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SRCAP遺伝子とは?変異の「位置」で疾患が変わる仕組みをFloating-Harbor症候群・DEHMBAとあわせて遺伝専門医が解説

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

のべ10万人以上の意思決定に伴走。国際医療誌『Medical Care Review APAC』『Global Woman Leader』の2誌で表紙を飾り、「Top Prenatal Testing Service in APAC 2025」に選出されるなど、世界基準の遺伝医療を提供。

SRCAP遺伝子は、細胞の設計図であるDNAの「開き具合」を調節する、クロマチンリモデリングという重要な仕事を担っています。この遺伝子でとりわけ興味深いのは、「同じ遺伝子なのに、変異が起きる“位置”によって、まったく別の病気になる」という点です。ある位置ならFloating-Harbor症候群、別の位置ならDEHMBAという神経発達の病気、そして後天的にがんの中で起きればがんの進行に関わります。SRCAPはまれな遺伝子ですが、その仕組みは「変異の位置が病気を決める」という遺伝医学の大切な原則を鮮やかに示す教材でもあります。ですからSRCAPを理解することは、遺伝子と病気の関係全体を理解することにもつながります。本記事では、この遺伝子の働きと関連する病気を、遺伝専門医が一般の方にもわかりやすく解説します。

この記事でわかること
📖 読了時間:約20分
🧬 クロマチン制御・神経発達・がん
臨床遺伝専門医監修

Q. SRCAP遺伝子とは何をする遺伝子ですか?まず結論だけ知りたいです

A. SRCAPは、DNAの巻き取り役である「ヒストン」の一部を特別なタイプ(H2A.Z)に入れ替えることで、遺伝子のスイッチのオン・オフを調節する遺伝子です。この入れ替え作業を通じて、体の設計・発達・細胞のふるまいを広くコントロールしています。この遺伝子で最も重要なのは、変異が起きる「位置」によって現れる病気が変わることで、Floating-Harbor症候群、DEHMBA(神経発達の病気)、そして一部のがんという、まったく異なる結果につながります。

  • 分子の役割 → ヒストンH2A-H2BをH2A.Z-H2Bに入れ替えるATP依存性のクロマチンリモデラー
  • Floating-Harbor症候群 → エキソン33・34の切断型変異がNMDを回避して異常タンパク質を作り、優性阻害作用を示すと考えられる。低身長・骨年齢遅延・特徴的な顔つき
  • DEHMBA → 主にそれより手前(近位)の切断型変異で、近位変異ではNMDによるハプロ不全が主要機序。一部に遠位変異も報告される神経発達障害
  • がんとの関わり → 皮膚有棘細胞癌では別位置の体細胞変異が浸潤を促進。造血では欠損がゲノム不安定を招く
  • 診断の進歩 → DNAメチル化の「エピシグネチャー」とAI顔貌解析で、よく似た病気を客観的に見分けられる

🧬 SRCAP遺伝子の基本情報

項目 内容
遺伝子名 SRCAP(SNF2-related CREBBP activator protein)/別名 DEHMBA・FLHS・SWR1・DOMO1
タンパク質 クロマチンリモデリングATPase/SRCAP複合体の触媒サブユニット
染色体上の位置 16番染色体短腕(16p11.2
OMIM番号 611421(遺伝子)
主なはたらき ヌクレオソーム内の標準ヒストンH2A-H2Bを、ヒストンバリアントH2A.Z-H2Bへ入れ替える(ヒストン交換)
主な役割の場 遺伝子発現の調節/DNA複製/DNA修復・ゲノム安定性/幹細胞の維持
生殖細胞系列変異と関連疾患① エキソン33・34の切断型変異 → Floating-Harbor症候群(OMIM #136140)。代表例 c.7330C>T(p.Arg2444Ter)
生殖細胞系列変異と関連疾患② 主にエキソン33より上流(近位)の切断型変異、一部はFHSホットスポットより遠位の切断型変異 → DEHMBA(OMIM #619595)
体細胞変異 皮膚有棘細胞癌(cSCC)でのSRCAP-1879切断型/クローン性造血・白血病クローンでの変異
検査上の注意 変異の「位置」で疾患が変わるため、位置の解釈が重要。VUS評価にはDNAメチル化エピシグネチャーが有用

各項目の根拠と詳しい解説は、本文の該当セクションをご覧ください。

1. SRCAP遺伝子とは ─ DNAの「開き具合」を調節する司令塔

SRCAPは、DNAの巻き取り構造をつくり替えることで遺伝子のスイッチを調節する遺伝子です。ここでの働きが、体の発達から細胞のふるまいまでを広く左右します。

SRCAPは「SNF2-related CREBBP activator protein」の頭文字をとった名前で、16番染色体の短腕(16p11.2)にある大きな遺伝子です。私たちの細胞の中では、2メートルにもなるDNAが小さな核の中に折り畳まれています。その折り畳みの基本単位が、ヌクレオソームという構造で、糸巻きのようなヒストンというタンパク質にDNAが巻きついてできています。

