この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)
ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。
記事の作り方(編集方針)

マイクロアレイ検査(マイクロアレイ染色体検査・CMA)は、染色体のDNAの量を全体にわたって数え、顕微鏡で見る染色体検査(Gバンド)では見えない小さな欠失・重複を見つける検査です。発達の遅れ・知的障害・自閉スペクトラム症・先天異常のある方では、15〜20%で原因が見つかると報告されています[1]。「染色体は異常なし」と言われたまま原因がわからない、という回り道を、1回の検査で短くできる可能性があります。このページでは、わかること・わからないこと、ほかの検査との違い、結果のあとにできることを、臨床遺伝専門医が解説します。発達障害の検査全体の選び方は、発達障害の遺伝子検査のページにまとめています。
⏱️ 30秒でわかる要約
🧬 Q. この検査で何がわかりますか?
染色体全体のDNAの量を数え、Gバンドでは見えない小さな欠失・重複を見つけます。発達の遅れ・知的障害・自閉スペクトラム症・先天異常のある方では、原因が見つかる割合は15〜20%と報告されています。
🧬 Q. どんな人が受けるとよいですか?
原因のわからない発達の遅れ・知的障害・自閉スペクトラム症・先天異常のあるお子さん、Gバンドで「異常なし」と言われても原因がわからない方、ご自身の特性の原因を知りたい大人の方です。
🧬 Q. 費用・日数・検体は?
税込330,000円、結果まで2〜3週間です。検体は血液がおすすめで、唾液・頬の内側の粘膜でもできる場合があります。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。
🧬 Q. 結果のあとはどうなりますか?
結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。原因がわかれば、合併症への備えや次のお子さんの確率を具体的に考えられます。意義がまだわからない変化(VUS)が見つかることもあります。
1. マイクロアレイ検査(マイクロアレイ染色体検査・CMA)とは
マイクロアレイ検査は、染色体のDNAの量を全体にわたって数え、Gバンドでは見えない小さな欠失(足りない部分)・重複(多い部分)を見つける検査です。英語の chromosomal microarray analysis の頭文字をとって、CMAとも呼ばれます。2010年に米国などの専門家がまとめた合意声明は、発達の遅れや先天異常のある方の最初の検査として、Gバンドの代わりにマイクロアレイを使うことを強く支持しています[1]。日本でも2020年3月に、日本小児遺伝学会・日本先天異常学会・日本人類遺伝学会が「診療において実施するマイクロアレイ染色体検査のガイダンス」を公表しています。
しくみ:DNAの「量」を染色体全体で数える
私たちの染色体は、ふつう2本ずつ対になっています。マイクロアレイでは、染色体全体に目印を細かく並べたチップを使い、場所ごとにDNAの量が「2本分」より少ないか多いかを調べます。量が1本分しかなければ欠失、3本分あれば重複です。こうした量の違いをコピー数の変化(CNV)と呼びます。
方式には、基準のDNAと比べるCGHアレイと、SNP(一塩基多型)という目印を使うSNPアレイがあります(SNPアレイとCGHアレイの違い)。研究で遺伝子の働き具合を調べる「DNAマイクロアレイ」も同じチップの技術を使いますが、目的が違う検査です。しくみをさらに詳しく知りたい方は、染色体マイクロアレイ(CMA)とはもご覧ください。
Gバンド(顕微鏡で見る染色体検査)との違い
