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赤ちゃんを希望の月に生まれるようにするには、その月の約9か月前、正確には出産予定日の266日前ごろに排卵・妊娠する必要があります。たとえば4月生まれを希望するなら、前年の7月上旬〜8月上旬の排卵が目安です。この記事では、希望の誕生月から最終月経日・排卵日・出生前検査を受けられる時期までを逆算した12か月分の早見表と、自分で計算する方法を紹介します。ただし、予定日どおりに生まれる人は多くなく、妊娠する周期も選べないため、早見表は「目安」として使ってください。
Q. ○月生まれにするには、いつ妊娠すればいいですか?
A. 希望の月の約9か月前に排卵・妊娠する必要があります。出産予定日は排卵日のおよそ266日後になるためです。4月生まれなら前年7月上旬〜8月上旬、5月生まれなら前年8月上旬〜9月上旬、6月生まれなら前年9月上旬〜10月上旬の排卵が目安です(月経周期28日の場合)。ただし実際の出産は、正期産だけでも予定日の約3週間前から約2週間後までの幅があるため、予定日を月の中旬〜下旬に置くと、その月に収まりやすくなります。
- ➤逆算の基本 → 予定日−280日=最終月経開始日、予定日−266日=排卵日の目安
- ➤早見表 → 1月〜12月生まれの最終月経日・排卵日・NIPTを受けられる時期
- ➤4月生まれの注意 → 4月1日生まれは「早生まれ」になる
- ➤限界 → 1周期で妊娠する確率や予定日のずれで、狙った月になるとは限らない
1. ○月生まれにするには「約9か月前」の排卵がカギ
希望の月に赤ちゃんを産むための逆算は、「出産予定日の266日前が排卵日の目安」という1つの関係で考えることができます。266日はおよそ8か月と3週間なので、言い換えると「希望の月の約9か月前に妊娠する」ということになります。
具体的には、4月生まれを希望するなら前年7月上旬〜8月上旬、5月生まれなら前年8月上旬〜9月上旬、12月生まれなら同じ年の3月上旬〜4月上旬が排卵の目安です。「○月に妊娠したら何月生まれになるか」を知りたい場合も、同じ関係を反対向きに使い、排卵日に266日を足せば予定日の見当がつきます。7月中に排卵・妊娠した場合、予定日は翌年3月下旬〜4月下旬になります。
ここでいう「予定日」は、医療機関で使われる分娩予定日と同じ考え方で計算した日付です。予定日は最終月経の開始日から280日目(妊娠40週0日)とする決まりがあり、米国産科婦人科学会(ACOG)も、最終月経から計算した予定日を妊娠初期の超音波検査で確認・修正する方法を標準としています[1]。
排卵日は予定日の266日前になる理由
266日という数字は、「280日−14日」から来ています。妊娠週数は、受精した日ではなく最終月経の開始日を0週0日として数えます。月経周期が28日の人では、月経開始から約14日後に排卵が起こるため、排卵・受精の日は妊娠2週0日にあたります。予定日(40週0日)までの残りは38週、つまり266日です。
なぜ受精日ではなく最終月経から数えるのかというと、受精した日を本人が正確に知ることはほとんどできない一方で、月経が始まった日は記録しやすいからです。そのため、まだ妊娠していない時期の2週間も「妊娠期間」に含めて数える約束になっています。実際の妊娠期間を調べた研究でも、排卵から出産までの日数の中央値は268日(38週2日)で、266日に近い値でした[2]。
この関係から、逆算には2通りの式が使えます。最終月経の開始日を知りたいときは「予定日−280日」、排卵日の目安を知りたいときは「予定日−266日」です。後者は月経周期が28日で、14日目に排卵する人を前提にしています。周期が長い・短い人の補正は、第2章で説明します。
💡 用語解説:最終月経開始日(さいしゅうげっけいかいしび)
