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妊活サプリメントの選び方|成分や男性向け妊活サプリのポイントも紹介

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医として遺伝医療に携わっています。

共働きで食事の準備が大変だったり外食が多かったりすると、妊活中の栄養が足りているか気になるものです。妊活サプリメントは、食事だけでは不足しやすい栄養素を補うための「栄養補助食品」です。なかでも葉酸は、妊娠を計画している段階からサプリメントで摂ることが国の基準で勧められている、根拠のはっきりした成分です。一方で、効果の根拠がまだ弱い成分や、根拠のない宣伝で行政処分を受けた商品もあります。この記事では、妊活サプリによく配合される成分の働きと根拠の強さ、飲み始める時期、選び方のポイントを解説します。

この記事でわかること
📖 読了時間:約8分
💊 葉酸・亜鉛・鉄・ビタミンD・マカ
★ 臨床遺伝専門医監修

Q. 妊活サプリは何を基準に選べばよいですか?

A. まず葉酸(1日400μg)が入っているかを確認し、そのうえで鉄・亜鉛・ビタミンDなど不足しやすい栄養素を一緒に摂れるか、続けやすいかで選びます。「授かり率が上がる」といった効果をうたう商品には注意が必要です。

  • ➤葉酸 → 妊娠の1か月以上前からサプリで1日400μg。根拠がもっとも強い成分
  • ➤鉄・亜鉛・ビタミンD → 若い女性で不足しやすく、食事で足りない分を補う
  • ➤マカなど → 小規模な研究にとどまり、妊娠しやすくなる根拠は確立していない
  • ➤男性 → 精子がつくられるまで約3か月。夫婦で早めに食生活を整える

💡 はじめに

サプリメントは薬ではありません。持病がある方、薬を飲んでいる方、不妊治療中の方は、自己判断で始めずに主治医に相談してからにしてください。

1. 妊活サプリメントの主な成分と働き

通販サイトで「妊活 サプリ」と検索すると、たくさんの商品が並んでいて、どれを選べばよいか迷う方も多いと思います。ここでは妊活サプリによく配合される成分を取り上げ、どんな働きがあり、妊活との関係がどのくらい確かめられているかを整理します。成分ごとの根拠の強さを知っておくと、商品の宣伝文句に振り回されずに選べるようになります。

葉酸

葉酸は、妊活サプリの中でもっとも根拠がはっきりしている成分です。葉酸はビタミンB群の一種で、DNAの合成や細胞分裂に欠かせません。妊娠のごく初期には、脳や脊髄のもとになる神経管がつくられるため、この時期に葉酸が不足すると、二分脊椎などの神経管閉鎖障害が起こるリスクが高まります。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性、妊娠初期の妊婦は、神経管閉鎖障害のリスクを減らすために、通常の食品以外(サプリメントなど)から葉酸を1日400μg摂ることが望まれるとされています[1]。神経管は妊娠に気づく前の時期にできあがるため、「子どもがほしい」と思い始めた時点で始めておくことが大切です。

葉酸はほかのビタミンB群と協力して働くため、ビタミンB群を一緒に含むマルチビタミンタイプのサプリも選択肢になります。葉酸サプリの飲み方や摂りすぎの注意点は、葉酸サプリメントの効果といつからいつまで飲むかで詳しく解説しています。

亜鉛

亜鉛は多くの酵素の成分となり、たんぱく質やDNAの合成、新しい細胞づくりに関わるミネラルです。皮膚や粘膜の健康、免疫、味覚の維持にも関わっています。男性では精子がつくられる過程にも必要な栄養素です。

妊娠中は血液中の亜鉛が少しずつ減っていき、授乳中も母乳中の亜鉛濃度は出産後の日数とともに下がることが知られています。「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、妊婦と授乳婦に上乗せする量(付加量)が設けられています[1]。若い世代の女性では、亜鉛の摂取量が推奨量に届いていない人も少なくありません。牡蠣、赤身の肉、レバー、豆類などから摂り、食事で難しいときにサプリで補う考え方でよいでしょう。

