InstagramInstagram

【妊娠初期】双子を妊娠したかも?確定時期や体の変化、母体・胎児への影響まで解説

双子の妊娠を疑ったお母さんが次に知りたいことは、確定診断の方法や体への影響ではないでしょうか?

実際、双子妊娠による母体への負担は大きく、体調面に不安を感じるのは当たり前の反応でしょう。

そこでこの記事では、双子の妊娠について以下の内容について解説します。

  • ・確定診断の時期
  • ・母子への影響やリスク

双子を妊娠した後についてイメージを持ちやすいように解説しているので、不安を軽減できます。ぜひ、最後までご覧ください。

双子の妊娠初期!確定時期・妊娠率・双子の種類を解説

つわりが重かったり、第一子の時よりもお腹が張ったりという症状があれば、双子の妊娠も疑いますよね?

実は双子を妊娠したかもしれないと妊娠初期に感じても確定診断できる時期は決まっています。そこでこの章では、双子の妊娠が確定する時期や妊娠率・双子の種類について解説します。ぜひご覧ください。

双子の妊娠がわかる時期や診断方法

双子の妊娠がわかる時期は早くとも胎児心拍を確認できる妊娠6週目です。特に、二卵性双生児は別々の胎嚢に入っているため、超音波検査で目視の判断がしやすい特徴があります。

そして、妊婦検診で行う超音波検査で双子の妊娠であるか診断が行われます。つまり病院に受診しないことには、双子の妊娠かどうか確認することはできないのです。双子の妊娠特有の症状というのもないため、双子かも?と思っても憶測にすぎません。

また、双子妊娠の場合、妊娠検査薬で陰性になることもあります。理由は、妊娠後に分泌されるhCGホルモン(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)が早期から分泌されるため、検査時期には分泌が弱まっているからです。

妊娠はしていそうだけど、妊娠検査薬で陰性反応が出る方は、双子の妊娠かもしれませんね。

双子の出生率

厚生労働省のデータによると単胎出産が年間105万人に対して、双胎出産は年間2万人ほどです。そして平成16年度までは双子の出生率は上昇傾向でしたが、以降は徐々に減ってきています。

つまり、双子の出生率は「0.1%」であり、1000分の1の割合で双子が出生していることになります。割合だけで見ると思ったよりも少なく感じますよね。

※参考資料:厚生労働省/出生動向の多面的分析

双子の種類

双子の種類には大きく分けて「一卵性双胎」と「二卵性双胎」があります。

一卵性双胎は、「容姿が似ている」「性別・血液型が同じ」という点が特徴です。同じ受精卵で受精するため、同じ遺伝情報になるということですね。つまり顔や性格が瓜二つの双子の兄弟・姉妹は一卵性双胎になります。

一方の二卵性双胎は、「容姿は一卵性双胎に比べると似ていない」「性別・血液型が異なる場合がある」点が特徴です。本来排卵1回につき卵子は1つですが、何らかの原因で複数個排卵されることがあります。複数の卵子で同時に受精し二卵性双胎になった結果、別々の胎嚢で育ちます。

単胎・双胎妊娠の体の変化の違い5選

単胎と双胎で妊娠後の体の変化に違いがあるのか気になりますよね。

そこでこの章では、単胎妊娠と双胎で妊娠初期の症状にどのような違いが出るかを解説します。双子を妊娠しているかもしれないとお考えの方は、ご自身の症状と照らし合わせながらぜひご覧ください。

1. つわりが重い

hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)が単胎妊娠よりも多く分泌されるため、つわりが重くなる可能性があります。

ただし、妊娠初期のつわり症状には個人差があります。そのため、双胎妊娠だからといって必ずしもつわりが重い訳ではありません。つわりが重い場合、オーバーワークや過度な運動は避け、自分の体を労ることも大切ですよ。

また、つわりが重いと食欲がなくなるため、食べられるものを食べられる時に食べられる量で食べることをおすすめします。アイスや素麺など冷たく喉越しの良いものは、比較的食べやすいでしょう。

2. 胃の圧迫感

単胎妊娠よりも子宮が大きくなるため、胃が下から圧迫されやすくなります。胃が圧迫されると満腹感を感じやすかったり、食欲がなくなったりします。食べすぎると戻しそうになることもあるので、腹八分目で止めておくことも大切ですね。

