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13トリソミー(パトウ症候群)とは?症状・顔貌・寿命・確率・NIPT|東京・ミネルバクリニック

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

13トリソミー(パトウ症候群)とは、13番染色体が通常の2本ではなく3本あることで起こる生まれつきの染色体の病気です。脳・顔・心臓・手足などに変化を伴うことが多く、生まれたお子さんのうち1歳を迎えられるのは、海外の大規模な調査で約1〜2割と報告されています[3][4][5]。一方で、10年以上生きているお子さん、19歳まで生きた報告もあり、近年は心臓手術などの治療で生存が変わってきています[4][7]。この記事では、寿命と最高寿命、顔貌(顔つき)、原因と再発率、お母さんの体への影響、18トリソミー・ダウン症候群との違い、そして妊娠中にNIPT(新型出生前診断)などで調べる方法までを、臨床遺伝専門医が順に解説します。

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. 13トリソミー(パトウ症候群)とは?

13番染色体が3本ある染色体の病気で、生まれる赤ちゃんの約1万〜2万人に1人にみられます。脳が左右に分かれにくい全前脳胞症、心臓の病気、口唇口蓋裂、多指症などを伴うことが多く、生まれたお子さんで1歳を迎えられるのは約1〜2割です。

⏳ Q. 寿命は?最高寿命・最高齢はどのくらい?

米国の693人の調査では、生存期間の中央値は5日、1歳は11.5%、5歳は9.7%でした。一方、カナダや欧州の調査では10年後も約1割が生きており、19歳まで生きた報告や、日本では35歳まで生きた方の記録もあります。心臓手術などの治療で生存が延びることも分かってきています。

👶 Q. 顔貌(顔つき)の特徴は?

眼が小さい・眼と眼の間が近い、口唇口蓋裂、小さな頭などがみられます。顔の真ん中の変化の多くは、脳が左右に分かれにくい全前脳胞症と結びついて現れ、最も重い場合は単眼症になります。

🔬 Q. NIPTで13トリソミー以外に、自閉症や発達障害の原因もわかりますか?

一部はわかります。当院のNIPTは、すべてのプランで13トリソミーを調べ、プランによって、自閉症・発達障害・知的障害の原因になる微小欠失や単一遺伝子の変化の一部まで調べられます。陽性なら確定検査で確かめ、確定検査も院内で受けられます。

\ 13トリソミーのほかにも、調べておいたほうがよい病気はありますか? /

当院のNIPTは、すべてのプランで13・18・21トリソミーを調べ、プランによって微小欠失や単一遺伝子の病気まで範囲を広げられます。どこまで調べるかは、90分の受診枠の中で臨床遺伝専門医と一緒に決められます。

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まだプランを決めていない方は:NIPTの費用・料金 | NIPTの施設選びのポイント

13トリソミー(パトウ症候群)とは?

13トリソミー(パトウ症候群)とは、体の細胞の13番染色体が3本ある状態で、脳・顔・心臓・手足など全身の形づくりに影響が出る先天性の病気です。1960年にパトウ博士らが初めて報告したことから「パトウ症候群(Patau syndrome)」と呼ばれ、「パトー症候群」と書かれることもあります[1]。英語ではTrisomy 13と書きます。

ヒトの細胞には通常、23対46本の染色体があります。13トリソミーでは13番染色体が1本多い47本になり、13番染色体の上にある遺伝子の数(コピー数)が通常の1.5倍になり、多くの遺伝子で働く量のバランスが変わります。このバランスのずれが、胎児期の脳や顔の真ん中、心臓などが形づくられる時期に影響します。

💡 用語解説:トリソミーとは

2本1組のはずの染色体が3本ある状態を「トリソミー」といいます(「トリ」は「3」の意味)。生まれてくる赤ちゃんでみられる代表的なものが、21トリソミー(ダウン症候群)・18トリソミー(エドワーズ症候群)・13トリソミーです。トリソミー全般の種類や、ほかの番号の染色体についてはトリソミーとは?種類・モノソミーとの違いで解説しています。

何人に1人?頻度と、妊娠中に流産する割合

13トリソミーは、生まれてくる赤ちゃんの約1万〜2万人に1人とされています[2]。出生前診断で妊娠を続けない選択をした場合を含めずに数えると約5,000〜1万2,000人に1人で、21トリソミー、18トリソミーに次いで多い染色体の数の病気です[6]。ただしこれは「生まれた時点」で数えた頻度です。13トリソミーの妊娠は、95%を超える割合で妊娠中に流産・死産になると報告されており[2]、妊娠の初めのころには、出生時より多くの赤ちゃんに13トリソミーが起きていることになります。ただし、これは妊娠のごく初期から全体を見た数字で、妊娠中期に13トリソミーと分かった方が、これから流産する確率を示すものではありません。

「13トリソミーで流産する確率は?」という疑問はとても多く検索されていますが、この数字が示すとおり、13トリソミーの妊娠の大半は妊娠を続けることが難しいのが現実です。そのため、妊娠初期に検査で見つかる頻度と、生まれてから数えた頻度は同じではありません。どちらの時点の数字なのかを意識して読むことが大切です。

