Nonsense-mediated mRNA decay (NMD) は、翻訳終結前コドンpremature translation-termination codons (PTCs)を含むmRNAを除去する翻訳連関機構であり、哺乳類細胞では、NMDはプレRNAスプライシングとも連関している。哺乳類細胞では、PTCがイントロンの上流に位置する場合にのみ、mRNAの大幅な減少が起こることが多く、NMDはプレmRNAスプライシングとも関連している。
通常、mRNAの分解過程はまず3ʼ末端ポリ(A)鎖の短縮化がファーストステップであり、翻訳終了と同時に始まる。しかし、ナンセンス変異を有する異常mRNAはNMDと呼ばれるmRNA分解機構が働き、即座に分解される。Nonsense-mediated mRNA decay (NMD)はナンセンス変異のある遺伝子が読み取られて途中で翻訳終結する異常な短鎖タンパク質の生成を防ぐ生物の防御機構である。それと同時にmRNAの急速な分解が引き起こされることで機能性タンパク質が必要な量得られなくなり、重症疾患の原因となる事も知られている。
こうした疾患を治療する薬剤として例えばナンセンス変異の結果生じた異常な終止コドン(PTC)の読み飛ばしをおこすことで、NMDシステムが働くことを防止し、機能性タンパク質の産生を可能にするAtalurenがある。この薬剤はデュシェンヌ型筋ジストロフィーにおいてジストロフィン遺伝子のナンセンス変異によって生じたpremature translation-termination codon (PTC)をリボゾームに読み飛ばさせ、その下流のコドンを翻訳してfull-lengthジストロフィン蛋白の合成が可能となる。