目次
📍 クイックナビゲーション
かかりつけの産院でクアトロテストを案内されて、「NIPTとはどう違うのだろう」「どちらを受ければいいのだろう」と迷う方は少なくありません。クアトロテストは血液中の4つの成分から確率を計算する検査、NIPTは血液中に流れているDNAの断片を調べる検査で、ダウン症候群の検出率はクアトロテストが80%台、NIPTが99%以上と報告されています。この記事では、2つの検査の違いを項目ごとに並べ、「1/300」のような確率やカットオフ値の読み方、どちらを選ぶかの考え方を整理します。
- ➤クアトロテストとNIPTが、それぞれ何を調べている検査なのか
- ➤検出率「80%」と「99%」が意味すること、意味しないこと
- ➤カットオフ値1/295と、「1/300」などの確率の読み方
- ➤クアトロテストが陰性・陽性だったときの考え方
- ➤妊娠週数や費用をふまえた、検査の選び方
⏱️ 30秒でわかる要約
🔬 Q. クアトロテストとNIPTの一番の違いは?
調べているものと検出率です。クアトロテストは血液中の4つの成分から確率を計算する検査で、ダウン症候群の検出率は81〜87%と報告されています。NIPTは血液中のDNA断片を調べる検査で、検出率は99.7%です。どちらも確定検査ではありません。
🧬 Q. ダウン症候群だけ調べれば大丈夫ですか?
大丈夫とは言えません。クアトロテストでも、基本的なNIPTでも、中心になるのはダウン症候群などのトリソミーです。一方、子育ての負担を最も大きく左右するのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷、睡眠の問題といった行動の問題だと報告されています。それを伴いやすいのは、ダウン症候群よりも微小欠失症候群や単一遺伝子疾患です。これらはクアトロテストの対象ではなく、三大トリソミーだけの検査では調べられません。当院のNIPTはこれらの病気まで調べられます。
📊 Q. クアトロテストのカットオフ値とは?
スクリーニング陽性と陰性を分ける基準の確率で、ダウン症候群では1/295です。これより確率が高ければ陽性、低ければ陰性と報告されます。病気がある・ないを分ける線ではなく、次の検査を考えるための目安です。
🌸 Q. どちらを選べばいいですか?
早い週数で、検出率の高い検査を受けたい場合はNIPTが向いています。費用を抑えたい場合や、開放性神経管奇形の確率も知りたい場合は、クアトロテストにも役割があります。今の妊娠週数と、結果をどう使いたいかで決めます。
\ ダウン症候群だけで大丈夫ですか? /
クアトロテストの対象は3つの病気です。当院のNIPTは、子育ての負担につながりやすい微小欠失症候群や単一遺伝子疾患まで調べられます。調べる範囲は、90分の受診枠の中で、臨床遺伝専門医と相談して決められます。NIPTは妊娠9週から受付しています(妊娠6〜8週は臨床研究)。
まだ決めていない方へ:NIPT(新型出生前診断)のご案内 | NIPTの料金
1. クアトロテスト(母体血清マーカー検査)とは
クアトロテストは、妊婦さんから採った血液に含まれる4つの成分(AFP、hCG、uE3、インヒビンA)を測り、赤ちゃんがダウン症候群(21トリソミー)、18トリソミー、開放性神経管奇形である「確率」を計算するスクリーニング検査です[1]。4つの成分の値に、妊婦さんの年齢、妊娠週数、体重、家族歴などを組み合わせて計算します[2]。赤ちゃんのDNAや染色体を直接見ているわけではありません。
受けられるのは妊娠15週0日から21週6日までで、結果が出るまでの日数は約10日です[1]。費用は施設によって異なりますが、おおむね2〜3万円が目安です。
📊 クアトロテストの対象となる病気と検出率
| 対象となる病気 | 検出率(国内の集計) |
|---|---|
| ダウン症候群(21トリソミー) | 87% |
| 18トリソミー | 77% |
| 開放性神経管奇形(二分脊椎・無脳症など) | 83% |
国内の検査会社が1999〜2004年に行った19,112例の調査による数字です[1]。13トリソミー、性染色体の数の変化、微小欠失、単一遺伝子の病気は、クアトロテストの対象ではありません。
4つの成分の意味や報告書の読み方、費用、受けるかどうかの考え方は、クアトロ検査そのものを解説したページにまとめています。
2. NIPTとは|新型出生前診断の特徴
NIPT(新型出生前診断)は、妊婦さんの血液の中に流れている胎盤由来のDNAの断片を調べ、赤ちゃんの染色体の数の変化などを推定する検査です。採血だけで受けられる点はクアトロテストと同じですが、成分の量から確率を計算するのではなく、母体血中の胎盤由来cfDNAを解析します。