13トリソミーの寿命と最高寿命

【結論】

13トリソミーの寿命は厳しく、米国の調査では生存期間の中央値が5日、1歳まで生きたのは11.5%でした[3]。一方で、カナダや欧州の調査では10年後も約1割が生きており[4][5]、19歳まで生きた報告や成人した報告もあります[7][9]。

寿命の数字を知ることは、ご家族にとってとてもつらいことです。それでも、数字の意味を正しく知ったうえで、赤ちゃんとの時間をどう過ごすか、どんな治療を選ぶかを考えることが大切だと考えています。ここでは、国や時代の違う複数の調査を並べて紹介します。

生存率のデータ(米国・カナダ・欧州)

📊 13トリソミーで生まれたお子さんの生存率

調査 1か月(4週) 1歳 5歳 10歳
米国9州・693人(1999〜2007年生まれ)[3] 25.5% 11.5% 9.7% ―
カナダ・オンタリオ州・174人[4] ― 19.8% ― 12.9%
欧州9か国・252人(1995〜2014年生まれ)[5] 34% 17% ― 11%

「―」はその調査で報告されていない項目です。米国の調査の生存期間の中央値は5日、カナダの調査では12.5日でした[3][4]。欧州の調査では、生後4週まで生きたお子さんに限ると、10年後に生きていた割合は32%でした[5]。

数字だけを見ると厳しい病気であることは変わりません。ただ、表からわかるのは、最初の数週間を乗り越えたお子さんは、その後も長く生きる割合が高くなるということです。欧州の調査で、生後4週を迎えたお子さんの約3人に1人が10年後も生きていたのは、そのことを示しています[5]。

最高寿命・最高齢はどのくらい?大人まで生きることはある?

「13トリソミーの最高寿命は?」「最高齢は何歳?」という疑問に、文献からお答えします。米国の報告では、長く生きた13トリソミーの21人をまとめた中に、11歳と19歳まで生きた2人が含まれていました[7]。ドイツからは、すべての細胞で13番染色体が3本ある型(標準型)の女の子が11歳まで生きた報告があり、脳と心臓に重い形の異常がなかったことが長く生きられた理由と考えられています[8]。さらに、成人まで生きた13トリソミーの方の報告もあります[9]。

日本の人口動態統計では、13トリソミーを主な死因として2009〜2021年に亡くなった方のうち、最も長く生きた方は35.4年(女性)、男性では22.2年でした。1996〜2008年に亡くなった方の中では最長が19.0年でした[6]。これは「亡くなった方」の記録から見た数字で、今も生きている方はこの数には入っていません。また、この統計では13トリソミーの型(すべての細胞が3本の標準型か、モザイク型か)が分からないため、35.4年生きた方がどの型だったのかは分かっていません[6]。モザイク型は症状に幅があるため、長く生きた方の数字を読むときは、この点も頭に置いておく必要があります。

ただし、こうした例はまれです。10年以上生きるお子さんは全体の1割前後で[4][5]、長く生きた場合も、重い知的障害が残り、日常的な医療的ケアが必要になることがほとんどです。

治療で生存は変わってきている(日本・海外のデータ)

かつて13トリソミーは「生命予後がきわめて厳しい」として、心臓手術などの積極的な治療が控えられることが多い病気でした。今は、その考え方が変わりつつあります。

  • ➤日本:1995〜2021年に13トリソミーを主な死因として亡くなった1,164人の人口動態統計を調べた研究では、生存期間の中央値は、1996〜2008年に亡くなった方の40日から、2009〜2021年に亡くなった方では84日に延びました。手術を受けたことのある方の割合も16.0%から28.0%に増え、手術を受けた方の生存期間の中央値は91日から179日に延びています。亡くなった方のうち1歳を過ぎてから亡くなった方の割合も8.1%から21.7%に増え、2017〜2021年に亡くなった方では、約3人に1人が1歳を過ぎてから亡くなっていました[6]。これは亡くなった方の年齢の内訳で、生まれた赤ちゃんの1歳生存率とは違う数字です。著者らは、手術の増加が生存の改善に関わった可能性を指摘しています。
  • ➤カナダ:13トリソミーのお子さん174人のうち41人(23.6%)が何らかの手術を受け、最初の手術のあと1年生きていた割合は70.7%でした[4]。
  • ➤米国小児科学会(2025年):13トリソミー・18トリソミーのお子さんにも、命に限りのあるほかの病気の子どもと同じ配慮を行い、看取りの医療から治療まですべての選択肢をご家族に示すよう求める指針を出しました[16]。

一方で、心臓手術には大きな負担もあります。米国の心臓手術のデータベース(2010〜2017年)では、13トリソミーのお子さんの心臓手術73件のうち、入院中に亡くなったのは8件(11%)、何らかの合併症が起きたのは57.5%でした。とくに、手術の前から人工呼吸器を使っていたことが死亡と強く関わっており、亡くなった8人のうち5人、退院できた65人のうち11人が手術前に人工呼吸器を使っていました[21]。この論文の考察で引用されている、それ以前の多施設の報告(Petersonら、2017年)では、13トリソミーの心臓手術後の院内死亡は約28%でした[21]。対象の病院や時期が違うため単純には比べられませんが、手術後に亡くなる割合は以前より下がってきている可能性があります。手術を考えるときには、こうした条件も含めて、効果と負担を医療チームと話し合うことが大切です。

