InstagramInstagram

小頭症とは?原因・顔つきの特徴・寿命と、遺伝するかがわかる遺伝子検査(75遺伝子)

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

小頭症とは?原因・顔つきの特徴・寿命と、遺伝するかがわかる遺伝子検査(75遺伝子)

小頭症とは、頭囲が同じ年齢・同じ性別の平均より大きく下回る状態です。原因は遺伝子の変化から、妊娠中の感染や放射線まで幅広く、寿命や大人になってからの見通しも原因によって大きく変わります。原因がわかれば、次のお子さんで同じことが起こる可能性がどれくらいあるか、次の妊娠でどう備えられるかを、具体的に考えられるようになります。このページでは、小頭症の原因・顔つき・知能・寿命と遺伝のしかた、そして小頭症の原因として知られる75の遺伝子をまとめて調べる遺伝子検査でわかることを、臨床遺伝専門医が解説します。

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. この検査で何がわかりますか?

小頭症の原因として知られる75の遺伝子をまとめて調べ、原発性小頭症(MCPH)・セッケル症候群・ルビンシュタイン・テイビ症候群などのどれが原因かを確かめます。原因がわかると、見通しと遺伝のしかたが決まります。

🧬 Q. どんな人が受けるとよいですか?

頭囲が小さいと言われたお子さんとそのご両親、次の妊娠で同じことが起こるか知りたい方、ご家族に小頭症の方がいる方、ほかの検査で原因がわからなかった方です。

🧬 Q. 費用・日数・検体は?

検体は血液・唾液・口の内側の粘膜などで、オンライン診療でも受けられます。結果までは2〜3週間です(至急オプションで約7日短縮)。検査費用はお問い合わせください。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。

🧬 Q. 結果のあとはどうなりますか?

結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。原因が常染色体潜性遺伝でご両親とも保因者なら、次のお子さんが同じ病気になる確率は4分の1で、次の妊娠では院内で絨毛検査・羊水検査を計画できます。意義がまだわからない変化(VUS)の扱いもご説明します。

\ 原因を知ることから、次の計画がはじまります /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

検査の前に臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明します。

お問い合わせはこちら | どの検査がよいか迷う方へ

1. 小頭症とは:頭囲の基準と頻度

小頭症(しょうとうしょう、英語で microcephaly)とは、頭囲が同じ年齢・同じ性別の平均より、標準偏差(SD)の2倍を超えて小さい状態をいいます[1]。頭の大きさは脳の大きさをおおよそ反映するため、小頭症は「脳の育ちに何かが起きているかもしれない」というサインとして大切にされています。

何センチから小頭症?

小頭症には「何センチ以下」という決まった数字はありません。頭囲の平均は年齢と性別で変わるため、成長曲線に当てはめて、平均からどれだけ離れているかで判断します。生まれたあとの子どもでは平均より2SDを超えて小さいことを目安にし[1]、お腹の赤ちゃんでは平均より3SD以上小さいことを基準にするのが一般的とされています[6]。原発性小頭症(MCPH)の研究でも、3SDを超えて小さいことが基準として使われています[4]。

「頭が小さめ」と言われたことがある方でも、平均から2SD以内であれば小頭症とはいいません。ご家族全体の頭の大きさも参考になるので、ご両親の頭囲を一緒に測ることもあります。

何人に1人?

ヨーロッパの出生登録を使った研究では、生まれたときの小頭症は出生1万人あたり1.53人でした。ただし登録によって1万人あたり0.4〜4.3人と大きな幅があり、基準や調べ方で数字が変わることも示されています[3]。遺伝子が原因の原発性小頭症(MCPH)は、出生3万〜25万人に1人とされています[5]。

原発性小頭症と症候性小頭症

小頭症は、頭が小さいことが主な特徴である「原発性(非症候性)小頭症」と、ほかの体の特徴(低身長・顔つき・内臓の病気など)と一緒に起こる「症候性小頭症」に分けて考えます。小頭症の62人を調べた研究では、遺伝子の原因は、原発性小頭症では主に常染色体潜性(劣性)遺伝、ほかの特徴を伴う小頭症では主に親から受け継がずに新しく起きた顕性(優性)の変化でした[1]。どちらのタイプかで、調べる遺伝子も、次のお子さんへの確率も変わります。

生まれたときにすでに頭が小さい「先天性小頭症」と、生まれたときは普通でも成長とともに頭囲の伸びが追いつかなくなる「生後(後天性)の小頭症」もあります。このページで調べる遺伝子には、両方のタイプの原因が含まれています。

2. 小頭症の原因:遺伝によるものと、それ以外

小頭症の原因は、遺伝子や染色体の変化によるものと、妊娠中の感染や放射線などによるものに大きく分かれます。小頭症の子どもの評価についての米国神経学会の指針では、遺伝の原因が見つかる割合は研究によって15.5〜53.3%と報告されています[2]。

遺伝による原因:脳の細胞を増やすしくみの異常

脳が大きくなる胎児期には、脳の神経のもとになる細胞(放射状グリア細胞など)が、何度も分裂して数を増やします。原発性小頭症の原因遺伝子の多くは、細胞分裂の土台になる中心体の部品をつくる遺伝子で、分裂がうまく進まないと神経の細胞が足りなくなり、脳が小さくなると考えられています[4]。ASPMとWDR62は、原発性小頭症の原因として最も多い2つの遺伝子とされています[4]。