Gバンド法は、染色体を染めて縞模様を顕微鏡で見る検査です。染色体の数の変化や大きな構造の変化はわかりますが、3Mbほどの小さな変化が見えることもある一方、5〜10Mbの大きさの変化を見逃すことも多いとされています[1]。地図にたとえると、Gバンドは「国や県の形」の変化を見る検査、マイクロアレイは「町や番地」のレベルの変化まで探す検査です。特定の場所だけを確かめるFISH法と違い、どこに変化があるかわからなくても、染色体全体を一度に調べられます。
2. マイクロアレイ検査でわかること:見つかる代表的な微小欠失・重複
マイクロアレイでわかるのは、発達の遅れ・知的障害・自閉スペクトラム症・先天異常の原因になる、染色体の小さな欠失・重複です。こうした変化で起こる病気を微小欠失症候群・微小重複症候群、まとめてゲノム病と呼びます。下の表は、マイクロアレイで見つかる代表的なものです。
🧬 マイクロアレイで見つかる代表的な微小欠失・重複
※代表として、発達の遅れ・知的障害・自閉スペクトラム症・先天異常の原因として知られ、当院に解説ページがあるものを中心に選びました。マイクロアレイで調べるのはこの表の場所だけではなく、染色体全体です。「当院のNIPT」の列は、当院のNIPTの各プランで症候群名を確かめられたものだけを書いています(スタンダードプランから=スタンダード・プレミアム・ダイヤモンド・双子マックス・インペリアル)。「対象として確認できていません」は、当院のNIPTで調べられないという意味ではありません。
この中で最も多い22q11.2欠失症候群は、赤ちゃんのおよそ1,000人に1人にみられる微小欠失症候群で、多くは親から受け継いだものではなく、新しく起きた変化です[6]。病名の詳しい症状や見通しは、表のリンク先で解説しています。このページでは、検査を受けるかどうかを決めるために必要なことを中心にお伝えします。
3. どんな人がマイクロアレイ検査を受けるとよいか
原因のわからない発達の遅れ・知的障害・自閉スペクトラム症・先天異常(複数の奇形など)のある方で、最初に考える検査のひとつです[1]。発達障害と染色体の関係の全体像は、神経発達障害と知的障害で解説しています。
お子さんに発達の遅れ・知的障害・自閉スペクトラム症・先天異常がある
2010年の合意声明は、発達の遅れ・知的障害・自閉スペクトラム症・複数の先天異常のある方を対象に、マイクロアレイで原因が見つかる割合を15〜20%とし、Gバンドの約3%(ダウン症候群などの見てわかる染色体の病気を除く)より高いとしています[1]。てんかんや行動面の特徴(ADHDなど)を伴う場合も、ほかの症状とあわせて、この検査を考えることがあります。自閉スペクトラム症の遺伝子検査の考え方は、自閉症スペクトラムの遺伝子検査の現状もご覧ください。
見た目や家族歴だけでは、判断できないことがあります。当院でも、家族歴が濃いものの、ご本人は大学を卒業して会社に勤めていた方が、念のために検査を受けたところ、染色体の微小欠失が見つかったことがあります。
Gバンドで「異常なし」と言われたが、原因がわからないまま
以前の染色体検査がGバンド法だった場合、5〜10Mbより小さな変化は見えていない可能性があります[1]。「染色体は正常」と言われたあとに、マイクロアレイではじめて原因が見つかる方がいます。ただし、全員に見つかるわけではありません。見つからなかった場合の次の選択肢は、第7章でご説明します。
大人になってから、ご自身の特性の原因を知りたい
マイクロアレイに年齢の制限はなく、大人の方も受けられます。ご自身の発達の特性の原因として、染色体の小さな欠失・重複が見つかることがあります。ただし、大人の発達障害の多くは原因が1つに決まらず、マイクロアレイで原因がわかるのは一部です。陰性でも、発達障害の診断が否定されるわけではありません。大人の発達障害については大人の発達障害で解説しています。
きょうだい・ご家族に知的障害のある方がいる
きょうだいやパートナーのご家族に知的障害のある方がいて、ご自身やお子さんへの影響を知りたいというご相談では、検査を受けられるのは症状のない相談者ご本人だけです。知的障害のあるご本人は検査に同意することができず、ご家族が代わりに同意するのは、その方ご本人の利益のための検査であることが前提だからです。きょうだいの将来のために、知的障害のあるご本人を検査することはできません。詳しくはきょうだいに知的障害がある方の遺伝リスクをご覧ください。
