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低リン血症性くる病(XLH・ビタミンD抵抗性くる病)の遺伝子検査|原因遺伝子22種と遺伝のしかた・治療の選び方

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

低リン血症性くる病(XLH・ビタミンD抵抗性くる病)の遺伝子検査

低リン血症性くる病は、血液中のリンが足りないために骨が十分に硬くならず、脚の曲がり(O脚など)や低身長、骨の痛みが起こる病気です。いちばん多いのはX連鎖性低リン血症(XLH)で、指定難病では「ビタミンD抵抗性くる病/骨軟化症」の名前で扱われています。この検査では、原因として知られる22の遺伝子を一度に調べ、どの型なのか、ご家族にどう伝わるのかを確かめます。生まれ持った遺伝子は一生変わりません。一度の検査でわかった型は、治療の選び方、ご家族の検査、これからの妊娠・出産の計画まで、この先ずっと使える情報になります。このページでは、ビタミンD欠乏性くる病との違い、遺伝のしかた、遺伝子検査でわかることを、臨床遺伝専門医が解説します。

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. この検査で何がわかりますか?

低リン血症性くる病の原因として知られる22の遺伝子(PHEX・FGF23・DMP1・ENPP1・SLC34A3など)を一度に調べ、X連鎖性低リン血症(XLH)なのか、別の型なのかを確かめます。ビタミンD依存性くる病・低ホスファターゼ症・腎臓の尿細管の病気など、見分けが必要な病気の遺伝子も含みます。

🧬 Q. どんな人が受けるとよいですか?

O脚や低身長があり血液検査で低リン血症を指摘された方、治療中だが原因の遺伝子がわかっていない方、ご家族にXLHの方がいる方、妊娠を考えていて家族歴が気になる方です。

🧬 Q. 費用・日数・検体は?

検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。検体は血液・唾液・頬の内側の粘膜などで、オンライン診療でも受けられます。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。

🧬 Q. 結果のあとはどうなりますか?

結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。XLHと確定すれば、お父さんからは娘さん全員に伝わり息子さんには伝わらない、お母さんからはお子さん1人ごとに2分の1です。ご家族の検査や、意義がまだわからない変化(VUS)の扱いもご説明します。

\ 一生変わらない遺伝子を一度で。型がわかれば治療の考え方が変わります /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

検査の前に臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明します。唾液・頬の粘膜ならオンライン診療で全国から受けられます。

お問い合わせはこちら | 骨の病気を広く調べる検査(骨系統疾患パネル)

1. 低リン血症性くる病とは|ビタミンD欠乏性くる病との違い

低リン血症性くる病は、骨をつくる材料のリンが腎臓から尿へ逃げてしまい、血液中のリンが低くなることで、骨が十分に硬くならない(石灰化しない)病気です。食事や日光不足が原因のビタミンD欠乏性くる病とは原因が違い、ふつうのビタミンD(天然型ビタミンD)を補うだけでは治りません。

骨が伸びている子どもの時期に起こるものを「くる病」、骨の成長が止まった大人で起こるものを「骨軟化症」と呼びます[1]。指定難病では、この病気のグループが「ビタミンD抵抗性くる病/骨軟化症」(指定難病238)の名前で扱われています。いちばん多い型はX連鎖性低リン血症(XLH)で、遺伝性のくる病のなかで最も多いとされています。GeneReviewsでは、XLHが起こる頻度は出生10万人あたり3.9〜5人とされています[1]。

💡 用語解説:呼び名がいくつもある理由

「低リン血症性くる病」「X連鎖性低リン血症(XLH)」「ビタミンD抵抗性くる病」は、同じ病気のグループを指して使われることの多い呼び名です。XLHはそのうち、PHEX遺伝子が原因の型を指します。一方で、ビタミンD受容体(VDR遺伝子)が原因の病気も海外の病名では「ビタミンD抵抗性くる病2A型」と呼ばれ、名前が似ていますが別の病気です。名前だけでは区別しにくいため、遺伝子で型を確かめる意味があります。

リンが骨に届かない仕組み(FGF23)

多くの型では、骨でつくられるホルモンのFGF23が多すぎることが原因です。FGF23は腎臓に働いてリンを尿に出させ、さらにビタミンDが活性型になるのを抑えるため、腸からリンやカルシウムを取り込む力も落ちます。難病情報センターは、遺伝子の変化がFGF23を増やす詳しい仕組みはまだわかっていないとしています(2026年10月時点で確認)。FGF23は、腎臓のα-Klotho(クロトー)というタンパク質と組んで働きます。

FGF23が増える原因は遺伝だけではありません。リンを尿へ出させる物質をつくる小さな腫瘍(リン酸尿性間葉系腫瘍)による腫瘍性骨軟化症(TIO)や、一部の鉄の点滴でも、同じようにFGF23が増えることがあります。大人になってから急に症状が出た方では、遺伝以外の原因も考えます。