ほかにも、DNAの傷を直すしくみの遺伝子(ATR・NBN・LIG4など)、脳の神経細胞が正しい場所へ移動するしくみの遺伝子(PAFAH1B1・NDE1など)、脳の発生にかかわる転写因子の遺伝子(CREBBP・ZEB2など)の変化でも小頭症が起こります。スイスの研究では、遺伝子の検査(染色体マイクロアレイと全エクソーム)で48.4%に原因が見つかり、そのうち染色体の欠失・重複(CNV)が原因だったのは9.7%でした[1]。

遺伝以外の原因:感染・放射線・薬やアルコール

妊娠中の感染も小頭症の原因になります。お腹の赤ちゃんに小頭症が見つかったときは、トキソプラズマ・風疹・サイトメガロウイルス・ヘルペス・パルボウイルスの感染を調べ、流行地域ではジカウイルスも調べることが勧められています。薬やアルコールなどの影響も確かめる項目です[6]。ジカウイルスについては、妊娠中の感染と小頭症の間に因果関係があると結論づけられています[7]。

いわゆる「原爆小頭症」は、お腹の中で原爆の放射線を浴びたことで起きた小頭症です。広島・長崎で胎内被爆した方を調べた研究では、頭が小さい人の増加は妊娠の前半(第1・第2三半期)に被爆した場合にだけみられ、第3三半期の被爆では増えていませんでした[8]。

💡 この検査で調べられるのは「遺伝子の原因」だけです

感染や放射線などが原因の小頭症は、この遺伝子検査ではわかりません。お子さんの小頭症の原因を考えるときは、妊娠中の経過や感染の検査結果もあわせて判断します。

3. 小頭症の症状・顔つきの特徴・知能

小頭症の主な症状は頭囲が小さいことで、それに伴う知的障害やけいれんの有無・程度は原因によって大きく違います。頭囲が小さいことだけでは、知能や将来の見通しは決まりません。

顔つきの特徴

小頭症の顔つきは、原因の病気によって違います。たとえばセッケル症候群では、強い小頭症と、鳥を思わせる横顔が特徴とされ、ギオン・アルメイダ型下顎顔面異骨症では、あごや顔の骨の形成に特徴があります。一方、原発性小頭症では頭が小さいこと以外に目立つ特徴がないことも多く、顔つきだけで小頭症やその原因を判断することはできません。

知能・発達障害との関係

原発性小頭症では、知的障害と言葉の遅れを伴うことが多いとされています[4]。また、原発性小頭症では頭囲が平均から離れているほど発達の遅れや知的障害が重くなりやすい一方で、ほかの特徴を伴う小頭症ではその関係ははっきりしませんでした[1]。胎児期に頭囲が平均より2〜3SD小さかった子どもを調べた研究では、全員の知能が正常だったという報告もあります[6]。

自閉スペクトラム症などの発達障害がある方の一部に、小頭症を伴う遺伝子の変化が見つかることもあります。知的障害・発達障害の原因を広く調べたい場合は、知的障害・発達障害の遺伝子検査(689遺伝子)も選択肢になります(第6章)。

けいれん・ほかの体の症状

けいれん(てんかん)は、原因によって起こる頻度が違います。たとえばPNKP・MED17の変化による病気では、けいれんが主な症状のひとつです。低身長(PCNTによる小頭症性骨異形成性原発性小人症II型など)、免疫の弱さ(NBN・LIG4など)、糖尿病や糖代謝の異常(IER3IP1・TRMT10Aなど)を伴う病気もあり、どの病気かによって、気をつけたい体の症状がまったく違います。

4. 小頭症の寿命と、大人になってからの見通し

小頭症の寿命は、小頭症そのものより「何が原因か」で大きく変わります。同じ小頭症でも、大人になってからも生活を続けていく病気もあれば、子どものうちに命にかかわる病気もあります。

⏳ 原因の病気ごとの見通し(例)

原因の病気 見通し
原発性小頭症(MCPH) 寿命についてのまとまったデータはないが、50代以上まで生活している報告がある[5]
ルビンシュタイン・テイビ症候群 90%以上が大人になるまで成長する。寿命が短くなるかどうかはわかっていない[11]
モワット・ウィルソン症候群 寿命が短くなるかどうかはわかっていない。60歳で生活している方の報告がある[12]
小頭症性骨異形成性原発性小人症II型(PCNT) 脳の血管の病気(脳動脈瘤・もやもや病)などの合併症のため、寿命は短くなると考えられている[10]
ナイミーヘン染色体不安定症候群(NBN) これまでの報告では40%が20歳までに悪性腫瘍(主にリンパ腫)を発症[9]
橋小脳低形成症2型(TSEN54など) 10歳より前に亡くなることが多いが、20歳を超えて生活している報告もある[13]

※遺伝性疾患の解説書GeneReviewsなどによる。病気ごとの見通しも人によって幅があり、ここに挙げたのは一部の例です。

寿命を左右するのは「原因」と「合併症への備え」

表のように、寿命にかかわるのは、悪性腫瘍・脳の血管の病気・呼吸や感染症といった合併症であることが多く、原因がわかれば前もって備えられるものがあります。たとえばナイミーヘン染色体不安定症候群では、放射線に弱いため、必要のない放射線の検査を避け、CTやX線の代わりにMRIや超音波を使うことが勧められています[9]。小頭症性骨異形成性原発性小人症II型では、脳の血管の病気を早く見つけるため、子どものうちは12〜18か月ごとに脳のMRI・MRAを行うことが勧められています[10]。

大人になると:知的障害の程度と生活

原発性小頭症の多くは、頭が小さいことと知的障害・言葉の遅れが中心です[4]。頭囲が平均から離れているほど発達の遅れや知的障害が重くなりやすい傾向も報告されていますが[1]、どのような支援が必要かは一人ひとり違います。原因の病気ごとに、大人になってから気をつけたいこと(糖尿病・腫瘍・脳の血管など)が違うため、病名をつけておくことが、長い目で見た健康管理につながります。

