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生理前の基礎体温はいつ頃から変化するの?|妊娠したときの目安も紹介

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・がん薬物療法専門医・総合内科専門医。

生理前の基礎体温は、排卵のあとに上がった「高温期」がしばらく続き、生理が近づくと下がって、生理のころには「低温期」に戻ります。体温を上げているのは、排卵のあとに卵巣でつくられる黄体ホルモン(プロゲステロン)です。妊娠が成立しなければ黄体ホルモンが減り、それにあわせて体温が下がり、生理が始まります[1][2]。体温が下がるタイミングは「生理の直前〜生理が始まるころ」が目安で、何日前と決まった日数はありません。この記事では、生理前に体温が下がる時期と下がってから生理が来るまでの目安、生理前に体温が高い・上がる理由、高いまま下がらないときに考えること、生理中の体温までを、臨床遺伝専門医が解説します。

この記事でわかること
📖 読了時間:約13分
🌡️ 生理前・生理中の基礎体温
★ 臨床遺伝専門医監修

Q. 生理前に体温が下がるのは何日前ですか?

A. 高温期の終わりに下がり始め、生理の直前から生理が始まるころに低温期の水準へ戻るのが一般的です。体温の低下と生理の開始は、どちらも黄体ホルモンが減ることで起こるため、ほぼ同じ時期に重なります[1][2]。「何日前に下がる」と決まった日数はなく、生理が始まってから下がる人もいます。自分の基礎体温を数周期つけると、自分の場合の下がり方がわかってきます。

  • ➤生理前の体温 → 排卵後は高温期。高温期の終わりに下がって生理が来る
  • ➤下がってから生理まで → ほぼ同時〜数日以内が目安。決まった日数はない
  • ➤生理前に体温が高い → 高温期なので普通のこと。37.5℃以上や症状があれば発熱として考える
  • ➤高いまま下がらない → 高温期が16日以上続けば妊娠の可能性。排卵が遅れた周期も考える
  • ➤生理中の体温 → 低温期に戻るのが基本。高いまま続くなら妊娠や発熱を考える

生理前の基礎体温はどう変化する?

排卵がある周期の基礎体温は、生理から排卵までの「低温期」と、排卵から次の生理までの「高温期」の二つに分かれます。生理前は高温期の後半にあたり、生理が近づくと体温が下がって低温期に戻ります。この形を「二相性」といい、日本産婦人科医会も、排卵があると基礎体温は低温期と高温期の二相を示すと説明しています[1]。生理前の体温を知りたいときは、まずこの1周期の流れを押さえておくと、「高い」「下がった」が何を意味するのかを読み取りやすくなります。

排卵後は高温期、生理前に下がって低温期へ

生理が始まった日から排卵までは、卵巣の中で卵胞(卵子を包む袋)が育つ時期で、体温は低めで推移します。排卵が起こると、卵子が飛び出したあとの卵胞が「黄体」という組織に変わり、黄体ホルモンを分泌し始めます。黄体ホルモンには体温を上げる働きがあるため、基礎体温は低温期より一段高い状態になり、これが高温期です[1]。

妊娠が成立しなかった周期では、黄体は一定の期間で働きを終え、黄体ホルモンが減っていきます。すると子宮内膜がはがれ落ちて生理が始まり、体温も下がって、次の排卵まで続く低温期に入ります[1]。厚生労働省研究班が監修する情報サイトでも、排卵後は高温期が約14日間続き、その後体温が下がって生理になると説明されています[3]。1周期の流れを図にすると、次のようになります。

生理低温期の始まり
▶
低温期卵胞が育つ
▶
排卵卵胞が黄体に変わる
▶
高温期黄体ホルモンで上昇
▶
生理前に下降妊娠なら高温期が続く

高温期の長さは比較的一定で、米国生殖医学会(ASRM)は典型的な黄体期の長さを12〜14日、範囲としては11〜17日としています[4]。日本人女性の大規模なデータを解析した研究では、基礎体温から区分した高温期の中央値は11.8日でした[5]。「生理前の体温」とは、この高温期の後半から終わりにかけての体温のことを指しています。

生理前の基礎体温の動き(イメージ) 37.0℃ 36.5℃ 36.0℃ 排卵のころ 低温期 高温期(約2週間) 妊娠した周期:高温期が続く 妊娠しない周期:下がって生理 次の生理のころ 生理開始日 → 周期の日数 → 次の生理 ※形はイメージです。体温の値や下がり方には個人差があります

