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自閉症はNIPTでわかりますか?出生前診断でわかる発達障害・知的障害の原因とエコーの限界

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

「おなかの赤ちゃんが自閉症かどうか、生まれる前にわかりますか?」。出生前診断を考える方から、とても多く寄せられる問いです。結論からお伝えすると、自閉症(自閉スペクトラム症)そのものを、生まれる前に診断する方法はありません。ただし、自閉症や発達障害・知的障害の原因になる遺伝子や染色体の変化の一部は、ミネルバクリニックのNIPTで調べることができます。この記事では、「一部」とはどこまでなのか、プランごとに何が調べられるのか、陰性・陽性の結果をどう受け止めればよいのか、エコー(超音波検査)で何がわかるのかを、臨床遺伝専門医の立場から順に解説します。

この記事でわかること
📖 読了時間:約15分
🧬 NIPT・自閉症・発達障害・知的障害
★ 臨床遺伝専門医監修
  • ➤自閉症そのものが出生前診断でわからない理由と、原因がわかる「症候性自閉症」
  • ➤レット症候群・22q11.2欠失症候群・16p11.2欠失/重複など、自閉症の特性を伴いやすい病気と、その頻度
  • ➤当院のNIPT(スタンダード〜インペリアル)で調べられる、自閉症・発達障害・知的障害の原因の範囲
  • ➤「陰性なら自閉症の心配はない」とは言えない理由と、陽性だったときの流れ
  • ➤エコーで自閉症はわかるのか、妊娠中に発達障害はわかるのか

⏱ 30秒でわかる要約

🧬 Q. 自閉症はNIPTでわかりますか?

自閉症そのものはわかりません。ただし、原因になる遺伝子・染色体の変化の一部(レット症候群、フェラン・マクダーミッド症候群、16p11.2欠失・重複など)は、当院のNIPTで調べられます。調べられる範囲はプランによって変わります。

🔍 Q. ダウン症候群だけを調べるNIPTで大丈夫?

ダウン症候群(21トリソミー)は大切な項目ですが、自閉症や知的障害の原因になる変化はほかにもあります。当院では最も基本のスタンダードプランでも、22q11.2欠失症候群など7つの微小欠失の病気を調べ、ダイヤモンドプランは56遺伝子、インペリアルプランは最大155遺伝子の病気まで調べます。

🌸 Q. 陰性なら自閉症の心配はない?

いいえ。自閉症の多くは、原因が1つに特定できないタイプです。陰性は「調べた病気については可能性が低い」という意味で、自閉症・発達障害全体を否定するものではありません。

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自閉症はNIPTでわかる?――まず結論から

NIPT(新型出生前診断)は、お母さんの血液に含まれる赤ちゃん由来のDNAの断片を調べ、あらかじめ決めた染色体や遺伝子の変化があるかどうかを推定するスクリーニング検査です。この検査で「自閉症かどうか」を直接判定することはできません。自閉症は、生まれた後の発達の様子や行動をもとに診断されるもので、血液や画像で診断する検査が、生まれた後でさえ存在しないからです。

一方で、自閉症の中には、特定の遺伝子や染色体の変化が原因になっている「症候性自閉症」があります。その原因になる変化の一部は、ミネルバクリニックのNIPTで調べることができます。たとえば、女の子に多いレット症候群(MECP2遺伝子)、自閉症の特性と言葉の遅れを伴いやすいフェラン・マクダーミッド症候群(SHANK3遺伝子)、自閉症の原因として知られる16p11.2欠失・重複などです。

つまり答えは、「自閉症そのものはわからない。けれども、一部の自閉症・発達障害・知的障害については、原因を生まれる前に調べられる」です。この「一部」がどのくらいなのか、何が調べられ、何が調べられないのかを、次の章から具体的に見ていきます。

💡 用語解説:自閉スペクトラム症(ASD)

対人関係やコミュニケーションのとりにくさと、こだわりの強さや興味の偏りを特徴とする発達の特性です。以前は「自閉症」「アスペルガー症候群」などに分けられていましたが、現在は連続した一つのまとまり(スペクトラム)として自閉スペクトラム症と呼びます。米国の2022年の調査では、8歳児の約31人に1人が診断されていました[1]。この記事では、一般によく使われる「自閉症」という言葉で説明します。

