この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)
ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。
記事の作り方(編集方針)

原発性小人症(原発性低身長症)は、おなかの中にいるときから成長がとても小さく、生まれたあとも身長が伸びにくい、遺伝子の変化による病気のグループです。セッケル症候群・小頭性骨異形成性原発性小人症(MOPD)・マイヤー・ゴーリン症候群・3-M症候群などが含まれ、どの病気かによって、気をつけたい合併症も、次のお子さんで同じ病気が起こる確率も大きく変わります。原因の遺伝子がわかれば、病名と見通しがはっきりし、次の妊娠でどう備えられるかを具体的に考えられるようになります。このページでは、病気の特徴・寿命の見通し・遺伝のしかたと、26の原因遺伝子をまとめて調べる遺伝子検査でわかることを、臨床遺伝専門医が解説します。
⏱️ 30秒でわかる要約
🧬 Q. この検査で何がわかりますか?
原発性小人症の原因として知られる26の遺伝子を一度に調べ、セッケル症候群・MOPD・マイヤー・ゴーリン症候群・3-M症候群などのどれに当たるかを確かめます。
🧬 Q. どんな人が受けるとよいですか?
おなかの中にいるときから小さく、生まれたあとも身長が大きく伸びないお子さん、とくに頭が小さい(小頭症)、小耳症や膝のお皿の異常があるお子さんと、次の妊娠を考えているご両親に向く検査です。
🧬 Q. 費用・日数・検体は?
検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。検体は血液・唾液・頬の内側の粘膜などで、唾液や頬の粘膜ならオンライン診療でも受けられます。
🧬 Q. 結果のあとはどうなりますか?
臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。多くの病型は常染色体潜性遺伝で、ご両親とも保因者なら次のお子さんで同じ病気が起こる確率は4分の1です。意義がまだわからない変化(VUS)の扱いもご説明します。
1. 原発性小人症(原発性低身長症)とは
原発性小人症(primordial dwarfism)は、1つの遺伝子の変化によって、体の成長がとても強く制限される病気のグループです。成長の遅れは発生のごく初期から始まり、生まれたあとも続きます[1]。医学の用語では「原発性低身長症」とも呼ばれます。病気のグループ全体については原発性小人症(Primordial dwarfism)の解説ページもご覧ください。
このグループの多くでは、体だけでなく頭も小さい(小頭症)のが特徴で、これがほかの低身長の病気と見分ける手がかりになるとされています[1]。原因となる遺伝子の多くは、細胞が分裂するときに働く中心体や、DNAの複製、DNAの傷の修復、RNAのスプライシングなどに関わっています。細胞の数を増やすしくみそのものがうまく働かないため、体全体が小さくなると考えられています[1]。
ふつうの低身長と何が違うのか
原発性小人症では、栄養を手厚くしても、成長ホルモンの治療をしても、成長の結果は変わらないとされています[1]。成長ホルモンが足りないために背が伸びにくい病気(成長ホルモン分泌不全性低身長症など)とは、原因のしくみがまったく違います。
病型ごとにみても、MOPD II型では成長ホルモンへの反応はほとんどないと報告され[3]、原因が遺伝子で確定したマイヤー・ゴーリン症候群でも成長ホルモンの効果はなかったとされています[4]。3-M症候群では、効果は人によってさまざまとされています[6]。
「小人症」は、病気による低身長を広く指して使われてきた言葉で、さまざまな原因の病気を含みます。原発性小人症はそのなかでも、おなかの中にいるときから成長が強く制限されていることが特徴のグループです。
いつわかるのか:おなかの中から小さい
成長の遅れは胎児期から始まるため[1]、妊婦健診の超音波検査で胎児発育不全(FGR)として気づかれることがあります。ただし、胎児発育不全の原因は胎盤の働きなどさまざまで、原発性小人症はその一部にすぎません。生まれたあとも身長・体重・頭囲が大きく下回ったままで、成長曲線から離れていくことで疑われ、病名を確かめるには遺伝子検査が必要です。