遺伝子を読み取る(発現させる)ためには、その部分のDNAの巻きつきを適切にゆるめたり締めたりする必要があります。この巻き取り構造をATPのエネルギーを使ってつくり替える働きがクロマチンリモデリングで、SRCAPはその中心的な担い手のひとつです。とりわけSRCAPが得意とするのは、ヒストンの一部を「H2A.Z」という特別なタイプ(ヒストンバリアント)に入れ替える作業です。この入れ替えが遺伝子調節の要になります[1]

💡 用語解説:エピジェネティクスとヒストン

DNAの塩基配列そのものは変えずに、遺伝子の「読まれやすさ」を調節するしくみをエピジェネティクスと呼びます。楽譜(DNA配列)は同じでも、どこを強く弾き、どこを弱く弾くかで曲の表情が変わるようなものです。その「弾き方」を決める重要な部品がヒストンで、SRCAPはヒストンの一部を入れ替えることで、細胞ごとにどの遺伝子を使うかを調整しています。この理解は、SRCAPの変異が体のさまざまな場所に影響する理由を知る土台になります。

SRCAPはまた、CREBBP(CBP)というタンパク質を介した遺伝子の読み取りを強力に後押しする役割も持っています[1]。ちなみに、CREBBPの変異はFloating-Harbor症候群とよく似たルビンシュタイン・テイビ症候群の原因になります。名前の由来にも、SRCAPとこの経路のつながりが刻まれているわけです。ご本人やご家族にとって大切なのは、SRCAPが「体づくりの土台を広く支える遺伝子」だという点です。だからこそ、この遺伝子の変化は成長・発達・顔つき・骨格など、複数の場所に同時に影響しうるのです。

2. SRCAP複合体とヒストン交換 ─ 「巻き取り役」を入れ替える精密機械

SRCAPは単独ではなく、多数の部品が集まった「複合体」という精密機械として働き、標準ヒストンをH2A.Zに正確に入れ替えます。この正確さが、遺伝子調節の信頼性を支えています。

SRCAPは、DMAP1・RUVBL1・RUVBL2・ACTL6A・YEATS4・VPS72(YL1)・ACTR6・ZNHIT1など、たくさんのタンパク質と組んで「SRCAP複合体」という巨大な分子機械を形づくります。近年のクライオ電子顕微鏡(Cryo-EM)による解析で、この複合体がヌクレオソームにどう取りつき、どうやってヒストンを入れ替えるのかが、ほぼ原子レベルで明らかになりました[1]

解析によると、SRCAPは6個の部品からなるARPモジュールと、ATPを使うモーターモジュールを組み合わせて働きます。ARPモジュールはヌクレオソームの半分をDNAに沿って取り囲むように配置され、ヌクレオソームがずるずると滑って移動してしまうのを抑えます。これはSRCAP複合体に特有の構造的な特徴です[1]

そのうえで、ATPを使ったモーターの動きが導入側のDNAの巻きつきをほどき、標準ヒストンのH2A-H2Bをぐらつかせます。次に、複合体の一部であるZNHIT1というサブユニットが、そのH2A-H2Bをヌクレオソームから直接引き抜きます[1]。研究チームは、実際の細胞の中でもゲノム上のH2A.Zを維持するにはZNHIT1が欠かせないことを確認しており、構造から予測された働きと生体内での働きがきれいに一致しています[1]。空いたところには、YL1(VPS72)というサブユニットがH2A.Zを見分けて運び込みます。

SRCAP複合体によるヒストン交換の流れ

ARPモジュールが
ヌクレオソームを固定
ATPモーターが
DNAをゆるめる
ZNHIT1が
H2A-H2Bを引き抜く
YL1が
H2A.Zを挿入

4つのステップが順番に進むことで、標準ヒストンH2A-H2Bが、特別なヒストンH2A.Z-H2Bへと正確に置き換わります。

この入れ替えの主役であるヒストンバリアントH2A.Zは、遺伝子のプロモーターやエンハンサーといった「スイッチ領域」に集中して配置され、転写の調節で中心的な役割を果たします。つまりSRCAPは、H2A.Zを「置くべき場所に置く」ことで、どの遺伝子を使うかを細かく指示しているのです。この精密な入れ替え作業が乱れると、体づくりの指示があちこちで狂ってしまうため、SRCAPの変化がさまざまな症状につながることになります。

3. 変異の「位置」で疾患が変わる ─ SRCAP最大の特徴

SRCAPでは、変異がどこに起きるかによって、細胞での結果が正反対になり、まったく別の病気になります。この「位置の違い」が、SRCAPを理解するうえで最も大切なポイントです。

同じ遺伝子の変異でも現れる病気が違う。その鍵を握るのが、細胞に備わったナンセンス変異依存mRNA分解機構(NMD)という品質管理システムです。NMDは、途中で切れてしまう異常な設計図(mRNA)を見つけて壊す「検品ライン」のような仕組みです。

