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先天異常とは?先天奇形・奇形児の原因・確率・種類を臨床遺伝専門医が解説

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

「赤ちゃんに先天異常があったらどうしよう」「奇形児が生まれる原因は何だろう」——妊娠中にそうした不安を抱えて、夜中にこの言葉を検索される方は少なくありません。まずお伝えしたいのは、先天異常の多くは、誰のせいでもなく起こるということです。この記事では、先天異常とは何か、どのくらいの割合で起こるのか、原因や種類を、臨床遺伝専門医の立場から、正確に、そして不安をあおらない言葉で整理してお伝えします。

この記事でわかること
📖 読了時間:約12分
🩺 先天異常・先天奇形
★ 臨床遺伝専門医監修
  • ➤先天異常とは、生まれつきの形や機能の違いを広く指す言葉であること
  • ➤赤ちゃんのおよそ3〜5%にみられ、決してまれではないこと
  • ➤原因の多くは特定できず、「母親のせい」ではないこと
  • ➤染色体・遺伝子・環境がどう関わるのか
  • ➤出生前にわかること・わからないこと、検査で確かめる方法
  • ➤ダウン症候群のほかに、NIPTで調べられる病気があること

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. 先天異常とは?どのくらいの割合で起こりますか?

生まれつきの体の形や働きの違いを広く指す言葉で、赤ちゃんのおよそ3〜5%にみられます。原因の多くは今の医学でも特定できず、お母さんの行動のせいで起こるものではありません。

🔎 Q. ダウン症候群だけ調べれば大丈夫ですか?

大丈夫とは言い切れません。先天異常というとダウン症候群を思い浮かべる方が多いのですが、ご家族の子育ての負担をいちばん左右するのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動・自傷・睡眠の問題といった行動の問題だと報告されています。こうした問題を伴いやすい病気は微小欠失症候群や単一遺伝子疾患に多く、三大トリソミーだけの検査では調べられません。当院のNIPTは、これらの病気まで調べる範囲に含めています。

🩺 Q. 出生前の検査で、先天異常はすべてわかりますか?

すべてはわかりません。NIPTは染色体や一部の遺伝子の変化の可能性を調べる検査で、陽性のときは確定検査(絨毛検査・羊水検査)で確かめます。体の細かな形の違いのすべてが、生まれる前にわかるわけではありません。

🌱 Q. 自閉症・発達障害・知的障害は、NIPTでわかりますか?

一部はわかります。当院のNIPTは、自閉症・発達障害・知的障害の原因になる染色体や遺伝子の変化の一部を調べられます。ただし、陰性でも自閉症・発達障害・知的障害がないとは言えません。

\ ダウン症候群だけで大丈夫ですか? /

当院のNIPTは、子育ての負担につながりやすい微小欠失症候群や単一遺伝子疾患まで、調べる範囲に含めています。どこまで調べるかは、90分の受診枠の中で、常駐する臨床遺伝専門医の遺伝カウンセリングを受けながら決められます。

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先天異常とは?まず言葉の意味から

はじめに結論からお伝えします。先天異常とは、生まれる前に生じた原因によって、生まれつき体の形や働きに違いがある状態を広く指す言葉です。英語ではbirth defectと呼ばれます。出生前、生まれたとき、あるいは生後しばらくしてから気づかれることもあります[1]。

ここで大切なのは、「先天異常」がとても幅の広い言葉だということです。目に見える形の違い(形態異常)だけでなく、見た目には分からない体の働きの違い(機能異常)も含みます。ひとくくりに語られがちですが、実際には数え切れないほど多様な状態が、この一語のなかに含まれています。

「形の違い」と「働きの違い」の2つに大きく分かれる

先天異常は、大きく2つのグループに分けて理解すると整理しやすくなります。ひとつは体の形にあらわれる先天奇形(先天的な形態異常)、もうひとつは体の働きにあらわれる機能的な違いです。心臓や手足、口唇口蓋の形などにあらわれるものが前者、代謝や神経・筋肉、内分泌、血液、免疫などにかかわるものが後者にあたります。

