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先天性多発性関節拘縮症(関節拘縮症)の遺伝子検査|107遺伝子で原因と遺伝のしかたを調べる

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

先天性多発性関節拘縮症(関節拘縮症)の遺伝子検査

先天性多発性関節拘縮症(関節拘縮症)は、生まれたときから体の2か所以上で関節が固く、動かせる範囲がせまい状態をまとめた呼び名です。原因は1つではなく、神経・筋肉・結合組織の病気から、おなかの中で赤ちゃんが動きにくかった環境まで、さまざまです。原因がわかると、お子さんの見通しと備え、そして次のお子さんで同じことが起こる可能性を、具体的に考えられるようになります。原因の多くは、ご両親の何かのせいで起こるものではありません。このページでは、107の遺伝子をまとめて調べる遺伝子検査で何がわかり、何がわからないかを、臨床遺伝専門医が解説します。

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. この検査で何がわかりますか?

関節拘縮症の原因として知られる107の遺伝子を一度に調べ、神経・神経と筋肉のつなぎ目・筋肉・結合組織などの病気のうち、遺伝子の変化が原因の型を探します。原因がおなかの中の環境の場合など、遺伝子では見つからない型もあります。

🧬 Q. どんな人が受けるとよいですか?

生まれたお子さんの複数の関節が固いと言われた方、妊娠中のエコーで手足の向きや動きを指摘されたあと確定検査を考えている方、ご家族に同じ病気の方がいる方、遠位型関節拘縮症などのご本人で、子どもを持つ前に原因を確かめたい方です。

🧬 Q. 費用・日数・検体は?

検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。検体は血液・唾液・頬の内側の粘膜などで、オンライン診療でもお受けできます。

🧬 Q. 結果のあとはどうなりますか?

結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。原因がわかれば、遺伝のしかたに応じて次のお子さんの確率と、妊娠したときの出生前診断の計画を考えられます。意義がまだわからない変化(VUS)が見つかることもあります。

\ 一生変わらない遺伝子を知って、お子さんとご家族のこれからに /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

検査の前に臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明します。

お問い合わせはこちら | どの検査がよいか迷う方へ

1. 先天性多発性関節拘縮症(関節拘縮症)とは:1つの病気ではなく、生まれつき2か所以上の関節が固い状態の総称

先天性多発性関節拘縮症は、「生まれたときから、体の2か所以上で関節が固い(拘縮がある)状態」をまとめて呼ぶ名前で、1つの病気の名前ではありません。国際的な専門家の合意による定義では、体の2つ以上の部位に関節の拘縮がある先天性の状態のグループとされています[1]。英語では arthrogryposis multiplex congenita といい、頭文字をとって AMC とも呼ばれます。日本語では「関節拘縮症」「先天性関節拘縮症」とも書かれます。

この状態がみられる病気は400を超えると報告されています[4]。関係する遺伝子も、2019年のまとめの時点で402にのぼります[5]。だからこそ、「関節拘縮症です」と言われただけでは、お子さんの見通しも、次のお子さんへの影響もまだわかりません。原因の病気を突き止めることが、次の一歩になります。

原因は大きく5つ:神経・神経と筋肉のつなぎ目・筋肉・結合組織や骨・おなかの中の環境

どの原因でも共通しているのは、おなかの中で赤ちゃんの動き(胎動)が少なかったことです。関節拘縮症のすべての方に胎動の減少があり、それによって関節が固まるなどの二次的な変化が起こると説明されています[4]。胎動が少なくなる時期が早いほど、また長いほど、生まれたときの拘縮は重くなります[1]。

  • ●神経の病気:脊髄の運動神経や末梢神経、脳の病気で、筋肉を動かす指令が届きにくい(例:脊髄性筋萎縮症)
  • ●神経と筋肉のつなぎ目の病気:指令が筋肉に伝わりにくい(例:先天性筋無力症候群)
  • ●筋肉の病気:筋肉そのものがうまく働かない(例:ネマリンミオパチーなどの先天性ミオパチー)
  • ●結合組織・骨・皮膚の病気:関節や皮膚の組織が固い・動きにくい(例:先天性拘縮性くも指症)
  • ●おなかの中の環境・お母さんの側の要因:子宮の形、羊水が少ない(ポッター・シーケンスとして知られる状態)、お母さんの病気など。たとえば、お母さんの体の中にある、赤ちゃんのアセチルコリン受容体に対する抗体が原因になることがあります[1]。

このほか、18トリソミーなどの染色体の病気でも関節拘縮がみられます。生まれてすぐに筋肉の張りが弱い(フロッピーインファント)様子を伴う場合は、神経や筋肉の病気が隠れていることがあります。

型の分け方:筋形成不全・遠位型・症候性

関節拘縮症の方の半数以上は、「筋形成不全(Amyoplasia)」か「遠位型関節拘縮症」のどちらかと診断されます[1]。フランスの1施設で関節拘縮症のお子さん125人を調べた研究では、筋形成不全が43%、遠位型関節拘縮症が27%、そのほかが30%でした[7]。

🧩 関節拘縮症の主な型

型 特徴 遺伝との関係
筋形成不全(Amyoplasia) 手足の筋肉がうまく育たず、四肢に拘縮が出る。560人の研究で約56%は四肢に左右対称に出た[6] 560人のうち6.6%は一卵性双生児の片方だけに起きた例で、完全に散発性(遺伝しない)と考えられている[6]
遠位型関節拘縮症 主に手・足など体の先のほうの関節に拘縮が出る。フリーマン・シェルドン症候群などを含む 多くは常染色体顕性遺伝。原因遺伝子はMYH3・TNNI2・TNNT3・TPM2・PIEZO2など(第5章の表)[12][13]
症候性の関節拘縮症 関節以外の症状(脳・顔・内臓など)を伴う。神経・筋肉・代謝の病気など幅広い 原因の病気によって、顕性・潜性・X連鎖などさまざま

※割合は研究の対象(施設・国・年代)によって変わります。

どれくらいの頻度か・命の見通し・歩けるようになるか・知能

頻度は、報告によって出生3,300〜12,000人に1人の幅があります[1]。カナダ・アルバータ州の調査では、1997〜2007年に4,300人に1人(人工妊娠中絶の例も含む)でした[2]。欧州24の先天異常登録、約890万の出生を対象にした調査では、出生10万あたり8.5人でした[3]。