💡 用語解説:cfDNA(セルフリーDNA)とは
細胞の外に出て、血液の中を漂っている短いDNAの断片のことです。妊娠中は、胎盤に由来するcfDNAが妊婦さんの血液に混ざっています。NIPTは、このDNA断片を大量に読み取り、特定の染色体に由来する断片が多すぎないか、少なすぎないかを調べます。胎盤のDNAを見ているため、まれに赤ちゃん本人の染色体と結果が一致しないことがあります。
NIPTの検査精度
単胎妊娠を対象とした研究をまとめたメタ解析では、NIPTの検出率と偽陽性率は次のように報告されています[3]。
| 対象となる病気 | 検出率 | 偽陽性率 |
|---|---|---|
| ダウン症候群(21トリソミー) | 99.7% | 0.04% |
| 18トリソミー | 97.9% | 0.04% |
| 13トリソミー | 99.0% | 0.04% |
検出率は高いものの、NIPTもクアトロテストと同じく確定検査ではありません。陽性だった場合は、羊水検査・絨毛検査で確かめる必要があります。血液中の胎盤由来DNAが少ないときなどには、結果が出ない「判定保留」になることもあります。また、NIPT自体では開放性神経管奇形は調べられないため、超音波検査などで確認します。
受けられる時期は、一般に妊娠9〜10週ごろからです。ミネルバクリニックでは、妊娠9週以降は通常の検査として、妊娠6〜8週は臨床研究として受け付けています。
3. クアトロテストとNIPTの違いを徹底比較
2つの検査は、どちらも「採血だけで受けられる、確定検査の前の段階の検査」です。違うのは、調べているもの、対象となる病気、検出率、受けられる時期、結果の出方、費用です。項目ごとに並べると次のようになります。
📊 クアトロテストとNIPTの比較
| 比較項目 | クアトロテスト | NIPT |
|---|---|---|
| 調べているもの | 血液中の4つの成分(AFP・hCG・uE3・インヒビンA) | 血液中に流れている胎盤由来のDNA断片 |
| 対象となる病気 | ダウン症候群、18トリソミー、開放性神経管奇形 | ダウン症候群、18トリソミー、13トリソミー。施設やプランによっては、性染色体、微小欠失・重複、単一遺伝子の病気まで |
| ダウン症候群の検出率 | 81〜87%[1][4] | 99.7%[3] |
| 偽陽性率 | 5%に設定した場合[4] | 0.04%[3] |
| 受けられる時期 | 妊娠15週0日〜21週6日[1] | 一般に妊娠9〜10週ごろから |
| 結果の出方 | 「1/500」のような確率と、スクリーニング陽性・陰性 | 陽性・陰性(判定保留になることもある) |
| 開放性神経管奇形 | 確率がわかる | NIPT自体では調べられない(超音波検査などで確認) |
| 費用の目安 | おおむね2〜3万円 | おおむね10〜20万円程度。調べる範囲が広いプランではそれ以上 |
| 確定検査かどうか | 確定検査ではない | 確定検査ではない |
費用は目安で、施設によって異なります。検査の種類ごとの費用は出生前診断の費用一覧にまとめています。
精度80% vs 99%の意味を正しく理解する
ここでいう「80%」「99%」は、検出率(感度)のことです。検出率とは、その病気の赤ちゃんを妊娠している妊婦さんが検査を受けたとき、陽性と出る割合を指します。クアトロテストのダウン症候群の検出率は、国内の集計で87%[1]、米国の約3万8千人を対象とした研究で81%(偽陽性率を5%に設定した場合)[4]と報告されています。
| 検査 | ダウン症候群の赤ちゃんを妊娠している妊婦さんで考えると |
|---|---|
| クアトロテスト(検出率81〜87%) | ダウン症候群の赤ちゃんを妊娠している妊婦さんが100人いたとすると、81〜87人がスクリーニング陽性になり、13〜19人はスクリーニング陰性になります。 |
| NIPT(検出率99.7%) | ダウン症候群の赤ちゃんを妊娠している妊婦さんが1,000人いたとすると、997人が陽性になり、3人は陰性になる計算です。 |
注意したいのは、この数字は「陰性と言われた人の5人に1人がダウン症候群」という意味ではないことです。検査を受ける妊婦さんの大多数は、もともとダウン症候群ではない赤ちゃんを妊娠しています。国内の19,112例の集計では、ダウン症候群の赤ちゃんを妊娠していた方は45人で、そのうち39人がスクリーニング陽性、6人がスクリーニング陰性でした[1]。スクリーニング陰性だった方は全体で約17,300人ですから、陰性の結果を受け取った方のうちダウン症候群だったのは、およそ2,900人に1人という計算になります。
