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羊水検査とは?メリット・デメリットや注意点をまとめて紹介

羊水検査では、出産前に赤ちゃんの検査ができます。メリットが多い検査ですが、リスクやデメリットがないわけではありません。
正しく羊水検査の内容や注意点を理解したうえで、検査を行わなくてはいけません。

本記事では羊水検査の基本的なことを解説し、検査内容や知っておきたいリスクなどもお話します。

羊水検査とは?

羊水検査とは?メリット・デメリットや注意点をまとめて紹介

羊水検査は、赤ちゃんが生まれる前に受けられる検査のひとつです。どのような検査なのか、まずは基本的なことを知っておきましょう。

羊水検査は赤ちゃんの染色体を調べる確定検査

羊水検査では、絨毛検査NIPT新型出生前診断)と同様に赤ちゃんの染色体を検査できます。

赤ちゃんが包まれている羊水の中には、赤ちゃんの皮膚や排泄物が混ざっており、細胞が含まれています。その細胞を培養して検査することで、赤ちゃんの染色体を直接検査できる点が大きなポイントです。

とても精度が高い検査であるため、絨毛検査と並ぶ確定検査となります。
必ずしも受けなければいけないものではなく、羊水検査の対象になった場合でも同意がなければ検査は行いません。

羊水検査の対象者

羊水検査の対象となるのは、以下のような場合です。

  • 非確定検査(NIPT・超音波検査・母体血清マーカー)の結果が陽性だった場合
  • ・ご夫婦のどちらかが染色体異常保因者である場合
  • ・染色体異常児(ダウン症候群エドワーズ症候群など)の出産経験がある場合
  • ・高齢出産(35歳以上)である場合
  • ・反復流産の経験がある場合

このような理由がある場合は、ご夫婦に検査について説明し、ご希望を伺うことになります。
対象となった場合でも、必ず検査をしないといけないわけではありません。検査を行うリスクもゼロではないため、ご夫婦でよく検討してください。

羊水検査を行うタイミング

羊水検査を行うタイミングは、妊娠15週~18週(妊娠4ヵ月~5ヵ月)の妊娠中期です。
15週よりも早いと羊水の量がまだ十分ではないため、羊水検査はできません。
基本的に15週を超えていればいつでも検査ができますが、18週より遅い場合は、結果を受けた後の選択肢の幅が狭くなります。

早めに染色体の検査をしたい場合は、NIPTなら妊娠10週くらいから受けられます。
しかし、NIPTは非確定検査であるため、陽性になった場合は追加で羊水検査か絨毛検査を行う必要があります。

羊水検査によってわかること

羊水検査リスクのサムネイル

羊水検査では、お腹の中にいる赤ちゃんの染色体の数や構造の異常を知ることができます。これによって出生前にわかる病気は以下のとおりです。

21トリソミー(ダウン症候群)

一般的にダウン症と呼ばれるこの症状は、2本であるはずの21番染色体が3本ある異常です。
顔立ちや体型などの外見的な特徴があり、筋力の発達が遅くなりやすく、知的障害も見られます。また、消化器官や心臓の先天性異常、甲状腺疾患や糖尿病など、さまざまな合併症を起こすことがあり、寿命は平均よりも短い傾向が強いです。

18トリソミー(エドワーズ症候群)

エドワーズ症候群は、2本であるはずの18番染色体が3本ある異常です。
ダウン症に続いて2番目に多い染色体異常ですが、心疾患や横隔膜、肺などの異常をはじめ、重篤な疾患や合併症を持っていることが少なくありません。
そのため流産が多く、生後1年までの生存率は10%未満とされています。

13トリソミー(パトー症候群)

パトー症候群は、2本であるはずの13番染色体が3本ある異常です。
重度の知的障害に加えて、顔や手足の構造的な異常や、心臓、脳にも異常が発生します。
発達がゆっくりなことも特徴で、お腹の中や生後1年未満で亡くなってしまう子がエドワーズ症候群と同様にとても多いです。

モノソミーX(ターナー症候群)

