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胎児性アルコール症候群(FASD)とは|顔つきの特徴と「顔だけではわからない」理由、妊娠初期の飲酒の影響

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医として遺伝医療に携わっています。

胎児性アルコール症候群(FAS)は、妊娠中にお母さんが飲んだアルコールの影響で、赤ちゃんに特徴的な顔つき・成長の遅れ・脳の発達の問題が生じる状態です。より広い影響をまとめて胎児性アルコール・スペクトラム障害(FASD)と呼びます。妊娠中の飲酒に「ここまでなら安全」という量はわかっていません。一方で、顔つきだけで診断がつくことはなく、よく似た顔つきになる遺伝性の病気もあります。妊娠に気づく前に飲んでしまった場合も、今からやめることがいちばん大切です。この記事では、顔の特徴と診断の考え方、週数ごとの飲酒の影響、見分けに役立つ遺伝学的検査までを、臨床遺伝専門医の立場から解説します。

この記事でわかること
📖 読了時間:約14分
🍷 FAS・FASD・妊娠初期の飲酒
★ 臨床遺伝専門医監修

Q. 顔を見れば胎児性アルコール症候群だとわかりますか?

A. わかりません。顔の特徴は診断の手がかりの一つにすぎず、成長・脳の発達・妊娠中の飲酒歴と合わせて、専門の医師が判断します。日本人の顔に合わせた基準で見る必要があり、よく似た顔つきの遺伝性の病気との区別も欠かせません。写真や見た目のうわさで、特定の人を胎児性アルコール症候群と決めつけることはできません。

  • ➤FASとFASD → FASはFASDの中でもっとも典型的な型
  • ➤顔の3つの特徴 → 短い眼瞼裂・平坦な人中・薄い上口唇
  • ➤安全な飲酒量 → わかっておらず、妊娠中のどの時期も安全とはいえない
  • ➤気づく前の飲酒 → 時期によって考え方が違う。今やめることが最善
  • ➤遺伝の視点 → 似た顔つきの遺伝性疾患は、遺伝学的検査で見分けられることがある

1. 胎児性アルコール症候群(FAS)とFASDとは

胎児性アルコール症候群(Fetal Alcohol Syndrome:FAS)は、妊娠中のアルコールへの曝露(さらされること)によって、特徴的な顔つき、成長の遅れ、脳の発達の問題の3つがそろって現れる状態です。「症候群」とは、いくつかの症状や特徴がまとまって現れる状態を指す言葉です。原因は赤ちゃん自身の遺伝子ではなく、お母さんの体を通して胎児に届いたアルコールにあります。

そのため、胎児性アルコール症候群は妊娠中に飲酒しなければ起こりません。専門誌の総説でも、胎児性アルコール・スペクトラム障害は予防可能な先天異常と発達障害の主要な原因の一つと位置づけられています[1]。

FASはFASD(胎児性アルコール・スペクトラム障害)のいちばん典型的な型

妊娠中のアルコールによる影響は、顔つき・成長・脳の問題がすべてそろう典型的なものから、脳の働きの問題だけが目立つものまで幅があります。この全体を胎児性アルコール・スペクトラム障害(FASD)と呼び、FASはその中でもっとも典型的な型です。「スペクトラム」とは、症状の現れ方に連続した幅があることを表す言葉です。

2016年に米国の専門家グループがまとめた診断ガイドラインでは、FASDを次の4つに分けています[2]。顔の特徴がはっきりしない型では見た目からは気づかれにくく、学校や社会生活の中で初めて問題が表に出ることもあります。

📘 FASD(胎児性アルコール・スペクトラム障害)の4つの型

型 主な特徴
胎児性アルコール症候群(FAS) 特徴的な顔つき・成長の遅れ・脳の発達の問題がそろう典型的な型
部分型FAS(pFAS) 顔の特徴はあるが、成長や脳の所見の一部がそろわない型
アルコール関連神経発達障害(ARND) 顔の特徴ははっきりしないが、脳の働き(学習・注意・行動など)の問題がある型
アルコール関連先天異常(ARBD) 心臓・腎臓・骨などの先天的な形の異常が中心の型

※Hoyme HE ほか(2016年、Pediatrics)の診断ガイドライン[2]による分類です。

💡 用語解説:FASD(ふぁすでぃー)

FASDはFetal Alcohol Spectrum Disorders の略で、日本語では「胎児性アルコール・スペクトラム障害」と訳されます。病名そのものというより、妊娠中のアルコールで起こりうる影響をまとめて呼ぶ総称です。FASはその一部で、典型的な顔の特徴を伴うものを指します。

どのくらいの頻度で起こるのか

FASDの頻度は、国や地域、調べ方によって大きく異なります。世界の研究をまとめた解析では、一般の子どもの約1,000人に8人がFASDと推計されています。この解析では、世界全体の一般集団における子ども・若者のFASD有病率は1,000人あたり7.7人(95%信頼区間4.9〜11.7人)と推計されました[3]。