反対に、スクリーニング陽性となった1,763人のうち、実際にダウン症候群の赤ちゃんを妊娠していたのは39人(約2%)でした[1]。クアトロテストの「陽性」は、次の検査を考える対象に入ったという意味であり、陽性の方の大多数はダウン症候群ではありません。
🩺 院長コラム【「精度」は一つの数字ではありません】
検査の精度を表す数字には、検出率、偽陽性率、陽性的中率などがあり、それぞれ答えている問いが違います。検出率は「病気がある場合にどれだけ見つけられるか」、陽性的中率は「陽性と出た人のうち本当にその病気である人の割合」です。
「80%」「99%」という数字だけを比べると、クアトロテストの陰性は当てにならないように見えますが、そうではありません。クアトロテストは対象を広く拾う設計の検査で、NIPTは拾いこぼしも拾いすぎも少ない検査です。数字が何を表しているかを確かめたうえで、目的に合うほうを選んでください。
陽性的中率が低いと「無駄な確定検査」が増える? ― がん検診と比べて考える
上で見たとおり、クアトロテストでスクリーニング陽性となった方のうち、実際にダウン症候群の赤ちゃんを妊娠していたのは約2%でした[1]。NIPTでも、微小欠失のように調べる範囲を広げた項目では、陽性的中率は染色体の数の変化より低めになります。そのため、「陽性的中率が低い検査は、体に負担のかかる確定検査を無駄に増やす」という批判があります。この点を、同じスクリーニングであるがん検診と比べて考えてみます。
がん検診も、陽性的中率は数%です。胸部X線で行う日本の自治体の肺がん検診では、国が2008年の報告書で示した陽性反応適中度(要精密検査とされた人のうち、実際に肺がんだった人の割合)の許容値は「1.3%以上」です[5]。米国の大規模試験(NLST)では、低線量CTで2.4〜5.2%、胸部X線で4.4〜6.7%でした[6]。それでも低線量CTによる検診は、肺がんによる死亡を減らすことが示されています[7]。X線は「怪しい」と判定する人がCTより少ないぶん陽性的中率は少し高くなりますが、そのかわり見逃しも多くなります。CTは拾い上げを広げたぶん陽性的中率が下がりましたが、死亡を減らしました。陽性的中率が低いことが、そのまま「悪い検査」を意味するわけではありません。
精密検査に危険があるのも、がん検診と同じです。米国の診療データ(保険請求データ)を使った調査では、肺の異常を調べる精密検査を受けた人は、受けなかった人に比べて、重い合併症が針生検で4.0%、気管支鏡で13.4%、胸部手術で11.3%多く起きていました[8]。出生前検査の確定検査については、羊水検査にともなう流産の可能性は約0.3%と説明されることが多いのですが[2]、英国の医療施設で行われた研究(1施設のコホート研究)では、絨毛検査・羊水検査を受けた人と受けなかった人で、流産の割合に統計的な差は見られませんでした(絨毛検査0.29%、羊水検査−0.36%で、どちらも統計的な差なし)[9]。研究の規模や方法が違うため、数字を直接並べて比べることはできません。ただ、「陽性的中率が低いと、体に負担のかかる確定検査が増える」という心配は、少なくとも肺がん検診にも同じように当てはまり、がん検診ではそれでも検診が行われています。
⚖️ それでも出生前検査で慎重な意見が出る4つの理由
① 検査の結果が、「妊娠を続けるかどうか」の判断に直結すること。
② いちばん大きな危険は、陽性のあと確定検査を受けずに妊娠をやめる選択をしてしまうことで、陽性的中率が低いと、本当は病気のない赤ちゃんが失われるおそれがあること。
③ 結果を待つ間の不安が大きく、判断できる期間にも限りがあること。
④ 微小欠失などは症状の幅が広く、わかっても見通しが立てにくいことがあり、学会によって考え方が分かれていること(8章の22q11.2欠失症候群の項で触れます)。
一方で、陽性的中率だけを見ていると「外れの陽性」ばかりに目が向きます。けれども拾い上げなければ、本当に病気がある赤ちゃんについて、ご家族が生まれる前に知り、出産する施設や生まれてすぐの治療を準備するか、妊娠を続けるかどうかを考える機会そのものがなくなります。見逃しにも、外れの陽性と同じように重い結果があります。実際に、先天的な病気が生まれる前にわかったお母さんは、生まれてから初めて知ったお母さんに比べて、心の面の生活の質が高かったという報告があります(ポルトガルの小規模な研究)[10]。また、重い心臓の病気では、生まれる前にわかっていると生まれてすぐの治療を早く始められ、大血管転位症では手術の前後に亡くなる赤ちゃんが減ったと報告されています[11]。ただし、生まれる前に知ることで出産までの不安が増えるという報告もあり、研究によって結果は分かれています。