この検査より、別の検査が向いている場合
マイクロアレイは「量の変化」を調べる検査なので、量が変わらない原因は見つかりません。次のような場合は、別の検査のほうが向いていることがあります。
🔍 こんなときは別の検査も考えます
※どの検査が合うかは、症状・これまでの検査・ご家族の情報で変わります。遺伝カウンセリングでご説明します。発達障害の検査全体の選び方は発達障害の遺伝子検査にまとめています。
4. ほかの検査との違い:Gバンド・CSA・エクソーム・NIPT
マイクロアレイは、染色体の欠失・重複に絞って、染色体全体を調べる検査です。遺伝子の配列を読む検査や、妊娠中に母体の血液で調べるNIPTとは、わかることが違います。選び方の全体は発達障害の遺伝子検査にまとめ、ここでは近い検査との違いだけを並べます。
⚖️ 近い検査との違い(料金・日数は当院の各検査ページの記載)
※料金・日数は2026年10月時点の当院の各検査ページの記載です。遺伝カウンセリング料は別にかかります。
マイクロアレイは「時代遅れ」? エクソーム・ゲノム時代の位置づけ
米国臨床遺伝・ゲノム学会(ACMG)は2021年、先天異常や発達の遅れ・知的障害のあるお子さんに、エクソーム・ゲノム検査を最初または2番目の検査として使うことを強く勧めるガイドラインを出しました[2]。遺伝子の配列を読む検査が、最初の選択肢に加わったということです。
それでも、マイクロアレイが不要になったわけではありません。マイクロアレイは欠失・重複に絞って染色体全体を調べ、当院では結果まで2〜3週間です。一方で遺伝子の中の小さな変化はわからないので、症状によっては、パネル検査・エクソーム、または欠失・重複と配列の両方を見るCSAのほうが合うこともあります。「どれが新しいか」ではなく、「何を調べたいか」で選ぶ検査です。技術の違いをさらに知りたい方は、CNV-seqとマイクロアレイの違いもご覧ください。
5. マイクロアレイ検査でわからないこと(検査の限界)
マイクロアレイでわかるのは、DNAの量の変化だけです。量が変わらない変化や、ごく一部の細胞にだけある変化は見つけられません[1][5]。
- ●均衡型転座:染色体の一部が入れ替わっているだけで、量に増減がない変化(均衡型構造異常)は見つかりません[1]。
- ●低い割合のモザイク:体の一部の細胞にだけ変化があるモザイクは、変化のある細胞が20〜30%程度より少ないと見つけにくいとされています[1]。
- ●遺伝子の中の小さな変化:遺伝子の文字が1つ変わるような変化は、量の変化ではないためわかりません。パネル検査やエクソームで調べます。
- ●繰り返し配列の伸び:脆弱X症候群の原因になるFMR1遺伝子の繰り返し配列の伸びは、マイクロアレイではわかりません。FMR1リピート伸長検査で調べます。
- ●3倍体:染色体全体が1組多い3倍体は、出生前の研究でマイクロアレイでは見つからなかったと報告されています[5]。
- ●片親性ダイソミーなど:対の染色体が両方とも同じ親から来ている片親性ダイソミーやヘテロ接合性の消失(LOH)は、方式によっては調べられません。
- ●陰性でも否定はできません:原因が見つからなくても、この検査で見つけられない原因が残っている可能性があります。
6. 結果の見方:病的・VUS・良性と、受け継いだか新しく起きたか
見つかった欠失・重複は、「病気の原因になる(病的)」「意義がまだわからない(VUS)」「病気とは関係しない(良性)」のどれに当たるかを判定します。米国臨床遺伝・ゲノム学会と ClinGen の基準(2020年)は、根拠を点数にして5段階で分類する方法を示しています[3]。結果の読み方の詳細は染色体マイクロアレイ(CMA)検査結果の見方、報告書の読み方は遺伝子検査結果の見かたで解説しています。
3つの判定:病的・VUS(意義不明)・良性
