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妊活中にお酒はNG?飲んでいい量と控えたい時期

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医として遺伝医療に携わっています。

妊活中のお酒は、量よりも「飲む時期」に気をつけることが大切です。デンマークの研究では、週14杯未満の飲酒で妊娠しやすさにはっきりした影響は見られませんでした[1]。一方で、排卵後から生理予定日までは、妊娠していても本人が気づけない時期にあたります。妊娠の可能性がある時期はお酒を控えるのが安心です。この記事では、妊活中の飲酒の考え方と、男性の飲酒が妊娠に与える影響をまとめます。

この記事でわかること
📖 読了時間:約7分
🍷 妊活・飲酒・男性の妊活
★ 臨床遺伝専門医監修

Q. 妊活中にお酒を飲んでもいいですか?

A. 少量の飲酒で妊娠しにくくなるという明確な証拠はありませんが、排卵後から生理予定日までは控えるのが安心です。この時期は、妊娠していても本人が気づけないためです。妊娠が分かったら、お酒はやめてください。

  • ➤飲んでもいい量 → 週14杯未満では妊娠しやすさへのはっきりした影響は見られない(デンマークの研究)
  • ➤控えたい時期 → 排卵後から生理予定日まで(妊娠に気づけない時期)
  • ➤不妊治療中 → 週4杯以上の飲酒で体外受精の出産率が下がるという報告がある
  • ➤男性 → 飲み過ぎは精子の質や受精に影響する可能性があるため、量を控える

1. お酒は妊娠に影響を与えるの?

結論から言うと、妊活中の女性は、妊娠の可能性がある時期にはお酒を控えるのがおすすめです。理由は、お酒そのものが妊娠しにくさの大きな原因になるからではなく、妊娠していても気づくまでに時間がかかるからです。

妊娠中の飲酒は、胎児性アルコール・スペクトラム障害(FASD)の原因になります。FASDは、生まれつきの体の特徴や、行動・学習の困難が生涯にわたって続く状態の総称で、お腹の赤ちゃんがアルコールにさらされなければ起こりません[2]。妊娠中の飲酒には「この量までなら安全」という基準がないため、妊娠が分かったらお酒はやめてください。

気をつけたいのは、妊娠に気づく前の時期です。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は、計画して妊娠した場合でも、多くの女性は妊娠4〜6週ごろまで妊娠に気づかないと指摘し、妊娠を望む女性には飲酒をやめるよう呼びかけています[2]。

排卵ここから控えたい
▶
受精・着床体の中で妊娠が始まる
▶
生理予定日ここまでは気づけない
▶
妊娠が分かる検査薬・受診で確認

赤枠の時期(排卵後から生理予定日まで)は、妊娠していても気づけないため、お酒を控えるのが安心です。

妊活中に葉酸をとるよう勧められるのも、妊娠しやすくなるからではなく、妊娠初期の赤ちゃんに必要な栄養素を、妊娠に気づく前から準備しておくためです。お酒を控える時期を意識するのも、同じ考え方です。葉酸については葉酸サプリはいつから飲む?で解説しています。

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2. 妊活中に飲んでもいいお酒の量は?

妊娠を目指している女性を対象にしたデンマークの研究では、週14杯未満の飲酒で、妊娠しやすさにはっきりした影響は見られませんでした。この研究は、不妊治療を受けずに妊娠を目指している21〜45歳の女性6,120人を対象に、週ごとの飲酒量を自己申告で調べ、妊娠するまでの期間を追跡したものです[1]。

🍺 この研究での「1杯」の目安

お酒の種類 1杯の量
ビール 330mL(小瓶・缶1本程度)
ワイン(赤・白) 120mL(グラス1杯)
デザートワイン 50mL
蒸留酒(ウイスキー・ブランデーなど) 20mL

※Mikkelsenら(BMJ 2016)[1]の定義による。

お酒を飲まない人と比べると、週1〜3杯、4〜7杯、8〜13杯のグループでは、妊娠しやすさにほとんど差がありませんでした。ビールやワインでも、飲む量による差ははっきりしませんでした。週14杯以上のグループではやや低い傾向が見られたものの、該当する人が少なく、はっきりした結論は出ていません[1]。