妊娠していない周期では、高温期の終わりに体温が下がり、ほぼ同じころに生理が始まります。妊娠した周期では、高温期がそのまま続きます。

体温を上げ下げしているのは黄体ホルモン

生理前に体温が高く、生理のころに下がるのは、黄体ホルモンが脳の体温調節の仕組みに働きかけているためです。体温は、脳の視床下部という部分で一定の範囲に保たれています。女性の体温調節を総説した論文によると、排卵後の黄体期には、汗をかき始める体温や皮膚の血管が広がり始める体温など、体温調節の「基準点」がそろって高い方へ移ることが確かめられています。その結果、黄体期の体温は排卵前より0.3〜0.7℃ほど高くなります[2]。

一方、排卵前の卵胞期に多く分泌されるエストロゲン(卵胞ホルモン)には、体温を下げる方向の作用があります。同じ総説では、黄体期にはエストロゲンも出ていますが、黄体ホルモンの体温を上げる作用のほうが勝ると説明されています[2]。そして、体温は生理が近づくまで高いまま保たれ、黄体ホルモンが減るにつれて下がっていきます[2]。

💡 用語解説:黄体と黄体ホルモン(プロゲステロン)

黄体は、排卵で卵子が飛び出したあとの卵胞が変化してできる、一時的な組織です。黄体がつくる黄体ホルモン(プロゲステロン)には、子宮内膜を受精卵が着床しやすい状態に整える働きと、体温を上げる働きがあります。妊娠しなければ黄体は約2週間で働きを終え、黄体ホルモンが減ることで生理が始まり、体温も下がります。妊娠すると、着床した胚の栄養膜(のちに胎盤をつくる組織)から分泌されるhCGというホルモンが黄体を支え、黄体ホルモンが出続けます。

排卵を起こすきっかけになるのは、脳の下垂体から急に大量に分泌されるLH(黄体形成ホルモン)です。排卵日の求め方や、基礎体温から排卵日を推測するときの注意点は、排卵日はいつ?排卵日の計算方法で解説しています。

生理前に体温が下がるのは何日前?下がってから何日で生理?

生理前に体温が下がるのは、高温期の終わり、つまり生理の直前から生理が始まるころです。体温の低下も生理の開始も、どちらも「黄体ホルモンが減ること」が引き金になっているため、二つはほぼ同じ時期に重なります。ただし、下がり始める日と生理が始まる日の間隔は、人によっても周期によっても少しずつ違います。

体温が下がるのは生理の直前〜当日ごろ

日本産婦人科医会は、妊娠が成立しないと子宮内膜がはがれ落ちて生理が始まり、体温が下がると説明しています[1]。厚生労働省研究班の監修サイトでは、高温期が約14日間続いたあと体温が下がり、生理になると説明されています[3]。女性の体温調節の総説でも、体温は生理が近づくまで高く、黄体ホルモンが減るのにあわせて下がるとされています[2]。

これらの資料に共通しているのは、「体温の低下と生理の開始はほぼ同じころに起こる」という点です。一方で、「生理の何日前に体温が下がる」という日数を一律に示したデータは見当たりません。黄体ホルモンは高温期の最後の数日で少しずつ減っていき、体温はそれを追いかけるように下がります。そのため、生理の1〜2日前から下がり始める人もいれば、生理が始まった日やその翌日に下がる人もいます。「下がるのは何日前」という答えは、平均的な目安ではなく、自分の基礎体温表で何周期か確かめるのがいちばん確実です。

また、下がり方にも違いがあります。1日でストンと下がる人もいれば、2〜3日かけて段階的に下がる人もいます。下がり方の違いだけで、ホルモンの異常を判断することはできません。

下がってから何日で生理が来る?