💡 用語解説:先天奇形と「奇形」という言葉

先天奇形…生まれる前に生じた、体の形の違いのこと。「奇形」は医学の専門用語ですが、日常語としては強い響きを持つため、傷つく方もいらっしゃいます。当院では、その言葉の重みに配慮しながら説明することを大切にしています。
形の違いをすべて「異常」と呼ぶことにも、本来は慎重であるべきです。ここでは検索して情報を探しておられる方に届くよう一般的な用語を用いますが、その背景にこうした配慮があることを、まずお伝えしておきます。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「奇形児」という検索語の向こうにいる方へ】

「奇形児」という言葉で検索なさる方の多くは、悪気があるわけではなく、ただ不安で、正しい言葉を知らないまま手がかりを探しておられます。私はその検索の向こうに、眠れない夜を過ごす妊婦さんの顔を思い浮かべます。

ですから、言葉づかいを責めるより先に、正確な知識をお届けしたいのです。生まれつきの形や働きの違いは、その子の価値や人生を決めるものではありません。まずはそのことを、ここでお伝えしておきたいと思います。

先天異常の割合・確率はどのくらい?

受精した1個の細胞から、心臓や脳、手足のそろった赤ちゃんの体ができあがるまでの過程は、想像を超えて複雑です。それでも大多数の赤ちゃんは無事に育ちますが、ひとつひとつの工程が精密であるがゆえに、一定の割合で違いが生じます。

個々の疾患そのものはまれでも、先天異常をすべて合わせると、その頻度は決して低くありません。米国疾病予防管理センター(CDC)は、米国では毎年およそ33人に1人(約3%)の赤ちゃんが先天異常をもって生まれると報告しています[2]。定義や調査方法、追跡する期間によっても変わり、生後しばらくして分かるものまで含めると、おおむね3〜5%とされることが多いものです。

📊 数字をどう受け取るか

「3〜5%」を高いと感じるか低いと感じるかは、人によって違います。ただ、この数字には軽いものから重いものまで、あらゆる状態がまとめて含まれている点に注意が必要です。
生活にほとんど影響しない小さな違いも、丁寧な医療的サポートを要するものも、すべて同じ「3〜5%」の中にあります。この一語だけで、赤ちゃんの将来を思い描くことはできません。

なお、先天異常は乳幼児期(0〜4歳)の死亡原因として上位を占めることが、日本の人口動態統計でも示されてきました。数字としては重く受け止められがちですが、これは医療の進歩でほかの原因による死亡が大きく減った結果、相対的に順位が上がったという側面も持っています。医学の発展により、以前は難しかった状態にも、いまでは多くの治療やサポートの選択肢があります。

奇形児が生まれる原因は? ― 多くは「原因不明」

「なぜ生まれたのか」という問いは、当事者にとって最もつらい問いです。正直にお答えすると、先天異常の原因の多くは、現在の医学でも特定できません[1]。原因が分かるものを大きく分けると、染色体の変化、単一の遺伝子の変化、環境要因、そしてこれらが複雑に絡み合ったものになりますが、これらで説明できるのは全体の一部にとどまります[3]。

🧬 原因のおおまかな内訳

原因のグループ おおよその割合と内容
染色体の変化 全体のおよそ1割前後。ダウン症候群(21トリソミー)などが含まれます。
単一遺伝子の変化 数%程度。1つの遺伝子の変化が原因となるものです。
環境要因 感染や一部の薬など。全体からみると少数です。
原因不明・多因子 最も多いグループ。複数の要因がわずかずつ関わると考えられています。

つまり、「はっきりした一つの原因」が見つかることのほうが、むしろ少数派なのです。染色体を調べても違いが見つからないこともあります。だからこそ、原因を一つに決めつけて誰かを責めることには、科学的な根拠がありません。

⚠️ 大切なこと

先天異常のあるお子さんが生まれたとき、「母親のせい」「あのとき○○をしたから」という考えが流布することがあります。しかし多くの場合、これは誤りです。ご自分を責める必要はありません。

先天異常=遺伝、ではありません

よくある誤解として、「先天異常はすべて遺伝する」というものがあります。これは正しくありません。一般の方だけでなく、医療関係者のあいだでも見られる思い込みですが、親から子へ受け継がれる形の遺伝病は、実際には多くありません。

「体質を受け継ぐこと」と「病気が遺伝すること」は別

先天異常には、遺伝子や染色体の変化がかかわるものもあります。ただし、その変化が親から受け継がれたとは限りません。たとえばダウン症候群の多くは、ご両親の染色体には変化がなく、赤ちゃんに新しく生じたものです。「遺伝子がかかわる」ことと「親から遺伝する」ことは、同じではないのです。

