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出生前診断はいつから受けられるのか|検査ごとに解説

出生前診断の種類

出生前診断は、大きく分けて「非確定検査」と「確定検査」の二つに分かれます。非確定検査とは、検査結果だけでは赤ちゃんが生まれつきの疾患を持っていると断定できない検査のことです。確定検査はその名の通り、検査結果が医師の診断となる検査です。

二つに分かれる理由は、検査精度の高さになります。非確定検査は検査の種類によって変わってきますが、80~99%と確実ではありません。一方、確定検査は精度が100%になるため医師の診断結果になるのです。

◯非確定検査の種類

  • 新型出生前診断NIPT
  • ・胎児精密超音波検査(胎児ドック)
  • ・クアトロテスト(母体血清マーカー
  • コンバインド検査

◯確定検査の種類

  • 羊水検査
  • 絨毛検査

以上が出生前診断の検査になります。非確定検査は、検査の特性から比較的早い時期で受けられるものが多くあるのが特徴です。確定検査は非確定検査で陽性と判定された後に受けるため少し遅めになっています。

非確定診断の検査

この項では非確定診断の検査についてご紹介しています。それぞれ受けられる時期も検査費用もバラバラですので確認した上で、どの検査を受けたらいいのか判断してください。

◯新型出生前診断(NIPT)

項目 内容
特徴 母体の血液中にある胎児の染色体を調べる
費用 5~40万円(受ける医療機関で変わる)
検査可能時期 妊娠9週目以降(施設によっては10週目)
検査方法 母親から血液を採取する
検査精度 99%
結果が出るまでの期間 3日~10日(施設によって変わる)

2013年から始まった検査です。非確定診断の中では検査精度が高いのと母体に負担がかからないのが特徴です。また妊娠9週目と早い時期から受けられるの点が大きなメリットといえます。ただ、受ける施設によって調べられる範囲(基本は13トリソミー18トリソミー21トリソミーダウン症))が変わってくる点と採血のみで検査内容について詳しく説明してくれないところがあるのがデメリットです。検査費用も高額なのもマイナスといえるでしょう。

◯胎児精密超音波検査(胎児ドック)

項目 内容
特徴 内臓の形態や機能、発育状態を視覚で定期的に確認
費用 1~2万円
検査可能時期 10週目〜13週目(初期)
18週〜20週目(中期)
28~30週目(後期)
検査方法 母体の腹部に超音波エコーを当てる
検査精度 80%前後
結果が出るまでの期間 検査当日

お腹の赤ちゃんの形態異常臓器の成長を調べる検査です。染色体異常による先天性疾患があるかどうかはNTと呼ばれる後頭部の浮腫(むくみ)の大きなで判別をします。ただNTで判明可能な染色体異常は21トリソミー(ダウン症)のみです。

◯クアトロテスト(母体血清マーカー)

項目 内容
特徴 基準となる「カットオフ値」の確率と比較
費用 2~5万円
検査可能時期 妊娠15~17週目
検査方法 母体から採血
検査精度 約85%
結果が出るまでの期間 検査当日

母体から採血した血液の成分を調べて13、18、21トリトミーと開放性神経管欠損症(脊柱の一部が正常に形成されない二分脊椎・頭蓋骨が正常に形成されずに、脳が発達しない無脳症)の可能性を調べる検査です。

◯コンバインド検査

項目 内容
特徴 基準となる「カットオフ値」の確率と比較
費用 3~5万円
検査可能時期 妊娠11~13週
検査方法 超音波と採血の組み合わせ
検査精度 約83%(ダウン症)
結果が出るまでの期間 2週間前後

コンバインド検査は超音波エコーと母体中の血液を採取して18、21トリソミーの可能性があるかどうかを調べます。

確定診断の検査

続いては確定診断の検査についてです。非確定診断同様、詳細は表にしてありますのでご確認いただけると幸いです。

◯羊水検査

項目 内容
特徴 水を採取して調べる
費用 10~20万円(受ける医療機関による)
検査可能時期 妊娠15~18週
検査方法 母体に針を刺して子宮から羊水を採取
検査精度 99.9%以上(ダウン症)
結果が出るまでの期間 2~4週間