鉄分

鉄は、全身に酸素を運ぶ赤血球のヘモグロビンの材料です。月経で血液を失う女性は鉄が不足しやすく、鉄欠乏性貧血になりやすいことが知られています。妊娠すると胎児や胎盤のために鉄の必要量が増えるため、食事摂取基準では妊娠初期・中期・後期それぞれに付加量が設けられています[1]。

妊活との関係では、米国の看護師を対象とした大規模な観察研究で、サプリメントなどから非ヘム鉄を多く摂っていた女性ほど、排卵障害による不妊が少なかったという報告があります[2]。ただし観察研究のため、鉄を摂れば妊娠しやすくなると言い切れるものではありません。妊娠前から貧血がないかを確認し、不足している場合に補うことが基本です。

ビタミンD

ビタミンDは、カルシウムの吸収を助けて骨を丈夫にするビタミンです。免疫の働きにも関わっています。魚やきのこに多く含まれるほか、紫外線を浴びると皮膚でもつくられます。魚を食べる機会が減ったことや、日焼けを避ける生活習慣から、日本の若い女性や妊婦ではビタミンDが不足している人が多いことが指摘されています。

妊娠中のビタミンD不足は、妊娠高血圧症候群や早産などとの関連が研究されており、生まれてくる赤ちゃんのビタミンD不足(骨の変形が起こる「くる病」など)にもつながります。不妊治療の成績との関連も研究が進んでいますが、ビタミンDを補えば妊娠しやすくなるという結論はまだ出ていません。不足を補う目的で考えるのがよいでしょう。

マカ

マカはペルーのアンデス高地で栽培されるアブラナ科の植物で、カブに似た根の部分が食べられています。男性向けの妊活サプリによく配合されていますが、研究は少人数の短期間のものが中心で、妊娠しやすくなる根拠は確立していません。小規模な研究では、健康な男性がマカを4か月摂取したところ精液量や精子数が増えたという報告があります[3]が、妊娠率を調べたものではありません。

⚠️ 根拠のない宣伝に注意

2020年3月、マカを含むサプリメントの広告で「共同研究チームの機能性試験において、授かり率が190%高まることが示された」などとした表示について、消費者庁は合理的な根拠がないとして、景品表示法違反(優良誤認表示)で販売会社に措置命令を出しました。「授かり率が上がる」「妊娠できる」といった効果をうたう商品は、それだけで慎重に見るべきサインです。

「ミトコンドリア」をうたう商品について

ミトコンドリアは、私たちの細胞の中に数百〜数千ずつ存在し、生きるためのエネルギーをつくり出している小さな器官です。卵子は特に多くのミトコンドリアを持っており、年齢とともにその働きが落ちることが、卵子の質の低下に関わると考えられています。

ただし、ミトコンドリアそのものを食べ物やサプリで「摂る」ことはできません。「ミトコンドリア」を掲げる商品の多くは、ミトコンドリアの働きに関わるとされる成分(コエンザイムQ10など)を配合したものです。これらの成分が卵子や精子の質を改善し、妊娠につながるかどうかは研究段階で、確かな結論は出ていません。

ミトコンドリアの働きを保つうえで確かなのは、生活習慣です。少しきつめの有酸素運動(インターバルウォーキングなど)や、階段を使う、室内でスクワットをするといった日常の運動、ビタミンB群や鉄などを含むバランスのよい食事が土台になります。

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2. 1日に必要な量の目安と、多く含む食品

各成分の1日の摂取量の目安は、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」で年齢・性別ごとに示されています[1]。数値は年齢区分や月経の有無で変わるため、ここでは妊活中に押さえておきたい考え方と、多く含む食品をまとめます。