また、体の設計図である遺伝子は、いつ・どの細胞で・どれくらい働くかまで精密に制御されています。この制御のどこかにたまたまエラーが起こると、脳や心臓が形づくられる大切な時期に影響し、先天異常につながることがあります。これは遺伝形式のはっきりした遺伝病とは、性質が異なります。

💡 用語解説:染色体異常と単一遺伝子疾患

染色体異常…遺伝子がぎっしり並んだ「染色体」の数や形の変化。染色体異常のくわしい解説もご覧ください。
単一遺伝子疾患…1つの遺伝子の変化が原因となる状態。単一遺伝子疾患のページもご覧ください。親から受け継ぐ場合と、赤ちゃんに新しく生じる場合の両方があります。

環境が関わる先天異常 ― 感染・薬・アルコール

受精からおよそ3か月までは、臓器が急速に形づくられる器官形成期です。この時期に外からの影響を受けると、体の形づくりに違いが生じることがあります。ただし、あとで述べるように、影響があるものは限られており、日常の多くの行動は心配ありません。

感染症・一部の薬

風疹、サイトメガロウイルス、トキソプラズマなどは、感染する時期によって赤ちゃんに影響することがあります。また、母親が服用した場合に影響しうる薬もあります。抗けいれん薬の一部や、血圧を下げる一部の薬などが知られていますが、こうした薬は限られており、多くの薬は妊娠中でも安全に使えます。自己判断で中止せず、必ず主治医にご相談ください。

💡 X線について

妊娠中のレントゲン(1回の単純撮影)であれば、通常、胎児への影響を心配する必要はないとされています。健診などで撮影が必要になっても、過度に不安になる必要はありません。

アルコールと胎児アルコール症候群

妊娠中の飲酒については、はっきりお伝えできることがあります。「ここまでなら安全」という量は分かっていません。米国では、原因のはっきりした発達の遅れの中で、胎児アルコール症候群が最も多いとされます[4]。子宮内での発育の遅れ、生後の低身長、発達の遅れ、特徴的な顔つきなどを伴います。ですから、妊娠中は飲酒を避けるのが望ましいとされています。

一方で、妊娠に気づく前にごく少量を1〜2回口にしていたとしても、それだけで先天異常と結びつけるのは適切ではありません。過ぎたことを悔やみ続けるより、これからできることに目を向けていただければと思います。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「あのときの一杯」を悔やむ方へ】

「妊娠に気づかず飲んでしまった」「薬を飲んでしまった」と気づいたとき、自分を責める気持ちが湧くのは自然なことだと思います。けれど、先天異常のある赤ちゃんの背景に、特定の行動を安易に結びつけることは、専門家がいちばん慎むべきことだと私は考えています。

因果関係は、そんなに単純ではありません。不確かなことで自分を責め続けるより、いま何ができるかに目を向けること。それが、赤ちゃんにとっても、いちばんよいことだと私は考えています。

先天異常の種類 ― 単発のものと、多発奇形症候群

先天異常には、体の1か所だけにみられるものと、複数の部位にまたがってみられるものがあります。後者のうち、解剖学的に離れた複数の場所に、いくつもの形の違いが分布する場合を「多発奇形症候群」と呼びます。「多発奇形症候群とは」「多発奇形 いつわかる」といった検索が多いのも、この状態への関心の高さを示しています。

複数の部位に違いがみられる場合、単一遺伝子疾患や染色体の変化がかかわっている可能性が、相対的に高くなります。医師は、成長の様子、体の各部のバランス、左右対称かどうか、筋緊張の状態などから、違いの組み合わせをみて臨床的に病名を推定し、必要に応じて遺伝子検査や染色体検査で確定診断を行います。

🔬 用語解説:多発奇形症候群

多発奇形症候群…離れた複数の部位に、複数の形の違いが同時にみられる状態。一つひとつを別々に考えるのではなく、「組み合わせのパターン」として捉えることで、背景にある原因(多くは特定の症候群)にたどり着きやすくなります。診断には専門的な評価が必要です。

出生前に何がわかる? ― NIPTと確定検査

「生まれる前に調べられないのか」と考える方は少なくありません。出生前の検査で分かることには範囲があり、すべての先天異常が事前に分かるわけではありません。ここは正確に知っておいていただきたいところです。