妊娠する直前の、最後の月経(生理)が始まった日のことです。妊娠週数はこの日を「妊娠0週0日」として数え、280日目(40週0日)を出産予定日とします。月経が終わった日ではなく、始まった日である点に注意してください。妊娠がわかった時点で産婦人科から必ず聞かれる日付なので、ふだんから手帳やアプリに記録しておくと役立ちます。
2. 希望の誕生月から逆算する早見表【12か月】
下の表は、出産予定日をその月の1日〜末日に置いた場合の、最終月経開始日・排卵日の目安・NIPT(新型出生前診断)を受けられる時期を逆算したものです。月経周期28日・14日目排卵を前提に、1日ずつカレンダーで280日・266日を数えて作っています。「前年」と付いた日付は生まれる年の前の年、何も付いていない日付は生まれる年と同じ年です。
📅 希望の誕生月から逆算する早見表(月経周期28日の場合)
| 生まれ月(予定日) | 最終月経開始日 | 排卵日の目安 | 妊娠6週になる時期 | 妊娠10週になる時期 |
|---|---|---|---|---|
| 1月 | 前年3/27〜4/26 | 前年4/10〜5/10 | 前年5/8〜6/7 | 前年6/5〜7/5 |
| 2月 | 前年4/27〜5/24 | 前年5/11〜6/7 | 前年6/8〜7/5 | 前年7/6〜8/2 |
| 3月 | 前年5/25〜6/24 | 前年6/8〜7/8 | 前年7/6〜8/5 | 前年8/3〜9/2 |
| 4月 | 前年6/25〜7/24 | 前年7/9〜8/7 | 前年8/6〜9/4 | 前年9/3〜10/2 |
| 5月 | 前年7/25〜8/24 | 前年8/8〜9/7 | 前年9/5〜10/5 | 前年10/3〜11/2 |
| 6月 | 前年8/25〜9/23 | 前年9/8〜10/7 | 前年10/6〜11/4 | 前年11/3〜12/2 |
| 7月 | 前年9/24〜10/24 | 前年10/8〜11/7 | 前年11/5〜12/5 | 前年12/3〜1/2 |
| 8月 | 前年10/25〜11/24 | 前年11/8〜12/8 | 前年12/6〜1/5 | 1/3〜2/2 |
| 9月 | 前年11/25〜12/24 | 前年12/9〜1/7 | 1/6〜2/4 | 2/3〜3/4 |
| 10月 | 前年12/25〜1/24 | 1/8〜2/7 | 2/5〜3/7 | 3/5〜4/4 |
| 11月 | 1/25〜2/23 | 2/8〜3/9 | 3/8〜4/6 | 4/5〜5/4 |
| 12月 | 2/24〜3/26 | 3/10〜4/9 | 4/7〜5/7 | 5/5〜6/4 |
※2月29日をはさまない年(例:2027年生まれ)で計算しています。「前年12/3〜1/2」のように年をまたぐ欄は、前年12月3日から生まれる年の1月2日までを表します。排卵日は個人差が大きく、表の日付は目安です。
表の読み方の例を挙げます。4月生まれを希望する場合、最終月経の開始日が前年6月25日〜7月24日、排卵日が前年7月9日〜8月7日ごろになる周期に妊娠すると、予定日が4月に入ります。反対に「8月に妊娠したら何月生まれ?」という場合は、排卵日の列から8月を探します。8月上旬(8/7まで)なら4月、8月8日以降なら5月が予定日の月です。
2月29日をはさむ年は1日ずれる
妊娠期間の280日の間に2月29日が入ると、カレンダー上の日付が1日ずれます。たとえば2028年はうるう年なので、2028年2月29日以降を予定日にする場合は、表の最終月経開始日・排卵日・6週・10週の日付をそれぞれ1日後ろにずらしてください。予定日3月1日を例にすると、うるう年をはさまない年では最終月経開始日が5月25日ですが、2028年3月1日を予定日にする場合は2027年5月26日になります。1日の違いですが、月の境目に予定日を置きたいときは影響します。
月経周期が28日でない人の補正
