目次
📍 クイックナビゲーション
「ダウン症の子は、将来どうなるのだろう」。妊娠中にこの言葉で検索する方の多くは、医学の説明よりも先に、学校・仕事・暮らしの見通しを知りたいと感じています。最初に数字でお答えします。日本ダウン症協会の2025年度の調査では、小学校に入学したダウン症のあるお子さんの約55%が特別支援学校、約38%が特別支援学級、約6%が通常学級に在籍していました[2]。学校を卒業した後は、就労継続支援B型と生活介護を利用する人が8割を超え、企業などに雇用されている人は約8人に1人です[1]。寿命は大きく延び、海外の追跡調査では平均寿命は約58.6歳と報告されています[4]。この記事では、教育・就労・暮らし・支援制度を公的資料と論文にもとづいて整理し、最後に出生前検査(NIPT)との向き合い方をまとめます。
Q. 検査を考える前に、ダウン症の「生活の現実」で何を知っておくべきですか?
A. 医学情報だけでなく、教育の選択肢・就労の受け皿・支援制度の入口を“先に”整理しておくことが大切です。
検索を続けるほど不安が増えるときは、まず「社会の全体像」を押さえると気持ちが整理されます。医学的な概要はダウン症候群(21トリソミー)の総論もあわせてご覧ください。
- ➤教育 → 小学校入学時は特別支援学校・特別支援学級が約9割。就学先は本人・保護者の意見を尊重して決める仕組みです
- ➤就労・暮らし → 一般就労だけでなく福祉的就労・生活介護があり、“受け皿を知る”ことが安心につながります
- ➤寿命 → 1980年代から大きく延び、海外の追跡調査では平均寿命約58.6歳と報告されています
- ➤支援制度 → 療育手帳・特別児童扶養手当(2026年度は1級で月58,450円)など、相談先の入口を押さえると家族の負担が変わります
- ➤合理的配慮 → 2024年4月の法改正で、民間事業者にも合理的配慮の提供が義務になりました
- ➤検査の位置づけ → NIPTはスクリーニング検査で、確定診断は羊水検査・絨毛検査です
⏱️ 30秒でわかる要約
🌱 Q. ダウン症の子は将来どうなる?
小学校入学時は特別支援学校が約55%、特別支援学級が約38%、通常学級が約6%(2025年度・47人の調査)。卒業後は就労継続支援B型・生活介護が8割超で、企業などへの雇用は約8人に1人です。寿命は延び、海外の調査で平均約58.6歳と報告されています。
🧬 Q. NIPTはダウン症候群だけで大丈夫?
ダウン症候群(21トリソミー)以外にも、22q11.2欠失症候群などの微小欠失や、単一遺伝子の病気のように、生まれる前に調べられる病気があります。どこまで調べるかは、検査前の遺伝カウンセリングで決めるのがおすすめです。
📋 Q. 使える支援は?