小学1年生を直接診察して調べた米国の4地域の研究では、控えめに見積もった場合でも有病率は1.1〜5.0%でした[4]。顔の特徴がはっきりしない型は見逃されやすく、実際の数は診断されている数より多い可能性があります。

日本では、厚生労働省の情報サイトが、出生1,000人あたりの発生数は調査によって1.06〜113.22と大きく幅があること、アルコール依存症の女性が妊娠中に飲酒した場合には30%に発生したという報告があることを紹介しています[5]。日本人を対象にした信頼できる有病率の推計は、現時点では明確に示されていません。

妊娠中の飲酒率は日本では下がってきています。2000年に18.1%、2013年に4.3%だったとされ[5]、国の母子保健の指標では2017年度に1.2%まで低下しました[6]。

アルコールが胎児に届くしくみ

お母さんが飲んだアルコールは、胎盤を容易に通過して赤ちゃんの血液に入ります[1]。胎盤は、お母さんから酸素や栄養を受け取るための臓器ですが、アルコールのように小さく溶けやすい物質を遮ることはできません。

胎児はアルコールを分解する働きが未熟で、体内に入ったアルコールの影響を受けやすいと考えられています。体の器官がつくられる時期には形の異常として、それ以降は成長や脳の発達の問題として影響が現れうるのはこのためです。

このように、妊娠中に曝露すると赤ちゃんの形や機能に影響を与えうる物質や要因を催奇形因子(テラトゲン)と呼びます。アルコールは、日常生活の中でもっとも身近な催奇形因子の一つです。

2. 胎児性アルコール症候群の顔つきの特徴

胎児性アルコール症候群の顔つきの特徴は、目の横幅が短い(短い眼瞼裂)、鼻の下の溝が浅く平ら(平坦な人中)、上くちびるが薄い(薄い上口唇)の3つです。診断では、このうち2つ以上がそろうかどうかを確認します[7]。ほかにも、まぶたが下がる、目頭にひだがある、顔の中央部が平らに見える、鼻が短く上向きといった特徴を伴うことがあります[8]。

3つの顔の特徴:短い眼瞼裂・平坦な人中・薄い上口唇

3つの特徴は、どれも「なんとなくそう見える」で判断するものではありません。眼瞼裂は物差しで長さを測り、人中と上くちびるは基準となる写真の図表と見比べて段階評価します。数値や段階で判定するのは、見る人によって判断がぶれないようにするためです。

👁️ 胎児性アルコール症候群の3つの顔の特徴と判定の方法

特徴 どこを見るか 判定の方法
短い眼瞼裂(がんけんれつ) 目頭から目尻までの長さ(目の横幅) 実測して、同じ年齢・集団の10パーセンタイル以下なら「短い」
平坦な人中(じんちゅう) 鼻の下から上くちびるまでの縦の溝 人種別の基準図表(リップ・フィルトラム・ガイド)と比べて段階評価
薄い上口唇(じょうこうしん) 上くちびるの赤い部分(赤唇)の厚さ 同じく人種別の基準図表と比べて段階評価

※判定の基準は Hoyme ほかのガイドライン[2]と、その解説[7]によります。

💡 用語解説:パーセンタイル

パーセンタイルは、同じ年齢の集団を小さい順に100人並べたとき、何番目にあたるかを表す数字です。10パーセンタイル以下は「100人中、小さいほうから10番目以内」という意味です。背の低さや頭の小ささも、このパーセンタイルで判断します。

「日本人の顔」で判断するのが難しい理由

顔の特徴の判定は、その人が属する集団の基準と比べて行います。人中と上くちびるは、利用できる場合には本人に最も近い集団向けの基準図表を用いて評価することが推奨されています[7]。目の横幅や人中の深さ、くちびるの厚さは、もともと人種や集団によって平均が違うためです。

2016年のガイドラインで新しく示されたリップ・フィルトラム・ガイドも、白人の集団向けに作られたものです[2]。集団によって人中や上口唇などの形態には差があるため、白人集団向けの図表を日本人にそのまま当てはめる際には慎重な解釈が必要です。日本人向けに十分に検証された基準図表は、現時点では明確に示されていません。

「胎児性アルコール症候群 顔 日本人」で画像を探しても、判断の助けにならないのはこのためです。まぶたの形や眼瞼裂の見え方、人中や上口唇の形には個人差・集団差があるため、写真だけで診断所見の有無を判定することはできません。顔つきだけを見て「当てはまる」「当てはまらない」と考えることは避けてください。

大人になると顔の特徴は目立たなくなる

胎児性アルコール症候群の顔の特徴は、成長とともに目立たなくなることがあります。米国立アルコール乱用・依存症研究所(NIAAA)の総説でも、成人期に入ると顔の特徴が目立ちにくくなり、大人になってからの診断は難しくなると述べられています[7]。

一方で、学習や注意、行動の問題などの脳の働きへの影響は、大人になっても続くことがあります。「大人の顔」を見て判断することはさらに難しく、成人の診断では、幼いころの写真や記録、母親の妊娠中の飲酒歴などを総合して考えることになります。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【顔つきは「測る」もので「見た印象」ではない】