NIPTでわかること

NIPT(新型出生前診断/非侵襲的出生前検査)は、お母さんの血液に含まれるDNAのかけらを調べる検査です。採血のみで流産の心配がなく、主に次のようなことを調べられます。

🩺 NIPTで調べられる主な項目

調べる項目 内容
染色体の数の変化 21・18・13トリソミー、性染色体の数の異常など。
染色体の微小な欠失・重複 検査プランによって対象が異なります(当院ではスタンダードプランの6種類7疾患から、インペリアルプラン・双子マックスプランの92種類まで)。
単一遺伝子疾患 一部の項目について、対応するプランがあります(当院ではダイヤモンドプランが56遺伝子、インペリアルプランが最大155遺伝子・202疾患)。

ただし、NIPTは可能性を絞り込むための検査(非確定的検査)です[5]。陽性となった場合は、確定検査で本当にそうかを確かめる必要があります。検査の範囲について、くわしくはスタンダードプランのページや微小欠失症候群のページをご覧ください。

確定検査 ― 羊水検査・絨毛検査

確定検査は羊水検査と絨毛検査で、赤ちゃん由来の細胞そのものから核型(染色体の並び)を確認します。生まれたあとに確かめる場合も、染色体検査(Gバンド法)で確認します。出生前にわかるのは主に染色体や一部の遺伝子の変化であり、体の細かな形の違いのすべてが分かるわけではない点は、あらかじめ理解しておいていただきたいところです。

NIPTで陽性と出たときは、その結果だけで判断せず、確定検査で確かめてから考えることが大切です。当院では確定検査(絨毛検査・羊水検査)まで院内で受けられ、主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。NIPTの精度や陽性的中率の見方は、検査精度のページで説明しています。

染色体の数の異常だけではない ― NIPTで調べられるほかの病気

先天異常や発達の遅れの背景には、染色体の数の異常のほかに、染色体のごく小さな欠失・重複や、1つの遺伝子の変化が見つかることがあります。原因の分からない発達の遅れ・知的障害、自閉スペクトラム症、複数の先天異常のある方をマイクロアレイ検査で調べると、約15〜20%で原因となる微細な欠失・重複が見つかると報告されています[6]。当院のNIPTでは、こうした変化の一部を妊娠中に調べられます。たとえば22q11.2欠失症候群、プラダー・ウィリー症候群、アンジェルマン症候群はスタンダードプランから、レット症候群やコルネリア・デ・ランゲ症候群はダイヤモンドプランとインペリアルプランの対象です。ただし、NIPTは自閉症や発達障害そのものを診断する検査ではなく、陰性でも自閉症・発達障害・知的障害がないとは言えません。脆弱X症候群のようにNIPTでは調べられない原因もあり、症状の重さを予測することもできません。微小欠失・重複は数の異常より陽性的中率が低め(項目によって60〜70%程度)なので、陽性のときは必ず確定検査で確かめます。

知的障害を伴う病気のお子さんのご家族を比べた研究をまとめた報告では、スミス・マゲニス症候群やプラダー・ウィリー症候群(当院では全プランが対象)、ウィリアムズ症候群(インペリアルプラン・双子マックスプランが対象)のご家族は、ダウン症候群のご家族より子育てのストレスが高く、その差にもっとも強く関係していたのは、知的障害の程度よりも攻撃的な行動や自傷、睡眠の問題でした[7]。自傷はスミス・マゲニス症候群やプラダー・ウィリー症候群で、他人への攻撃的な行動はアンジェルマン症候群やスミス・マゲニス症候群で多いことも報告されています[8]。また、22q11.2欠失症候群は、妊娠中の赤ちゃんのおよそ1,000人に1人にみられる、微小欠失症候群のなかで最も多い病気で、お母さんの年齢とは関係なく起こります[9]。米国臨床遺伝・ゲノム学会(ACMG)は、年齢にかかわらずすべての妊婦さんに22q11.2欠失症候群のNIPTを提供することを提案しており[10]、当院ではスタンダードプランから調べられます。