💡 用語解説:切断型変異とNMD

ナンセンス変異フレームシフト変異は、タンパク質の設計図の途中に「ここで終わり」という誤った停止信号を作ってしまい、短く切れたタンパク質(切断型)ができる変異です。

細胞はこうした異常な設計図を放置せず、NMD(ナンセンス変異依存mRNA分解)という仕組みで壊します。ただしNMDには「見逃す位置」があり、設計図のいちばん最後の方で起きた異常は検品をすり抜けてしまいます。この「すり抜けるかどうか」が、SRCAPの運命の分かれ道になります。

SRCAPの場合、変異の位置によって次のように運命が分かれます。エキソン33・34という遺伝子の最末端付近で起きた切断型変異は、NMDの検品をすり抜けます[2]。その結果、少し短くなった異常なタンパク質が実際に作られ、正常なSRCAPの働きを妨げる優性阻害作用を示すことが病態機序として考えられています。これがFloating-Harbor症候群です。一方、それより手前(近位)で起きた切断型変異は、NMDにしっかり捕まって設計図が壊されます[2]。異常タンパク質は作られず、正常なタンパク質が半分の量しかない状態(ハプロ不全)になります。これがDEHMBAです。

同じ切断型変異でも「位置」で運命が分かれる

末端(エキソン33・34)で変異

NMDをすり抜ける → 異常タンパク質ができる → 正常品の働きを妨げる優性阻害作用を示すと考えられる
→ Floating-Harbor症候群

手前(近位)で変異

NMDに壊される → 異常タンパク質はできない → 正常品が半分になる(ハプロ不全)
→ DEHMBA

この「異常タンパク質があること(Floating-Harbor症候群)」と「正常タンパク質が足りないこと(DEHMBA)」という2つの経路の違いが、まったく異なる症状を生みます。ご本人やご家族にとって、この違いは検査結果を理解するうえで決定的に重要です。検査でSRCAPの変異が見つかったとき、「どこに変異があるか」を確認しなければ、どちらの病気なのか、そして今後どう向き合えばよいのかが見えてこないからです。次のセクションから、それぞれの病気を詳しく見ていきます。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「同じ遺伝子=同じ病気」ではありません】

遺伝子の名前を聞くと、「その遺伝子に変異があれば、決まった病気になる」と受け取られがちです。けれどもSRCAPは、その思い込みをきれいに裏切ってくれる遺伝子です。同じ遺伝子でも、変異の位置が末端か手前かで、細胞の反応が正反対になり、現れる病気まで変わってしまうのですから。

私は、遺伝子検査の結果を読むときに「どの遺伝子に変異があるか」だけでなく「どこに、どんな種類の変異があるか」まで見ることの大切さを、いつも意識しています。変異の位置ひとつで見通しが変わるからこそ、結果を数字や記号のまま渡すのではなく、それがご本人・ご家族にとって何を意味するのかまで翻訳してお伝えすることが、私たちの責任だと考えています。

4. Floating-Harbor症候群 ─ 末端の変異が作る「異常タンパク質」の病気

Floating-Harbor症候群は、SRCAPの末端(エキソン33・34)の切断型変異が異常タンパク質を作り、正常なSRCAPの働きをじゃますることで起こる、成長と顔つきに特徴のある病気です。

Floating-Harbor症候群(FHS、OMIM #136140)は、2012年にSRCAPが原因遺伝子として同定されました[3]。この名前は、1970年代に最初の症例を報告した米国のボストン・フローティング病院とカリフォルニアのハーバー総合病院に由来します。世界的にも報告数の少ない、とてもまれな病気です[4]常染色体顕性(優性)遺伝の形をとりますが、大多数は親から受け継いだものではなく、患者さん本人で新たに生じたde novo変異(新生突然変異)によって起こります[4]

Floating-Harbor症候群の主な特徴

FHSは、次の3つの特徴の組み合わせで見分けられます。第一に著しい低身長と骨年齢の遅れです。低出生体重で生まれ、乳児期から成長の遅れが目立ちます。最も特徴的なのは、実際の年齢に比べて骨の成熟が大きく遅れることで、暦の年齢が3歳でも骨年齢が生後8〜9か月ということもあります。この骨年齢の遅れは、6歳から12歳の間に正常化へ向かう傾向があります。均整のとれた低身長を示し、短い指(短指症)や幅広い指先などの骨格の特徴もみられます。

第二に特徴的な顔つき(顔貌)です。三角形の顔、深くくぼんだ目、長いまつげ、短い人中(鼻と上唇の間)、薄い上唇の目立つ広い口、そして鼻筋が狭く鼻先と鼻の付け根が広い長い鼻、低く垂れ下がった鼻柱(コルメラ)などが、FHSを見分ける重要な手がかりになります。第三に言語の発達の遅れで、特に自分から話す言葉(表出性言語)の遅れが目立ち、構音障害や高い声などが特徴です。多くの方に、境界域から中等度の知的障害がみられます。