なぜ自閉症そのものは出生前診断でわからないのか

自閉症は遺伝の影響が大きいことが分かっています。スウェーデンの大規模な調査では、自閉症のなりやすさのうち約8割(83%)が遺伝の要因で説明されると推定されています[2]。それなのに、なぜ遺伝子の検査で「自閉症かどうか」を調べられないのでしょうか。

多くの自閉症は、たくさんの遺伝子の「小さな影響」の積み重ね

理由は、自閉症の多くが、1つの遺伝子の変化ではなく、数百以上の遺伝子それぞれの小さな影響と、環境の要因が重なって生じるからです[3]。このタイプは原因を1つに特定できないため「特発性(とくはつせい)自閉症」と呼ばれ、自閉症の大部分を占めます。どの遺伝子の組み合わせで自閉症になるのかが決まっていない以上、生まれる前に調べることはできません。

原因が特定できるのは自閉症の一部

一方、自閉症と診断されたお子さん258人を、染色体の細かな検査(マイクロアレイ)と遺伝子の網羅的な検査(エクソーム解析)で調べた研究では、両方の検査を受けたお子さんの15.8%で原因となる変化が見つかりました。顔つきの特徴や体の形の異常を伴う「複雑型」のお子さんほど、原因が見つかる割合が高くなっていました[4]。

この「原因が特定できる自閉症」が、出生前に調べられる可能性のある部分です。生まれた後の検査でも原因が見つかるのは一部であり、出生前の検査で調べられるのは、さらにその中の一部だということを、最初に押さえておいてください。

🧩 自閉症の原因の考え方

タイプ 原因 出生前に調べられるか
特発性自閉症(大部分) 多くの遺伝子の小さな影響と環境要因の重なり 調べられない
症候性自閉症(一部) 特定の遺伝子・染色体の変化(レット症候群、22q11.2欠失症候群、16p11.2欠失・重複など) NIPTの対象に入っている病気は調べられる

症候性自閉症とは?自閉症の特性を伴いやすい病気

症候性自閉症の原因になる病気の多くは、自閉症の特性だけでなく、知的障害や発達の遅れ、てんかん、心臓などの体の異常を伴うことが特徴です。そのため、出生前にこれらの病気がわかることは、「自閉症になるか」以上に、生まれた後の医療や療育の準備につながる情報になります。

遺伝性の病気ごとに、自閉症の特性がみられる割合をまとめた解析(メタ解析)では、次のような数字が報告されています[5]。どの病気でも全員が自閉症になるわけではなく、「その病気があると、自閉症の特性を伴うことが多い」という意味の数字です。

📊 遺伝性の病気と、自閉症の特性がみられる割合

病気 自閉症の特性がみられる割合 当院のNIPTで調べられるプラン
レット症候群(女性) 61% ダイヤモンド・インペリアル
コルネリア・デ・ランゲ症候群 43% ダイヤモンド・インペリアル
アンジェルマン症候群 34% 全プラン(欠失によるタイプ)
CHARGE症候群 30% ダイヤモンド・インペリアル
ダウン症候群 16% 全プラン
ヌーナン症候群 15% ダイヤモンド・インペリアル
ウィリアムズ症候群 12% 双子マックス・インペリアル
22q11.2欠失症候群 11% 全プラン
脆弱X症候群(男性) 30% NIPTでは調べられない

割合の出典:Richardsら(Lancet Psychiatry, 2015)[5]。研究ごとの診断方法の違いにより幅があります。脆弱X症候群は、遺伝子の中の同じ配列のくり返しが長くなる病気で、NIPTの技術では捉えられません。

この表で注目していただきたいのは、ダウン症候群以外にも、自閉症の特性を伴いやすい病気がたくさんあることです。そして、それらの多くは、ダウン症候群(21トリソミー)のように「染色体の数」を数えるだけの検査では見つかりません。ごく小さな染色体の欠け(微小欠失)や、1つの遺伝子の変化(単一遺伝子疾患)を調べる検査が必要です。