乳幼児期から療育手帳、20歳未満は特別児童扶養手当(2026年4月からは1級で月58,450円・2級で月38,930円、所得制限あり)の対象になりえます。最初の窓口は市区町村です。
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臨床遺伝専門医が常駐し、陽性なら確定検査(羊水検査・絨毛検査)まで院内で受けられます。
NIPTのプランを見る | オンラインNIPT
ダウン症とは:21番染色体が3本あることで起こる染色体疾患で、医学的には「21トリソミー」と呼ばれます。出生頻度は全体で約700人に1人です。身体や発達の特徴はダウン症の特徴と知能指数(IQ)で解説しています。
1. まず結論|日本の「支援・生活・教育」の全体像
📌 結論
日本には支援制度はありますが、地域差と“制度のつなぎ方”で体感が大きく変わります。教育は学年が上がるほど支援の形が変わりやすく、就労は一般就労だけでなく福祉的就労や生活支援が重要な受け皿になります。
検査を考えるとき、医学情報だけで判断しようとすると心が疲れます。生活の見通しが少しでも立つと、不安が整理されることがあります。
日本ダウン症協会と日本ダウン症学会が2020年にまとめた全国調査(回答1,581件)では、本人の約半数が調査時点で学校に通っている年代でした。過去10年に入院経験がある人は49.8%、通院して治療中の病気がある人は59.6%で、教育・福祉と並んで、医療とのつながりも長く続くことが分かります[1]。
次章から、教育→就労・暮らし→制度の順に「何が起きやすく、どこに相談すると良いか」を整理します。
📊 まず押さえる要点
「制度がある」のに苦しい理由
支援制度があることと、支援が“届く”ことは同じではありません。情報が分散していると、必要なときに必要な支援へつながりにくくなります。
| つまずきやすい点 | 具体的には |
|---|---|
| 情報の分散 | 医療・福祉・教育で窓口が分かれています。地域差があり、同じ制度でも運用が異なります。最初の入口を見つけることが壁になりがちです。 |
| 家族の負担 | 申請・手続き・相談のスケジュール調整、学校・療育・通院の同時進行。相談できる場所があるかで負担が変わります。 |
2. 教育の現実|小学校と高校で環境が変わりやすい
📌 結論
2025年度に小学校へ入学したダウン症のあるお子さんでは、特別支援学校が約55%、特別支援学級が約38%、通常学級が約6%でした[2]。在籍先は“能力”だけで決まるのではなく、支援体制や地域の制度設計で変わります。
この数字は、日本ダウン症協会が1993年度から毎年続けている「新1年生の就学に関するアンケート」の2025年度の結果です。保護者85人に依頼して47人が回答した調査なので、全国の割合をそのまま示すものではありませんが、小学校入学の時点で9割以上が特別支援学校か特別支援学級を選んでいることが分かります[2]。また、回答者の28%は、主に在籍する学級・学校とは別に、地域の学校や通常学級にも籍を置く「副籍」の仕組みを使っていました(名称は自治体によって異なります)。
教育の話は心が揺れます。「どこが正解か」と決めつけなくて大丈夫です。大切なのは、選択肢の枠組みを知り、必要な支援をつなぐことです。
就学先はどう決まる?
文部科学省は、障害のある子どもの就学先について、本人・保護者の意見を可能な限り尊重し、教育的ニーズと必要な支援について合意形成を行うことを原則としています。そのうえで、最終的には市町村の教育委員会が就学先を決めます[3]。学校見学や体験入学を経て面談を重ね、特別支援学校が対象になる場合は、都道府県の教育委員会から入学する年の1月31日までに通知が届く流れです[3]。
🔍 進学・在籍の見取り図
| 学びの場 | 特徴 | 押さえること |
|---|---|---|
| ① 通常学級 | 通級や支援員の有無で体感が変わります | 学年が上がるほど生活面の支援が重要になります |
| ② 特別支援学級 | 同じ学校内で支援を受けやすい枠組みです | 交流の運用は学校により異なります |
| ③ 特別支援学校 | 専門性の高い教育・生活支援が受けやすい環境です | 高等部の進路設計が、卒業後の支援につながりやすい場合があります |
| ④ “正解”より“合う” | 通学距離、家庭の余力、地域資源で変わります | 迷うほど、見学と相談が助けになります |