表は「28日周期・14日目排卵」を前提にしているため、周期が長い人・短い人は、その差の日数だけ排卵日がずれます。排卵から次の月経までの期間(黄体期)は人による差が比較的小さく、周期の長短は主に排卵までの日数の違いで生じると考えられているためです。たとえば周期が32日の人は、排卵が月経開始から約18日目になるので、表の最終月経開始日より4日早く月経が始まる周期が該当します。
一方で、排卵日自体がもともと予測しにくいものであることも知っておいてください。月経周期が規則的な女性を対象にした前向き研究では、妊娠しやすい期間(排卵日とその前の数日)が、周期の10〜17日目にすべて収まっていたのは約30%にとどまりました[3]。周期が規則的でも、月ごとに排卵日は前後します。
体外受精(胚盤胞移植)の場合
体外受精では受精した日がはっきりしているため、最終月経ではなく胚の日齢から予定日を計算します。新鮮胚では採卵・受精日に266日を足し、凍結胚では移植日に、3日目の胚(初期胚)なら263日、5日目の胚(胚盤胞)なら261日を足すのが一般的です[4]。希望の月から逆算する場合は、予定日から261日(胚盤胞の場合)を引いた日が移植日の目安になります。ただし移植の日程は治療計画や体の状態で決まるため、実際の調整は治療を受けている医療機関とご相談ください(当院では体外受精を行っていません)。
3. 月別:○月生まれにするには
ここからは、生まれ月ごとに排卵の目安と、その月ならではの注意点をまとめます。どの月でも、正期産は予定日の約3週間前から約2週間後まで幅があるため、予定日を月の初めや終わりに置くと前後の月に生まれることがあります。月の中旬に予定日を置くと、その月に収まる可能性が高くなります。
1月生まれにするには
排卵の目安は前年4月10日〜5月10日ごろです。4月に妊娠すると、予定日は12月下旬〜翌1月下旬になります。予定日を1月上旬に置くと年末に生まれる可能性があり、年末年始は医療機関の外来体制が変わることもあるため、里帰り出産を考えている場合は予定日を中旬以降に置くと調整しやすくなります。1月〜3月生まれは学年のなかで「早生まれ」になります。
2月生まれにするには
排卵の目安は前年5月11日〜6月7日ごろです。2月は日数が少ないため、ほかの月より「2月に予定日が入る周期」の幅が短く、28日分しかありません(うるう年は29日分)。5月に妊娠すると予定日は1月下旬〜2月下旬、6月上旬までの妊娠なら2月下旬〜3月上旬です。2月生まれも早生まれにあたります。
3月生まれにするには
排卵の目安は前年6月8日〜7月8日ごろです。6月に妊娠すると予定日は2月下旬〜3月下旬になります。3月の予定日は、予定日より遅れて生まれた場合に4月にずれ込むことがあり、4月1日までに生まれるか4月2日以降に生まれるかで学年が変わります。学年を意識する場合は、予定日がどちらに転んでも困らないかを考えておくと安心です。
4月生まれにするには
排卵の目安は前年7月9日〜8月7日ごろで、7月上旬〜8月上旬の妊娠が該当します。4月生まれを希望する方が特に気をつけたいのは、4月1日生まれは「早生まれ」で、前の学年に入るという点です。正期産の幅を考えると、予定日を4月上旬に置いた場合は3月中や4月1日に生まれる可能性が十分にあります。学年の区切りを意識するなら、予定日を4月中旬〜下旬に置くのが現実的です。予定日4月15日なら排卵日の目安は前年7月23日、予定日4月30日なら前年8月7日になります。
5月生まれにするには
排卵の目安は前年8月8日〜9月7日ごろです。8月に妊娠すると予定日は4月下旬〜5月下旬、9月上旬の妊娠なら5月下旬〜6月上旬です。予定日を5月上旬に置くと4月中に生まれることがあり、4月生まれ・5月生まれのどちらでもよい「4月5月生まれ」を希望する方は、予定日を4月下旬〜5月上旬に置くと両方の月に収まりやすくなります。
6月生まれにするには
排卵の目安は前年9月8日〜10月7日ごろです。9月に妊娠すると予定日は5月下旬〜6月下旬になります。6月生まれの場合、妊娠初期の時期が前年の秋〜冬にあたり、つわりの時期が年末と重なりやすくなります。妊娠初期は体調の波が大きい時期なので、年末年始の予定を立てるときに考慮しておくとよいでしょう。