💡 用語解説:微小欠失と単一遺伝子疾患

微小欠失(びしょうけっしつ)は、顕微鏡で見ても分からないほど小さな範囲で染色体が欠けている状態で、22q11.2欠失症候群などがあります。単一遺伝子疾患は、1つの遺伝子の変化で起こる病気で、レット症候群などがあります。どちらも染色体の「数」は正常なので、13・18・21トリソミーだけを調べるNIPTでは見つかりません。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「自閉症がわかるか」より大切な問い】

「自閉症はNIPTでわかりますか?」という問いの奥には、「生まれてくる子が困らないように、できることはしておきたい」という気持ちがあるのだと考えています。だからこそ、「わかりません」で話を終わらせたくないのです。

レット症候群やコルネリア・デ・ランゲ症候群、22q11.2欠失症候群のような病気は、自閉症の特性だけでなく、てんかんや心臓の病気、免疫の問題などを伴うことがあります。生まれる前にわかっていれば、出産する施設を選び、生まれてすぐに必要な検査や専門の診療科につなぐ準備ができます。出生前の遺伝学的検査の価値は、こうした「準備のための情報」を手にできることにあると考えています。

当院のNIPTで調べられる、自閉症・発達障害・知的障害の原因

ミネルバクリニックのNIPTは、プランによって調べる範囲が大きく異なります。自閉症や発達障害・知的障害の原因という視点で見ると、範囲が広いプランほど、調べられる「一部」が大きくなります。

🧬 プラン別:自閉症・発達の遅れに関係しうる主な検査項目

プラン 染色体の数 微小欠失・重複 単一遺伝子
スタンダード
(単胎・双胎)
13・18・21トリソミー、性染色体 6種類7疾患(22q11.2欠失、1p36欠失、スミス・マゲニス、ウォルフ・ヒルシュホーン、プラダー・ウィリー、アンジェルマン、猫鳴き症候群) ―
プレミアム
(単胎のみ)
13・18・21・15・16・22トリソミー、性染色体 12種類13疾患(上記+2q33欠失、ランガー・ギーディオン、9p欠失、ジェイコブセン、18p欠失、18q欠失) ―
ダイヤモンド
(単胎のみ)
プレミアムと同じ プレミアムと同じ 56遺伝子(レット、ソトス、コルネリア・デ・ランゲ、CHARGE、ヌーナンなど)
双子マックス
(単胎・双胎)
すべての常染色体 92種類(16p11.2欠失・重複、ウィリアムズ、ミラー・ディーカー、1q41-q42欠失など)+5Mb超の構造異常 ―
インペリアル
(単胎のみ)
すべての常染色体、性染色体 双子マックスと同じ92種類+5Mb超の構造異常 最大155遺伝子(202疾患)。ダイヤモンドの病気に加え、ピット・ホプキンス、フェラン・マクダーミッド、KBG、ルビンシュタイン・テイビ、ドラベなど

各プランの対象項目の詳細は、それぞれのプランのページでご確認ください。

スタンダード・プレミアム:染色体の数と、微小欠失による病気

ダウン症候群では、自閉症の特性が約16%にみられると報告されています[5]。また、性染色体の数の変化(XXY、XYY、XXXなど)では、発達の遅れや学習のつまずき、自閉症の特性がみられることがあります。これらは染色体の数を調べる項目で対象になります。

さらに当院では、最も基本のスタンダードプランでも、22q11.2欠失症候群やアンジェルマン症候群(欠失によるタイプ)などの微小欠失を調べます。22q11.2欠失症候群は心臓の病気や免疫の低下、学習の困難を伴いやすく、アンジェルマン症候群は重い発達の遅れとてんかんを伴うことが多い病気です。アンジェルマン症候群の原因は複数あり、NIPTで調べられるのは、そのうち約7割を占める「染色体の欠け」によるタイプです。プレミアムプランでは、さらに知的障害を伴いやすい微小欠失の病気が6つ加わります。

ダイヤモンド:レット症候群など、単一遺伝子の病気まで

ダイヤモンドプランは、プレミアムの範囲に加えて、56の遺伝子の新たな変化(新生突然変異)を調べます。このうち、レット症候群・ソトス症候群・コルネリア・デ・ランゲ症候群・CHARGE症候群は、知的障害や発達の遅れを伴うことがある病気です。ヌーナン症候群では、知的障害のない方も多い一方で、発達の遅れがみられることがあります。

