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高温期は何度から?何度くらい?基礎体温の平均と37度超え・低いときの目安

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・がん薬物療法専門医・総合内科専門医。

高温期は「低温期より0.3〜0.5℃ほど体温が上がった状態」を指し、「何度以上なら高温期」という決まった線はありません。日本人女性約31万人・600万周期の記録を解析した研究では、低温期の平均は年齢によらず36.4℃、高温期の平均は29歳で36.7℃まで上がり、30代はその前後で安定していました[1][2]。ただしこれは多くの人の平均で、あなたの体温の「正解」ではありません。大切なのは数値の高い・低いより、グラフが低温期と高温期の二つに分かれているか、そして高温期が何日続いているかです。この記事では、高温期・低温期の目安と日本人の平均値、37℃を超えたときや体温が低いときの考え方、妊娠したときの高温期、受診を考えたいサインまでを、臨床遺伝専門医が解説します。

この記事でわかること
📖 読了時間:約12分
🌡️ 基礎体温・高温期・低温期
★ 臨床遺伝専門医監修

Q. 高温期は何度から?何度くらいが普通?

A. 低温期より0.3〜0.5℃上がっていれば、高温期に入ったと考える目安になります。日本人の平均は低温期36.4℃、高温期36.7℃前後です[1]。ただし体温には個人差があるため、「36.7℃に届かないから異常」「37℃を超えたから異常」とは言えません。自分の低温期と比べて上がっているか、二相に分かれているかで見ることが基本です。

  • ➤高温期の目安 → 低温期より0.3〜0.5℃高い状態。絶対値の基準はない
  • ➤日本人の平均 → 低温期36.4℃・高温期36.7℃前後(年齢・季節で変わる)
  • ➤37℃を超えたら → 37℃台前半だけなら高温期の範囲のことも。37.5℃以上や症状があれば発熱として考える
  • ➤体温が低いとき → 低いだけで不妊やホルモン異常とは言えない。二相性と高温期の長さを見る
  • ➤妊娠したとき → 温度はほぼ同じ。違いが出るのは「高温期が長く続くこと」

高温期は何度から?何度くらい?

結論から言うと、高温期は「何度から」という絶対値ではなく、「自分の低温期より0.3〜0.5℃上がった状態」で判断します。日本人の平均でいえば高温期は36.7℃前後ですが、これはあくまで多くの人の真ん中の値です。基礎体温のグラフを見るときに押さえておきたいのは、次の3つの点です。

高温期は「低温期より0.3℃前後高い」状態

基礎体温は、朝、目が覚めてすぐ、体を動かす前に測る体温です。排卵がある周期では、月経から排卵までの体温が低い時期(低温期)と、排卵後から次の月経までの体温が高い時期(高温期)の二つに分かれます[8][9]。この「二相性」が、排卵があったことを推測する手がかりになります[10]。

低温期から高温期に移ると、基礎体温は0.3〜0.5℃ほど上がるのが一般的な目安です[10]。つまり、低温期がふだん36.2℃の人なら36.5〜36.7℃くらい、低温期が36.5℃の人なら36.8〜37.0℃くらいが、その人にとっての高温期の目安になります。高温期かどうかは、平均値と見比べるより、同じ人の低温期と見比べて判断するほうが正確です。

基礎体温の二相性(イメージ) 37.0℃ 36.5℃ 36.0℃ 排卵のころ 低温期:平均36.4℃前後 高温期:36.7℃前後・長さには個人差 月経で下降 月経開始日 → 月経周期の日数 → 次の月経 ※数値は日本人の平均値の目安。実際の体温やグラフの形には個人差があります

