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低身長の遺伝子検査(153遺伝子パネル)|原因の病気・遺伝のしかた・結果のあとにできること

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

低身長の遺伝子検査(153遺伝子パネル)

低身長の遺伝子検査は、背の低さの原因になる遺伝子の変化を、153の遺伝子でまとめて調べる検査です。低身長の原因は1つではなく、体質のように病気ではないものもあれば、成長ホルモンの働きの異常、ヌーナン症候群・歌舞伎症候群などの症候群、骨や軟骨の病気のように、遺伝子の変化が原因のものもあります。原因がわからないまま病院を回る時間を、1回の検査で短くできる可能性があります。生まれ持った遺伝子は一生変わりません。一度の検査でわかったことは、治療の選び方やご家族の健康、これからの妊娠の計画を考えるときにも、この先ずっと使える情報になります。このページでは、低身長の原因になる遺伝の病気と、この検査でわかること・わからないことを、臨床遺伝専門医が解説します。

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. 低身長の遺伝子検査で何がわかりますか?

成長ホルモンの働き・ヌーナン症候群の仲間・歌舞伎症候群やコルネリア・デ・ランゲ症候群・骨の病気など、低身長の原因になる153遺伝子の変化を1回で調べます。原因がわかると、治療や合併症への備え、ご家族への影響を具体的に考えられます。

🧬 Q. どんな人が受けるとよいですか?

同じ年齢・性別の平均より身長が大きく低い方、身長の伸びが落ちてきた方、顔つき・骨・心臓・発達などほかの特徴を伴う方、ご家族にも低身長の方が多い方、ほかの検査で原因がわからなかった方です。

🧬 Q. 費用・日数・検体は?

検査費用は330,000円(税込)、結果までは2〜3週間です(至急オプション55,000円で約7日短くなります)。検体は血液・唾液・頬の内側の粘膜で、オンライン診療でも受けられます。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。

🧬 Q. 結果のあとはどうなりますか?

結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。原因がわかれば、治療の選び方・ご家族の検査・次のお子さんの見通しまで考えられます。意義がまだわからない変化(VUS)の扱いもご説明します。

\ 人生に一度の遺伝子検査を、これからの計画に /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

検査の前に臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明します。

お問い合わせはこちら | どの検査がよいか迷う方へ

1. 低身長の遺伝子検査とは:153遺伝子でわかること

低身長の遺伝子検査は、背の低さの原因になりうる153の遺伝子を、1回の検査でまとめて調べる遺伝子パネル検査です。成長ホルモンの働き、細胞の増え方、骨や軟骨の成長などに関わる遺伝子の変化を探し、低身長が遺伝子の変化によって起きているのかを確かめます。

以前は、症状から病気を1つずつ予想し、A遺伝子を調べて見つからなければ次はB遺伝子、という順番で検査することがよくありました。この検査では、関係する遺伝子をまとめて調べるので、予想が外れたときに検査をやり直す回り道を減らせます。遺伝子検査(遺伝学的検査)そのものの基本は、別のページで解説しています。

低身長は何センチから?:基準は「平均からどれくらい離れているか」

低身長は「何センチ以下」という決まった数字ではなく、同じ年齢・同じ性別の子どもの平均からどれくらい離れているかで判断します。2026年に出された低身長の遺伝子検査の国際ガイドラインでは、身長がマイナス2.0SD(標準偏差)より低いこと、時間とともに身長のSDが下がっていくこと(伸びが落ちる)、ご両親の身長から予想される範囲より低いこと、のどれか1つがあれば「成長の問題がある」としています[1]。

マイナス2.0SDは、統計の上では、同じ年齢・性別の子どもを100人並べたときに、低いほうから2〜3人目にあたる高さです。身長の伸び方は骨年齢や成長板(骨の端の成長する部分)の状態とあわせて評価されるため、まずは小児科・小児内分泌科で成長曲線をつけて相談することが基本です。

低身長は親のせい?:遺伝の病気と体質の違い

低身長の原因には、遺伝子の変化によるものも、そうでないものもあり、「親のせい」と言えるものではありません。国際ガイドラインも、低身長はたくさんの原因で起こり、遺伝的な原因もそうでない原因もあるとしています[1]。

遺伝子の変化には、ご両親から受け継いだものもあれば、お子さんの代で新しく起きたもの(de novo変異)もあります。遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。原因を知ることは、誰かを責めるためではなく、これからの治療や計画を立てるためのものです。

遺伝子検査で原因がわかる割合

原因がはっきりしない低身長の子どもを対象にした研究をまとめた系統的レビューでは、遺伝子パネル検査で原因がわかった割合は21.6%、全エクソーム検査では33.3%でした[2]。この割合は、子どもの特徴によって大きく変わります。

📊 遺伝子検査で原因がわかった割合(研究をまとめた結果)

子どもの特徴・検査の種類 原因がわかった割合
遺伝子パネル検査 21.6%
全エクソーム検査 33.3%
ほかに目立つ特徴がない低身長(特発性低身長) 15.1%
顔つき・発達などほかの特徴を伴う低身長(症候群性) 50.8%
骨の病気(骨系統疾患)が疑われる特徴がある 69.8%

※2026年の系統的レビュー[2]と、それを引用した国際ガイドライン[1]による。世界の複数の研究をまとめた値で、意義がまだわからない変化(VUS)を除くと、どの検査でも割合は低くなると報告されています。当院の検査の成績ではありません。

つまり、遺伝子検査で全員の原因がわかるわけではありません。一方で、顔つきや発達など、ほかの特徴を伴う低身長では、約半数で原因が見つかっています。原因がわからなかったときにも、次に選べる検査があります(6章)。

