin or heparin or both for improving pregnancy outcomes in women with persistent antiphospholipid antibodies and recurrent pregnancy loss. Cochrane Database Syst Rev. 2020;5:CD012852. [DOI 10.1002/14651858.CD012852.pub2]
  • [10] 厚生労働科学研究班. 厚労研究班の研究成果を基にした不育症管理に関する提言(患者様用). [上尾市ウェブサイト掲載版 PDF]
  • [11] 持田製薬株式会社. ヘパリンカルシウム皮下注5千単位/0.2mLシリンジ「モチダ」電子添文. 2024年7月改訂(第3版). [PMDA]
  • [12] Garcia DA, Baglin TP, Weitz JI, Samama MM. Parenteral anticoagulants: Antithrombotic Therapy and Prevention of Thrombosis, 9th ed: American College of Chest Physicians Evidence-Based Clinical Practice Guidelines. Chest. 2012;141(2 Suppl):e24S-e43S.
  • [13] Beta J, Zhang W, Geris S, Kostiv V, Akolekar R. Procedure-related risk of miscarriage following chorionic villus sampling and amniocentesis. Ultrasound Obstet Gynecol. 2019;54(4):452-457. [DOI 10.1002/uog.20293]
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※本記事は一般の方に向けた情報提供を目的とするもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。ヘパリンの使い方や休薬については、処方している主治医にご相談ください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

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