💡 なぜ末端の変異だけが病気を起こすのか

FHSの変異は、SRCAPタンパク質のC末端側の一部だけを切り落とします。切り落とされる部分には、DNAに直接くっつく「AT-hook」という重要な部品が含まれますが、複合体を組む部分やATPを使う部分は残ります[4]。その結果、短縮された異常タンパク質が作られ、正常なSRCAPの働きを妨げる優性阻害(ドミナントネガティブ)作用を示すことが病態機序として考えられています。これはハプロ不全とは異なる仕組みです。なお、FHSのホットスポットより上流にある機能喪失変異が一般集団データベースでも観察されることなどから、FHSでは単純なタンパク質量の低下だけでは病態を十分に説明できず、NMDを回避して生じる短縮タンパク質の作用が重要と考えられています。

FHSの原因変異は、エキソン33・34、とりわけ最後のエキソン34に極端に集中します[3]。北米や欧州では、c.7330C>T(p.Arg2444Ter)という特定の変異が患者さんの多くを占めます。鑑別すべき病気として、CREBBPやEP300の変異によるルビンシュタイン・テイビ症候群(RSTS1)があり、低身長や垂れ下がった鼻柱などの特徴を共有します。ただしRSTSでは骨年齢は通常正常で、顔つきの特徴も異なるため区別できます。

治療と遺伝カウンセリング

現在のところ、FHSに対する根本的な遺伝子治療はなく、屈折異常・斜視・難聴・てんかん・胃食道逆流症などに対する標準的な対症療法が中心となります[4]。成長障害に対して成長ホルモン療法が試みられた報告もありますが、反応は限定的で、長期的な安全性の情報も限られているため、適用には慎重な判断が求められます[4]。遺伝的には、確定したde novo変異を持つ患者さんの次子の再発リスクは1%未満ですが、患者さんご本人が将来お子さんを持つ場合の伝わる確率は50%です。この違いはご家族計画を考えるうえで大切な情報ですので、遺伝カウンセリングで整理することをおすすめします。

5. DEHMBA ─ 手前の変異が作る「タンパク質不足」の病気

DEHMBAは、SRCAPのFloating-Harbor症候群ホットスポット外の切断型変異に関連する神経発達の病気です。多くは手前(近位)の変異で、近位変異ではNMDによるハプロ不全が主要機序と考えられます。一部に遠位変異も報告され、病原機序は一様ではありません。FHSとは違い、典型的な著しい低身長や特徴的な顔つきを通常伴いません。

DEHMBA(Developmental delay, Hypotonia, Musculoskeletal defects, and Behavioral abnormalities、発達遅滞・筋緊張低下・筋骨格系異常・行動異常を伴う疾患、OMIM #619595)は、2021年にRotsらの研究で確立された比較的新しい病気の概念です[2]。この研究では、FHSのホットスポットの外側、つまり近位(28人)または遠位(5人)に切断型変異を持つ33人の患者さんが集められ、FHSとは異なる特徴を持つ一群として報告されました[2]

DEHMBAの主な特徴は、発達の遅れや自分から話す言葉の遅れ、軽度から重度の知的障害、自閉スペクトラム症やADHDなどの行動面の問題、筋緊張低下(体の力が入りにくい)、関節の過可動性などです[2]。FHSと一部の症状(知的障害や言語の遅れ)は重なりますが、決定的な違いがあります。DEHMBAの患者さんは、FHSの診断に不可欠な「著しい低身長」「骨年齢の遅れ」「一目でわかる特徴的な顔つき」を持たないのです[4]。顔つきの違いはあっても、長い顔・内眼角贅皮・下唇の外反・広い鼻筋など多様で、FHSのような特定のパターンには収束しません[4]

🧬 Floating-Harbor症候群とDEHMBAの比較

比較項目 Floating-Harbor症候群 DEHMBA
変異の位置 エキソン33・34(末端) 主にそれより手前(近位)・一部は遠位
分子メカニズム NMDを回避し短縮タンパク質ができ、優性阻害作用を示すと考えられる 近位変異ではNMDによるハプロ不全が主要機序。遠位変異の機序は一様ではない
低身長・骨年齢 著しい低身長・骨年齢の遅れ 目立つ低身長なし・骨年齢は通常正常
顔つき 一目でわかる特徴的な顔つき 非特異的・多様
神経・発達 境界域〜中等度の知的障害・言語障害 軽度〜重度の知的障害・自閉様行動・筋緊張低下
エピシグネチャー FHS特異的なメチル化シグネチャー(陽性) 近位型独自のシグネチャー(FHSモデルでは陰性)

近位の切断型変異はNMDの標的となり、変異したmRNAが翻訳前に速やかに分解されます。その結果、正常な片方のアレルから半分の量のタンパク質しか作られないハプロ不全の状態になります[2]ご本人やご家族にとって重要なのは、FHSとDEHMBAでは今後の見通しや注意すべき点が異なることです。たとえばDEHMBAでは低身長への対応より、発達支援や行動面のサポート、筋緊張低下への対応が中心になります。だからこそ、変異の位置を正確に把握し、どちらの病態なのかを見極めることが、その後のケアの出発点になります。