マイクロアレイは染色体全体を細かく調べるため、病気とは関係のない個人差や、今の時点では意味がはっきりしない変化も見つかります。後者をVUS(臨床的意義不明のバリアント)といいます。VUSは、それだけで診断に使ったり、ご家族の検査や出生前診断に使ったりはしません(VUSの臨床的な取り扱い)。結果の解釈には、データベースや論文と照らし合わせる専門的な判断が必要です。当院では、臨床遺伝専門医が症状とあわせて結果を評価し、遺伝カウンセリングでご説明します。
同じ変化でも、症状の出かたが人によって違う
欠失・重複の中には、同じ変化をもっていても、症状が出る人と出ない人がいるものがあります。これを不完全浸透といいます。繰り返し見つかる欠失・重複について、子どもに何らかの症状が出る確率を推計した研究では、15q11.2欠失の10.4%から、16p11.2の遠位側の欠失の62.4%まで幅がありました(主に欧米の集団のデータ)[4]。この場合、変化を受け継いだご家族に症状がなくても、お子さんの症状の原因と考えられることがあります。「親に症状がないから関係ない」とは言えないため、結果はご家族の情報とあわせて判断します。
ご両親の検査(トリオ)でわかること
お子さんに欠失・重複が見つかったとき、ご両親も同じ変化をもっているかを調べると(トリオ解析)、受け継いだ変化か、お子さんで新しく起きた変化(de novo)かがわかります。VUSの判断の手がかりになり、次のお子さんの確率を考えるうえでも大切な情報です。ご両親の検査は別料金です。
調べた目的と別の所見(二次的所見)
染色体全体を調べるため、調べた目的とは別の病気に関わる変化が見つかることがあります。どこまでお伝えするかは、当院の二次的所見の開示方針にもとづき、検査の前の遺伝カウンセリングでご説明します。
7. 結果が出たあと
結果は、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。結果だけをお送りすることはありません。陽性・陰性・VUSのそれぞれで、次にできることが違います。
原因がわかったら:合併症への備え・療育や支援・使える制度
病名がわかると、その病気で起こりやすい合併症がわかり、受けておきたい検査や気をつけることが決まります。たとえば22q11.2欠失症候群は、心臓の病気、免疫の働きの低下、副甲状腺の働きの低下などを伴うことがある病気として知られています[6]。同じ病気の方の情報や家族会につながり、療育や支援の手がかりにもなります。
指定難病の対象になっている病気もあります。難病情報センターの一覧では、ウィリアムズ症候群(指定難病179)、1p36欠失症候群(197)、4p欠失症候群(198)、5p欠失症候群(199)、アンジェルマン症候群(201)、スミス・マギニス症候群(202)、22q11.2欠失症候群(203)が指定難病に含まれています(2026年10月時点で確認)。医療費の助成を受けるには、それぞれの認定の条件を満たして申請する必要があります。条件や申請方法は、難病情報センターやお住まいの自治体の窓口でご確認ください。
次のお子さんで同じことが起こる確率
次のお子さんの確率は、見つかった変化が「新しく起きた」のか「受け継いだ」のかで大きく変わります。お子さんで新しく起きた変化なら、ご両親のせいではないことがはっきりします。遺伝子や染色体の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。次のお子さんの確率は低くなりますが、ゼロではありません。ご両親の血液では見つからなくても、卵子や精子のもとになる細胞にだけ変化がある(性腺モザイク)ことがあり、その割合は実際の診療では調べられないためです。
ご両親のどちらかが同じ変化をもっていた場合や、ご両親のどちらかに均衡型転座があり、それが原因でお子さんに欠失・重複が起きていた場合は、次のお子さんでも起こりうるため、確率はご家族ごとに具体的に考えます。原因がわかっていれば、次の妊娠では赤ちゃんで同じ変化があるかを調べる的を決められます。
