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いつから受けられる?出生前診断の種類と時期、最新COATE法まで解説

この記事のポイント
  • NIPTは妊娠10週前後から、羊水検査は15週以降に受けられます
  • 各種検査の特徴、精度、メリット・デメリットを徹底解説
  • 検査技術の進化により、より早期・高精度な診断が可能に
  • クリニック選びのポイントと最新のCOATE法の特徴
  • 検査後の対応とサポート体制の重要性

妊娠が分かった瞬間から、赤ちゃんの健康について考え始める方は多いでしょう。特に高齢出産や家族歴がある場合、染色体疾患のリスクが気になることもあります。そこで知っておきたいのが出生前診断のタイミングです。

出生前診断はいつからいつまで受けられるのか?どのような検査方法があり、それぞれのメリット・デメリットは?この記事では、出生前診断の種類や受検可能な時期、そして近年注目されている新しい検査技術についても詳しく解説します。ぜひ最後までご覧ください。

出生前診断の種類と検査可能な時期

出生前診断は大きく分けて「非確定的検査(スクリーニング検査)」「確定的検査」の2種類があります。それぞれ検査可能な時期や特徴が異なりますので、詳しく見ていきましょう。

非確定的検査(スクリーニング検査)

検査名 検査時期 特徴
NIPT
(新型出生前診断)
妊娠10〜18週
(クリニックによっては
6週から可能)
  • 母体血からの採血のみで検査可能
  • 流産リスクがない
  • 精度が非常に高い(感度99%以上)
  • 主に13・18・21トリソミーを検査
  • 最新技術では微小欠失症候群なども検査可能
超音波検査
(NT測定)
妊娠11〜13週
  • 胎児の首の後ろのむくみ(NT)を測定
  • 非侵襲的で赤ちゃんへの影響なし
  • NIPTと比べて精度は低い
母体血清マーカー検査
(クアトロテスト)
妊娠16〜18週
  • 母体の血液中のタンパク質やホルモンを測定
  • 流産リスクなし
  • NIPTと比べて精度は低い
コンバインド検査 妊娠11〜13週
  • 超音波検査と血液検査を組み合わせた検査
  • NT測定と血清マーカーの結果から算出
  • 単独検査より精度が向上

確定的検査

検査名 検査時期 特徴
羊水検査 妊娠15〜18週以降
  • お腹に針を刺して羊水を採取
  • 染色体異常の確定診断が可能
  • 流産リスクあり(約0.3%)
  • 結果判明まで2〜3週間
絨毛検査 妊娠11〜13週
  • 将来胎盤になる部分から絨毛を採取
  • 染色体異常の確定診断が可能
  • 羊水検査より早い時期に可能
  • 流産リスクが高い(約1%)
重要ポイント

NIPTは妊娠10週前後から受けることができる非侵襲的な検査で、母体からの採血のみで行います。一方、確定検査である羊水検査は妊娠15週以降になります。NIPTで陽性の結果が出た場合、確定診断のための羊水検査を受けることが推奨されています。

各検査にはそれぞれメリット・デメリットがあり、ご自身の状況に合わせて最適な検査を選ぶことが大切です。検査を受ける前には、必ず医師や遺伝カウンセラーに相談しましょう。

NIPT(新型出生前診断)について詳しく解説

NIPT(Non-Invasive Prenatal Testing)は、妊婦さんの血液中に含まれる胎児由来のDNA断片を分析することで、染色体異常の可能性を調べる検査です。その特徴や仕組み、検査で分かることなどを詳しく解説します。

NIPTの原理と仕組み

NIPTは、妊婦さんの血液中に含まれる胎児由来のDNA断片(cell-free DNA)を分析する検査です。母体の血液中には、約2〜10%の胎児由来DNAが含まれており、これを次世代シーケンサー(NGS)という高度な技術で分析します。

NIPTの検査技術は世代ごとに進化しています。現在、以下のような世代に分けられます:

世代 特徴 検査可能な項目
第1世代 初期のNIPT技術
DNAの読み取り回数が少ない
基本的な染色体トリソミー
(13・18・21)
第2世代 読み取り精度の向上
解析技術の進化
基本的トリソミーに加え
性染色体異常
第3世代
(スーパーNIPT)
DNAの読み取り回数が大幅に増加
(約500回)
高精度な解析技術
全染色体の解析
微小欠失・重複の検出
より多くの疾患の検出
最新技術
(COATE法)
胎児と母体のDNAを正確に区別
世界特許技術
さらに高精度な検査
偽陰性・偽陽性の大幅減少
微小欠失症候群などの検出精度向上

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NIPTで分かること

NIPTでは主に以下のような染色体異常のリスクを調べることができます:

21トリソミー(ダウン症候群)

  • 21番染色体が3本ある状態
  • 発生頻度:約700人に1人
  • 特徴的な顔貌、知的発達の遅れ、心臓疾患など

18トリソミー(エドワーズ症候群)

  • 18番染色体が3本ある状態
  • 発生頻度:約5,000人に1人
  • 重度の知的障害、多発性の先天異常

13トリソミー(パトウ症候群)

  • 13番染色体が3本ある状態
  • 発生頻度:約10,000人に1人
  • 重度の先天異常、生存率が非常に低い

最新の検査技術では、上記の基本的なトリソミーに加えて、以下のような検査も可能になってきています:

  • 1 性染色体異常:ターナー症候群(X)、クラインフェルター症候群(XXY)など
  • 2 微小欠失症候群:ディ・ジョージ症候群(22q11.2欠失症候群)など
  • 3 全染色体検査:すべての染色体の数的異常
  • 4 部分欠失・重複疾患:染色体の一部が欠けたり重複したりする疾患
注意点

NIPTはあくまでスクリーニング検査であり、確定診断ではありません。結果が「陽性」となった場合、実際には染色体異常がないケース(偽陽性)もあります。また逆に「陰性」でも染色体異常がある場合(偽陰性)もごくわずかながら存在します。

NIPTで陽性となった場合は、必ず羊水検査などの確定検査を受けることをお勧めします。また、すべての先天性疾患や遺伝子異常がNIPTで検出できるわけではないことも理解しておきましょう。

最新技術「COATE法」について

NIPT検査技術は日々進化しており、最新の技術として「COATE法」が注目されています。COATE法はこれまでのNIPT技術をさらに進化させた方法で、より高精度な検査結果を提供します。

COATE法の特徴と従来技術との違い

比較項目 従来のNIPT技術 COATE法
技術原理 母体血中のDNA断片の量的分析 母体と胎児のDNAを正確に区別して分析
精度 高い(感度・特異度99%前後) より高精度(偽陽性・偽陰性の大幅減少)
検査可能時期 妊娠10週以降 妊娠初期(一部クリニックでは6週から可能な臨床研究あり)
検査項目 基本的トリソミーが中心 より多くの染色体異常と微小欠失症候群
判定保留率 一定数発生 大幅に減少
提供施設 多数のクリニックで実施 限られた専門クリニックのみ

COATE法の最大の特徴は、母体と胎児のDNAを明確に区別して分析できる点です。これにより、より正確な検査結果が得られ、偽陽性や偽陰性のリスクが大幅に減少します。また、従来の検査では判定が難しかった微小欠失症候群などの検出も可能になっています。

技術革新のメリット

COATE法などの最新技術が開発されたことで、出生前診断の精度が飛躍的に向上し、より早い段階での検査が可能になりました。これにより、より多くの選択肢と時間的余裕を持って妊娠・出産に関する準備ができるようになっています。また、検査の幅も広がり、これまで見つけられなかった染色体異常も検出できるようになりました。

出生前診断を受ける際の注意点

出生前診断を受ける際には、いくつかの重要な注意点があります。検査を受ける前に、以下のポイントをよく理解しておきましょう。

検査前の十分な理解と遺伝カウンセリング

出生前診断は単なる医学的検査ではなく、結果によっては重要な決断を迫られる可能性もある検査です。そのため、検査を受ける前に以下のポイントについて十分に理解し、専門家による遺伝カウンセリングを受けることが重要です。