体温が下がってから生理が来るまでは、ほぼ同時から数日以内が目安です。体温の低下と生理の開始は同じホルモンの変化から起こるので、大きく離れることはふつうありません。生理が来る時期をより正確に知りたいときは、「体温が下がった日」より、「高温期が何日目まで続いているか」を見るほうが役に立ちます。

その理由は、高温期の長さが比較的一定だからです。前述のとおり、ASRMは典型的な黄体期を12〜14日、範囲を11〜17日としています[4]。月経周期の長さが人によって違うのは、主に排卵までの日数(低温期の長さ)が違うためで、排卵から生理までの高温期の長さは、低温期ほど大きくは変わりません。ですから、「低温期から上がった日」を高温期1日目として数えておくと、自分のいつもの高温期の日数から、生理が来そうな時期を予測しやすくなります。

📉 生理前の体温の下がり方と生理までの目安

基礎体温の様子 考えられること
高温期がいつもの日数続き、体温が下がって当日〜数日で生理 妊娠が成立しなかった周期の、ふつうの経過
生理が始まった日や翌日に体温が下がった 体温の下がり方には個人差があり、これもよくある経過
2〜3日かけて段階的に下がった 黄体ホルモンが少しずつ減る経過を反映していることが多い
体温が下がったのに、数日たっても生理が来ない 測り方による一時的な低下、排卵の遅れ、妊娠などを考える(次の項で解説)

※体温の下がり方と生理の開始の関係は、日本産婦人科医会[1]、厚生労働省研究班監修サイト[3]、体温調節の総説[2]の説明にもとづく目安です。

体温が下がったのに生理が来ないとき

体温が下がったのに生理が来ないときは、まず「本当に高温期が終わったのか」を確かめます。1日だけ体温が低かった場合は、測った時刻がいつもと違う、二度寝をした、口を少し開けていたなど、測り方の条件で値がずれただけのことがあります。翌日以降も低い値が続くかどうかを見てから判断してください。

体温が数日続けて低いままなのに生理が来ない場合は、その周期で排卵が遅れていた、あるいは排卵が起こっていなかった可能性があります。また、1日だけの体温の低下は妊娠していても起こることがあるため、高温期の途中で一度下がったから妊娠していない、とは言い切れません。生理予定日を過ぎても生理が来ないときは、妊娠検査薬を使える時期かどうかを確認してから検査するのが確実です。

生理がきそうでこない状態の考え方は生理がきそうでこないときで、生理が何日遅れたら妊娠を疑うかは生理が何日遅れたら妊娠?で詳しく解説しています。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「何日前」より「何日続いたか」で読む】

「生理の何日前に体温が下がるのか」という疑問はとても自然ですが、体温の低下と生理の開始はどちらも黄体ホルモンが減った結果として起こるので、どちらが先に来るかは周期によって入れ替わります。この日数に一つの正解を求めると、かえって混乱しやすいと考えています。

それより、低温期から上がった日を1日目として、高温期が何日続いたかを数えるほうが、生理の予測にも、妊娠の可能性を考えるときにも役に立ちます。数周期記録すれば、自分の高温期のいつもの長さが見えてきます。

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生理前に体温が高い・上がるのはなぜ?

生理前に体温が高いのは、その時期が高温期にあたるためで、多くはふつうの体の変化です。排卵のあとに増える黄体ホルモンが体温調節の基準点を引き上げるため、生理前の体温は排卵前より高く保たれます[2]。「生理前に体温が上がる」と感じるのも、多くは高温期に入ったことによるものです。

生理前は高温期なので、体温が高いのが普通

基礎体温で見ると、高温期は低温期より0.3〜0.5℃ほど高いのが一般的な目安です[3]。日本人女性約31万人・600万周期の記録を解析した研究では、低温期の平均は年齢によらず36.4℃、高温期の平均は29歳で36.7℃まで上がり、30代はその前後で安定していました[6]。この研究では、基礎体温は夏に高く冬に低い傾向もみられています[6]。

つまり、生理前の体温が低温期より0.3〜0.5℃ほど高いのは、体がふつうに働いているしるしです。ただし、36.7℃はあくまで多くの人の平均で、一人ひとりの「正しい値」ではありません。高温期が何度くらいなら普通か、平均と比べてどう考えるかは、高温期は何度から?基礎体温の平均で詳しく解説しています。

体温が上がるのは生理の何日前から?