教育の選択肢を増やすポイント
選択肢を増やす鍵は、学校だけで抱えないことです。療育、放課後等デイサービス、相談支援などがつながると、学校の困りごとが軽くなることがあります。
| 場面 | 起こりやすい困りごと | 支援のヒント |
|---|---|---|
| 入学・進級 | 環境変化で不安定 | 見通しの共有、支援計画の作成 |
| 学習・生活 | 課題が積み上がる | できる形に分解、成功体験を増やす |
| 人間関係 | 誤解・孤立 | 支援員、相談窓口、クラス理解の工夫 |
| 進路 | 早めに分岐 | 見学・体験、福祉との連携 |
🩺 院長コラム【“教育の正解”より“家庭の安全”を優先していい】
学校選びで何より大切なのは、ご家庭が燃え尽きないことだと考えています。学校の選択は、お子さんの特性だけでなく、通学距離、仕事、きょうだい、地域の資源といった現実の条件で変わります。小学校入学時に9割以上が特別支援学校か特別支援学級を選んでいるという数字も、「通常学級に入れなかった」結果ではなく、それぞれの家庭が条件を見比べて選んだ結果として読むのがよいと考えています。
二択で悩むときほど、学校と療育と福祉を“つなぐ”ことで選択肢が増えることが少なくありません。副籍のように、二つの場を組み合わせる仕組みもあります。
3. 学校生活で起こりやすい課題|「困りごと」の見え方
📌 結論
困りごとは学習よりも生活面(時間、切り替え、コミュニケーション)で表れやすく、支援の設計で大きく改善します。本人の努力だけに頼ると、親子ともに苦しくなります。
同じ診断名でも必要な支援は一人ひとり違います。困りごとを具体化して環境を整えることが重要です。米国小児科学会の健康管理ガイドラインも、聴力・視力・甲状腺などの定期的なチェックを勧めており、「聞こえにくい」「見えにくい」「疲れやすい」といった体の要因が、学校での困りごとの背景にあることもあります[6]。
困りごとの典型パターン
| 場面 | 起こりやすいこと |
|---|---|
| 切り替え | 活動の切り替えに時間がかかりやすい |
| コミュニケーション | 理解と表現に差が出ることがある |
| 疲れやすさ | 体力や集中が続きにくいことがある |
| 支援の鍵 | 本人を変えるより、環境と伝え方を変える |
⚠️ 大切な視点
困りごとは「甘え」でも「しつけ不足」でもありません。支援の設計次第で生活は安定します。学校だけで抱えず、療育や福祉につなげることが負担軽減につながります。
家庭がつらくなるポイント
| ポイント | 起きやすいこと | 助けになること |
|---|---|---|
| 情報疲れ | 体験談が強すぎて、自分に当てはめてしまう | データと制度で整理すると落ち着きます |
| 相談の空白 | 誰に相談すればよいかわからない、学校・福祉・医療が分断されやすい | 最初の窓口を一つ決める |
| 家庭の時間 | 手続きや通所で時間が奪われやすい | 使える制度を早く知る |
4. 卒業後(就労・暮らし)の現実|“働ける?”の答え
📌 結論
学校を卒業したダウン症のある人では、就労継続支援B型と生活介護の利用が8割を超え、一般就労・障害者枠での雇用・特例子会社を合わせると9.7%、就労継続支援A型を加えると12.6%(約8人に1人)が雇用されて働いています[1]。「働けるかどうか」は二択ではなく、形が違っても、生活が安定し社会とつながれることが大切です。
就労の話は希望にもなりますが、現実もあります。中学卒業後は多くの人が特別支援学校の高等部に進み、高等部の早い時期から実習などで卒業後の準備が始まります。制度として受け皿を知ることが、検査前の不安整理にも役立ちます。
⚖️ 就労の受け皿
| 働き方 | 内容 |
|---|---|
| 一般就労・障害者雇用 | 企業などに雇用されて働く形。民間企業の障害者の法定雇用率は2024年4月に2.5%、2026年7月に2.7%へ引き上げられました[7] |
| 就労継続支援A型 | 事業所と雇用契約を結び、支援を受けながら働く形 |
| 就労継続支援B型 | 雇用契約を結ばず、自分のペースで作業する形 |
| 生活介護 | 日中活動として、介護や創作的活動・生産活動の機会を受ける形 |
卒業後の見通しは「早めに」作れます
| 時期 | 考えること | 動けること | ポイント |
|---|---|---|---|