5. 小頭症の遺伝のしかたと、次のお子さんの確率

このページで調べる75の遺伝子のうち、59の遺伝子は常染色体潜性(劣性)遺伝、8の遺伝子は常染色体顕性(優性)遺伝、5の遺伝子はX連鎖遺伝の病気の原因です。AKT3・ATRIP・NR2E1・MRE11については、小頭症との関係が限られた報告にとどまります。どの遺伝のしかたかで、次のお子さんに同じことが起こる確率は大きく変わります(遺伝のしかたの基本は遺伝形式とはをご覧ください)。

常染色体潜性遺伝:次のお子さんは4分の1

原発性小頭症(MCPH)やセッケル症候群の多くは常染色体潜性遺伝です。ご両親はどちらも、同じ遺伝子の変化を1つずつもつ保因者で、ふだんは症状がありません。ご両親とも保因者のとき、お子さん1人ごとに、同じ病気になる確率は4分の1、保因者になる確率は2分の1、どちらでもない確率は4分の1です[5]。

ご家族の原因となる変化がわかれば、ご両親の保因者の確認、きょうだいや親戚が保因者かどうかの検査、次の妊娠での出生前診断ができるようになります[5]。ほかのお子さん(きょうだい)が将来、結婚や妊娠を考えるときにも、保因者かどうかを知る手がかりになります。

常染色体顕性遺伝・新しく起きた変化:確率は低いがゼロではない

ルビンシュタイン・テイビ症候群(CREBBP)やモワット・ウィルソン症候群(ZEB2)は常染色体顕性(優性)遺伝の病気ですが、ほとんどはご両親から受け継いだのではなく、お子さんで新しく起きた変化(de novo)です。その場合、次のお子さんへの確率は低く、ルビンシュタイン・テイビ症候群のきょうだいの再発率は1%未満、モワット・ウィルソン症候群では約2%とされています[11][12]。

ただし、ご両親の卵子や精子のもとになる細胞(生殖細胞)にだけ変化がある「性腺モザイク」の場合、その細胞からできる卵子・精子は2分の1の確率で変化をもちます。生殖細胞のうちどれくらいが変化をもつかは人によって違い、実際の診療ではわかりません。血液で調べたモザイクの割合も、生殖細胞の割合の目安にはなりません。そのため、性腺モザイクがあった場合のお子さん1人あたりの確率は「最大で2分の1」と考えます。上に書いた1%未満・約2%という数字は多くの家族を平均した値で、目の前のご家族の確率の上限ではありません。

新しく起きた変化だとわかれば、ご両親のせいで起きたのではないことがはっきりします。遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。

X連鎖遺伝:お母さんが保因者かどうかで変わる

CASK・PQBP1・SLC9A6などはX連鎖遺伝の病気の原因です。X連鎖潜性の病気では、お母さんが保因者の場合、男のお子さんは2分の1の確率で病気になり、女のお子さんは2分の1の確率で保因者になります。クリスチャンソン症候群(SLC9A6)では、保因者の女性は症状がないことから軽い知的障害まで幅があるとされています[14]。お母さんが保因者かどうかで次のお子さんの確率が大きく変わるため、お子さんで原因がわかったら、お母さんの検査を考えます。

胎児の小頭症はいつわかる?

お腹の赤ちゃんの小頭症は、エコーで頭囲を測って見つけます。ただし、頭囲がはっきり小さくなるのは妊娠後期になってからのことが多く、妊娠27週以降にはじめて診断された例が多いという報告があります。平均より2SD小さくても3SDまでは届かない軽い小頭症は、お腹の中では見つからないこともあります[6]。

そのため、前のお子さんの小頭症の原因となる遺伝子の変化がわかっているかどうかが、次の妊娠の備えを大きく左右します。原因がわかっていれば、妊娠の早い時期に絨毛検査・羊水検査で赤ちゃんを調べる出生前診断を計画できます。原因がわからない場合は、特定の遺伝子の変化を対象とした出生前診断は計画できませんが、エコーによる経過観察に加え、胎児MRIや感染症検査、染色体検査、出生前WESなどを個別に検討することがあります。

6. どんな人がこの検査を受けるとよいか

頭囲が小さいと言われたお子さんの原因を知りたい方、次の妊娠で同じことが起こるかを知りたいご両親に向く検査です。見た目や家族歴だけでは、原因も遺伝のしかたも判断できません。

  • ●お子さんの頭囲が平均より2SDを超えて小さいと言われた方(生まれたときから、または成長とともに)
  • ●お子さんに小頭症と、知的障害・発達の遅れ・けいれんがある方
  • ●低身長や特徴的な顔つきなど、ほかの症状も伴っていて、セッケル症候群などが疑われる方
  • ●お子さんの小頭症の原因を知って、次の妊娠で同じことが起こる確率と、出生前診断で備えられるかを知りたいご両親
  • ●ご家族やきょうだいに小頭症の方がいて、ご自身が結婚や妊娠を考えている方
  • ●ほかの検査(染色体検査など)で原因がわからなかった方

小頭症のお子さんご本人は、結婚や妊娠を考える年齢になる前に重い症状が出る病気も多いため、この検査は「お子さんの病名を確かめるため」と同時に、「ご両親とごきょうだいがこれからを考えるため」の検査でもあります。