顔つきに特徴はあるか
セッケル症候群では、額が後ろに傾いている、鼻が目立つ、あごが小さいといった顔の特徴があるといわれています[1]。ただし、同じような特徴はほかの病気でもみられ、顔つきだけで病名を決めることはできません。病型どうしでも特徴が重なるため、遺伝子で確かめることに意味があります。
2. 主な病気の特徴と寿命の見通し
原発性小人症にはいくつもの病気が含まれ、知的発達・合併症・寿命の見通しは病気によって大きく違います。どの病気かがわかると、何に気をつけて過ごせばよいかがはっきりします。
セッケル症候群
セッケル症候群は、体の大きさに比べても頭がとくに小さく、学習の困難がより重い方に使われてきた病名です[1]。原因遺伝子は1つではなく、このパネルではATR・RBBP8・CENPJ・CEP152・CEP63・NIN・DNA2・TRAIPを調べます[14][15][16][17][18][19][20][21]。PCNTの変化でセッケル症候群と診断された報告もあります[13]。
セッケル症候群の寿命については、まとまったデータはありません。欧州の希少疾患データベースOrphanetは、寿命のデータはないとしたうえで、50歳を超えて生きた症例の報告があるとまとめています(2025年7月更新、2026年10月時点で確認)。「30歳までしか生きられない」といった言い方には、医学的な裏付けが見当たりません。
小頭性骨異形成性原発性小人症II型(MOPD II型)
MOPD II型は、はっきりした骨の特徴と顔の特徴をもつ型で、頭はとても小さいものの、知的な発達はよく保たれることが多いとされています[1][3]。原因はPCNT遺伝子の変化です[12]。最終的な身長は平均より約10SD(標準偏差)低いと報告されています[3]。
MOPD II型で特に大切なのは、脳の血管の病気です。登録された25人を調べた研究では、52%(13人)にもやもや病のような脳血管の異常や脳動脈瘤が見つかり、診断時と、その後少なくとも12〜18か月ごとのMRA・CTAによる検査が提案されています[2]。2017年の総説は、生涯で脳血管の病気が起こる割合を19〜52%と見積もっています[3]。また、21人中18人(81%)にインスリン抵抗性、10人(48%)に糖尿病がみられ、多くは5〜10歳ごろに出てくるとされています[3]。
寿命は一般に短くなるものの、少なくとも30代まで生きる方がいると報告されています[3]。脳の血管の検査を定期的に受けることが、見通しを変える大事な手がかりになります。そのためにも、まず病名を確かめることが出発点です。
MOPD I型・III型とRNU4ATACに関係する病気
MOPD I型(テイビ・リンダー症候群)は、RNU4ATACという、タンパク質を作らないRNAの遺伝子の変化で起こります[8][9]。17人をまとめた報告では、特徴の1つとして早い時期の死亡が挙げられており[7]、重い経過をとることが多い型です。
同じRNU4ATACの変化は、成長の遅れ・発達の遅れ・抗体の不足を特徴とするロイフマン症候群[10]や、骨の成長の異常と小頭症を伴うローリー・ウッド症候群[11]の原因にもなります。同じ遺伝子でも、変化の場所や組み合わせによって重さが大きく違うため、RNU4ATACのどの変化かを確かめることが大切です。
マイヤー・ゴーリン症候群
マイヤー・ゴーリン症候群は、小耳症・膝のお皿(膝蓋骨)がない、または小さい・低身長の3つを特徴とする病気です[4]。オランダのまとまった報告では、小耳症が94%、膝蓋骨の異常が94%にみられ、知能は97%(31人中30人)で正常でした[4]。生まれつきの肺気腫が43%、気管や気管支が軟らかい状態が42%にみられ、呼吸の管理に注意が必要です[4]。
原因はDNAの複製を始める準備に関わる遺伝子で[24][25]、このパネルではORC1・ORC4・ORC6・CDT1・CDC6・GMNN・CDC45を調べます。2023年の総説では、原因として13の遺伝子が報告されています[5]。マイヤー・ゴーリン症候群が強く疑われる場合は、専用のマイヤー・ゴーリン症候群の遺伝子検査もあります(第4章の選び方を参照)。