2. 低身長の原因になる主な遺伝の病気

この検査で調べる遺伝子は、大きく分けて「成長ホルモンの働き」「ヌーナン症候群の仲間」「遺伝子の働きを調節するしくみの病気(歌舞伎症候群・コルネリア・デ・ランゲ症候群など)」「生まれる前から小さい病気・DNAの修復の病気」「骨や軟骨の病気」に関わります。ここでは、代表的な病気を、検査を受けるかどうかを決めるのに必要な範囲でご紹介します。病気ごとの詳しい解説は、それぞれの疾患ページをご覧ください。

成長ホルモンの働きの異常(成長ホルモン分泌不全・ラロン症候群など)

成長ホルモンは、脳の下垂体から出て、肝臓などでIGF-1という成長因子をつくらせ、骨を伸ばすホルモンです(くわしくは成長ホルモンのページ)。成長ホルモンそのものや、その分泌の指令、受け取る側の受容体に関わる遺伝子に変化があると、成長ホルモンの量が足りなくなったり、出ていても効きにくくなったりします。

この検査では、成長ホルモン分泌不全性低身長症の原因になるGH1・GHRHR・GHSR、成長ホルモンが効きにくいラロン症候群の原因になるGHR、下垂体のホルモンがいくつも不足する病気に関わるPROP1・POU1F1・LHX3などを調べます。成長ホルモンが足りないのか、出ていても効かないのかで治療の考え方が変わるため、原因を分けて知ることに意味があります。

ヌーナン症候群とその仲間(RAS/MAPK経路の病気)

ヌーナン症候群は、細胞が増える合図を伝えるRAS/MAPK経路の遺伝子の変化で起こる病気です。米国国立医学図書館の解説では、およそ1,000〜2,500人に1人に起こり、50〜70%の方に低身長がみられ、常染色体顕性(優性)遺伝のしかたをとるとされています。原因の遺伝子はPTPN11が約半数で、SOS1が10〜15%、RAF1とRIT1がそれぞれ約5%です(2026年10月時点の公開情報で確認)。

同じ経路の病気には、コステロ症候群(HRAS)、CFC症候群(BRAF・MAP2K1・MAP2K2など)、神経線維腫症1型(NF1)、レジウス症候群(SPRED1)などがあり、この検査ではこれらの遺伝子もまとめて調べます。日本では、ヌーナン症候群に伴う低身長に成長ホルモン治療が2017年に承認されています(日本小児内分泌学会の指針で確認)。

歌舞伎症候群・コルネリア・デ・ランゲ症候群など(遺伝子の働きを調節するしくみの病気)

歌舞伎症候群は、日本で初めて報告された病気で、出生後の成長の遅れが主な特徴の1つです。遺伝性疾患の解説書GeneReviewsでは、日本での頻度は出生32,000人に1人と推定され、原因はKMT2Dが約75%、KDM6Aが約3〜5%とされています[3]。KMT2Dによるものは常染色体顕性遺伝、KDM6AによるものはX連鎖遺伝です。低身長には成長ホルモン治療で反応した報告があり、内分泌の専門医と相談しながら検討するとされています[3]。

コルネリア・デ・ランゲ症候群は、多くの方が生まれる前から成長がゆっくりで、全身の大きさがそろったまま小柄になる病気です。GeneReviewsでは、原因はNIPBLが約80%と最も多く、SMC1Aが約5%、HDAC8が約4%、SMC3が1〜2%とされています[4]。病型ごとの解説はコルネリア・デ・ランゲ症候群1型などのページにあります。これらは、遺伝子のスイッチを入れたり切ったりするしくみ(ヒストンメチル化やコヒーシン)に関わる病気です。

同じグループには、KBG症候群(ANKRD11)、ルビンシュタイン・テイビ症候群(CREBBP・EP300)、フローティング・ハーバー症候群(SRCAP)、コフィン・シリス症候群(ARID1B・ARID1Aなど)なども含まれます。

生まれる前から小さい病気・DNA修復の病気(3-M症候群・ブルーム症候群など)

3-M症候群は、生まれる前から成長がとてもゆっくりで、そのまま小柄に育つ病気です。米国国立医学図書館の解説では、CUL7が4分の3以上、OBSL1が約16%の原因とされ、常染色体潜性(劣性)遺伝のしかたをとり、知能には影響しないとされています(2026年10月時点の公開情報で確認)。

ブルーム症候群は、DNAの修復に関わるBLM遺伝子の変化で起こる常染色体潜性遺伝の病気です。GeneReviewsでは、成人の平均身長は男性149cm、女性138cmとされ、がんがいちばん多い合併症であること、腫瘍が増える心配から成長ホルモンの使用は慎重に考えられてきたことが書かれています[5]。同じように、ファンコニ貧血、ナイメーヘン染色体不安定症候群(NBN)、セッケル症候群や原発性小人症、マイヤー・ゴーリン症候群(ORC1・ORC4・ORC6・CDT1・CDC6など)の遺伝子も調べます。

💡 用語解説:「小人症」と「低身長症」

「小人症」は以前使われていた言葉で、今の医学では「低身長症」や、病気ごとの名前(原発性小人症・軟骨無形成症など、一部に名前として残っているものもあります)で呼びます。このページでは、病名として残っている場合を除き「低身長」という言葉を使います。

骨や軟骨の病気(SHOX・FGFR3・ACANなど)

骨や軟骨の成長に関わる遺伝子の変化でも、低身長が起こります。手足が体に比べて短いなど、体のつり合いに特徴が出ることもありますが、目立たないこともあります。国際ガイドラインが引用した系統的レビューでは、骨の病気が疑われる特徴がある子どもで遺伝子検査により原因がわかった割合は69.8%と高く報告されています[1][2]。