| 小学生 | 支援の形 | 療育・放課後等デイサービスの検討 | 家庭の余力を守る |
| 中学生 | 進路の方向 | 見学・体験 | 選択肢の棚卸し |
| 高校(高等部) | 卒業後の受け皿 | 実習、福祉・就労支援へ接続 | 切れ目を作らない |
| 卒業後 | 安定した生活 | 就労・日中活動・生活支援 | 家族の長期計画 |
大人になってからの健康と寿命
「将来」を考えるとき、寿命を気にされる方も少なくありません。ダウン症のある人の寿命は、この数十年で大きく延びました。米国の死亡統計では、ダウン症のある人の死亡時の年齢の中央値は1983年の25歳から1997年には49歳に上がっています[5]。心臓の病気の手術や感染症の治療が進んだことが背景にあると考えられています。西オーストラリアで1,332人を追跡した研究では、平均寿命は58.6歳、4人に1人は62.9歳まで生きていたと報告されています[4]。
一方で、成人期以降は老化に伴う変化が早めに表れることが知られています。日本の全国調査では、成人の本人の11.4%について「認知症かもしれない」という回答がありました[1]。暮らしの見通しは、学校・仕事だけでなく、成人期・老年期の健康管理まで含めて考えることが大切です。寿命の延び方や死因、老化が早い理由はダウン症の老人がいないのはなぜ?寿命・死因・老化が早い理由で詳しく解説しています。
5. 支援制度の使い方|「どこに相談し、何を申請するか」
📌 結論
支援制度は、早めに入口を押さえるほど使いやすくなります。最初の相談先を決め、医療・福祉・教育をつなぐことで家族の負担が減ります。
制度は複雑に見えますが、考え方は「相談→評価→支援につなぐ」です。入口を一つ決めるだけで状況が動きます。前出の全国調査では、回答者の6割弱が2歳代までに療育手帳を取得していました[1]。
年齢別に入口を押さえる
| 時期 | 相談の入口 | 主な支援の方向 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 乳幼児期 | 市区町村の窓口 | 療育・発達支援、療育手帳 | 早期につなぐ |
| 就学前 | 就学相談 | 学校の選択・支援計画 | 見学・体験を重ねる |
| 学齢期 | 学校+福祉 | 通所・放課後等デイサービス・相談支援 | 切れ目を作らない |
| 思春期以降 | 進路相談 | 就労・日中活動 | 卒業後を先に見据える |
お金の支援:特別児童扶養手当
特別児童扶養手当は、20歳未満で精神または身体に障害のある子どもを家庭で育てている父母などに支給される手当です。2026年4月分からの月額は、1級が58,450円、2級が38,930円です。受け取る人の前年の所得による制限があり、申請先はお住まいの市区町村です[9]。手当額は毎年度見直されるため、最新の額は自治体の案内で確認してください。20歳以降は、障害の程度によって障害基礎年金の対象になるかを確認することになります。
⚠️ 重要
制度は申請しないと始まらないものが多く、タイミングを逃すと苦しくなります。困ったときに相談できる体制を、早めに作っておくことが大切です。
医療と生活をつなぐ視点
家庭がつらくなるのは「医療の説明は受けたのに、生活の相談先がわからない」状態です。検査前から、医療と生活をつなぐ情報を持っておくことが大切です。
| 相談先をつなぐヒント |
|---|
| ✓ 最初の窓口を決める(市区町村、相談支援、療育など) |
| ✓ 学校・福祉・医療の連携を「書面化」する |
| ✓ 家庭の休息を予定に入れる |
6. 法律と合理的配慮|2024年以降の変化
📌 結論
改正障害者差別解消法が2024年4月1日に施行され、民間事業者による合理的配慮の提供も法的義務になりました[8]。制度が進むことは追い風ですが、現場の運用には時間がかかることもあります。
合理的配慮は「特別扱い」ではなく、必要な人が学び、働き、暮らすための調整です。
合理的配慮とは
| 場面 | 配慮の例 |
|---|---|
| 学校 | 課題の提示方法、時間配分、支援員、環境調整など |
| 就労 | 業務の分解、指示の明確化、休憩、配置など |
制度が進んでも相談先は必要です
法律が変わっても、個別の困りごとは家庭ごとに違います。だからこそ、必要な調整を言語化し、支援へつなぐ相談先が重要になります。
7. 検査前に整理する視点|「知る」ことで選択が落ち着く
📌 結論