ビタミンD欠乏性くる病・ビタミンD依存性くる病との違い

ビタミンD欠乏性くる病では血液中の25-水酸化ビタミンDが低いのに対し、低リン血症性くる病では通常は正常ですが、ビタミンD欠乏を合併すると低くなることもあります[1]。X線での骨の見え方にも違いがあります。日光浴やビタミンDの補充で改善が期待できるのは、ビタミンDが足りないことが原因のくる病です。低リン血症性くる病は原因が違うため、それだけでは治りません。

また、ビタミンDを活性型に変える酵素の遺伝子(CYP27B1・CYP2R1)の変化によるビタミンD依存性くる病も、症状が似ていて見分けが必要です。この検査には、これらの遺伝子も入っています。「くる病」とひとまとめにされていた状態を、遺伝子で型ごとに分けられることが、この検査の大きな役割です。

主な症状(子ども・大人)

XLHは、多くの場合2歳までに、歩き始めとともに脚が曲がる(O脚など)ことで気づかれます[1]。大人になって、それまで調べられていなかった低身長から見つかることもあります。

🦴 XLHでみられる主な症状と頻度

症状 子ども 大人
脚の曲がり・低身長 歩き始めとともに目立つ(多くは2歳まで) 子どものころの変形が残ることがある
歯の膿(自然にできる歯の膿瘍) 40〜50% 60〜85%
頭蓋骨縫合早期癒合症 5〜10%(見逃されている可能性あり) —(子どもの時期の所見)
難聴・耳鳴り 2〜8% 14〜55%(本当の頻度は不明)
腱や靱帯の付け根が硬くなる(付着部症) 小さい子どもでは目立たない 70〜100%(30歳以降に多い)

※頻度はGeneReviews[1]による。

血液検査では、リンが低く、骨の病気で上がるアルカリホスファターゼ(ALP)が高く、尿へのリンの排泄が多いことが手がかりになります。頭の骨の縫い目が早く閉じる病気については頭蓋骨縫合早期癒合症の遺伝子検査、歯のエナメル質の病気との見分けについてはエナメル質形成不全症の遺伝子検査のページも参考になります。

2. 原因遺伝子と遺伝のしかた

いちばん多いXLHはPHEX遺伝子の変化によるX連鎖顕性(優性)遺伝で、お父さんとお母さんのどちらが変化をもっているかで、お子さんへの伝わり方が違います[1]。ほかの型は、常染色体顕性・常染色体潜性・X連鎖潜性など、遺伝子ごとに遺伝のしかたが違います。

いちばん多いX連鎖性低リン血症(XLH・PHEX遺伝子)

XLHは、X染色体にあるPHEX遺伝子の変化で起こり、PHEXに病気の原因となる変化が見つかることで診断が確定します[1]。GeneReviewsによると、PHEXの原因となる変化のうち約85%は遺伝子の配列を読む方法で、約15%は遺伝子の一部または全体が欠けたり重なったりする変化(欠失・重複)を調べる方法で見つかります[1]。この検査では、配列の変化に加えて欠失・重複も調べます(くわしい範囲は第6章)。

GeneReviewsでは、男性も女性も同じように発症し、症状や検査値は男女で同じで、「男性のほうが必ず重いわけではない」とされています。女性で変化をもつ方は全員が発症します(浸透率100%)。男性では、成長の遅れや骨の変形がやや目立ち、治療に多めの量が必要になることがあるという報告もあります[1]。

図で見るX連鎖顕性の伝わり方

お父さんがXLHの場合、娘さんは全員受け継いで発症し、息子さんには伝わりません。お母さんがXLHの場合は、性別に関係なく、お子さん1人ごとに2分の1の確率で受け継ぎます[1]。お父さんは娘さんに必ずX染色体を渡し、息子さんにはY染色体を渡すためです。

👨‍👩‍👧‍👦 XLH(X連鎖顕性遺伝)のお子さんへの伝わり方

XLHの親 娘さん 息子さん
お父さんがXLH 全員が受け継ぎ、発症する 受け継がない(伝わらない)
お母さんがXLH 1人ごとに2分の1 1人ごとに2分の1

※GeneReviews[1]による。受け継いだ場合は、男女とも発症します。上のお子さんが受け継いだかどうかで、下のお子さんの確率は変わりません。

X染色体にある遺伝子の伝わり方は、X連鎖遺伝(X染色体連鎖遺伝)のページでくわしく解説しています。なお、ご家族にXLHの方がいなくても、XLHは否定できません[1]。親から受け継いだのではなく、ご本人で新しく起きた変化(新生突然変異(de novo))のこともあるためです。新しく起きた変化だった場合も、ご本人のお子さんへは上の表のとおりに伝わります。

ほかの型(常染色体顕性・潜性、腎臓の尿細管の病気)