ダウン症候群だけで大丈夫? ― 「値段」ではなく「調べられる範囲」で選ぶ

先天異常について調べていると、まずダウン症候群が気になり、「ダウン症候群だけ調べられれば十分」と考える方は少なくありません。けれども、出生前検査の対象になる病気は、どれも赤ちゃんとご家族のその後の暮らしに深くかかわります。ご家族を対象にした研究をまとめた報告では、子育ての負担をいちばん大きく左右していたのは、知的障害の程度そのものよりも、攻撃的な行動、自傷、睡眠の問題といった「行動の問題」でした[7]。そして、行動の問題を伴いやすい病気は、微小欠失症候群や単一遺伝子疾患のなかに多く含まれています[7][8]。三大トリソミー(13・18・21トリソミー)だけを調べる検査では、こうした病気は対象に入りません。

出生前検査は、ご家族のこれからにかかわるかもしれない検査です。「安さ」だけを基準に選んでしまって、大丈夫でしょうか。

考え方の目安として、検査の費用を「調べられる病気の数」で割ってみます。三大トリソミーだけを調べる検査を仮に10万円とすると、1つの病気あたりは約3万3千円です。当院のインペリアルプランは、全常染色体と性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、202の単一遺伝子疾患が対象で、性染色体の数の異常も含めて数えられる病気だけで320になり、1つの病気あたりにすると約1,719円です。このほかに、5Mbを超える欠失・重複はすべての染色体で調べているため、実際に調べている変化は、数えられる分よりさらに多くなります。

ただし、調べる病気の数が多いほどよい検査、ということではありません。調べる範囲が広がれば、陽性になる可能性も、確定検査が必要になる場面も増えます。だからこそ当院では、検査の前に臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングを行い、ご家族に合ったプランを選んでいただいています。

プラン 主に調べる範囲 数えた病気の数 1つの病気あたり
三大トリソミーだけを調べる検査
(仮に10万円とした場合)
13・18・21トリソミー 3 約33,333円
スタンダード
(220,000円)
13・18・21トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失6種類7疾患 14 約15,714円
プレミアム
(264,000円)
13・18・21・15・16・22トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失12種類13疾患 23 約11,478円
ダイヤモンド
(407,000円)
プレミアムの範囲+単一遺伝子56 79 約5,152円
双子マックス
(440,000円)
全常染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常 114+α 約3,860円
インペリアル
(550,000円)
全常染色体の数の異常、性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常、単一遺伝子202疾患 320+α 約1,719円

※価格は事前学習動画を見て来院した場合の当日割引後の税込価格です。最新の料金は料金ページをご確認ください。※病気の数は、数の異常・微小欠失・重複・単一遺伝子疾患を1つずつ数えたものです。性染色体の数の異常は4種類(ターナー症候群・クラインフェルター症候群・トリプルX症候群・XYY症候群)として数えています(性染色体を調べるのはスタンダード・プレミアム・ダイヤモンド・インペリアル。双子マックスは調べません)。5Mbを超える構造異常は数に入れていないため、双子マックスとインペリアルは実際にはさらに多くの変化を調べています。※「三大トリソミーだけを調べる検査」は計算のための仮の例で、特定の施設の価格ではありません。

それぞれのプランで調べられる病気の一覧は、各プランのページに載せています:スタンダードプラン/プレミアムプラン/ダイヤモンドプラン/双子マックスプラン/インペリアルプラン

\ どこまで調べたいかは、ご家族によって違います /

90分の受診枠の中で、常駐する臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、どのプランが合うかを一緒に考えます。来院が難しい方は、オンラインNIPT(Zoomでの遺伝カウンセリング+全国110か所の提携施設で採血)もご利用いただけます。

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当院でできること

ミネルバクリニックは臨床遺伝専門医が運営し、検査前の遺伝カウンセリングから検査、結果、その後のフォローまで終始責任をもって支援するクリニックです。2025年6月に産婦人科を併設し、確定検査まで院内で行える体制を整えました。

🏥 当院の検査・サポート体制

体制 内容
臨床遺伝専門医が運営・常駐 検査前の遺伝カウンセリングから結果、陽性後のフォローまで、臨床遺伝専門医が一貫して関わります。
産婦人科併設(2025年6月〜) NIPTから確定検査(絨毛検査・羊水検査)まで院内で受けられ、転院の必要がありません。主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。
日曜日に確定検査 確定検査は基本的に日曜日(月曜日が祝日のときは月曜日)に実施しています。遠方の方も予定を立てやすくなります。
中立・非指示的な遺伝カウンセリング 特定の選択へ誘導せず、ご自身で選べるよう情報をお伝えします。
オンラインNIPT Zoomでの遺伝カウンセリングと、全国110か所の提携施設での採血で、来院が難しい方も受けられます。
陽性後まで見届ける 陽性後の遺伝カウンセリングは何度でも無料です。結果が出たあとの時間こそ、いちばん支えが必要な時期だと考えています。