7月生まれにするには
排卵の目安は前年10月8日〜11月7日ごろです。10月に妊娠すると予定日は6月下旬〜7月下旬です。7月〜8月生まれの場合、妊娠後期(28週以降)が春から夏にあたり、出産直前の時期が暑い季節と重なります。体重が増え体温も上がりやすい時期なので、こまめな水分補給など、暑さへの対策を意識した生活が必要になります。
8月生まれにするには
排卵の目安は前年11月8日〜12月8日ごろです。11月に妊娠すると予定日は7月下旬〜8月下旬になります。8月は年末年始・お盆と同じく、医療機関や職場の休みが重なる時期なので、里帰り出産や家族のサポート体制を早めに話し合っておくと動きやすくなります。妊娠初期が年末年始と重なる点も、6月生まれと同様です。
9月生まれにするには
排卵の目安は前年12月9日〜同年1月7日ごろで、年をまたぐ点に注意してください。12月に妊娠すると予定日は8月下旬〜9月下旬です。9月に予定日を置いた場合も、正期産の幅から8月や10月に生まれることがあります。4月に保育園の0歳児クラスへ入園を考える場合、9月生まれは4月時点で生後6〜7か月になります。
10月生まれにするには
排卵の目安は1月8日〜2月7日ごろで、生まれる年と同じ年の1月〜2月上旬の妊娠が該当します。1月に妊娠すると予定日は9月下旬〜10月下旬です。10月生まれの場合、妊娠後期が夏にかかり、臨月(36週以降)は秋の過ごしやすい時期になります。
11月生まれにするには
排卵の目安は2月8日〜3月9日ごろです。2月に妊娠すると予定日は10月下旬〜11月下旬です。11月生まれは、翌年4月の時点で生後4〜5か月です。保育園の0歳児クラスの申込みでは、申込み時点や入園時点の月齢に条件を設けている自治体・園があるため、育休明けの時期を考えている方は、住んでいる自治体の条件を早めに確認してください。
12月生まれにするには
排卵の目安は3月10日〜4月9日ごろで、生まれる年と同じ年の春の妊娠が該当します。3月に妊娠すると予定日は11月下旬〜12月下旬です。12月の予定日も、遅れて生まれると翌年1月にずれ込み、早生まれになります。年末年始は医療機関の体制が変わることもあるため、分娩予定の産院に休日の対応を確認しておくと安心です。
🩺 院長コラム【「予定日」は中央値を狙う考え方で】
希望の月がある場合は、「予定日をその月のど真ん中に置く」という考え方が合理的だと考えています。予定日は出産日の当てものではなく、出産が起こりやすい期間の中心にある日だからです。月の初日や末日を予定日にすると、前後どちらにずれても隣の月になってしまいます。
特に4月生まれは、4月1日という学年の境目がすぐ手前にあるため、予定日を4月上旬に置くのはおすすめしにくい選択です。中旬〜下旬に置くことで、早まっても4月2日以降に収まる余地が生まれます。
4. 自分で逆算する方法
希望の予定日から最終月経日を逆算するには、カレンダーで280日をさかのぼるのが確実です。手計算で見当をつけたい場合は、予定日を出す「ネーゲレの概算法」を反対向きに使う方法があります。
ネーゲレの概算法は、最終月経の開始日に「9か月を足して(または3か月を引いて)、7日を足す」と予定日になる、という計算です[4]。これを逆に使うと、予定日から最終月経日を出す式は次のようになります。
🧮 予定日から逆算する式(ネーゲレ法の逆)
| 知りたい日 | 計算のしかた | 例:予定日4月15日 |
|---|---|---|
| 最終月経の月 | 予定日の月+3(12を超えたら−12) | 4+3=7月 |
| 最終月経の日 | 予定日の日−7(引けなければ前月から繰り下げ) | 15−7=8日 |
| 排卵日の目安 | 最終月経の開始日+14日 | 7月8日+14日=7月22日 |
※ネーゲレ法は月の日数の違い(28〜31日)を考えない概算なので、カレンダーで数えた日付と1日ほどずれることがあります。この例でも、カレンダーで280日をさかのぼると最終月経開始日は7月9日、排卵日の目安は7月23日になります。