体温が上がり始めるのは排卵のころで、生理の日から逆算すると、およそ2週間前(黄体期の長さの分だけ前)にあたります。典型的な黄体期は12〜14日[4]、日本人の基礎体温データから求めた高温期の中央値は11.8日[5]なので、「生理の約12〜14日前から体温が高くなり、そのまま生理前まで続く」と考えるとわかりやすいでしょう。

「生理の数日前になって急に体温が上がった」と感じる場合は、もともと高温期に入っていたのに、生理前の体調の変化で体温を意識するようになっただけのことがあります。基礎体温を毎朝つけていれば、高温期がいつ始まったかがグラフで確認できます。なお、低温期から高温期へ1日で上がらず、数日かけてじわじわ上がる周期もあります。その場合の考え方は高温期に体温がゆっくり上昇するケースをご覧ください。

生理前の「微熱」「熱っぽい」とPMS

生理前に「微熱がある」「熱っぽい」と感じるのは、多くの場合、高温期で体温が実際に0.3〜0.7℃ほど上がっていることによるものです。体温調節の基準点が高い方へ移るため、ふだんと同じ環境でも体が温かく感じたり、だるさを伴ったりすることがあります[2]。

生理前の不調として知られる月経前症候群(PMS)は、日本産科婦人科学会の指針で「月経前3〜10日の黄体期のあいだ続く精神的あるいは身体的症状で、月経発来とともに減退ないし消失するもの」と定義されています[7]。同じ指針では、身体症状の例として乳房の張り、下腹部の張り、頭痛、疲労感、腰痛、むくみなどが挙げられており、軽い症状まで含めると80〜90%の女性が何らかの症状を経験するとされています[7]。

ここで知っておきたいのは、PMSの症状として「発熱」が挙げられているわけではないという点です。生理前の「熱っぽさ」は、高温期による体温の上昇そのものか、だるさなどのPMSの症状を熱っぽいと感じているかのどちらかであることが多く、37.5℃以上の体温をPMSだけで説明してよいとは限りません。舌下で測る基礎体温と腋の下などで測る体温では値が異なるため、測定部位や普段の値、ほかの症状も確認してください。

💡 用語解説:月経前症候群(PMS)

月経前症候群(PMS)は、生理の3〜10日前から始まる心や体の不調で、生理が始まると軽くなったり消えたりするものをいいます。イライラ、気分の落ち込み、乳房の張り、頭痛、むくみ、疲れやすさなどが代表的です。症状がとくに心の面で強く、生活に支障が出るものは月経前不快気分障害(PMDD)と呼ばれます。日本産科婦人科学会の指針では、PMSと診断される人は20〜30%、PMDDは1.2〜6.4%と報告されています。

37℃を超えたら?発熱との見分け方

生理前の基礎体温が37℃前後になる人はいて、37℃台前半というだけで異常とは言えません。もともと低温期が36.5℃前後の人なら、高温期に36.8〜37.0℃くらいまで上がるのは自然なことです。一方、37.5℃以上になったり、寒気、のどの痛み、せきなどの症状を伴ったりする場合は、感染症などによる発熱も考えます。舌下で測る基礎体温と腋の下などで測る体温を直接比較せず、同じ測定部位での普段の値と比べてください。

厚生労働省の感染症法に基づく届出基準では、参考となる定義として37.5℃以上を「発熱」、38.0℃以上を「高熱」としています[8]。これは届出のための基準で、すべての場面での診断基準ではありませんが、高温期による上昇と発熱を分けて考える目安になります。

🔍 生理前の体温の上昇と発熱の見分け方(目安)

見るポイント 高温期による上昇 発熱を考えたい場合
体温 低温期より0.3〜0.5℃高い程度 37.5℃以上、とくに38.0℃以上
上がり方 排卵のころから上がり、ほぼ一定の高さで続く 急に上がる、日によって大きく上下する
ほかの症状 ほてりやだるさ程度 寒気、のどの痛み、せき、頭痛、強いだるさなど
生理との関係 生理のころに下がる 生理が来ても下がらない

※発熱・高熱の定義は厚生労働省の届出基準[8]による。表は目安で、体調に不安があるときは医療機関で相談してください。

妊娠の可能性がある時期に発熱したときは、自己判断で市販薬を飲む前に、妊娠の可能性があることを伝えて医療機関に相談してください。高温期に37℃を超えるときの考え方は、基礎体温の平均と37度超え・低いときの目安でも解説しています。

生理前なのに体温が下がらない・高いままのとき

生理予定日が近いのに体温が下がらない、高いまま続いているときは、妊娠の可能性と、その周期の排卵が遅れていた可能性の両方を考えます。どちらなのかは、「生理予定日から数えて何日か」ではなく、「高温期に入ってから何日たったか」が手がかりになります。ただし、基礎体温だけで両者を見分けることはできません。