XLH以外にも、FGF23遺伝子による常染色体顕性の型、DMP1・ENPP1遺伝子による常染色体潜性の型、SLC34A3遺伝子による高カルシウム尿症を伴う型などがあります。小児慢性特定疾病情報センターも、原発性低リン血症性くる病の原因として、PHEX・FGF23・DMP1・ENPP1・SLC34A3を挙げています(2026年10月時点で確認)。

常染色体顕性(優性)遺伝の型では、親が変化をもっていれば、お子さんへは性別に関係なく1人ごとに2分の1です。常染色体潜性(劣性)遺伝の型では、ご両親がともに保因者(変化を1つだけもち、症状のない方)の場合に、お子さん1人ごとに4分の1の確率で発症します。さらに、腎臓の尿細管の働きが全体に落ちる病気(デント病・ロウ症候群・シスチン症・ファンコニ・ビッケル症候群など)でもリンが尿へ逃げ、くる病が起こることがあります。22遺伝子の一覧と遺伝のしかたは、第5章の表にまとめました。

3. 遺伝子でわかると、治療と見通しが変わる

低リン血症性くる病は、型によって効く治療と避けたい治療が違います。遺伝子で型がわかると、病名がはっきりし、使える薬・気をつけたい治療・使える制度(指定難病・小児慢性特定疾病)を決める手がかりになります。「くる病は治りますか」という質問には、治療で骨の変形や成長の改善が期待できる一方、リンを尿へ逃がす体質そのものは一生続くため、長く付き合っていく病気だとお答えしています。

FGF23が原因の型と抗FGF23抗体(ブロスマブ)

FGF23の働きを抑えるモノクローナル抗体の薬、ブロスマブ(商品名クリースビータ)は、日本では2019年9月20日に「FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症」の治療薬として承認されています(医薬品医療機器総合機構〔PMDA〕、2026年10月時点で確認)。2025年6月には、あらかじめ薬が入った注射器(シリンジ)の製剤も承認されました(製造販売元の発表)。

GeneReviewsでは、ブロスマブは病気の仕組みに直接働く治療とされ、これまでの治療は、リンの飲み薬と活性型ビタミンDを組み合わせる方法です。XLHでは、活性型ビタミンDを使わずにリンだけを飲むことは勧められていません(副甲状腺の働きが強まる二次性副甲状腺機能亢進症が悪化するため)。また、ブロスマブは妊娠中には勧められていません[1]。どの治療をいつから使うかは、病気をよく知る専門の医療機関(小児科の内分泌の専門医・内分泌内科など)で決めます。当院は遺伝子検査と遺伝カウンセリングを行う施設で、治療は専門の医療機関で受けていただきます。

型によって治療の考え方が違う例

同じ「低リン血症性くる病」でも、型によって治療の考え方が逆になることがあります。遺伝子の結果が、治療を考えるうえでの大切な手がかりになる例を2つ挙げます。

  • ●高カルシウム尿症を伴う遺伝性低リン血症性くる病(HHRH・SLC34A3遺伝子):原因遺伝子を報告した論文では、リンの補充だけで完全に治まることがある一方、ビタミンDを加えると高カルシウム血症・腎臓の石灰化・腎障害などを起こしうるとされています[2]。XLHでは「リンだけ」は勧められないので、ちょうど逆の考え方になります。
  • ●低ホスファターゼ症(ALPL遺伝子):骨の石灰化に必要なアルカリホスファターゼの遺伝子の病気で、くる病に似た骨の症状が出ます。国内では、酵素を補う薬(アスホターゼ アルファ、商品名ストレンジック)が低ホスファターゼ症の治療薬として使われています(PMDA。販売開始2015年8月)。

このように、症状が似ていても、型がわかってはじめて「この治療は合う・合わない」を考えられます。これは、病名がはっきりしないまま治療を続けるのとは大きな違いです。

4. どんな人が受けるとよいか

血液検査で低リン血症を指摘された方、くる病・骨軟化症と診断されたが原因の遺伝子がわかっていない方、ご家族にXLHの方がいる方、妊娠を考えていて家族歴が気になる方に向く検査です。

  • ●O脚・X脚、低身長、歩き方の揺れがあり、血液検査でリンが低い・ALPが高いと言われたお子さん
  • ●ビタミンDを補っても改善しなかったくる病のお子さん
  • ●大人になって骨の痛み・骨折しやすさ・歯の膿を繰り返し、骨軟化症と言われた方
  • ●治療は受けているが、原因の遺伝子(型)がまだわかっていない方
  • ●ご家族にXLHや低リン血症性くる病の方がいて、ご自身やお子さんが受け継いでいるか知りたい方
  • ●結婚・妊娠を考えていて、お子さんへの伝わり方を知っておきたい方

GeneReviewsは、ご家族でXLHの原因がわかっている場合、リスクのある血縁者が検査を受けて、早く治療を始められるようにすることを勧めています[1]。あなたの1回の検査が、ご両親・きょうだい・お子さんが自分の状態を知る手がかりになります。お父さんがXLHなら娘さん全員に伝わるという遺伝のしかただからこそ、ご家族の誰かでわかったことが、ほかのご家族の早めの対応につながります。