6. エピシグネチャーとAI診断 ─ よく似た病気を客観的に見分ける

SRCAPの変異は血液のDNAに特有のメチル化パターンを残すため、この「エピシグネチャー」を読むことで、症状が似た病気を客観的に見分けられます。近年はAIも活用されています。

SRCAP複合体はクロマチンのエピジェネティックな修飾を直接司るため、SRCAPの変異は血液の白血球のDNAに特有のメチル化パターンの変化を残します。これをDNAメチル化エピシグネチャーと呼びます。FHSの患者さんには、病気に特有の明確なエピシグネチャーがあることが証明されています[4]。この技術は、臨床的にFHSが疑われるのにシーケンス解析で病原性変異が特定されない場合や、意義不明変異(VUS)の意味を評価する際の、最終的な診断確証ツールとして活用されています[4]

💡 用語解説:エピシグネチャーとVUS

エピシグネチャーとは、特定の病気に共通してみられるDNAメチル化パターンの「指紋」のようなものです。遺伝子の配列だけでは病気かどうか判断がつかないときでも、この指紋を照合することで診断の助けになります。

遺伝子検査では、見つかった変化が病気を起こすのか、それとも無害なのか判断がつかないことがあり、これをVUS(意義不明変異)と呼びます。VUSと言われると不安になりますが、エピシグネチャーのような別の角度からの検査を組み合わせることで、その意味をより正確に評価できる場合があります。

さらに近年は、人工知能(AI)を診断に活用する試みが進んでいます。2025年にMakらは、顔つきの微細な違いを客観的に評価するAI「GestaltMatcher」と、DNAメチル化データに対する機械学習(サポートベクターマシン、SVM)を組み合わせた遺伝型・エピジェネティック型・表現型の統合解析を報告しました[5]。この研究ではSRCAP関連疾患を含む既知の神経発達症候群も手法の検証に用いられ、顔貌情報とDNAメチル化情報を組み合わせることが、表現型の重なる疾患を客観的に分類する助けとなる可能性が示されました[5]。SMARCA2やADNPなど他の神経発達障害も含め、こうした統合解析は診断困難例を補助する次世代の手法として研究が進められています[5]ご家族にとって、こうした技術は「診断がつかないまま長く待つ」つらさを減らす可能性を持っています。

7. がんとの関わり ─ SRCAPの「二つの顔」

SRCAPは、生まれた後に体の一部の細胞で起きる体細胞変異として関わると、状況によって「がんを抑える顔」と「がんを進める顔」の両方を見せます。ここでも変異の位置と場所が結果を左右します。

これまで見てきたFHSやDEHMBAは、生まれつき体じゅうの細胞が持つ生殖細胞系列変異による病気です。一方、生まれた後に体の一部の細胞だけで生じる体細胞変異としてSRCAPが関わると、まったく別の顔を見せます。

皮膚有棘細胞癌 ─ 浸潤を促進する「がんを進める顔」

皮膚有棘細胞癌(cSCC)は2番目に多い皮膚がんで、浸潤性が高く、米国だけで年間およそ15,000人の死亡をもたらす侵襲性の高い病気です[6]。大規模なゲノム解析により、SRCAPがcSCCで高頻度に変異するドライバー遺伝子の一つであることが特定されました[6]。ここで興味深いのは、がんでの変異の位置がFHSとは異なる点です。cSCCでは、アミノ酸1879番目以降の約42%を欠失させる切断型変異(SRCAP-1879)がホットスポットとして同定されました[6]。これはFHSの原因となる2444番付近での切断とは位置が大きく異なります。

研究者らがこの腫瘍型のSRCAP-1879変異を細胞モデルに発現させたところ、細胞の増殖が高まり、最終分化が妨げられ、周囲組織への浸潤が加速しました[6]。メカニズムとして、SRCAP-1879はH2A.Zのクロマチン占有そのものは大きく変えないまま、細胞外マトリックスを分解するMMP9(マトリックスメタロプロテアーゼ9)の発現を強く誘導し、細胞の運動性を高めることが示されました[6]。驚くべきことに、比較としてFHS型の切断変異を同じ細胞に発現させると、細胞の運動性はむしろ減少し、MMP9の発現も抑えられました[6]同じ遺伝子の切断型変異でも、切断の位置の違いが正反対の結果を生むことを、この実験は鮮やかに示しています。

SRCAP変異の位置による、細胞のふるまいの違い(概念比較)

野生型
(基準)

FHS型変異
運動性・MMP9↓

腫瘍型SRCAP-1879
運動性・MMP9↑

同じ「切断型変異」でも、切断される位置によって細胞の運動性やMMP9の発現が正反対に動きます。これは細胞・動物実験レベルの知見で、概念的な比較として示しています。