誕生日から「いつ妊娠したか」を逆算したい場合も、同じ式が使えます。ただし実際の出産日は予定日からずれていることが多いため、誕生日から逆算した日付は「この前後数週間のどこか」という幅のある目安にしかなりません。妊娠期間の研究では、早産を除いても妊娠期間に37日の幅がありました[2]。
💡 用語解説:ネーゲレの概算法
19世紀のドイツの産科医ネーゲレの名前がついた、出産予定日の簡単な計算方法です。最終月経の開始日から3か月を引き(または9か月を足し)、7日を足して予定日とします。月経周期が28日で14日目に排卵することを前提にしているため、周期が長い・短い人ではずれが生じます[4]。現在は、妊娠初期の超音波検査(胎児の頭からお尻までの長さ=CRL)で予定日を確認・修正するのが標準です。
5. 狙った月に産めるとは限らない理由
早見表どおりの時期に妊娠を目指しても、希望の月に生まれるとは限りません。理由は大きく3つあります。妊娠する周期を選べないこと、予定日どおりに生まれる人が少ないこと、そして早産や予定日超過が一定の割合で起こることです。
1周期で妊娠する確率と年齢
妊娠しやすい期間は、排卵日とその前の5日間を合わせた約6日間とされています。妊娠を希望する女性を対象にした研究では、妊娠につながった性交はすべてこの6日間に行われていました[5]。言い換えると、この期間を外すと妊娠は成立しにくく、期間内であっても1回の周期で必ず妊娠するわけではありません。
妊娠のしやすさは年齢によっても変わります。782組のカップル・5,860周期を分析した研究では、20代後半から妊娠の確率が下がり始め、19〜26歳の女性は35〜39歳の女性に比べて、妊娠しやすい日の妊娠確率が約2倍でした[6]。年齢が高くなるほど、「この周期で妊娠しなければ翌月」という調整がききにくくなります。希望の月にこだわりすぎて妊娠を目指す時期を何か月も先送りすることは、年齢によっては妊娠そのものの機会を減らすことにもなります。
予定日ちょうどに生まれる人は少ない
出産予定日は「この日に生まれる日」ではなく、出産が起こりやすい期間の中心にある日です。赤ちゃんが十分に成熟して生まれる時期を「正期産」といい、妊娠37週0日から41週6日までの約5週間がこれにあたります[7]。予定日はこの期間のほぼ中央に位置するため、予定日の3週間前に生まれても、2週間近く後に生まれても、医学的には同じ正期産です。
排卵日を尿中ホルモンで正確に特定した自然妊娠を追跡した研究でも、排卵から出産までの日数にはばらつきがあり、早産の6例を除いても妊娠期間の幅は37日でした[2]。この研究では、着床までに時間がかかった妊娠ほど出産までの期間も長い傾向が見られています。排卵日がぴったりわかっていても、出産日は5週間ほどの幅で揺れ動くということです。
💡 用語解説:正期産(せいきさん)
妊娠37週0日から41週6日までの出産のことです。それより前(22週0日〜36週6日)の出産を早産、42週0日以降の出産を過期産と呼びます。予定日(40週0日)は正期産の期間のほぼ中央にあり、予定日より前に生まれても後に生まれても、この期間内であれば時期の点で問題があるわけではありません。
早産・予定日超過の可能性
正期産の幅に加えて、一部の妊娠では妊娠37週より前に生まれる早産が起こります。早産の原因はさまざまで、予定を立てていても避けられないことがあります。反対に、予定日を過ぎてもお産が始まらないこともあり、その後の対応は妊娠の経過を見ながら産婦人科で判断されます。どちらの場合も、生まれ月は計画とは別の月になります。
こうした理由から、早見表は「この時期に妊娠すれば、希望の月に生まれる可能性が高くなる」という目安として使い、生まれ月が多少ずれることは最初から想定しておくのが現実的です。妊娠中の経過や出産の時期に関わる症状については、かかりつけの産婦人科にご相談ください。