社会の現実を知ることは怖がるためではなく、後悔を減らすためです。知ったうえで選ぶほうが、あなたの選択が守られます。
出生前診断は人生に関わる選択です。誰かが決めるものではなく、ご家族が納得して決めるものです。検査で早く知ることは、出産する施設を選ぶ、生まれた後の医療や療育の窓口を先に調べておく、といった準備の時間を持つことにもつながります。
8. NIPTで備える|わかること・わからないこと・確定診断
📌 結論
NIPT(新型出生前診断)は採血で調べるスクリーニング検査です。陽性の場合は確定診断(羊水検査・絨毛検査)が必要です。
NIPTは、お母さんの血液に含まれる赤ちゃん(胎盤)由来のDNAの断片を調べる検査です。21トリソミーについては、複数の研究をまとめた解析で検出率99.7%、偽陽性率0.04%と報告されています[10]。ただし陽性は「可能性が高い」という意味で、診断の確定には羊水検査・絨毛検査が必要です。検査の価値は「結果を知る」だけではありません。結果が出た後に、出産施設や支援の準備を進められることが大切です。
🧾 NIPTの基本(当院の場合)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 検査時期 | 妊娠9週から(妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます) |
| 検査方法 | 採血のみ(検査による流産のリスクはありません) |
| 結果まで | 基本は10〜14日。インペリアルプランの単一遺伝子の結果だけは3〜4週間 |
| わかること | 対象の病気の「可能性」(調べる範囲はプランで異なります) |
| わからないこと | すべての病気や障害を否定する検査ではありません |
| 陽性のとき | 陽性のカウンセリングは何度でも無料。羊水検査・絨毛検査も院内で受けられ、主要な検査項目は3日以内、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます |
赤ちゃん由来のDNAの割合(胎児分画)が足りないと、結果が出ない「判定保留」になることがあります。当院では、検査会社ごとに正確性を保証できる値として、スタンダード・プレミアム・ダイヤモンドプランは3%、インペリアル・双子マックスプランは3.5%を基準にしています。胎児分画が低くなる理由は胎児分画が低いとどうなる?で、判定保留についてはNIPTの判定保留と当院の保留率で解説しています。
ダウン症候群だけで大丈夫? ― 「値段」ではなく「調べられる範囲」で選ぶ
出生前検査というとダウン症候群が注目されがちですが、生まれる前に調べられる病気はそれだけではありません。たとえば22q11.2欠失症候群は、心臓の病気や免疫の弱さに加え、25歳以上の成人の約4割に統合失調症などの精神病性障害がみられたと報告されています[11]。米国臨床遺伝・ゲノム学会(ACMG)は、22q11.2欠失症候群のNIPTをすべての妊婦さんに提供することを提案しています[12]。また、フェラン・マクダーミッド症候群やレット症候群のように、一部の自閉症・発達障害の原因になる遺伝子・染色体の変化も、当院のNIPTで調べられます(自閉症・発達障害のすべてが分かるわけではなく、陰性でもその心配がなくなるわけではありません)。
調べる範囲が広いプランは総額が上がりますが、1つの病気あたりで考えると見え方が変わります。
📊 1つの病気あたりで考える
| プラン | 料金 | 調べる病気の数 | 1つの病気あたり |
|---|---|---|---|
| 三大トリソミーだけを調べる検査(仮の例) | 100,000円 | 3(13・18・21トリソミー) | 約33,333円 |
| スタンダード | 220,000円 | 14(トリソミー3種+性染色体4種+微小欠失7疾患) | 約15,714円 |
| プレミアム | 264,000円 | 23(トリソミー6種+性染色体4種+微小欠失13疾患) | 約11,478円 |
| ダイヤモンド | 407,000円 | 79(プレミアムの23+単一遺伝子56) | 約5,152円 |
| 双子マックス | 440,000円 | 114+α(常染色体22種+微小欠失・重複92種) | 約3,860円 |
| インペリアル | 550,000円 | 320+α(常染色体22種+性染色体4種+微小欠失・重複92種+単一遺伝子202疾患) | 約1,719円 |