3-M症候群
3-M症候群は、体のつり合いのとれた低身長が特徴で、知能はふつう正常です。生まれたときの頭囲は在胎週数に見合っており、体に比べて頭が大きめに見えることがあります[6]。最終的な身長は平均より5〜6SD低いとされ、男性では性腺の働きの低下や、子どもを持ちにくいことがあります[6]。原因はCUL7・OBSL1・CCDC8の3つの遺伝子で[6]、いずれもこのパネルの対象です。CUL7とOBSL1は、タンパク質に目印をつけるユビキチン化のしくみとのつながりが示されています[29]。
そのほかの病気
このパネルでは、次の病気の原因遺伝子も調べます。ムリブレイ小人症(TRIM37)[31]、発達の遅れと免疫不全を伴うLIG4症候群(LIG4)[32]、顔の特徴・知的障害・原発性小人症を伴うアラザミ症候群(LARP7)[33]、低身長・爪の形成不全・顔の特徴・毛の少なさを伴うSOFT症候群(POC1A)[23]、小頭症・成長障害・網膜の病気を伴う病気(PLK4)[22]、そして小頭性の低身長を起こすヘイン・スプルー・ジャクソン症候群(DNMT3A)[34]です。
💡 寿命の見通しは、病型によってまったく違います
「小人症の寿命」とひとまとめに考えることはできません。MOPD I型のように早い時期の死亡が多い型がある一方[7]、セッケル症候群では50歳を超えて生きた症例の報告があり(Orphanet)、MOPD II型では少なくとも30代まで生きる方が報告されており[3]、マイヤー・ゴーリン症候群や3-M症候群では知的な発達がふつう保たれます[4][6]。見通しを知るためには、まずどの病気かを確かめる必要があります。
3. 遺伝のしかた:次のお子さんで起こる確率
このパネルで調べる病気の多くは常染色体潜性(劣性)遺伝で、ご両親がともに保因者の場合、次のお子さんで同じ病気が起こる確率は、お子さん1人ごとに4分の1です。一方で、一部の病気は常染色体顕性(優性)遺伝で、確率の考え方が違います。
多くは常染色体潜性遺伝:ご両親は保因者
常染色体潜性遺伝では、対になった2本の遺伝子の両方に変化があるときに発症します。ご両親はそれぞれ1本ずつ変化をもつ保因者で、ふつうは症状がありません。そのため、ご家族にこれまで同じ病気の方がいなくても、突然お子さんが発症したように見えます。
ご両親がともに保因者の場合、次のお子さんが発症する確率は4分の1、保因者になる確率は2分の1、変化を受け継がない確率は4分の1です。上のお子さんが発症したかどうかで、下のお子さんの確率が変わることはありません。マイヤー・ゴーリン症候群・3-M症候群は、多くが常染色体潜性遺伝とされています[4][5][6]。
一部は常染色体顕性遺伝:新しく起きた変化
GMNN遺伝子によるマイヤー・ゴーリン症候群は、マイヤー・ゴーリン症候群のなかで唯一、常染色体顕性遺伝の形をとるとされ[5]、報告された方では、お子さんの代で新しく起きた変化(de novo)でした[26]。DNMT3Aの機能が強まる変化によるヘイン・スプルー・ジャクソン症候群も、顕性遺伝の病気です[34]。
お子さんで新しく起きた変化であれば、次のお子さんでの確率は低くなります。ただし、ゼロではありません。ご両親のどちらかの卵子や精子のもとになる細胞にだけ変化がある「性腺モザイク」の可能性があるためです。変化をもつ生殖細胞からできる卵子・精子は2分の1の確率で変化を受け継ぎます。生殖細胞のうちどれくらいが変化をもつかは実際の診療では調べられないため、お子さん1人あたりの確率は『最大で2分の1』とお伝えしています。
誰のせいでもありません
遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。保因者であることは、ご両親の生活や妊娠中の過ごし方とは関係がありません。お子さんで新しく起きた変化なら、ご両親から受け継いだものではないことがはっきりします。原因がわかることは、こうしたことを確かめ、次の選択肢を増やすことにつながります。