命の見通しは、原因の病気によって大きく違います。欧州の調査では、関節拘縮症全体での周産期死亡は32%でした[3]。これは重い原因の病気を含む全体の数字で、一人ひとりの見通しではありません。一方、いちばん多い筋形成不全のお子さん38人を追った研究では、5歳までに85%が歩けるようになり、多くは通常の学級に通っていました[11]。

知能は、原因によります。筋形成不全のように筋肉や関節が中心の型もあれば、CLIFAHDD症候群のように発達の遅れを伴う型もあります(第5章の表)。「関節拘縮症だから寿命は〇年」「知能は正常」と一律には言えないことも、原因を調べる意味のひとつです。

関節拘縮と関節強直の違い

関節拘縮症の「拘縮」は、関節を外から動かしても、本来の動く範囲いっぱいまで動かない状態を指します[1]。「関節強直」は別の医学用語で、拘縮とは区別して使われます。お子さんの関節の状態がどちらに当たるかは、整形外科やリハビリの専門家の診察で確かめてください。

2. 遺伝子検査で原因がわかる場合・わからない場合

遺伝子検査で原因が見つかるのは、遺伝子の変化が原因の型だけです。筋形成不全のように遺伝しないと考えられている型や、おなかの中の環境が原因の型では、遺伝子検査で原因は見つかりません。

研究では、関節拘縮症の方に全エクソーム検査(約2万の遺伝子をまとめて調べる検査)を行うと、トルコ系を中心とした48家系で58.3%[8]、89家系で65.2%[9]に分子レベルの診断がつきました。おなかの中で動きがほとんどない「胎児無動症」の47家系では、73%で原因がわかっています[16]。ただし、これらは血縁のある両親の家系が多い集団や、全エクソームを使った研究の数字です。107遺伝子を調べるこの検査で同じ割合になるとは限りません。

🔍 原因の種類と、それを調べる検査

考えられる原因 向いている検査
神経・神経筋接合部・筋肉・結合組織の遺伝子の変化 このページの検査(107遺伝子)
18トリソミーなど染色体の数や大きな構造の変化 染色体マイクロアレイ検査
107遺伝子以外の遺伝子の変化、症状が広く病気をしぼれない 全エクソーム検査(WES)
おなかの中の環境・お母さんの側の要因・筋形成不全 遺伝子検査では見つからない(診察・経過・妊娠中の情報から判断)

💡 用語解説:遺伝子パネル検査

病気に関係する遺伝子をまとめて調べる検査を「遺伝子パネル検査」といいます。全エクソーム検査との違いは「WESとパネル検査の違い」で解説しています。

3. 型ごとの遺伝のしかたと、次のお子さんの確率(ご両親のせいではありません)

次のお子さんで同じことが起こる確率は、原因と遺伝のしかたで大きく変わります。原因がわからないままでは、この確率を見積もることも、次の妊娠でどう備えるかを決めることもできません。

🧬 遺伝のしかたと、次のお子さんの確率

遺伝のしかた 主な例 次のお子さんの確率の考え方
常染色体顕性遺伝 遠位型関節拘縮症(MYH3・TNNI2・TNNT3・TPM2・PIEZO2など) 親が同じ変化をもっていれば、お子さん1人ごとに2分の1
常染色体潜性遺伝 致死性先天性拘縮症候群、多くの先天性筋無力症候群、エスコバル症候群など ご両親がともに保因者の場合、お子さん1人ごとに4分の1
X連鎖遺伝 X連鎖中心核ミオパチー(MTM1)、X連鎖脊髄性筋萎縮症2型(UBA1)、ヴィーアッカー・ウォルフ症候群(ZC4H2)など お母さんが保因者かどうかと、お子さんの性別で変わる
新しく起きた変化(de novo) 顕性の病気で、ご両親のどちらにも変化がない場合 低いが、ゼロではない(下のモザイクの説明)
遺伝しないもの 筋形成不全、おなかの中の環境が原因の場合 遺伝による確率は上がらないと考えられている[6]

※その病気・その遺伝子に当てはまる遺伝のしかたは、第5章の表を参照。

遠位型関節拘縮症のひとつシェルドン・ホール症候群は常染色体顕性遺伝ですが、約半数はご家族に同じ病気の方がいない、新しく起きた例とされています。MYH3・TNNI2・TNNT3の変化は、患者さんの約半数で見つかっています[13]。フリーマン・シェルドン症候群の原因がMYH3の変化であることも、2006年に報告されました[12]。

⚠️ 原因の多くは、ご両親の何かのせいではありません

遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。筋形成不全は遺伝しないと考えられていますし、遺伝子の変化が原因でも、お子さんで新しく起きた変化であれば、ご両親が何かをしたから起きたものではありません。原因がはっきりすることで、自分を責める気持ちから離れられる方もいます。

新しく起きた変化(de novo)と、モザイクの場合

お子さんの遺伝子の変化がご両親のどちらにも見つからないときは、「新しく起きた変化(de novo)」と考えます。ただし、ご両親のどちらかの卵子や精子のもとになる細胞(生殖細胞)にだけ変化がある「性腺モザイク」の可能性は、血液の検査では否定できません。

変化をもつ生殖細胞からできる卵子・精子は2分の1の確率で変化を受け継ぎます。生殖細胞のうちどれくらいが変化をもつかは実際の診療では調べられないため、お子さん1人あたりの確率は『最大で2分の1』とお伝えしています。血液で測ったモザイクの割合も、生殖細胞の割合の目安にはなりません。「新しく起きた変化だから、次は大丈夫」と小さく見積もらないことが大切です。

4. どんな人がこの検査を受けるとよいか

原因がわからないまま病院を回る時間を、1回の検査で短くできる可能性があります。日本の未診断疾患イニシアチブ(IRUD)では、全エクソーム解析を終えた5,136家系のうち2,247家系(43.8%)で診断が確定しました[14]。裏を返せば、全員に診断がつくわけではありません。それでも、調べた結果は次の選択肢を決める材料になります。

生まれたお子さんの複数の関節が固いと言われた方

原因の病気がわかると、病名・見通し・気をつけたい合併症・使える制度が決まります。たとえば、呼吸や飲み込みに関わる神経・筋肉の病気なのか、関節や皮膚が中心の病気なのかで、備えは大きく違います。

