遺伝子検査とは

遺伝子検査とは

遺伝子検査とは遺伝子の主にエクソンと呼ばれるタンパクに翻訳されて機能する部分の塩基配列を解析して疾患の診断をしたり、疾患の可能性があるかどうかをスクリーニングしたり、家族に疾患がある場合に当該病的遺伝子の保有の有無をみる検査を言います。

 

minerva-clinic.or.jp/academic/terminololgyofmedicalgenetics/what-is-a-gene/

こちらのページに遺伝子とはを書きましたが。
遺伝子検査は、遺伝子を解析することで、病気かどうかとか、病気になりやすさ、薬の効き方、効くかどうか、副作用のでかたなど様々なことを知ることができるための検査です。

ヒトゲノムプロジェクトが始まった1990年代、ヒトひとりのゲノムのすべての塩基配列を決定するのには
世界中のコンピューターをつないで10年の月日と60億円のお金がかかりました。
このころは、次世代シークエンサーはなく、サンガー法というやり方で決定していました。

ところが2010年くらいから次世代シークエンサーが出てきて、これが改良されるとともに
DNAの解析技術は格段かつ急速に進歩し、また、解析費用が下がったため、短期間で行えるようになり
商業ベースにのりました。
また、血液ではなく唾液でも簡単に遺伝子を調べられることから、新しい病気の予防法として身近な検査となりました。

MYCODEなどの民間会社が参入していますが、これらは医療機関が使う衛生検査所とは違うためBtoC(DTC;direct to consumer)のこうした検査会社たちは【疾患の診断や薬の効き方】などといった医学的な情報を検査することは禁止されています。

ゆえに、我々医療機関の提供する遺伝子検査とDTC遺伝子検査は、遺伝子検査といっても全く異なるものです(月とすっぽん)。

遺伝子の全く同じ一卵性双生児でも、生活習慣が違えば疾患を発症するかどうかは異なってきます。

最近では、cell free DNAといって、細胞がアポトーシスという壊れ方をするときにできるDNAの断片を直接検出して検査できるようになったため、母体の採血で赤ちゃんの染色体の数の異常(ダウン症など)をみることができたり、もっと細かな染色体の細かな一部が欠損していることによりおこる疾患(微細欠失症候群)があるかどうか一部の疾患について検査可能となりました。

今後は、セルフリーDNAでがんに罹患しているかの診断や、再発のモニタリングなどにも応用されるようになります。

遺伝子検査の世界は本当に日進月歩で急速な変化を遂げています。

遺伝子検査の種類

診断的検査

診断検査は、個人が特定の状態に関連した徴候や症状を示している場合に行われます。
この場合の遺伝子検査は、より良い予後や医学的管理や治療選択肢を提供するために、確定診断に到達するために行われます。
検査により、診断が確定すると、早期の治療により軽度または無症状の状態(たとえばフェニルケトン尿症などの代謝性疾患)を実現できるかどうか、それとも現在は有効な治療法がないが薬の開発により将来的に利用可能な治療選択肢が出てきそうかなどを知ることができます。
遺伝子検査は、ダウン症候群、鎌状赤血球症、テイサックス病、筋ジストロフィーなどの多くの遺伝的身体条件に対して利用可能です。
遺伝子診断を確立することは、適切な場合には、家族内の他のリスクの高い人たちに検査を検討するよう注意を促し、発症予防への対策があれば取り組めることになりますし、予防対策がなかったとしても自分のリスクを正しく知ることで人生設計をそれに基づいてできるようになるというメリットもあります。

生殖のリスク(例えば、同じ診断を受けた子供を産む機会)も、診断後に検討することができます。嚢胞性線維症のように、母親と父親の両方が遺伝子を受け継がない限り、多くの疾患は発症しません;これは常染色体劣性遺伝として知られています。常染色体優性疾患は、ハンチントン病や ディジョージ症候群のように、片方の親から遺伝することもあります。しかし、他の遺伝性疾患は、細胞分裂の過程で起こるエラーや突然変異(例:異数分裂)によって引き起こされるものであり、遺伝ではありません(新生突然変異)が、当該病気のある個体からは受け継がれるので遺伝性疾患に分類されています。

どのような疾患かを確定することは、どういう遺伝形式なのかを確定する事であり、人生設計にとっては非常に有益だといえます。

着床前遺伝子検査PGT

PGTは胚にとって安全で、診断の信頼性が高く、生殖の観点からより効率的で、費用対効果が高いと考えられています。
PGTには3種類あり、いずれも生殖補助技術(ART)を用いた体外受精(IVF)が必要となります。
1.PGT-M
単一遺伝性疾患に対するPGT-Mでは、母体に着床させる前に胚を特定の条件で検査することをいいます。この技術は現在、海外では嚢胞性線維症、テイサックス、筋ジストロフィーなどの小児期に発症した障害のほか、ハンチントン病、遺伝性乳がんおよび卵巣がん症候群、リンチ症候群などの成人期に発症した疾患に対しても実施されています。
2.PGT-SR
PGT-SRは構造的再配列のため、構造的染色体異常(転座)の影響を受けない妊娠を確立するために胚を検査します。
3.PGT-A
PGT-Aは、異数性のための検査で、以前は着床前遺伝子スクリーニングと呼ばれていましたが、これには胚を検査して異数性を特定することが含まれています。PGT-Aを実施するための適応症はカップル、着床失敗、再発流産、重度の男性因子または母体高齢になります。
遺伝カウンセリングでは、不妊症および/または再発性妊娠喪失のカップルのために、医学的評価と臨床検査を行うこともできます。

スクリーニング検査

スクリーニング検査はしばしば診断検査の前に使用され、病気の早期の証拠を発見することを意図して、固定された特徴や性質に応じて病気の可能性のある人を分離するように設計されているものをいいます。
例えば、妊娠中のスクリーニング検査母体の血液検査や超音波検査など)で健康問題や遺伝性疾患のリスクが明らかになった場合、患者は遺伝カウンセリングを受けて、疑われる疾患に関する追加情報を学び、出産後のものや、妊娠中のもの(妊娠を中止する選択肢など)も含めて、その疾患に対して利用可能な管理、治療、治療法について話し合った上で、自分の選択肢について知ることが奨励される。患者は、追加のスクリーニングや検査を拒否したり、診断検査に進むことを選択したり、妊娠中のリスクを精査するためにさらなるスクリーニング検査を受けることができます。

発症前検査

症状を発症する前に、家族内に特定の診断(典型的には成人発症)があることを知っていて、他にも病的遺伝子をもっている親族がいるにもかかわらず、検査を求める時点では患者自身に臨床所見がない場合に、当該病的遺伝子をもっているのかどうかを知るために行われます。発症前検査を実施するかどうかの決定には、思慮深いアプローチが必要であり、様々な医学的、生殖学的、社会的、保険的、経済的要因を考慮しなければなりません。
それぞれの特定の診断に対する治療法や医学的管理の選択肢があるかどうか、その特定の疾患の遺伝や遺伝パターンを検討する必要があります。

 

この記事の著者:仲田洋美医師
医籍登録番号 第371210号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号