この検査では、レリー・ワイル症候群やランガー中間肢異形成症の原因になるSHOX、軟骨無形成症や軟骨低形成症の原因になるFGFR3、軟骨の主な成分をつくるACAN、偽性軟骨無形成症の原因になるCOMP、コラーゲンの遺伝子などを調べます。骨の病気をもっと広く調べたい場合は、骨系統疾患NGS遺伝子パネル検査のほうが向いていることがあります。

3. どんな人がこの検査を受けるとよいか

背が低いことに加えて、伸びが落ちてきた・ほかの特徴を伴う・家族にも低身長の方が多い・ほかの検査で原因がわからない、という方は、この検査で原因を探す意味があります。具体的には、次のような方です。

🧒 この検査を考えてよい方

こんなとき 検査でわかるかもしれないこと
同じ年齢・性別の平均より大きく低い、伸びが落ちてきた 成長ホルモンの働きの異常や、骨の病気などの原因
顔つき・心臓・発達・骨など、低身長以外の特徴もある ヌーナン症候群・歌舞伎症候群などの症候群
生まれたときから小さく、その後も追いつかない 3-M症候群などの、生まれる前から小さい病気
ご家族にも低身長の方が多い 親子で受け継がれている遺伝子の変化(SHOX・ACANなど)
成長ホルモン治療の効きがよくない、ほかの検査で原因がわからない 治療の考え方を見直す手がかり
ご本人やご家族に低身長の病気があり、妊娠を考えている お子さんに受け継がれる可能性と、出生前診断の計画

見た目や家族歴だけでは判断できない

遺伝の病気かどうかは、見た目や家族歴、身長の数字だけでは決められません。ご家族みんなが小柄だから体質だろう、と思っていても、親子で同じ遺伝子の変化を受け継いでいることがあります。反対に、ご家族に低身長の方がいなくても、お子さんの代で新しく起きた変化が原因のこともあります。

遺伝子検査は、やってみないとわからないことが少なくありません。きょうだいのお子さんの病気をきっかけに念のため検査を受けた方に、まったく別の遺伝子の病的な変化が、体の一部の細胞だけにある状態(モザイク)で見つかったこともあります。こうした経験から、当院では、検査を受けずにリスクだけをご説明することはしておりません。検査をせずにリスクをお伝えするほうが、かえって危険だと考えているためです。

この検査より、別の検査が向いている場合

低身長の原因の中には、遺伝子の配列を読むこの検査では見つけられないものがあります。症状から疑われる病気によっては、次の検査を先に、または一緒に考えます。

🔍 疑われる病気に合わせた検査の選び方

こんなとき 向いている検査
女の子の低身長で、ターナー症候群など染色体の数・形の変化が疑われる 染色体検査(Gバンド法)
染色体の小さな欠失・重複(微細欠失)が疑われる マイクロアレイ染色体検査(CMA)
プラダー・ウィリー症候群など、遺伝子の目印(メチル化)の異常が疑われる プラダー・ウィリ症候群/アンジェルマン症候群 メチル化解析
生まれる前から極端に小さく、頭も小さい 原発性低身長症NGS遺伝子パネル検査
骨のつり合いや形に特徴がある 骨系統疾患NGS遺伝子パネル検査
ヌーナン症候群・歌舞伎症候群などがはっきり疑われる Noonan症候群・RASopathies遺伝子パネル検査/歌舞伎症候群の遺伝子検査/コルネリア・デランゲ症候群の遺伝子検査
症状が多く、病気のグループをしぼれない 全エクソーム検査(WES)

※比べているのは検査の種類です。どれが合うかは、遺伝カウンセリングで症状やこれまでの検査をうかがってご提案します。

\ 原因がわかれば、次の一手が決まります /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

どの検査が合うかは、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで症状とこれまでの検査をうかがってご提案します。

海外でPGT-Mを考えている方には、英語の検査結果をお渡しできます(検査の時にお申し出ください)。

お問い合わせはこちら | どの検査がよいか迷う方へ

4. 調べる153遺伝子と、関係する主な病気

この検査では、次の153遺伝子を調べます。遺伝子のはたらきごとに6つのグループに分けて示します。遺伝子名や病名にリンクがあるものは、それぞれの詳しい解説ページに進めます。

🧬 対象遺伝子(153遺伝子)