妊娠中のエコーで、手足の向きや動きを指摘された方

関節拘縮症は、妊娠中に見つけるのがむずかしい状態です。出生時に筋形成不全とわかった107人を調べた研究では、73.8%は妊娠中に診断されていませんでした[10]。エコーで手足の向きや胎動の少なさを指摘された場合は、羊水検査・絨毛検査で赤ちゃんの細胞を調べ、染色体や遺伝子を確かめる道があります。赤ちゃんの遺伝子をまとめて調べるには、出生前の全エクソーム検査や出生前の全ゲノム検査も選べます。

ご家族に同じ病気の方がいる方・遠位型関節拘縮症のご本人

遠位型関節拘縮症は、ご本人が大人になり、子どもを持つことを考える型です。顕性遺伝であれば、お子さんへは2分の1の確率で受け継がれます。ご自身やご家族の原因の遺伝子を前もって確かめておくと、妊娠したときの出生前診断を計画できます。

この検査より別の検査が向いている場合

関節の拘縮が中心で、神経・筋肉・結合組織のどこが原因かまだしぼれていない場合は、まずこの検査が向いています。反対に、症状から病気の範囲がしぼれている場合は、次の検査のほうが合うことがあります。比べているのは検査の種類どうしで、どれが優れているという意味ではありません。

🔍 症状に合わせた検査の選び方

こんなとき 向いている検査
筋肉の張りが弱く、筋肉の病気(先天性ミオパチー)が疑われる 先天性ミオパチー遺伝子検査パネル、ネマリンミオパチー遺伝子検査
まぶたが下がる・疲れやすいなど、神経と筋肉のつなぎ目の病気が疑われる 先天性筋無力症候群遺伝子検査
運動神経の病気(脊髄性筋萎縮症)が疑われる 脊髄性筋萎縮症(SMA)遺伝子パネル検査
関節が固いのにやわらかい関節もある、先天性筋ジストロフィーが疑われる ウルリッヒ型筋ジストロフィー・ベスレムミオパチー遺伝子検査、ジストログリカン関連先天性筋ジストロフィー遺伝子検査、症候性先天性筋ジストロフィー遺伝子検査
筋肉の病気だが型をしぼれない 神経筋疾患遺伝子パネル検査
骨の形や長さの異常が目立つ 骨系統疾患パネル(521遺伝子)、骨格異形成症パネル(179遺伝子)
関節以外の症状も多く、病気をしぼれない 全エクソーム検査(WES)
染色体の病気が疑われる 染色体マイクロアレイ検査

※どの検査が合うかは、症状・診察所見・ご家族の情報で変わります。遺伝カウンセリングで一緒に決めましょう。

\ 原因がわかれば、次の妊娠への備えを具体的に考えられます /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

当院では、羊水検査・絨毛検査を院内で受けられます(2025年6月から産婦人科を併設)。

ご家族の検査を考えている方は、遺伝カウンセリングを予約する(ご希望があれば検査まで受けられます) | どの検査がよいか迷う方へ

5. この検査で調べる107遺伝子と、それぞれでわかる病気

この検査では、関節拘縮症の原因として知られる107の遺伝子を、原因の場所(神経・神経筋接合部・筋肉・遠位型・結合組織・症候群など)にまたがって一度に調べます。同じ遺伝子でも、変化の種類によって別の病気になることがあるため、表には遺伝子ごとに関係する病気をすべて並べています。

神経(運動神経・末梢神経)の病気

脊髄の運動神経、末梢神経、小脳や脳幹の病気に関係する遺伝子です。脊髄性筋萎縮症の原因であるSMN1や、橋小脳低形成の遺伝子(EXOSC3・VRK1・TSEN2・TSEN54・RARS2)が含まれます。橋小脳低形成をくわしく調べる検査には橋小脳低形成症遺伝子パネル検査、末梢神経の病気にはシャルコー・マリー・トゥース病遺伝子検査もあります。

🧠 神経の病気に関係する遺伝子(18遺伝子)

遺伝子 関係する病気(OMIM) 遺伝のしかた
SMN1 脊髄性筋萎縮症(SMA)I〜IV型 常染色体潜性
SMN2 SMAの重さに関わる遺伝子(SMN1で原因が見つかったときに、エクソン7〜8の配列と欠失・重複を調べる) SMN1の結果とあわせて判断
IGHMBP2 呼吸窮迫を伴う脊髄性筋萎縮症1型(遺伝性遠位型運動ニューロパチー潜性1型)
シャルコー・マリー・トゥース病2S型
常染色体潜性
常染色体潜性
ASCC1 先天性骨折を伴う脊髄性筋萎縮症2型 常染色体潜性
TRIP4 先天性骨折を伴う脊髄性筋萎縮症1型
先天性筋ジストロフィー(Davignon-Chauveau型)
常染色体潜性
常染色体潜性
BICD2 脊髄性筋萎縮症 下肢優位型2A
脊髄性筋萎縮症 下肢優位型2B(胎児期発症)
常染色体顕性
常染色体顕性
DYNC1H1 脊髄性筋萎縮症 下肢優位型1
シャルコー・マリー・トゥース病2O型
複合性皮質形成異常13
常染色体顕性
常染色体顕性
常染色体顕性
UBA1 X連鎖脊髄性筋萎縮症2型
VEXAS症候群(体細胞の変化による)
X連鎖潜性
体細胞変異
EXOSC3 橋小脳低形成1B型 常染色体潜性
VRK1 橋小脳低形成1A型
遺伝性遠位型運動ニューロパチー潜性10型
常染色体潜性
常染色体潜性
TSEN2 橋小脳低形成2B型 常染色体潜性
TSEN54 橋小脳低形成2A型・4型・5型 常染色体潜性
RARS2 橋小脳低形成6型 常染色体潜性
LGI4 髄鞘の異常を伴う神経原性の先天性多発性関節拘縮症1型 常染色体潜性
MPZ 先天性低髄鞘性ニューロパチー2型
シャルコー・マリー・トゥース病1B型・2I型・2J型・顕性中間型D
デジュリン・ソッタス病
ルシー・レヴィ症候群
常染色体顕性
常染色体顕性
常染色体顕性/潜性
常染色体顕性
EGR2 先天性低髄鞘性ニューロパチー1型
シャルコー・マリー・トゥース病1D型
デジュリン・ソッタス病
常染色体潜性(顕性の報告もある)
常染色体顕性
常染色体顕性/潜性
SOX10 ワーデンブルグ症候群2E型・4C型
末梢神経・中枢神経の髄鞘の異常とワーデンブルグ症候群・ヒルシュスプルング病を伴う症候群(PCWH)
常染色体顕性
常染色体顕性
TRPV4 肩甲腓骨型脊髄性筋萎縮症
遺伝性遠位型運動ニューロパチー8型
シャルコー・マリー・トゥース病2C型
Kozlowski型脊椎骨幹端異形成症
変容性骨異形成症・短体幹症3型など骨の病気
常染色体顕性
常染色体顕性
常染色体顕性
常染色体顕性
常染色体顕性

