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次世代シークエンサー(NGS)は、数百万から数十億ものDNA断片を同時に読み取る「超並列シークエンシング」によって、ヒトゲノム全体を1日以内に解読できるようにした技術です。かつてサンガー法では13年・約30億ドルを要したヒトゲノムの解読を、桁違いの速さと低コストで実現し、NIPT・がんゲノム医療・希少疾患の診断といった現代の遺伝医療すべての土台になっています。
Q. 次世代シークエンサー(NGS)とは何ですか?まず結論だけ知りたいです
A. 大量のDNA断片を同時並行で読み取り、ヒトゲノムを短時間・低コストで解析できるシークエンス技術です。サンガー法(第1世代)に代わる第2世代の手法で、NIPT・がん遺伝子検査・全ゲノム/全エクソーム解析のほとんどがNGSを土台にしています。
- ➤NGSの定義 → 超並列シークエンシングによる、高速・低コストのDNA解析技術
- ➤仕組み → ライブラリ調製 → 標的濃縮 → 合成によるシークエンス → マッピング → 解釈
- ➤サンガー法との違い → 精度のサンガー法と、網羅性・深さのNGSを相補的に使い分け
- ➤臨床応用 → がんゲノムプロファイリング・TMB/MSI・NIPT・希少疾患の診断
- ➤これから → 第3世代ロングリードが構造変異やリピート病の「盲点」を解明
1. 次世代シークエンサー(NGS)とは
「シークエンシング(sequencing)」とは、連続したものとその順序を読み取るという意味の言葉です。わたしたちが文章を目でなぞって読むのと同じように、「遺伝の書」であるDNAの“文字”、すなわち塩基(A・T・G・C)の並び(塩基配列)を読み取ることをシークエンシングといい、それを行う機械をシークエンサーと呼びます。マイクロアレイのように「反応するDNA領域があるかどうか」を見る手法とは異なり、シークエンサーは配列そのものを直接決定します。
DNA解読の最初の大きな挑戦が、ヒトゲノム計画でした。これはサンガー法(鎖終結法)と呼ばれる第1世代の方法を用いたもので、たった一人分のDNAを読み取るのに13年の歳月と約30億ドルの費用をかけ、2003年に完成しました。サンガー法はその正確さからDNA解読の“ゴールドスタンダード”として長く君臨しましたが、一度の反応で読めるのが単一のDNA断片に限られるため、大規模な解析にはスループット(処理量)とコストが決定的なボトルネックになっていました。
この限界を打ち破ったのが、2000年代半ばに登場した次世代シークエンサー(NGS/第2世代シークエンサー)です。NGSの最大の革新は「超並列シークエンシング」にありました。一度のランで膨大な数のDNA断片を同時に読み取れるため、解析にかかる時間とコストが劇的に下がり、ヒトゲノム全体の塩基配列を1日以内に決定できるようになったのです。
💡 用語解説:超並列シークエンシング
英語ではMassively Parallel Sequencing。1本ずつ順番に読むサンガー法に対し、何百万〜数十億ものDNA断片を“同時並行で”一気に読み取る方式のことです。NGS・大規模並列シークエンシング・ディープシークエンシングは、いずれもこの技術を指す言葉として使われます。プラットフォームごとに読み取りの化学は異なりますが、「小さなDNA断片を大量に並列で読む」という点はすべてのNGSに共通しています。
NGSは、ゲノム全体(全ゲノムシークエンス:WGS)を読むことも、約2万のタンパク質コード遺伝子だけ(全エクソーム:WES)に絞ることも、さらに少数の遺伝子だけを深く読むことも、目的に応じて柔軟に設計できます。研究の場ではサンガー法をほぼ置き換えましたが、ルーチンの臨床現場ではNGSで見つけた異常を最後はサンガー法で確認するという運用が続いています。
2. NGSの仕組みとデータ解析のワークフロー
NGSが膨大なゲノム情報を高精度に読み解くプロセスは、自動化された生化学反応とバイオインフォマティクス(生物情報科学)の融合で成り立っています。プラットフォームごとに細部は違いますが、基本の流れは次の通りです。
① ライブラリ調製と標的の濃縮