日本の研究は死亡届の記録をもとにしているため、今も生きている方は数に入っておらず、13トリソミーの型(標準型・モザイク型など)も分かっていません。また、生後24時間以内に亡くなった方の割合も13.5%から16.2%へと増えており[6]、すべての赤ちゃんの見通しが良くなったわけではありません。さらに、手術を受けたお子さんは、もともと手術を受けられる状態だったお子さんでもあります。「手術をすれば誰でも長く生きられる」という意味ではありません。どこまで治療するかは、赤ちゃん一人ひとりの状態を見ながら、小児科を中心とした医療チームとご家族で話し合って決めていくことになります。

単眼症・全前脳胞症を伴う場合の寿命

「単眼症 寿命」「全前脳胞症 余命」もよく一緒に調べられています。全前脳胞症の寿命は、脳がどれくらい左右に分かれているかで大きく変わります。左右の眼が1つにまとまる単眼症を伴う最も重い型では、生後まもなく亡くなることがほとんどです。長く生きた13トリソミーのお子さんの報告では、脳の重い形の異常がなかったことが共通して挙げられており[8]、脳の状態が寿命を左右する大きな要素であることがわかります。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「1歳まで1割」という数字の読み方】

13トリソミーを調べると、「生後1週間」「1年生存率1割」といった数字が次々に目に入ります。これらは多くのお子さんをまとめた数字で、すべての細胞が3本の型かモザイク型か、全前脳胞症があるか、心臓の状態はどうか、といった条件で見通しは大きく変わります。

もう一つ知っておいていただきたいのは、昔の数字には「治療をしなかった」時代の結果が含まれているということです。治療が控えられていれば、生存率が低く出るのは当然です。臨床遺伝専門医としては、統計を「その子の未来」と読み替えず、目の前の赤ちゃんの状態を確かめることから始めるのが大切だと考えています。

13トリソミーの症状と顔貌(顔つき)の特徴

【結論】

13トリソミーの症状の中心は、脳が左右に分かれにくい「全前脳胞症」です。これに伴う顔の真ん中の変化(眼と眼の間が近い、眼が小さい、口唇口蓋裂など)が顔貌の特徴になります。ほかに心臓の病気、多指症、頭皮の一部の欠損などがよくみられます。

13トリソミーの症状は、受精後のごく早い時期に、脳と顔の真ん中が形づくられる段階から始まります。脳と顔の中心部分は同じ時期に、互いに影響し合いながらできあがるため、脳の分かれ方が不十分なほど、顔の真ん中の変化も強くなるのが13トリソミーの特徴です。すべての症状が全員に出るわけではなく、程度にも幅があります。

顔貌(がんぼう)・顔つきの特徴

部位 みられることがある特徴
頭 小頭症(頭が小さい)、頭のてっぺんの皮膚の一部が欠けている(頭皮欠損)
眼 眼が小さい(小眼球症)、眼と眼の間が近い、虹彩や網膜の一部の欠け(コロボーマ)、最も重い場合は単眼症
鼻・口 口唇口蓋裂、鼻が低い・形がつくられない、重い場合は鼻が筒状になる(象鼻)
耳 耳の位置が低い、耳の形の変化、難聴

全身の症状と、みられる頻度

米国国立医学図書館の医学教科書(StatPearls)では、13トリソミーで全前脳胞症が74%、口唇口蓋裂が45%、先天性の心臓の病気が57〜80%、小指側の多指症が63〜67%にみられるとされています[2]。また、在胎週数のわりに小さく、出生体重が低く生まれることが多いとされています[2]。

部位 主な症状
🧠 脳・神経 全前脳胞症、小頭症、重い知的障害・発達の遅れ、けいれん発作、呼吸が止まる発作(無呼吸)
❤️ 心臓 心室中隔欠損、心房中隔欠損、動脈管開存など
✋ 手足 多指症(指が6本以上)、指が重なった握りこぶし、揺り椅子状足底(かかとが突き出て足の裏が丸く張り出す)
その他 臍帯ヘルニア、腎臓・尿路の異常、男の子では停留精巣など

単眼症とパトウ症候群の関係

「単眼症 パトウ症候群」は、とても多く調べられている言葉です。単眼症は全前脳胞症の中でも最も重い型に伴う顔の変化で、13トリソミーは全前脳胞症の原因として代表的な染色体の病気です。ただし、単眼症の原因はパトウ症候群だけではなく、染色体以外の遺伝子の変化で起こることもあります。全前脳胞症の型や原因は全前脳胞症の症状・原因・顔についてで詳しく解説しています。