4. どんな人がこの検査を受けるとよいか
おなかの中にいるときから小さく、生まれたあとも身長が大きく下回っているお子さんで、原発性小人症かどうか、どの病気かを確かめたい場合に向く検査です。次の妊娠を考えているご両親にとっては、再発の確率を知り、備えるための出発点にもなります。
こんなときに考える検査です
- ●おなかの中にいるときに胎児発育不全を指摘され、生まれたあとも身長・体重が大きく下回ったまま伸びない
- ●体だけでなく頭も小さい(小頭症)
- ●小耳症や、膝のお皿(膝蓋骨)がない・小さいと言われた
- ●骨のレントゲンで、骨の形や成長の異常を指摘された
- ●成長ホルモンの検査では異常が見つからず、低身長の原因がわからない
- ●上のお子さんがセッケル症候群・MOPD・マイヤー・ゴーリン症候群などと診断され、次の妊娠を考えている
低身長の子どもの遺伝学的検査をまとめた2026年のシステマティックレビューでは、エクソーム解析で原因が見つかった割合は、ほかの症状を伴う低身長で50.8%、低身長だけの場合で15.1%でした。顔の特徴や骨の異常があることが、原因が見つかることと最も強く関係していました[38]。ほかの特徴を伴う低身長ほど、遺伝子検査で原因がわかる可能性が高いということです。
見た目や家族歴だけでは判断できません
病型どうしで特徴が重なるうえ、同じ病気でも症状の出方には幅があります。当院では、きょうだいのお子さんの病気をきっかけに念のため検査を受けた方に、まったく関係のない別の遺伝子の病的な変化が、体の一部の細胞だけにある状態(モザイク)で見つかったことがあります。ご本人は発症していませんでしたが、卵子や精子のもとになる細胞にもその変化があれば、お子さんに受け継がれ、お子さんが発症することがある病気でした。見た目や家族歴だけで「大丈夫」「この病気だろう」と決めず、検査を受けてはじめて、次の計画が立てられます。
この検査より別の検査が向いている場合
比べる相手は検査の種類です。症状によっては、次の検査のほうが向いています。見分けが必要な病気として、シルバー・ラッセル症候群もありますが、この病気の原因はこのパネルの26遺伝子には含まれていません。
🔍 症状に合わせた検査の選び方
※どの検査が合うかは、症状・成長の記録・画像検査・ご家族の情報で変わります。遺伝カウンセリングで一緒に決めましょう。
5. 調べる26遺伝子と、それぞれの遺伝子でわかる病気
この検査では、原発性小人症に関係する26の遺伝子を、次世代シークエンサー(NGS)で一度に調べます。1つずつ順番に調べる方法と違い、病型をしぼりきれないときでも、まとめて確かめることができます。
🧬 原発性小人症NGS遺伝子パネル検査で調べる26遺伝子
※対象遺伝子は当院の検査内容による。関係する病気と遺伝のしかたは、各遺伝子の原著論文[8]〜[34]と文献[4][5][6]による。遺伝のしかたと病気の型の番号は、OMIMの病名とその注釈(HPOの注釈データ、2026年9月版)で確かめています。
専門家向けの情報(読み取りの精度・オプション)
読み取りの精度:検査の対象領域の99%以上を、20回以上読み取ります(≥99% at 20x)。同じ場所をくり返し読むほど、読み間違いを減らせます。
料金に含まれるもの:塩基配列の解析、欠失・挿入の解析。
オプション:至急(結果までの期間が約7日短くなります)55,000円。VUS除外(意義がまだわからない変化を報告に含めない選択)無料。
6. この検査でわかること・わからないこと
この検査でわかるのは、26の遺伝子の、たんぱく質の設計図にあたる部分(コード領域)とその境目(スプライス部位)にある小さな変化と、一定以上の大きさの欠失・重複です。一方で、遺伝子検査には必ず限界があります。
- ●欠失・重複:遺伝子まるごとの欠失・重複(頬の粘膜・血液)と、2つ以上続くエクソンの欠失・重複(血液のみ)を見つけられます。エクソン1つだけの欠失・重複は、見つかることもありますが、ふだんの検査では検出の対象ではありません。見つかった欠失・重複は、別の原理の方法(qPCR法やMLPA法)でもう一度確かめてから報告します。