第2世代のNGSは通常100〜300塩基対程度の短い断片(ショートリード)を読む設計のため、まず対象のDNAを超音波や酵素でその大きさに断片化します。次に各断片の末端へ、読み取り用のアダプター配列と、サンプルを見分けるための固有のインデックス(バーコード)を付けます。このインデックスのおかげで複数の患者さんの検体を1回のランにまとめて解析(マルチプレックス)でき、コスト効率が大きく上がります。
調べたい領域だけを効率よく集める方法には、相補的なプローブで目的のDNAを捕まえる「ハイブリダイゼーション・キャプチャー法」と、多数のプライマーでPCR増幅する「アンプリコン法」があります。
② 合成によるシークエンス(SBS)
💡 用語解説:SBS(合成によるシークエンス)
Sequencing by Synthesisの略。DNAポリメラーゼが相補鎖を合成する過程で、蛍光で標識した塩基(A・C・G・T)を1塩基ずつ取り込ませ、その時に光る色をカメラで撮影して塩基の種類を特定する方法です。この「取り込み→撮影」のサイクルを繰り返すことで、固定された無数のDNA断片の配列が同時に読み解かれていきます。
調製したライブラリは、フローセルなどのマトリックス上に固定され、局所的にクローン増幅されて検出に十分な明るさの“クラスター”をつくります。そこへSBSの反応を働かせることで、何百万もの断片が並行して読み取られます。
③ マッピングからバリアントの意味づけまで
読み取った直後のデータは、数億個の小さなパズルのピースのようなものです。これを意味あるゲノム情報に組み立てるのがバイオインフォマティクスです。短いリードはヒトの参照配列(リファレンスゲノム)に貼り合わせ(マッピング)られ、参照配列との違いから、一塩基置換(SNV)・挿入欠失(Indel)・より大きな構造変異などが特定(バリアントコール)されます。最後に、各変異がどの遺伝子のどこに位置し、どんな意味を持つかが注釈付け(アノテーション)されます。
💡 用語解説:カバレッジ(読み取り深度)
あるゲノム領域を“何回重ねて読んだか”を示す指標で、30×・100×のように倍率で表します。深く読むほど変異を見落としにくく、がん組織などに少しだけ存在する低頻度の変異も拾えるようになります。ただし深くするほどコストが上がり、ノイズも増えるという面があります。詳しくはカバレッジの解説ページをご覧ください。
3. サンガー法(第1世代)とNGS(第2世代)の比較と使い分け
サンガー法とNGSは、どちらが優れているという関係ではなく、それぞれの長所を活かして相補的に使い分けるのが現在の標準です。サンガー法は今も99.9%以上の正確さを誇り、一度に500〜1400塩基という長く連続したリードを得られるため、解析がシンプルで反復配列にも強いという利点があります。一方で、その検出感度は変異アレル頻度でおおよそ15〜20%程度までで、微小な変化の検出には不向きです。
NGSはリードが150〜300塩基と短く、反復配列や複雑な構造変異の再構築では計算負荷が高い一方、特定領域を数千倍という深さで読む「ディープシークエンシング」によって、わずか1%程度しか存在しない低頻度の変異も高感度に検出できます。
| 比較項目 | サンガー法(第1世代) | 次世代シークエンサー(第2世代) |
|---|---|---|
| 処理量・ターゲット数 | 少(1〜20の標的遺伝子に最適) | 超高(数百〜数千の遺伝子、全エクソーム、全ゲノム) |
| リード長 | 500〜1400塩基(長い) | 150〜300塩基(短い) |
| 検出感度 | 約15〜20%の変異頻度まで | 1%以下の変異も検出可能 |
| 1メガベースあたりのコスト | 約500ドル | 0.50ドル未満 |
| 主な用途 | 確認検査(バリデーション)、既知の単一遺伝子検査、家系内のカスケード診断 | がんゲノムプロファイリング、NIPT、未知の変異探索、WES/WGS |
| データ解析 | シンプル(クロマトグラム解析) | 高度なバイオインフォマティクスが必須 |
実際の臨床検査室では、大規模な探索や大きながん遺伝子パネルにはNGSを使い、そこで見つかった変異の確認(直交的検証)や、家系内のカスケード診断、20個以下の標的のルーチン検査には、迅速・安価で解析が容易なサンガー法を選ぶ、というハイブリッドのワークフローが定着しています。
4. がんゲノム医療への応用(出生後の検査)