造血 ─ ゲノムを守る「がんを抑える顔」

血液を作る造血の場面では、SRCAPは逆に「守り手」として働きます。造血幹細胞に生じた体細胞変異が異常なクローンを増やすクローン性造血(CHIP)や白血病クローンで、SRCAPの変異が反復して同定されています[7]。造血幹細胞でSRCAPを欠損させたマウスの研究では、SRCAPが胎児期の正常な造血に不可欠であり、成体でSRCAPを失うと造血幹細胞が急速に消失し、骨髄を再構築する能力が著しく低下することが示されました[7]

分子レベルでは、SRCAP欠損細胞でDNA損傷のマーカーであるγ-H2AXが上昇し、細胞がDNA損傷ストレスにさらされていることが確認されました。これに呼応して、腫瘍を抑えるp53経路が強く活性化されます[7]。これは、少なくとも造血系ではSRCAPがゲノムの完全性の維持と造血幹細胞の恒常性に重要な役割を担うことを示唆しています。SRCAPそのものを確立したがん抑制遺伝子と単純に位置づけることはできませんが、皮膚有棘細胞癌では特定の切断型変異が浸潤を促進する一方、造血系ではSRCAPの欠損がDNA損傷と造血障害につながるという、状況依存の二面性が示されています。

8. DNA複製とゲノム安定性 ─ 転写だけでない、もう一つの重要な役割

SRCAPは遺伝子の読み取り(転写)だけでなく、DNAをコピーする複製の効率にも関わり、ゲノムの安定性を守っています。この役割は、SRCAPが幅広く細胞を支えていることを示します。

近年の研究で、SRCAPの役割が転写調節だけでなく、DNA複製の効率的な進行にも欠かせないことが明らかになりました[8]。ヒトの前立腺がん由来のPC3細胞でRNA干渉を使ってSRCAPを減らすと、複製フォークの伸長速度が約25%低下し、複製フォークの密度が減り、複製の起点が活性化しにくくなりました[8]。同時に、クロマチンに結合したH2A.Zが減り、複製ストレスのマーカーであるγH2AXが顕著に蓄積しました[8]

この研究は、SRCAPがH2A.Zを介したクロマチン構造の最適化と、複製に関わる遺伝子群の転写維持という二重のメカニズムを通じて複製効率を支え、結果的にゲノムの安定性を守っていると結論づけています[8]ご本人やご家族にとって、この点は「SRCAPが単なる一遺伝子ではなく、細胞の土台を広く支えている」ことの理解につながります。だからこそ、この遺伝子の変化が発達・骨格・がんなど、複数の場面に影響を及ぼしうるのです。

9. 検査と遺伝カウンセリング・NIPTの位置づけ

SRCAP関連疾患の診断は、変異の「位置」の解釈が鍵になります。血液1本から始められ、必要に応じてエピシグネチャー解析を加えます。出生前の検査としては一部のNIPTプランにも含まれます。

SRCAPを調べる検査は、通常は血液から抽出したDNAを用いたシーケンス解析で行います。前述のとおり、SRCAPでは変異の「位置」が病態を決めるため、変異が見つかった際には、それがエキソン33・34(FHS)なのか、それより手前(DEHMBA)なのかを慎重に解釈することが重要です。VUS(意義不明変異)と判定された場合や、臨床的にFHSが強く疑われるのに変異が特定できない場合には、エピシグネチャー解析を組み合わせることで、診断の確からしさを高められます。

SRCAPは発達障害・知的障害に関わる遺伝子でもあるため、発達障害・学習障害・知的障害の遺伝子検査発達障害・自閉症・知的障害の染色体シーケンス解析といった、出生後の検査メニューの対象疾患にも含まれます。原因のはっきりしない発達の遅れや知的障害の背景を調べる際に、SRCAPを含む多数の遺伝子を一度に解析するアプローチが役立つことがあります。

出生前(NIPT)での位置づけ

SRCAP関連疾患の多くは、親から受け継ぐのではなくde novo変異(新生突然変異)によって起こります。新生突然変異は、家族歴がないご夫婦でも突然お子さんに生じうるもので、とくに父親の年齢が高くなるほど頻度が上がることが知られています。

(父親由来の遺伝子変異が子へ伝わるイメージ)

ミネルバクリニックのインペリアルプランでは、単一遺伝子疾患のスクリーニング対象としてSRCAP(Floating-Harbor症候群)が含まれています。de novo変異によって発症する単一遺伝子疾患を広く網羅的にスクリーニングするプランです。一般にde novo一塩基変異の数は父親の年齢とともに増加することが知られていますが、SRCAP関連疾患について特異的な父性年齢効果が確立しているわけではありません。ただしNIPTはあくまでスクリーニング検査であり、確定診断ではありません。陽性となった場合は、絨毛検査・羊水検査による確定診断が必要です。SRCAP関連疾患には重い合併症を伴う神経発達障害が含まれるため、検査前後の遺伝カウンセリングで、検査でわかること・わからないことを丁寧に整理することが大切です。