これらの病気の多くは、ご両親には同じ変化がなく、赤ちゃんの代で初めて生じる「新生突然変異」で起こります。そのため、家族に同じ病気の人がいなくても起こりうるのが特徴で、家族歴だけでは予測できません。

ダイヤモンドプランの検査方式は、米国の3大遺伝子検査会社の一角が提供する新技術「COATE法」(SNP法とターゲット法の組み合わせ)※です。

※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。

双子マックス・インペリアル:16p11.2欠失・重複と、全常染色体

16p11.2の欠失・重複は、自閉症の原因として代表的な染色体の変化の一つで、自閉症の方の約1%にみられると報告されています[6]。この領域は、当院では92種類の微小欠失・重複を調べる双子マックスプランとインペリアルプランの対象です。どちらも、低深度全ゲノムシーケンス(全染色体を浅く広く読む方法)を使い、すべての常染色体の数の変化と、5Mbを超える大きな構造の変化も調べます。インペリアルプランの検査方式は、低深度全ゲノムシーケンスとターゲット法の組み合わせです。

インペリアル:フェラン・マクダーミッド症候群など、最大155遺伝子

インペリアルプランは、双子マックスの範囲に加えて、最大155遺伝子(202疾患)の単一遺伝子の病気を調べます。ダイヤモンドの病気に加え、ピット・ホプキンス症候群、フェラン・マクダーミッド症候群、KBG症候群、ルビンシュタイン・テイビ症候群、ドラベ症候群など、知的障害や発達の遅れを伴うことがある病気が含まれます。

フェラン・マクダーミッド症候群の原因遺伝子であるSHANK3の変化は、自閉症の方の約0.7%、中等度以上の知的障害を伴う自閉症の方では約2%にみられると報告されています[7]。1つ1つの病気の頻度は低くても、調べる遺伝子の数が増えるほど、拾い上げられる範囲は広がります。超音波検査で赤ちゃんの異常が疑われた妊婦さんを対象にした研究では、染色体の検査に加えて単一遺伝子の病気も調べると、見つかった病気の数が約1.6倍(61件→98件、60.7%増)に増えたと報告されています[8]。これはハイリスクの妊婦さんでの結果で、すべての妊婦さんで1.6倍になるという意味ではありません。

ダウン症候群だけで大丈夫? ― 「値段」ではなく「調べられる範囲」で選ぶ

NIPTを選ぶとき、料金の数字だけを比べると、範囲の狭いプランほど手頃に見えます。けれども、自閉症や知的障害の原因という視点では、「何の病気を調べられるのか」で考えることが大切です。そこで、1つの病気あたりで考えると、どうなるかを整理しました。

🔍 1つの病気あたりで考える

検査 調べる病気の数 料金 1つの病気あたり
三大トリソミーのみ(仮に10万円とした場合) 3 100,000円 約33,333円
スタンダード 14 220,000円 約15,714円
プレミアム 23 264,000円 約11,478円
ダイヤモンド 79 407,000円 約5,152円
双子マックス 114+α 440,000円 約3,860円
インペリアル 320+α 550,000円 約1,719円

料金は事前学習動画を見て来院した場合の当日割引後(税込)。病気の数は、染色体の数の変化・微小欠失・単一遺伝子(ダイヤモンド56遺伝子=56疾患、インペリアル202疾患)を合計した当院の数え方で、「+α」は5Mb超の構造異常です。病気の数は検査の価値そのものを表すものではなく、調べる範囲の広さを比べるための目安です。

ダウン症候群(21トリソミー)・18トリソミー・13トリソミーは、出生前検査で広く調べられている基本の項目です。当院ではそのうえで、スタンダードプランでも22q11.2欠失症候群を含む微小欠失を調べています。自閉症・発達障害・知的障害の原因が気になる方は、微小欠失だけでなく、単一遺伝子まで含むダイヤモンドやインペリアル、16p11.2を含む双子マックス・インペリアルも選択肢に入れて検討してください。

陰性なら自閉症の心配はない?――結果の正しい受け止め方

陰性は「調べた病気については可能性が低い」という意味

ここは、とても大切なところです。NIPTで陰性だった場合にわかるのは、検査の対象に入っていた病気については、可能性が低いということです。最初に説明したように、自閉症の多くは原因を1つに特定できないタイプで、どのNIPTでも調べることはできません。