がんは本質的に「ゲノムの病気」です。NGSによる包括的ゲノムプロファイリング(CGP)によって、腫瘍を駆動するドライバー変異・構造変異・コピー数異常を一度に網羅的に同定できるようになりました。特定のアクショナブル変異(治療標的になり得る変異)に分子標的薬を合わせるプレシジョン・メディシンは、いまやがん治療の基盤です。NGSはさらに、ゲノム全体の変異の蓄積状態を評価する高度なバイオマーカーの算出も可能にしました。その代表がTMBとMSIです。
💡 用語解説:TMB(腫瘍遺伝子変異量)
Tumor Mutational Burdenの略で、腫瘍のゲノムにたまった体細胞変異の総数(1メガベースあたりの数)を指します。変異が多いほど異常なタンパク質の断片(ネオアンチゲン=腫瘍特異的な“目印”)が増え、免疫が「異物」として認識しやすくなります。TMBが高い腫瘍(通常1メガベースあたり10〜20変異以上)は、免疫チェックポイント阻害薬が効きやすいことが報告されています。
💡 用語解説:MSI(マイクロサテライト不安定性)
DNAの“ほつれ”を直すミスマッチ修復(MMR)機構が壊れると、短い反復配列(マイクロサテライト)に変異がたまり、これを高頻度MSI(MSI-H)と呼びます。MSI-Hの腫瘍も大量のネオアンチゲンを作るため免疫療法に高い奏効を示し、大腸がん・胃がん・子宮内膜がんで頻度が高いことが知られます。詳しくはマイクロサテライト不安定性の解説へ。
重要なのは、TMBが高い原因はMMRの欠損(MSI-H)だけではないという点です。POLE/POLD1の変異や、紫外線・たばこなどへの曝露も、MSIを伴わずに高TMBを引き起こします。だからこそ、NGSでこの2つの独立したバイオマーカーを同時に評価し、免疫療法の対象となる患者さんを正確に見極めることが大切なのです。
さらに、血液中の循環腫瘍DNA(ctDNA)を解析するリキッドバイオプシーにより、侵襲的な組織生検が難しい進行がんでも、採血だけでリアルタイムにゲノムをプロファイリングする道が開けています。
5. NIPT(非侵襲的出生前検査)への応用(出生前の検査)
NGSは産科・周産期医療にも大きな変化をもたらしました。1997年、デニス・ロー博士らが、妊婦さんの血漿中に胎児(正確には胎盤)由来のセルフリーDNA(cfDNA)が存在することを発見しました。母体血を循環するcfDNAのうち、胎児由来の割合(胎児フラクション)は平均して約11%程度です。NGSの解析力を使えば、この微量な胎児由来DNAと大量の母体DNAを分離・定量し、ダウン症候群(21トリソミー)などの染色体異数性を高い精度で検出できます。
💡 用語解説:胎児フラクション(胎児分画)
母体血中のcfDNAのうち、胎児(胎盤)由来が占める割合のことです。この割合が高いほど検査の精度が安定します。胎児由来の断片は母体由来より短い傾向があり、この差を利用して両者を見分けています。
NIPTは従来の母体血清マーカーや超音波と比べて感度・特異度が高く、ある研究では血清スクリーニングの偽陽性率3.6%に対し、cfDNAを用いたNIPTの偽陽性率は0.3%にとどまりました。これにより、流産リスクを伴う侵襲的検査の必要性を大きく減らすことに成功しています。NGSを用いたNIPTは、大きく「全ゲノム(WGS)方式」と「ターゲットSNP方式」に分かれます。
| 特徴 | 全ゲノム(WGS)方式 | ターゲットSNP方式 |
|---|---|---|
| 解析対象 | 全染色体(ゲノム全体) | 選択した特定の染色体領域のみ |
| 増幅 | PCRフリー(増幅バイアスなし) | マルチプレックスPCR(工程が複雑) |
| 不成功率 | 低い(約3%台) | 高くなる傾向(報告例で最大12.8%) |
| 拡張性 | 希少常染色体異数性や7Mb以上の微小欠失・重複(CNV)も検出可能 | 事前に設計したターゲットのみ |
| 判定の仕組み | リード数の期待値からの過不足をカウント | アレル頻度の分布と比率の違いを解析 |
近年のNIPTは染色体の数の検査にとどまらず、機械学習を組み合わせて、母体DNAの背景から胎児が受け継いだ病的なSNVを検出する単一遺伝子疾患の領域へ、また胎盤由来のセルフリーRNA(cfRNA)を用いて妊娠合併症リスクを評価する方向へと広がりつつあります(この多くは新生突然変異〈de novo〉や常染色体劣性〈潜性〉遺伝の解析が関わります)。
⚠️ 大切な前提:NIPTはスクリーニング検査です