グループ 関係する主な病気 遺伝子
成長ホルモン・IGF-1の働き(18遺伝子) 成長ホルモン分泌不全性低身長症、ラロン症候群、IGF1抵抗症、中隔視神経形成異常症、下垂体ホルモンが複数不足する病気 GH1、GHRHR、GHSR、GHR、STAT5B、IGF1、IGF1R、IGFALS、IGF2、POU1F1、PROP1、HESX1、LHX3、LHX4、OTX2、SOX2、SOX3、GLI2
ヌーナン症候群の仲間(RAS/MAPK経路)(20遺伝子) ヌーナン症候群、コステロ症候群、CFC症候群、神経線維腫症1型、レジウス症候群 PTPN11、SOS1、SOS2、RAF1、RIT1、KRAS、NRAS、BRAF、SHOC2、PPP1CB、CBL、MRAS、RRAS、RASA2、LZTR1、MAP2K1、MAP2K2、HRAS、NF1、SPRED1
遺伝子の働きを調節するしくみ(23遺伝子) 歌舞伎症候群、コルネリア・デ・ランゲ症候群、KBG症候群、ルビンシュタイン・テイビ症候群、フローティング・ハーバー症候群、コフィン・シリス症候群、ニコライデス・バライツァー症候群、Baraitser-Winter症候群、コフィン・ローリー症候群 KMT2D、KDM6A、NIPBL、SMC1A、SMC3、RAD21、HDAC8、ANKRD11、CREBBP、EP300、SRCAP、ARID1A、ARID1B、SMARCA2、SMARCA4、SMARCB1、SMARCE1、SOX11、ACTB、ACTG1、RPS6KA3、PUF60、PRMT7
生まれる前から小さい病気・DNA修復(40遺伝子) 3-M症候群、原発性小人症、MOPD1、セッケル症候群、マイヤー・ゴーリン症候群、ブルーム症候群、ナイメーヘン染色体不安定症候群、ファンコニ貧血、コケイン症候群、Schimke免疫骨異形成症、アラザミ症候群 CUL7、OBSL1、CCDC8、ORC1、ORC4、ORC6、CDT1、CDC6、CDC45、PCNT、RNU4ATAC、ATR、ATRIP、CENPJ、CEP152、CEP63、DNA2、RBBP8、NSMCE2、BLM、NBN、LIG4、XRCC4、DONSON、PLK4、POC1A、RTTN、TOP3A、TRIM37、LARP7、CRIPT、FANCA、FANCC、FANCG、ERCC6、ERCC8、SMARCAL1、TRMT10A、OSGEP、BRF1
骨・軟骨の病気(39遺伝子) レリー・ワイル症候群、軟骨無形成症、軟骨低形成症、偽性軟骨無形成症、骨形成不全症、先天性脊椎骨端異形成症、多発性骨端異形成症、シュミット型骨幹端軟骨異形成症、Ellis-van Creveld症候群、アクロミクリック異形成症、肢端骨形成不全症1型、カンポメリック異形成症 ACAN、SHOX、FGFR3、NPPC、COL1A1、COL2A1、COL9A1、COL9A2、COL9A3、COL10A1、COL11A1、COL11A2、COL27A1、COMP、MATN3、FN1、HSPG2、IHH、PTH1R、EVC、EVC2、FBN1、SOX9、NOTCH2、LFNG、GLI3、ROR2、WNT5A、DVL1、TBX3、BMP2、B3GAT3、SGMS2、PISD、POP1、IDUA、PRKAR1A、PDE4D、GNAS
そのほか(ホルモン・代謝・全身に関わる病気など)(13遺伝子) アルストローム症候群、スミス・レムリ・オピッツ症候群、ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群 ALMS1、AMMECR1、ARCN1、BTK、DHCR7、FGD1、INSR、LMNA、PIK3R1、PPP3CA、RALA、TALDO1、TBX2

※グループ分けと病名は、それぞれの遺伝子の代表的なはたらきによる目安です。1つの遺伝子がいくつもの病気に関わることもあります。どの病気に当てはまるかは、見つかった変化と症状をあわせて、結果の説明の時に臨床遺伝専門医がお伝えします。

5. この検査でわかること・わからないこと

この検査でわかるのは、153遺伝子の中の小さな変化(1文字の置き換わりや、小さな挿入・欠失)と、遺伝子まるごと、または続いた複数のエクソンの欠失・重複です。遺伝子の配列を読む方法には限界があり、原因になっていても見つけられない変化もあります。

わかること

次世代シーケンサー(NGS)で、遺伝子のタンパク質をつくる部分(エクソン)と、そのつなぎ目(スプライス部位)を読みます。読み取りの質が十分でない部分や見つかった変化は、別の方法(サンガー法)でもう一度確かめます。見つかった欠失・重複も、別の原理の方法(qPCR法やMLPA法)でもう一度確かめてから報告します。

専門家向け:読み取りの深さ(カバレッジ)と欠失・重複の検出範囲

対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上読み取る設計です(≥99% at 20x)。同じ場所を何回も読むほど、読み間違いと本当の変化を区別しやすくなります(カバレッジ)。欠失・重複は、遺伝子まるごとの変化(頬の粘膜・血液の検体)と、続いた2つ以上のエクソンの大きさの変化(血液の検体のみ)を見つけられます。1つのエクソンだけの欠失・重複は見つかることもありますが、いつも見つけられるわけではありません。

わからないこと(検査の限界)

⚠️ この検査では見つけられない変化があります

次の変化は、この検査では見つけられないか、見つけるようには作られていません:染色体の一部が入れ替わる転座や向きが逆になる逆位、同じ配列の繰り返しが長くなるリピート伸長、遺伝子のスイッチ部分(プロモーター)やエクソンから離れたイントロンの奥の変化、体の一部の細胞だけにある変化(モザイク)。よく似た配列(偽遺伝子)がある場所は、読み取りが難しいことがあります。

このページの検査に特有の限界もあります。ACAN遺伝子は、エクソン12に長い繰り返し配列があるため、この部分の変化を確実には見つけられません。SOX3遺伝子は、3つの塩基の繰り返しが長くなる変化を調べていません。また、国際ガイドラインの表のとおり、遺伝子パネル検査は、両親の片方からだけ染色体を受け継ぐ片親性ダイソミーや、遺伝子の目印の異常(メチル化の異常)も見つけられません[1]。シルバー・ラッセル症候群やテンプル症候群のようなインプリンティング疾患は、別の検査が必要です。

「陰性=遺伝の病気ではない」ではない

この検査で原因が見つからなくても、遺伝の病気が否定されたわけではありません。調べていない遺伝子、まだ見つかっていない遺伝子、上に書いた見つけられない種類の変化が原因のこともあります。もちろん、体質や遺伝以外の原因のこともあります。