この検査より別の検査が向いている場合

小頭症の原因は幅広く、この検査(75遺伝子の塩基配列の変化と、検出可能な欠失・重複)だけでは見つからないものもあります。症状に合わせて、次の検査のほうが向いていることがあります。比べる相手は当院の検査の種類で、どれが合うかは遺伝カウンセリングで一緒に決めます。

🔍 症状に合わせた検査の選び方

こんなとき 向いている検査
頭が小さいことが中心(原発性小頭症・セッケル症候群などを疑う) このページの検査(小頭症パネル・75遺伝子)
小頭症に加えて、強い低身長がある 原発性低身長症NGS遺伝子パネル検査
MRIで小脳や橋(脳幹)も小さいと言われた 橋小脳低形成症NGS遺伝子パネル検査・小脳低形成NGSパネル遺伝子検査
MRIで脳のしわ(脳回)の異常を指摘された 滑脳症NGS遺伝子パネル検査・大脳皮質形成異常NGSパネル遺伝子検査
知的障害・発達障害が中心で、小頭症は目立たない 知的障害・発達障害遺伝子検査(689遺伝子)
ほかの奇形も多く、染色体の欠失・重複が疑われる マイクロアレイ染色体検査(CMA)
症状が多く、病気をしぼれない/パネルで原因が見つからなかった 全エクソーム検査(WES)

※染色体の欠失・重複(CNV)は、小頭症の研究で原因の約1割を占めていました[1]。

原因がわからないまま病院を回る時間は、決して短くありません。41か国・6,507人の希少疾患の患者さんを対象にした調査では、症状が出てから診断がつくまでの平均は4.7年でした[15]。日本の未診断疾患イニシアチブ(IRUD)でも、全エクソーム検査を終えた5,136家系のうち43.8%で診断が確定しています[16]。裏を返せば、半分以上の家系ではまだ原因がわからないままです。一度の検査ですべてがわかるわけではありませんが、陰性でも次に選べる検査があります。

\ 次の妊娠で備えるために、まず原因を知る /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

当院では、羊水検査・絨毛検査を院内で受けられます(2025年6月から産婦人科を併設)。

お問い合わせはこちら | どの検査がよいか迷う方へ

7. 調べる75の遺伝子と、それぞれでわかる病気

この検査では、原発性小頭症(MCPH)とセッケル症候群の原因遺伝子を中心に、小頭症を起こすことが知られている75の遺伝子をまとめて調べます。下の表は、それぞれの遺伝子で起こる主な病気と遺伝のしかたです。