低温期と高温期の「差」と、グラフが二つに分かれているかどうかが、基礎体温を読むときのいちばんの手がかりです。

日本人の平均:低温期36.4℃・高温期36.7℃前後

日本人女性の基礎体温の平均は、低温期が36.4℃、高温期が36.7℃前後です。これは、東京医科歯科大学(現・東京科学大学)、国立成育医療研究センター、株式会社エムティーアイの研究チームが、女性の健康情報サービス「ルナルナ」に記録された日本人女性約31万人・600万月経周期のデータを解析し、2020年に米国産婦人科学会の学術誌に発表したものです[1][2]。月経周期や基礎体温の平均値として広く知られていた数字は1950年代の研究に基づくもので、現代の日本人女性のデータとしては前例のない規模の研究です[2]。

🌡️ 日本人女性の基礎体温(約31万人・600万周期の解析)

項目 わかったこと
低温期(卵胞期)の平均 年齢による変化はなく、36.4℃でほぼ一定
高温期(黄体期)の平均 10代から20代後半にかけて上がり、29歳で36.7℃。30代は安定し、42歳を過ぎると下がる
季節による違い 低温期・高温期ともに夏に高く、冬に低い。外気温と基礎体温に関連がみられた
月経周期の長さ 23歳で平均30.7日と最も長く、45歳で平均27.3日と最も短い。周期の長さに季節の影響はなかった

※Tatsumi T, et al. Obstet Gynecol 2020[1]、および研究機関のプレスリリース[2]による。

この研究からわかるのは、低温期の体温は年齢によってほとんど変わらないのに対し、高温期の体温は年齢によって変わるということです。20代前半の人の高温期が36.7℃に届かなくても、それだけで問題があるとは言えません。また、同じ人でも夏と冬で体温は変わります。異なる季節の基礎体温を比較するときは、季節による変動も考慮する必要があります。

「何度以上なら高温期」という決まった線はない

「36.7℃以上なら高温期」「36℃台なら正常」といった、全員に当てはまる境界線はありません。36.4℃と36.7℃は集団の平均値であり、一人ひとりの正常値ではないからです。平均より低い人も高い人も、たくさんいます。

大切なのは、次の2点です。

💡 基礎体温を見るときの2つのポイント

① 低温期と高温期の二つに分かれているか(二相性):自分の低温期から0.3〜0.5℃ほど上がった時期があれば、排卵があったと推測する手がかりになります。
② 高温期が何日続いているか:黄体期の長さには個人差・周期差があります。ASRMは典型的な黄体期を12〜14日、11〜17日の範囲としています[3]。日本人女性の大規模研究では黄体期の中央値は11.8日、95%範囲は7.5〜16.0日でした[11]。

基礎体温のグラフの形ごとの読み方は基礎体温の変化をグラフ別に紹介で詳しく解説しています。

低温期は何度?高温期との差の見方

低温期の平均は36.4℃で、年齢による違いはほとんどありません[1]。高温期と同じく、低温期にも「何度が理想」という値はなく、見るべきは高温期との差です。

低温期の目安と平均

低温期は、月経が始まってから排卵までの時期です。この時期は卵巣の中で卵胞(卵子を包む袋)が育ち、エストロゲン(卵胞ホルモン)が多く分泌されます。体温を上げるホルモンの影響が少ないため、体温は低めで推移します。

日本人の低温期の平均は36.4℃ですが[1]、36.0℃前後の人もいれば、36.6℃前後の人もいます。低温期の値そのものより、低温期の中で体温が大きく上下せず、ある程度そろっているか、そしてそこから高温期にはっきり上がるかを見るほうが、グラフを読む役に立ちます。

差が小さい・二相に分かれないとき

低温期と高温期の差が0.3℃に届かない、あるいはグラフが二つに分かれないときは、排卵がなかった可能性を考える手がかりになります。ただし、それだけで「排卵していない」とは決められません。

基礎体温と排卵の関係を調べた古典的な研究では、ホルモン検査などで排卵が確認された33周期のうち4周期(12%)で、基礎体温は二相に分かれず一相性のままでした[4]。研究者たちは、基礎体温が一相性であることを、排卵がなかった根拠とはできないと結論づけています。また、体温を上げるホルモンの量と基礎体温の関係を調べた研究では、両者の相関は中程度にとどまり、ホルモンがある程度以上に増えると体温はそれ以上上がらなくなることも示されています[5]。