妊娠中の超音波検査(エコー)では、全前脳胞症、心臓の形、多指症、首の後ろのむくみ(NT)、発育の遅れなどがきっかけで13トリソミーが疑われることがあります。妊娠週数ごとにどの所見が見えるかは、13トリソミーはエコーでいつわかる?妊娠週数別の特徴一覧で解説しています。

13トリソミーの原因と3つのタイプ

【結論】

13トリソミーの多くは、卵子や精子ができるときに染色体がうまく分かれない「染色体不分離」で偶然に起こります。妊娠中の生活や行動が原因になることはなく、お母さんのせいではありません。

「13トリソミーの原因は母親ですか?」という質問はとても多く寄せられます。卵子や精子がつくられるときには、対になった染色体が1本ずつに分かれます。このとき分かれ損ねると、13番染色体を2本持った卵子や精子ができ、受精して3本になります。これが染色体不分離です。不分離は母体の年齢とともに起こりやすくなりますが、若い方にも起こり、誰かの行動や選択の結果ではありません。

標準型・転座型・モザイク型の違い

13トリソミーには、成り立ちの違う型があります。すべての細胞で13番染色体が3本ある標準型が約8割を占め、モザイク型は約5%です[2]。どの型かで、お子さんの見通しも、次の妊娠での再発の考え方も変わります。

タイプ 成り立ち 次の妊娠への影響
標準型(約8割) 卵子・精子ができるときの染色体不分離。すべての細胞で13番が3本 偶然に起こるもので、親の染色体は通常正常
転座型 13番染色体がほかの染色体(多くは14番)とつながっている。新しく起こる場合と、親から受け継ぐ場合がある 親が均衡型転座の保因者だと、再発しやすくなることがある
モザイク型(約5%) 受精後の細胞分裂のずれ。3本の細胞と2本の細胞が混ざる 症状の程度に大きな幅がある
部分トリソミー(まれ) 13番染色体の一部だけが多い 多い部分の範囲で症状が変わる

💡 用語解説:ロバートソン転座と均衡型保因者

ロバートソン転座は、13番・14番・15番・21番・22番のような染色体どうしが端でつながって1本になった状態です。染色体の量が変わらない「均衡型」の保因者は、ご本人には症状がありません。ただ、卵子や精子をつくるときにバランスが崩れ、13番が3本分になった受精卵ができることがあります。

13番染色体の一部だけが多い部分トリソミーや、13番の一部が欠ける変化については、13番染色体異常の総論でまとめています。

次の妊娠での再発率は?

【結論】

再発の考え方は型で変わります。13トリソミー・18トリソミーの妊娠を経験した女性を対象にした研究では、次の妊娠で同じトリソミーが起こる確率は、同じ年齢の女性の約3.8倍と報告されています[10]。この倍率は型を分けずに出した数字で、一人ひとりの妊娠にそのまま当てはまるものではありません。親が均衡型転座の保因者なら、さらに個別の評価が必要です。

「13トリソミーは遺伝しますか?」という問いには、「多くは遺伝ではないが、再発の確率はゼロではない」とお答えしています。オーストラリアの研究では、13トリソミーか18トリソミーの妊娠を経験した女性が次の妊娠で同じトリソミーになる確率は、同じ年齢の女性の約3.8倍で、前回の妊娠が35歳未満だった女性では約7.8倍と、若い方ほど高い傾向でした[10]。年齢による確率がもともと低い若い方では、倍率が大きく出やすいことも、この数字の読み方として大切です。

親が均衡型ロバートソン転座の保因者である場合は、転座している染色体の組み合わせや、保因者が父親か母親かで再発の確率が変わります。とくに13番どうしがつながった転座(13;13)を親が持っている場合は、卵子または精子の13番がすべてバランスを欠くため、自然妊娠で13番が正常な受精卵ができない、という特別な状況になります。どちらの場合も、お子さんの染色体の型と、必要に応じてご両親の染色体検査(核型検査)の結果をあわせて、遺伝カウンセリングで具体的に評価します。

PGT-SR(着床前の染色体構造異常の検査)という選択肢

ご両親のどちらかが均衡型転座の保因者の場合、体外受精でできた胚の染色体を調べて移植する胚を選ぶ「PGT-SR(着床前胚染色体構造異常検査)」が選択肢になることがあります。PGT-SRは体外受精を行う施設で受ける検査で、適応には基準があります。当院では体外受精・着床前検査は行っていませんが、次の妊娠を考えるときに、どのような選択肢があるのかを遺伝カウンセリングで説明しています。

お母さんの体への影響:妊娠高血圧腎症に注意

【結論】

13トリソミーの妊娠では、お母さんが妊娠高血圧症候群(妊娠高血圧腎症など)になりやすいことが知られています。米国の大規模な調査では、13トリソミーの妊娠の26.8%に妊娠高血圧の病気がみられました(ほかの妊娠では6%)[11]。

13トリソミーの話題は赤ちゃんのことに目が向きがちですが、妊娠を続ける場合には、お母さん自身の血圧の管理も大切になります。米国カリフォルニア州の約200万件の出産を調べた研究では、出生前に13トリソミーと診断された142人で、次のように妊娠高血圧の病気が多くみられました[11]。