妊活中でも少量の飲酒で妊娠しにくくなるという明確な証拠はありませんが、排卵後から生理予定日までは妊娠に気づかない時期にあたるため、この時期はお酒を控えるのが安心です。生理が始まってから排卵までの時期に、少量を楽しむ程度であれば、神経質になりすぎる必要はありません。

💡 ポイント:量と時期を分けて考える

「どのくらいの量なら妊娠しにくくならないか」と「妊娠していたら赤ちゃんに影響しないか」は、別の問題です。前者については少量なら大きな影響は見られていませんが、後者については安全な量が分かっていません。妊活中は、量を控えることに加えて、妊娠の可能性がある時期を避けることが大切です。

体外受精など不妊治療中の場合

不妊治療中は、より少ない量でも影響が出る可能性があります。アメリカ・ボストンで体外受精を受けた2,545組のカップルを調べた研究では、週4杯以上飲む女性は、4杯未満の女性に比べて出産に至るオッズが16%低くなりました。カップルが2人とも週4杯以上飲んでいる場合は、21%低くなっています[3]。治療中は、主治医と相談しながらお酒を控えることをおすすめします。

3. 男性の飲酒は妊娠に影響を与えるの?

男性の飲酒も、飲み過ぎれば精子の質や受精に影響する可能性があります。先ほどの体外受精の研究では、週4杯以上飲む人は、4杯未満の人に比べて受精障害の確率が48%高くなったと報告されています[3]。

また、毎日ビールを飲む男性では精子の運動率低下のリスクが27%高く、白ワインを毎週飲む男性では精子の形態異常のリスクが43%、赤ワインを毎週飲む男性では精子濃度低下のリスクが23%高かったという報告もあります。

一方で、精子に関する多くの研究では、ある程度の飲酒であれば精液検査の結果や体外受精の成績に影響しないとされています。男性も「飲み過ぎない」ことが大切で、毎日の習慣になっている場合は量を見直しましょう。男性の妊活でできることは、妊活で男性がやるべきことでまとめています。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【禁酒より「時期」を意識する】

妊活中のお酒は、「一滴も飲んではいけない」と考えるとつらくなり、長く続けられません。少量の飲酒が妊娠しにくさの大きな原因になるという根拠は乏しいので、必要以上に自分を責める必要はないと考えています。

大切なのは、妊娠の可能性がある時期を知っておくことです。排卵後から生理予定日までは控え、妊娠が分かったらやめる。この2つを押さえておけば、妊活中もお酒と上手に付き合えると考えています。

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4. 妊活中にお酒以外に気をつけたいもの

注意を呼びかける人々

妊活中に気をつけたいのは、お酒だけではありません。カフェイン、たばこ、魚の食べ方も、妊娠したときのことを考えて見直しておきましょう。

カフェイン

米国産科婦人科学会(ACOG)は、1日200mg未満の適度なカフェインであれば、流産や早産の大きな原因にはならないとしています[4]。コーヒーなら1日1〜2杯程度を目安にしましょう。紅茶、緑茶、エナジードリンクにもカフェインが含まれるので、合計量で考えます。

たばこ

喫煙は、妊娠しやすさを下げるだけでなく、妊娠中の流産や早産、赤ちゃんの発育にも悪影響を与えます。子どもを望むなら、パートナーと一緒に早めに禁煙しましょう。加熱式たばこや電子たばこも、ニコチンを含むものが多く、妊娠への安全性を示すデータはほとんどありません。妊活中は避けておくのが安心です。

魚の食べ方

一部の魚介類には水銀が比較的多く含まれており、妊娠中にたくさん食べると、お腹の赤ちゃんに影響する可能性があります。魚は良い栄養源なので、種類と量に気をつけながら食べましょう。詳しくは厚生労働省の魚介類に含まれる水銀についてをご覧ください。妊活中の食事全体については妊活中の食事で解説しています。

働きながらの妊活中、お酒の席はどう断る?