※三大トリソミーの行は計算のための仮の例で、特定の施設の価格ではありません。料金は事前学習動画を見て来院した場合の当日割引後・税込です。最新の料金はNIPTの料金ページでご確認ください。性染色体はターナー・クラインフェルター・トリプルX・XYYの4種類として数え、双子マックスは性染色体を調べないため含めていません。「+α」は5Mbを超える構造異常で、数には含めていません。
調べる範囲を広げるほど、陽性となって確定検査を考える場面も増えます。どこまで調べるかは「値段」ではなく、何を知りたいかで決めるものです。当院では、検査前の遺伝カウンセリングでご家族と一緒に整理しています。
🩺 院長コラム【“早く結果”より“正確さ”と“心の安全”】
出生前検査は、人生の分岐点になり得る検査です。だからこそ、結果を「早く出すこと」よりも、誤解を減らし、必要な方に必要な確定診断へ確実につなげることが大切だと考えています。陽性・判定保留など、結果が出た“その瞬間”から始まる時間を一人で抱え込まないように、医学的な説明だけでなく、気持ちが落ち着くまで何度でも整理し直せる体制が必要だと考えています。
NIPTはスクリーニング検査です。大切なのは「陽性=確定」でも「陰性=ゼロ」でもなく、次に何を確認すべきかを冷静に決めることです。この記事で教育や就労の数字をお示ししたのも、検査を受けるかどうか、結果をどう受け止めるかを、イメージではなく事実にもとづいて考えていただきたいからです。検査を受けるかどうかは、ご家族が納得して決めることです。医師の役割は方向を押し付けることではなく、理解できる形で情報を整え、どの選択でも後悔を減らすことだと考えています。
🏥 ダウン症候群だけで大丈夫? 調べる範囲から一緒に考えます
ミネルバクリニックは臨床遺伝専門医が常駐し、90分の受診枠の中で遺伝カウンセリングを行います。陽性のカウンセリングは何度でも無料で、確定検査(羊水検査・絨毛検査)まで院内で受けられます。
よくある質問(FAQ)
Q1. ダウン症の子は将来どうなりますか?
2025年度に小学校へ入学したダウン症のあるお子さんでは、特別支援学校が約55%、特別支援学級が約38%、通常学級が約6%でした(47人の調査)。学校を卒業した後は、就労継続支援B型と生活介護の利用が8割を超え、企業などに雇用されて働く人は約8人に1人です。寿命は延びており、海外の追跡調査では平均寿命58.6歳と報告されています。
Q2. NIPTはダウン症候群だけで大丈夫ですか?
ダウン症候群以外にも、22q11.2欠失症候群などの微小欠失や、一部の自閉症・発達障害の原因になる単一遺伝子の病気など、生まれる前に調べられる病気があります。調べる範囲を広げるほど陽性になる機会も増えるため、どこまで調べるかは検査前の遺伝カウンセリングで決めるのがおすすめです。
Q3. ダウン症の子が特別支援学校に行く割合は?
日本ダウン症協会の2025年度の調査では、小学校入学時に特別支援学校に在籍した子は約55%でした。特別支援学級(約38%)と合わせると9割を超えます。回答は47人と少ないため全国の割合そのものではありませんが、目安になります。中学卒業後は多くの人が特別支援学校の高等部に進みます。
Q4. ダウン症の人は将来働けますか?
「一般就労だけ」が答えではありません。日本の全国調査では、学校卒業後に一般就労・障害者枠での雇用・特例子会社で働く人が9.7%、就労継続支援A型を含めると12.6%でした。就労継続支援B型や生活介護を利用する人が8割を超え、本人の特性と支援の接続で、安定した暮らしの形が作れます。
Q5. ダウン症の寿命は何歳くらいですか?
西オーストラリアで1,332人を追跡した研究では、平均寿命は58.6歳で、4人に1人は62.9歳まで生きていました。米国では死亡時の年齢の中央値が1983年の25歳から1997年の49歳へと大きく延びています。成人期以降は老化に伴う変化が早めに表れることがあるため、健康管理を続けることが大切です。
Q6. ダウン症の子が使える手当や支援制度は?
乳幼児期からの療育手帳、20歳未満の子を育てる父母などに支給される特別児童扶養手当(2026年4月からは1級で月58,450円・2級で月38,930円、所得制限あり)、児童発達支援や放課後等デイサービスなどがあります。最初の窓口はお住まいの市区町村です。
Q7. 合理的配慮とは何ですか?