臨床遺伝学では、顔や体の形の特徴を数値と基準図表で評価する方法を「ディスモルフォロジー(形態異常学)」と呼びます。目の横幅や人中の深さは、同じ人でも見る角度や表情で印象が大きく変わるため、写真を眺めた印象だけで何かを判断することはできません。

特に日本人の顔を欧米の基準で見ると、特徴があるように見えてしまうことがあります。顔の特徴は、専門の医師が、その集団の基準に照らして測ってはじめて意味を持つ所見だと考えています。

3. 診断はどうつけるのか|顔だけでは決まらない

胎児性アルコール症候群の診断は、顔の特徴、成長の遅れ、脳の問題、そして妊娠中の飲酒歴を組み合わせて、専門の医師がつけます。顔の特徴だけでは決まりません。また、胎児性アルコール症候群を1回で確定できる血液検査や画像検査もありません。

診断の4つの柱

2016年のガイドラインでは、胎児性アルコール症候群の診断に次の項目を用います[2][7]。成長の遅れは身長や体重が10パーセンタイル以下であること、脳の問題は頭囲が10パーセンタイル以下、脳のかたちの異常、熱を伴わないけいれんの繰り返し、あるいは発達や行動の検査で確認される問題を指します。

🩺 胎児性アルコール症候群の診断で確認する4つの柱

柱 確認する内容
① 顔の特徴 短い眼瞼裂・平坦な人中・薄い上口唇のうち2つ以上
② 成長の遅れ 出生前または出生後の身長・体重が10パーセンタイル以下
③ 脳の問題 頭囲が小さい、脳のかたちの異常、熱を伴わないけいれん、発達・行動の問題
④ 妊娠中の飲酒歴 母親の妊娠中の飲酒の有無・量・時期

※Hoyme ほか[2]、NIAAAの総説[7]による。顔の特徴がはっきりそろい、似た状態を除外できた場合には、飲酒歴が確認できなくても診断されることがあります[7]。

成長の遅れは、お腹の中の段階から胎児発育不全(FGR)として気づかれることもあります。脳のかたちの異常としては、左右の大脳をつなぐ脳梁(のうりょう)の形成不全などが知られています。ただし、これらはいずれもアルコール以外の原因でも起こるため、単独で胎児性アルコール症候群を示すものではありません。

飲酒歴の確認が求められるのは、同じような顔つきや成長の遅れが、遺伝性の病気やほかの薬剤の影響でも起こるためです。飲酒歴がないのに顔の特徴だけで「アルコールのせい」と判断すると、本当の原因を見落とすことになります。

いつわかる?妊娠中のエコーやNIPTではわからない

胎児性アルコール症候群は、妊娠中に診断することはできません。診断は生まれた後に、顔の特徴や成長、発達を見ながらつけます。医学書でも、特徴的な所見があり、妊娠中に母親の多量の飲酒があった赤ちゃんに診断がつけられると説明されています[9]。

妊娠中の超音波(エコー)検査で、赤ちゃんの小ささや一部の形の異常に気づくことはあります。しかし、それがアルコールによるものかどうかは、エコーでは判断できません。NIPT(新型出生前診断)は主に赤ちゃんの染色体数の変化を調べるスクリーニング検査で、検査の種類によっては一部の微細欠失などを対象にするものもありますが、アルコールの影響そのものは調べられません。出生前診断でわかることの範囲は、出生前診断でわかること・わからないことで解説しています。

生まれた直後に顔の特徴がはっきりしない場合は、成長の経過や、言葉・学習・行動の発達を見ていく中で、幼児期や学童期になってから疑われることもあります。

知的障害・発達障害(ADHD)との関係

胎児性アルコール症候群では、知的障害や、注意・学習・行動の問題が見られることがあります。医学書では、胎児性アルコール症候群は遺伝によらない知的障害の原因として、もっとも多いものである可能性が指摘されています[9]。

注意の続きにくさや落ち着きのなさは、注意欠如・多動症(ADHD)とよく似て見えます。そのためADHDや学習障害は、FASDと見分けるべき状態としても挙げられています[10]。発達の特性がある子どものほとんどは、アルコールとは関係のない原因によるものです。知的障害の原因の全体像は、知的障害児が生まれる確率と原因で解説しています。

胎児性アルコール症候群そのものを治す治療はありません。医学書でも、治療法はなく、発達を促す環境を整える支援が中心になるとされています[9]。早い時期に気づいて、療育や学習の支援、家庭環境の調整につなげることが、その後の生活を支えるうえで大切です。

4. 「芸能人」や見た目のうわさについて

「胎児性アルコール症候群の芸能人」として特定の人の名前が挙がることがありますが、本人が公表していない限り、外見から胎児性アルコール症候群だと判断することはできません。この記事では、特定の人の名前は取り上げません。