弱点は検査そのものではなく、「確定検査で確かめる前に決めてしまうこと」にあります。クアトロテストでもNIPTでも、陽性は「次の検査を考える段階に入った」という意味で、診断ではありません。そのため当院では、陽性になった場合に院内で確定検査(絨毛検査・羊水検査)を受けられる体制をとっています。主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。陽性後の遺伝カウンセリングは何度でも無料で、確定検査の費用は互助会で補助されます(上限なし)。
NIPTは、可能性のある赤ちゃんを見逃さずに拾い上げるための検査です。陽性になったときに大切なのは、確定検査で本当にそうかを確かめてから考えることです。当院では、その確定検査まで院内で受けられます。
4. クアトロテストの結果の見方|「1/300」の意味
クアトロテストの結果は、病気ごとに「1/300」のような確率と、「スクリーニング陽性・陰性」の2つで報告されます。確率が1/300であれば、「同じ1/300という結果を受け取った妊婦さんが300人いたとすると、そのうち1人が対象の病気の赤ちゃんを妊娠している可能性がある」と読みます[1]。残りの299人の赤ちゃんは、その病気ではありません。分母が小さいほど確率は高く、大きいほど低くなります。
💡 用語解説:カットオフ値とは
スクリーニング陽性と陰性を分ける、基準となる確率のことです。ダウン症候群のカットオフ値は1/295で、結果の確率がこれより高ければスクリーニング陽性、低ければスクリーニング陰性と報告されます[2]。18トリソミーと開放性神経管奇形にも、それぞれ別のカットオフ値が定められています[1]。
1/295という値は、35歳の妊婦さんの「年齢だけから見たダウン症候群の確率」(1/297)とほぼ同じ位置にあります[2]。検査会社の資料では、羊水検査を受けるかどうかを考える材料の一つとして、羊水穿刺にともなう流産の可能性(約0.3%、300人に1人とされています)と結果の確率を比べる考え方も紹介されています[2]。
カットオフ値は、病気がある人とない人を分ける境目ではありません。確率は連続した数字で、1/290と1/300のあいだに医学的な段差があるわけではありません。スクリーニング陽性は「確率がカットオフ値より高いが、赤ちゃんが必ずその病気だということではない」、スクリーニング陰性は「確率がカットオフ値より低いが、その病気の赤ちゃんが絶対に生まれないということではない」と読みます[1]。
確率表記で迷いやすいところ
⚠️ 結果を読むときの注意点
① 陽性・陰性の2文字だけで判断しない:同じ「陰性」でも1/300と1/3000では確率が10倍違います。確率の数字そのものを見ます。
② 年齢だけの確率と比べる:クアトロテストは年齢だけの確率を出発点に、血液の成分の値で確率を上げ下げしています。年齢の高い方ほど、結果の確率も高く出やすくなります[1]。
③ カットオフ値は病気ごとに違う:ダウン症候群の1/295を、18トリソミーや開放性神経管奇形の結果に当てはめることはできません。
④ 双子の場合は報告に制限がある:18トリソミーの結果は出ず、ダウン症候群の確率は推定値になります[2]。
結果の具体例と解釈
📊 結果の例と読み方
| 結果の例 | 判定 | 読み方 |
|---|---|---|
| 38歳・1/200 | スクリーニング陽性 | カットオフ値1/295より高い。ただし、38歳の年齢だけの確率(1/145)よりは低くなっている |
| 25歳・1/400 | スクリーニング陰性 | カットオフ値より低い。ただし、25歳の年齢だけの確率(1/1040)よりは高くなっている |
| 1/290と1/300 | 陽性と陰性に分かれる | 判定は分かれるが、確率の差はごくわずか。どちらも「カットオフ値の近く」として同じように考える |
| 1/1000 | スクリーニング陰性 | 1,000人に1人の確率。低いが、ゼロではない |
年齢だけの確率は、検査会社の公開資料にある年齢別の表によります[2]。
NIPTの結果は、確率ではなく「陽性」「陰性」で報告されるのが一般的です。受け取り方はわかりやすい反面、陽性であっても確定ではないこと、陰性であっても可能性がゼロになるわけではないことは、クアトロテストと変わりません。