🧬 小頭症NGS遺伝子パネル検査で調べる75遺伝子

遺伝子 主な病気 遺伝のしかた
AKT3 巨脳症・多小脳回・多指・水頭症症候群2型(主に頭が大きくなる病気。小頭症との関連は限られた報告のみ) —
ANKLE2 常染色体潜性原発性小頭症16型(MCPH16) 常染色体潜性
ARFGEF2 小頭症を伴う脳室周囲結節状異所性灰白質2型 常染色体潜性
ASPM 常染色体潜性原発性小頭症5型(MCPH5) 常染色体潜性
ATR セッケル症候群1型 常染色体潜性
ATRIP セッケル症候群との関連が1家系で報告(関係は確立していない) —
BUB1B 多彩異数性モザイク症候群1型 常染色体潜性
CASK 橋・小脳低形成を伴う小頭症と知的発達症(MICPCH)/FG症候群4型 X連鎖
CDK5RAP2 常染色体潜性原発性小頭症3型(MCPH3) 常染色体潜性
CDK6 常染色体潜性原発性小頭症12型(MCPH12) 常染色体潜性
CENPE 常染色体潜性原発性小頭症13型(MCPH13) 常染色体潜性
CENPF ストロンメ症候群(小頭症を伴うことがある) 常染色体潜性
CENPJ 常染色体潜性原発性小頭症6型(MCPH6)/セッケル症候群4型 常染色体潜性
CEP135 常染色体潜性原発性小頭症8型(MCPH8) 常染色体潜性
CEP152 常染色体潜性原発性小頭症9型(MCPH9)/セッケル症候群5型 常染色体潜性
CEP63 セッケル症候群6型 常染色体潜性
CKAP2L フィリッピ症候群 常染色体潜性
COX7B 線状皮膚欠損を伴う多発先天異常2型 X連鎖顕性
CREBBP ルビンシュタイン・テイビ症候群1型 常染色体顕性(多くは新しく起きた変化)
CRIPT ロスムンド・トムソン症候群3型(小頭症を伴う) 常染色体潜性
DIAPH1 けいれん・皮質盲・小頭症症候群 常染色体潜性
DNM1L ミトコンドリア・ペルオキシソームの分裂障害による脳症1型 常染色体顕性
EFTUD2 小頭症を伴う下顎顔面異骨症(ギオン・アルメイダ型) 常染色体顕性
HMGB3 症候性小眼球症13型 X連鎖
IER3IP1 小頭症・てんかん・糖尿病症候群1型 常染色体潜性
KATNB1 小頭症を伴う滑脳症6型 常染色体潜性
KIF11 網脈絡膜症・リンパ浮腫・知的障害を伴う、または伴わない小頭症 常染色体顕性
KNL1 常染色体潜性原発性小頭症4型(MCPH4) 常染色体潜性
LIG4 LIG4症候群(免疫不全・放射線への過敏性) 常染色体潜性
MCPH1 常染色体潜性原発性小頭症1型(MCPH1) 常染色体潜性
MED17 けいれんと脳萎縮を伴う進行性の生後小頭症 常染色体潜性
MFSD2A 進行性小頭症・痙縮・脳画像の異常を伴う神経発達症 常染色体潜性
MRE11 毛細血管拡張性運動失調症様疾患1型(ナイミーヘン症候群に似た小頭症の報告あり) 常染色体潜性
MSMO1 小頭症・先天白内障・乾癬様皮膚炎 常染色体潜性
MYCN フェインゴールド症候群1型 常染色体顕性
NBN ナイミーヘン染色体不安定症候群 常染色体潜性
NDE1 小頭症を伴う滑脳症4型(NDE1関連疾患) 常染色体潜性
NHEJ1 重症複合免疫不全症(小頭症・成長障害を伴う型) 常染色体潜性
NIN セッケル症候群7型 常染色体潜性
NR2E1 小頭症の原因として確立した病気は、今のところ報告されていない —
PAFAH1B1 滑脳症1型 常染色体顕性(多くは新しく起きた変化)
PCLO 橋小脳低形成症3型 常染色体潜性
PCNT 小頭症性骨異形成性原発性小人症II型(MOPDII) 常染色体潜性
PHC1 常染色体潜性原発性小頭症11型(MCPH11) 常染色体潜性
PLEKHG2 後天性小頭症を伴う白質ジストロフィー 常染色体潜性
PLK4 網脈絡膜症を伴う小頭症2型 常染色体潜性
PNKP 小頭症・けいれん・発達遅滞(MCSZ) 常染色体潜性
POMT1 ウォーカー・ワールブルグ症候群などのジストログリカン異常症 常染色体潜性
PPP1R15B 小頭症・低身長・糖代謝異常2型 常染色体潜性
PQBP1 レンペニング症候群 X連鎖潜性
QARS けいれんと大脳・小脳の萎縮を伴う進行性小頭症 常染色体潜性
RARS2 橋小脳低形成症6型 常染色体潜性
RBBP8 セッケル症候群2型 常染色体潜性
RTTN 小頭症・低身長・多小脳回(けいれんを伴うことがある) 常染色体潜性
SASS6 常染色体潜性原発性小頭症14型(MCPH14) 常染色体潜性
SLC1A4 痙性四肢麻痺・脳梁の菲薄化・進行性小頭症 常染色体潜性
SLC25A19 アーミッシュ型小頭症/チアミン代謝異常症4型 常染色体潜性
SLC9A6 クリスチャンソン症候群 X連鎖潜性
SPATA5 難聴・けいれん・脳の異常を伴う神経発達症 常染色体潜性
STAMBP 小頭症・毛細血管奇形症候群 常染色体潜性
STIL 常染色体潜性原発性小頭症7型(MCPH7) 常染色体潜性
THOC6 ボーリュー・ボイコット・イネス症候群 常染色体潜性
TRMT10A 小頭症・低身長・糖代謝異常1型 常染色体潜性
TSEN2 橋小脳低形成症2B型 常染色体潜性
TSEN34 橋小脳低形成症2C型 常染色体潜性
TSEN54 橋小脳低形成症2A型・4型・5型 常染色体潜性
TUBB2B 複雑性皮質形成異常7型(多小脳回) 常染色体顕性
TUBGCP4 網脈絡膜症を伴う小頭症3型 常染色体潜性
TUBGCP6 網脈絡膜症を伴う小頭症1型 常染色体潜性
VRK1 橋小脳低形成症1A型 常染色体潜性
WDR62 常染色体潜性原発性小頭症2型(MCPH2) 常染色体潜性
WDR73 ギャロウェイ・モワト症候群1型 常染色体潜性
XRCC4 低身長・小頭症・内分泌機能障害 常染色体潜性
ZEB2 モワット・ウィルソン症候群 常染色体顕性(ほとんどが新しく起きた変化)
ZNF335 常染色体潜性原発性小頭症10型(MCPH10) 常染色体潜性

※病気の名前と遺伝のしかたは、UniProt・GeneReviews・MedlinePlus Genetics などの公開データベースで確かめたもの。1つの遺伝子で複数の病気が起こる場合は、小頭症と関係の深いものを中心に挙げています。AKT3・ATRIP・NR2E1・MRE11は、小頭症との関係が限られた報告にとどまります。

表のとおり、同じ「小頭症」でも、原因の遺伝子によって病気の名前も遺伝のしかたもまったく違います。一つひとつの遺伝子を順番に調べると時間と費用がかかるため、75の遺伝子を1回の検査でまとめて調べます。

8. この検査でわかること・わからないこと

この検査でわかるのは、75の遺伝子の文字(塩基)の変化と、小さな挿入・欠失です。一方で、遺伝子検査には必ず限界があります。

わかること

  • ●遺伝子の小さな変化:遺伝子のたんぱく質をつくる部分(コード領域)と、その境目(スプライス部位)にある、1文字の変化や小さな挿入・欠失。調べる範囲の99%以上を、同じ場所を20回以上読む精度で読んでいます。
  • ●遺伝子単位の欠失・重複:遺伝子がまるごと欠けている・増えている変化を調べます。血液の検体では、2つ以上続くエクソン(遺伝子の部品)の欠失・重複も調べられます。見つかった欠失・重複は、別の原理の方法(qPCR法やMLPA法)でもう一度確かめてから報告します。

わからないこと(検査の限界)

  • ●染色体の大きな変化:染色体の一部が入れ替わる転座や、向きが逆になる逆位は見つけられません。染色体の欠失・重複が疑われる場合は染色体マイクロアレイが向いています。
  • ●1つのエクソンだけの欠失・重複:見つかることもありますが、ふつうは検出できません。
  • ●調べていない場所:遺伝子の働きを調節する部分(プロモーター)の多くや、エクソンから離れたイントロンの深い部分の変化、繰り返し配列の伸長は対象外です。
  • ●モザイク:体の一部の細胞にだけ変化がある体細胞モザイクを見つけるための検査ではありません。
  • ●75遺伝子以外の原因:このほかにも小頭症の原因遺伝子はあり、まだ見つかっていない遺伝子もあります。感染や放射線などの遺伝以外の原因もわかりません。
  • ●意義がまだわからない変化(VUS):病気の原因かどうか、今の知識では判断できない変化が見つかることがあります。