仕事を続けながら妊活をする人も多く、気になるのが仕事の席でお酒を勧められたときです。正直に「妊活中なので」と言えればよいのですが、職場によっては言いにくいこともあります。その場合は「体調を整えている」「薬を飲んでいる」などと伝えて、ノンアルコール飲料を選ぶのも一つの方法です。信頼できる同僚がいれば、事情を話してフォローしてもらうのもよいでしょう。

5. お酒だけでなくライフスタイルを見直そう

日の光の背景に愛する笑顔のカップル

妊活で見直したいのは、お酒だけではなく2人の生活習慣全体です。暴飲暴食や夜更かしを避け、体調を整えて健康的に過ごすことが、妊娠に向けた土台になります。お酒は、そのなかの「飲み過ぎない」「時期を意識する」という一項目だと考えてください。

「あれもダメ、これもダメ」と厳しくしすぎると、ストレスがたまって妊活が続けにくくなります。控える時期と楽しめる時期を2人で共有し、無理のない形で生活を整えていきましょう。

よくある質問(FAQ)

Q1. 妊活中にお酒を飲んでもいいですか?

少量の飲酒で妊娠しにくくなるという明確な証拠はありません。ただし、排卵後から生理予定日までは妊娠していても気づけない時期にあたるため、この時期はお酒を控えるのが安心です。妊娠が分かったら、お酒はやめてください。

Q2. どのくらいの量までなら大丈夫ですか?

デンマークの研究では、週14杯未満(1杯はビール330mL、ワイン120mL程度)の飲酒で、妊娠しやすさにはっきりした影響は見られませんでした。ただし、体外受精などの不妊治療中は、週4杯以上で出産率が下がるという報告があるため、主治医と相談しながら控えることをおすすめします。

Q3. 妊娠に気づかずにお酒を飲んでしまいました。どうすればいいですか?

気づいた時点でお酒をやめ、妊婦健診で飲んだ時期や量を医師に伝えて相談してください。妊娠に気づく前の飲酒は多くの人に起こることなので、一人で抱え込まずに相談することが大切です。

Q4. 男性もお酒を控えたほうがいいですか?

飲み過ぎは精子の質や受精に影響する可能性があります。体外受精を受けたカップルの研究では、週4杯以上飲む人で受精障害の確率が高くなっていました。毎日の習慣になっている場合は、量を見直しましょう。

Q5. ノンアルコール飲料なら飲んでもいいですか?

アルコール度数0.00%と表示されたものであれば、お酒を控えたい時期の代わりに使えます。「微アルコール」「低アルコール」の飲料にはアルコールが含まれているので、表示を確認してください。

まとめ

妊活中の女性の飲酒については、週14杯未満で妊娠しやすさにはっきりした影響は見られないという研究があります[1]。ただし、排卵後から生理予定日までは妊娠に気づけない時期にあたるため、この時期はお酒を控え、妊娠が分かったらやめることが大切です。

不妊治療中は少ない量でも影響が出る可能性があり[3]、男性も飲み過ぎには注意が必要です。お酒だけにとらわれず、2人で生活習慣全体を見直していきましょう。妊娠しやすい体づくりについてはすぐに妊娠できる人の特徴もご覧ください。

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ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医が妊娠前の不安や検査について一緒に考えます。妊活を始める前、始めたあとでも、気になることがあればお気軽にご相談ください。

参考文献

  • [1] Mikkelsen EM, Riis AH, Wise LA, et al. Alcohol consumption and fecundability: prospective Danish cohort study. BMJ. 2016;354:i4262. [PubMed 27581754]
  • [2] Green PP, McKnight-Eily LR, Tan CH, et al. Vital Signs: Alcohol-Exposed Pregnancies — United States, 2011–2013. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2016;65(4):91-97. [CDC MMWR]
  • [3] Rossi BV, Berry KF, Hornstein MD, et al. Effect of alcohol consumption on in vitro fertilization. Obstet Gynecol. 2011;117(1):136-142. [PubMed 21173655]
  • [4] American College of Obstetricians and Gynecologists. ACOG Committee Opinion No. 462: Moderate caffeine consumption during pregnancy. Obstet Gynecol. 2010;116(2 Pt 1):467-468. [ACOG]

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プロフィール

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、
臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。
のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、
検査結果の数値そのものだけでなく、
「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、
一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、
日本人として異文化の中で生活した経験があります。
価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。
この経験は現在の診療においても、
「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、
36週6日で一人を死産した経験があります。
その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、
そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。
現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、
出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、
家族の未来に関わる重要な意思決定です。
年齢や統計だけで判断するのではなく、
医学的根拠と心理的支援の両面から、
ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/
日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。
2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、
複数の海外メディア・専門誌で特集掲載
されました。

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