この検査より別の検査が向いている場合

血液検査で低リン血症がはっきりしていて、くる病・骨軟化症を疑う場合は、血液・尿検査や画像検査などで原因を調べ、遺伝性が疑われるときにこの検査を検討します。一方で、リンの値に異常がなく骨の形の異常が中心の場合や、骨以外の症状も多い場合は、次の検査のほうが向いていることがあります。比べているのは検査の種類で、どれが合うかは症状と検査の結果で決まります。

🔍 症状に合わせた検査の選び方

こんなとき 向いている検査
低リン血症があり、くる病・骨軟化症を疑う このページの検査(22遺伝子・結果まで2〜3週間)
骨の形の異常が中心で、病気をしぼれない 骨系統疾患NGS遺伝子パネル検査(521遺伝子)・骨格異形成症遺伝子パネル検査(179遺伝子)
低身長が中心で、リンの値に異常がない 低身長遺伝子パネル検査
骨折しやすさ・骨のもろさが中心 骨形成不全症・骨密度異常NGS遺伝子検査パネル
骨以外の症状も多く、病気をしぼれない 全エクソーム検査(WES)

※どの検査が合うかは、症状・血液検査・X線の所見・ご家族の情報で変わります。遺伝カウンセリングでご相談ください。

\ あなたの結果が、ご家族の早めの対応につながります /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

海外でPGT-Mを考えている方には、英語の検査結果をお渡しできます(検査の時にお申し出ください)。

当院では、羊水検査・絨毛検査を院内で受けられます(2025年6月から産婦人科を併設)。 | どの検査がよいか迷う方へ

5. 調べる遺伝子と、わかる病気(22遺伝子)

この検査では、低リン血症性くる病の原因として知られる遺伝子と、見分けが必要な病気の遺伝子、あわせて22遺伝子を一度に調べます。1つずつ順番に調べると、そのたびに時間と費用がかかりますが、この検査ならまとめて確かめられます。

🧬 低リン血症性くる病の遺伝子検査で調べる22遺伝子

遺伝子 関係する病気(OMIM番号) 遺伝のしかた
PHEX X連鎖性低リン血症性くる病(XLH)(307800) X連鎖顕性
FGF23 常染色体顕性低リン血症性くる病(ADHR、193100)/家族性高リン血症性腫瘍状石灰沈着症2型(617993) 常染色体顕性/常染色体潜性
DMP1 常染色体潜性低リン血症性くる病1型(241520) 常染色体潜性
ENPP1 常染色体潜性低リン血症性くる病2型(613312)/乳児全身性動脈石灰化症1型(208000)/Cole病(615522) 常染色体潜性(Cole病は常染色体顕性)
FAM20C Raine症候群(259775)※軽い型で低リン血症がみられる 常染色体潜性
SLC34A3 高カルシウム尿症を伴う遺伝性低リン血症性くる病(HHRH、241530) 常染色体潜性
SLC34A1 低リン血症性腎結石・骨粗鬆症1型(612286)/ファンコニ腎尿細管症候群2型(613388)/乳児高カルシウム血症2型(616963) 常染色体顕性(1型)/常染色体潜性(ほか)
SLC9A3R1
(現在の名前:NHERF1)
低リン血症性腎結石・骨粗鬆症2型(612287) 常染色体顕性
CLCN5 デント病1型(300009)/X連鎖潜性低リン血症性くる病(300554)/腎結石症I型(310468)ほか X連鎖潜性
OCRL ロウ症候群(309000)/デント病2型(300555) X連鎖潜性
CYP27B1 ビタミンD依存性くる病1A型(264700) 常染色体潜性
CYP2R1 ビタミンD依存性くる病1B型(600081) 常染色体潜性
VDR ビタミンD抵抗性くる病2A型(277440)※指定難病238とは別の病気 常染色体潜性
ALPL 低ホスファターゼ症(成人型146300・小児型241510・乳児型241500) 成人型は常染色体顕性または潜性/小児型・乳児型は常染色体潜性
CTNS 腎症性シスチン症(219800)/遅発性若年性シスチン症(219900)/眼性非腎症性シスチン症(219750) 常染色体潜性
FAH チロシン血症I型(276700) 常染色体潜性
SLC2A2 ファンコニ・ビッケル症候群(227810) 常染色体潜性
GATM ファンコニ腎尿細管症候群1型(134600)/脳クレアチン欠乏症候群3型(612718) 常染色体顕性(1型)/常染色体潜性(3型)
NDUFAF6 ファンコニ腎尿細管症候群5型(618913)/ミトコンドリア複合体I欠損症(核遺伝子17型、618239) 常染色体潜性
FGFR1 オステオグロフォニック異形成症(166250)※このパネルで低リン血症に関係する病気。ほかにファイファー症候群・ジャクソン・ワイス症候群・カルマン症候群(HH2)・三角頭蓋1型・ハーツフィールド症候群など 常染色体顕性
GNAS マックキューン・オルブライト症候群(174800。骨の線維性骨異形成からFGF23が増えることがある)/偽性副甲状腺機能低下症1B型(603233)・1A型など マックキューン・オルブライト症候群は受精後に体の一部で起きる変化で遺伝しない/偽性副甲状腺機能低下症は常染色体顕性
KL
(α-Klothoの遺伝子)
家族性高リン血症性腫瘍状石灰沈着症3型(617994)。GeneReviewsでは、副甲状腺機能亢進症を伴う低リン血症性くる病の原因としても挙げられている 常染色体潜性