ここまで見てきたとおり、診断には顔の特徴を測ったうえで、成長や脳の所見、母親の妊娠中の飲酒歴が必要です。テレビや写真に映る顔は、角度や照明、化粧、表情で大きく変わります。人中の深さや目の横幅を、画面越しに正確に評価することはできません。

また、目が小さく見える、上くちびるが薄い、鼻の下が平らといった特徴は、多くの人にごく普通に見られる個性の範囲でもあります。後で説明するとおり、よく似た顔つきは遺伝性の病気でも生じます。顔つきが似ているという理由だけで、その人の母親が妊娠中に飲酒したと推測することは、医学的に根拠がないだけでなく、本人や家族を深く傷つけることにつながります。

⚠️ 見た目で判断しないでください

胎児性アルコール症候群は、専門の医師が複数の所見と飲酒歴を総合して診断する状態です。インターネット上の画像やうわさで、特定の人を当てはめることはできません。ご自身やお子さんの顔つきが気になる場合も、画像を見比べるのではなく、小児科などで成長や発達を含めて相談してください。

5. 妊娠中の飲酒に「安全な量」はない

妊娠中の飲酒について、「ここまでなら安全」という量はわかっていません。安全な時期もなく、ワイン・ビール・蒸留酒など、どの種類のお酒も害になりうるとされています[11]。厚生労働省の情報サイトでも、影響が出ない飲酒量のしきい値はわかっておらず、妊娠全期間を通して何らかの影響が出る可能性があるとしています[5]。

米国疾病予防管理センター(CDC)は、妊娠中の方と、妊娠を望んでいる方は飲酒しないよう勧めています[11]。胎児性アルコール症候群には治療法がない一方、飲酒しなければ起こらないため、予防の方法がはっきりしているのが特徴です。

少量なら大丈夫?ビール1本は?

少量であれば影響がないと言い切れる根拠はありません。飲酒量が多いほど影響が大きくなる傾向はありますが、どこから下なら影響がゼロになるかという境目は示されていません[5]。「1日にビール1本までなら大丈夫」といった数字には、医学的な裏づけがないということです。

一方で、影響の出方には個人差があります。同じ量を飲んでも、飲み方(一度に大量に飲むか、少しずつか)、時期、お母さんの体質、栄養状態などによって影響は変わると考えられています。そのため、飲んでしまった量から「赤ちゃんに何%の確率で影響が出る」と個人ごとに計算することはできません。

大切なのは、過去に飲んだ量をあれこれ計算することより、これから飲まないことです。妊娠がわかった時点で飲酒をやめれば、それ以降のアルコールの影響は避けられます。

飲んだ時期によって影響が違う

アルコールの影響の現れ方は、飲んだ時期によって違います。妊娠初期は体の器官や顔の形がつくられる重要な時期で、その後も赤ちゃんの成長と脳の発達は妊娠全期間を通して続きます。米国の先天異常研究学会の解説では、脳に大きな影響を与えやすい時期は妊娠初期で、しばしば妊娠に気づく前にあたると説明されています[8]。動物実験では、ヒトの発生第3週ごろに相当する時期の曝露で、特徴的な顔の形の変化が生じることが示されています[8]。

妊娠4週未満ごろ受精後約2週まで
▶
妊娠4〜12週ごろ器官と顔の形がつくられる
▶
妊娠13週以降成長と脳の発達が進む
▶
出産後授乳中も母乳に移行

脳は妊娠の全期間を通して発達し続けます。そのため、妊娠初期を過ぎれば飲んでもよい、ということにはなりません。妊娠中期・後期の飲酒は、形の異常は起こしにくいものの、成長の遅れや脳の働きへの影響につながる可能性があります[5]。

流産・死産との関係

妊娠中の飲酒は、流産、早産、死産、乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクの上昇と関連しています[11]。24の研究、約23万人の妊婦のデータをまとめた解析では、妊娠中に飲酒した人は飲まなかった人に比べて流産のリスクが高く(オッズ比1.19)、週5杯以下の範囲でも、1週間の飲酒が1杯増えるごとに流産のリスクが6%ずつ上がるという結果でした[12]。

この解析の「1杯」は米国の基準(純アルコール約14g)で、アルコール度数5%のビール350mL缶1本分に相当します。また、この研究は飲酒と流産の関連を示したもので、流産した一人ひとりについて「飲酒が原因だった」と言えるわけではありません。妊娠初期の流産の多くは赤ちゃん側の染色体の偶然の変化によるもので、飲酒以外の要因は流産しやすいのはどんな人?で解説しています。

妊娠前・授乳中・父親の飲酒は?

