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里帰り出産とは?メリット・デメリットを徹底解説

妊娠・出産は、女性にとって精神的・肉体的に大きな負担がかかります。両親のサポートを受けるために里帰り出産を検討することはとても自然なことです。

しかし、思わぬストレスを感じることもあるので、しっかり検討してから決めましょう。
本記事では、里帰り出産のスケジュールの立て方やメリット・デメリットについて紹介しています。里帰り出産を具体的にイメージしてみましょう。

里帰り出産とは?

里帰り出産とは、産前・産後に実家に戻って近くの産婦人科で出産することです。

里帰り出産の目的は、慣れ親しんだ環境で落ち着いて出産に臨んだり、産後に両親のサポートを受けることで肉体的・精神的負担を軽減したりすることなどがあります。

しかし、ある調査によると、産前・産後のどちらかに里帰りした人の割合は合計約56%と半数よりやや多い程度にとどまっています。[注1]

里帰り出産の有無 割合
産前に里帰りした 30.67%
産後に里帰りした 25.05%
里帰りしなかった(手伝いには来てもらった) 22.97%
里帰りしなかった(手伝いにも来てもらわなかった) 16.55%
その他 4.76%

上記の表から「出産=里帰り」ではないことがわかります。ご自分の体調や状況に合わせて本当に里帰り出産が向いているのかを考え、ベストな方法を選択することが大切です。

[注1]ゼクシィBaby:【1500人にアンケート】出産前後に、里帰りした?しない?メリットデメリットを本音で話します
zexybaby.zexy.net/article/contents/0090/

里帰り出産の一般的なスケジュール

エコーを見ながら話す医師と妊婦

ここからは、里帰り出産の一般的なスケジュールを紹介します。

里帰り出産の3つのタイミング

里帰りのタイミングは3つあります。

初期

妊娠初期とは、妊娠が成立してから妊娠13週までのことです。多くの人は、無事に心拍が確認できた6週目頃からつわり症状が出始めます。

早い方の場合、この時期に里帰り出産の準備を始めて実家で両親と出産準備を進める人もいます。とくに、以下のような場合は早いタイミングで里帰りすることを決めるようです。

  • ・実家が遠距離
  • ・つわりの症状が重い
  • ・初産のため、母親の都合で里帰りのスケジュールを決められる

妊娠初期は精神的にも肉体的にも不安定なため、両親のそばで過ごせると安心感を得られるでしょう。

中期

妊娠中期とは、妊娠14〜27週までを指します。妊娠16週以降は「安定期」と呼ばれ、初期流産のリスクが減ってつわりの症状が落ち着く頃です。

お腹もそれほど張り出していないため身動きが取りやすく、里帰りに適している時期でしょう。

後期

妊娠後期は妊娠28週以降のことです。仕事をしている人の多くは、この時期に産休を取得して里帰り出産の準備を始める傾向にあります。

ただし、遅くとも妊娠34週頃までには里帰りしましょう。というのも、37週以降は「正産期」と呼ばれ、いつ赤ちゃんが産まれてもおかしくない時期です。出産予定日がまだ先だからと安易に考えず、妊娠後期に里帰りする場合は早めに里帰り出産の準備をしましょう。

里帰り出産のスケジュール

安心して里帰り出産をするためにはおおよそのスケジュールを把握しておきましょう。

事前に準備すること

里帰り出産をする際に事前に準備しておくことを紹介します。

準備すること 詳細・注意点
両親へ妊娠報告 ・妊娠がわかったら早めに報告する
・仕事の調整や受け入れなど、両親にも準備をしてもらう
・念のため、親戚やご近所への報告は安定期を過ぎてからにしてもらう
産院を調べる ・産院のホームページなどで院内の様子などをリサーチする
・候補の産院の中から、受け入れ可能な産院を探す
・人気の高い産院は受け入れてもらえない可能性もあるため早めに調べる
・里帰り出産を断る産院もあるので注意する
分娩の予約をする ・希望する産院が見つかったら、早めに予約を取る
・早ければ、心拍が確認できたタイミングや出産予定日がわかったタイミングで予約をする人もいる
・産院によっては電話予約不可の場合もある
・予約の際、一度受診することを条件にしている産院もあるため注意する
里帰りの日程を決める ・母親の体調や両親の都合、家庭の状況などに応じて里帰りに適切な時期を決める
紹介状の手配 ・里帰り出産には、最初にかかった病からの紹介状が必要
・里帰り出産の予定があることを早めに申し出て、紹介状が必要な旨を伝えておく

里帰り出産に必要な持ち物

里帰り出産に必要な持ち物をまとめました。これらの持ち物は一度にまとめてではなく、安定期に入って体調の良いときに少しずつ準備しましょう。
また、大きなものは里帰りしてから購入するなど、移動や輸送の手間を少しでも軽減できるように工夫することも大切です。

荷物が必要な人 用意するもの
母親の生活に必要なもの ・衣類(下着、マタニティウェアなど)
・化粧品類
・洗面用具(歯ブラシなど)
・産後用の衣類(退院時の服、授乳しやすい服など)
・骨盤ベルトや補正下着など
赤ちゃんに必要なもの ・おむつ、おしりふき
・哺乳瓶、ミルク
・沐浴セット
・スキンケア用品(綿棒、ベビーローションなど)
・赤ちゃん用の衣類(短肌着、長肌着など)
・ガーゼタオル
入院に必要なもの ・母子手帳
・産院からの紹介状
・健康保険証
・印鑑
・出産一時金や入院保険などに関する書類

上記で紹介した持ち物は一例です。産院で行われる母親学級などで具体的な持ち物を教えてもらえるので、必要なものを揃え出産に備えましょう。

出産後のスケジュールも忘れずに!