⚠️ 「陰性」は「遺伝ではない」という意味ではありません

原因となる変化が見つからなくても、この検査で調べられない原因が残っている可能性があります。陰性の結果は、次にどの検査を考えるかを決める大切な情報になります。

9. 結果が出たあと

結果は、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。結果だけをお送りすることはありません。原因が見つかった・見つからなかった・VUSが見つかった、のそれぞれで、次にできることが違います。

原因が見つかったとき:病名がつくと、次の一手が決まる

原因の遺伝子がわかると、病名がはっきりし、見通しと、気をつけたい合併症が決まります。たとえばNBNの変化によるナイミーヘン染色体不安定症候群なら放射線の検査を最小限にする、PCNTの変化による小頭症性骨異形成性原発性小人症II型なら脳の血管の定期的な検査を受ける、といった具体的な備えにつながります(第4章)。エクソーム・ゲノム検査の研究167件をまとめた米国臨床遺伝・ゲノム学会(ACMG)の系統的レビューでは、95%の研究で、患者さんやご家族の診療の方針に何らかの変化があったと報告されています[17]。

ルビンシュタイン・テイビ症候群(指定難病102)やモワット・ウィルソン症候群(指定難病178)のように、病名がつくことで医療費の助成などの制度の対象になる病気もあります(第10章)。

ご家族への影響と、ご家族の検査

原因がわかったら、遺伝のしかたに合わせて、ご両親が保因者かどうか、新しく起きた変化かどうかを確かめます(第5章)。ご両親が同じ場所を調べることで、次のお子さんの確率がはっきりします。ごきょうだいや親戚の方は、将来の結婚や妊娠を考えるときに、保因者かどうかを調べることができます。

原因が見つからなかったとき

第8章のとおり、この検査で見つからない原因が残っている可能性があります。症状に合わせて、染色体マイクロアレイ検査や全エクソーム検査(ご両親と一緒に調べるトリオWESなど)を考えます。感染などの遺伝以外の原因についても、妊娠中の経過とあわせて考えます。

意義がまだわからない変化(VUS)が見つかったとき

VUSは、それだけで診断に使ったり、ご家族の検査や出生前診断に使ったりはしません。ご両親の検査結果や、研究が進むことで、のちに意味がはっきりすることもあります。VUSの扱いや、調べた目的とは別の病気の原因が見つかった場合の考え方は、当院の二次的所見の開示方針もあわせてご覧ください。

次の妊娠を考えている方:保因者検査と出生前診断

前のお子さんで原因の遺伝子の変化がわかっていれば、次の妊娠では、その変化を赤ちゃんがもっているかを絨毛検査・羊水検査で調べられます[5]。当院では、羊水検査・絨毛検査を院内で行っています(2025年6月から産婦人科を併設)。妊娠を考えている段階から、出生前診断をどう進めるかを一緒に計画できます。

小頭症の原因の多くは常染色体潜性遺伝です。まだお子さんがいないご夫婦で家族歴が気になる方は、拡大版保因者スクリーニング(女性版787遺伝子・男性版714遺伝子)で、おふたりが同じ病気の保因者かどうかを調べる方法もあります。小頭症の原因遺伝子が対象に含まれるかは、遺伝子一覧でご確認ください。妊娠中の方には、NIPTと同じ日に採血できるカップルの保因者検査「ファミリーセーフティ プラス」もあります(単独では受けられません)。

10. 日本の制度(2026年10月時点)

「小頭症」という病名そのものは、指定難病の一覧にはありません。ただし、小頭症を起こす原因の病気の中には、指定難病の対象になっているものがあります。厚生労働省の「難病医療費助成制度の対象となる疾病一覧」(2025年4月から348疾病)では、ルビンシュタイン・テイビ症候群が指定難病102、モワット・ウィルソン症候群が指定難病178です(2026年10月時点で確認)。

小児慢性特定疾病の対象になるかどうかも、原因の病気ごとに決まっています。医療費の助成を受けるには、それぞれの制度の認定の条件を満たし、申請する必要があります。対象になるか、認定の基準や申請の方法は、難病情報センター・小児慢性特定疾病情報センターや、お住まいの自治体の窓口でご確認ください。原因の病名がはっきりしていることが、制度を使う手がかりになります。

11. 検査の流れ・費用・結果までの日数・検体

検体は血液・唾液・口の内側の粘膜などで、結果までは2〜3週間です。唾液・口の内側の粘膜・血液のどれでも、オンライン診療で受けられます。

ご予約
▶
遺伝カウンセリング臨床遺伝専門医
▶
検体の採取キットは費用のお支払い後
▶
結果のご説明2〜3週間後・マイページへ

💴 費用・日数・検体

項目 内容
調べる遺伝子 小頭症に関係する75遺伝子(第7章)
検体 血液(EDTA採血管4mL×2本)、抽出済みDNA、口の内側の粘膜(頬粘膜スワブ)、唾液
結果までの期間 2〜3週間
オプション 至急:結果までの期間が約7日短くなります(55,000円)/VUS除外:意義がまだわからない変化を報告から除く(無料)
検査費用 お問い合わせください
遺伝カウンセリング料 30分22,000円(税込)※検査費用とは別
オンライン診療 唾液・口の内側の粘膜・血液のいずれでも可能。血液の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします

※ご夫婦・カップルで同じ検査を同じ日に一緒に受ける場合は、遺伝カウンセリング料が1人分になります(検査費用の割引はありません)。

オンライン診療(ビデオ通話)で遺伝カウンセリングを行ったあと、検体を当院にお送りいただく流れです。オンラインの場合は、遺伝カウンセリング料金を事前にお支払いください。検体採取キットは、検査費用をお支払いいただいたあとにお送りします。検体の取り違えや品質の低下を防ぐため、キットが届く前にご自身で検体を採取しないでください。

遺伝カウンセリングでは、この検査で何がわかり、何がわからないか、結果がご家族にとってどういう意味をもつかをご説明します。検査を受けるかどうかは、説明を聞いて納得してから決めていただきます。

\ 人生に一度の遺伝子検査を、ご家族のこれからの計画に /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

臨床遺伝専門医が常駐し、結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明してからマイページにアップします。

お問い合わせはこちら | どの検査がよいか迷う方へ

12. 院長コラム

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「原因がわからない」まま、次の妊娠を迎えないために】

小頭症と言われたお子さんのご両親が、まず知りたいのは「この子はこれからどうなるのか」、そして「次の子にも同じことが起こるのか」だと思います。この2つの問いは、どちらも「原因は何か」がわかってはじめて答えられる問いです。頭囲の数字や見た目だけでは、寿命も、次のお子さんの確率も、何も言えません。

遺伝子検査は、やってみないとわからないことを、何度も経験してきました。検査をしないと何も言えない、というのが私の確固たる考えです。たとえば、きょうだいのお子さんの病気をきっかけに念のため検査を受けた方に、まったく別の遺伝子の病的な変化が、体の一部の細胞だけにある状態(モザイク)で見つかったことがあります。ご本人は発症していませんでしたが、卵子や精子のもとになる細胞にもその変化があれば、お子さんが発症することがある病気でした。こうした経験から、当院では、検査を受けずにリスクだけをご説明することはしておりません。検査をせずにリスクをお伝えするほうが、かえって危険だと考えているためです。

お子さんの病気をきっかけに、ご自身も同じ遺伝子の変化をもっていたとわかり、自分のせいだと責めてしまう親御さんを、何度も見てきました。けれども遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。私自身も、希少な常染色体顕性(優性)遺伝性疾患の当事者です(遺伝性疾患の当事者として、臨床遺伝専門医になった理由)。

わからないまま悩み続けるより、わかったことから次を考えるほうが前に進める、と考えています。原因がわかれば、次の妊娠で出生前診断を受けるかどうかを、ご夫婦で選べるようになります。当院では、検査と遺伝カウンセリングから、羊水検査・絨毛検査まで、続けて支えられる体制を整えています。知ることを選んでも、知らないでいることを選んでも、その選択を尊重します。

よくある質問(FAQ)

Q1. 小頭症は頭囲が何センチからですか?

決まった「何センチ」はありません。同じ年齢・同じ性別の子どもの平均と比べて、頭囲が標準偏差(SD)の2倍より小さい状態を小頭症とするのが一般的です。年齢や性別で平均が違うため、成長曲線に当てはめて判断します。お腹の赤ちゃんでは、平均より3SD以上小さいことを基準にすることが多いとされています。

Q2. 小頭症の寿命はどれくらいですか?

原因によって大きく違うため、小頭症という言葉だけでは寿命は決まりません。たとえばルビンシュタイン・テイビ症候群では90%以上が大人になるまで成長すると報告されている一方、橋小脳低形成症2型のように10歳より前に亡くなることが多い病気もあります。寿命の見通しを知るには、原因を調べることが出発点になります。

Q3. 小頭症の顔つきに特徴はありますか?

顔つきは原因の病気によって違います。たとえばセッケル症候群では、鳥のくちばしを思わせる横顔が特徴とされます。一方で、頭が小さいこと以外に目立つ特徴がない場合も多く、顔つきだけで小頭症やその原因を判断することはできません。

Q4. 小頭症の人は大人になるとどうなりますか?

原因と重さによって違います。原発性小頭症では、知的障害と言葉の遅れを伴うことが多いとされ、頭囲が平均から大きく離れているほど、知的障害などが重くなりやすい傾向も報告されています。原因がわかると、大人になってからの見通しや、気をつけたい合併症が具体的になります。

Q5. 小頭症は遺伝しますか?次の子どもに起こる確率は?

原因によって違います。常染色体潜性遺伝の病気では、ご両親とも保因者のとき、次のお子さんが同じ病気になる確率は4分の1です。お子さんで新しく起きた変化なら確率は低くなりますが、親の卵子や精子のもとになる細胞にだけ変化がある性腺モザイクの可能性があるため、ゼロにはなりません。原因がわからないままでは、確率を具体的にお伝えできません。

Q6. 胎児の小頭症はいつわかりますか?エコーでわかりますか?

エコーで頭囲を測って見つけますが、頭囲がはっきり小さくなるのは妊娠後期になってからのことが多く、妊娠27週以降にはじめて診断された例が多いという報告があります。軽い小頭症は、お腹の中では見つからないこともあります。ご家族の原因となる遺伝子の変化がわかっていれば、次の妊娠で絨毛検査・羊水検査による出生前診断を計画できます。

Q7. 小頭症は何人に1人くらいですか?