高温期が16日以上続けば妊娠の可能性

着床すると、胚の栄養膜(のちに胎盤をつくる組織)から分泌されるhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンが黄体を支え、黄体ホルモンが出続けます。黄体ホルモンをつくる役目は妊娠の進行とともに黄体から胎盤へ移り、妊娠10週を過ぎると胎盤が主なつくり手になります[9]。このため、妊娠した周期では生理前に体温が下がらず、高温期がそのまま続きます。

厚生労働省研究班の監修サイトは、高温期は12〜14日続き、16日以上高温期が続く場合は妊娠の可能性があると説明しています[3]。黄体期の範囲の上限が17日前後とされていることもふまえると[4]、いつもの高温期より明らかに長く続いているかどうかが判断の手がかりになります。

ただし、高温期が長いことは妊娠の「可能性」を示すもので、体温だけで妊娠を確定することはできません。妊娠しているかどうかは、妊娠検査薬はいつから使えるかを確認して検査し、陽性なら産婦人科を受診して確かめてください。

排卵が遅れた周期は、生理予定日を過ぎても高温期が続く

「生理予定日を過ぎたのに体温が高い」というとき、妊娠のほかに考えたいのが、その周期の排卵が遅れていた可能性です。生理予定日は多くの場合、前回の生理開始日から「いつもの周期の日数」を足して計算しますが、排卵が遅れた周期では、高温期の始まりもそのぶん後ろにずれます。

たとえば、いつもは14日目ごろに排卵して28日周期の人が、ある周期では20日目に排卵したとします。高温期の長さはふだんどおり約14日なので、生理が来るのはおよそ34日目です。この場合、28日目の生理予定日の時点では、高温期はまだ8日目ほどにすぎません。予定日を過ぎても体温が高いのは当然で、妊娠しているとは限りません。前述のとおり高温期の長さは比較的一定で[4]、周期のずれは主に排卵までの日数で生じるためです。

基礎体温をつけていれば、高温期が始まった日がわかるので、「高温期に入ってから何日目か」を数えられます。妊娠の可能性を考える目安の「16日以上」も、生理予定日からではなく、高温期の1日目から数えた日数です。体温がゆっくり上がって高温期の始まりがわかりにくい周期は、高温期にゆっくり体温が上がるケースの考え方が参考になります。

🌡️ 生理前に体温が下がらないときに考えること

状況 考えられること 確かめ方
高温期1日目から数えて16日以上続いている 妊娠の可能性 使える時期を確認して妊娠検査薬
予定日は過ぎたが、高温期はまだ14日に届かない その周期の排卵が遅れていた 高温期の日数を数えて様子を見る
37.5℃以上で、寒気やのどの痛みなどがある 感染症などによる発熱 体調にあわせて医療機関へ
測った時刻や条件がいつもと違う 測り方による値のずれ 条件をそろえて数日分を見る

※「16日以上」は厚生労働省研究班監修サイト[3]の説明による目安です。体温だけで妊娠を確定することはできません。

生理予定日に体温が下がっても妊娠していることはある

反対に、生理予定日のころに体温が下がっても、妊娠していることはあります。基礎体温は測った時刻や睡眠の状態などで日ごとに上下するため、1日だけ低い値が出ても、それだけで高温期が終わったとは言えません。下がった値が数日続き、いつもどおりの生理が始まれば、高温期が終わったと考える目安になります。ただし、妊娠に伴う出血を生理と取り違えることもあるため、体温と出血だけで妊娠を否定することはできません。

「体温が下がったから今回はだめだった」と決めつけず、生理が来ない場合は検査薬で確かめることが大切です。基礎体温が下がったのに妊娠検査薬が陽性だった場合や、妊娠初期の体温の変化については、妊娠初期の基礎体温で詳しく解説しています。

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生理中の体温はどうなる?