NIPTは非常に高精度ですが、確定診断ではありません。胎盤限局性モザイクや消失双胎、まれに母体側の要因などによって偽陽性・偽陰性が生じることがあります。陽性(高リスク)の判定が出た場合は、結果の意味を正しく理解するための遺伝カウンセリングと、羊水検査・絨毛検査による確定診断のプロセスが必須です。当院では互助会(8,000円)により、羊水検査費用が全額補助されます。
6. バリアントの解釈とACMGガイドライン・VUS
NGSが安価に大量のバリアントを検出できるようになった今、臨床現場の最大のボトルネックは「読むこと」そのものではなく、無数の変異から本当に病気の原因となっているものを正確に見つけ出し、根拠に基づいて解釈することへと移っています。解釈を一歩誤れば、不要な介入(偽陽性)や、受けるべき治療機会の喪失(偽陰性)につながり、ご本人やご家族に重大な影響を及ぼしかねません。
かつてはラボごとに基準が異なり、同じ変異でも判定が食い違う「ラボ間不一致」が約40%にも達していました。これを標準化し不一致を大きく減らすために、米国臨床遺伝学会(ACMG)と分子病理学協会(AMP)が、バリアントを証拠の強さに応じて5段階に分類する枠組みを示しました。
| 分類 | 病原性の確率 | 臨床的な対応 |
|---|---|---|
| 病的(Pathogenic) | 99%超 | 診断確定。治療方針や血縁者のカスケード診断の根拠になる |
| おそらく病的(Likely Pathogenic) | 90%超 | 多くは診断確定。可能なら追加の確認検査を推奨 |
| 意義不明(VUS) | 10〜90% | これを根拠に医学的介入を変えてはならない。継続的な再評価の対象 |
| おそらく良性(Likely Benign) | 90%超で良性 | 通常は臨床報告の対象外 |
| 良性(Benign) | 99.9%超で良性 | 一般集団に広く見られる多型など。臨床報告の対象外 |
この分類は、病原性・良性それぞれを強さ別(PVS1、PS1〜4、PM2、PP3 など)に重み付けした多数のエビデンスコードを組み合わせて決定されます。たとえばタンパク質の機能を完全に壊すナンセンス変異やフレームシフト変異は強い証拠(PVS1)に、ミスセンス変異は予測ツールの一致(PP3)などと組み合わせて評価されます。変異の種類についてはバリアントの種類の解説もご覧ください。
💡 用語解説:VUS(意義不明なバリアント)
病的とも良性とも断定できる証拠が揃っていない「白でも黒でもないグレーゾーン」の変異です。病的に近い“Hot VUS”から良性に近い“Cold VUS”まで幅があります。VUSを根拠に予防的手術などの不可逆的な介入を行ってはいけないのが厳格な原則です。詳しくはVUSの解説ページへ。
VUSに直面したときは、ご本人の症状(表現型)の精査、ご家族のサンプルを追加した「変異の共分離」の確認、RNA-Seqなどの機能的アッセイによって証拠を積み重ね、最終的に病的・良性へと再分類していくことが、臨床遺伝学の重要な使命です。
7. 第3世代シークエンサー(ロングリード技術)
第2世代NGSはゲノム医療に革命をもたらしましたが、「150〜300塩基の短いリード」と「PCR増幅」に由来する弱点もあります。反復配列の多い領域、極端にGCに富む領域、広範囲にわたる構造変異(SV)、父由来・母由来の配列を区別するハプロタイプの判別などは苦手で、ここに隠れた変異が、いまだ診断のつかない希少疾患の大きな原因と考えられています。
この“盲点”を突破するのが、第3世代シークエンサー(ロングリード・シークエンシング)です。DNAを断片化して増幅せず、1本の長いDNA分子をそのままリアルタイムで読み取るのが最大の特徴で、市場はPacBio社とOxford Nanopore社が牽引しています。
🔬 PacBio(HiFiリード)
微小なウェルの底にDNAポリメラーゼを固定し、環状の鋳型を何度も周回して読み、結果を統合する「HiFi」技術により、99.9%以上の高精度と数万塩基の長さを両立。ゲノムアセンブリの質を飛躍的に高めました。
🧪 Oxford Nanopore(ナノポア)
ナノサイズの孔をDNAが通る時の電流変化を読む方式。小型機(MinIONなど)による現場検査や、目的領域だけを選んで深く読む「適応型サンプリング」、化学処理なしでDNAメチル化を直接検出できる点が強みです。
💡 用語解説:構造変異(SV)とリピート伸長病