そのため、どのプランで陰性でも、「自閉症や発達障害の心配がなくなった」とは言えません。範囲の広いプランを選ぶことは、「調べられる一部」を大きくすることであり、すべてを否定することではないのです。この点を理解したうえで検査を選んでいただくことが、後悔しない選択につながると考えています。

陽性なら、確定検査で確かめる

NIPTはスクリーニング検査なので、陽性の結果だけで診断が確定するわけではありません。特に微小欠失・重複は、染色体の数の変化に比べて陽性的中率(陽性のうち本当に病気がある割合)が低めで、項目によって60〜70%程度です。陽性だった場合は、必ず羊水検査や絨毛検査による確定検査で確かめます。

① NIPT通常妊娠9週から採血
▶
② 結果基本は10〜14日
▶
③ 陽性なら陽性カウンセリング(何度でも無料)
▶
④ 確定検査羊水・絨毛検査を院内で

当院のNIPTは通常妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。結果は基本10〜14日で、インペリアルプランの単一遺伝子の結果だけは3〜4週間かかります(ダイヤモンドプランは単一遺伝子も10〜14日)。陰性の方の結果はマイページでお知らせし、陽性の方は陽性カウンセリングを何度でも無料で受けられます。

2025年6月から産婦人科を併設し、羊水検査・絨毛検査を院内で行っています。主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。NIPTを受ける方は全員、羊水検査の費用を補助するカトレア会(8,000円)と、流産で再検査ができず結果が出ない場合に備える安心検査結果保障制度(6,000円)に加入します(どちらも消費税の対象外)。

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エコー(超音波検査)で自閉症はわかる?

「エコーで自閉症がわかる」という話を目にすることがありますが、エコーで自閉症を診断することはできません。エコーで見ているのは、心臓や脳、腎臓などの体の形や、赤ちゃんの大きさです。

イスラエルの研究では、のちに自閉症と診断されたお子さんの妊娠中のエコー記録を調べると、体の形の異常が見つかっていた割合は29.3%で、一般のお子さんの9.6%より高く、特に心臓・腎臓や尿路・頭や脳の所見が多かったと報告されています[9]。ただし、これは「自閉症のお子さんでは、妊娠中のエコーで所見がみられることが多かった」という結果です。エコーで所見があっても多くのお子さんは自閉症ではなく、所見がなくても自閉症のことはあります。

一方で、エコーで心臓の形の異常などが見つかった場合は、その背景に22q11.2欠失症候群のような染色体の変化や、単一遺伝子の病気が隠れていることがあります。この場合は、エコーの所見だけで判断せず、確定検査(羊水検査・絨毛検査)でマイクロアレイ検査などを行い、原因を調べることが大切です。

妊娠中に発達障害はわかる?

妊娠中に「発達障害(自閉症・ADHD・学習障害など)かどうか」を診断する方法はありません。妊娠中にできるのは、発達障害や知的障害の原因になる病気のうち、検査の対象に入っているものを調べることです。NIPTはその入り口となる検査で、陽性なら確定検査で確かめます。

なお、妊娠中の食べ物や飲み物、ストレスと発達障害の関係を心配される方も多くいます。少なくとも、この記事で取り上げた症候性自閉症の原因となる遺伝子・染色体の変化は、多くが受精の前後に偶然生じるもので、妊娠中のお母さんの行動で起こるものではありません。

💡 用語解説:ソフトマーカー

NT(首の後ろのむくみ)の厚さや鼻の骨の見え方など、それ自体は病気ではないものの、染色体の変化と関係することがあるエコーの所見をソフトマーカーと呼びます。ソフトマーカーは染色体の変化の可能性を考えるきっかけであり、自閉症を判定するものではありません。

遺伝の視点:自閉症の原因は「親のせい」ではない

ここで、臨床遺伝の視点から大切なことを2つお伝えします。1つ目は、症候性自閉症の原因になる変化の多くは、ご両親から受け継いだものではなく、赤ちゃんの代で新しく生じた変化(新生突然変異)だということです。レット症候群のMECP2遺伝子の変化も、その多くが新生突然変異です。家族に同じ病気の方がいないから大丈夫、とは言えない理由がここにあります。