- ●見つけられない変化:染色体の一部が入れかわる転座や向きが逆になる逆位、くり返し配列が長くなる変化、遺伝子の働きを調節する領域の多くや、エクソンから20塩基以上離れたイントロンの奥の変化は調べられません。
- ●モザイク:体の一部の細胞にだけある変化(体細胞モザイク)を見つけることは、この検査の目的に含まれていません。腫瘍の組織での検査も対象外です。
- ●調べていない遺伝子:原発性小人症の原因遺伝子は、この26個のほかにもあり、まだ見つかっていない遺伝子もあると考えられています[1][5]。
- ●意義がまだわからない変化(VUS):病気の原因かどうか、まだ判断できない変化が見つかることがあります。
- ●陰性でも否定はできません:原因が見つからなくても、原発性小人症ではないとは言い切れません。
確認の精度を上げるため、読み取りの質が低い部分は、サンガー法という別の方法で確かめます。
7. 結果が出たあと
結果は、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。結果だけをお送りすることはありません。陽性・陰性・VUSのそれぞれで、次にできることが違います。報告書の読み方はNIPT/遺伝子検査結果の見かたで解説しています。
結果は、基本的に日本語版でお渡ししています。海外でPGT-Mを受けるなど、英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。
原因が見つかったとき:病名が決まり、備えが決まる
原因の遺伝子がわかると、病名がはっきりし、何に気をつけて過ごせばよいかが決まります。たとえばMOPD II型なら、脳の血管の定期的な検査や、インスリン抵抗性・糖尿病の確認が大切になります[2][3]。マイヤー・ゴーリン症候群なら呼吸の状態に[4]、LIG4症候群なら免疫の働きに[32]注意が向けられます。
米国臨床遺伝・ゲノム学会(ACMG)の系統的レビューでは、エクソーム・ゲノム検査の研究167件のうち95%で、患者さんやご家族の診療方針に何らかの変化があったと報告されています[37]。変化の中身は研究ごとに違いますが、病名がわかることは、次の一手を決める手がかりになります。
ご家族への影響と、次の妊娠への備え
常染色体潜性遺伝の病気とわかった場合は、ご両親が保因者かどうかを確かめることで、次のお子さんでの確率がはっきりします。原因がわかっていれば、次の妊娠で羊水検査・絨毛検査による出生前診断を計画できます。原因がわからないままでは、出生前に調べる的を決められません。当院では、羊水検査・絨毛検査を院内で行っています(2025年6月から産婦人科を併設)。
将来、ほかのお子さん(きょうだい)が結婚や妊娠を考えるときには、保因者かどうかを知る手がかりにもなります。拡大版の保因者検査は拡大版保因者スクリーニング(女性版787遺伝子)で行っています。原因遺伝子が対象に含まれるかは、遺伝子一覧でご確認ください。妊娠中の方には、NIPTと同じ日に採血できるカップルの保因者検査ファミリーセーフティ プラスもあります(単独では受けられません)。
日本でも、日本産科婦人科学会の指針にもとづく審査を経て、PGT-M(着床前遺伝学的検査)が行われています(当院は体外受精・PGT-Mを行っていません)。準備に必要なことは海外でPGT-Mを考えている方へのコラムで解説しています。
原因が見つからなかったとき
26の遺伝子に原因が見つからなかった場合でも、原発性小人症の可能性がなくなるわけではありません(第6章)。症状に合わせて、全エクソーム検査(WES)やマイクロアレイ染色体検査など、より広く調べる検査を考えます。日本の未診断疾患イニシアチブ(IRUD)の6年間のまとめでも、解析を終えた家系のうち診断がついたのは43.8%で[36]、すべての方に原因が見つかるわけではありません。それでも、次に何を調べるかを決めていくことはできます。
意義がまだわからない変化(VUS)が見つかったとき
VUSは、それだけで診断に使ったり、ご家族の検査や出生前診断に使ったりはしません。研究が進んで、のちに意味がはっきりすることもあります。扱い方はVUS(意義不明変異)の臨床的取り扱いで、調べた目的と別の病気の原因が見つかった場合の当院の考え方は二次的所見の開示方針で解説しています。