※対象遺伝子は当院の検査内容による。病名・OMIM番号・遺伝のしかたはOMIMのデータ(NCBI Gene・Human Phenotype Ontologyに収載されたもの、2026年10月確認)とGeneReviews[1]による。FGFR1・GNASは、低リン血症に関係する病気を中心に載せています。

このうちFGFR1は、当院のNIPTのうち、赤ちゃんに新しく起きた遺伝子の変化を調べるダイヤモンドプラン・インペリアルプランの対象遺伝子にも入っています。当院のNIPTは妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。ほかの21遺伝子は、当院のNIPTの対象には入っていません。

6. 検査でわかること・わからないこと

この検査でわかるのは、22遺伝子の配列の小さな変化(1文字の変化や、小さな挿入・欠失)と、一定の大きさ以上の欠失・重複です。一方で、遺伝子検査には必ず限界があります。

  • ●調べる場所:遺伝子のうちタンパク質をつくる部分と、その境目(スプライス部位)を読みます。対象の領域の99%以上を、同じ場所を20回以上読み取る精度で調べます。
  • ●欠失・重複:遺伝子まるごと1つの欠失・重複(頬の粘膜・血液)と、2つ以上続くエクソンの欠失・重複(血液のみ)を見つけられます。エクソン1つだけの欠失・重複は、見つかることもありますが、ふだんの検査では検出の対象ではありません。見つかった欠失・重複は、別の原理の方法(qPCR法やMLPA法)でもう一度確かめてから報告します。
  • ●わからない変化:染色体の一部が入れ替わる転座や逆位、繰り返し配列が長くなる変化、遺伝子の働きを調節する領域や遺伝子の深い部分(エクソンから20塩基より離れた場所)の変化は調べられません。
  • ●モザイク:体の一部の細胞にだけ変化がある状態(モザイク)を見つけることは目的としていません。GeneReviewsは、XLHが疑われるのに変化が見つからない場合、モザイクを調べることを考えてよいとしています[1]。
  • ●意義がまだわからない変化(VUS):病気の原因かどうか、まだ判断できない変化が見つかることがあります。GeneReviewsでは、PHEXのVUSは診断を確定することも否定することもできないとされています[1]。
  • ●陰性でも否定はできません:この22遺伝子は主な原因遺伝子ですが、すべての原因を含むわけではありません。原因が見つからなくても、低リン血症性くる病を完全に否定することはできません。

7. 結果が出たあと

結果は、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。結果だけをお送りすることはありません。報告書の読み方はNIPT/遺伝子検査結果の見かたでも解説しています。

結果は、基本的に日本語版でお渡ししています。海外でPGT-Mを受けるなど、英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。

陽性だったとき:型の確定と、治療・ご家族の検査へ

原因となる変化が見つかると、病名と型がはっきりします。結果は、主治医が治療を考えるときの手がかりになり、指定難病などの制度を使うときにも役立ちます(第8章)。XLHと確定した場合、ご両親・きょうだい・お子さんも同じ変化をもっている可能性があります。ご家族の中で原因がわかっていると、ほかのご家族は同じ場所を調べることで、受け継いでいるかどうかを確かめられます。調べた目的とは別の病気の原因が見つかった場合の扱いは、当院の二次的所見の開示方針のとおりです。

陰性・VUSだったとき

原因が見つからなかった場合は、ほかの原因(腫瘍性骨軟化症など遺伝以外の原因、このパネルにない遺伝子、検出しにくい変化)を考えます。症状に合わせて、骨系統疾患のパネル検査や全エクソーム検査を検討します。VUSが見つかった場合は、それだけで診断やご家族の発症リスクの判断には使いません。ただし、その変化が病気に関係するかを検討するために、ご家族の検査を行うことがあります。研究が進んで、のちに意味がはっきりすることもあります。

妊娠を考えている方:保因者検査と出生前診断

GeneReviewsは、ご家族でPHEXの原因となる変化がわかっていれば、出生前・着床前の遺伝学的検査が可能としています[1]。ご家族で原因の遺伝子の変化がわかっていれば、妊娠したときに赤ちゃんで同じ変化があるかを調べられます。絨毛・羊水からの胎児の出生前診断は当院で承っております。出生前診断を行えるかは、病気の重さや国内の指針を踏まえて個別に判断しますので、妊娠を考えている段階からご相談ください。