生理中の基礎体温は、低温期に戻っているのが基本です。生理が始まるころに黄体ホルモンが減って体温が下がり、そのまま次の排卵まで低温期が続きます[1]。生理中は1周期のなかで体温が低い時期にあたります。

生理中は低温期に戻る

生理中の体温の目安は、その人の低温期の値です。日本人女性の大規模データでは、低温期の平均は年齢によらず36.4℃でした[6]。ただしこれも集団の平均で、生理中の基礎体温が36.0℃前後の人も、36.6℃前後の人もいます。大切なのは、高温期より低い値に戻っているかどうかです。

生理中は出血や生理痛でふだんと体調が違い、寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めたりすることもあります。こうした睡眠の変化で基礎体温の値がばらつくことがありますが、低温期の範囲で上下しているなら、心配はいりません。

生理中なのに体温が高い・37℃あるとき

生理が始まって1〜2日は、体温がまだ下がりきっていないことがあります。日本産婦人科医会の説明でも、生理が始まり、それにあわせて体温が下がるという順番で書かれており[1]、体温の低下が生理の開始より少し遅れる人もいます。生理の最初の数日だけ高めで、その後低温期の値に落ち着くなら、ふつうの経過と考えてよいでしょう。

一方、生理中ずっと体温が高いまま、あるいは37.5℃以上になる場合は、高温期の名残だけとは決めつけられません。測定部位と普段の体温も確認してください。風邪などの感染症による発熱を考え、症状にあわせて医療機関を受診してください[8]。また、生理だと思った出血が実際には生理ではなく、高温期が続いている場合もあります。出血の量がいつもよりかなり少ない、期間が短いといった違いがあり、体温が高いまま続いているときは、妊娠の可能性も考えて検査薬で確かめてください。

生理中の基礎体温がガタガタ・35度台のとき

生理中の基礎体温が日によって上下したり、35度台が出たりしても、それだけで異常とは言えません。基礎体温は小数点以下2桁まで記録してわずかな変化を見るものなので、測る時刻、睡眠時間、室温、体温計の当て方などの条件で値が揺れます。日本人のデータでは、基礎体温は冬に低くなる傾向もみられました[6]。

見てほしいのは、生理中の数日の値ではなく、1周期全体として低温期と高温期に分かれているかどうかです。生理中に体温がばらついても、その後に高温期へはっきり上がっていれば、排卵があったと推測する手がかりになります。低温期の値そのものに「理想の温度」はありません。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【1日の値ではなく、周期の「形」を見る】

生理前や生理中は体調の変化が大きく、基礎体温の値も揺れやすい時期です。1日だけ高い、1日だけ低いという値だけでは、排卵や妊娠の有無を判断できません。測定条件と数日間の推移を合わせて確認する必要があります。

基礎体温は、低温期から高温期に上がり、また下がるという1周期の形と、高温期の長さを読むための記録だと考えています。気になる値が出た日は、寝不足や測った時刻などのメモを残しておけば、あとで見返したときに落ち着いて判断できます。

生理前後の基礎体温で相談したいサイン

基礎体温だけで病気を診断することはできませんが、生理前後の体温の動きに次のような状態が何周期も続く場合は、婦人科で相談する目安になります。1周期だけの乱れもあるため、症状がなければ2〜3周期分の記録が判断の参考になります。ただし、妊娠の可能性がある、強い腹痛や多量の出血、発熱がある場合は、記録がそろうまで受診を待たないでください。

高温期が短い周期がくり返す

高温期に入ってから10日たたずに体温が下がり、生理が来る周期がくり返す場合は、黄体期が短い可能性があります。ASRMは、LH(黄体形成ホルモン)のピークから生理が始まるまでが9〜11日未満の場合を短い黄体期と表現し、臨床的には10日未満の黄体期を短いとする考え方を示しています[4]。

ただし、ASRMは同じ見解のなかで、黄体機能不全(黄体ホルモンの働きが不十分な状態)が、不妊や反復流産の独立した原因であることは証明されていないとしています[4]。高温期が短いことが気になる場合も、その周期だけで判断せず、記録を持って婦人科で相談してください。

二相に分かれない・生理前に下がる様子がない

何周期も基礎体温が低温期のまま推移し、高温期に上がる様子も、生理前に下がる様子もない場合は、排卵が起こっていない周期(無排卵周期)の可能性を考えます。ただし、基礎体温と排卵の関係を調べた古典的な研究では、ホルモン検査などで排卵が確認された33周期のうち4周期(12%)で、基礎体温が二相に分かれていませんでした[10]。基礎体温が一相性であることだけで、排卵がないとは決められません。

排卵が起こりにくくなる代表的な原因の一つが、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)です。グラフの形ごとの読み方は基礎体温の変化をグラフ別に紹介で解説しています。