陰性だったら:次の検査の選び方
欠失・重複が見つからなかった場合も、原因がないとは言えません(第5章)。症状に合わせて、クリニカルエクソームや全エクソーム検査(WES)、FMR1リピート伸長検査などを考えます。
VUSだったら
VUSは、それだけで診断に使ったり、ご家族の検査や出生前診断に使ったりはしません。ご両親の検査で判断の手がかりが得られることがあり、研究が進んで、のちに意味がはっきりすることもあります。
結果の報告書(日本語版・英語版)
結果は、基本的に日本語版でお渡ししています。海外でPGT-Mを受けるなど、英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。報告書の読み方は遺伝子検査結果の見かたをご覧ください。
8. 妊娠中・流産のときのマイクロアレイ
マイクロアレイは、生まれたあとの血液だけでなく、羊水検査・絨毛検査で採った赤ちゃんの細胞でも行えます。出生後と出生前では、目的と検体が違います。
羊水検査・絨毛検査で行うマイクロアレイ
米国の29施設で4,406人の妊婦さんを対象にした研究では、Gバンドで正常だった赤ちゃんのうち、超音波検査で形の異常が見つかっていた場合の6.0%、高年齢や母体血清マーカーで陽性だった場合の1.7%で、病気に関係する欠失・重複がマイクロアレイで見つかりました[5]。同じ研究で、マイクロアレイは98.8%の検体で結果が得られ、約88%は細胞を育てる(培養する)ことなく解析できました。一方、均衡型転座と3倍体は見つかりませんでした[5]。
当院では、羊水検査・絨毛検査を院内で行っています(2025年6月から産婦人科を併設)。確定検査でマイクロアレイ検査を行う場合、結果は2週間ほどです。出生前の遺伝カウンセリング料は30分33,000円(税込)です。羊水検査でわかることは羊水検査でわかること、2つの検査の違いは絨毛検査と羊水検査の違いで解説しています。赤ちゃんの遺伝子の配列まで調べる出生前全エクソーム検査にも対応しています。
NIPTとの違いと、当院のNIPTで調べられる微小欠失
NIPTは、妊娠中に母体の血液で赤ちゃんの染色体を調べるスクリーニング検査です。確定診断ではないので、陽性の場合は羊水検査・絨毛検査で確かめる必要があります。一部の微小欠失症候群は、当院のNIPTでも妊娠中に調べられます。スタンダードプランから、22q11.2欠失症候群・1p36欠失症候群・スミス・マゲニス症候群・ウォルフ・ヒルシュホーン症候群・プラダー・ウィリー症候群・アンジェルマン症候群・猫鳴き症候群を調べられます。インペリアルプランと双子マックスプランでは、ウィリアムズ症候群・ミラー・ディーカー症候群・16p11.2欠失・重複なども対象です。
当院のNIPTは妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。微小欠失は、染色体の数の変化より陽性的中率が低めで、陽性なら必ず確定検査で確かめます。当院では確定検査まで院内で受けられます。陰性でも、自閉スペクトラム症・発達障害・知的障害がないとは言えません。NIPTで調べられる微小欠失の一覧は微小欠失症候群とは、自閉症との関係は自閉症はNIPTでわかりますか?と発達障害は妊娠中にNIPTでわかる?をご覧ください。
ご家族で原因の欠失・重複がわかっていれば、妊娠したときに赤ちゃんで同じ変化があるかを調べられます。絨毛・羊水からの胎児の出生前診断は当院で承っております。出生前診断を行えるかは状況によって個別に判断しますので、妊娠を考えている段階からご相談ください。
流産の組織を調べる場合
流産と染色体の関係は、不育症の原因になる染色体異常で解説しています。流産の組織でのマイクロアレイについて当院でお受けできるかは、お問い合わせください。
9. 検査の流れ・費用・結果までの日数・検体