🥗 妊活中に意識したい栄養素と多く含む食品

栄養素 妊活中の目安の考え方 多く含む食品
葉酸 食事からの推奨量に加え、サプリなどから1日400μg(妊娠を計画している女性) 枝豆、ほうれん草、ブロッコリー、アボカド、レバー
鉄 月経のある女性は推奨量が高く設定されている。妊娠中は時期ごとに付加量あり レバー、赤身の肉や魚、あさり、小松菜、納豆
亜鉛 男性のほうが推奨量が高い。妊婦・授乳婦は付加量あり 牡蠣、牛赤身肉、レバー、チーズ、豆類
ビタミンD 食事からの目安量に加え、適度な日光浴でも皮膚でつくられる 鮭、しらす干し、さんま、きのこ類

※具体的な数値は、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」[1]の年齢区分ごとの表で確認してください。

葉酸の400μgは、食事だけで安定して上乗せするのが難しい量のため、サプリメントの利用が勧められています。それ以外の栄養素は、まず食事で摂ることを基本にし、足りない分を補うのがサプリの役割です。サプリはあくまで補助食品なので、過信は禁物です。食事の整え方は妊活の食事ガイドで詳しく紹介しています。

3. 男性にも妊活サプリメントは必要?

笑顔でサプリを飲んでいる男性

不妊の原因が男性側にあることは、決して珍しくありません。WHOの調査では、不妊のカップルのうち男性側に原因がある(男女両方に原因がある場合を含む)ケースは48%、女性側に原因があるケースは65%、男女両方に原因があるケースは24%でした。妊活は夫婦ふたりで取り組むものです。

男性も、必要な栄養素を食事で摂りつつ、足りない部分をサプリメントで補うという考え方は同じです。男性がやるべき妊活全体(精液検査、禁煙、お酒、年齢の影響など)については、妊活で男性がやるべきことで解説しています。

男性は野菜が不足しがち

2017年の国民健康・栄養調査では、成人男性の野菜の摂取量は平均295.4gで、目標とされる1日350gに届いていませんでした。若い世代では果物の摂取量も少ない傾向があります。野菜や果物にはビタミンやミネラルが多く含まれるため、摂取が少ないと、精子がつくられる過程に必要な栄養素も不足しやすくなります。

4. 妊活サプリメントを飲み始める時期と期間

妊活サプリは、妊活を始めると決めた早い段階から飲み始めるのがおすすめです。女性の葉酸は、先に述べたとおり妊娠の1か月以上前から始めておくことが大切です。妊娠に気づいてからでは、神経管ができあがる時期に間に合わないことがあります。

男性の場合は、精子がつくられるまでに約74日かかり、精巣から精管を通って射精されるまでを含めると約3か月かかります。今日の食生活や生活習慣が精子に反映されるのは数か月先になるため、夫婦そろって早めに整えておくことが大切です。

5. 妊活サプリメントを選ぶ3つのポイント

① 根拠のある成分が入っているかで選ぶ

女性の場合は、まず葉酸が1日量で400μg入っているかを確認します。そのうえで、鉄、カルシウム、ビタミンB群、ビタミンD など不足しやすい栄養素を一緒に摂れるものを選ぶとよいでしょう。反対に、「授かり率アップ」のように妊娠そのものへの効果をうたう商品や、根拠の弱い成分を前面に出した高額な商品には注意が必要です。

② 夫婦で一緒に飲めるものを選ぶ

妊活は夫婦で行うものです。夫婦で一緒に飲めるマルチビタミンなどを選ぶと、ふたりで取り組むきっかけにもなります。男性向けとしてマカを配合した商品も多くありますが、前述のとおり妊娠しやすくなる根拠は確立していないため、マカが入っているかどうかを選ぶ基準にする必要はありません。

③ 続けやすいものを選ぶ

サプリメントは薬ではないので、飲んですぐに何かが変わるものではありません。一定期間飲み続けることが前提になるため、粒の大きさ、におい、味など、無理なく続けられるかも大切です。妊活中はストレスもたまりやすい時期なので、飲むことが負担になるものは避けましょう。長く続けることを考えて、費用も無理のない範囲で選んでください。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「効きそう」より「根拠があるか」で選ぶ】

妊活中は、少しでも良いと言われるものを試したくなるのは自然なことだと思います。ただ、成分ごとに根拠の強さには大きな差があります。葉酸のように国の基準で勧められているものと、小さな研究しかないものを同じ重さで考える必要はありません。

サプリにお金をかけるよりも、まず葉酸をきちんと摂り、食事と生活習慣を整えることが、妊活の土台として大切だと考えています。

6. 葉酸が不足するとどうなる?