新生突然変異は、精子ができる過程で生じることが多く、父親の年齢が1歳上がるごとに、子どもに伝わる新しい変化が約2個ずつ増えると報告されています[10]。年齢にかかわらず誰にでも起こりうるもので、誰かの行動や体質の「せい」で起こるものではありません。

2つ目は、遺伝の影響が大きいことと、「親から受け継ぐ」ことは同じではないということです。特発性自閉症では、ご家族の中で自閉症の特性が重なりやすい傾向があります。一方で、症候性自閉症の原因が新生突然変異だった場合、次のお子さんで同じ変化が起こる可能性は一般に低いと考えられます(ただし、親の生殖細胞にだけ変化がある「性腺モザイク」のため、わずかに高くなります)。どちらのタイプかによって、ご家族への意味が大きく変わるのです。

💡 用語解説:新生突然変異(de novo変異)

ご両親のどちらの血液の遺伝子にもない変化が、赤ちゃんで初めて見つかることを新生突然変異(しんせいとつぜんへんい)といいます。精子や卵子ができるとき、または受精の直後に偶然生じます。家族歴がなくても起こるのが特徴で、NIPTの単一遺伝子の検査は、主にこの新生突然変異を見つけることを目的にしています。

上の子が自閉症のとき、次の妊娠でできること

上のお子さんが自閉症と診断されている場合、次に生まれるきょうだいが自閉症と診断される割合は、約2割(18.7%)と報告されています[11]。この数字は、上のお子さんの自閉症の原因によって大きく変わります。

そのため、次の妊娠を考える前に、まず上のお子さんの原因を調べることが、いちばん確かな手がかりになります。上のお子さんで原因となる遺伝子の変化がわかれば、ご両親がその変化をもっているかを調べ、次の妊娠でその変化を確定検査で調べるという計画が立てられます。当院では、122の遺伝子を調べる自閉症遺伝子検査や、689の遺伝子を調べる発達障害・学習障害・知的障害遺伝子検査を行っています。

また、ご夫婦がともに同じ潜性(劣性)遺伝の病気の保因者である場合、知的障害を伴う病気のお子さんが生まれることがあります。NIPTと同時にご夫婦で受ける保因者検査として、ファミリーセーフティ プラス(女性787遺伝子・男性714遺伝子)があります。これはNIPTとは別の、ご夫婦自身の遺伝子を調べる検査で、NIPTと同じ日に採血できます。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「一部」を正確に伝えるということ】

「一部の自閉症はNIPTで原因がわかる」という言葉は、正確に使わなければ、期待を大きくしすぎることにも、不安を大きくしすぎることにもなります。だからこそ、「何を調べられるか」と同じくらい、「何を調べられないか」をはっきりお伝えすることが大切だと考えています。

そのうえで、調べられる範囲は確実に広がってきました。染色体の数だけを数えていた時代から、微小欠失、そして1つの遺伝子の変化まで、生まれる前に拾い上げられるようになっています。検査の範囲と限界の両方を知ったうえで、ご自身にとって納得できる検査を選んでいただきたい。臨床遺伝専門医が常駐するクリニックとして、その選択に必要な情報をお渡しすることが私たちの役割だと考えています。

🏥 自閉症・発達障害の原因の「一部」まで調べるNIPTを

ダウン症候群だけで大丈夫? ミネルバクリニックでは、スタンダードプランでも22q11.2欠失症候群などの微小欠失を調べ、ダイヤモンドプランは56遺伝子、インペリアルプランは最大155遺伝子の病気まで調べます。臨床遺伝専門医が常駐し、陽性なら羊水検査・絨毛検査まで院内で受けられます。

スタンダード | プレミアム | ダイヤモンド | 双子マックス | インペリアル

よくある質問(FAQ)

Q1. 自閉症はNIPTでわかりますか?

自閉症そのものを判定することはできません。ただし、自閉症の原因になる遺伝子・染色体の変化の一部(レット症候群、フェラン・マクダーミッド症候群、16p11.2欠失・重複、22q11.2欠失症候群など)は、当院のNIPTで調べられます。調べられる範囲はプランによって異なり、単一遺伝子の病気はダイヤモンドプラン(56遺伝子)とインペリアルプラン(最大155遺伝子)、16p11.2は双子マックスプランとインペリアルプランが対象です。

Q2. ダウン症候群だけを調べるNIPTで大丈夫ですか?