6. 何月生まれが多い?4月生まれが人気の理由
日本では、生まれ月による出生数の差はそれほど大きくありません。厚生労働省の人口動態統計特殊報告によると、1989〜2000年の出生を月別に見ると7〜9月が高く、3月が低い傾向がありました。一方で、1970年以降しばらくは出生月による差がほとんどない状態だった時期もあり、季節による偏りは時代によって変わっています[8]。
「4月生まれにしたい」と考える方が多い背景には、季節の好みよりも、学年の区切りや保育園の入園時期といった社会の仕組みがあります。ここでは、その2つを事実に沿って整理します。
早生まれと学年の区切り(4月2日〜翌4月1日)
日本の学年は、4月2日生まれから翌年4月1日生まれまでが同じ学年になります。4月1日生まれが前の学年に入るのは、3つの法律の組み合わせによるものです。文部科学省は次のように説明しています[9]。
まず、学校教育法第17条第1項は、子どもが満6歳に達した日の翌日以後の最初の学年の初めから小学校に就学させると定めています。次に、学校教育法施行規則第59条で、小学校の学年は4月1日に始まり翌年3月31日に終わるとされています。そして、年齢計算ニ関スル法律と民法第143条により、人は誕生日の前日が終わる時(午後12時)に年を1つとります。4月1日生まれの子は3月31日の午後12時に満6歳に達するため、「その翌日」である4月1日に始まる学年から就学することになり、4月2日以降に生まれた子より1学年上になります[9]。
このため、1月1日から4月1日までに生まれた子を「早生まれ」と呼びます。4月生まれを希望していても、予定日より早く生まれて4月1日以前になれば早生まれになる点は、計画の段階で知っておいてください。
💡 用語解説:早生まれ(はやうまれ)
1月1日から4月1日までに生まれた人のことです。同じ年の4月2日以降に生まれた人より1学年上に入るため、学年のなかでは年齢が若い側になります。4月1日生まれが早生まれに含まれるのは、法律上、誕生日の前日の終わりに年をとるとされているためです。
保育園の入園と生まれ月
保育園は4月入園の募集が中心になる地域もあるため、育休明けの時期と生まれ月をあわせて考える方もいます。0歳児クラスに入れる月齢の条件(生後何か月から受け入れるか)や、申込み時点で生まれている必要があるかどうかは、自治体や園によって異なります。4月の一斉入園に間に合う生まれ月の目安も地域によって変わるため、住んでいる自治体の募集要項で確認するのが確実です。
なお、4月生まれは翌年4月の時点で満1歳になるため、0歳児クラスではなく1歳児クラスでの入園を考えることになります。どの月が有利・不利かは地域の保育事情によって変わるので、一般論だけで決めずに、具体的な地域の情報をもとに検討してください。
7. 排卵日を予測する方法
早見表を活用するには、自分の排卵日をある程度予測できることが前提になります。家庭でできる主な方法は、基礎体温、排卵検査薬、おりものの変化、月経周期からの計算の4つです。それぞれに強みと限界があり、組み合わせて使うと精度が上がります。
基礎体温は、排卵後に分泌されるプロゲステロン(黄体ホルモン)の作用で体温が上がることを利用した方法です[10]。体温が上がるのは排卵の後なので、基礎体温は「排卵が起きたこと」を後から確認するのに向いており、その周期の排卵日を事前に知るのには向いていません。数か月記録すると、自分の排卵の時期の傾向がわかります。
排卵検査薬は、尿中のLH(黄体形成ホルモン)の急上昇をとらえて、排卵が近いことを事前に知らせます。複数の研究をまとめたメタ解析では、LHサージの始まりから排卵までの平均は約34時間で、人によって22〜56時間の幅がありました[11]。陽性が出たら、その日と翌日あたりが排卵の時期と考えられます。
💡 用語解説:LHサージ