ミネルバクリニックは、臨床遺伝専門医が運営し、カウンセリングから結果説明、陽性後のケアまで終始責任をもって支援する体制を大切にしています。検査を受けるかどうかを含め、決めるのはご本人・ご夫婦であり、私たちは中立の立場で判断材料を整理する役割を担います。ネットの情報だけで不安を抱え込まず、一度専門医と一緒に整理してみたいと思われたら、いつでもご相談ください。NIPT全体の考え方についてはNIPTトップページもあわせてご覧ください。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「わからない」を「異常がない」と言い換えないこと】

遺伝子検査は万能ではありません。とくにSRCAPのように変異の位置で意味が変わる遺伝子では、見つかった変化がVUS(意義不明変異)にとどまることも珍しくありません。そういうとき、「はっきりしないから大丈夫」と受け取ってしまうと、後で状況が変わったときに戸惑うことになります。

私が大切にしているのは、わからないことを正直に「今はわからない」とお伝えすることです。医学が進めば、今日のVUSが明日には意味を持つかもしれません。だからこそ、結果をその場限りで終わらせず、今わかっていることの輪郭を正確にお渡ししたうえで、これからどう向き合うかまで一緒に考える。それが、生涯にわたって関わる検査に対する誠実な姿勢だと考えています。

10. よくある誤解

SRCAPは仕組みが複雑なため、誤解も生まれやすい遺伝子です。ここでは代表的な4つの誤解を整理します。正しく理解することが、不要な不安を減らす助けになります。

誤解①「SRCAPに変異があれば必ず同じ病気になる」

SRCAPは、変異の位置によって現れる病気が変わります。末端ならFloating-Harbor症候群、手前ならDEHMBA、後天的にがんの中で起きれば別の意味を持ちます。「変異=決まった病気」という単純な図式では説明できません。

誤解②「FHSとDEHMBAは同じ病気の重症・軽症の違い」

両者は重症度の違いではなく、分子メカニズムが根本的に異なる別の病気です。FHSは異常タンパク質が作られる病気、DEHMBAはタンパク質が半分に減る病気で、症状のパターンも見通しも異なります。

誤解③「がんのSRCAP変異は子どもに遺伝する」

皮膚有棘細胞癌などで見つかるSRCAP-1879は体細胞変異で、生まれた後に病変部の細胞だけで生じます。原則としてお子さんに受け継がれるものではなく、FHSやDEHMBAとは別の話です。

誤解④「もう治療薬がある」

SRCAP関連疾患に対する根本的な遺伝子治療は、現時点では確立していません。FHSでは対症療法が中心です。アンチセンスオリゴヌクレオチドやゲノム編集などの次世代治療は研究段階であり、実用化された治療ではありません。

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この記事にたどりついた方は、SRCAPの検査結果を受け取った方、これから発達や成長のことで検査を考えている方、ご家族にFloating-Harbor症候群やDEHMBAが見つかった方など、さまざまな状況におられると思います。次に確認するとよい観点を、いくつか挙げておきます。

よくある質問(FAQ)

Q1. SRCAP遺伝子はどこにあって、何をする遺伝子ですか?

SRCAPは16番染色体の短腕(16p11.2)にある遺伝子で、クロマチンリモデリングATPaseというタンパク質をつくります。ヌクレオソームの中の標準ヒストンH2A-H2Bを、特別なヒストンバリアントであるH2A.Z-H2Bに入れ替える働きを担い、この入れ替えを通じて遺伝子のスイッチのオン・オフ、DNA複製、DNA修復などを調節しています。SRCAP単独ではなく、多数のタンパク質と組んだSRCAP複合体として機能します。

Q2. なぜ同じSRCAP遺伝子の変異で、違う病気になるのですか?

変異が起きる「位置」によって、細胞での運命が変わるためです。エキソン33・34という末端の切断型変異は、細胞の品質管理システム(NMD)をすり抜けて短縮タンパク質を作り、正常なSRCAPの働きを妨げる優性阻害作用を示すことが病態機序として考えられています。これがFloating-Harbor症候群です。一方、DEHMBAの多くを占めるそれより手前(近位)の切断型変異はNMDで分解され、ハプロ不全となります。一部に遠位変異も報告され、病原機序は一様ではありません。こうした変異位置と分子機序の違いが、異なる病気を生みます。

Q3. Floating-Harbor症候群とDEHMBAの一番の違いは何ですか?

分子メカニズムと症状の両方が異なります。Floating-Harbor症候群は著しい低身長・骨年齢の遅れ・一目でわかる特徴的な顔つきを伴います。一方DEHMBAは、これらを伴わず、発達の遅れ・自閉様の行動・筋緊張低下・関節の過可動性などが中心です。どちらの病態かによって注意すべき点や見通しが異なるため、変異の位置を確認して見極めることが大切です。

Q4. SRCAPの変異は親から遺伝しますか?次の子にも起こりますか?