ターナー症候群は女性特有の染色体異常です。性染色体XXのうち、1本の一部や全体が欠けています。
低身長や構造的な異常などの外見的特徴や、二次性徴が現れないなど、いろいろな症状が出る可能性があります。中でも不妊症はほとんどのターナー症候群の人に見られます。
しかし、長期的な予後に大きな問題はありません。

クラインフェルター症候群

クラインフェルター症候群は男性特有の染色体異常です。性染色体XYがXXYやXXXYなど、Xが2つ以上になっています。
手足が細くて長い外見的な特徴や、精巣委縮、無精子症、女性化乳房などの症状が発生することが多いです。
個人差がある部分ですが、言語能力や読む力に問題を抱えることもあります。

羊水検査の方法

検査

羊水検査ではお腹に針を刺して羊水を採取します。赤ちゃんがいるお腹に針を刺すことは、とても大きな不安になりますので、どのような検査がされるのかあらかじめ知っておきましょう。

羊水検査で行うこと

羊水検査では以下の流れで検査を行います。

順番 概要
1. 超音波検査(エコー) 最初に超音波検査で、赤ちゃんの発育や心拍の状態と羊水の量を確認します。
ここで羊水検査が行えるか、針を刺しても問題ないかなどを判断します。
2. 針を刺す お母さんのお腹に針を刺します。
針を刺す場所はおへその下あたりで、基本的に麻酔は行いません。
痛みは通常の注射と同程度で、採血するときよりも痛くないといわれています。
3. 羊水を採取する 20秒ほどかけて羊水を採取します。
採取する羊水の量は約20mlで、赤ちゃんに影響のない量です。
通常は1回の採取ですが、十分な量が採れない場合は複数回行います。
4. 超音波検査 針を刺した影響が出ていないか、超音波検査で赤ちゃんの状態を確認します。
5. 安静 約30分の間、安静にして様子を見ます。
6. 超音波検査 最後にもう1度超音波検査を行い、異常がないことを確認して検査終了です。

検査後は抗生物質と子宮の収縮を抑制するお薬が処方されます。決められた日数分必ず飲むようにしましょう。
また、体への負担を考慮して翌日はできるだけ安静にしてください。家事や買い物などは大丈夫ですが、無理は禁物です。

羊水検査にかかる時間

羊水検査にかかる時間は、検査開始から終了までは1時間ほどです。最後の超音波検査で問題がなければ、そのまま帰宅できます。

羊水検査の結果がわかるまでは、通常3週間ほどかかります。
羊水から採取した赤ちゃんの細胞を増やしてから染色体を検査するため、培養する期間が必要だからです。

赤ちゃんの細胞が増えない場合は、早めに連絡が来て再度羊水検査を行うことになります。

羊水検査のメリット・デメリット

医師から羊水検査について説明を受けている女性

羊水検査は、赤ちゃんが生まれる前に染色体の異常を発見できる優秀な検査方法です。しかし、デメリットもあります。羊水検査をする前に、メリットとデメリットの両方を正しく理解しておきましょう。

羊水検査のメリット

羊水検査のメリットは、赤ちゃんの状態がわかることと、出産前に準備ができることが挙げられます。

1. 妊娠中期に赤ちゃんの状態がわかる
羊水検査の対象になる人は、年齢や過去の出産経験、ご自身が保有する因子などに不安を抱えていることが多いです。
妊娠中期にできる羊水検査の結果が陰性であれば、そのような不安を解消して、穏やかに過ごせるようになります。

陽性だった場合は、相談したり、情報を集めたりして、時間をかけて赤ちゃんと向き合うことができます。

2. 出産前に十分な準備ができる
羊水検査の結果が陽性であった場合は、より安全に出産し、養育する準備が必要です。
早い段階で結果が出ていれば、専門医がいる病院を探すことや、ご両親が合併症や子どもの個性について学ぶ時間を作れるでしょう。

また、どのような状態で赤ちゃんが生まれてくるか、ある程度予測できることで、病院側も出産時のフォローを手厚くできるというメリットがあります。
赤ちゃんにとって最適な分娩環境を整えられるというのは、とても大きなメリットです。