ヨーロッパの出生登録を使った研究では、生まれたときの小頭症は出生1万人あたり1.53人でした。ただし登録によって1万人あたり0.4〜4.3人と幅があり、調べ方によって数字は変わります。原因が遺伝子にある原発性小頭症(MCPH)は、出生3万〜25万人に1人とされています。

Q8. 検査で原因が見つからなければ、遺伝ではないということですか?

そうとは言えません。この検査は75の遺伝子の小さな変化を調べる検査で、染色体の大きな変化や、まだ知られていない遺伝子の変化は見つけられません。原因が見つからなかった場合は、染色体マイクロアレイ検査や全エクソーム検査など、次の検査を一緒に考えます。

🧬 原因を知って、ご家族のこれからを考える

生まれ持った遺伝子は一生変わりません。お子さんの小頭症の原因がわかれば、お子さんの見通しや合併症への備えだけでなく、次のお子さんで同じことが起こる確率や、ごきょうだいの将来を考える手がかりになります。当院では臨床遺伝専門医が常駐し、検査の前後の遺伝カウンセリングから、羊水検査・絨毛検査による出生前診断まで、院内で続けて受けていただけます。

お電話でのお問い合わせ:03-3478-3768

参考文献

  • [1] Boonsawat P, Joset P, Steindl K, et al. Elucidation of the phenotypic spectrum and genetic landscape in primary and secondary microcephaly. Genet Med. 2019;21(9):2043-2058. [DOI: 10.1038/s41436-019-0464-7](PMID: 30842647)
  • [2] Ashwal S, Michelson D, Plawner L, Dobyns WB. Practice parameter: Evaluation of the child with microcephaly (an evidence-based review). Neurology. 2009;73(11):887-897. [DOI: 10.1212/WNL.0b013e3181b783f7](PMID: 19752457)
  • [3] Morris JK, Rankin J, Garne E, et al. Prevalence of microcephaly in Europe: population based study. BMJ. 2016;354:i4721. [DOI: 10.1136/bmj.i4721]
  • [4] Jayaraman D, Bae BI, Walsh CA. The Genetics of Primary Microcephaly. Annu Rev Genomics Hum Genet. 2018;19:177-200. [DOI: 10.1146/annurev-genom-083117-021441]
  • [5] Verloes A, Drunat S, Gressens P, Passemard S. Primary Autosomal Recessive Microcephalies and Seckel Syndrome Spectrum Disorders. In: GeneReviews®. University of Washington, Seattle; 2009 (Updated 2013 Oct 31; retired chapter). [NCBI Bookshelf NBK9587]
  • [6] Haddad L, Hadi E, Leibovitz Z, Lev D, Shalev Y, Gindes L, Lerman-Sagie T. Small size, big problems: insights and difficulties in prenatal diagnosis of fetal microcephaly. Front Neurosci. 2024;18:1347506. [DOI: 10.3389/fnins.2024.1347506]
  • [7] Rasmussen SA, Jamieson DJ, Honein MA, Petersen LR. Zika Virus and Birth Defects — Reviewing the Evidence for Causality. N Engl J Med. 2016;374:1981-1987. [DOI: 10.1056/NEJMsr1604338]
  • [8] Otake M, Schull WJ. Radiation-related small head sizes among prenatally exposed atomic bomb survivors. Int J Radiat Biol. 1993;63(2):255-270. [RERF Technical Report 6-92]
  • [9] Varon R, Demuth I, Chrzanowska KH. Nijmegen Breakage Syndrome. In: GeneReviews®. University of Washington, Seattle; 1999 (Updated 2023 Nov 30). [NCBI Bookshelf NBK1176]
  • [10] Duker A, Jackson A, Bober MB. Microcephalic Osteodysplastic Primordial Dwarfism Type II. In: GeneReviews®. University of Washington, Seattle; 2021 (Updated 2025 Nov 20). [NCBI Bookshelf NBK575926]
  • [11] Stevens CA. Rubinstein-Taybi Syndrome. In: GeneReviews®. University of Washington, Seattle; 2002 (Updated 2023 Nov 9). [NCBI Bookshelf NBK1526]
  • [12] Adam MP, Conta J, Bean LJH. Classic Mowat-Wilson Syndrome. In: GeneReviews®. University of Washington, Seattle; 2007 (Updated 2026 Jun 30). [NCBI Bookshelf NBK1412]
  • [13] van Dijk T, Baas F. TSEN54 Pontocerebellar Hypoplasia. In: GeneReviews®. University of Washington, Seattle; 2009 (Updated 2020 May 28). [NCBI Bookshelf NBK9673]
  • [14] Morrow EM, Pescosolido MF. Christianson Syndrome. In: GeneReviews®. University of Washington, Seattle; 2018 (Updated 2025 Sep 18). [NCBI Bookshelf NBK475801]
  • [15] Dubief J, Faye F, Crocione C, et al. Time to diagnosis and determinants of diagnostic delays of people living with a rare disease: results of a Rare Barometer retrospective patient survey. Eur J Hum Genet. 2024;32(9):1116-1126. [DOI: 10.1038/s41431-024-01604-z]
  • [16] Takahashi Y, Date H, Oi H, et al. Six years’ accomplishment of the Initiative on Rare and Undiagnosed Diseases: nationwide project in Japan to discover causes, mechanisms, and cures. J Hum Genet. 2022;67(9):505-513. [DOI: 10.1038/s10038-022-01025-0]
  • [17] Malinowski J, Miller DT, Demmer L, et al. Systematic evidence-based review: outcomes from exome and genome sequencing for pediatric patients with congenital anomalies or intellectual disability. Genet Med. 2020;22(6):986-1004. [DOI: 10.1038/s41436-020-0771-z]

仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

記事の作り方と生成AIの使い方は、編集方針をご覧ください。