8. 日本の制度(2026年10月時点)
2026年10月時点で確認した範囲では、セッケル症候群・MOPD・マイヤー・ゴーリン症候群・3-M症候群・ムリブレイ小人症・ロイフマン症候群の病名は、指定難病・小児慢性特定疾病の対象疾病の一覧に見当たりませんでした。小児慢性特定疾病では、内分泌疾患の群に「成長ホルモン(GH)分泌不全性低身長症」が載っていますが、これは原発性小人症とは別の病気です。
合併症の状態によっては、ほかの制度が使えることもあります。どの制度の対象になるかは、主治医やお住まいの自治体の窓口でご確認ください。当院の診療は、この検査を含めてすべて自費診療です(保険は使えません)。
9. 検査の流れ・費用・結果までの日数・検体
検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。唾液・頬の内側の粘膜・血液のいずれでも、オンライン診療で受けていただけます。
ご予約
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遺伝カウンセリング臨床遺伝専門医
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検体の採取お支払い後にキット送付
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結果のご説明2〜3週間後・マイページへ
💴 費用・日数・検体
※ご夫婦・カップルで同じ検査を同じ日に一緒に受ける場合は、遺伝カウンセリング料が1人分になります(検査費用の割引はありません)。
オンライン診療(ビデオ通話)で遺伝カウンセリングを行ったあと、検体を当院にお送りいただきます。オンラインの場合は、遺伝カウンセリング料金を事前にお支払いください。検体採取キットは、検査料金をお支払いいただいたあとにお送りします。検体の取り違えや品質の低下を防ぐため、キットが届く前にご自身で検体を採らないでください。
遺伝カウンセリングでは、検査で何がわかり、何がわからないか、結果がご家族にとってどういう意味をもつかをご説明します。検査を受けるかどうかは、説明を聞いて納得してから決めていただきます。
10. 院長コラム
🩺 院長コラム【原因がわかってはじめて、次の妊娠を考えられる】
私自身、希少な常染色体顕性(優性)遺伝性疾患の当事者です。子どもに病気を受け渡したくない、という遺伝の病気をもつ方の思いはよくわかります。また、お子さんが重い症状で発症したのをきっかけに、ご自身も同じ遺伝子の変化を持っていたとわかり、自分のせいだと責めてしまう親御さんを、何度も見てきました。私の当事者としての話は、遺伝性疾患の当事者として、臨床遺伝専門医になった理由に書いています。
原発性小人症の多くは常染色体潜性遺伝で、ご両親はふつう症状のない保因者です。ご家族に同じ病気の方がいないのに、なぜうちの子が、と思われるのは当然のことです。遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。そして、原因の遺伝子がわかってはじめて、次のお子さんで同じことが起こる確率と、次の妊娠でどう備えられるかを、具体的に考えられるようになります。
遺伝子検査は、やってみないとわからないことを、何度も経験してきました。検査をしないと何も言えない、というのが私の確固たる考えです。こうした経験から、当院では、検査を受けずにリスクだけをご説明することはしておりません。検査をせずにリスクをお伝えするほうが、かえって危険だと考えているためです。
わからないまま悩み続けるより、わかったことから次を考えるほうが前に進める、と考えています。原因を知ったうえで次の妊娠を考えたい方には、羊水検査・絨毛検査による出生前診断まで、当院で続けて支えられる体制を整えています。どの選択をされても、その選択を尊重します。
よくある質問(FAQ)
Q1. 原発性小人症(原発性低身長症)とは、どんな病気ですか?