※病名と遺伝のしかたは、OMIMをもとにした公的データベース(HPO・UniProtなど)で確かめた(2026年10月)。遺伝子の並びは当院の検査の対象遺伝子リストのとおり。

神経と筋肉のつなぎ目(神経筋接合部)の病気

神経からの指令を筋肉に伝える「神経筋接合部」の遺伝子です。先天性筋無力症候群は、病型によって効く薬が違うことがあるため、原因の遺伝子を知る意味が大きい病気です。

⚡ 神経筋接合部の病気に関係する遺伝子(14遺伝子)

遺伝子 関係する病気(OMIM) 遺伝のしかた
CHRNA1 致死型多発性翼状片症候群
先天性筋無力症候群1A(スローチャネル型)
先天性筋無力症候群1B(ファストチャネル型)
常染色体潜性
常染色体顕性
常染色体顕性/潜性
CHRNB1 先天性筋無力症候群2A
先天性筋無力症候群2C
常染色体顕性
常染色体潜性
CHRND 致死型多発性翼状片症候群
先天性筋無力症候群3A
先天性筋無力症候群3B・3C
常染色体潜性
常染色体顕性
常染色体潜性
CHRNE 先天性筋無力症候群4A(スローチャネル型)
先天性筋無力症候群4B(ファストチャネル型)
先天性筋無力症候群4C(アセチルコリン受容体欠損)
常染色体顕性/潜性
常染色体潜性
常染色体潜性
CHRNG エスコバル症候群(非致死型多発性翼状片症候群)
致死型多発性翼状片症候群
常染色体潜性
常染色体潜性
DOK7 先天性筋無力症候群10
胎児無動変形シークエンス3型
常染色体潜性
常染色体潜性
MUSK 先天性筋無力症候群9
胎児無動変形シークエンス
常染色体潜性
常染色体潜性
RAPSN 先天性筋無力症候群11
胎児無動変形シークエンス2型
常染色体潜性
常染色体潜性
AGRN 先天性筋無力症候群8 常染色体潜性
CHAT 先天性筋無力症候群6 常染色体潜性
COLQ 先天性筋無力症候群5 常染色体潜性
DPAGT1 先天性筋無力症候群13
先天性グリコシル化異常症1J型
常染色体潜性
常染色体潜性
GFPT1 先天性筋無力症候群12 常染色体潜性
SLC5A7 先天性筋無力症候群20
遺伝性遠位型運動ニューロパチー7A型
常染色体潜性
常染色体顕性

※病名と遺伝のしかたは、OMIMをもとにした公的データベース(HPO・UniProtなど)で確かめた(2026年10月)。遺伝子の並びは当院の検査の対象遺伝子リストのとおり。

筋肉の病気

ネマリンミオパチー・中心核ミオパチー・先天性筋ジストロフィーなど、筋肉そのものの病気に関係する遺伝子です。TK2の病気をくわしく調べる検査にはミトコンドリアDNA枯渇症候群遺伝子検査があります。

💪 筋肉の病気に関係する遺伝子(28遺伝子)

遺伝子 関係する病気(OMIM) 遺伝のしかた
ACTA1 先天性ミオパチー2A(旧名:ネマリンミオパチー3型)
先天性ミオパチー2B(重い乳児型)
先天性ミオパチー2C(重い乳児型)
肩甲上腕腓骨型ミオパチー
常染色体顕性
常染色体潜性
常染色体顕性
常染色体顕性
NEB ネマリンミオパチー2型
先天性多発性関節拘縮症6型
常染色体潜性
常染色体潜性
TPM3 先天性ミオパチー4A
先天性ミオパチー4B(旧名:ネマリンミオパチー1型)
常染色体顕性
常染色体潜性
TNNT1 ネマリンミオパチー5A・5B
ネマリンミオパチー5C
常染色体潜性
常染色体顕性
CFL2 ネマリンミオパチー7型 常染色体潜性
KLHL40 ネマリンミオパチー8型 常染色体潜性
KLHL41 ネマリンミオパチー9型 常染色体潜性
LMOD3 ネマリンミオパチー10型 常染色体潜性
RYR1 セントラルコア病
外眼筋麻痺を伴うミニコアミオパチー
キング・デンボロー症候群
悪性高熱症の素因1
常染色体顕性/潜性
常染色体潜性
常染色体顕性
常染色体顕性
STAC3 先天性ミオパチー13型 常染色体潜性
SCN4A 先天性筋無力症候群16
先天性ミオパチー22A・22B(重い胎児型)
高カリウム性周期性四肢麻痺・先天性パラミオトニアなど筋チャネル病
常染色体潜性
常染色体潜性
常染色体顕性
SELENON 強直性脊椎を伴う筋ジストロフィー1型 常染色体潜性
TTN 心筋症を伴う先天性ミオパチー5型
肢帯型筋ジストロフィー潜性10型
脛骨筋ジストロフィー・筋原線維ミオパチー9型・拡張型心筋症1G・肥大型心筋症9
常染色体潜性
常染色体潜性
常染色体顕性
MTM1 X連鎖中心核ミオパチー(ミオチュブラーミオパチー) X連鎖潜性
BIN1 中心核ミオパチー2型 常染色体潜性
DNM2 致死性先天性拘縮症候群5型
中心核ミオパチー1型
シャルコー・マリー・トゥース病 顕性中間型B
常染色体潜性
常染色体顕性
常染色体顕性
CNTN1 コンプトン・ノース型先天性ミオパチー 常染色体潜性
MYH2 近位筋の筋力低下と外眼筋麻痺を伴うミオパチー 常染色体顕性/潜性
COL6A2 ベスレムミオパチー1B
ウルリッヒ型先天性筋ジストロフィー1B
筋硬化症
常染色体顕性
常染色体潜性
常染色体潜性
COL6A3 ベスレムミオパチー1C
ウルリッヒ型先天性筋ジストロフィー1C
ジストニア27
常染色体顕性
常染色体潜性
常染色体潜性
FKTN 筋ジストロフィー・ジストログリカン異常症A4型(福山型先天性筋ジストロフィーを含む)
筋ジストロフィー・ジストログリカン異常症B4型・C4型
拡張型心筋症1X
常染色体潜性
常染色体潜性
常染色体潜性
GMPPB 筋ジストロフィー・ジストログリカン異常症A14型・B14型・C14型 常染色体潜性
LMNA 拘束性皮膚障害2型
LMNA関連先天性筋ジストロフィー
エメリー・ドレイフス型筋ジストロフィー2型
エメリー・ドレイフス型筋ジストロフィー3型
拡張型心筋症1A
シャルコー・マリー・トゥース病2B1型
心臓手症候群スロベニア型
家族性部分型リポジストロフィー2型・ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群・マルーフ症候群
下顎末端異形成症A型
常染色体顕性
常染色体顕性
常染色体顕性
常染色体潜性
常染色体顕性
常染色体潜性
常染色体顕性
常染色体顕性
常染色体潜性
FHL1 エメリー・ドレイフス型筋ジストロフィー6型
X連鎖肩甲腓骨型ミオパチー
X連鎖還元小体ミオパチー1A・1B
ウルグアイ型顔面心筋骨格症候群
X連鎖潜性
X連鎖顕性
X連鎖
X連鎖潜性
SYNE1 先天性多発性関節拘縮症3型(筋原性)
エメリー・ドレイフス型筋ジストロフィー4型
常染色体潜性脊髄小脳失調症8型
常染色体潜性
常染色体顕性
常染色体潜性
TOR1AIP1 強直性脊椎と遠位関節の拘縮を伴うミオパチー 常染色体潜性
TK2 ミトコンドリアDNA枯渇症候群2型(筋型)
ミトコンドリアDNA欠失を伴う進行性外眼筋麻痺(潜性3型)
常染色体潜性
常染色体潜性
SCO2 ミトコンドリア複合体IV欠損症(核型2)
近視6
常染色体潜性
常染色体顕性

