ダウン症候群

ダウン症候群の原因

東京でNIPT新型出生前診断/非侵襲的出生前検査)を提供している神宮外苑ミネルバクリニックです。このページではダウン症候群トリソミー21)について一般向けに特徴、診断方法、治療方法、予後などについて分かり易く解説しています。NIPTは血液で簡便に検査できるのですが、せめてどういう疾患かご理解の上でお願いいたします。

より詳細なリンク先はこちら

ダウン症候群(Down syndrome)は、ヒトの22対の常染色体(1~22番染色体)と2本の性染色体(X,Y染色体)のうち、21番染色体が1本多く存在し、合計3本(モノ・ジ・トリと数えるのでトリソミーといます)になることで発症する先天性疾患です。

多くは配偶子精子卵子)を作る為の第1減数分裂時の不分離によるものだといわれています。

ダウン症候群の頻度

新生児で最も多い遺伝性疾患となっています。

ダウン症は、ヒトにおいて最多の遺伝性疾患で、
年間1,000人に1人という頻度ですが、母体の年齢とともにリスクが上がります。最近では、母体の平均年齢の上昇にともない、年間500人に一人となっています。

ダウン症候群の疾患名称の変遷

蒙古症(もうこしょう)という黄色人種に対する人種差別的名称で呼ばれたこともあります。

ダウンは最初、目尻が上がっているなどという特徴を捉えて「Mongolism(蒙古人症)」または「mongolian idiocy(蒙古痴呆症)」と称し、発生時障害により人種的に劣ったアジア人のレベルで発育が止まったのだと仮説されました。アジア人にもこの病気がある事から、これは明らかな誤りだとされ、現在では「ダウン症候群」、「Trisomy 21」と名称されます。

ダウン症候群の症状

ダウン症候群の症状としては、
身体的発達の遅延、特徴的な顔つき(目と目の間が広いなど)知的障害が特徴です。

ダウン症候群の知的障害:知的障害の程度はばらつきは大きく、現時点で治療法は存在しません。早期からの療育によりQOLが改善されることが見込まれています。

先天性心疾患(50%)
低身長・肥満・筋力が弱い・頸椎が不安定
閉塞性睡眠時無呼吸(50-75%)
特異的顔貌・翼状頚 など
男性の場合、全て不妊。
女性の場合多くは妊娠が可能であるが、多くは自然流産。
また、母親(または父親)がダウン症候群患者の場合、
胎児のダウン症候群発症率は50%であるため高確率で遺伝すします。
40歳以降にアルツハイマー病を高確率で発症
顔の中心部があまり成長しないが、外側は成長するため、吊り上った小さい目を特徴とする顔貌(特異的顔貌)となります。

ダウン症候群のお子さんのお写真

ダウン症候群で見られる特徴的な手掌

高率に、鎖肛・先天性心疾患・先天性食道閉鎖症・白血病・円錐角膜・斜視・甲状腺機能亢進症・
甲状腺機能低下症などを合併します。

ダウン症候群の染色体異常

ダウン症候群の染色体異常は21番染色体トリソミー(通常は2本の染色体なのですが、1本ふえて3本になること)です。
トリソミーとなった理由は
1.生殖細胞の減数分裂時の失敗(染色体の不分離)
2.転座
3.モザイク
の3タイプに分けられます。
染色体トリソミーは21番染色体以外にも起こるのですが、

常染色体(1~22の番号がついている染色体をこう呼びます)には

生命活動に必須の遺伝情報が含まれるため、
トリソミーは流産または死産となることが多くなるのですが、
21番染色体染色体の中で遺伝子が一番少ない為、
障害を残すものの致命的とならない場合があるのです。

それでも生まれてこられるのは20-30%と言われています。

関連記事:
どうして染色体が3本になってしまうのか?
どうして高齢出産になるとトリソミーのリスクが上がるのか?
どうして染色体が3本になると人間は疾患になるのか

標準型ダウン症候群(95%):

標準型ダウン症候群は21番染色体減数分裂時の不分離(ちゃんと分かれる事が出来なくて、2本が1本ずつにならずに2本とも一つの細胞に移行してしまう)によるものです。
標準型ダウン症候群精子卵子という配偶子形成のときに減数分裂において染色体が分離できなかったことが原因です。

転座型ダウン症候群(3%):

21番染色体が他の染色体に付着しているものを指します。

転座型ダウン症候群の半数は親に均衡型転座があるとされ、ダウン症候群全体の1.5%を占める事となります。
転座型ダウン症候群は親の片方が均衡転座保因者であり、適切な遺伝カウンセリングを受ける必要があります。

関連記事:均衡型染色体構造異常

モザイクダウン症候群(1-2%):

個体の中に正常核型の細胞と21トリソミー(21番目の染色体が3本ある核型)の細胞とが
混在しているのがモザイク型ダウン症候群です。

モザイクというのは、同じ1つのものから違う性質のものが出来る事を言います。

余談ですが、これに対してキメラというのは、違う性質のものが一緒になっていることを指し、有名なのは頭が人間、体はライオンというスフィンクスがあります。

モザイクダウン症候群受精後の卵分裂の過程で染色体の不分離が起こり、正常な細胞とトリソミーの細胞が混在するようになるもので、正常な細胞も多数あるので、重度な障害は見られないとされていますが、どの臓器を作る細胞にモザイクがあるかによってダウン症候群の症状は異なります。

また、異常な細胞は分裂能力に問題があり、生後、末梢血のなかのトリソミーの細胞の割合を見ていくと経時的に下がっていくとか、消えたという報告もあります。

しかし特徴的顔貌などの表現型が正常になることはありません。
骨格などは発生の途中で決まっていくからです。

ダウン症候群の診断

ダウン症候群の検査

1.ダウン症候群の絨毛検査

妊娠11週頃に絨毛検査で確定的に診断できるのですが、
絨毛検査は採取した場所しか検査出来ないので、正常のところばかりを採取してしまい、
モザイクが見逃されることがあります。
絨毛検査をしている医療機関が羊水検査に比べて少ないという難点もあります。