羊水検査のデメリット

羊水検査のデメリットは、リスクがあることと、費用の負担が大きくなることが挙げられます。

1. 羊水検査のリスク
羊水検査では、母体のお腹に針を刺して羊水を採取しなくてはいけません。その際に赤ちゃんや臍帯を傷つける可能性があります。
流産のリスクは約0.3%といわれていますが、リスクがゼロではないことを十分に理解しておかなくてはいけません。

2. 検査費用の負担が大きい
羊水検査は保険適用外で、医療費控除や高額医療制度の対象にもなりません。
そのため、自己負担額がどうしても高額になってしまいます。

費用は病院によって差がありますが、羊水検査だけで10万円~20万円は考えておいたほうが安心です。
羊水検査の前には非確定検査をしている人が多いため、検査の総額は30万円~40万円ほどはかかる計算になります。

羊水検査の注意点

医師に検査を受けるかどうか相談をしている女性

最後に、羊水検査を受ける前に知っておきたい注意点をお話します。不安になる内容もありますが、羊水検査は万能ではないことを知っておきましょう。

すべての病気がわかるわけではない

染色体の検査は、専門家が目で見て判断をしています。
ダウン症候群やエドワーズ症候群などのように、明らかに染色体の数に異常がある場合は診断も正確に行われます。
しかし、分かりにくい構造上の問題や、細かい異常は見落とされてしまう可能性がゼロではありません。

とくにモザイク症といわれる、正常な染色体と異常な染色体が混在している状況では、異常が見落とされることがあります。
偶然正常な染色体のみが採取され、それによって異常なしと診断されるからです。
そのため、羊水検査では「モザイク症を除く染色体の異常はなし」と考えたほうが確実だといわれています。

また、羊水検査で診断できるのは染色体異常による病気のみです。羊水検査の結果が陰性だったとしても、染色体に現れない病気や構造的な異常がある可能性は残っています。

染色体異常の治療方法はない

羊水検査を行うことで、出産前に赤ちゃんの染色体異常を見つけることができます。
しかし、異常が見つかっても、現代の医学では治療を行うことはできません。赤ちゃんの状態によっては厳しい診断が下される可能性もあります。

羊水検査の結果が陽性だった場合にご両親ができることは、より安全な出産環境を整え、知識を得て十分に検討を重ねることです。

多胎妊娠の場合は精度が下がる

双子をはじめとした多胎妊娠では、羊水検査の精度が下がり、判断ができないことがあります。
細胞を摂取できない赤ちゃんがいたり、羊膜を通じて別の赤ちゃんの細胞と混ざってしまったりすることが少なくないからです。
羊水検査は確定検査ですが、多胎妊娠の場合は結果が不確実であると考えておいてください。

母体にもリスクがある

羊水検査では、大きくはありませんが母体に負担がかかります。
そのため、赤ちゃんだけでなくお母さんの体にも、以下のリスクがあることを知っておきましょう。

  • ・流産
  • ・破水
  • ・出血
  • ・子宮内感染
  • ・血管や腸管への傷
  • ・羊水塞栓症

羊水検査は危険なものではありませんが、このようなリスクもあることを忘れてはいけません。
羊水検査が必要になった際は、赤ちゃんとお母さん、両方の体にかかる負担を考えたうえで結論を出しましょう。

辛い決断が必要になることもある

羊水検査の結果が陽性で、赤ちゃんの状態が悪い場合は辛い決断をしなければいけないケースもあります。
その場合は、心にも体にも大きな負担がかかり、健康を大きく損なうことが少なくありません。

羊水検査をはじめとした出産前の検査は身近なものになりつつありますが、検査の結果次第では人生が大きく変わることもあります。
その点を十分に理解してから検査を受け、結果を聞くようにしましょう。

【まとめ】羊水検査はリスクを理解したうえで受けましょう

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羊水検査では高い精度で赤ちゃんの染色体異常を見つけることができます。
妊娠中期にわかるため、赤ちゃんに向き合い、夫婦で相談して決め、準備できる点が大きなメリットです。

しかし、赤ちゃんや母体への負担がないわけではありません。
リスクやデメリットをしっかりと理解してから、羊水検査を受けることが大切です。
夫婦で十分に相談し、不明な点があれば医師にも聞いて、不安をできるだけ減らした状態で受けてください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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