5. クアトロテスト陰性でも安心できない理由
クアトロテストの「陰性」は、確率がカットオフ値より低かったという意味で、赤ちゃんがその病気ではないと確定したわけではありません。国内の集計でも、ダウン症候群の赤ちゃんを妊娠していた45人のうち6人は、スクリーニング陰性でした[1]。また、13トリソミーや性染色体の数の変化、微小欠失、単一遺伝子の病気は、もともとクアトロテストの対象に入っていません。
一方で、陰性の結果を受け取った方の大多数は、実際にダウン症候群ではない赤ちゃんを妊娠しています。「陰性だったのに」という体験談を読んで心配になったときに、何を確かめればよいか、追加の検査をどう考えるかは、次のページで詳しく説明しています。
6. クアトロテストのあとにNIPTを受ける理由
クアトロテストを受けたあとで、NIPTを追加で受ける方もいます。クアトロテストの結果が出てから、次にどうするかを考える段階で選ばれることが多く、理由はおおむね次の4つに分けられます。
NIPTを追加する理由としてよく挙がるもの
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 📊 確率の受け止め方に迷う | 「1/400」のような確率を受け取っても、どう判断すればよいか決めきれないことがあります。検出率の高い検査で、もう一段階確かめたいという理由です。 |
| 🔎 調べる範囲を広げたい | クアトロテストの対象は3つの病気です。13トリソミーなど、対象に入っていない病気についても知りたいという理由です。 |
| 📋 陽性で、羊水検査の前に確かめたい | スクリーニング陽性のあと、羊水検査に進む前にNIPTをはさむという選択です。週数に余裕があるかどうかが判断の分かれ目になります。 |
| 🗓️ 次の妊娠では早い時期に受けたい | クアトロテストは妊娠15週からの検査です。次の妊娠では、より早い週数で結果を知りたいという理由です。 |
スクリーニング陽性のあとにNIPTをはさむかどうかは、そのときの妊娠週数によって答えが変わります。NIPTの結果を待つ日数と、陽性だった場合の確定検査にかかる日数を合わせて考える必要があるためです。すぐに羊水検査へ進むか、NIPTをはさむかの考え方は、クアトロテストが陽性のときで説明しています。
🩺 院長コラム【先に確かめたいのは「週数の余裕」です】
クアトロテストは妊娠15週以降に受け、結果が出るまでに約10日かかります。そこからNIPTを受け、さらに確定検査に進むとなると、結果がそろう時期は妊娠中期の後半に近づいていきます。
検査を重ねるほど情報は増えますが、そのぶん時間も使います。どの検査を受けるかを考えるときは、費用や検出率と並べて、「いつまでに結果を知りたいか」を最初に決めておくと、選びやすくなります。
7. どちらを選ぶべき?検査の選び方
どちらが「正しい検査」ということはありません。今の妊娠週数、知りたい範囲、費用、結果をどう使いたいかによって、向いている検査が変わります。
| こんな場合 | 向いている検査 | 理由 |
|---|---|---|
| 妊娠15週より前に結果を知りたい | NIPT | クアトロテストは妊娠15週0日からしか受けられない |
| 検出率が高く、偽陽性の少ない検査を受けたい | NIPT | ダウン症候群の検出率99.7%、偽陽性率0.04%と報告されている |
| 13トリソミーなど、3つの病気以外も調べたい | NIPT | クアトロテストの対象は3つの病気に限られる |
| 費用を抑えたい | クアトロテスト | おおむね2〜3万円が目安 |
| 開放性神経管奇形の確率も知りたい | クアトロテスト | NIPTでは調べられない |
| 結果がどうであっても方針は変わらない | 受けないことも選択肢 | 出生前検査は、受けることが前提の検査ではない |
NIPTを選ぶ場合は、どこで受けるかによって、調べる範囲、検査前後の説明、陽性だったときの確定検査までの流れが変わります。施設を選ぶときに確かめたい点は、NIPTはどこで受ける?施設の選び方にまとめています。クアトロテストとNIPT以外の検査も含めて全体を見たい方は、出生前診断の種類一覧をご覧ください。
8. ミネルバクリニックのNIPTが選ばれる理由
ミネルバクリニックは、臨床遺伝専門医が常駐するクリニックです。NIPTの検査前の説明から、結果の説明、陽性だった場合の確定検査までを院内で行っています。
| 項目 | ミネルバクリニックのNIPT |
|---|---|