検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。検体は血液をおすすめしており、状況に応じて唾液・頬の内側の粘膜で検査できる場合もあります。当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。
ご予約
▶
遺伝カウンセリング臨床遺伝専門医
▶
採血唾液・頬の粘膜も可の場合あり
▶
結果のご説明2〜3週間後・マイページへ
💴 費用・日数・検体
※マイクロアレイは高い精度のDNAの解析が必要なため、基本的には採血をおすすめしています。
遺伝カウンセリングでは、この検査で何がわかり、何がわからないか、結果がご家族にとってどういう意味をもつかをご説明します。検査を受けるかどうかは、説明を聞いて納得してから決めていただきます。
10. 院長コラム
🩺 院長コラム【「異常なし」のあとに、検査をもう一歩】
私自身、希少な常染色体顕性(優性)遺伝性疾患の当事者です。子どもに病気を受け渡したくない、という遺伝の病気をもつ方の思いはよくわかります。また、お子さんが重い症状で発症したのをきっかけに、ご自身も同じ遺伝子の変化を持っていたとわかり、自分のせいだと責めてしまう親御さんを、何度も見てきました。私の当事者としての話は、遺伝性疾患の当事者として、臨床遺伝専門医になった理由に書いています。
「染色体は異常なし」という言葉は、Gバンドで見える範囲には異常がなかった、という意味です。その先にある小さな変化までは、調べてみないとわかりません。遺伝子検査は、やってみないとわからないことを、何度も経験してきました。検査をしないと何も言えない、というのが私の確固たる考えです。こうした経験から、当院では、検査を受けずにリスクだけをご説明することはしておりません。検査をせずにリスクをお伝えするほうが、かえって危険だと考えているためです。
原因が新しく起きた変化だとわかれば、それは誰のせいでもないことがはっきりします。受け継いだ変化だとわかれば、ご家族で次の計画を立てられます。わからないまま悩み続けるより、わかったことから次を考えるほうが前に進める、と考えています。知ったうえで次の妊娠を考えたい方には、出生前診断まで当院で続けて支えられる体制を整えています。どの選択をされても、その選択を尊重します。
よくある質問(FAQ)
Q1. マイクロアレイ検査でわかることは何ですか?
染色体のDNAの量を全体にわたって数え、Gバンド(顕微鏡で見る染色体検査)では見えない小さな欠失(足りない部分)や重複(多い部分)を見つけます。発達の遅れ・知的障害・自閉スペクトラム症・先天異常のある方では、原因が見つかる割合は15〜20%と報告されています。遺伝子の中の1文字の変化や、場所が入れ替わっているだけの転座はわかりません。
Q2. 費用はいくらですか?保険は使えますか?
当院の検査費用は税込330,000円で、遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。
Q3. 以前の染色体検査で「異常なし」と言われました。受ける意味はありますか?
以前の検査がGバンド法であれば、意味があります。Gバンドでは5〜10Mbの大きさの変化を見逃すことも多いとされ、マイクロアレイはそれより小さな欠失・重複を調べられます。ただし、Gバンドで正常でも、マイクロアレイで原因が見つかるのは一部です。
Q4. エクソーム検査やCSAとは何が違いますか?マイクロアレイは時代遅れですか?
マイクロアレイは染色体の欠失・重複(量の変化)に絞って調べる検査で、遺伝子の中の小さな変化はわかりません。エクソーム検査は遺伝子の配列を読む検査で、米国臨床遺伝・ゲノム学会は2021年、先天異常や発達の遅れ・知的障害のあるお子さんに最初または2番目の検査として勧めています。当院では、マイクロアレイは結果まで2〜3週間、CSAは欠失・重複と脆弱X症候群の検査で2〜4週間です。どれが合うかは、症状やこれまでの検査で変わります。
Q5. 結果が「VUS(意義不明)」だった場合はどうなりますか?