妊娠高血圧の病気 13トリソミーの妊娠 それ以外の妊娠
妊娠高血圧の病気のいずれか 26.8% 6%
妊娠高血圧腎症(重症でないもの) 12% 2.2%
重症の妊娠高血圧腎症 8.5% 0.9%

年齢などの影響を調整しても、妊娠高血圧の病気は約6.3倍、重症の妊娠高血圧腎症は約12.5倍起こりやすいという結果でした[11]。妊娠高血圧症候群そのものについては妊娠高血圧症候群とはをご覧ください。

なぜ起こる?胎盤と13番染色体の遺伝子

13トリソミーの妊娠では、胎盤が小さい、血管が少ないなど、胎盤そのものに変化があることが多いと報告されています[12]。さらに13番染色体には、妊娠高血圧腎症に関わるタンパク質「sFlt-1(可溶性Flt-1)」のもとになるFLT1遺伝子があり、13番が3本あることでこのタンパク質が増えることが、原因の候補として考えられています[12]。sFlt-1は、胎盤やお母さんの血管を育てる因子の働きを弱めるため、血管の内側が傷み、高血圧や尿たんぱくにつながると考えられています。

① 13番染色体が3本FLT1遺伝子も3本分
▶
② 胎盤でsFlt-1が増える原因の候補と考えられている
▶
③ 血管を育てる働きが弱まるお母さんの血管が傷む
▶
④ 妊娠高血圧腎症高血圧・尿たんぱく

💡 用語解説:FLT1(エフエルティーワン)とsFlt-1

FLT1は、血管をつくるための信号を受け取るタンパク質の設計図となる遺伝子で、13番染色体の上にあります。sFlt-1は、FLT1遺伝子から読み取られる情報の一部が切り替わること(選択的スプライシング)などでつくられる、血液中に溶けた形の受容体です。VEGFやPlGFといった血管を育てる因子にくっついて、その働きを妨げます。妊娠高血圧腎症の人では、血液中のsFlt-1が増えていることが知られています。

妊娠を続ける場合は、出産まで血圧や尿の検査を定期的に受け、頭痛・むくみ・目のちらつきなどがあれば早めに主治医に伝えることが大切です。

13トリソミーと18トリソミー・ダウン症候群の違い

13トリソミー・18トリソミー・ダウン症候群(21トリソミー)は、どれも染色体が1本多い病気ですが、多い染色体の番号と、症状・見通しが違います。13トリソミーと18トリソミーは命の見通しが厳しい点が似ていますが、症状の中心が違い、ダウン症候群は医療の進歩で多くの方が成人して暮らしています。

🔍 13トリソミー・18トリソミー・ダウン症候群の違い

比べるところ 13トリソミー(パトウ症候群) 18トリソミー(エドワーズ症候群) ダウン症候群(21トリソミー)
多い染色体 13番 18番 21番
目立つ特徴 全前脳胞症と顔の真ん中の変化、口唇口蓋裂、多指症、頭皮欠損 胎児期からの発育の遅れ、指が重なった握りこぶし、心臓の病気 特徴的な顔立ち、筋肉の張りが弱い、心臓の病気を伴うことがある
1歳まで生きる割合(米国の調査) 11.5% 13.4% ―
寿命の見通し 中央値は数日〜数週。10年以上生きる子は約1割 中央値は数日〜数週 平均寿命は50〜60歳まで延びている

1歳まで生きる割合はMeyerらの米国9州の調査[3]、ダウン症候群の平均寿命は[19][20]、13トリソミーの10年生存は[4][5]によります。

見分けるポイントは、全前脳胞症・多指症・口唇口蓋裂・頭皮欠損は13トリソミーに多いという点です。18トリソミーについては18トリソミー(エドワーズ症候群)とは、ダウン症候群についてはダウン症候群(21トリソミー)とはで詳しく解説しています。確定には、いずれも染色体を直接調べる検査が必要です。診断の際には、18トリソミーのほか、13番染色体の一部だけの重複や、染色体は正常なのに13トリソミーに似た特徴(全前脳胞症と多指症など)を示す「偽13トリソミー」も区別すべき病気として挙げられています[2]。

妊娠中に13トリソミーを調べる方法:NIPTと確定検査

【結論】

13トリソミーは、お母さんの採血で調べるNIPTで可能性を調べられます。NIPTは「確定」ではないスクリーニング検査なので、陽性なら羊水検査・絨毛検査で確かめます。当院では、確定検査まで院内で受けられます。

NIPT(新型出生前診断)は、お母さんの血液に含まれる赤ちゃん側(主に胎盤)のDNAのかけらを調べる検査です。研究をまとめた解析では、単胎妊娠で13トリソミーの99.0%を見つけ、偽陽性率は0.04%と報告されています[13]。