つまり、基礎体温は排卵を推測する手軽な手がかりですが、排卵を確定する検査ではありません。基礎体温だけで排卵の有無を確定せず、必要に応じて複数周期の記録や尿中LH検査、超音波検査など他の情報と合わせて評価します。体温がガタガタに上下する場合の考え方は基礎体温がガタガタになる原因で、グラフの形のパターンは基礎体温のグラフのパターンで解説しています。

⚠️ 元の記事から見直した点

以前この記事では「低温期と高温期の差が0.3〜0.5℃より幅がある場合は医師に相談を」と記載していましたが、差が大きいこと自体を問題とする医学的根拠は確認できなかったため、削除しました。注意したいのは「差が大きい」ことではなく、「何周期も二相に分かれない」「高温期が短い周期が続く」といった状態です(受診を考えたいサインを参照)。

高温期に体温が上がる仕組み

高温期に体温が上がるのは、排卵のあとに卵巣でつくられる黄体ホルモン(プロゲステロン)に、体温を上げる働きがあるためです。排卵が終わると、卵子が飛び出したあとの卵胞が「黄体」に変わり、黄体ホルモンを分泌します。黄体ホルモンには体温を上げ、子宮内膜を受精卵が着床しやすい状態に整える働きがあります[8]。

妊娠が成立しなければ、黄体の機能が低下して黄体ホルモンが減ります。すると子宮内膜がはがれて月経が始まり、体温も下がって、次の低温期に戻ります[8]。1周期の流れを図にすると、次のようになります。

月経体温が下がる
▶
低温期卵胞が育つ・平均36.4℃
▶
排卵卵胞が黄体に変わる
▶
高温期黄体ホルモンで体温上昇
▶
月経 または 妊娠妊娠すると高温期が続く

低温期から高温期へ移るタイミングは、排卵日を推測する手がかりになります。ただし、体温が上がり始める日と排卵日は周期によってずれることがあり、ぴったり一致するとは限りません[5]。基礎体温で排卵日を推測する方法と注意点は基礎体温から排卵日を推定する方法で解説しています。また、低温期から高温期へ一気に上がらず、数日かけてじわじわ上がる周期もあります。その場合の考え方は高温期にゆっくり体温が上がるケースをご覧ください。

なお、体温を上げる力はホルモンの量にある程度比例しますが、ホルモンが一定以上に増えると体温は頭打ちになります[5]。「高温期の体温が高いほどホルモンがしっかり出ている」「体温が低いとホルモンが足りない」と、体温の高さだけでホルモンの量を推し量ることはできません。

高温期に37℃を超えるのは異常?

高温期に37℃前後まで上がる人はいて、37℃台前半というだけで異常とは言えません。一方で、37.5℃以上になったり、だるさや寒気などの症状を伴ったりする場合は、高温期ではなく発熱を考える必要があります。

37℃台は珍しくない

前の章で見たように、高温期の体温は「自分の低温期+0.3〜0.5℃」が目安です。もともと低温期が36.5〜36.7℃くらいの人なら、高温期に36.9〜37.2℃前後まで上がっても不思議はありません。高温期の平均が36.7℃前後というのは、「36.7℃より高い人も一定数いる」ということでもあります[1]。また、基礎体温は夏に高く冬に低くなる傾向があるため[1]、夏場は高温期の値がふだんより少し高く出ることもあります。

「高温期が37℃を超えた=妊娠した」とも言えません。高温期の体温の高さは、妊娠している周期としていない周期で大きく変わるわけではないからです(妊娠すると高温期は何度になる?で詳しく解説します)。

発熱と見分けるポイント

感染症法に基づく届出基準では、参考となる定義として37.5℃以上を「発熱」、38.0℃以上を「高熱」としています。ただし、これは感染症届出のための基準であり、すべての状況で発熱を一律に判定する診断基準ではありません[7]。高温期による体温上昇は、ふつうこの範囲まで大きく上がるものではありません。