意義がまだわからない変化(VUS)が見つかることがある

遺伝子の変化が見つかっても、それが病気の原因なのか、害のない個人差なのか、今の知識では決められないことがあります。これをVUS(臨床的意義不明のバリアント)と呼びます。VUSは、それだけで診断や家族の検査に使いません。研究が進むと、病的、または害がないと判断が変わることがあります。この検査では、VUSを報告に含めない「VUS除外」のオプションを無料で選べます。VUSの扱い方は、VUS(意義不明変異)の臨床的取り扱いでも解説しています。

また、調べた目的とは別の病気の原因が見つかること(二次的所見)の扱いは、当院の二次的所見の開示方針に沿ってご説明します。

6. 結果が出たあと

結果は、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。結果だけを郵送やメールでお送りすることはありません。報告書の読み方は遺伝子検査結果の見かたでも解説しています。

原因が見つかったとき:治療・合併症への備え・ご家族

病名がわかると、受けるべき検査、使える治療、気をつけたい治療、使える制度が決まります。国際ガイドラインは、遺伝子検査で診断がつくことの利点として、診断と見通しの説明、次のお子さんでの再発の見通し、ほかの検査を減らせること、病気によっては成長ホルモン治療を早く始められること、成長ホルモンを使わない・慎重に使うべき病気がわかること、合併症の検査につなげられること、ご家族の検査ができることを挙げています[1]。

たとえば、ヌーナン症候群とわかれば、日本では成長ホルモン治療の対象になります(2017年承認)。ブルーム症候群のように、腫瘍の心配から成長ホルモンの使用を慎重に考える病気もあります[5]。同じ「背が低い」でも、原因によって治療の考え方が逆になることがあるのです。

あなたの1回の検査が、ご両親・きょうだい・お子さんが自分の状態を知る手がかりになります。原因の変化がわかれば、ご家族は同じ変化だけを調べる検査で、自分も持っているかを確かめられます。顕性(優性)遺伝の病気では、同じ変化でも症状の重さが人によって違うことがあり、「自分が軽いから子どもも軽い」とは言えません。

原因が見つからなかったとき

原因が見つからない場合は、体質や遺伝以外の原因のほか、この検査で見つけられない変化(染色体の変化・メチル化の異常など)や、調べていない遺伝子が原因の可能性を考えます。症状に合わせて、マイクロアレイ染色体検査や全エクソーム検査などの次の検査をご提案します。研究が進めば、同じ結果を見直して新しくわかることもあります。

次のお子さんへの影響と、出生前診断

原因がわかれば、次のお子さんで同じことが起こる可能性がどれくらいあるか、そして次の妊娠でどう備えられるかを、具体的に考えられるようになります。確率は、遺伝のしかたで大きく変わります。

👪 遺伝のしかたと、次のお子さんへの影響

遺伝のしかた この検査で調べる病気の例 考え方
常染色体顕性(優性) ヌーナン症候群、歌舞伎症候群(KMT2D)、コルネリア・デ・ランゲ症候群(NIPBLなど) 変化をもつ親から、お子さん1人ごとに2分の1。お子さんで新しく起きた変化なら確率は低くなりますが、ゼロではありません
常染色体潜性(劣性) 3-M症候群、ブルーム症候群 ご両親がともに保因者なら、お子さん1人ごとに4分の1
X連鎖 歌舞伎症候群(KDM6A)、コルネリア・デ・ランゲ症候群(SMC1A・HDAC8) お母さんが変化をもっているか、お子さんで新しく起きた変化かで大きく変わります

※遺伝のしかたは、歌舞伎症候群がGeneReviews[3]、コルネリア・デ・ランゲ症候群がGeneReviews[4]、ブルーム症候群がGeneReviews[5]、ヌーナン症候群・3-M症候群が米国国立医学図書館の解説による。遺伝形式の基本も別ページで解説しています。

新しく起きた変化と考えられる場合でも、症状のないご両親の卵子や精子のもとになる細胞(生殖細胞)にだけ変化がある「生殖細胞モザイク」のことがあります。GeneReviewsは、コルネリア・デ・ランゲ症候群で家族の中で再び起きた例の多くは、症状のない親の生殖細胞モザイクによるものとしています[4]。変化をもつ生殖細胞からできる卵子・精子は2分の1の確率で変化を受け継ぎます。生殖細胞のうちどれくらいが変化をもつかは実際の診療では調べられないため、お子さん1人あたりの確率は『最大で2分の1』とお伝えしています。

原因がわかっていれば、次の妊娠で赤ちゃんを調べる出生前診断を計画できます。当院では羊水検査・絨毛検査を院内で行っています。原因がわからないままでは、出生前に何を調べればよいかの的が決められません。また、3-M症候群のような常染色体潜性遺伝の病気では、パートナーが同じ遺伝子の保因者かどうかを知ることが大切です。妊娠前に夫婦で調べる拡大版保因者スクリーニング(女性版787遺伝子・男性版714遺伝子、ほかに女性版1009遺伝子・男性版911遺伝子)もあります。その病気の遺伝子が対象かどうかは、遺伝子一覧でご確認ください。

海外でPGT-M(着床前遺伝学的検査)を考えている方へ:英語の検査結果をお渡しできます

海外でPGT-Mを考えている方には、英語の検査結果をお渡しできます。検査の時にお申し出ください。当院は体外受精・PGT-Mを行っていません。当院でできるのは、原因遺伝子の確定、英語の検査結果のご用意、遺伝カウンセリング、ご家族の遺伝子検査、妊娠後の絨毛検査・羊水検査(院内)です。低身長の病気は種類が多く、見つかった病気によって、PGT-Mの考え方も日本での扱いも違います。