Floating-Harbor症候群やDEHMBAは常染色体顕性(優性)遺伝の形をとりますが、多くは親から受け継いだものではなく、患者さん本人で新たに生じたde novo変異(新生突然変異)です。確定したde novo変異を持つ場合、ご両親の次のお子さんの再発リスクは1%未満とされます。一方、患者さんご本人が将来お子さんを持つ場合には、伝わる確率は50%です。ご家族計画については遺伝カウンセリングでの整理をおすすめします。

Q5. 遺伝子検査でVUS(意義不明変異)と言われました。どうすればよいですか?

SRCAPでは、DNAメチル化のエピシグネチャー解析を組み合わせることで、VUSの意味をより正確に評価できる場合があります。臨床的にFloating-Harbor症候群が疑われるのに変異が特定できないときや、VUSが見つかったときの確証ツールとして活用されています。近年はAIを使った顔つき解析とメチル化解析を組み合わせ、よく似た病気を客観的に見分ける手法も進んでいます。VUSは「わからない」であって「異常がない」とは異なりますので、追加の評価や経過観察を専門医と相談されることをおすすめします。

Q6. SRCAPはがんの遺伝子でもあると聞きました。心配すべきですか?

SRCAPのがんとの関わりは、主に生まれた後に体の一部の細胞で起きる体細胞変異によるもので、Floating-Harbor症候群やDEHMBAのような生まれつきの変異とは別の話です。皮膚有棘細胞癌では特定の位置の切断型変異が浸潤を促進する一方、造血系ではSRCAPの欠損がDNA損傷や造血障害につながることが報告されるなど、状況によって影響が異なります。これらの体細胞変異は原則としてお子さんに遺伝するものではありません。また、現時点でFloating-Harbor症候群そのものに明確ながんリスク上昇が確立しているわけではありません。気になる点は専門医にご相談ください。

Q7. SRCAP関連疾患はNIPT(出生前検査)でわかりますか?

ミネルバクリニックのインペリアルプランでは、単一遺伝子疾患のスクリーニング対象としてSRCAP(Floating-Harbor症候群)が含まれています。SRCAP関連疾患の多くはde novo変異によって起こるため、こうした検査の対象となります。一般にde novo一塩基変異の数は父親の年齢とともに増加しますが、SRCAP関連疾患に特異的な父性年齢効果が確立しているわけではありません。ただしNIPTはスクリーニング検査であり、確定診断ではありません。陽性となった場合は絨毛検査・羊水検査による確定診断が必要です。SRCAP関連疾患には重い合併症を伴う神経発達障害が含まれるため、検査前後の遺伝カウンセリングが重要です。

Q8. SRCAP関連疾患に治療法はありますか?

現時点では根本的な遺伝子治療は確立しておらず、Floating-Harbor症候群では屈折異常・斜視・難聴・てんかん・胃食道逆流症などに対する対症療法が中心です。成長ホルモン療法が試みられた報告もありますが、反応は限定的で慎重な判断が必要です。アンチセンスオリゴヌクレオチドやCRISPRを用いた次世代の治療戦略は研究段階にあり、SRCAP関連疾患への応用が期待されていますが、実用化された治療ではありません。発達支援や合併症の管理を、専門家と連携して進めることが大切です。

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Floating-Harbor症候群・DEHMBAなどSRCAP関連疾患や
発達・成長に関する遺伝子検査と遺伝カウンセリングは
臨床遺伝専門医が運営するミネルバクリニックにご相談ください。

参考文献

  • [1] Structural insights into histone exchange by human SRCAP complex. Cell Discov. 2024. [PMC10853557]
  • [2] Truncating SRCAP variants outside the Floating-Harbor syndrome locus cause a distinct neurodevelopmental disorder with a specific DNA methylation signature. Am J Hum Genet. 2021. [PubMed 33909990]
  • [3] Mutations in SRCAP, Encoding SNF2-Related CREBBP Activator Protein, Cause Floating-Harbor Syndrome. Am J Hum Genet. 2012. [Am J Hum Genet 2012;90:308-313]
  • [4] SRCAP-Related Floating-Harbor Syndrome. GeneReviews®. [NBK114458]
  • [5] Artificial intelligence-driven genotype–epigenotype–phenotype approaches to resolve challenges in syndrome diagnostics. eBioMedicine. 2025. [PMC12242594]
  • [6] A dominant SRCAP truncating mutation promotes squamous cell carcinoma progression. Oncogenesis. 2025. [PMC12381255]
  • [7] The Clonal Hematopoiesis-associated Gene Srcap Plays an Essential Role in Hematopoiesis. Preprint. 2024. doi:10.1101/2024.08.16.607812. [PMC11370474]
  • [8] Srcap Chromatin Remodeler Is Required for Efficient Replication Dynamics in Mammalian Cells. Int J Mol Sci. 2025. [PMC12733413]

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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