妊娠中の夫婦

葉酸は、赤血球をつくる働きや、胎児の細胞分裂を支える働きを持つビタミンです。妊娠前から妊娠初期にかけて葉酸を1日400μg摂ることで、神経管閉鎖障害(脳や脊髄のもとになる神経管が、妊娠4〜5週ごろにうまく閉じないことで起こる先天異常)の発症リスクを減らせることがわかっています[1]。

言いかえると、この時期に葉酸が不足していると、神経管閉鎖障害のリスクが高くなります。葉酸は水に溶けるビタミンで体にためておけないため、妊活の段階から毎日続けることが大切です。なお、葉酸サプリを飲むべきか迷っている方は葉酸サプリは飲まないほうがいい?もご覧ください。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 妊活サプリはいつから飲めばよいですか?

妊活を始めると決めた時点からがおすすめです。女性の葉酸は、妊娠の1か月以上前から1日400μgを摂ることが勧められています。男性も、精子がつくられるまで約3か月かかるため、早めに食生活を整えておきましょう。

Q2. 妊活サプリで一番大事な成分は何ですか?

女性では葉酸です。妊娠を計画している女性がサプリメントなどから1日400μgの葉酸を摂ることで、胎児の神経管閉鎖障害のリスクを減らせることがわかっており、国の食事摂取基準でも勧められています。

Q3. マカを飲むと妊娠しやすくなりますか?

妊娠しやすくなるという根拠は確立していません。小規模な研究で精液量や精子数が増えたという報告はありますが、妊娠率を調べたものではありません。「授かり率が上がる」とうたったマカ配合サプリには、2020年に消費者庁が措置命令を出しています。

Q4. 男性も妊活サプリを飲んだほうがよいですか?

食事で栄養が足りていれば必須ではありませんが、野菜不足など栄養が偏りがちな場合は、マルチビタミンなどで補うのはひとつの方法です。まずは食事、禁煙、節酒などの生活習慣を整えることが基本です。

まとめ|妊活サプリメントはあくまでも栄養補助食品

妊活サプリメントは、食事だけでは不足しやすい栄養素を補うための栄養補助食品です。成分の中で根拠がはっきりしているのは葉酸で、妊娠の1か月以上前から1日400μgをサプリなどで摂ることが勧められています[1]。鉄・亜鉛・ビタミンDは不足しやすい栄養素として、食事で足りない分を補う位置づけです。

一方、マカや「ミトコンドリア」をうたう商品などは、妊娠しやすくなる根拠が確立していません。「授かり率が上がる」といった宣伝には注意し、根拠のある成分が入っているか、夫婦で続けやすいかで選びましょう。栄養バランスの中心は食事です。妊活中から妊娠後まで、食材で必要な栄養を摂りつつ、足りない部分をサプリで補うようにしてください。

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参考文献

  • [1] 厚生労働省.「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書. [厚生労働省]
  • [2] Chavarro JE, et al. Iron intake and risk of ovulatory infertility. Obstet Gynecol. 2006;108(5):1145-1152. [PubMed]
  • [3] Gonzales GF, et al. Effect of Lepidium meyenii (MACA) on sperm parameters in adult men. Asian J Androl. 2001;3(4):301-303. [PubMed]

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プロフィール

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、
臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。
のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、
検査結果の数値そのものだけでなく、
「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、
一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、
日本人として異文化の中で生活した経験があります。
価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。
この経験は現在の診療においても、
「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、
36週6日で一人を死産した経験があります。
その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、
そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。
現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、
出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、
家族の未来に関わる重要な意思決定です。
年齢や統計だけで判断するのではなく、
医学的根拠と心理的支援の両面から、
ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/
日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。
2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、
複数の海外メディア・専門誌で特集掲載
されました。

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