PGT-Mは、体外受精でできた受精卵(胚)の一部の細胞を調べ、ご家族でわかっている遺伝子の変化を受け継いでいない胚を選んで子宮に戻す検査です。欧州ヒト生殖学会(ESHRE)の指針では、準備として、①病気の原因と確かめられた遺伝子の変化があること、②どの遺伝子のどの変化かが書かれた元の報告書(認定を受けた検査室のもの)、③ご家族の検体、が求められます[6]。

ご本人の検査結果だけでは、PGT-Mの準備はふつう整いません。受精卵から取れるDNAはごくわずかで、変化を直接読むだけでは、2本あるうちの片方が読み取れない「アレルドロップアウト」などで判定を誤るおそれがあります。そのため、変化のある場所の両側にある目印(STR・SNPなどの多型マーカー)で「変化をもつ染色体」を家系の中でたどる方法(ハプロタイプ解析)を組み合わせます。目印の数は、変化も一緒に調べる場合は両側にSTR1個(またはSNP3個)以上、目印だけで調べる場合は両側にSTR2個(またはSNP6個)以上とされています。どちらの染色体に変化が乗っているかを決めるために、ご夫婦に加えて、病気の有無がわかっている血縁者のDNAが必要です。指針の目安は、顕性遺伝では患者さん少なくとも1人(できれば2人)、および/または発症していない方1人、潜性遺伝では患者さん(2つの変化をもつ方)・保因者・保因者でない方、X連鎖では患者さん、および/または発症していない方(保因者と確かめられた方が望ましい)です[6]。

血縁者がいない場合、指針は、ご夫婦で目印を調べたうえで、治療周期の受精卵や1個の精子を調べて変化の乗った染色体を決める方法を挙げています。ただし、できるかどうかは施設や家系の状況で大きく変わり、受けられないこともあります。また、新しく起きた変化(de novo)で、これまでに妊娠歴のないご夫婦では、一般的なハプロタイプ解析の方法は使えないとされています[6]。コルネリア・デ・ランゲ症候群は、多くが新しく起きた変化によるもので[4]、歌舞伎症候群も新しく起きた変化によるものが多いと考えられています[3]。海外でPGT-Mを考えている方は、ご本人の検査の段階から、検査に協力していただけるご家族(とくに同じ変化をもつ方)がいるかを考えておくことが大切です。当院では、ご家族の遺伝子検査も、遺伝カウンセリングのうえでお受けしています。

臨床遺伝専門医としての判断をお伝えすると、意義がまだわからない変化(VUS)は、病気の原因と確かめられていないため、そのままPGT-Mの対象にするのは難しいと考えます。潜性遺伝の病気では、ご夫婦それぞれがどの変化をもっているかを確かめておく必要があります。海外の施設によって求められる書類や検体は違うので、受ける予定の施設にも前もってご確認ください。

⚠️ PGT-Mは診断ではなく、スクリーニング検査です

PGT-Mは受精卵のごく一部の細胞を調べる検査で、結果が赤ちゃんの状態と食い違うことがあります。ESHREの指針は、多くの施設で誤った結果になる割合は全体で1〜3%まで下げられているとしたうえで、PGTのあとに妊娠したすべての方に出生前診断を提案すべきとしています[7]。PGT-Mで選んだ胚で妊娠した場合も、妊娠中に赤ちゃんそのものを調べる確定検査(絨毛検査・羊水検査)で確かめることが望ましいと考えます。当院では絨毛検査・羊水検査を院内で行っており、海外でPGT-Mを受けたあとの妊娠でもご相談いただけます。

PGT-Mの対象になる病気は、国によって違います。日本では、日本産科婦人科学会の「重篤な遺伝性疾患を対象とした着床前遺伝学的検査(PGT-M)に関する指針」(2026年9月改定)にもとづき、症例ごとに学会の審査を受け、そのうえで実施施設の倫理委員会が承認して行われます。この指針の「重篤」は、原則として、成人に達する前に日常生活が著しく損なわれる、または生存が危ぶまれる状態になる疾患で、申請の時点で有効な治療法がないか、治療法があっても高度かつ侵襲度の高いもの、とされています。成人に達する前に生存が危ぶまれるわけではないものの日常生活が著しく損なわれる状態が現れる疾患では、その病気の専門医の意見書などを追加で出す仕組みになっています。審査が続いている申請も多く、学会の発表では、2025年7月〜2026年6月の1年間に審査した73件のうち、37件が審査継続中でした(2026年9月発表)。

英国では、公的機関(HFEA)がPGT-Mを使える病気の一覧を公表しており、2,000を超える病気が載っています(2026年9月17日更新の一覧で2,067)。この検査で調べる遺伝子が関わる病気では、歌舞伎症候群1・2型、マルファン症候群(FBN1)、神経線維腫症1型(NF1)が一覧に載っています(2026年9月時点)。一覧にない病気は、施設を通じて申請し、HFEAが審査します。米国では、PGTを直接規制する連邦や州の法律はなく、主に医師・施設の判断で行われています[8]。米国生殖医学会(ASRM)の倫理委員会は2024年、大人になってから発症する病気に対するPGT-Mも倫理的に許容されうるとする意見を出しています[9]。どの病気がPGT-Mの対象になるかは、国や制度、施設によって違います。同じ病気でも、ある国では対象になり、別の国では個別の審査が必要になることがあります。受ける国の制度と、施設の条件を前もって確かめてください。くわしくは遺伝性疾患をお持ちで海外でPGT-M(着床前診断)を考えている方へで解説しています。