| 検査の方法 | ダイヤモンドプランでは、SNP法とターゲット法を組み合わせたCOATE法を用いています |
| 調べられる範囲 | 染色体の数の変化に加え、プランによって微小欠失・重複(スタンダードプランは6種類7疾患、プレミアムプラン・ダイヤモンドプランは12種類13疾患、インペリアルプラン・双子マックスプランは92種類)、単一遺伝子の新生変異(de novo変異)(インペリアルプランは最大155遺伝子・202疾患、ダイヤモンドプランは56遺伝子) |
| 受けられる時期 | 妊娠9週以降は通常の検査として、妊娠6〜8週は臨床研究として受付 |
| 遺伝カウンセリング | 90分の受診枠の中で、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行います。遺伝カウンセリングの料金(33,000円)は検査費用に含まれます |
| 陽性だったとき | 確定検査(羊水検査・絨毛検査)を院内で実施。主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます |
| 確定検査の費用 | 互助会(1回のNIPTにつき8,000円)により、陽性の場合の確定検査の費用が補助されます(補助の上限はありません) |
✓ ミネルバの考え方
出生前検査は、結果を受け取ったあとの説明と、その先の選択肢までがそろって、はじめて役に立つ検査です。当院では、クアトロテストの結果をお持ちの方がNIPTを受ける場合も、検査前の遺伝カウンセリングで、これまでの結果の意味から順に説明しています。
調べる範囲を考える ― 子育てのストレスと行動の問題
クアトロテストとNIPTを比べるときは検出率に目が向きがちですが、もう一つの大きな違いは「どの病気まで調べられるか」です。知的障害を伴う病気のお子さんのご家族を比べた研究では、スミス・マゲニス症候群、ウィリアムズ症候群、プラダー・ウィリー症候群のご家族は、ダウン症候群のご家族より子育てのストレスが高いと報告されています[12]。そのストレスの大きさにいちばん関係していたのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷といった行動の問題と、睡眠の問題でした[12]。他人への攻撃的な行動はアンジェルマン症候群やスミス・マゲニス症候群で、自傷はコルネリア・デ・ランゲ症候群、スミス・マゲニス症候群、プラダー・ウィリー症候群で多いことが分かっています[13]。
こうした病気は、クアトロテストの対象には入っていませんが、当院のNIPTでは調べられます。スミス・マゲニス症候群、プラダー・ウィリー症候群、アンジェルマン症候群はスタンダードプランを含むすべてのプランで、コルネリア・デ・ランゲ症候群はダイヤモンドプランとインペリアルプランで、ウィリアムズ症候群はインペリアルプランと双子マックスプランで対象になります。ダウン症候群だけを調べればよいのか、検査を選ぶ前に考えていただきたい点です。
22q11.2欠失症候群を調べる意味 ― 年齢と関係なく起こる病気
クアトロテストは妊婦さんの年齢を計算の出発点にしていますが、年齢と関係なく起こる病気もあります。その代表が22q11.2欠失症候群です。妊娠中の赤ちゃんのおよそ1,000人に1人にみられ、微小欠失症候群の中で最も多い病気です[14]。ほとんどは親から受け継ぐのではなく新しく起こる変化で、お母さんの年齢による違いはありません[14]。心臓の病気、免疫の働きの低下、低カルシウム血症、口蓋裂、発達の遅れなどを伴うことがあり、自閉スペクトラム症を伴う割合も一般より高いと報告されています[14][15]。
米国臨床遺伝・ゲノム学会(ACMG)は、年齢にかかわらずすべての妊婦さんに、22q11.2欠失症候群のNIPTを提供することを提案しています[16]。一方、米国母体胎児医学会(SMFM)は、22q11.2欠失を調べる場合は検査前に十分な説明を受けて選ぶことを求めており、学会によって考え方が分かれています。だからこそ、検査前の遺伝カウンセリングが大切です。
妊娠中に分かっていれば、出産する施設を選び、生まれてすぐに心臓・カルシウム・免疫を調べる用意をして、赤ちゃんを迎えられます。当院では、スタンダードプランから22q11.2欠失症候群を調べられます。ただし、微小欠失の陽性的中率は染色体の数の変化より低めです。陽性の場合は、必ず確定検査で確かめます。
ダウン症候群だけで大丈夫? ― 「値段」ではなく「調べられる範囲」で選ぶ