排卵の直前に、脳の下垂体から分泌されるLH(黄体形成ホルモン)が短時間で急激に増えることです。このLHの急増が刺激になって卵巣から卵子が飛び出します(排卵)。排卵検査薬は尿中のLHの増加を検出してこのタイミングを知らせるもので、LHサージの始まりから排卵までは平均で1日半ほどです[11]。
おりもの(頸管粘液)は、排卵が近づくと量が増え、透明でよく伸びる性状に変わります。精子が子宮へ進みやすくするための変化です。月経周期から計算する方法は、次の月経予定日から14日さかのぼった日を排卵日の目安とするもので、周期が規則的な人ほど当たりやすくなります。ただし第2章で触れたとおり、規則的な周期でも排卵日は月ごとに前後します[3]。
性交のタイミングとしては、排卵日当日よりも、その1〜2日前を含む妊娠しやすい期間に複数回あることが大切です。精子は女性の体内で数日間受精能力を保つ一方、卵子が受精できるのは排卵後の短い時間に限られるためです。
8. 遺伝の視点:生まれ月の計画と出生前検査の時期
生まれ月を計画するとき、あわせて知っておきたいのが、出生前検査を受けられる時期です。NIPT(新型出生前診断)は、妊婦さんの血液に含まれる赤ちゃん由来のDNAを調べる検査で、一般には妊娠10週前後から受けられます。当院では臨床研究として妊娠6週から受けることができます。早見表の「妊娠6週・10週になる時期」の列は、この目安を示したものです。
たとえば4月生まれを予定する場合、妊娠6週は前年8月上旬〜9月上旬、妊娠10週は前年9月上旬〜10月上旬にあたります。この時期は妊娠がわかって最初の受診や母子手帳の交付が重なる時期でもあるため、出生前検査を検討している方は、予定を立てる段階で時期を把握しておくと慌てずにすみます。
ただし、検査の時期を決める「妊娠週数」は、最終月経から計算した週数のまま確定するとは限りません。妊娠初期の超音波検査で測るCRL(頭殿長)が、最終月経から計算した週数と大きくずれる場合は、超音波の値に合わせて週数と予定日が修正されます[1]。排卵が遅れた周期では、実際の週数が月経から数えた週数より短いことがあり、そのまま検査を受けると赤ちゃん由来のDNAの量が足りない時期にあたる可能性があります。検査の日程は、超音波で週数を確認してから決めるのが確実です。
🩺 院長コラム【計画は「生まれ月」より「妊娠の機会」を軸に】
生まれ月を考えて妊娠の時期を計画すること自体は、仕事や家族の予定と両立させるための合理的な工夫だと考えています。ただ、臨床遺伝専門医としては、年齢とともに妊娠のしやすさが変わり、染色体の数の変化が起こる頻度も上がっていくという事実を、あわせて考えてほしいと思います。
希望の月のために妊娠を目指す時期を何か月も先に延ばすより、妊娠の機会を逃さないことを優先したほうがよい場面もあります。生まれ月は「かなえば嬉しい目標」くらいに置いておくのが、医学的にはバランスのよい考え方だと考えています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 4月生まれにするには何月に妊娠すればいいですか?
月経周期が28日の場合、前年の7月9日〜8月7日ごろに排卵・妊娠すると、予定日が4月になります。4月1日生まれは早生まれになるため、学年を意識する場合は予定日を4月中旬〜下旬に置くよう、7月下旬〜8月上旬の排卵を目安にすると4月中に収まりやすくなります。
Q2. 6月生まれにするには何月に妊娠すればいいですか?
前年の9月8日〜10月7日ごろの排卵・妊娠が目安です。9月に妊娠すると予定日は5月下旬〜6月下旬になります。予定日を6月中旬に置くと、前後にずれても6月に収まりやすくなります。
Q3. 今妊娠したら何月生まれになりますか?
排卵・妊娠した日に266日を足すと、予定日の目安になります。たとえば10月に妊娠すると翌年6月下旬〜7月下旬、11月なら翌年7月下旬〜8月下旬、12月なら翌年8月下旬〜9月下旬が予定日です。実際の出産日は、正期産だけでも予定日の約3週間前から約2週間後までの幅があります。
Q4. 4月1日生まれは早生まれですか?