※病名と遺伝のしかたは、OMIMをもとにした公的データベース(HPO・UniProtなど)で確かめた(2026年10月)。遺伝子の並びは当院の検査の対象遺伝子リストのとおり。

遠位型関節拘縮症

主に手・足の関節に拘縮が出る遠位型関節拘縮症の遺伝子です。多くは常染色体顕性遺伝で、ご本人が大人になって子どもを持つことを考える型です。

✋ 遠位型関節拘縮症に関係する遺伝子(8遺伝子)

遺伝子 関係する病気(OMIM) 遺伝のしかた
TPM2 遠位型関節拘縮症1A型
遠位型関節拘縮症2B4型(シェルドン・ホール症候群)
先天性ミオパチー23(旧名:ネマリンミオパチー4型)
常染色体顕性
常染色体顕性
常染色体顕性
MYBPC1 遠位型関節拘縮症1B型
致死性先天性拘縮症候群4型
振戦を伴う先天性ミオパチー
常染色体顕性
常染色体潜性
常染色体顕性
MYH3 遠位型関節拘縮症2A型(フリーマン・シェルドン症候群)
遠位型関節拘縮症2B3型(シェルドン・ホール症候群)
拘縮・翼状片・脊椎手根足根骨癒合症候群1A
拘縮・翼状片・骨癒合症候群1B
常染色体顕性
常染色体顕性
常染色体顕性
常染色体潜性
TNNI2 遠位型関節拘縮症2B1型(シェルドン・ホール症候群) 常染色体顕性
TNNT3 遠位型関節拘縮症2B2型(シェルドン・ホール症候群) 常染色体顕性
PIEZO2 遠位型関節拘縮症3型(ゴードン症候群)
遠位型関節拘縮症5型
マーデン・ウォーカー症候群
固有感覚・触覚の障害を伴う遠位型関節拘縮症
常染色体顕性
常染色体顕性
常染色体顕性
常染色体潜性
ECEL1 遠位型関節拘縮症5D型 常染色体潜性
MYH8 遠位型関節拘縮症7型(開口障害・偽性屈指症)
カーニー複合の亜型
常染色体顕性
常染色体顕性

※病名と遺伝のしかたは、OMIMをもとにした公的データベース(HPO・UniProtなど)で確かめた(2026年10月)。遺伝子の並びは当院の検査の対象遺伝子リストのとおり。

結合組織・骨・皮膚の病気

関節・皮膚・骨の組織に関係する遺伝子です。骨や結合組織の病気をくわしく調べる検査には、結合組織疾患パネル、骨形成不全症・骨密度異常遺伝子検査、ロイス・ディーツ症候群遺伝子検査もあります。

🦴 結合組織・骨・皮膚の病気に関係する遺伝子(9遺伝子)

遺伝子 関係する病気(OMIM) 遺伝のしかた
FBN2 先天性拘縮性くも指症(ビールズ症候群)
早発型黄斑変性
常染色体顕性
常染色体顕性
CHST14 筋拘縮型エーラス・ダンロス症候群1型 常染色体潜性
FKBP10 ブルック症候群1型
骨形成不全症XI型
常染色体潜性
常染色体潜性
PLOD2 ブルック症候群2型 常染色体潜性
ANTXR2 硝子線維腫症症候群 常染色体潜性
RIPK4 膝窩翼状片症候群バルトソカス・パパス型1
CHAND症候群
常染色体潜性
常染色体潜性
TGFB3 ロイス・ディーツ症候群5型
家族性不整脈原性右室異形成症1型
常染色体顕性
常染色体顕性
ZMPSTE24 拘束性皮膚障害1型
下顎末端異形成症B型
常染色体潜性
常染色体潜性
SKI シュプリンツェン・ゴールドバーグ症候群 常染色体顕性

※病名と遺伝のしかたは、OMIMをもとにした公的データベース(HPO・UniProtなど)で確かめた(2026年10月)。遺伝子の並びは当院の検査の対象遺伝子リストのとおり。

症候群・代謝などそのほかの病気

胎児期から重い拘縮が出る「致死性先天性拘縮症候群」の遺伝子(9遺伝子)と、関節以外の症状を伴う症候群・代謝の病気などの遺伝子です。コケイン症候群をくわしく調べる検査にはコケイン症候群遺伝子パネル検査、ジストニアにはジストニア・ジスキネジア遺伝子検査があります。なお、SCN1AのOMIMの病名には、関節拘縮を名前に含むものはありません。