🔍 高温期の体温上昇と発熱の見分け方(目安)

見るポイント 高温期による上昇 発熱を考えたい場合
体温 低温期より0.3〜0.5℃高い程度 37.5℃以上、とくに38.0℃以上
上がり方 排卵のころから上がり、ほぼ一定の高さで続く 急に上がる、日によって大きく上下する
ほかの症状 ほてりやだるさを感じることはあっても、はっきりした症状は少ない 寒気、のどの痛み、せき、頭痛、強いだるさ、下痢など
時間帯 朝起きてすぐ、安静のまま測った値で判断する 日中や夕方も高い状態が続く

※発熱・高熱の定義は厚生労働省の届出基準[7]による。表はあくまで目安で、体調に不安があるときは医療機関にご相談ください。

妊娠の可能性がある時期に発熱したときは、自己判断で市販薬を飲む前に、妊娠の可能性があることを伝えて医療機関に相談してください。

高温期の体温が低い・35度台でも大丈夫?

高温期の体温が平均より低い、低温期が35℃台といったことだけで、不妊やホルモンの異常と決めることはできません。見るべきは体温の高さではなく、二相に分かれているか、高温期が十分な日数続いているかです。

低いだけで不妊やホルモン異常とは言えない

体温の高さには、もともとの体質、測る時刻や方法、季節など、さまざまなことが影響します[1]。低温期が35℃台後半、高温期が36.3℃前後という人でも、自分の低温期からしっかり上がって二相に分かれ、高温期が十分な日数続いていれば、排卵があったと推測する手がかりになります。

また、高温期が短い・黄体ホルモンが少ないといった「黄体機能不全」についても、米国生殖医学会(ASRM)は2026年の見解で、黄体機能不全が不妊や流産の独立した原因であることは証明されていないとしています[3]。基礎体温が低めというだけで「妊娠しにくい体」と思い込む必要はありません。

💡 「体温を上げれば妊娠しやすくなる」の注意点

「基礎体温を上げると妊娠しやすくなる」という情報を目にすることがありますが、基礎体温の高さそのものが妊娠のしやすさを決めるという根拠は示されていません。体を冷やさない、睡眠をしっかりとるといった生活習慣は体調を整えるうえで役立ちますが、体温の数値を上げること自体を目標にする必要はありません。

受診を考えたいサイン

基礎体温だけで病気を診断することはできませんが、次のような状態が複数周期で続く場合は、月経周期や症状とあわせて婦人科で相談する目安になります。

🩺 婦人科への相談を考えたいサイン

基礎体温・月経の様子 考えられること
何周期もグラフが二相に分かれない 排卵がない周期(無排卵周期)の可能性。ただし一相性でも排卵していることはある[4]
高温期がおよそ10日未満の周期がくり返す 黄体期が短い状態。排卵を促すホルモンの急上昇から月経まで9〜11日未満を「短い」とする考え方がある[3]
月経周期が極端に長い・短い、不規則 排卵のリズムが乱れている可能性
妊娠を望んで一定期間たっても妊娠しない 基礎体温の形にかかわらず、不妊の原因を調べる検査を検討

※基礎体温は排卵を推測する手がかりで、診断を確定するものではありません。受診の際は、つけている基礎体温表を持参すると診察の参考になります。

不妊の原因として調べる項目や、検査から治療までの流れは不妊症の原因と検査の流れで解説しています。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【平均値は「ものさし」、あなたの正解ではない】

36.4℃や36.7℃という数値は大規模データから得られた集団の平均値であり、個人の正常・異常を分ける基準値ではありません。平均より低い、あるいは高いという理由だけで、排卵や妊孕性を判断することはできません。

基礎体温では絶対的な温度だけでなく、低温相から高温相への変化や、その持続期間を経時的に確認します。ただし、二相性の有無だけで排卵や黄体機能を確定することはできないため、必要に応じて他の検査と合わせて評価します。