13トリソミーはNIPTの陽性的中率が低めです

一方で、NIPTで陽性と出たときに本当に13トリソミーである割合(陽性的中率)は、21・18トリソミーより低くなります。オーストラリアで7万6千人あまりの妊婦さんを調べた研究では、陽性的中率は21トリソミーが93.3%、18トリソミーが81.0%、13トリソミーが55.3%でした[14]。13トリソミーはもともとまれなうえ、胎盤だけに13トリソミーの細胞がある「限局性胎盤モザイク」が起こりやすく、NIPTは主に胎盤のDNAを見ているため、赤ちゃん本人は2本なのに陽性になることがあるためです。同じ研究では、データから胎盤だけの変化らしいかどうかを見分けると、陽性の確からしさがはっきり変わることも示されています[14]。数字の詳しい見方はNIPTの精度(陽性的中率)で解説しています。

だからこそ、NIPTで陽性なら、確定検査で赤ちゃんの染色体を確かめてから考えることが大切です。当院では、確定検査(絨毛検査・羊水検査)まで院内で受けられます。ただし、絨毛検査は胎盤の細胞を調べるため、胎盤だけに13トリソミーの細胞がある可能性があるときなどは、赤ちゃんの染色体を確かめるために羊水検査が追加で必要になることがあります。13トリソミー陽性のときの確定検査の選び方は、NIPTでトリソミー13陽性の場合の確定検査の重要性で詳しく解説しています。

当院で13トリソミーを調べるときの体制

🏥 ミネルバクリニックのNIPTと13トリソミー

項目 内容
13トリソミー すべてのプラン(スタンダード・プレミアム・ダイヤモンド・双子マックス・インペリアル)で調べます
受けられる時期 妊娠9週から。妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます
結果までの目安 基本は10〜14日。インペリアルプランの単一遺伝子の結果だけは3〜4週間(ダイヤモンドプランは単一遺伝子も10〜14日)
医師 90分の受診枠の中で、常駐する臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行います
陽性のとき 陽性後の遺伝カウンセリングは何度でも無料。確定検査(絨毛検査は妊娠11〜13週、羊水検査は妊娠15週以降)も院内で受けられ、主要な検査項目は3日以内、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます
費用の備え NIPTを受ける方は全員、羊水検査互助会(カトレア会)(1回8,000円)と安心検査結果保障制度(1回6,000円)に加入します。カトレア会は陽性時の確定検査の費用を補助します(補助の上限なし)

料金はNIPTの費用・料金のページでご確認ください。来院が難しい方は、Zoomでのカウンセリングと全国110か所の提携施設での採血を組み合わせたオンラインNIPTもご利用いただけます。

13トリソミー以外に、NIPTで調べられること(自閉症・発達障害の原因の一部)

当院のNIPTは、13・18・21トリソミーに加えて、プランによって染色体のごく一部が欠ける微小欠失症候群や、1つの遺伝子の変化で起こる単一遺伝子疾患まで調べられます。これらの中には、自閉症・発達障害・知的障害を伴うことがある病気が含まれます。子育ての大変さは知的発達の重さだけでは決まらず、自閉スペクトラム症のお子さんの親は、ほかの障害のお子さんの親より子育てのストレスが高いことがメタ解析で示されています[17]。また、微小欠失の中で最も多い22q11.2欠失症候群では、6〜12歳の子どもの37%にADHDが、25歳を超える成人の41%に統合失調症などの精神病性の障害がみられました[18]。22q11.2欠失症候群はスタンダードプランから調べられます(22q11.2欠失症候群とNIPT)。

プラン 微小欠失・重複 単一遺伝子 自閉症・発達障害・知的障害を伴うことがある主な病気
スタンダード 6種類7疾患 ― 22q11.2欠失症候群、プラダー・ウィリー症候群、アンジェルマン症候群
プレミアム 12種類13疾患 ― スタンダードの病気に加え、ジェイコブセン症候群など
ダイヤモンド 12種類13疾患 de novo変異 56遺伝子 上の病気に加え、レット症候群、コルネリア・デ・ランゲ症候群、CHARGE症候群
双子マックス 92種類+5Mbを超える構造異常 ― ウィリアムズ症候群、16p11.2欠失・重複など
インペリアル 92種類+5Mbを超える構造異常 最大155遺伝子(202疾患) 上の病気に加え、ピット・ホプキンス症候群、フェラン・マクダーミッド症候群など

ダイヤモンドプランは、米国の3大遺伝子検査会社の一角が提供する新技術「COATE法」(SNP法とターゲット法の組み合わせ)※で検査します。

※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。

ただし、NIPTで調べられるのは自閉症・発達障害・知的障害の原因の「一部」です。陰性でもこれらがないとは言えず、微小欠失は数の異常より陽性的中率が低めなので、陽性なら確定検査で確かめます。詳しくは自閉症はNIPTでわかりますか?をご覧ください。

検査は「値段」ではなく「調べられる範囲」で選ぶ ― 1つの病気あたりで考えると

出生前検査は、その後の人生を左右するかもしれない検査です。三大トリソミーだけを調べる検査では、上の表にある微小欠失症候群や単一遺伝子疾患は調べられません。『安さ』だけで選んで大丈夫でしょうか。三大トリソミーだけを調べる検査を仮に10万円とすると、1つの病気あたりは約3万3千円です。当院のインペリアルプランは、全常染色体と性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、202の単一遺伝子疾患を調べます。性染色体の数の異常も含めて、数えられる病気だけで320になり、調べられる病気の数で割ると1つの病気あたりは約1,719円です。さらに、5Mbを超える欠失・重複はすべての染色体が対象なので、数えきれないほどの変化を調べていることになります。