クアトロテストを案内された方にも、NIPTを考えている方にも、「ダウン症候群だけが心配」という方は少なくありません。ただ、出生前検査で調べる病気は、ダウン症候群に限らず、どれも赤ちゃんとご家族の暮らしに大きくかかわります。そして、ご家族の子育ての負担を最も大きく左右するのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷、睡眠の問題といった「行動の問題」だと分かっています[12]。行動の問題を伴いやすい病気の多くは、ダウン症候群ではなく、微小欠失症候群や単一遺伝子疾患です[12][13]。これらは、クアトロテストでも、三大トリソミーだけを調べる検査でも調べられません。
クアトロテストとNIPTの費用の差は、この記事でも比べました。ただ、出生前検査は、その後の人生を左右するかもしれない検査です。「安さ」だけで選んで大丈夫でしょうか。そこで、費用を「調べられる病気の数」で割って考えてみます。
仮に、三大トリソミーだけを調べる検査が10万円だとします。調べる病気は3つなので、1つの病気あたりは約3万3千円です。これに対して当院のインペリアルプランは、全常染色体と性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、202の単一遺伝子疾患が対象です。性染色体の数の異常も含めて、数えられる病気だけで320あり、1つの病気あたりにすると約1,700円になります。このほかに、5Mbを超える欠失・重複はすべての染色体で調べているので、実際に見ている変化は数えきれません。
| プラン | 主に調べる範囲 | 数えた病気の数 | 1つの病気あたり |
|---|---|---|---|
| 三大トリソミーだけを調べる検査 (仮に10万円とした場合) |
13・18・21トリソミー | 3 | 約33,333円 |
| スタンダード (220,000円) |
13・18・21トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失6種類7疾患 | 14 | 約15,714円 |
| プレミアム (264,000円) |
13・18・21・15・16・22トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失12種類13疾患 | 23 | 約11,478円 |
| ダイヤモンド (407,000円) |
プレミアムの範囲+単一遺伝子56 | 79 | 約5,152円 |
| 双子マックス (440,000円) |
全常染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常 | 114+α | 約3,860円 |
| インペリアル (550,000円) |
全常染色体の数の異常、性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常、単一遺伝子202疾患 | 320+α | 約1,719円 |
※価格は事前学習動画を見て来院した場合の当日割引後の税込価格です。最新の料金は料金ページをご確認ください。
※病気の数は、数の異常・微小欠失・重複・単一遺伝子疾患を1つずつ数えたものです。性染色体の数の異常は4種類(ターナー症候群・クラインフェルター症候群・トリプルX症候群・XYY症候群)として数えています(性染色体を調べるのはスタンダード・プレミアム・ダイヤモンド・インペリアル。双子マックスは調べません)。5Mbを超える構造異常は数に入れていないため、双子マックスとインペリアルは実際にはさらに多くの変化を調べています。
※「三大トリソミーだけを調べる検査」は計算のための仮の例で、特定の施設の価格ではありません。
調べる病気の数が多いほど良い検査、というわけではありません。調べる範囲が広がると、陽性になる可能性も、確定検査が必要になる場面も増えます。だからこそ、検査前の遺伝カウンセリングで、ご家族に合ったプランを選びます。各プランで調べられる内容は、スタンダードプラン、プレミアムプラン、ダイヤモンドプラン、双子マックスプラン、インペリアルプランの各ページでご確認いただけます。
\ どこまで調べたいかは、ご家族によって違います /
90分の受診枠の中で、常駐する臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、どのプランが合うかを一緒に考えます。
まだ決めていない方へ:NIPTの料金 | NIPTはどこで受ける?施設の選び方
よくある質問(FAQ)
Q1. クアトロテストとNIPTの一番の違いは何ですか?