高温期は何日続く?体温が下がるタイミング

黄体期(高温期)の長さには個人差・周期差があります。ASRMは典型的な黄体期を12〜14日、11〜17日の範囲としています[3]。日本人女性の大規模研究では中央値11.8日、95%範囲7.5〜16.0日でした[11]。

妊娠が成立しなければ、黄体が役目を終えて黄体ホルモンが減り、体温が下がるのとほぼ同時に次の月経が始まります[8]。つまり、高温期が何日目まで続いているかは、次の月経がいつ来るかの目安にもなります。

反対に、高温期がおよそ10日に満たない周期がくり返す場合は、黄体期が短い可能性があります[3]。ただし、1周期だけ短かったというのはよくあることで、それだけで心配する必要はありません。生理前に体温が下がるタイミングや、下がってから何日で月経が来るかについては、生理前に基礎体温が下がるタイミングで詳しく解説しています。

妊娠すると高温期は何度になる?

妊娠しても、高温期の体温が特別に高くなるわけではありません。妊娠したかどうかで違いが出るのは、体温の高さではなく「高温期が続く期間」です。

見るべきは温度より「期間」

妊娠が成立しない周期では、黄体の機能低下に伴ってプロゲステロンが減少し、体温が下がって月経が始まります。一方、妊娠が成立すると黄体が働き続けて黄体ホルモンが出続けるため、体温は下がらずに高温期が続きます。

では何日続けば妊娠の可能性があるのか。この日数は資料によって「16日以上」「17日以上」「18日以上」などと幅があり、厚生労働省研究班の監修サイトでは「16日以上高温期が続く場合は妊娠の可能性がある」と説明されています[10]。黄体期の正常範囲の上限が17日前後とされていることもふまえると[3]、いつもの高温期より明らかに長く、16〜17日以上高温期が続いているときは、妊娠の可能性を考える目安になります。

ただし、高温期の長さはあくまで目安で、体温だけで妊娠を確定することはできません。体温が一時的に下がっても妊娠していることもあれば、高温期が長く続いても妊娠していないこともあります。妊娠しているかどうかは、妊娠検査薬はいつから使えるかを確認して検査薬を使い、陽性なら医療機関を受診して確かめてください。体温で妊娠がどこまでわかるのかは体温で妊娠はわかるのかでも解説しています。

妊娠初期の体温とhCGの働き

妊娠が成立すると、受精卵から育つ胎盤のもとになる組織がhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンをつくります。hCGは黄体を支えて働き続けさせ、胎盤が育つまで黄体ホルモンの分泌を保ちます。黄体の働きは妊娠6〜7週ごろから少しずつ弱まり、黄体ホルモンをつくる役目は胎盤へと移っていきます。妊娠10週を過ぎると、胎盤が黄体ホルモンの主なつくり手になります[6]。妊娠検査薬が反応するのも、このhCGです。

妊娠初期にはプロゲステロンの作用などにより基礎体温の高温相が持続します。妊娠が進むと体温は少しずつ落ち着いていく傾向がありますが、いつごろ下がるかには個人差があり、決まった週数はありません。妊娠初期の体温の変化や、37℃を超えたときの考え方については、妊娠初期の基礎体温で詳しく解説しています。

⚠️ 元の記事から見直した点

以前この記事では「妊娠初期の高温期は妊娠13週目くらいまで続く」と記載していました。現在確認できる医学的根拠では、黄体ホルモンのつくり手が黄体から胎盤へ移るのは妊娠6〜10週ごろとされていますが[6]、体温が下がる時期を特定の週数で示す根拠は確認できなかったため、「個人差がある」という表現に改めました。