妊娠を望んでいる時期から飲酒を控えることが勧められています。妊娠に気づく前にもアルコールは赤ちゃんに届きうるためです[11]。妊活中の飲酒については妊活中にお酒はNG?夫婦で気をつけるポイントで詳しく扱っています。

授乳中は、母乳中のアルコール濃度が血液中の濃度とほぼ同じように推移します。CDCは、授乳中の方にとって飲まないことがもっとも安全な選択であるとしたうえで、飲む場合は1杯につき少なくとも2時間あけてから授乳すること、搾乳して捨ててもアルコールが早く抜けるわけではないことを説明しています[13]。

父親の飲酒については、受精前の父親の飲酒が子どもに与える影響を調べる研究が動物実験などで進められていますが、人での影響は十分にわかっていません。現時点で、父親の飲酒によって胎児性アルコール症候群が起こるという確立した根拠はありません。ただ、パートナーが妊娠中に一緒に禁酒することは、お母さんが飲酒をやめやすい環境づくりとして意味があります。

6. 妊娠に気づく前に飲んでしまった場合

妊娠に気づく前に飲んでしまった方は少なくありません。飲んだ時期によって考え方は違いますが、どの時期であっても、気づいた時点で飲酒をやめることがいちばん大切です。

妊娠週数は、最後の月経が始まった日を0週0日として数えます。排卵と受精は妊娠2週ごろにあたるため、「妊娠4週」は受精からおよそ2週間後です。飲んだ日が妊娠何週にあたるかを、まず確認してみてください。

妊娠4週より前(受精後2週まで)の飲酒

受精から約2週間(妊娠3週ごろまで)は、赤ちゃんの器官がまだつくられ始める前の時期です。一般的な催奇形学では、この時期に胚が強い影響を受けると妊娠が成立・継続しない一方、妊娠が継続した場合には形態異常を残しにくいという「全か無かの法則(all-or-none)」が基本原則とされています。

ただし、この考え方は一般的な催奇形学の原則であり、すべての曝露に例外なく当てはまる保証はありません。妊娠中の飲酒には安全と確認された量や時期がないため、「この時期なら飲酒しても安全」という意味ではありません。時期ごとの考え方は催奇形因子の解説でも扱っています。

💡 用語解説:全か無かの法則(all-or-none)

受精後まもない時期の曝露では、胚が強い影響を受けると妊娠が成立・継続しない一方、妊娠が継続した場合には形態異常を残しにくい、という催奇形学の基本的な考え方です。ただし一般原則であり、すべての曝露に例外なく当てはまるわけではありません。

妊娠5週以降に気づいた場合:今やめることがいちばん大切

妊娠4週以降は、心臓や脳、顔などの器官がつくられる時期に入ります。この時期に飲酒していたことに気づいたら、その時点でやめることが、赤ちゃんへのそれ以上の影響を防ぐいちばん確実な方法です。アルコールの影響は飲んだ量が多いほど大きくなる傾向があるため、今やめることには意味があります[5]。

妊娠に気づく前の少量の飲酒で、赤ちゃんに必ず影響が出るわけではありません。胎児への影響は、飲酒量・飲み方・曝露時期などによって異なり、多量飲酒や一度に多量に飲む飲酒パターンでは重い影響のリスクが高くなることが知られています[9]。一方で、「何杯までなら影響がない」と言える境目も示されていません。そのため、飲んでしまった事実を必要以上に責めるより、これからの飲酒をやめることに気持ちを向けてください。

妊娠中絶を考えるほど心配になる方もいますが、妊娠初期の飲酒だけを理由に、赤ちゃんの状態を妊娠中に判断することはできません。不安が強いときは、ひとりで判断せず、妊婦健診を担当する産婦人科医に飲んだ時期と量を伝えて相談してください。

健診で飲酒歴を伝える/やめられないときの相談先

妊婦健診では、妊娠に気づく前の飲酒も含めて、飲んだ時期と量をありのままに伝えてください。飲酒歴は、赤ちゃんの成長の経過を見ていくうえでも、生まれた後に成長や発達で気になることが出たときにも、原因を考える大切な情報になります。

妊娠がわかってもお酒をやめられない場合は、意志の弱さの問題と考えず、医療の支援を受けることを検討してください。かかりつけの産婦人科のほか、各都道府県の精神保健福祉センターや、アルコール依存症の専門医療機関に相談できます。お酒をやめる支援は、お母さん自身の健康を守るうえでも役立ちます。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【飲んでしまった過去より、これからの数か月を】

妊娠に気づく前の飲酒をきっかけに、強い不安を抱える方は少なくありません。医学的には、飲んだ時期と量によって考え方が変わり、少量で一時的な飲酒であれば、赤ちゃんに必ず影響が出るわけではありません。一方で、安全な量が示されていない以上、「大丈夫」と断言することもできません。

確かなのは、今からやめればこの先の影響は避けられるということです。過去の数杯を悔やむより、残りの妊娠期間を飲まずに過ごすことに力を使ってほしいと考えています。

7. 喫煙・カフェインについて

妊娠中は、アルコールだけでなくタバコとカフェインにも注意が必要です。タバコはやめること、カフェインは量を控えることが基本です。ここでは要点だけをまとめ、詳しい内容は専用の記事に譲ります。

喫煙

妊娠中の喫煙は、胎児発育不全や早産、流産などとの関連が知られており、受動喫煙も含めて避けることが勧められます。日本の母子保健の指標では、妊娠中の喫煙率は2013年度の3.8%から2017年度には2.7%まで下がりましたが[6]、飲酒率より高い水準にとどまっています。