検査前後の遺伝カウンセリングは、常駐する臨床遺伝専門医が、90分の受診枠の中で行います。当院でNIPTを受ける方には羊水検査互助会(カトレア会)にご加入いただき、陽性となった場合の確定検査(羊水検査・絨毛検査)の費用が補助されます(補助の上限はありません)。来院が難しい方にはオンラインNIPTもあります。料金は料金ページをご確認ください。

まとめ

📌 重要ポイントのまとめ
  • ➤先天異常とは:生まれつきの体の形や働きの違いを広く指す言葉で、内容はきわめて多様
  • ➤割合・確率:新生児のおよそ3〜5%にみられ、決してまれではない
  • ➤原因:多くは特定できず、「母親のせい」ではない
  • ➤遺伝との関係:「遺伝子がかかわる」ことと「親から遺伝する」ことは別
  • ➤環境要因:影響しうるものは限られ、多くの薬やX線は過度に心配しなくてよい
  • ➤検査:NIPTは可能性を絞り込む検査で、確定は羊水検査・絨毛検査による。すべてが事前に分かるわけではない
  • ➤検査の選び方:ダウン症候群のほかにも、NIPTで調べられる病気がある。値段ではなく、調べられる範囲で選ぶ

先天異常という言葉は、どうしても不安を呼び起こします。けれど本当に大切なのは、正確な知識で、根拠のない自責や不安から自由になることだと私たちは考えています。気がかりなことがあれば、お一人で抱え込まず、主治医や専門医に相談してください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 先天異常とは何ですか?

生まれる前に生じた原因によって、生まれつき体の形や働きに違いがある状態を広く指す言葉です。目に見える形の違い(先天奇形)と、見た目には分からない働きの違い(機能異常)の両方を含みます。含まれる状態は非常に多様で、軽いものから医療的サポートを要するものまでさまざまです。

Q2. ダウン症候群だけ調べれば大丈夫ですか?

ダウン症候群だけを調べておけば大丈夫、とは言えません。知的障害を伴う病気のお子さんのご家族を比べた研究では、スミス・マゲニス症候群、ウィリアムズ症候群、プラダー・ウィリー症候群のご家族のほうが、ダウン症候群のご家族より子育てのストレスが高く、その差にいちばん強く関係していたのは、知的障害の程度よりも行動の問題でした。これらの病気は、三大トリソミーだけを調べる検査ではわかりません。当院では、スタンダードプランから22q11.2欠失症候群、プラダー・ウィリー症候群、アンジェルマン症候群、スミス・マゲニス症候群などの微小欠失を、ダイヤモンドプランとインペリアルプランでは単一遺伝子疾患まで調べられます(ウィリアムズ症候群はインペリアルプランと双子マックスプランの対象です)。どこまで調べるかは、検査前の遺伝カウンセリングでご家族と一緒に考えます。

Q3. 奇形児が生まれる確率はどのくらいですか?

先天異常をすべて合わせると、新生児のおよそ3〜5%にみられるとされています。米国疾病予防管理センター(CDC)は、米国ではおよそ33人に1人(約3%)と報告しています。ただしこの数字には、生活にほとんど影響しない小さな違いから、丁寧なサポートを要するものまで、あらゆる状態が含まれている点に注意が必要です。

Q4. 奇形児が生まれる原因は何ですか?

原因が分かるものには、染色体の変化、単一の遺伝子の変化、感染や一部の薬などの環境要因があります。ただし最も多いのは、はっきりした原因を特定できないグループです。複数の要因がわずかずつ関わって起こると考えられており、「一つの原因」が見つかることはむしろ少数派です。

Q5. 先天異常は母親のせいなのですか?

多くの場合、そうではありません。「母親のせい」「あのとき○○をしたから」という考えが流布することがありますが、科学的な根拠はありません。原因の多くは特定できず、誰かの行動に結びつけられるものではないのです。ご自分を責める必要はありません。

Q6. 先天異常はすべて遺伝するのですか?