子宮にある羊水を採取して胎児の染色体すべてに異常があるかどうか調べます。母体に針を刺すので流産や死産等の可能性が約0.3%あります。

◯絨毛検査

項目 内容
特徴 絨毛を採取
費用 10~20万円(医療機関による)
検査可能時期 妊娠11~14週
検査方法 母体に針を刺して絨毛を採取
検査精度 99.9%以上(ダウン症)
結果が出るまでの期間 2~3週間

胎盤内部にある絨毛という胎児由来の細胞を採取して染色体異常による先天性疾患があるかどうかを調べる検査です。こちらも母体に針を刺すため流産や死産する可能性が約1%あります。また、検査できる病院が少ないのも難点です。

出生前診断でわかる先天性疾患

検査によって種類は違うものの21トリソミー(ダウン症候群)についてはすべての検査で調べらることが可能です。ただ検査で疾患を持っているのがわかっても合併症も含めて出産前に治療はできません。

また、ダウン症や他の先天性疾患を治療することは不可能です。全ての赤ちゃんの3〜5%は、なんらかの異常も持って生まれてきます。これらを先天性疾患と呼びますけど、出生前診断で見つかるのは全体の4分の1です。その他の疾患については産まれた後にわかってくるので出生前診断ですべての疾患がわかるわけではありませんのでご注意ください。

主な原因

先天性疾患の主な原因は、以下の通りです。

  • ・染色体の異常によるもの
  • ・1つの遺伝子の異常によるもの
  • ・複数の遺伝子が影響しているもの
  • ・環境や催奇形因子によるもの

これらが起きる要因の一つとして挙げられるのが卵子精子の劣化です。年齢が高くなると質が悪くなるため先天性疾患を持つ子どもが生まれる確率が高くなります。他にもさまざまな理由がありますので、高年齢だからが原因とは言い切れません。

出生前診断を受けるかどうか迷ったら

もし出生前診断を受けるかどうか迷ったら臨床遺伝専門医によるカウンセリングを受けるのがおすすめです。新型出生前診断(NIPT)を行っている医療機関で認可施設及び一部の無認可施設に在籍をしていますのでお気軽に相談をしてみてください。新型出生前診断(NIPT)を実施する前にも、臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングを行っている医療機関はありますので調べてから受けるかどうか決めても遅くはないでしょう。

臨床遺伝専門医とはDNAや染色体といった遺伝子の専門家です。遺伝に関係する疑問や悩みに対して、医学的な情報を提供できるので検査に関する疑問や検査内容について理解を深めた上で受けられます。

まとめ

生まれてくる子どもに疾患がないか不安で遺伝カウンセリングを受けに来た女性と優しく出迎える女性医師

出生前診断はいつから受けられるのか詳しく解説をしていきました。妊婦健診でもお馴染みの超音波エコーを使った検査を除けば、ほとんどが染色体異常を調べる検査になります。染色体異常による先天性疾患は21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、13トリソミー(パトウ症候群)などいずれも難しい判断をしなくてはいけない病態ばかりです。

しかし、精度が高い新型出生前診断(NIPT)やリスクはあるものの絨毛検査や羊水検査を受けてこれからの家族について話し合うのは悪いことではありません。きっとご家族にとって大きな財産となるでしょう。

東京の「ミネルバクリニック」は臨床遺伝専門医が在籍するNIPT実施施設であり、たくさんの妊婦さんの悩みや不安と真摯に向き合い、笑顔になれる出産に導いてきました。ミネルバクリニックでは、妊娠9週から受けられる赤ちゃんの健康診断である「NIPT」を業界最新の技術と業界随一の対象疾患の広さで行っております。遺伝のエキスパートである臨床遺伝専門医が出生前診断を提供しておりますので、是非、お気軽にご相談ください。妊娠初期からの出生前診断を受ける医療機関にお悩みの方は、知識・経験・実績とも「第三者から認証されている」臨床遺伝専門医が診療している「ミネルバクリニック」まで是非、ご相談ください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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