欧州研究機構のアドバンスグラントで行われるNIPTの臨床試験に日本から共同参加する栄誉を頂きました。 ミネルバクリニックでは、世界中の国際認証を受けた遺伝子検査機関を厳選して業界オンリーワンの検査体制を整えています。

LCR(Low copy repeats)とは

ヘテロ接合性喪失(LOH)とは、ある遺伝子または遺伝子群の正常コピーが1つ失われるタイプの遺伝子の突然変異をいいます。ヘテロ接合性の喪失ががんの発生に寄与することがあります。
がんを抑制する遺伝子などの特定の遺伝子のLOHは、大腸がんや小細胞肺がんなどの特定のがんタイプと関連しています。また、LOHは、がんにかかりやすいという素因を遺伝的に受け継いだ個人においても特に顕著です。

ヘテロ接合性とは?

ヒトは必要とする多くのタンパクを作るために必要な情報を含んだ遺伝物質(遺伝子、DNA)を両親から受け継いでいます。遺伝子は、DNAの特定のセグメントであり、タンパクを作るのに必要な情報をコードしています(コード遺伝子といいます)。ヒトのゲノムには約28,0000の遺伝子がコードされており、核のあるすべての細胞にそのコピーが含まれています。一部、遺伝子は核外の細胞質にあるミトコンドリアにも含まれています。

遺伝子にはわずかな変異があり、それが個々人の違いの一因となっています。同じ遺伝子を人は父母からそれぞれ受け継ぎますが、この同じ遺伝子を「対立遺伝子」といいます。

ある人が同じ遺伝子の同じ変異を2つ持っている場合、その人はその対立遺伝子のホモ接合体と呼ばれます。人がその遺伝子の異なる2つの変異を持つ場合、その対立遺伝子のヘテロ接合体と呼ばれます。
分かりにくいので例示しましょう。たとえば目のいろを決める遺伝子があり、青がA、緑がa、茶色がa’とします。ABCはそれぞれ同じ遺伝子で違う色をコードしているだけなので対立遺伝子。AA aa a’a’ ならホモ接合。それ以外ならヘテロ接合です。

異常な遺伝子の変異によって引き起こされる遺伝病には、様々なものがあります。その中には、異常遺伝子のホモ接合体(コピーが2つある)の人だけに起こるものもあれば、異常遺伝子のコピーが1つしかない人(ヘテロ接合体)に起こるものもあります。

LOH Loss of Heterozygosity ヘテロ接合性の喪失とは?

LOHでは、1つの遺伝子または隣接する遺伝子のグループ全体が失われ、患部の細胞内に存在しなくなります。これは、細胞が正常な分裂と複製を行っているときに、DNAのその部分の複製を誤って欠失した場合に起こる可能性があります。

遺伝子が完全に消失している場合もあれば、遺伝子の一部がDNA上の別の場所に移動している場合もあります。いずれの場合も、その遺伝子がコードするタンパク質を正しく作ることはできなくなります。たとえばさっきの例でいうと、AaのAがなくなってaだけになる。ヘテロ接合性が失われるので、ヘテロ接合性喪失と呼ばれるのです。

LOHとホモ接合性を混同しがちですが、ホモ接合体は同じ遺伝子の対立遺伝子を2つ持っていますが、LOHの人は1つのコピーしかありません。
いえ。正確に言うと、ごそっと抜けてなくなるわけではなく、あっても機能しない遺伝子なのでないと同じで、「喪失」と表現されるのです。

発がん物質とLOH

発がん性物質は、LOHや他のタイプの遺伝的エラーを発生させやすくします。発がん性物質とはDNAに損傷を与える物質のことです。発がん性物質の一般的な発生源としては、喫煙、アスベスト、紫外線、放射線などがあります。これらの発がん性物質にさらされると、LOHが起こる可能性が高くなります。

LOHとがん

LOHは、正常な細胞ががん化して異常な複製を始める過程で、がん発生の過程で非常によく見られる事象です。LOHは、がんの発生に関与しうる遺伝子変異の一つです。
がん細胞は通常、複数のタイプの遺伝子変化を示しますが、1つまたは複数の遺伝子におけるLOHは、がん細胞ではよく見られる現象です。LOHは、遺伝性のがん症候群でもそれ以外のがんでも両方で見られます。

LOHはなぜ問題なのか?