正しい値を知るための測り方のコツ

基礎体温は、朝、目が覚めたら起き上がらずに、寝たままの状態で舌の下で測ります。日本産婦人科医会は、朝目が覚めたときに寝たまま婦人体温計を舌の下に入れて測った温度を基礎体温として説明しています[9]。高温期と低温期の差は0.3〜0.5℃とわずかなので、測る条件がそろっていないと、その差が見えにくくなります。

📏 基礎体温を正しく測るためのポイント

ポイント 理由・コツ
目が覚めたら起き上がらずに測る トイレに立つ、体を起こすといった動きで体温は変わる。体温計は前の晩に枕元に置いておく
舌の下(口の中)で測る わきの下より外気の影響を受けにくい。舌の裏の付け根にしっかり当てる
できるだけ同じ時刻に測る 起きる時刻がずれると値もぶれやすい。休日もなるべく同じリズムで
婦人体温計を使う 小数点第2位まで測れるものが多く、わずかな変化を読み取りやすい
いつもと違うことはメモする 寝不足、夜中に何度も起きた、飲酒、体調不良、夏の暑さなどは値に影響しうる
1周期で判断しない 2〜3周期つけると、自分の低温期・高温期のパターンが見えてくる

※測り方は日本産婦人科医会の説明[9]にもとづく。季節による変動は研究データ[1]による。

二度寝をしてしまった日や、夜中に起きてしまった日の測り方については、二度寝したときの基礎体温で詳しく解説しています。基礎体温表の書き方や、記録を続けるコツは基礎体温表のつけかたをご覧ください。

よくある質問

Q1. 着床すると体温は37度になりますか?

着床したからといって、体温が37℃になるとは限りません。妊娠が成立すると黄体ホルモンが出続けて高温期が続きますが、体温の高さは妊娠していない周期の高温期とほとんど変わりません。37℃に届かないまま妊娠している人もいれば、妊娠していなくても高温期に37℃前後になる人もいます。体温で妊娠は判断できないため、検査薬と受診で確かめてください。

Q2. 妊娠していたら高温期は何度ですか?

妊娠していても、高温期の体温は妊娠していないときとほぼ同じで、「自分の低温期より0.3〜0.5℃高い」くらいが目安です。妊娠で違いが出るのは体温の高さではなく期間で、いつもの高温期より明らかに長く、16〜17日以上続いているときは妊娠の可能性を考える目安になります。

Q3. 高温期がいつもより低いのはなぜですか?

測った時刻が違う、寝不足だった、夜中に起きた、口の外に体温計がずれた、季節が変わったなど、測る条件の違いで体温は変わります。日本人の研究でも、基礎体温は夏に高く冬に低い傾向がみられています。1日だけ、1周期だけ低かったというのはよくあることで、それだけで異常とは言えません。何周期も二相に分かれない場合は婦人科に相談してください。

Q4. 高温期が低くても妊娠できますか?

高温期の体温が平均より低いことだけで、妊娠できないということはありません。大切なのは、自分の低温期から上がって二相に分かれているか、高温期が十分な日数続いているかです。体温の高さそのものが妊娠のしやすさを決めるという根拠は示されていません。

Q5. 低温期は何度が理想ですか?

低温期に「理想の温度」はありません。日本人女性約31万人のデータでは、低温期の平均は年齢によらず36.4℃でしたが、これは多くの人の真ん中の値です。低温期の値そのものより、体温がある程度そろっていて、そこから高温期にはっきり上がるかどうかを見てください。

Q6. 基礎体温はいつから測ればいいですか?

いつから始めてもかまいません。妊娠を考え始めたときや、月経のリズムを記録したいときに開始できます。継続して記録すると、低温相と高温相のパターンや周期ごとの変化を確認しやすくなります。

まとめ

高温期は、自分の低温期より0.3〜0.5℃ほど体温が上がった状態を指し、「何度以上なら高温期」という決まった線はありません。日本人女性約31万人のデータでは、低温期の平均は36.4℃、高温期は29歳で36.7℃まで上がり、30代はその前後で安定していました[1]。高温期の体温は年齢や季節でも変わります。