ダウン症候群は大切な項目ですが、自閉症や知的障害の原因になる変化はほかにも多くあり、その多くは染色体の数を調べるだけでは見つかりません。当院では最も基本のスタンダードプランでも22q11.2欠失症候群を含む7つの微小欠失の病気を調べます。自閉症・発達障害の原因が気になる方は、単一遺伝子まで含むプランも検討してください。

Q3. NIPTが陰性なら、自閉症や発達障害の心配はありませんか?

いいえ。陰性は「検査の対象に入っていた病気については可能性が低い」という意味です。自閉症の多くは、原因を1つに特定できないタイプで、どのNIPTでも調べられません。どのプランで陰性でも、自閉症・発達障害全体の可能性がなくなるわけではありません。

Q4. エコーで自閉症はわかりますか?

エコーで自閉症を診断することはできません。研究では、のちに自閉症と診断されたお子さんで妊娠中のエコーの所見が多かったと報告されていますが、所見があっても多くは自閉症ではなく、所見がなくても自閉症のことはあります。心臓の形の異常などが見つかった場合は、背景に染色体や遺伝子の変化がないかを確定検査で調べることを検討します。

Q5. 知的障害は出生前診断でわかりますか?

知的障害そのものを生まれる前に診断することはできませんが、知的障害を伴いやすい病気の一部は調べられます。ダウン症候群などの染色体の数の変化、22q11.2欠失症候群などの微小欠失、レット症候群・ソトス症候群・コルネリア・デ・ランゲ症候群などの単一遺伝子の病気が、プランに応じて対象になります。

Q6. 上の子が自閉症です。次の妊娠のために何ができますか?

上のお子さんの自閉症の原因を遺伝子検査で調べることが、いちばん確かな手がかりになります。原因となる変化がわかれば、ご両親の検査や、次の妊娠での確定検査の計画が立てられます。当院では自閉症遺伝子検査(122遺伝子)や発達障害・学習障害・知的障害遺伝子検査(689遺伝子)を行っています。

Q7. NIPTはいつから受けられますか?結果はいつわかりますか?

当院のNIPTは通常妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。結果は基本10〜14日で、インペリアルプランの単一遺伝子の結果だけは3〜4週間かかります(ダイヤモンドプランは単一遺伝子も10〜14日)。

Q8. 陽性だったらどうなりますか?

NIPTはスクリーニング検査なので、陽性なら羊水検査や絨毛検査による確定検査で確かめます。当院では陽性カウンセリングを何度でも無料で受けられ、確定検査も院内で行います。主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。

関連記事

参考文献

  • [1] Shaw KA, Williams S, Patrick ME, et al. Prevalence and Early Identification of Autism Spectrum Disorder Among Children Aged 4 and 8 Years — Autism and Developmental Disabilities Monitoring Network, 16 Sites, United States, 2022. MMWR Surveill Summ. 2025;74(2):1-22. [DOI 10.15585/mmwr.ss7402a1]
  • [2] Sandin S, Lichtenstein P, Kuja-Halkola R, et al. The Heritability of Autism Spectrum Disorder. JAMA. 2017;318(12):1182-1184. [DOI 10.1001/jama.2017.12141]
  • [3] Lord C, Elsabbagh M, Baird G, Veenstra-Vanderweele J. Autism spectrum disorder. Lancet. 2018;392(10146):508-520. [DOI 10.1016/S0140-6736(18)31129-2]
  • [4] Tammimies K, Marshall CR, Walker S, et al. Molecular Diagnostic Yield of Chromosomal Microarray Analysis and Whole-Exome Sequencing in Children With Autism Spectrum Disorder. JAMA. 2015;314(9):895-903. [DOI 10.1001/jama.2015.10078]
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※本記事は一般の方に向けた情報提供を目的とするもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。検査の選択については、臨床遺伝専門医にご相談ください。

プロフィール
仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続け、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、検査結果の数値そのものだけでなく、「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、日本人として異文化の中で生活した経験があります。価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。この経験は現在の診療においても、「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、36週6日で一人を死産した経験があります。その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、家族の未来に関わる重要な意思決定です。年齢や統計だけで判断するのではなく、医学的根拠と心理的支援の両面から、ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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