一方で胃の圧迫感がHELLP症候群のサインということもあるので注意が必要です。HELLP症候群とは、みぞおちや胃の不快感・痛みを主訴として、母体に様々な悪影響を及ぼす病気です。

胃の圧迫感が続いたり、酷くなったりするようであれば、一度かかりつけ医へ相談することをおすすめします。

3. お腹が張りやすい

お母さんが動くと子宮の筋肉が緊張して子宮収縮が起こるため、お腹が張りやすくなります。だからといって全く動いてはいけないという訳ではないので安心してくださいね。

お腹が張る時は無理に動かず座ったり、横になったりして休みましょう。少し休んでも落ち着くようであれば、異常ではないため安心してください。

もしお腹の張りが治らないなら、一度かかりつけ医に相談しましょう。お腹が張った時の状況をメモしておくと、医師に異常かどうかを判断してもらいやすくなりますよ。

4. 便秘になりやすい

排卵後に分泌されるプロゲステロンというホルモンが腸の動きを弱めるため、便秘になりやすいです。プロゲステロンには受精卵が着床しやすいように子宮内膜を柔らかくし、妊娠後は乳腺を発達させる働きがあります。

また、腹筋と大腸の間で子宮が大きくなるため、トイレの際に腹圧がかけにくいことも便秘になる原因です。水分をこまめに摂ったり、便を柔らかくする薬を処方してもらったりして対処しましょう。

ただし、妊娠中の内服は胎児への影響も考えて、医師に相談することをおすすめします。

5. 腰痛になりやすい

双子を下半身で支えるため、一人を妊娠するよりも腰への負担が大きく、腰痛になりやすいでしょう。また、お腹が重いため猫背になりやすく重心が前に傾くと、腰の負担が大きくなります。

そこで、骨盤ベルトで正しい姿勢を維持したり、マッサージで凝り固まった筋肉をほぐしたりするなどの対策を行い、上手く付き合っていきましょう。

【リスク】双子妊娠による母体・胎児への4つの影響

双子とお母さん

双子を妊娠するとお母さんとお腹の子どもにも様々な影響があります。特に怖いのが、双子を妊娠した後に発症する病気ではないでしょうか?

双子を妊娠するのはとても素敵なことである一方で、母体・胎児への負担も大きくなるリスクがあるのです。この章で紹介する病気の症状が出た時は、すぐ医師に相談しましょう。

1. 妊娠高血圧症候群

妊娠高血圧症候群とは、妊娠後に高血圧になる妊婦特有の病態です。通常、妊娠20週から出産後12週までの期間で発症・改善します。一方で、産後12週以降も高血圧が続くようであれば別の原因が考えられるため、医師に相談することをおすすめします。

高血圧の他に、蛋白尿や胎盤が剥がれたり、けいれん(子癇)したりするなども重篤になるケースもあります。収縮期血圧が140mmHg以上もしくは拡張期血圧が90mmHg以上の人は、妊娠高血圧症候群を疑い、かかりつけ医に相談しましょう。

※参考資料:厚生労働省/女性に優しい職場づくりナビ

2. 仰臥位低血圧症候群

仰臥位(ぎょうがい)低血圧症候群とは、仰向けになった際に低血圧になる双胎妊娠のお母さんに起こりやすい妊娠後期の症状です。妊娠後期に仰向けになると大きくなったお腹が太い静脈を圧迫します。その結果、血流障害となり、低血圧症状が現れます。

低血圧になると気分不良やめまいなどの症状が出ます。そんな時は無理に動かず、左向きで横になると症状が改善します。

低血圧になり転んでしまうと、赤ちゃんへのダメージも心配です。もし横になりにくい状況なら、周りの人に助けを求め、すぐに対処することが重要ですね。

3. 双胎間輸血症候群

双胎間輸血症候群とは、2人の胎児に送られる血流のバランスが悪くなり、成長に差が出る双子妊娠特有の症状です。胎児は臍帯を通じてお母さんから酸素や栄養をもらいます。しかし双子の場合、血管の状況により平等に酸素や栄養を届けられなくなります。

また血流以外にも、羊水の量も胎児の成長に影響します。羊水が増えすぎた方の胎児は心不全、羊水が少なすぎる方の胎児は成長が妨げられるリスクがあるのです。羊水穿刺やレーザー治療などで対処できます。