🩺 婦人科への相談を考えたいサイン

基礎体温・生理の様子 考えられること
高温期が10日未満の周期がくり返す 黄体期が短い状態[4]
何周期も二相に分かれない 無排卵周期の可能性。ただし一相性でも排卵していることはある[10]
生理の周期が極端に長い・短い、不規則 排卵のリズムが乱れている可能性
妊娠を望んで一定期間たっても妊娠しない 基礎体温の形にかかわらず、不妊の原因を調べる検査を検討

※基礎体温は排卵を推測する手がかりで、診断を確定するものではありません。受診するときは、つけている基礎体温表を持参すると診察の参考になります。

生理前後の体温を正しく読むための測り方

生理前に体温が下がったかどうかを正しく読むには、毎朝できるだけ同じ条件で測ることが欠かせません。高温期と低温期の差は0.3〜0.5℃ほどしかないため[3]、測る条件がそろっていないと、「下がった」のか「測り方でずれた」のかを区別できなくなります。

基本は、朝、目が覚めたら起き上がらずに、寝たままの状態で婦人体温計を舌の下に入れて測ることです[1]。トイレに立つ、体を起こすといった動きでも体温は変わるので、体温計は前の晩に枕元に置いておきます。できるだけ同じ時刻に測り、寝不足、夜中に何度も起きた、お酒を飲んだ、体調が悪いといった、いつもと違う条件はメモしておきます。とくに生理前と生理中は、体温が「下がるかどうか」を見たい時期なので、条件のメモがあると判断がしやすくなります。

二度寝をした日や夜中に起きた日の測り方は二度寝したときの基礎体温の測り方で、基礎体温表の書き方や続けるコツは基礎体温表のつけかたで解説しています。

よくある質問

Q1. 生理前と妊娠初期の体温の違いは?

体温の高さそのものには大きな違いがありません。違いが出るのは高温期が続く期間で、妊娠していない周期では高温期の終わりに体温が下がって生理が来ますが、妊娠した周期では体温が下がらず高温期が続きます。高温期に入ってから16日以上続いている場合は、妊娠の可能性を考える目安になります。体温だけでは判断できないため、妊娠検査薬で確かめてください。

Q2. 生理前に体温が下がった場合、妊娠の可能性はありますか?

体温が数日続けて下がり、いつもどおりの生理が始まった場合は、妊娠が継続している可能性は低いと考えられます。ただし、妊娠に伴う出血を生理と取り違えることがあり、体温と出血だけでは妊娠を否定できません。ただし、1日だけ下がった場合は測り方の条件によるずれのこともあり、妊娠していても1日だけ低い値が出ることはあります。生理予定日を過ぎても生理が来ないときは、妊娠検査薬で確かめてください。

Q3. 生理前に体温が37.7℃になるのはなぜですか?

高温期の基礎体温は低温期より0.3〜0.5℃ほど高いのが目安で、37.7℃という値だけで原因を決めることはできません。舌下で測る基礎体温と腋の下などで測る体温は値が異なるため、測定部位と普段の値も確認してください。厚生労働省の届出基準では37.5℃以上を発熱の目安としています。寒気やのどの痛みなどがあれば感染症などを考え、医療機関に相談してください。測ったのが朝起きてすぐでなく、日中や夕方の場合は、ふだんより高めに出ることもあります。

Q4. 生理前なのに体温が低いのはなぜですか?

すでに高温期の終わりに入って下がり始めている、測った時刻や条件がいつもと違う、その周期は排卵が遅れてまだ高温期に入っていない、排卵がなかった、などが考えられます。1日の値ではなく、その周期の基礎体温全体が二相に分かれているかを見てください。何周期も二相に分かれない場合は婦人科で相談してください。

Q5. 生理中に体温が35度台でも大丈夫ですか?

生理中は低温期にあたるため、体温が低めになるのはふつうのことです。35度台が出ても、測り方や睡眠、季節(冬は低めになりやすい)などの影響で、それだけで異常とは言えません。大切なのは、生理のあとの排卵のころに高温期へはっきり上がるかどうかです。

Q6. 生理前に体温は何度まで下がりますか?