結果の報告書の言語

結果は、基本的に日本語版でお渡ししています。海外でPGT-Mを受けるなど、英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。

7. 日本の制度(2026年10月時点)

この検査は保険がきかない自費の検査です。原因の病気がわかると、病気によっては指定難病などの医療費助成の対象かどうかを確かめられるようになります。

この検査で調べる遺伝子が関わる病気のうち、たとえば、ヌーナン症候群(指定難病195)、歌舞伎症候群(指定難病187)、コステロ症候群(指定難病104)、CFC症候群(指定難病103)、ルビンシュタイン・テイビ症候群(指定難病102)、骨形成不全症(指定難病274)、軟骨無形成症(指定難病276)、ファンコニ貧血(指定難病285)は、指定難病です(厚生労働省の資料で番号を確認)。医療費の助成を受けるには、それぞれの制度の認定の条件を満たす必要があります。

治療の面では、ヌーナン症候群に伴う低身長への成長ホルモン治療が2017年11月に承認され、2026年6月には週1回の持続型の成長ホルモン製剤も同じ対象に承認されたと、日本小児内分泌学会の指針(2026年8月改訂)に記されています。成長ホルモン治療を受けられるかどうかは、病名だけでなく身長などの基準でも決まるため、主治医の小児内分泌科とご相談ください。

8. 検査の流れ・費用・結果までの日数・検体

検査費用は330,000円(税込)で、結果までは2〜3週間です。検体は血液・唾液・頬の内側の粘膜で、オンライン診療でも受けられます。

ご予約
▶
遺伝カウンセリング臨床遺伝専門医
▶
検体の採取血液・唾液・頬の粘膜
▶
結果のご説明2〜3週間後・マイページへ

💴 費用・日数・検体

項目 内容
検査内容 153遺伝子の塩基配列と欠失・挿入(どちらも料金に含まれます)
検査費用 330,000円(税込)
遺伝カウンセリング料 30分22,000円(税込)。検査費用とは別にかかります
結果までの期間 2〜3週間
オプション 至急:結果までの期間が約7日短くなります(55,000円)/VUS除外(無料)
検体 血液(EDTAチューブ4ml×2本)、抽出DNA、頬の内側の粘膜(スワブ)、唾液
オンライン診療 唾液・頬の粘膜・血液のいずれでも可能。血液の場合は全国の提携医療機関で採血
結果の言語 基本は日本語版。英語版はお申し出があればお渡しします。英語版と日本語版の双方は追加料金5,500円

※ご夫婦・カップルで同じ検査を同日・同時に受ける場合は、遺伝カウンセリング料が1人分になります(検査費用の割引はありません)。

オンライン診療で受ける場合

オンライン診療(ビデオ通話)で遺伝カウンセリングを行ったあと、検体を当院にお送りいただく流れです。オンラインの場合は、遺伝カウンセリング料金を事前にお支払いください。検体採取キットは、検査費用をお支払いいただいた後にお送りします。検体の取り違えを防ぎ、検査に使える品質を保つため、キットが届く前にご自身で検体を採取しないでください。

受けるのは、ご本人の同意が基本です

お子さんが検査を受ける場合は、保護者の方と一緒に遺伝カウンセリングでお話をうかがい、検査を受けるかどうかは、説明を聞いて納得してから決めていただきます。結果は一生変わらない情報なので、お子さんが大きくなったときにどう伝えるかも、遺伝カウンセリングでご相談いただけます。

\ 一度の検査で、この先ずっと使える情報を /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

唾液・頬の粘膜・血液のいずれでもオンライン診療で受けられます。結果は臨床遺伝専門医が直接ご説明します。

お問い合わせはこちら | 原発性低身長症の遺伝子検査

9. 院長コラム

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「背が低いだけ」かどうかは、調べてはじめてわかる】

私自身、希少な常染色体顕性(優性)遺伝性疾患の当事者です。子どもに病気を受け渡したくない、という遺伝の病気をもつ方の思いはよくわかります。また、お子さんが重い症状で発症したのをきっかけに、ご自身も同じ遺伝子の変化を持っていたとわかり、自分のせいだと責めてしまう親御さんを、何度も見てきました。私の当事者としての話は、遺伝性疾患の当事者として、臨床遺伝専門医になった理由に書いています。

低身長は、「家族もみんな小柄だから」「そのうち伸びるから」と、原因を確かめないまま様子を見ることが多い症状です。けれども、同じ「背が低い」でも、成長ホルモン治療が役に立つ病気もあれば、成長ホルモンを慎重に考えるべき病気もあり、心臓や腎臓、がんへの備えが必要な病気もあります。原因によって、するべきことが逆になることさえあるのです。

遺伝子検査は、やってみないとわからないことを、何度も経験してきました。検査をしないと何も言えない、というのが私の確固たる考えです。遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。原因を知ることは、誰かを責めるためではなく、治療を選び、ご家族を守り、次の妊娠に備えるための材料です。

わからないまま悩み続けるより、わかったことから次を考えるほうが前に進める、と考えています。知ったうえで結婚や妊娠を考えたい方には、出生前診断まで当院で続けて支えられる体制を整えています。どの選択をされても、その選択を尊重します。

よくある質問(FAQ)

Q1. 低身長は遺伝しますか?親のせいですか?

低身長の原因には、遺伝子の変化によるものも、そうでないものもあります。遺伝子の変化が原因でも、ご両親から受け継いだものとは限らず、お子さんの代で新しく起きた変化のこともあります。遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。原因を知ることは、これからの治療や計画を立てるためのものです。

Q2. 低身長症は何センチからですか?