1つの遺伝子の変化によって、体の成長がとても強く制限される病気のグループです。成長の遅れはおなかの中にいるときから始まり、生まれたあとも続きます。多くは頭も小さい(小頭症)のが特徴で、セッケル症候群・MOPD・マイヤー・ゴーリン症候群・3-M症候群などが含まれます。
Q2. 原発性小人症はいつわかりますか?
成長の遅れは胎児期から始まるため、妊婦健診の超音波検査で胎児発育不全として気づかれることがあります。ただし胎児発育不全の原因はさまざまです。生まれたあとも身長・体重・頭囲が大きく下回ったまま伸びないことで疑われ、病名を確かめるには遺伝子検査が必要です。
Q3. 寿命はどれくらいですか?
病型によってまったく違います。MOPD I型は早い時期の死亡が多い重い型です。セッケル症候群の寿命のまとまったデータはありませんが、50歳を超えて生きた症例の報告があります。MOPD II型では寿命は一般に短くなるものの、少なくとも30代まで生きる方が報告されており、脳の血管の病気の定期的な検査が大切です。マイヤー・ゴーリン症候群や3-M症候群では、知的な発達はふつう保たれます。
Q4. 遺伝しますか?次の子どもで起こる確率は?
多くの病型は常染色体潜性遺伝で、ご両親がともに保因者なら、次のお子さんで同じ病気が起こる確率は4分の1です。GMNN遺伝子によるマイヤー・ゴーリン症候群など一部は常染色体顕性遺伝で、お子さんで新しく起きた変化の場合も、性腺モザイクの可能性があるため確率はゼロではありません。
Q5. 成長ホルモンの治療は効きますか?
原発性小人症では、栄養を手厚くしても成長ホルモンの治療をしても、成長の結果は変わらないとされています。MOPD II型でも成長ホルモンへの反応はほとんどないと報告され、原因が確定したマイヤー・ゴーリン症候群でも効果はなかったとされています。治療の方針を考えるうえでも、病名を確かめることが大切です。
Q6. 検査の費用と、結果が出るまでの期間は?
検査費用は税込330,000円で、結果までは2〜3週間です。至急オプション(55,000円)を使うと約7日短くなります。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。当院の診療はすべて自費診療で、保険は使えません。
Q7. 低身長遺伝子パネル検査とは、どちらを選べばよいですか?
おなかの中にいるときからの重い成長障害や小頭症、骨の異常がある場合は、原発性小人症の26遺伝子を調べるこの検査が向いています。胎児期からの成長障害や小頭症がはっきりしない低身長では、153遺伝子を調べる低身長遺伝子パネル検査が向くことがあります。遺伝カウンセリングで一緒に決めましょう。
Q8. 次の妊娠で、出生前診断はできますか?
お子さんの原因の遺伝子の変化がわかっていれば、次の妊娠で羊水検査・絨毛検査による出生前診断を計画できます。原因がわからないままでは、調べる的を決められません。当院では羊水検査・絨毛検査を院内で行っていますので、妊娠を考えている段階からご相談ください。
🧬 一度の検査で、お子さんとご家族のこれからを考える
生まれ持った遺伝子は一生変わりません。原発性小人症の原因がわかれば、病名と見通しがはっきりし、合併症への備え、ご家族の検査、次の妊娠の計画を考える手がかりになります。当院では臨床遺伝専門医が常駐し、検査の前後の遺伝カウンセリングから、羊水検査・絨毛検査による出生前診断まで、院内で続けて受けていただけます。
お電話でのお問い合わせ:03-3478-3768
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