生理前に下がった体温は、その人の低温期の値に戻ります。何度まで下がるかは人によって違い、日本人女性の大規模データでは低温期の平均は36.4℃でした。高温期から0.3〜0.5℃ほど下がり、次の排卵まで低温期が続くのが一般的な経過です。

まとめ

生理前の基礎体温は、排卵のあとに黄体ホルモンの働きで上がった高温期が続き、妊娠しなければ高温期の終わりに下がって、生理のころに低温期へ戻ります[1][2]。体温が下がるのは生理の直前から生理が始まるころで、下がってから生理までの日数に決まった答えはなく、ほぼ同時から数日以内が目安です。生理の時期を予測するには、高温期が何日続いたかを数えるほうが役に立ちます。

生理前に体温が高いのは高温期にあたるためで、多くはふつうの変化です。37.5℃以上や寒気などの症状がある場合は発熱を考えます[8]。生理予定日を過ぎても体温が高いときは、高温期に入ってから何日目かを数え、16日以上続いていれば妊娠の可能性を考えます[3]。排卵が遅れた周期では、予定日を過ぎても高温期が続くことがあります。生理中は低温期に戻るのが基本で、高いまま続く場合は妊娠や発熱を考えてください。

高温期が短い周期がくり返す、何周期も二相に分かれないといった場合は、基礎体温表を持って婦人科で相談してみてください。

👶 妊娠がわかった方へ

この記事は、生理前後の基礎体温の変化を解説するものです。個別の基礎体温表の診断を行うものではありません。妊娠の確認や生理の不調については、産婦人科・婦人科で相談してください。ミネルバクリニックは、臨床遺伝専門医が常駐する遺伝の専門クリニックです。妊娠がわかったあと、赤ちゃんの染色体を調べるNIPT(新型出生前診断)をおこなっています。

参考文献

  • [1] 日本産婦人科医会. 排卵があると、なぜ基礎体温が低温期と高温期の二相性を示すのですか? [日本産婦人科医会]
  • [2] Baker FC, Siboza F, Fuller A. Temperature regulation in women: Effects of the menstrual cycle. Temperature (Austin). 2020;7(3):226-262. doi:10.1080/23328940.2020.1735927. [PMC7575238]
  • [3] 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ(厚生労働省研究班監修). 基礎体温. [ヘルスケアラボ]
  • [4] Practice Committee of the American Society for Reproductive Medicine. Diagnosis and treatment of luteal phase deficiency: a committee opinion. Fertil Steril. 2026. doi:10.1016/j.fertnstert.2026.06.014. [ASRM]
  • [5] Mitake S, Wada-Hiraike O, Kashiwabara K, et al. Distribution of the follicular and luteal phase lengths and their age-dependent changes in Japanese women: A large population study. Reprod Med Biol. 2023;22(1):e12516. doi:10.1002/rmb2.12516. [PubMed 37192936]
  • [6] Tatsumi T, Sampei M, Saito K, et al. Age-Dependent and Seasonal Changes in Menstrual Cycle Length and Body Temperature Based on Big Data. Obstet Gynecol. 2020;136(4):666-674. doi:10.1097/AOG.0000000000003910. [PubMed 32925608]
  • [7] 日本産科婦人科学会 女性ヘルスケア委員会. 月経前症候群・月経前不快気分障害に対する診断・治療指針(2023-2024年度). 2025年3月31日発行. [日本産科婦人科学会]
  • [8] 厚生労働省. 医師及び指定届出機関の管理者が都道府県知事に届け出る基準(別紙)第1 全般的事項. [厚生労働省]
  • [9] Tal R, Taylor HS. Endocrinology of Pregnancy. In: Feingold KR, et al., editors. Endotext. MDText.com. [NCBI Bookshelf NBK278962]
  • [10] Johansson EDB, Larsson-Cohn U, Gemzell C. Monophasic basal body temperature in ovulatory menstrual cycles. Am J Obstet Gynecol. 1972;113(7):933-937. [DOI: 10.1016/0002-9378(72)90659-X]

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プロフィール
仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、
臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。
のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、
検査結果の数値そのものだけでなく、
「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、
一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、
日本人として異文化の中で生活した経験があります。
価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。
この経験は現在の診療においても、
「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、
36週6日で一人を死産した経験があります。
その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、
そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。
現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、
出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、
家族の未来に関わる重要な意思決定です。
年齢や統計だけで判断するのではなく、
医学的根拠と心理的支援の両面から、
ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/
日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。

2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、
複数の海外メディア・専門誌で特集掲載
されました。

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