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全染色体検査でわかること【完全ガイドVol.3】第17番〜第22番・性染色体|22番微細欠失とダウン症・18番の真実
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第17番・19番・20番 → 「完全トリソミー」は致死的ですが、生存例のある「モザイク」や「微細欠失(スミス・マギニス症候群など)」について詳しく解説します。 -
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第18番・第21番(基本トリソミー) → エドワーズ症候群、ダウン症候群の基礎知識と、偽陽性を防ぐ検査精度について。 -
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第22番(微細欠失) → ここが最重要です。頻度の高い「22q11.2欠失症候群(ディジョージ症候群)」は一般的なNIPTでは検出困難ですが、COATE法なら>99.9%の確率で検出可能です。 -
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性染色体(X, Y) → ターナー症候群やクラインフェルター症候群など、生命予後は良好だが発育や妊孕性に関わる疾患について。 -
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トリプルリスクヘッジ → 陽性時の確定検査を自院で実施(産婦人科併設)、費用全額負担の互助会、流産時の返金保証など、当院独自の安心体制を紹介します。
💡 この記事の要約
Q. 第9番〜第16番染色体の検査で何がわかりますか?
A. 13番(パトウ症候群)や16番(流産リスク)だけではありません。一般的なNIPT(数を見る検査)では検出が難しい「9p重複症候群」や「10q26欠失症候群」、「パリス・キリアン症候群(12番モザイク)」といった「流産せずに生まれてくるが、重い障害を持つ疾患」まで検出可能です。
Q. ミネルバクリニックのCOATE法は何が違うのですか?
A. 一般的なNIPT(ワイドゲノム法)では検出困難だった「微細欠失」を、ターゲット法とSNP法(一塩基多型解析)により陽性的中率99.9%以上という高い精度で検出します。また、父方の加齢リスクによる「重度の症候性自閉症」の原因遺伝子も網羅できる唯一の技術です。
全染色体検査・完全ガイドVol.3(完結編)へようこそ。
Vol.1(第1〜8番)、Vol.2(第9〜16番)に続き、このVol.3では「第17番〜第22番および性染色体」について解説します。
この領域には、NIPTで最も多くの方が検査を希望する「21番(ダウン症候群)」が含まれるほか、一般的なNIPTでは見逃されがちな重要疾患「22q11.2欠失症候群」が存在します。
ミネルバクリニックは、日本で唯一の臨床遺伝専門医が、遺伝子検査を行うために開業した日本初のクリニックです。「数字だけ出すNIPT屋」とは異なり、皆様が直面するリスクと真摯に向き合い、世界最高峰の技術(COATE法)で不確実性を排除します。
第17番・19番・20番染色体:トリソミーと構造異常
これらの染色体は、数的異常(トリソミー)としては稀ですが、モザイクや構造異常(微細欠失)として臨床的に重要な意味を持つ場合があります。
第17番染色体
● 17番トリソミー(Trisomy 17)
- 完全型: 致死的であり、妊娠のごく初期に流産となります。出生例の報告はほぼありません。
- モザイク型: 極めて稀に出生に至るケースがありますが、重度の成長障害、精神遅滞、多発奇形(小脳低形成、心疾患など)を伴い、予後は不良です。
● スミス・マギニス症候群(17p欠失)
17番染色体短腕(17p11.2)の微細欠失により起こる疾患です。一般的なNIPTでは見逃されますが、COATE法なら検出可能です。
- 症状: 知的障害、睡眠障害(メラトニン分泌異常による逆転生活)、自傷行為などの行動特性、特徴的な顔貌。
- 予後: 生命予後は比較的良好で、成人期まで生存します。早期の療育と環境調整が重要です。
第19番染色体
● 19番トリソミー(Trisomy 19)
第19番染色体は遺伝子密度が非常に高く、過剰になると細胞にとって致命的です。
- 完全型・モザイク型: 共に致死的です。流産絨毛の検査で見つかることはありますが、出生に至った報告は世界的にもほぼ存在しません。NIPTで陽性となった場合は、胎児由来ではなく胎盤由来のモザイク(CPM)である可能性が高いと考えられます。
第20番染色体
● 20番トリソミー(Trisomy 20)
- 特徴: 羊水検査で比較的よく見つかる(モザイクとして)染色体異常の一つです。