はい、早生まれです。法律上、人は誕生日の前日が終わる時に年をとるため、4月1日生まれの子は3月31日に満6歳に達し、4月2日以降に生まれた子より1学年上に入ります。
Q5. 体外受精の場合、予定日はどう計算しますか?
受精した日がわかっているため、胚の日齢から計算します。凍結胚の移植では、5日目の胚(胚盤胞)は移植日に261日、3日目の胚は263日を足すのが一般的です。希望の月から逆算する場合は、予定日から261日(胚盤胞の場合)を引いた日が移植日の目安になります。
Q6. 生理不順でも逆算できますか?
早見表は月経周期28日・14日目排卵を前提にしているため、周期が不規則な場合は表どおりにはなりません。排卵検査薬や基礎体温で排卵日を確かめ、排卵日に266日を足して予定日の見当をつける方法が向いています。妊娠後の予定日は、妊娠初期の超音波検査で確認・修正されます。
Q7. 何月生まれが多いですか?
日本では生まれ月による出生数の差はそれほど大きくありません。厚生労働省の人口動態統計特殊報告では、1989〜2000年の出生を月別に見ると7〜9月が高く、3月が低い傾向でした。季節による偏りは時代によって変わっています。
まとめ
希望の月に赤ちゃんを産むには、その月の約9か月前、出産予定日の266日前ごろに排卵・妊娠する必要があります。266日は、最終月経から予定日までの280日から、月経開始から排卵までの約14日を引いた日数です[1]。月経周期が28日でない場合は、その差だけ排卵日がずれます。
一方で、妊娠しやすい期間は1周期に約6日しかなく[5]、予定日がわかっても出産日は正期産の約5週間の幅で前後します[2][7]。予定日は月の中旬に置き、生まれ月が多少ずれることは想定しておくと、計画が立てやすくなります。4月生まれを希望する場合は、4月1日生まれが早生まれになる点にも注意してください[9]。
出生前検査を検討している方は、早見表で妊娠6週・10週になる時期もあわせて確認しておくと、妊娠がわかってから慌てずに準備ができます。
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ミネルバクリニックは、臨床遺伝専門医が常駐するNIPT実施施設です。当院では臨床研究として妊娠6週からNIPTを受けることができ、検査前後の遺伝カウンセリングも臨床遺伝専門医が行います。検査の時期や内容について、まずは詳しい情報をご確認ください。
参考文献
- [1] Committee Opinion No 700: Methods for Estimating the Due Date. Obstet Gynecol. 2017;129(5):e150-e154. American College of Obstetricians and Gynecologists. [PubMed 28426621]
- [2] Length of human pregnancy and contributors to its natural variation. Hum Reprod. 2013;28(10):2848-2855. [PubMed 23922246]
- [3] The timing of the “fertile window” in the menstrual cycle: day specific estimates from a prospective study. BMJ. 2000;321(7271):1259-1262. [BMJ]
- [4] Estimated Date of Delivery. StatPearls. StatPearls Publishing. [NCBI Bookshelf NBK536986]
- [5] Timing of sexual intercourse in relation to ovulation. Effects on the probability of conception, survival of the pregnancy, and sex of the baby. N Engl J Med. 1995;333(23):1517-1521. [PubMed 7477165]
- [6] Changes with age in the level and duration of fertility in the menstrual cycle. Hum Reprod. 2002;17(5):1399-1403. [PubMed 11980771]
- [7] Committee Opinion No 579: Definition of Term Pregnancy. American College of Obstetricians and Gynecologists. [ACOG]
- [8] 厚生労働省. 人口動態統計特殊報告「月別にみた出生」. [厚生労働省]
- [9] 文部科学省. 4月1日生まれの児童生徒の学年について. [文部科学省]
- [10] Detection of ovulation, a review of currently available methods. Bioeng Transl Med. 2017;2(3):238-246. [PMC5689497]
- [11] The LH surge and ovulation re-visited: a systematic review and meta-analysis and implications for true natural cycle frozen thawed embryo transfer. Hum Reprod Update. 2022;28(5):717-732. [PubMed 35258085]