妊娠中の喫煙・受動喫煙の影響や、妊娠に気づく前に吸っていた場合の考え方は、妊娠中のタバコ・受動喫煙の影響と奇形リスクで詳しく解説しています。

カフェイン

カフェインは、アルコールと違って完全にやめる必要はありませんが、量を控えることが勧められています。多くの専門家は、妊娠中のカフェインを1日200mg以下にすることを勧めており、ドリップコーヒー1杯(約240mL)には約137mgのカフェインが含まれるとされています[14]。コーヒーなら1日1〜2杯程度が目安です。

カフェインは緑茶、紅茶、コーラ、エナジードリンク、チョコレートにも含まれます。複数の飲み物を合わせた合計量で考えることが大切です。カフェインレスのコーヒーやお茶に切り替えるのも一つの方法です。妊娠中の飲み物の選び方は妊娠中におすすめしたい飲み物・注意したい飲み物で、市販薬や処方薬の使い方は妊娠中の薬との付き合い方で扱っています。

8. 遺伝の視点|よく似た顔つきの遺伝性症候群

胎児性アルコール症候群とよく似た顔つきや発達の特徴は、遺伝性の病気でも生じます。そのため、飲酒歴だけで決めつけず、遺伝性の病気との見分け(鑑別診断)を行うことが大切です。FASDの鑑別診断をまとめた総説でも、多くの遺伝性症候群と、アルコール以外の催奇形因子による状態が挙げられています[10]。

FASと見分けが必要な主な症候群

見分けが必要な病気の中には、染色体のごく一部が欠けていることで起こる病気(微細欠失症候群)や、1つの遺伝子の変化で起こる病気があります。いずれも、小さな目、薄い上くちびる、成長の遅れ、発達の遅れなど、胎児性アルコール症候群と重なる特徴を示すことがあります。

🧬 胎児性アルコール症候群と見分けが必要な主な状態

病気 原因 重なりやすい特徴
22q11.2欠失症候群 22番染色体の一部の欠失 特徴的な顔つき、発達の遅れ、学習の問題
コルネリア・デ・ランゲ症候群 NIPBL遺伝子などの変化 成長の遅れ、小頭、特徴的な顔つき
ウィリアムズ症候群 7番染色体の一部の欠失 長い人中などの顔つき、発達の遅れ
ヌーナン症候群 RAS(ラス)経路の遺伝子の変化 低身長、まぶたの下垂、特徴的な顔つき
ダボウィッツ症候群 遺伝的な原因が考えられている 小頭、成長の遅れ、短い眼瞼裂
母体のフェニルケトン尿症による胎児への影響 母親の血中フェニルアラニンの高値 小頭、成長の遅れ、発達の遅れ

※Leibson ほか(2014年)の鑑別診断の総説[10]に挙げられた状態から主なものを抜粋。ほかにもアースコグ症候群、歌舞伎症候群、抗てんかん薬(ヒダントイン・バルプロ酸)による胎児への影響などが挙げられています。

母体のフェニルケトン尿症は、お母さん自身が持つ遺伝性の代謝の病気によって、お腹の赤ちゃんに催奇形的な影響が及ぶ例です。遺伝性の病気と催奇形因子の影響が、同じような顔つきや発達の特徴として現れることがあるという点で、胎児性アルコール症候群の鑑別を考えるうえでわかりやすい例といえます。

見分けに役立つ遺伝学的検査

よく知られた遺伝性症候群の特徴がはっきりしない場合、FASDが疑われる子どもには染色体マイクロアレイ検査が勧められています[10]。染色体マイクロアレイ検査は、顕微鏡では見えないほど小さな染色体の欠失や重複(コピー数の変化:CNV)を、全染色体にわたって調べる検査です。

米国でFASDの評価のために紹介された36人の子どもを調べた研究では、染色体マイクロアレイ検査で3人に病気の原因となるコピー数の変化が見つかりました。研究者らは、FASDの診断基準を満たす場合でも、臨床的に重要な変化が見つかることがあるため、遺伝学的検査、特に染色体マイクロアレイ検査を検討すべきだと結論づけています[15]。

染色体マイクロアレイ検査で原因が見つからない場合には、1つの遺伝子の変化を調べる検査が選ばれることもあります。すべての遺伝子のタンパク質をつくる部分をまとめて調べる全エクソーム検査や、発達の遅れに関わる遺伝子をまとめて調べる発達障害・知的障害の遺伝子検査などです。どの検査が適しているかは、顔つきや成長、発達の特徴、家族歴によって変わります。

💡 用語解説:コピー数の変化(CNV)

CNVはCopy Number Variation の略です。本来2本ずつある染色体のある区間が、1本分しかない(欠失)、または3本分ある(重複)状態を指します。変化が小さいと通常の染色体検査では見えず、染色体マイクロアレイ検査などで初めて見つかります。22q11.2欠失症候群やウィリアムズ症候群も、この種類の変化で起こります。