LOHが問題となる理由はいくつかあります。
LOHが発生した後、LOHが発生した細胞では残っている正常遺伝子から正常なタンパクを作ることは可能なのですが、それが細胞の機能を維持するのに十分ではない言葉考えられます。片方の遺伝子しか働かなくても大丈夫なものもあるのですが、多くの遺伝子は対立遺伝子が両方必要になっています。しかし、ヒトには似たようなタンパクをコードする遺伝子がたくさんあるので、そういう遺伝子ならば、ほかの似たようなタンパクをコードする遺伝子の発現が増えてカバーしてくれることで病気にならなくて済むかもしれません。ところが、そういう「にたもの遺伝子」がない場合には、ほとんどのタンパクは構造は正常でも細胞の機能を営む程度の量を確保できずに機能不全を起こしてしまいます。

また、不幸なことにLOHで失われたもう片方の残っている遺伝子に病的な突然変異がある場合もあります。この場合はもともと、LOHで失われた遺伝子のほうが一方的に頑張っていたので、全くタンパクが産生されない状態となり、機能不全におちいることは避けられません。

いずれの場合も、必要な遺伝子から十分な量の正常なタンパク質を作ることは不可能です。

中には、LOHをおこしても問題のない遺伝子もあります。
しかし、特定のタイプの遺伝子のLOHは、より懸念されます。
それは、がん抑制遺伝子と呼ばれる遺伝子群で、がん予防にとって非常に重要な遺伝子です。通常はがん抑制遺伝子たちは細胞周期を調節する働きをしています。これらの遺伝子は、細胞が不必要に複製したり分裂したりしないようにしているのです。

ところが、LOHによってがん抑制遺伝子が機能しなくなると、細胞が異常に分裂し始め、がん化につながることがあります。

LOHは様々な種類のがんで発生すると考えられています。しかし、特定の遺伝子におけるLOHが、特定のがん種では多いこともわかってきています。

APC遺伝子(大腸がんに多く見られる)
PTEN遺伝子
RB1遺伝子
などがそれにあたります。

p53などの他のがん抑制遺伝子におけるLOHのような変異は関係するがんの種類も人数も非常におおくなります。

LOHと遺伝性がん

LOHは様々な種類のがんに見られますが、遺伝性のがんでは特に重要となります。
遺伝性のがん疾患を持つ人の場合、家族に同じタイプのがんを持つ人が複数いる可能性があり、若くしてがんになるリスクが高くなります。最も有名な遺伝性がんはは、乳がんの一部の人に発生する遺伝性のがんでしょう。

例えば、網膜芽細胞腫の多くは、遺伝性のがんになりやすい体質から生じると考えられています。RB1遺伝子(重要な腫瘍抑制遺伝子)の病的なコピーを受け継いでいる場合もありますが、もう一方の親から良いコピーを受け継いでいる場合が多いのですが、ここにLOHが発生し、正常遺伝子のコピーが取り除かれ、網膜芽細胞腫を発症すると考えられています。

このようなケースでは、若くして複数の腫瘍を発症することが多いです。

LOHとがん治療

「がん」という言葉が大きく多様な病気を指しているのですが、多くの人はこれをなかなか理解できません。同じ臓器のがんであっても、身体的・遺伝的特徴が異なる場合があります。さらに重要なことは、がんの種類によって、がん治療に対する反応が異なることもわかってきました。

特定の種類の突然変異によって引き起こされたがんを治療するのに役立つ特定の治療法の開発が進んでいます。

異なる変異によって引き起こされるさまざまな種類のがんについて理解を深めていくことで、より個別化された特別ながん治療が可能になると考えられています。

ほとんどの場合、研究はまだ初期の段階で実用にはまだまだ研究が必要です。現在、腫瘍の遺伝子配列決定を受けることで恩恵を受けることができるのは、通常、一部の肺がんなどの特定の種類のがん患者だけです。しかしながら、塩基配列を決定するシークエンシング技術がより合理化され、特定の突然変異を持つ患者が利用できる治療法が増えるにつれて、このような状況が将来もっとずっと一般的になる可能性があります。

また、グリオーマと特定のタイプのLOH(1p/19qと呼ばれる)を有する人が、標準的な化学療法に加えて放射線療法を受けた場合、より良い反応を示す可能性があることが示唆されており、遺伝子変異で治療を個別化することがもっとずっと進んでいくと考えられています。

LOHの特定のタイプやがんに存在する他の遺伝的問題についてより多くの知見が得られれば、より多くの標的治療法が開発されることとなり、LOHはがんによく見られる病気であるため、将来的にはLOHを有する特定の症例に対処することを目的とした治療法がより一般的になる可能性があります。

次世代シークエンサーの進歩とともに、ゲノム医療は急速に進歩しています。一翼を担う臨床遺伝専門医の役割はどんどん大きくなっていくことでしょう。
わたしたち遺伝専門医は、ゲノム情報を臨床に還元するための技術と経験と知識を有する専門医です。

この記事の著者:仲田洋美医師
医籍登録番号 第371210号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号

 

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