いいえ。「先天異常=遺伝病」という思い込みは正しくありません。遺伝子や染色体の変化がかかわるものもありますが、その変化が親から受け継がれたとは限らず、赤ちゃんに新しく生じることも多くあります。「遺伝子がかかわる」ことと「親から遺伝する」ことは別の話です。

Q7. 妊娠中にお酒や薬を口にしてしまいました。大丈夫でしょうか?

妊娠に気づく前にごく少量のアルコールを1〜2回口にしていたとしても、それだけで先天異常と結びつけるのは適切ではありません。薬についても、影響しうるものは限られており、多くは妊娠中でも安全に使えます。自己判断で中止せず、必ず主治医にご相談ください。過ぎたことを悔やむより、これからできることに目を向けていただければと思います。

Q8. 多発奇形症候群とは何ですか?いつわかりますか?

解剖学的に離れた複数の部位に、複数の形の違いが同時にみられる状態を指します。この場合、単一遺伝子疾患や染色体の変化がかかわっている可能性が相対的に高くなります。医師が全身の状態や違いの組み合わせをみて臨床的に病名を推定し、遺伝子検査や染色体検査で確定診断を行います。わかる時期は状態によって異なり、出生前・出生時・生後としてさまざまです。

Q9. 出生前の検査で、先天異常はすべてわかりますか?

いいえ、すべては分かりません。NIPTは主に染色体の数や構造の変化、一部の単一遺伝子疾患を対象とし、可能性を絞り込む非確定的検査です。確定は羊水検査や絨毛検査による染色体検査で行います。出生前に分かるのは主に染色体や一部の遺伝子の変化であり、体の細かな形の違いのすべてが事前に分かるわけではありません。

🏥 NIPTを、調べられる範囲から選ぶために

ダウン症候群だけでなく、18・13トリソミーや微小欠失症候群、一部の自閉症・発達障害・知的障害の原因まで、当院のNIPTで調べられます。陽性の場合も、確定検査(絨毛検査・羊水検査)まで院内で受けられ、主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。まだ決めていない方は、プランと料金のページからご覧ください。

関連記事

参考文献

  • [1] World Health Organization. Congenital disorders (Fact sheet). 2023. [WHO]
  • [2] Centers for Disease Control and Prevention (CDC). Data and Statistics on Birth Defects. [CDC]
  • [3] Feldkamp ML, Carey JC, Byrne JLB, Krikov S, Botto LD. Etiology and clinical presentation of birth defects: population based study. BMJ. 2017;357:j2249. [PubMed 28559234]
  • [4] Williams JF, Smith VC; Committee on Substance Abuse. Fetal Alcohol Spectrum Disorders. Pediatrics. 2015;136(5):e1395-e1406. [PubMed 26482673]
  • [5] 出生前検査認証制度等運営委員会「NIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査)とは」 [公式サイト]
  • [6] Miller DT, Adam MP, Aradhya S, et al. Consensus statement: chromosomal microarray is a first-tier clinical diagnostic test for individuals with developmental disabilities or congenital anomalies. Am J Hum Genet. 2010;86(5):749-764. [DOI 10.1016/j.ajhg.2010.04.006]
  • [7] Fitzgerald J, Gallagher L. Parental stress and adjustment in the context of rare genetic syndromes: A scoping review. J Intellect Disabil. 2022;26(2):522-544. [DOI 10.1177/1744629521995378]
  • [8] Arron K, Oliver C, Moss J, Berg K, Burbidge C. The prevalence and phenomenology of self-injurious and aggressive behaviour in genetic syndromes. J Intellect Disabil Res. 2011;55(2):109-120. [DOI 10.1111/j.1365-2788.2010.01337.x]
  • [9] McDonald-McGinn DM, Sullivan KE, Marino B, et al. 22q11.2 deletion syndrome. Nat Rev Dis Primers. 2015;1:15071. [DOI 10.1038/nrdp.2015.71]
  • [10] Dungan JS, Klugman S, Darilek S, et al. Noninvasive prenatal screening (NIPS) for fetal chromosome abnormalities in a general-risk population: An evidence-based clinical guideline of the American College of Medical Genetics and Genomics (ACMG). Genet Med. 2023;25(2):100336. [PubMed 36524989]

※本記事は一般の方に向けた情報提供を目的とするもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。妊娠中の検査や治療については、主治医・専門医にご相談ください。

仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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