調べているものと検出率です。クアトロテストは血液中の4つの成分から確率を計算する検査で、ダウン症候群の検出率は81〜87%と報告されています。NIPTは血液中に流れている胎盤由来のDNA断片を調べる検査で、ダウン症候群の検出率は99.7%と報告されています。結果の出方も異なり、クアトロテストは「1/500」のような確率、NIPTは陽性・陰性で報告されます。どちらも確定検査ではありません。
Q2. ダウン症候群だけ調べれば大丈夫ですか?
ダウン症候群だけを調べれば大丈夫、とは言えません。クアトロテストの対象は3つの病気で、基本的なNIPTも三大トリソミーが中心です。知的障害を伴う病気のお子さんのご家族を比べた研究では、スミス・マゲニス症候群、ウィリアムズ症候群、プラダー・ウィリー症候群のご家族は、ダウン症候群のご家族より子育てのストレスが高く、ストレスを最も強く左右していたのは知的障害の程度よりも行動の問題でした。こうした病気は、クアトロテストや三大トリソミーだけを調べる検査ではわかりません。当院ではスタンダードプランから22q11.2欠失症候群やプラダー・ウィリー症候群、アンジェルマン症候群などの微小欠失を、ダイヤモンドプラン・インペリアルプランでは単一遺伝子疾患まで調べられます。どのプランが合うかは、検査前の遺伝カウンセリングで臨床遺伝専門医と決められます。
Q3. クアトロテストで陰性なら安心していいですか?
陰性は「確率がカットオフ値より低い」という意味で、可能性がゼロになるわけではありません。国内の約1万9千例の集計では、ダウン症候群の赤ちゃんを妊娠していた45人のうち6人がスクリーニング陰性でした。一方で、陰性の結果を受け取った約1万7,300人のうちダウン症候群だったのはその6人で、陰性だった方の大多数はダウン症候群ではありません。
Q4. クアトロテストの「1/300」という結果の意味は?
同じ1/300という結果を受け取った妊婦さんが300人いたとすると、そのうち1人がダウン症候群の赤ちゃんを妊娠している可能性がある、という意味です。ダウン症候群のカットオフ値は1/295なので、1/300はスクリーニング陰性と報告されます。ただし1/290と1/300の差はごくわずかで、カットオフ値は病気の有無を分ける線ではありません。
Q5. クアトロテストを受けた後でもNIPTは受けられますか?
受けられます。ただし、クアトロテストは妊娠15週以降の検査で、結果が出るまでに約10日かかります。NIPTの結果を待つ日数と、陽性だった場合の確定検査にかかる日数を合わせて考え、早めに予定を立ててください。
Q6. NIPTは何週から受けられますか?
一般に妊娠9〜10週ごろから受けられます。ミネルバクリニックでは、妊娠9週以降は通常の検査として、妊娠6〜8週は臨床研究として受け付けています。クアトロテストを受けられるのは妊娠15週0日から21週6日までです。
Q7. NIPTで陽性だった場合、どうすればいいですか?
NIPTは確定検査ではないため、陽性の場合は羊水検査や絨毛検査で確かめます。ミネルバクリニックでは確定検査を院内で行っており、主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。
Q8. 費用の違いはどのくらいですか?
クアトロテストはおおむね2〜3万円、NIPTはおおむね10〜20万円程度が目安で、調べる範囲が広いプランではそれ以上になります。いずれも自費診療で、金額は施設によって異なります。陽性だった場合は、確定検査の費用が別にかかることがあります。
Q9. 遠方ですが検査を受けられますか?
オンラインNIPTを利用できます。Zoomで臨床遺伝専門医の遺伝カウンセリングを受け、全国110か所の提携施設で採血する方法です。
🏥 クアトロテストとNIPTで迷ったら
これから検査を選ぶ方も、クアトロテストの結果を受け取ったあとの方も、
ミネルバクリニックのNIPTでは、常駐する臨床遺伝専門医が検査前の説明から結果の説明までを担当します。
遠方の方はオンラインNIPTもご利用いただけます。
🏥 ミネルバクリニックのNIPT
✓ 妊娠9週以降は通常の検査として、妊娠6〜8週は臨床研究として受付
✓ 確定検査(羊水検査・絨毛検査)は院内で実施。主要な検査項目は3日以内、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果
✓ 検査前後の遺伝カウンセリングは臨床遺伝専門医が担当
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参考文献
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※本記事は一般の方に向けた情報提供を目的とするもので、個別の診断や方針を示すものではありません。検査を受けるかどうか、結果をどう受け止めるかは、担当の医師とよく話し合って決めてください。