🧩 致死性先天性拘縮症候群・症候群・代謝の病気などに関係する遺伝子(30遺伝子)

遺伝子 関係する病気(OMIM) 遺伝のしかた
GLE1 致死性先天性拘縮症候群1型
前角細胞病変を伴う先天性関節拘縮症
常染色体潜性
常染色体潜性
ERBB3 致死性先天性拘縮症候群2型
家族性内臓ニューロパチー1
家族性赤白血病の素因
常染色体潜性
常染色体潜性
常染色体顕性
PIP5K1C 致死性先天性拘縮症候群3型 常染色体潜性
ZBTB42 致死性先天性拘縮症候群6型 常染色体潜性
CNTNAP1 致死性先天性拘縮症候群7型
先天性低髄鞘性ニューロパチー3型
常染色体潜性
常染色体潜性
ADCY6 致死性先天性拘縮症候群8型 常染色体潜性
ADGRG6 致死性先天性拘縮症候群9型 常染色体潜性
NEK9 致死性先天性拘縮症候群10型
関節拘縮・ペルテス病・上方注視麻痺
常染色体潜性
常染色体潜性
GLDN 致死性先天性拘縮症候群11型 常染色体潜性
KAT6B SBBYSS症候群(大戸症候群SBBYS型)
ゲニトパテラー症候群
常染色体顕性
常染色体顕性
NALCN CLIFAHDD症候群(先天性四肢顔面拘縮・筋緊張低下・発達遅滞)
IHPRF1(乳児期筋緊張低下・精神運動発達遅滞・特徴的顔貌1)
常染色体顕性
常染色体潜性
ASXL3 ベインブリッジ・ロパース症候群 常染色体顕性
CASK FG症候群4型
小頭症と橋小脳低形成を伴う知的発達症(MICPCH)
X連鎖
X連鎖顕性
ZC4H2 ヴィーアッカー・ウォルフ症候群
女性限定型ヴィーアッカー・ウォルフ症候群
X連鎖潜性
X連鎖顕性
MAGEL2 シャーフ・ヤン症候群(父親から受け継いだ側の遺伝子の変化で発症) 常染色体顕性
SLC35A3 関節拘縮・知的発達症・けいれん 常染色体潜性
VPS33B 関節拘縮・腎機能障害・胆汁うっ滞症候群(ARC症候群)1型
角皮症・魚鱗癬・難聴症候群、進行性家族性肝内胆汁うっ滞症12型
常染色体潜性
常染色体潜性
VIPAS39 関節拘縮・腎機能障害・胆汁うっ滞症候群(ARC症候群)2型 常染色体潜性
PMM2 先天性グリコシル化異常症Ia型 常染色体潜性
COG6 先天性グリコシル化異常症IIL型
シャヒーン症候群
常染色体潜性
常染色体潜性
DHCR24 デスモステロール症 常染色体潜性
GBA(現在の名前:GBA1) ゴーシェ病(I型・II型・III型・IIIC型・周産期致死型)
パーキンソン病の素因
常染色体潜性
素因
GBE1 糖原病IV型(周産期の神経筋型を含む)
成人型ポリグルコサン小体ニューロパチー
常染色体潜性
常染色体潜性
ERCC6 コケイン症候群B型
脳眼顔骨格症候群1型
デサンクティス・カッキオーネ症候群・紫外線高感受性症候群1型
常染色体潜性
常染色体潜性
常染色体潜性
ERCC5 色素性乾皮症G群
脳眼顔骨格症候群3型
常染色体潜性
常染色体潜性
BRAT1 致死性新生児硬直・多焦点発作症候群
小脳萎縮を伴う神経発達症
常染色体潜性
常染色体潜性
TOR1A 先天性多発性関節拘縮症5型
ねじれジストニア1型(DYT1)
常染色体潜性
常染色体顕性
SCN1A ドラベ症候群(発達性てんかん性脳症6A)
発達性てんかん性脳症6B(非ドラベ型)
家族性片麻痺性片頭痛3型
熱性けいれんプラスを伴う全般てんかん2型
常染色体顕性
常染色体顕性
常染色体顕性
常染色体顕性
SLC6A9 血清グリシン値が正常なグリシン脳症
特発性側弯症の素因6
常染色体潜性
素因
UNC50 病気との関係を研究中の遺伝子(OMIM由来のデータで病名を確認できなかった) 研究中のため未確定

※病名と遺伝のしかたは、OMIMをもとにした公的データベース(HPO・UniProtなど)で確かめた(2026年10月)。遺伝子の並びは当院の検査の対象遺伝子リストのとおり。

当院のNIPT(インペリアルプラン・ダイヤモンドプラン)で調べられる遺伝子

この検査の107遺伝子のうち10遺伝子は、妊娠中にお母さんの血液で調べる当院のNIPTのインペリアルプランでも、赤ちゃんに新しく起きた変化(de novo)を調べる対象に入っています。ASXL3・BICD2・CASK・DYNC1H1・KAT6B・LMNA・NALCN・SCN1A・SKI・ZC4H2です。このうちKAT6B・LMNA・SKIの3遺伝子は、ダイヤモンドプランでも調べられます。

一方、遠位型関節拘縮症の主な遺伝子(MYH3・TNNI2・TNNT3・TPM2・PIEZO2)や、SMN1などは、どちらのプランの対象にも入っていません。当院のNIPTは妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。陽性の場合は、確定検査(羊水検査・絨毛検査)を院内で受けられます。2つのプランの違いはインペリアルプランとダイヤモンドプランの違い、NIPT全体はNIPTのトップページをご覧ください。

6. この検査でわかること・わからないこと(検査の限界)

この検査でわかるのは、107遺伝子の小さな変化(1つの塩基の変化や、小さな挿入・欠失)と、遺伝子全体や連続した複数のエクソンの欠失・重複です。一方で、遺伝子検査には必ず限界があります。検査は次世代シークエンサーで、遺伝子のたんぱく質を作る部分(コード領域)と、その境目(スプライス部位)を読みます。