飲酒歴があっても遺伝性疾患が隠れていることがある

妊娠中の飲酒歴がある場合でも、子どもの特徴の原因がアルコールとは限りません。飲酒と遺伝性の病気は、どちらか一方だけとは限らず、同時に存在することもあります。前述の研究でも、FASDの評価で紹介された子どもの中に、染色体の変化を持つ子どもが含まれていました[15]。

遺伝性の病気が見つかると、合併しやすい病気(心臓や腎臓など)の確認、将来の見通し、きょうだいや次の子どもへの再発の可能性など、アルコールの影響とは違う情報が得られます。たとえば、新生突然変異(親から受け継いだのではなく新しく生じた変化)であれば次の子どもで同じ病気が起こる可能性は低く、親から受け継いだ変化であれば可能性が変わります。原因を正しく知ることは、お子さんの支援にも、家族の今後の計画にも関わります。

飲酒歴があっても、それだけで子どもの特徴の原因をアルコールと断定することはできません。飲酒歴の有無にかかわらず、臨床所見に応じて遺伝性疾患など他の原因を適切に鑑別することが大切です。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「アルコールのせい」で止めないために】

顔つきや発達の特徴を説明する原因として、妊娠中の飲酒はわかりやすい物語になりがちです。けれども臨床遺伝学の立場から見ると、同じような特徴を示す遺伝性の病気は数多くあり、飲酒歴があることと、原因がアルコールであることは別の問題です。

原因がわかれば、合併症の確認や再発の見通しなど、ご家族が次に取れる選択肢が具体的になります。飲酒歴の有無にかかわらず、遺伝学的な評価を含めて原因を見分けることが、正確な診断への近道だと考えています。

よくある質問(FAQ)

Q1. 胎児性アルコール症候群は治りますか?

胎児性アルコール症候群そのものを治す治療はありません。成長や発達の特徴に合わせた療育、学習の支援、生活環境の調整といった支援が中心になります。早い時期に気づいて支援につなげることが大切です。

Q2. 父親の飲酒は胎児性アルコール症候群の原因になりますか?

現時点で、父親の飲酒によって胎児性アルコール症候群が起こるという確立した根拠はありません。受精前の父親の飲酒が子どもに与える影響は研究が進められている段階で、人での影響は十分にわかっていません。胎児性アルコール症候群は、妊娠中にお母さんが飲んだアルコールが胎盤を通して赤ちゃんに届くことで起こります。

Q3. 授乳中はお酒を飲んでもいいですか?

授乳中は飲まないことがもっとも安全です。飲む場合は、1杯につき少なくとも2時間あけてから授乳することが目安とされています。搾乳して捨てても、母乳中のアルコールが早く抜けるわけではありません。

Q4. NIPTやエコーで胎児性アルコール症候群はわかりますか?

わかりません。NIPTは主に赤ちゃんの染色体数の変化を調べるスクリーニング検査で、検査の種類によっては一部の微細欠失なども対象にしますが、アルコールの影響は調べられません。エコーで赤ちゃんの小ささや形の異常に気づくことはありますが、それがアルコールによるものかは判断できません。胎児性アルコール症候群の診断は、生まれた後に顔の特徴、成長、発達、妊娠中の飲酒歴を合わせてつけます。

Q5. 妊娠に気づく前に一度だけ少し飲んでしまいました。赤ちゃんは大丈夫ですか?

一度だけ少量飲んだことで、赤ちゃんに必ず影響が出るわけではありません。受精後約2週間(妊娠4週未満ごろ)は、一般的な催奇形学では「全か無かの法則」が基本となる時期です。ただし「ここまでなら安全」という量は示されていないため、大丈夫と断言することもできません。気づいた時点で飲酒をやめ、妊婦健診で飲んだ時期と量を伝えてください。

Q6. 顔つきが似ていたら胎児性アルコール症候群ですか?

顔つきだけでは判断できません。診断には、顔の特徴を人種ごとの基準で測ったうえで、成長の遅れ、脳の問題、妊娠中の飲酒歴を合わせて確認する必要があります。よく似た顔つきは遺伝性の病気でも生じ、日本人にごく普通に見られる特徴とも重なります。写真や見た目のうわさで判断することはできません。

Q7. ミネルバクリニックで胎児性アルコール症候群の検査や治療はできますか?