- 予後: 大部分は「正常な赤ちゃん」として生まれます。これは異常な細胞が腎臓などの一部の組織に限定されている、もしくは胎盤のみに存在する(CPM)ことが多いためです。
- 注意点: 稀に真性モザイクとして全身に影響する場合があり、その際は脊椎異常、心疾患、発達遅滞を伴います。NIPT陽性の場合は、必ず羊水検査での確認が必要です。
● アラジール症候群(20p欠失)
20番染色体短腕(20p12)の微細欠失により起こるケースがあります。
- 症状: 肝臓の胆管減少(黄疸)、心血管異常、特徴的な顔貌、椎骨の異常。
- 予後: 重症度は個人差が大きく、肝移植が必要になる場合もありますが、管理されれば長期生存が可能です。
第18番染色体:エドワーズ症候群 (Trisomy 18)
第18番染色体が3本ある状態です。21番(ダウン症)に次いで2番目に頻度の高い常染色体トリソミーです。
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主な症状:
重度の胎児発育不全(FGR)、心疾患(VSDなど)、手の指の重なり(オーバーラッピングフィンガー)、揺り椅子状の足底など。 -
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平均寿命(予後):
1年生存率は10%〜25%程度と厳しい予後を辿りますが、近年では新生児医療の進歩により、自宅退院や数年以上の生存例も増えています。
第21番染色体:ダウン症候群 (Trisomy 21)
第21番染色体が3本ある状態です。NIPTを受ける方の多くが最も気にされる疾患です。
- 頻度: 出生約600〜800人に1人。母親の年齢とともに確率が上昇します。
- 予後: 平均寿命は約60歳まで延びており、多くの方が社会生活を送っています。
- 検査: NIPTの基本検査項目ですが、検査会社によって精度(陽性的中率)に差が出ます。当院は偽陽性を極限まで減らす技術を採用しています。
※ダウン症候群についての詳細は、当院の専門コラムも併せてご覧ください。
第22番染色体:トリソミーとCOATE法が光る「微細欠失」
第22番染色体は小さいですが、生命に関わる重要な遺伝子が詰まっています。数的異常と構造異常の両方が重要です。
22番トリソミー(Trisomy 22)
第22番染色体は小さいため、トリソミーになっても細胞分裂がある程度進むことがあり、流産絨毛検査で最も高頻度に見つかる常染色体トリソミーの一つです。
● 完全型(Full Trisomy 22)
- 症状: 重度の発育遅延、多発奇形。
- 予後: 致死的です。妊娠初期(多くは7〜10週頃)にほぼ100%自然流産となります。
● モザイク型(Mosaic Trisomy 22)
2番目に小さい染色体であるため、稀にモザイクとして生存し、出生に至るケースがあります。
- 症状: 子宮内発育遅延(IUGR)、小頭症、特徴的な顔貌(耳の位置が低い、耳前タグ)、先天性心疾患、発達遅滞。
- 予後: 症状の重さは正常細胞との比率(モザイク率)に依存しますが、多くの場合は生涯にわたる医療ケアが必要です。当院のダイヤモンドプランでは、この稀な「生存する22番トリソミー」も検出対象としています。
22q11.2欠失症候群(ディジョージ症候群)
22番染色体の長腕(q11.2)のごく一部が欠ける疾患です。微細欠失の中では最も頻度が高く、約4,000人に1人の割合で出生します。
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主な症状 (CATCH-22):
Cardiac defects(心疾患:ファロー四徴症など)、Abnormal facies(特徴的顔貌)、Thymic hypoplasia(胸腺低形成による免疫低下)、Cleft palate(口蓋裂)、Hypocalcemia(低カルシウム血症)。 -
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予後・寿命:
心疾患の重症度に左右されますが、適切な手術・管理が行われれば成人期まで生存し、社会生活を送ることができます。また、精神疾患(統合失調症など)のリスクが一般より高いことが知られています。
従来検査 vs COATE法(ダイヤモンドプラン)
22q11.2欠失は非常に小さな欠失であるため、一般的な全染色体NIPT(ワイドゲノム法)ではノイズに埋もれてしまい、検出は困難です。
しかし、ミネルバクリニックのダイヤモンドプランで採用している最新技術「COATE法」は、ターゲット法とSNP法の両方の強みを兼ね備えているため、高精度に検出できます。
💡 用語解説:ワイドゲノム法
一般的なNIPTの手法。全染色体を「広く浅く」解析します。トリソミー(数の変化)の検出には有効ですが、22q11.2のような「微細な欠失」は検出感度が低く、見逃されるリスクが高いのが弱点です。
💡 用語解説:ターゲット法