常染色体潜性の型(DMP1・ENPP1・SLC34A3など)では、パートナーが保因者かどうかで、お子さんの確率が変わります。拡大版保因者スクリーニングの対象になっているかは、遺伝子一覧でご確認ください。妊娠中の方には、NIPTと同じ日に採血できるカップルの保因者検査「ファミリーセーフティ プラス」もあります(単独では受けられません)。

海外でPGT-M(着床前遺伝学的検査)を考えている方へ:英語の検査結果をお渡しできます

PGT-Mは、体外受精でできた受精卵(胚)の一部の細胞を調べ、ご家族でわかっている遺伝子の変化を受け継いでいない胚を選んで子宮に戻す検査です。当院は体外受精・PGT-Mを行っていません。海外でPGT-Mを受けたいというお問い合わせが多いため、当院でできること(原因遺伝子の確定、英語の検査結果のご用意、遺伝カウンセリング、ご家族の遺伝子検査、妊娠後の絨毛検査・羊水検査)と、準備に必要なことをまとめます。

欧州ヒト生殖医学会(ESHRE)の指針では、PGT-Mの準備に、①病気の原因と確かめられた遺伝子の変化があること、②どの遺伝子のどの変化かが書かれた元の報告書、③ご家族の検体、が求められています[3]。受精卵から取れるDNAはごくわずかで、変化を直接読むだけでは、2本あるうちの片方が読み取れない「アレルドロップアウト」などで判定を誤るおそれがあります。そのため、変化のある場所の両側にある目印(多型マーカー)で「変化をもつ染色体」を家系の中でたどる方法(ハプロタイプ解析)を組み合わせます[3]。XLHのようなX連鎖の病気では、ご夫婦に加えて、患者さん、および/または発症していない方(保因者と確かめられた方が望ましい)のDNAが目安とされています[3]。

ご本人の検査結果だけでは、PGT-Mの準備はふつう整いません。血縁者がいない場合について、指針は、ご夫婦で目印を調べたうえで治療周期の受精卵や1個の精子を調べる方法を挙げていますが、できるかどうかは施設や家系の状況で大きく変わり、受けられないこともあります。また、新しく起きた変化(de novo)で妊娠歴のないご夫婦では、一般的なハプロタイプ解析の方法は使えないとされています[3]。海外でPGT-Mを考えている方は、ご本人の検査の段階から、検査に協力していただけるご家族(とくに同じ変化をもつ方)がいるかを考えておくことが大切です。当院では、ご家族の遺伝子検査も、遺伝カウンセリングのうえでお受けしています。

臨床遺伝専門医としての判断をお伝えすると、意義がまだわからない変化(VUS)は病気の原因と確かめられていないため、そのままPGT-Mの対象にするのは難しいと考えます。常染色体潜性の型では、ご夫婦それぞれがどの変化をもっているかを確かめておく必要があります。海外の施設によって求められる書類や検体は違うので、受ける予定の施設にも前もってご確認ください。

⚠️ PGT-Mは診断ではなく、スクリーニング検査です

PGT-Mは受精卵のごく一部の細胞を調べる検査で、結果が赤ちゃんの状態と食い違うことがあります。ESHREの指針は、多くの施設で誤った結果になる割合は全体で1〜3%まで下げられているとしたうえで、PGTのあとに妊娠したすべての方に出生前診断を提案すべきとしています[4]。当院は、PGT-Mで選んだ胚で妊娠した場合も、妊娠中に赤ちゃんそのものを調べる確定検査(絨毛検査・羊水検査)で確かめることが望ましいと考えています。当院では絨毛検査・羊水検査を院内で行っており、海外でPGT-Mを受けたあとの妊娠でもご相談いただけます。

日本では、日本産科婦人科学会の「重篤な遺伝性疾患を対象とした着床前遺伝学的検査(PGT-M)に関する指針」(2026年9月改定)にもとづき、PGT-Mは症例ごとに学会の審査を受け、そのうえで実施施設の倫理委員会が承認して行われます。指針の「重篤」とは、原則として、成人に達する前に日常生活が著しく損なわれる、または生存が危ぶまれる状態になる疾患で、申請の時点で有効な治療法がないか、治療法があっても高度かつ侵襲度の高いものとされています。成人に達する前に生存が危ぶまれるわけではないが日常生活が著しく損なわれる疾患は、その病気の専門医の意見書などを追加で出す仕組みになっています(2026年10月時点で確認)。

どの病気がPGT-Mの対象になるかは、国や制度、施設によって違います。日本では症例ごとに学会が審査し、2025年7月〜2026年6月の1年間に審査した73件のうち、37件が審査継続中でした(2026年9月の学会発表)。英国では公的機関(HFEA)がPGT-Mを使える病気の一覧を公表しており、2,000を超える病気が載っています(2026年9月17日更新の一覧で2,067)。一覧にない病気は、施設を通じて申請し、HFEAが審査します。米国では、PGTを直接規制する連邦や州の法律はなく、主に医師・施設の判断で行われています[5]。同じ病気でも、ある国では対象になり、別の国では個別の審査が必要になることがあります。受ける国の制度と、施設の条件を前もって確かめてください。くわしくは遺伝性疾患をお持ちで海外でPGT-M(着床前診断)を考えている方へで解説しています。