いいえ、当院では胎児性アルコール症候群の診断・治療は行っておらず、この件についてのご予約・お問い合わせもお受けしていません。お子さんの成長や発達が気になる場合は小児科(発達・先天異常を診る小児科や小児神経科)へ、妊娠中の飲酒についてはかかりつけの産婦人科へご相談ください。

まとめ

胎児性アルコール症候群は、妊娠中の飲酒によって、特徴的な顔つき・成長の遅れ・脳の発達の問題がそろって現れる状態で、より広い影響の全体は胎児性アルコール・スペクトラム障害(FASD)と呼ばれます[2]。顔の特徴は短い眼瞼裂・平坦な人中・薄い上口唇の3つですが、人種ごとの基準で測る必要があり、顔つきだけで診断することはできません[7]。芸能人などのうわさを外見から当てはめることもできません。

妊娠中の飲酒に安全な量や安全な時期はわかっていません[11]。妊娠に気づく前に飲んでしまった場合も、今からやめることで、それ以降の影響は避けられます。また、よく似た顔つきや発達の特徴は遺伝性の病気でも生じるため、飲酒歴だけで原因を決めつけず、必要に応じて遺伝学的検査を含めて見分けることが大切です[10][15]。

🏥 胎児性アルコール症候群の検査・治療をお考えの方へ

当院では、胎児性アルコール症候群の検査・診断・治療を行っておりません。
この件についてのご予約・お問い合わせはお受けしておりません。
お子さんの成長や発達が気になる場合は小児科(発達・先天異常を診る小児科や小児神経科)へ、妊娠中の飲酒については妊婦健診を担当する産婦人科へご相談ください。

この記事は病気を正しく知っていただくための解説であり、当院で胎児性アルコール症候群の診療をご案内するものではありません。

参考文献

  • [1] Popova S, Charness ME, Burd L, et al. Fetal alcohol spectrum disorders. Nat Rev Dis Primers. 2023;9(1):11. doi:10.1038/s41572-023-00420-x. PMID:36823161. [Nature Reviews Disease Primers]
  • [2] Hoyme HE, Kalberg WO, Elliott AJ, et al. Updated Clinical Guidelines for Diagnosing Fetal Alcohol Spectrum Disorders. Pediatrics. 2016;138(2):e20154256. doi:10.1542/peds.2015-4256. PMID:27464676. [PubMed 27464676]
  • [3] Lange S, Probst C, Gmel G, Rehm J, Burd L, Popova S. Global Prevalence of Fetal Alcohol Spectrum Disorder Among Children and Youth: A Systematic Review and Meta-analysis. JAMA Pediatr. 2017;171(10):948-956. doi:10.1001/jamapediatrics.2017.1919. PMID:28828483. [DOI 10.1001/jamapediatrics.2017.1919]
  • [4] May PA, Chambers CD, Kalberg WO, et al. Prevalence of Fetal Alcohol Spectrum Disorders in 4 US Communities. JAMA. 2018;319(5):474-482. doi:10.1001/jama.2017.21896. PMID:29411031. [PubMed 29411031]
  • [5] 胎児性アルコール・スペクトラム障害. e-ヘルスネット(厚生労働省). [e-ヘルスネット]
  • [6] 「健やか親子21(第2次)」指標及び目標の一覧. こども家庭庁. [健やか親子21]
  • [7] Charness ME. Fetal Alcohol Spectrum Disorders: Awareness to Insight in Just 50 Years. Alcohol Res. 2022;42(1):05. doi:10.35946/arcr.v42.1.05. PMID:35280841. [DOI 10.35946/arcr.v42.1.05]
  • [8] What Are the Effects of Alcohol Use During Pregnancy? Society for Birth Defects Research and Prevention. [Birth Defects Research]
  • [9] Fetal Alcohol Syndrome. MSD Manual Professional Version. [MSD Manual]
  • [10] Leibson T, Neuman G, Chudley AE, Koren G. The Differential Diagnosis of Fetal Alcohol Spectrum Disorder. J Popul Ther Clin Pharmacol. 2014;21(1):e1-e30. PMID:24639410. [JPTCP]
  • [11] About Alcohol Use During Pregnancy. Centers for Disease Control and Prevention (CDC). [CDC]
  • [12] Sundermann AC, Zhao S, Young CL, et al. Alcohol Use in Pregnancy and Miscarriage: A Systematic Review and Meta-Analysis. Alcohol Clin Exp Res. 2019;43(8):1606-1616. doi:10.1111/acer.14124. PMID:31194258. [PubMed 31194258]
  • [13] Alcohol. Breastfeeding Special Circumstances. Centers for Disease Control and Prevention (CDC). [CDC]
  • [14] Caffeine. MotherToBaby Fact Sheets. NCBI Bookshelf. [NCBI Bookshelf NBK582613]
  • [15] Jamuar SS, Picker JD, Stoler JM. Utility of Genetic Testing in Fetal Alcohol Spectrum Disorder. J Pediatr. 2018;196:270-274.e1. doi:10.1016/j.jpeds.2017.12.046. PMID:29398060. [PubMed 29398060]

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プロフィール
仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、
臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。
のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、
検査結果の数値そのものだけでなく、
「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、
一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、
日本人として異文化の中で生活した経験があります。
価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。
この経験は現在の診療においても、
「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、
36週6日で一人を死産した経験があります。
その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、
そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。
現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、
出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、
家族の未来に関わる重要な意思決定です。
年齢や統計だけで判断するのではなく、
医学的根拠と心理的支援の両面から、
ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/
日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。

2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、
複数の海外メディア・専門誌で特集掲載
されました。

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