胎児の成長に影響する緊急性の高い症状なので、早期に医師に相談し適切な治療をしてもらいましょう。

※参考資料:双胎間輸血症候群(TTTS) – 国立成育医療研究センター

 

4. 切迫早産

切迫早産とは、子供が未成熟のまま早期に出産されてしまう可能性がある状態です。

具体的には、妊娠22週0日〜36週6日の出産が早産と言われます。子宮収縮が起こり赤ちゃんの出口(子宮口)が開いているものの、まだ出てはいません。

切迫早産の主な原因は、子宮が細菌に感染することです。そのため、お下を清潔にしておくとともに、定期健診を欠かさないことがお母さんにできる予防策です。

生理痛のような下腹部の痛みが続き、体を休ませてもお腹の張りが治らない時は、必ずかかりつけ医に相談しましょう。

出産前に知っておきたい単胎・双胎妊娠の違い

単胎と双胎の出産費用や入院期間などの違いが知りたいと双子を妊娠した夫婦なら必ず考えます。そこでこの章では、単胎と双胎妊娠の以下の内容について違いをお伝えします。

  • 出産費用
  • 出産方法
  • 入院期間

単胎妊娠とは少しずつ違うため、出産後に後悔しないためにも、ぜひご覧ください。

出産費用

出産費用は、1人の出産あたり原則「42万円」であるため、双胎出産だと「84万円」になります。もちろん出産育児一時金は2人分の補助を受けられ、経済的な負担が増えることはないため、安心してください。

ただし双子の出産は、出産後も単胎出産よりも経済的負担が大きいと想像できますよね。だからこそ、様々な制度やサポートシステムを知っておくと負担を軽減できます。

例えば、双胎出産の方へミルクやオムツなどの消耗品の補助をしてくれる市区町村があります。他にも双子の1人の保育料が半額免除などの制度を設けている場合もあります(夫婦の総所得によりますが…)。

経済的な負担を少しでも減らすためにも、まずはお住まいの市区町村へ問い合わせてみることをおすすめします。

※参考資料

厚生労働省/出産育児一時金について

厚生労働省/平成30年度子ども・子育て支援推進調査研究事業

出産方法

双子の出産方法は「経膣分娩」と「帝王切開」の2種類です。

経膣分娩は自然分娩ともいわれ、産道から赤ちゃんが出てくる出産方法です。子宮口を開くために長時間の陣痛に耐えるだけの体力が必要であり、状況次第では医師の判断で帝王切開に変更することもあります。

帝王切開とはお腹を切り、人工的に赤ちゃんを出産する方法です。経膣分娩に比べて短時間で出産が終わる一方、出血量が多かったり、お腹に傷が残ったりするデメリットがあります。妊娠高血圧症や骨盤が狭く経膣での出産リスクが高い方は、帝王切開になります。

つまり、双子を出産するからといって自然分娩ができない訳ではないということです。どちらの出産方法でも、お母さんが大変な思いをして赤ちゃんを産むことに変わりはありません。頑張っているお母さんをしっかりとサポートしてあげましょう。

入院期間

経膣分娩なら5日間、帝王切開なら7日間ほど入院します。

経膣分娩はおよそどの病院も異常がなければ5日間で退院します。一方の帝王切開はお腹を切る手術なので、傷口の観察も含めて入院期間が2日ほど長くなります。

入院期間は、出産1〜2日はお母さんの体の回復がメインで、3日以降から母子同室が始まり、退院後の生活のイメージがつくように看護師から指導やアドバイスをしてもらえます。入院期間中に不安や疑問を解決できるように、医師や看護師にしっかりと質問しておきましょう。

まとめ: 双子を無事に出産するためにも体を大切に!

双子の赤ちゃんとお母さんの手

無事双子を出産するためには、お母さんの体が健康であることが第一です。単胎妊娠よりも体への影響が大きく、切迫早産などのリスクも高まります。定期的に妊婦検診を受けて、不安や症状のある時は、すぐかかりつけ医に相談しましょう。

そして何よりお母さんへの負担を少しでも軽減するために、お父さんをはじめ周囲の協力が不可欠です。大切な赤ちゃんを皆で守り、育てることが妊娠期間で重要となります。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

関連記事