高温期に37℃前後まで上がる人もいて、37℃台前半というだけで異常とは言えません。37.5℃以上や、寒気・だるさなどの症状を伴う場合は発熱を考えます[7]。反対に、体温が平均より低いことだけで不妊やホルモンの異常と決めることもできません[3]。見るべきは、グラフが二相に分かれているか、高温相がどの程度続いているかです。妊娠したときも体温の高さはほとんど変わらず、違いが出るのは高温期が長く続くことです。

何周期もグラフが二相に分かれない、高温期が短い周期がくり返す、月経周期が不規則といった場合は、基礎体温表を持って婦人科に相談してみてください。

📘 この記事について

この記事は、基礎体温の高温期・低温期の目安を解説するものです。個別の基礎体温表の診断を行うものではありません。気になる変化が続くときは、婦人科で基礎体温表を見てもらいながら相談してください。なお、ミネルバクリニックは臨床遺伝専門医が診療する遺伝の専門クリニックで、妊娠後の赤ちゃんの染色体を調べるNIPT(新型出生前診断)をおこなっています。

参考文献

  • [1] Tatsumi T, Sampei M, Saito K, Honda Y, Okazaki Y, Arata N, Narumi K, Morisaki N, Ishikawa T, Narumi S. Age-Dependent and Seasonal Changes in Menstrual Cycle Length and Body Temperature Based on Big Data. Obstet Gynecol. 2020. [DOI: 10.1097/AOG.0000000000003910]
  • [2] 東京医科歯科大学・国立成育医療研究センター・株式会社エムティーアイ・日本医療研究開発機構. ビッグデータの解析により日本人女性の月経周期と基礎体温に新知見―月経周期や高温期の基礎体温は年齢によって大きく変化―(プレスリリース, 2020年9月11日). [AMED]
  • [3] Practice Committee of the American Society for Reproductive Medicine. Diagnosis and treatment of luteal phase deficiency: a committee opinion. Fertil Steril. 2026. [ASRM]
  • [4] Johansson EDB, Larsson-Cohn U, Gemzell C. Monophasic basal body temperature in ovulatory menstrual cycles. Am J Obstet Gynecol. 1972;113(7):933-937. [DOI: 10.1016/0002-9378(72)90659-X]
  • [5] Écochard R, et al. Descriptive analysis of the relationship between progesterone and basal body temperature across the menstrual cycle. Steroids. 2022;178:108964. [DOI: 10.1016/j.steroids.2022.108964]
  • [6] Tal R, Taylor HS. Endocrinology of Pregnancy. In: Feingold KR, et al., editors. Endotext. MDText.com; updated 2021 Mar 18. [NCBI Bookshelf NBK278962]
  • [7] 厚生労働省. 医師及び指定届出機関の管理者が都道府県知事に届け出る基準(別紙)第1 全般的事項. [厚生労働省]
  • [8] 日本産婦人科医会. 排卵があると、なぜ基礎体温が低温期と高温期の二相性を示すのですか? [日本産婦人科医会]
  • [9] 日本産婦人科医会. 基礎体温とはどういうものですか。 [日本産婦人科医会]
  • [10] 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ(厚生労働省研究班監修). 基礎体温. [ヘルスケアラボ]
  • [11] Tatsumi T, et al. Distribution of the follicular and luteal phase lengths and their age-dependent changes in Japanese women: A large population study. Reprod Med Biol. 2023. PMID:37192936. [PubMed 37192936]

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プロフィール

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、
臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。
のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、
検査結果の数値そのものだけでなく、
「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、
一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、
日本人として異文化の中で生活した経験があります。
価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。
この経験は現在の診療においても、
「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、
36週6日で一人を死産した経験があります。
その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、
そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。
現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、
出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、
家族の未来に関わる重要な意思決定です。
年齢や統計だけで判断するのではなく、
医学的根拠と心理的支援の両面から、
ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/
日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。
2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、
複数の海外メディア・専門誌で特集掲載
されました。

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