構造変異とは50塩基以上の大きな欠失・重複・挿入・逆位・転座のこと。ショートリードでは切断点をまたげず見落とされがちでしたが、ロングリードはショートリードの3〜6倍以上の感度でSVを検出できます。また、ハンチントン病や脆弱X症候群などの原因となる反復配列の異常な伸長(リピート伸長)も、長い領域を一息に読み通せるため、回数の正確なカウントまで可能になりました。
第3世代はまだ試薬コストやDNA品質への要求といった課題を抱えますが、これまで「原因不明」とされてきた希少疾患の診断率を高める切り札として、第2世代を強力に補完していくことが確実視されています。ロングリードを含む解析の詳細は全ゲノムシーケンス(WGS)の解析もあわせてご覧ください。
8. NGSと遺伝子診断・遺伝カウンセリングの関わり
NGSは“研究の道具”にとどまりません。NIPT・保因者検査・がん遺伝子パネル・希少疾患の確定診断のほとんどが、NGSを土台にしています。NGSで見つかったバリアントを前述のACMG基準で解釈し、それが常染色体顕性(優性)か常染色体劣性(潜性)か、あるいは新生突然変異(de novo)かといった遺伝形式を判定することで、ご本人だけでなく血縁者の見通し(再発リスク)まで見えてきます。
ただし、技術が高度になるほど「何を、どこまで調べ、結果をどう受け止めるか」という問いが重くなります。結果には病的バリアントだけでなくVUSや偶発的所見も含まれ得るため、検査の前後で遺伝カウンセリングを行い、十分に理解したうえでご自身で選んでいただくことが何より大切です。医師はあくまで中立・非指示的な立場で情報をお伝えし、決定はご家族に委ねます。検査や解釈について相談できる専門職として、臨床遺伝専門医がいます。
9. よくある誤解
誤解①「NGSがあればサンガー法はもう不要」
そうではありません。NGSで見つけた異常は、最後にサンガー法で確認するのが今も基本です。両者は競合ではなく相補の関係にあります。
誤解②「NGSの結果=確定診断」
NGSは強力ですが、特にNIPTはスクリーニング検査です。陽性なら確定検査が必要で、検出された変異もACMG基準による解釈が欠かせません。
誤解③「たくさん調べれば安心が増える」
広く調べるほどVUS(意義不明な変異)も増えます。情報量の多さは、必ずしも安心の多さと同じではありません。
誤解④「NGSは一種類の技術」
NGSは多様なプラットフォームの総称です。さらに第3世代ロングリードまで含めると、目的に応じて選ぶ“技術群”と考えるのが正確です。
よくある質問(FAQ)
🏥 遺伝子検査・出生前診断のご相談
NGSを用いた遺伝子検査やNIPTについてのご相談は、
臨床遺伝専門医が在籍するミネルバクリニックへお気軽にどうぞ。
参考文献
- [1] Next-Generation Sequencing (NGS): Platforms and Applications. PMC. [PMC11001031]
- [2] Next-generation sequencing and its clinical application. PMC. [PMC6528456]
- [3] NGS vs Sanger Sequencing. Illumina. [Illumina]
- [4] Next-generation sequencing in cancer diagnosis and treatment. PMC. [PMC12009796]
- [5] Tumor Mutational Burden (TMB). Illumina. [Illumina]
- [6] Non-Invasive Prenatal Testing Using Cell Free DNA in Maternal Plasma. J Clin Med (MDPI). [MDPI]
- [7] Types of NIPT Technology: Whole-genome sequencing vs targeted. Illumina. [Illumina]
- [8] Long-Read Sequencing and Structural Variant Detection in Rare Genetic Disorders. PMC. [PMC12293859]
- [9] ACMG Variant Classification Guidelines: Implementation Guide. Genomatics. [Genomatics]