里帰り出産をする場合でも、出生に関する手続きを行う必要があります。たとえば、出生届や児童手当の申請です。

これらの中には、届出の期日が決まっているものもあります。事前にパートナーや両親と確認して届出を忘れないように注意しましょう。

里帰り出産のメリット

里帰り出産とは?メリット・デメリットを徹底解説

里帰り出産もメリットを3つ紹介します。

落ち着いて出産に臨める

里帰り出産の大きなメリットは、両親がそばにいることで安心感を得られることです。妊娠・出産は母親にとって大きな喜びであると同時に不安もあります。また、妊娠前とは違う体の不調も起こるため、常にポジティブな気持ちでいられるとは限りません。

そんなとき、近くで見守ってくれる両親がいることは大きな心の支えとなるでしょう。

産後の家事負担が軽減される

産後はおむつ替えや授乳などで睡眠不足になり、自分と赤ちゃんのことで精一杯になります。そのため、洗濯をしたり掃除をしたり、食事を作るような余裕はほとんどないでしょう。また、出産の疲れが残っているため、産後1カ月程度はあまり動かないように産院から指導されます。

そんなとき、両親に家事を任せられれば赤ちゃんのお世話と母親の体力回復に専念できます。栄養バランスのよい食事を取れば体も心も満たされるでしょう。

1人きりの育児にならない

里帰り出産をしない場合、パートナーの仕事の帰りが遅ければほぼ1人で育児をすることになります。とくに初めての出産・育児の場合はわからないことが多く、相談相手も手伝ってくれる人もいなければ不安ばかりが大きくなってしまうかもしれません。

里帰り出産をすれば、すでに育児を経験している両親からのサポートを受けられます。1人きりの育児にならないことで気持ちに少しゆとりが持てるでしょう。

また、陣痛や破水などで動けないときでも1人ではないので、不測の事態でも焦ることはありません。産まれた赤ちゃんの急な発熱など、産後も誰かに頼れる環境にいられれば心強いはずです。

里帰り出産のデメリット

孫に説教をする祖父

里帰り出産はメリットが多い反面、デメリットもあります。こんなはずじゃなかった、とならないようにデメリットについても確認しておきましょう。

ストレスを感じることも

しばらく離れて暮らしていた親子が、里帰り出産を機に同じ屋根の下で生活するようになるとさまざまな違和感が生まれます。最初は気にならなくても徐々に我慢することが増え、疲れが溜まってストレスに感じる可能性もあるのです。

とくに、産後は子育てに対する考え方の違いが原因で両親と衝突することも出てくるかもしれません。里帰り出産は妊婦にとっても両親にとっても大きな環境の変化となります。

お世話になっている身だからと我慢しすぎるのもよくありませんが、出産・育児で大変だからと傲慢な態度を取るのも避けましょう。お互いに譲り合い、窮屈にならない妥協点を探ることも大切です。

夫婦間に温度差がある可能性が出てくる

里帰り出産をすると、2カ月以上パートナーと離れることになります。その間に、出産や育児に対して温度差がある可能性が出てきます。

男性は赤ちゃんが誕生するまでなかなか父親としての意識が芽生えにくいかもしれません。そのため、里帰りの期間が長いと、また一緒に暮らし始めたときに気持ちのズレが生じ、わかり合えるまでに時間がかかることがあります。

しかし、これは里帰り出産をしたすべての夫婦に当てはまることではありません。実家との距離や仕事の都合にもよりますが、なるべく早く、そしてたくさんの時間を赤ちゃんと過ごせるように配慮するとよいでしょう。それが難しい場合は、赤ちゃんの写真や動画を送るなどして、これから家族で一緒に生活することを想像できるようにするのもおすすめです。

また、里帰り出産をしない場合は、妊娠中・産後にパートナーの十分な協力を得られるよう、家事や育児の分担について早めに相談をしておくことも大切です。

【まとめ】里帰り出産にこだわらず自分に合う方法で出産に臨もう

老夫婦と若い夫婦(里帰り出産)

里帰り出産をすると、産前・産後の大変な時期の肉体的・精神的負担を軽減することができます。ただし、里帰り出産は必ずしもメリットだけではありません。デメリットもあることを十分に理解し、両親から十分なサポートを得られるように配慮することが大切です。

里帰り出産を検討している方は、早めに計画を立てて準備を進め、万全の体制で出産に臨みましょう。しかし、出産だからといって里帰りにこだわる必要はありません。大切なのは、ご自分の体調や状況、ご両親の意向なども考慮して、ベストな方法で出産に臨むことです。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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