8. 日本の制度(2026年10月時点)

低リン血症性くる病は、指定難病238「ビタミンD抵抗性くる病/骨軟化症」として医療費助成の対象になっています。難病情報センターの解説(2024年4月1日更新)では、この病気はFGF23が多くつくられることによるもので、遺伝性のものとしてXLHが例に挙げられています。小児では、小児慢性特定疾病情報センターに「原発性低リン血症性くる病」が掲載されています(2026年10月時点で確認)。

医療費の助成を受けるには、それぞれの制度の認定の条件を満たし、申請する必要があります。認定の基準や申請の方法は、難病情報センター・小児慢性特定疾病情報センターや、お住まいの自治体の窓口でご確認ください。遺伝子検査で型が確定していることは、診断を説明するときの手がかりになります。

9. 検査の流れ・費用・結果までの日数・検体

検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。唾液・頬の内側の粘膜・血液のいずれでも、オンライン診療で受けていただけます。

ご予約
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遺伝カウンセリング臨床遺伝専門医
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検体の採取お支払い後にキット
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結果のご説明2〜3週間後・マイページへ

💴 費用・日数・検体

項目 内容
調べる遺伝子 22遺伝子(第5章の表)。配列の変化と欠失・重複を調べます
検査費用 税込330,000円
結果までの期間 2〜3週間(至急オプションで約7日短くなります。55,000円)
VUSの除外 意義がまだわからない変化(VUS)を報告に含めない指定ができます(無料)
検体 血液(紫色のキャップのEDTA採血管4mL×2本)、抽出したDNA(3μg)、頬の内側の粘膜、唾液(採取キットをお送りします)
遺伝カウンセリング料 30分22,000円(税込)※検査費用とは別
オンライン診療 可能です。血液の場合は全国の提携医療機関で採血していただきます。オンラインの場合は、遺伝カウンセリング料金を事前にお支払いください。

※当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。ご夫婦・カップルで同じ検査を同じ日に一緒に受ける場合は、遺伝カウンセリング料が1人分になります(検査費用の割引はありません)。

検体採取キットは、検査料金をお支払いいただいた後にお送りします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。検体の取り違えを防ぎ、検査に使える品質を保つためです。遺伝カウンセリングでは、検査で何がわかり、何がわからないか、結果がご家族にとってどういう意味をもつかをご説明します。検査を受けるかどうかは、説明を聞いて納得してから決めていただきます。

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10. 院長コラム

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「くる病」で終わらせず、型まで知る意味】

私自身、希少な常染色体顕性(優性)遺伝性疾患の当事者です。子どもに病気を受け渡したくない、という遺伝の病気をもつ方の思いはよくわかります。また、お子さんが重い症状で発症したのをきっかけに、ご自身も同じ遺伝子の変化を持っていたとわかり、自分のせいだと責めてしまう親御さんを、何度も見てきました。私の当事者としての話は、遺伝性疾患の当事者として、臨床遺伝専門医になった理由に書いています。

遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。低リン血症性くる病は、同じ「くる病」でも型によって治療の考え方が逆になることさえある病気です。だからこそ、症状や見た目の印象だけで判断せず、遺伝子で型まで確かめることに意味があると考えています。XLHのように、お父さんから娘さん全員に伝わる遺伝のしかたでは、ご本人の結果がご家族の早めの対応にもつながります。

遺伝子検査は、やってみないとわからないことを、何度も経験してきました。検査をしないと何も言えない、というのが私の確固たる考えです。こうした経験から、当院では、検査を受けずにリスクだけをご説明することはしておりません。検査をせずにリスクをお伝えするほうが、かえって危険だと考えているためです。

わからないまま悩み続けるより、わかったことから次を考えるほうが前に進める、と考えています。知ったうえで結婚や妊娠を考えたい方には、出生前診断まで当院で続けて支えられる体制を整えています。どの選択をされても、その選択を尊重します。

よくある質問(FAQ)

Q1. 低リン血症性くる病は遺伝しますか?父親・母親で確率は違いますか?

遺伝します。いちばん多いX連鎖性低リン血症(XLH)では、お父さんがXLHの場合は娘さん全員が受け継ぎ、息子さんには伝わりません。お母さんがXLHの場合は、性別に関係なく、お子さん1人ごとに2分の1の確率で受け継ぎます。ほかの型では常染色体顕性・潜性など遺伝のしかたが違うため、遺伝子検査で型を確かめることが大切です。

Q2. くる病は治りますか?