必要な人が学び・働き・暮らせるように、過度な負担にならない範囲で環境や方法を調整することです。改正障害者差別解消法が2024年4月1日に施行され、民間事業者による合理的配慮の提供も法的義務になりました。学校では課題の提示の工夫や支援員の配置、就労では業務の分解や指示の明確化などが例です。
Q8. NIPTでダウン症は確実にわかりますか?
NIPTはスクリーニング検査で、確定診断ではありません。21トリソミーの検出率は99.7%と報告されていますが、陽性の場合は羊水検査・絨毛検査で確定診断が必要です。当院では陽性のカウンセリングは何度でも無料で、確定検査も院内で受けられます。
Q9. 遠方でも相談できますか?
はい。オンラインNIPTでは、全国110か所の提携施設で採血を受けられます(採血料は施設ごとに異なります)。陽性の場合は、当院で確定検査を受けることができます。
関連記事
参考文献
- [1] 公益財団法人日本ダウン症協会・日本ダウン症学会. ダウン症のある方たちの生活実態と、ともに生きる親の主観的幸福度に関する調査 報告書(第一報). 2020年11月. [厚生労働省掲載PDF]
- [2] 公益財団法人日本ダウン症協会. 2025年度 新1年生の就学に関するアンケート 回答記述集. 2025年7月. [日本ダウン症協会]
- [3] 文部科学省. 障害のある子供の就学先決定について. [文部科学省]
- [4] Glasson EJ, Sullivan SG, Hussain R, Petterson BA, Montgomery PD, Bittles AH. The changing survival profile of people with Down’s syndrome: implications for genetic counselling. Clin Genet. 2002;62(5):390-393. [DOI 10.1034/j.1399-0004.2002.620506.x]
- [5] Yang Q, Rasmussen SA, Friedman JM. Mortality associated with Down’s syndrome in the USA from 1983 to 1997: a population-based study. Lancet. 2002;359(9311):1019-1025. [DOI 10.1016/S0140-6736(02)08092-3]
- [6] Bull MJ, Trotter T, Santoro SL, et al. Health Supervision for Children and Adolescents With Down Syndrome. Pediatrics. 2022;149(5):e2022057010. [DOI 10.1542/peds.2022-057010]
- [7] 労働政策研究・研修機構. 障害者の法定雇用率を段階的に引き上げ(2024年4月に2.5%、2026年7月に2.7%). ビジネス・レーバー・トレンド 2023年3月. [労働政策研究・研修機構]
- [8] 横浜市. 改正障害者差別解消法の施行(令和6年4月1日)事業者による合理的配慮の提供の義務化. [横浜市]
- [9] 宮城県. 特別児童扶養手当について(令和8年4月分からの手当額). [宮城県]
- [10] Gil MM, Accurti V, Santacruz B, Plana MN, Nicolaides KH. Analysis of cell-free DNA in maternal blood in screening for aneuploidies: updated meta-analysis. Ultrasound Obstet Gynecol. 2017;50(3):302-314. [DOI 10.1002/uog.17484]
- [11] Schneider M, Debbané M, Bassett AS, et al. Psychiatric disorders from childhood to adulthood in 22q11.2 deletion syndrome: results from the International Consortium on Brain and Behavior in 22q11.2 Deletion Syndrome. Am J Psychiatry. 2014;171(6):627-639. [DOI 10.1176/appi.ajp.2013.13070864]
- [12] Dungan JS, Klugman S, Darilek S, et al. Noninvasive prenatal screening (NIPS) for fetal chromosome abnormalities in a general-risk population: An evidence-based clinical guideline of the American College of Medical Genetics and Genomics (ACMG). Genet Med. 2023;25(2):100336. [DOI 10.1016/j.gim.2022.11.004]
※本記事は一般の方に向けた情報提供を目的とするもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。支援制度の内容や金額は自治体・年度によって異なるため、お住まいの市区町村でご確認ください。