プラン 主に調べる範囲 数えた病気の数 1つの病気あたり
三大トリソミーだけを調べる検査
(仮に10万円とした場合)
13・18・21トリソミー 3 約33,333円
スタンダード(220,000円) 13・18・21トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失6種類7疾患 14 約15,714円
プレミアム(264,000円) 13・18・21・15・16・22トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失12種類13疾患 23 約11,478円
ダイヤモンド(407,000円) プレミアムの範囲+単一遺伝子56 79 約5,152円
双子マックス(440,000円) 全常染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常 114+α 約3,860円
インペリアル(550,000円) 全常染色体の数の異常、性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常、単一遺伝子202疾患 320+α 約1,719円

※価格は事前学習動画を見て来院した場合の当日割引後の税込価格です。最新の料金は料金ページをご確認ください。※病気の数は、数の異常・微小欠失・重複・単一遺伝子疾患を1つずつ数えたものです。性染色体の数の異常は4種類(ターナー症候群・クラインフェルター症候群・トリプルX症候群・XYY症候群)として数えています(性染色体を調べるのはスタンダード・プレミアム・ダイヤモンド・インペリアル。双子マックスは調べません)。5Mbを超える構造異常は数に入れていないため、双子マックスとインペリアルは実際にはさらに多くの変化を調べています。※『三大トリソミーだけを調べる検査』は計算のための仮の例で、特定の施設の価格ではありません。

病気の数が多いほど良い検査、というわけではありません。調べる範囲が広がると、陽性になる可能性も、確定検査が必要になる場面も増えます。だからこそ、検査前の遺伝カウンセリングで、ご家族に合ったプランを選ぶことが大切です。

\ 陽性なら絨毛検査・羊水検査まで院内で /

13トリソミーはすべてのプランで調べます。陽性でも、確定検査(羊水検査・絨毛検査)まで院内で受けられ、主要項目は3日以内に結果が出ます。

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13トリソミーと診断されたら:ご家族の選択肢

【結論】

確定診断のあとの選択に「正解」はありません。妊娠を続けて赤ちゃんとの時間を大切にする道も、妊娠を続けない道もあり、どの選択も赤ちゃんを思う気持ちから出たものとして尊重されるべきだと考えています。

13トリソミーのお子さんを育てているご家族の声を調べた研究もあります。13・18トリソミーのお子さんの親の支援団体などを通じて332人の親に聞いた調査では、97%の親が「わが子は幸せそうだ」と答え、命の長さにかかわらず、お子さんが家族を豊かにしたと感じていました[15]。一方で、医療者から「生命と両立しない」と説明されたと答えた親が87%にのぼり、医療者の説明と家族の実感に隔たりがあったことも報告されています[15]。この調査は支援団体に参加しているご家族が中心で、すべてのご家族の思いを代表するものではない点にも注意が必要です。

妊娠を続ける場合 妊娠を続けないことを考える場合
NICU(新生児集中治療室)のある病院での出産を考える 母体保護法にもとづき、妊娠22週未満に、母体保護法指定医のいる医療機関で行われる
生まれてからどこまで治療するかを、出産前に医療チームと話し合う 期限があるため、確定検査の結果が出たら早めに主治医と相談する
看取りを中心にした周産期の緩和ケアという選び方もある 決めたあとも、心のケア(グリーフケア)を受けられる
お母さんの血圧など、体の管理を出産まで続ける 気持ちのつらさが続くときは、主治医や心療内科などに相談する

当院は分娩や人工妊娠中絶は行っていませんが、確定検査の結果の説明と、その後の選択肢についての遺伝カウンセリングを行っています。中絶の時期と法律については出生前診断のあとの中絶はいつまで?で解説しています。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「診断名」ではなく「その子」を見る】

13トリソミーは、かつて「生命と両立しない」という一言で語られ、ご家族に選択肢がほとんど示されない時代がありました。今は、治療をした子どもで生存が延びることが分かり、米国小児科学会も、診断名だけで方針を決めず、ご家族とともに選ぶことを求めています。

一方で、長く生きた場合にも、重い障害とともに医療的なケアが続くことがほとんどです。どこまで治療するか、どう看取るかは、医学的な事実と、ご家族の価値観の両方から考えるべきことだと考えています。臨床遺伝専門医の役割は、どちらかへ誘導することではなく、判断の材料となる事実を、正確に、偏りなくお伝えすることだと考えています。

🏥 13トリソミーを含めて、調べる範囲からNIPTを選ぶ

ミネルバクリニックでは、常駐する臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、13トリソミーはすべてのプランで調べます。陽性後の遺伝カウンセリングは何度でも無料で、絨毛検査・羊水検査も院内で受けられます(主要な検査項目は3日以内、マイクロアレイ検査は2週間ほど)。NIPT専用ダイヤル:03-3408-3768

まだ決めていない方は:NIPTの費用・料金 | ダイヤモンドプラン

よくある質問(FAQ)

Q1. 13トリソミーで流産する確率はどのくらいですか?