治療で骨の変形や成長の改善が期待できますが、低リン血症性くる病では、リンを尿へ逃がす体質そのものは一生続くため、長く付き合っていく病気です。日本では2019年に、FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症の治療薬として抗FGF23抗体のブロスマブが承認されています。どの治療が合うかは型によって違い、専門の医療機関で決めます。

Q3. ビタミンD欠乏性くる病とどう違いますか?日光浴やビタミンDで治りますか?

ビタミンD欠乏性くる病はビタミンDが足りないことが原因で、血液中の25-水酸化ビタミンDが低くなります。低リン血症性くる病ではリンが腎臓から尿へ逃げることが原因で、この値は通常は正常ですが、ビタミンD欠乏を合併すると低くなることもあります。日光浴やビタミンDの補充で改善が期待できるのはビタミンD欠乏性のくる病で、低リン血症性くる病はそれだけでは治りません。

Q4. XLH・ビタミンD抵抗性くる病・低リン血症性くる病は同じ病気ですか?

同じ病気のグループを指して使われることの多い呼び名です。指定難病では「ビタミンD抵抗性くる病/骨軟化症」(指定難病238)の名前で扱われ、そのうちPHEX遺伝子が原因の型がX連鎖性低リン血症(XLH)です。ただし、VDR遺伝子による「ビタミンD抵抗性くる病2A型」は名前が似ていても別の病気なので、遺伝子で型を確かめる意味があります。

Q5. 大人になってから受けても意味がありますか?

あります。生まれ持った遺伝子は一生変わらないので、大人になってからでも型を確かめられます。型がわかると治療の考え方の手がかりになり、ご自身のお子さんやきょうだいへの伝わり方もわかります。大人になってから急に症状が出た場合は、腫瘍性骨軟化症など遺伝以外の原因も考えます。

Q6. 検査で何も見つからなかったらどうなりますか?

この検査の22遺伝子は主な原因遺伝子ですが、すべての原因を含むわけではないため、原因が見つからなくても低リン血症性くる病を完全に否定することはできません。遺伝以外の原因やこのパネルにない遺伝子も考え、症状に合わせて骨系統疾患のパネル検査や全エクソーム検査を検討します。

Q7. 海外でPGT-Mを受けたいのですが、英語の検査結果はもらえますか?

はい。英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。当院は体外受精・PGT-Mを行っていません。ご本人の検査結果だけでは、PGT-Mの準備はふつう整わず、ご家族の検体も必要になることが多いので、ご本人の検査の段階から協力していただけるご家族がいるかを考えておくことが大切です。

Q8. 家族も検査を受けたほうがよいですか?

ご家族の中で原因の変化がわかっていれば、ほかのご家族は同じ場所を調べることで、受け継いでいるかどうかを確かめられます。XLHでは、リスクのある血縁者が検査を受けて早く治療を始められるようにすることが勧められています。検査の前に、遺伝カウンセリングで知ることの意味をご相談ください。

🧬 一度の検査で、ご自身とご家族のこれからを考える

生まれ持った遺伝子は一生変わりません。低リン血症性くる病の型がわかれば、治療の考え方の手がかりになるだけでなく、ご家族の検査や、結婚・妊娠の計画を考える材料になります。当院では臨床遺伝専門医が常駐し、検査の前後の遺伝カウンセリングから、羊水検査・絨毛検査による出生前診断の相談まで、院内で続けて受けていただけます。

お電話でのお問い合わせ:03-3478-3768

参考文献

  • [1] Laurent MR, Harvengt P, Mortier GR, Böckenhauer D. X-Linked Hypophosphatemia. In: GeneReviews®. University of Washington, Seattle; 2012 (Updated 2023 Dec 14). [NCBI Bookshelf NBK83985]
  • [2] Lorenz-Depiereux B, Benet-Pages A, Eckstein G, et al. Hereditary hypophosphatemic rickets with hypercalciuria is caused by mutations in the sodium-phosphate cotransporter gene SLC34A3. Am J Hum Genet. 2006;78(2):193-201. [DOI: 10.1086/499410](PMID: 16358215)
  • [3] ESHRE PGT-M Working Group, Carvalho F, Moutou C, et al. ESHRE PGT Consortium good practice recommendations for the detection of monogenic disorders. Hum Reprod Open. 2020;2020(3):hoaa018. [DOI: 10.1093/hropen/hoaa018]
  • [4] ESHRE PGT Consortium Steering Committee, Carvalho F, Coonen E, et al. ESHRE PGT Consortium good practice recommendations for the organisation of PGT. Hum Reprod Open. 2020;2020(3):hoaa021. [DOI: 10.1093/hropen/hoaa021]
  • [5] Nakasato K, Yamamoto BA, Kato K. Evaluating standards for ‘serious’ disease for preimplantation genetic testing: a multi-case study on regulatory frameworks in Japan, the UK, and Western Australia. Hum Genomics. 2022;16:16. [DOI: 10.1186/s40246-022-00390-3]

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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