  • ●調べていない遺伝子:関節拘縮症に関係する遺伝子は400を超えるため[5]、107遺伝子以外が原因のことがあります。
  • ●見つけにくい変化:染色体の転座や逆位、繰り返し配列が長くなる変化(リピート伸長)、遺伝子の調節領域や、エクソンから離れたイントロンの深い部分の変化は検出できません。1つのエクソンだけの欠失・重複も、ふつうは検出できません。
  • ●モザイク:体の一部の細胞にだけある変化(体細胞モザイク)を見つけることは目的としていません。がん組織の検査にも使えません。
  • ●遺伝しない原因:筋形成不全やおなかの中の環境が原因の場合、遺伝子検査で原因は見つかりません。
  • ●意義がまだわからない変化(VUS):病気の原因かどうか、まだ判断できない変化が見つかることがあります。
  • ●陰性でも否定はできません:原因が見つからなくても、関節拘縮症の診断がなくなるわけではありません。
🔬 検査の技術的な情報(くわしく知りたい方へ)

読み取りの精度:対象遺伝子の99%以上の領域を、同じ場所について20回以上読み取ります(≥99% at 20x)。同じ場所を何度も読むほど、読み間違いの影響を小さくできます。

確認の方法:読み取りの質が十分でない変化は、別の方法(サンガー法)でもう一度確かめます。見つかった欠失・重複は、別の原理の方法(qPCR法やMLPA法)でもう一度確かめてから報告します。2つ以上の連続するエクソンの大きさの欠失・重複を調べられるのは、血液の検体のときです。

SMN2遺伝子:SMN2は、SMN1で診断につながる結果が見つかった場合にだけ、エクソン7〜8の配列と欠失・重複を調べます。それ以外の領域は調べません。

似た配列:遺伝子には、よく似た配列(偽遺伝子など)をもつものがあり、変化を見つける妨げになることがあります。

7. 結果が出たあと

結果は、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。結果だけをお送りすることはありません。陽性・陰性・VUSのそれぞれで、次にできることが違います。

陽性だったとき:診断の確定と、合併症への備え

名前がつくと、次の一手が決まります。原因の病気がわかると、受けるべき検査、気をつけたい合併症、使える制度(第8章)が決まります。エクソーム・ゲノム検査の研究167件をまとめた系統的レビューでは、95%の研究が、患者さんやご家族の診療方針に何らかの変化があったと報告していました[15]。研究ごとに「変化」の中身や大きさは違うので、全員の治療が変わるという意味ではありません。

ご家族への影響もわかります。顕性遺伝の病気なら、ご両親やきょうだいが同じ変化をもっているか、潜性遺伝の病気なら、ご両親が保因者かを確かめられます。ご家族の中で原因がわかっていると、ほかのご家族は同じ場所を調べることで、受け継いでいるかどうかを確かめられます。

陰性・VUSだったとき

原因が見つからなかった場合は、107遺伝子以外の原因、遺伝子検査では見つからない原因(染色体・おなかの中の環境・筋形成不全など)を考えます。症状に合わせて、全エクソーム検査や染色体マイクロアレイ検査を検討します。研究では、最初に原因がわからなかった家系でも、時間をおいて解析し直すと、20家系のうち9家系で診断がついています[9]。

VUSは、それだけで診断や、ご家族の発症リスクを判断する根拠にはしません。ただし、その変化の意味を確かめるために、ご家族の検査を行うことがあります。研究が進んで、のちに意味がはっきりすることもあります。結果の伝え方については、当院の二次的所見の開示方針もあわせてご覧ください。報告書の読み方は遺伝子検査結果の見かたで解説しています。

結果は、基本的に日本語版でお渡ししています。海外でPGT-Mを受けるなど、英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。

次の妊娠を考えるとき:出生前診断と保因者検査

ご家族で原因の遺伝子の変化がわかっていれば、妊娠したときに赤ちゃんで同じ変化があるかを調べられます。絨毛・羊水からの胎児の出生前診断は当院で承っております。その病気で出生前診断を行えるかは、病気の重さや国内の指針を踏まえて個別に判断しますので、妊娠を考えている段階からご相談ください。原因がわからないままでは、出生前に調べる的を決められません。

潜性遺伝の型では、パートナーが同じ遺伝子の変化をもっているかを知ることも大切です。拡大版保因者スクリーニング(女性版787遺伝子・男性版714遺伝子など)で調べられます。原因の遺伝子が対象かどうかは、遺伝子一覧でご確認ください。妊娠中の方には、NIPTと同じ日に採血できるカップルの保因者検査「ファミリーセーフティ プラス」もあります(NIPTと一緒に受ける検査で、単独では受けられません)。

日本でも、日本産科婦人科学会の指針にもとづく審査を経て、PGT-Mが行われています(当院は体外受精・PGT-Mを行っていません)。準備に必要なことは海外でPGT-M(着床前診断)を考えている方へで解説しています。

8. 日本の制度(2026年10月時点)

先天性多発性関節拘縮症という名前そのものは、指定難病にも小児慢性特定疾病にも載っていません(2026年10月時点、難病情報センター・小児慢性特定疾病情報センター・厚生労働省のページで確認)。ただし、原因の病気がわかると、その病気として制度の対象になることがあります。

📋 原因の病気と制度の例(2026年10月時点)

制度 対象になっている病気の例
指定難病 脊髄性筋萎縮症(3)、先天性筋無力症候群(12)、先天性ミオパチー(111)、筋ジストロフィー(113)、ベスレムミオパチー(31)、先天異常症候群(310)など(かっこ内は告示番号)
小児慢性特定疾病 脊髄性筋萎縮症、福山型先天性筋ジストロフィー、ウルリヒ型先天性筋ジストロフィー、ネマリンミオパチー、そのほかの先天性ミオパチー、ビールズ症候群(先天性拘縮性くも指症)など

※医療費の助成を受けるには、それぞれの制度の認定の条件を満たし、申請する必要があります。認定の基準や申請の方法は、難病情報センター・小児慢性特定疾病情報センターや、お住まいの自治体の窓口でご確認ください。

9. 検査の流れ・費用・結果までの日数・検体

検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。唾液・頬の内側の粘膜・血液のいずれでも、オンライン診療でお受けできます。

ご予約
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💴 費用・日数・検体

項目 内容
調べる遺伝子 107遺伝子(塩基配列の変化と、欠失・挿入を含む)
検査費用 税込330,000円
遺伝カウンセリング料 30分22,000円(税込)※検査費用とは別
結果までの期間 2〜3週間
オプション 至急:結果までの期間が約7日短くなります(55,000円)/VUS除外(無料)
検体 血液(EDTA採血管〔紫色のキャップ〕4ml×2本)、抽出したDNA(3μg)、頬の内側の粘膜(スワブ)、唾液
オンライン診療 唾液・頬の内側の粘膜・血液のいずれもオンライン診療で受けられます。血液の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。オンラインの場合は、遺伝カウンセリング料金を事前にお支払いください。