13トリソミーの妊娠は、95%を超える割合で妊娠中に流産・死産になると報告されています。そのため、生まれてくる赤ちゃんで数えた頻度(約1万〜2万人に1人)よりも、妊娠初期にはもっと多くの赤ちゃんに13トリソミーが起きていることになります。

Q2. 13トリソミーの最高寿命・最高齢はどのくらいですか?

長く生きた13トリソミーの21人をまとめた米国の報告に、11歳と19歳まで生きた2人が含まれていました。成人まで生きた報告もあり、日本の人口動態統計では、2009〜2021年に亡くなった方のうち最も長く生きた方は35.4年でした(この統計では13トリソミーの型は分かっていません)。カナダや欧州の調査では、10年後も約1割のお子さんが生きていました。

Q3. 13トリソミーの顔貌(顔つき)の特徴は何ですか?

眼が小さい・眼と眼の間が近い、口唇口蓋裂、小さな頭、耳の位置が低いなどがみられます。顔の真ん中の変化の多くは、脳が左右に分かれにくい全前脳胞症と結びついて現れ、最も重い場合は単眼症になります。すべての赤ちゃんに同じ特徴が出るわけではありません。

Q4. 13トリソミーの原因は母親ですか?

いいえ、母親のせいではありません。多くは卵子や精子ができるときに染色体がうまく分かれない、偶然の染色体不分離が原因です。母体の年齢とともに起こりやすくなりますが、妊娠中の生活や行動が原因になることはありません。

Q5. 13トリソミーは遺伝しますか?次の妊娠でも起こりますか?

多くは偶然に起こり、親から受け継ぐものではありません。ただ、オーストラリアの研究では、13トリソミーか18トリソミーの妊娠を経験した女性が次の妊娠で同じトリソミーになる確率は、同じ年齢の女性の約3.8倍でした(型を分けずに出した数字です)。親が均衡型のロバートソン転座の保因者である場合は再発の確率が変わるため、お子さんの染色体の型を確かめ、遺伝カウンセリングで個別に評価します。

Q6. 13トリソミーと18トリソミー・ダウン症候群の違いは何ですか?

多い染色体の番号が違います(13番・18番・21番)。13トリソミーは全前脳胞症と顔の真ん中の変化、口唇口蓋裂、多指症が目立ち、18トリソミーは胎児期からの発育の遅れや指が重なった握りこぶしが目立ちます。米国の調査で1歳まで生きた割合は13トリソミーが11.5%、18トリソミーが13.4%でした。ダウン症候群は平均寿命が50〜60歳まで延びています。

Q7. NIPTで13トリソミー陽性と言われました。確定ですか?

いいえ、NIPTは確定検査ではありません。オーストラリアの研究では、NIPTで13トリソミー陽性となった人のうち実際に13トリソミーだった割合は55.3%でした。胎盤だけに13トリソミーの細胞があることなどが理由で、必ず羊水検査や絨毛検査で確かめます。当院では確定検査まで院内で受けられます。

Q8. 13トリソミーのほかにも、調べておいたほうがよい病気はありますか?

出生前検査で調べられる病気は、13・18・21トリソミーだけではありません。当院のNIPTはすべてのプランで13トリソミーを調べ、プランによって、22q11.2欠失症候群などの微小欠失症候群や、単一遺伝子疾患まで範囲を広げられます。これらの中には自閉症・発達障害・知的障害を伴うことがある病気も含まれます。どこまで調べるかは、検査前の遺伝カウンセリングで一緒に考えます。

Q9. 13トリソミーの検査や治療は、ミネルバクリニックでできますか?

検査はできます。当院のNIPTはすべてのプランで13トリソミーを調べ、陽性なら絨毛検査・羊水検査の確定検査も院内で受けられます。臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングで、結果の説明や次の妊娠の再発の考え方もお伝えします。一方、生まれたお子さんの治療や手術、体外受精・着床前検査(PGT-SR)、分娩は当院では行っていません。治療は小児科を中心とした医療機関で行われます。

Q10. 13トリソミーと診断されても妊娠を続けることはできますか?

はい、できます。NICUのある病院での出産を考え、生まれてからどこまで治療するかを出産前に医療チームと話し合います。看取りを中心にした周産期の緩和ケアという選び方もあります。妊娠を続ける場合は、お母さんが妊娠高血圧腎症になりやすいため、出産まで血圧の管理を続けることが大切です。

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参考文献

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※本記事は一般の方に向けた情報提供を目的とするもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。検査や妊娠の方針については、主治医・専門医にご相談ください。

プロフィール
仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続け、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、検査結果の数値そのものだけでなく、「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、日本人として異文化の中で生活した経験があります。価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。この経験は現在の診療においても、「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、36週6日で一人を死産した経験があります。その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、家族の未来に関わる重要な意思決定です。年齢や統計だけで判断するのではなく、医学的根拠と心理的支援の両面から、ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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