決まった「何センチ」ではなく、同じ年齢・同じ性別の平均からどれくらい離れているかで判断します。2026年の国際ガイドラインでは、身長がマイナス2.0SDより低いこと、時間とともに身長のSDが下がっていくこと、ご両親の身長から予想される範囲より低いこと、のどれか1つがあれば成長の問題があるとしています。

Q3. 遺伝子検査で原因がわかる割合はどれくらいですか?

原因がはっきりしない低身長の子どもを対象にした研究をまとめた系統的レビューでは、遺伝子パネル検査で原因がわかった割合は21.6%、全エクソーム検査では33.3%でした。顔つきや発達などほかの特徴を伴う低身長では50.8%、骨の病気が疑われる特徴がある場合は69.8%と高く、ほかに目立つ特徴がない低身長では15.1%でした。当院の検査の成績ではありません。

Q4. 検査で原因が見つからなかったら、遺伝の病気ではないのですか?

そうとは限りません。調べていない遺伝子、まだ見つかっていない遺伝子、この検査では見つけられない変化(染色体の転座・リピート伸長・メチル化の異常など)が原因のこともあります。体質や遺伝以外の原因のこともあります。症状に合わせて、マイクロアレイ染色体検査や全エクソーム検査などの次の検査をご提案します。

Q5. ターナー症候群やシルバー・ラッセル症候群も調べられますか?

この検査では調べられません。ターナー症候群は染色体の数・形の変化なので染色体検査、シルバー・ラッセル症候群のようなインプリンティング疾患は遺伝子の目印(メチル化)の異常を調べる検査が必要です。症状から疑われる病気に合わせて、合う検査をご提案します。

Q6. 保険は使えますか?費用はいくらですか?

この検査は自費で、検査費用は330,000円(税込)です。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。原因の病気がわかると、ヌーナン症候群や歌舞伎症候群のように、病気によっては指定難病などの医療費助成の対象かどうかを確かめられるようになります。

Q7. 原因がわかると、成長ホルモン治療は受けられますか?

病気によって違います。たとえばヌーナン症候群に伴う低身長は、日本では2017年に成長ホルモン治療が承認されています。一方で、ブルーム症候群のように、腫瘍の心配から成長ホルモンの使用を慎重に考える病気もあります。治療を受けられるかは身長などの基準でも決まるため、主治医の小児内分泌科とご相談ください。

Q8. 海外でPGT-Mを受けたいのですが、英語の検査結果はもらえますか?

はい。英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。当院は体外受精・PGT-Mを行っていません。ご本人の検査結果だけでは、PGT-Mの準備はふつう整わず、ご家族の検体が必要になることが多いので、早めにご相談ください。くわしくは、海外でPGT-Mを考えている方向けのページで解説しています。

海外でPGT-Mを考えている方向けのくわしい解説:遺伝性疾患をお持ちで海外でPGT-M(着床前診断)を考えている方へ

🧬 人生に一度の遺伝子検査を、お子さんとご家族のこれからに

生まれ持った遺伝子は一生変わりません。低身長の原因がわかれば、治療の選び方や合併症への備えだけでなく、ご家族の検査や、次の妊娠の計画を考える手がかりになります。当院では臨床遺伝専門医が常駐し、検査の前後の遺伝カウンセリングから、羊水検査・絨毛検査による出生前診断の相談まで、院内で続けて受けていただけます。

お電話でのお問い合わせ:03-3478-3768

参考文献

  • [1] Dauber A, Jorge AAL, Nilsson O, et al. International guideline on genetic testing of children with short stature. Eur J Endocrinol. 2026;194(2):R17-R36. [DOI: 10.1093/ejendo/lvag013](PMID: 41543979)
  • [2] Scalco RC, Schoones JW, Galetaki D, et al. Diagnostic yield of genetic testing in children with short stature: a systematic review. Eur J Endocrinol. 2026;194(2):S15-S24. [DOI: 10.1093/ejendo/lvag011]
  • [3] Adam MP, Hannibal M. Kabuki Syndrome. In: GeneReviews®. University of Washington, Seattle; 2011 (Updated 2026 Apr 23). [NCBI Bookshelf NBK62111]
  • [4] Deardorff MA, Raible SE, Krantz ID. Cornelia de Lange Syndrome. In: GeneReviews®. University of Washington, Seattle; 2005 (Updated 2026 Jun 16). [NCBI Bookshelf NBK1104]
  • [5] Langer K, Cunniff CM, Kucine N. Bloom Syndrome. In: GeneReviews®. University of Washington, Seattle; (Updated 2023 Oct 12). [NCBI Bookshelf NBK1398]
  • [6] ESHRE PGT-M Working Group, Carvalho F, Moutou C, et al. ESHRE PGT Consortium good practice recommendations for the detection of monogenic disorders. Hum Reprod Open. 2020;2020(3):hoaa018. [DOI: 10.1093/hropen/hoaa018]
  • [7] ESHRE PGT Consortium Steering Committee, Carvalho F, Coonen E, et al. ESHRE PGT Consortium good practice recommendations for the organisation of PGT. Hum Reprod Open. 2020;2020(3):hoaa021. [DOI: 10.1093/hropen/hoaa021]
  • [8] Nakasato K, Yamamoto BA, Kato K. Evaluating standards for ‘serious’ disease for preimplantation genetic testing: a multi-case study on regulatory frameworks in Japan, the UK, and Western Australia. Hum Genomics. 2022;16:16. [DOI: 10.1186/s40246-022-00390-3]
  • [9] Ethics Committee of the American Society for Reproductive Medicine. Use of preimplantation genetic testing for monogenic adult-onset conditions: an Ethics Committee opinion. Fertil Steril. 2024;122:607-611.

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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