  • 1 検査の限界:どの検査も100%完璧ではなく、検出できない異常もあります
  • 2 検査結果の解釈:陽性結果が出た場合の意味と次のステップ
  • 3 心理的影響:検査前から結果を知った後までの心理的サポート
  • 4 検査後の選択肢:異常が見つかった場合の様々な選択肢

遺伝カウンセリングの重要性

出生前診断を受ける前に、専門的な知識を持った遺伝カウンセラーや医師による遺伝カウンセリングを受けることで、検査の意義や限界、結果の解釈について正しく理解することができます。特にNIPTでは陽性結果が出た場合の次のステップや、心理的なケアについても事前に相談しておくことが大切です。

クリニック選びのポイント

出生前診断、特にNIPTを受ける際には、クリニック選びも重要なポイントです。以下の点を考慮して、信頼できる医療機関を選びましょう。

検査技術と精度

  • どの世代のNIPT技術を使用しているか
  • 検査の精度や検出率の実績
  • 最新技術(COATE法など)の有無

カウンセリング体制

  • 認定遺伝カウンセラーの在籍状況
  • 検査前後のサポート体制
  • 陽性結果が出た場合のフォロー

検査項目と費用

  • 検査可能な染色体異常の種類
  • 検査費用と保険適用の有無
  • 追加検査が必要になった場合の費用

検査結果の解釈と次のステップ

検査結果を正しく理解し、その後の対応を考えることも重要です。特にスクリーニング検査であるNIPTの結果は、以下のように解釈することが大切です。

検査結果 意味と解釈 次のステップ
陰性
  • 検査した染色体異常のリスクが低い
  • 100%異常がないとは言えない
  • 通常の妊婦健診を継続
  • 必要に応じて詳細超音波検査
陽性
  • 染色体異常の可能性が高い
  • 確定診断ではない(偽陽性の可能性も)
  • 遺伝カウンセリングを受ける
  • 羊水検査などの確定検査の検討
  • 心理的サポートの利用
判定保留
  • 胎児由来DNAの割合が低いなどの理由で判定できない
  • 検査の精度に問題がある場合も
  • 再検査の検討
  • 別の検査方法の検討
  • 医師と今後の方針を相談
陽性結果が出た場合の対応

NIPTで陽性結果が出た場合は、まず深呼吸をして冷静になりましょう。NIPTはあくまでスクリーニング検査であり、陽性結果が出ても実際には染色体異常がないケース(偽陽性)も存在します。

次のステップとして、医師や遺伝カウンセラーと十分に相談し、羊水検査などの確定検査を検討することが重要です。その際には、検査のリスクと利益をよく理解した上で決断しましょう。

また、心理的なサポートを受けることも大切です。同じ経験をした人たちのサポートグループや、専門のカウンセラーに相談することで、不安や心配を和らげることができます。

認証施設と非認証施設の違い

出生前診断には日本医学会の出生前検査認証制度等運営委員会による認証を受けた「認証施設」と、認証を受けていない「非認証施設」があります。それぞれの特徴を比較してみましょう。

比較項目 認証施設 非認証施設
設置基準
  • 基幹施設:臨床遺伝専門医と小児科専門医が常勤
  • 連携施設:臨床遺伝専門医または研修修了医師が在籍
  • 遺伝カウンセリング体制が整備されている
  • 日本医学会の認証基準を満たしていない
  • 臨床遺伝専門医の常駐は必須ではない
  • 遺伝カウンセリング体制はクリニックによって異なる
費用
  • 10〜20万円程度
  • 全額自己負担(保険適用外)
  • 8〜20万円程度
  • 自由診療のため全額自己負担
検査項目
  • 基本的なトリソミー(13・18・21)に限定
  • 日本医学会の指針に沿った検査内容
  • 基本トリソミー以外にも多数
  • 性染色体異常、微小欠失など
  • クリニックにより検査内容が異なる
対象条件
  • 以前は年齢制限などあったが現在は緩和
  • 施設によって条件が異なる場合も
  • 基本的に制限なし
  • クリニックによって最低年齢あり
実施施設
  • 大学病院や総合病院が中心
  • 予約が取りにくいことも
  • 全国の一般クリニックや医療機関
  • 比較的予約が取りやすい
メリット
  • 費用が安い
  • 公的医療機関の信頼性
  • 結果後のフォローが充実
  • 条件に関係なく受検可能
  • より多くの検査項目
  • 最新技術の導入が早い