VUSは、今の時点では病気との関係がはっきりしない変化です。それだけで診断や、ご家族の検査・出生前診断に使うことはしません。必要に応じてご両親の検査(別料金)を行い、受け継いだ変化か新しく起きた変化かを確かめると、判断の手がかりになることがあります。研究が進んで、のちに意味がはっきりすることもあります。
Q6. 大人の発達障害でも検査は受けられますか?
受けられます。年齢の制限はありません。ご自身の特性の原因として染色体の小さな欠失・重複が見つかることがありますが、大人の発達障害の多くは原因が1つに決まらず、マイクロアレイで原因がわかるのは一部です。陰性でも、発達障害の診断が否定されるわけではありません。
Q7. 羊水検査や絨毛検査でもマイクロアレイはできますか?
できます。当院では羊水検査・絨毛検査を院内で行っており、確定検査でマイクロアレイ検査を行う場合、結果は2週間ほどです。出生前の遺伝カウンセリング料は30分33,000円(税込)です。
Q8. 「マイクロアレイ血液検査」(がんの検査)と同じものですか?
別の検査です。がんの有無を調べる「マイクロアレイ血液検査」は、血液の中の遺伝子の働き具合(RNA)を調べるもので、このページの検査は、生まれ持った染色体のDNAの量を調べる検査です。
Q9. 何歳から受けられますか?痛みはありますか?
年齢の制限はなく、赤ちゃんから大人まで受けられます。検体は血液をおすすめしており、通常の採血と同じ程度の痛みです。採血が難しいお子さんでは、唾液や頬の内側の粘膜で検査できるかを検討します。
🧬 一度の検査で、お子さんとご家族のこれからを考える
生まれ持った染色体は一生変わりません。マイクロアレイ検査で原因がわかれば、合併症への備えや療育の手がかりだけでなく、次のお子さんの確率や、次の妊娠での備えを考えることにつながります。当院では臨床遺伝専門医が常駐し、検査の前後の遺伝カウンセリングから、羊水検査・絨毛検査による出生前診断まで、院内で続けて受けていただけます。一部の微小欠失症候群は、当院のNIPTでも妊娠中に調べられます。
お電話でのお問い合わせ:03-3478-3768
参考文献
- [1] Miller DT, Adam MP, Aradhya S, et al. Consensus statement: chromosomal microarray is a first-tier clinical diagnostic test for individuals with developmental disabilities or congenital anomalies. Am J Hum Genet. 2010;86(5):749-764. [DOI: 10.1016/j.ajhg.2010.04.006](PMID: 20466091)
- [2] Manickam K, McClain MR, Demmer LA, et al. Exome and genome sequencing for pediatric patients with congenital anomalies or intellectual disability: an evidence-based clinical guideline of the American College of Medical Genetics and Genomics (ACMG). Genet Med. 2021;23(11):2029-2037. [DOI: 10.1038/s41436-021-01242-6]
- [3] Riggs ER, Andersen EF, Cherry AM, et al. Technical standards for the interpretation and reporting of constitutional copy-number variants: a joint consensus recommendation of the American College of Medical Genetics and Genomics (ACMG) and the Clinical Genome Resource (ClinGen). Genet Med. 2020;22:245-257. [DOI: 10.1038/s41436-019-0686-8](PMID: 31690835)
- [4] Rosenfeld JA, Coe BP, Eichler EE, et al. Estimates of penetrance for recurrent pathogenic copy-number variations. Genet Med. 2013;15(6):478-481. [DOI: 10.1038/gim.2012.164]
- [5] Wapner RJ, Martin CL, Levy B, et al. Chromosomal microarray versus karyotyping for prenatal diagnosis. N Engl J Med. 2012;367:2175-2184. [DOI: 10.1056/NEJMoa1203382](PMID: 23215555)
- [6] McDonald-McGinn DM, Sullivan KE, Marino B, et al. 22q11.2 deletion syndrome. Nat Rev Dis Primers. 2015;1:15071. [DOI: 10.1038/nrdp.2015.71](PMID: 27189754)
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