当院が採用している手法。疾患に関連する重要な領域だけを「狙い撃ち」して深く読む(Deep Sequencing)技術。これにより、従来法では見えない微細欠失を鮮明に検出します。
💡 用語解説:SNP法
個人の遺伝子の指紋であるSNP(スニップ)を解析し、「母親のDNA」と「赤ちゃんのDNA」を明確に区別する技術。倍数体やバニシングツインの誤判定を防ぎます。
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微細欠失の陽性的中率 >99.9%:
ターゲット法とSNP法を統合することで、22q11.2欠失なども非常に高い精度で判定可能です。 -
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「症候性自閉症」の原因遺伝子を検出:
これらの微細欠失や、同時に検査できる56遺伝子(父方リスク)には、重い身体症状を伴う「症候性自閉症」の原因遺伝子が多く含まれています。
性染色体の異常(X, Y)
性染色体の異常は、常染色体トリソミーとは異なり、生命に関わることは稀です。しかし、将来の発育、二次性徴、妊孕性(妊娠のしやすさ)に関わる重要な情報です。
ターナー症候群 (45,X)
女性に見られる染色体異常で、X染色体が1本足りない状態です。
●特徴: 低身長、卵巣機能不全(無月経・不妊)、首の皮膚のたるみ(翼状頸)など。
●予後: 知的発達は正常範囲であることが多く、ホルモン療法などにより、通常の社会生活を送ることができます。
クラインフェルター症候群 (47,XXY)
男性に見られる染色体異常で、X染色体が1本多い状態です。
●特徴: 高身長、精巣の発育不全(男性不妊)、女性化乳房など。
●予後: 生命予後は正常です。多くは成人して不妊治療の過程で見つかることもあり、適切な医療介入でQOLを維持できます。
ミネルバクリニックの「トリプルリスクヘッジ」
当院は、検査結果を出して終わりではありません。「陽性だったらどうする?」「万が一流産してしまったら?」という患者様の不安に対し、当院独自の「トリプルリスクヘッジ」で備えています。
1. 金銭的リスクヘッジ(互助会)
会費8,000円(非課税)で、陽性時の確定検査(羊水検査)費用を上限15万円まで当院が全額負担します。さらに、胎児分画不足等で再検査となり、結果が出る前に流産してしまった場合には、診断書をご提出いただければ検査費用を全額返金する保証制度も完備しています。
2. 時間的リスクヘッジ(院内完結)
2025年6月より産婦人科を併設。非認証施設としては唯一、陽性時の確定検査(羊水・絨毛検査)を自院で実施可能になりました。他院へたらい回しにされる時間とストレスをゼロにします。
3. 心理的リスクヘッジ(専門医サポート)
臨床遺伝専門医である院長が、24時間体制で患者様に寄り添います。妊娠6週からの早期NIPTや、4Dエコーによる胎児確認も導入し、検査前から検査後まで「安心」を提供し続けます。
まとめ
これで全染色体(1番〜22番、性染色体)の解説が完結しました。
NIPTは単に「陰性か陽性か」を知るだけの検査ではありません。9p重複や22q11.2欠失症候群のように、「流産せずに生まれてくるが、特別なケアが必要な疾患」を事前に知るための、最先端の医療ツールです。
ミネルバクリニックのダイヤモンドプランは、米国最新鋭の技術「COATE法」により、これらのリスクを99.9%以上の精度で描き出します。臨床遺伝専門医のサポートと、万全のバックアップ体制がある当院で、安心して検査をお受けください。
🏥 臨床遺伝専門医へのご相談
NIPT、微細欠失、流産リスクに関するご不安は、
ミネルバクリニックへお気軽にご相談ください。
最新の遺伝医学と温かい心で、あなたをお迎えします。
参考文献
- [1] NIH. Chromosome 22. Genetics Home Reference. [NIH]
- [2] McDonald-McGinn DM, et al. 22q11.2 deletion syndrome. Nat Rev Dis Primers. 2015. [PubMed]
- [3] American College of Obstetricians and Gynecologists (ACOG). Practice Bulletin No. 226: Screening for Fetal Chromosomal Abnormalities. [PubMed]
- [4] National Organization for Rare Disorders (NORD). Turner Syndrome. [NORD]
- [5] Cereda A, Carey JC. The trisomy 9p syndrome. Orphanet J Rare Dis. 2012. [PubMed]
- [6] Schinzel A. Trisomy 20 mosaicism. Prenat Diagn. [PubMed]