2.ダウン症候群母体血清マーカー検査

妊娠15-16週頃に行う母体血清マーカー検査(クワトロテスト等)
は確率しかわからず、
例えば同年齢の人の通常より3倍と言われても、
実際に自分が該当するのかどうなのかが全く分からず、
結果が出るまでに2-3週間を要する、
つまり陽性と出た時点で18週なため、
あわただしく羊水検査を受ける事につながります。

3.ダウン症候群NIPT非侵襲的出生前検査

これに対してNIPTは、陽性・陰性ははっきり出るのですが、
スクリーニング検査
(正常と考えられる集団から以上のある可能性のある人をはじき出して、確定診断に結び付ける機会を付与するための検査。
肺がん検診と同じと考えて頂くとちょうどいいです。異常なしは、異状なし。異常があれば別の検査で確定しますよね?)
であるため、陽性の場合は確定のための検査が必要になります。

しかし、NIPTは9週から可能で1-2週間で結果が出る、という違いは大きなものだと思います。
また、最近では第2世代第3世代という新しいNIPTの技術が出てきて、精度が上がっているのでトリソミー21に関しては陽性的中率100%となっています。
母体のことを考慮すると羊水検査まで待って20週くらいになるより、精度の高い検査方法で早めに判断できるのは大きなメリットだと考えています。

4.ダウン症候群羊水検査

妊娠15~16週で行います。
確定的検査ではありますが、モザイク型ダウン症候群の場合、皮膚(外肺葉)に異常がなければ検出できませんので、羊水検査も100%ではありません。

関連記事:スーパーNIPT
マルチNIPTカリオセブン
アラフォー応援コース

出生前検査に関する考え方

日本

わが国では血清マーカーを導入するときに、
当時の厚生労働省出生前診断に関する専門委員会では、母体となった古山研究班の「医療者側から勧める事はしない」という結論をまとめました。
裁判所の判決も、高齢出産であるからということで、こうした検査があることを説明しなくても医療側の過失ではないとされています。(京都地裁平成9年1月24日判決

イギリス

イギリスでは国策として2004年以降は全妊婦に出生前診断を推進しているのですが、
血清マーカーに対して公費が負担されるのであり、
NIPTは自費で行うということはあまり知られていないように思います。
(ミネルバクリニックに来たイギリス人のかたやイギリス在住時に受けた事のある人たちから伺いました)
イギリスでは出生前診断を殆ど義務化しているのですが、これは『蒙古症』と呼ばれていた通り、『優秀な白人であるイギリス人がなぜアジア人と同じ顔にならないといけないのだ』という昔ながらの考えも根強いです。
パリのパスツール研究所に留学していた人は、「日本人はどうやってダウン症候群の子を見分けているのだ?」という質問を受けたそうです。
つまり、白人からすると日本人というかアジア人は全員ダウン症候群にみえて区別がつかないということらしいのです。
また、イギリスでは医療が公費負担なので、ダウン症候群の障害児が生まれると高くつくから全体としてコストを抑えるため、という経済的事情もあります。
こうした点から、わが国にイギリスと同じシステムを導入するのは難しいのではないかと感じています。

倫理的問題点

2002年の人工妊娠中絶率を報告した論文では、
イギリスとヨーロッパでダウン症候群と診断された妊婦のうち、
91-93%が妊娠中絶しています。
アメリカでも同様に中絶率は高く87-98%と報告されています。

ダウン症のお子さんが生まれた際、無償の愛と存在することの喜びを感じたあるジャーナリストの夫は、妻が検査を受けていれば中絶できた、という雑音に怒りを表明したそうです。

しかし、そのお子さんへの態度は素晴らしいものだと思いますが、果たして出生前検査と発見時に中絶をすすめる医師や
助産師を攻撃したりすることはどうなのでしょうか?

現実は辛いですよね?

障害を持った個人の支援をするということは、マンパワー・共感的感情・エネルギー、そして有限の資源である財源を要すると言う事は事実ですよね。

自分が他人(社会)にその重荷を背負わせる権利があるのか、という意見もあります。

しかし、行き過ぎると優性思想の復権につながり、果てはデザイナーズベビーにつながっていきます。

果たして我々は一体どこで線引きをすべきなのか?

何を許容し、何を許容しないのか?

人類は一体どこまで神に近づこうとしているのか?
出生前診断には深刻な問題が横たわっています。

ちなみに、ミネルバには出生前診断をせずに生まれたお子さんが
ダウン症候群だったという患者さんたちも検査に来ます。

いろんな思いを伝えていただいたり、
実際にダウン症候群のお子さんにあわせていただいたりしておりますが、
天使ちゃんのようなその可愛らしさに感動します💛

でも、口をそろえておっしゃることは、

この子は愛しくて仕方がないのだけど、
2人目の同じ疾患のお子さんを持ちたくないということなんです。

ダウン症候群などの障害のあるお子さんをお持ちの御夫婦は、
別にその子が生まれてこなければよかったと思って出生前診断を受けに来るわけではありません。

人それぞれいろんな事情があります。
だから、外野が一方的に自分たちの価値観で非難すべきではない、
とわたしは思っています。
家族の一生の問題ですから。

 

ダウン症候群の治療

ダウン症候群には根本的な治療方法(根治療法)はありません。
心疾患等の合併症に対しては心臓の穴をふさぐなどの外科的な医療介入(手術)が行われます。

文責:仲田洋美

医籍登録番号 第371210号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号

 

Pocket