どちらの施設を選ぶかは、ご自身の状況や優先事項によって異なります。費用面を重視するなら認証施設、検査の範囲や受検のしやすさを重視するなら非認証施設がおすすめです。

ミネルバクリニックの特徴

非認証施設の中でも、ミネルバクリニックは臨床遺伝専門医が運営する唯一の非認証施設として知られています。検査説明、陽性になった時のカウンセリングからその先までワンストップで対応しているのが特徴です。

専門医による診療体制
院長自身が内科専門医・がん薬物療法専門医・臨床遺伝専門医の資格を持つ医師で、全ての患者に対して院長自ら遺伝カウンセリングを実施しています。

先進的な検査技術
最新の第3世代スーパーNIPT検査を日本で唯一提供。基本トリソミー検査だけでなく、微小欠失症候群や単一遺伝子疾患も検査可能です。

充実したサポート体制
陽性結果が出た場合の羊水検査費用補助あり(全額)。また、検査後のフォローが充実しており、24時間対応、回数無制限の相談サポートを提供しています。

アクセスの良さ
オンライン診療で全国どこからでも受診可能。来院が難しい方でも安心して検査を受けることができます。

出生前診断は重要な意思決定に関わる検査です。どの施設を選ぶにしても、事前に十分な情報収集をし、ご自身の状況に合った施設を選ぶことが大切です。

まとめ:出生前診断を受ける時期と選び方

出生前診断は妊娠期間中のさまざまな時期に受けることができますが、検査の種類によって最適な時期が異なります。ここで改めて主な検査の時期と特徴をまとめます。

検査名 時期 妊娠期
NIPT 6〜18週(ミネルバクリニックでは6~9週は臨床試験) 初期〜中期
NT測定 11〜13週 初期
絨毛検査 11〜13週 初期
羊水検査 15週以降 中期
母体血清マーカー 15〜18週 中期
0週 〜 13週:妊娠初期
14週 〜 27週:妊娠中期
28週 〜 出産:妊娠後期

適切な出生前診断を選ぶためのポイントは以下の通りです:

1.
検査の目的を明確にする:なぜ検査を受けたいのか、結果をどう活用したいのかを考えましょう

2.
妊娠週数に合わせて選ぶ:現在の妊娠週数で受けられる検査を確認しましょう

3.
検査の精度とリスクを比較する:非侵襲的検査か確定的検査か、それぞれのメリット・デメリットを理解しましょう

4.
遺伝カウンセリングを受ける:検査前に専門家に相談し、十分な情報を得た上で決断しましょう

5.
信頼できる医療機関を選ぶ:検査技術、カウンセリング体制、アフターケアを確認しましょう

最後に

出生前診断は個人の価値観や状況によって、受けるかどうか、どの検査を選ぶかが異なります。この記事の情報を参考に、ご自身やパートナーと十分に話し合い、医療専門家のアドバイスを受けながら、最適な選択をしてください。

どのような選択をするにしても、それはあなた自身の大切な決断です。十分な情報を得た上で、自分らしい選択ができることを願っています。

参考文献・リソース

  • 1 日本産科婦人科学会「出生前診断に関する見解」
  • 2 日本医学会「NIPTに関する提言」
  • 3 厚生労働省「出生前診断に関する情報提供」
  • 4 The American College of Obstetricians and Gynecologists「Prenatal Genetic Screening Tests」
  • 5 International Society for Prenatal Diagnosis「Position Statement on Genome-Wide Sequencing for Fetal Diagnosis」

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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