※ご夫婦・カップルで同じ検査を同じ日に一緒に受ける場合は、遺伝カウンセリング料が1人分になります(検査費用の割引はありません)。当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。

オンライン診療(ビデオ通話)で遺伝カウンセリングを行ったあと、検体を当院にお送りいただきます。検体採取キットは、検査料金をお支払いいただいたあとにお送りします。検体の取り違えや品質の低下を防ぐため、ご自身で勝手に検体を採取しないでください。検査を受けるかどうかは、説明を聞いて納得してから決めていただきます。

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10. 院長コラム

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「関節拘縮症」で終わらせず、原因まで知る】

私自身、希少な常染色体顕性(優性)遺伝性疾患の当事者です。子どもに病気を受け渡したくない、という遺伝の病気をもつ方の思いはよくわかります。また、お子さんが重い症状で発症したのをきっかけに、ご自身も同じ遺伝子の変化を持っていたとわかり、自分のせいだと責めてしまう親御さんを、何度も見てきました。私の当事者としての話は、遺伝性疾患の当事者として、臨床遺伝専門医になった理由に書いています。

関節拘縮症は、400を超える病気でみられる「状態」の名前です。遺伝しない型もあれば、次のお子さんで2分の1、4分の1の確率で起こりうる型もあります。見た目の関節の固さだけでは、そのどれなのかを見分けられません。だからこそ、「関節拘縮症」という名前で終わらせず、原因まで知ることに意味があると考えています。

遺伝子検査は、やってみないとわからないことを、何度も経験してきました。検査をしないと何も言えない、というのが私の確固たる考えです。たとえば、きょうだいのお子さんの病気をきっかけに念のため検査を受けた方に、まったく別の遺伝子の病的な変化が、体の一部の細胞だけにある状態(モザイク)で見つかったことがあります。ご本人は発症していませんでしたが、卵子や精子のもとになる細胞にもその変化があれば、お子さんが発症することがある病気でした。こうした経験から、当院では、検査を受けずにリスクだけをご説明することはしておりません。検査をせずにリスクをお伝えするほうが、かえって危険だと考えているためです。

わからないまま悩み続けるより、わかったことから次を考えるほうが前に進める、と考えています。原因がわかった方が次の妊娠を考えるときには、出生前診断まで当院で続けて支えられる体制を整えています。どの選択をされても、その選択を尊重します。

よくある質問(FAQ)

Q1. 関節拘縮症とはどんな病気ですか?

生まれたときから体の2か所以上で関節が固く、動かせる範囲がせまい状態をまとめた呼び名で、1つの病気の名前ではありません。この状態がみられる病気は400を超え、原因は神経・筋肉・結合組織の病気から、おなかの中で赤ちゃんが動きにくかった環境までさまざまです。正式には先天性多発性関節拘縮症(AMC)と呼ばれます。

Q2. 関節拘縮症は遺伝しますか?次の子で起こる確率は?

原因によって大きく違います。いちばん多い筋形成不全は遺伝しないと考えられています。遠位型関節拘縮症の多くは常染色体顕性遺伝で、親が同じ変化をもっていればお子さんへは2分の1、常染色体潜性遺伝の型ではご両親がともに保因者なら4分の1です。お子さんで新しく起きた変化でも、性腺モザイクの可能性があるため、次のお子さんへの確率は最大で2分の1と考えます。

Q3. 妊娠中にわかりますか?

妊娠中に見つけるのはむずかしい状態です。出生時に筋形成不全とわかった107人の研究では、73.8%が妊娠中に診断されていませんでした。エコーで手足の向きや胎動の少なさを指摘された場合は、羊水検査・絨毛検査や出生前の全エクソーム検査で原因を調べる道があります。ご家族で原因の遺伝子がわかっていれば、次の妊娠で出生前診断を計画できます。

Q4. 寿命や予後は?歩けるようになりますか?

原因の病気によって大きく違います。欧州の調査では関節拘縮症全体での周産期死亡は32%でしたが、これは重い原因の病気を含む全体の数字です。いちばん多い筋形成不全のお子さん38人の研究では、5歳までに85%が歩けるようになっていました。一人ひとりの見通しを考えるには、原因を知ることが大切です。

Q5. 知能に影響はありますか?

原因によります。筋形成不全のように筋肉や関節が中心の型もあれば、CLIFAHDD症候群のように発達の遅れを伴う型もあります。筋形成不全のお子さんの研究では、多くが通常の学級に通っていました。一律には言えないため、原因の病気を確かめることが見通しを考える手がかりになります。

Q6. 107遺伝子で原因はすべてわかりますか?

すべてはわかりません。関節拘縮症に関係する遺伝子は400を超えるうえ、筋形成不全やおなかの中の環境が原因の場合は遺伝子検査で原因は見つかりません。研究では全エクソーム検査で約6割の家系に診断がついていますが、107遺伝子を調べるこの検査で同じ割合になるとは限りません。

Q7. 検査で原因が見つからなかったらどうなりますか?

関節拘縮症の診断がなくなるわけではありません。107遺伝子以外の原因や、遺伝子検査では見つからない原因を考え、症状に合わせて全エクソーム検査や染色体マイクロアレイ検査を検討します。時間をおいて解析し直すと診断がつくこともあります。

Q8. 遠位型関節拘縮症とは何ですか?

主に手・足など体の先のほうの関節に拘縮が出る型で、フリーマン・シェルドン症候群やシェルドン・ホール症候群などが含まれます。多くは常染色体顕性遺伝で、原因の遺伝子としてMYH3・TNNI2・TNNT3・TPM2・PIEZO2などが知られています。ご本人が大人になって子どもを持つことを考える型なので、前もって原因の遺伝子を確かめておくと、妊娠したときの計画に役立ちます。

🧬 「関節拘縮症」の原因を知り、これからを考える

生まれ持った遺伝子は一生変わりません。関節拘縮症の原因がわかれば、お子さんの見通しと合併症への備えだけでなく、ご家族の検査や、次の妊娠の計画を考える手がかりになります。当院では臨床遺伝専門医が常駐し、検査の前後の遺伝カウンセリングから、羊水検査・絨毛検査による出生前診断の相談まで、院内で続けて受けていただけます。

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参考文献

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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