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発達障害は妊娠中にNIPTでわかる?わかる時期を徹底解説

妊娠中の方にとって、お子さんに何か障害があるのではないかという点は非常に気になることでしょう。
しかしそもそも発達障害とはいったいどんな障害なのでしょうか。

この記事では、妊娠中の方のために、発達障害の概要やわかる時期、検査方法などについて詳しく解説します。

発達障害とは?

発達障害とは、脳の働き方の違いにより、ごく幼い時から行動や情緒に特徴がある状態を指します。
脳の働き方が異なるため、現れる症状も多種多様です。

たとえば、自閉症、アスペルガー症候群、学習障害、注意欠陥多動性障害、チック症、吃音なども発達障害の一つです。

発達障害を持つお子さんは自分の得意・不得意な分野と、周囲の人との関わりのミスマッチが原因で生きづらさを感じたり、親御さん育児の悩みを抱えてしまったりすることがあります。

発達障害は妊娠中にNIPTでわかるのか?

発達障害を持つお子さんが生まれてくる可能性があるのならば、何とか妊娠中に検査をしてそのことを知っておきたいと思う方も少なくありません。

NIPTなどの出生前診断で知的障害は診断できますが、自閉症や注意欠陥多動性障害などの発達障害は診断できません。
発達障害は、成長の過程で症状が現れるものなので、妊娠中に判断するのは困難なのです。
知的障害と、発達障害が同じではないこと、妊娠中に判断できるかどうかも異なるのを覚えておきましょう。

ただし、発達障害に関わる大脳皮質の形成異常が起こっているかどうかを詳しく診断できる医療機関であれば、発達障害の兆候を見つけられる可能性もあります。
この場合でもあくまで兆候が見つけられるだけで、生まれてくるお子さんが発達障害を持っていると断定できるわけではありません。

発達障害はいつわかる?

発達障害は妊娠中にわかる?わかる時期を徹底解説

お子さんが発達障害を持っているか分かるのは、ケースによっても異なりますが、およそ2歳から3歳ころです。
2歳になる前に発達障害を持っているかどうかを判断するのはかなり難しいものの、気になる兆候を見せているお子さんもいます。

発達障害の種類や特性の強さによって、いつ頃症状が現れるかは異なりますが、年齢ごとに兆候が見えることもあるので、注意して見ておくとよいでしょう。

では、年齢ごとに見受けられる発達障害の兆候をご紹介します。

0〜2歳はあまり強い兆候は見られない

0歳から2歳であれば、まだそれほど発達障害の兆候が強く見られることはあまりないでしょう。
しかし、発達障害を持つお子さんは、抱っこを嫌がったり、笑う・泣くといった感情表現が少なかったりすることがあります。

もう少し大きくなってからも、言葉を話さなかったり、おもちゃを使って遊ぶことができなかったりするかもしれません。

もちろん、これに該当するからといって絶対に発達障害を持っているとは言えないので注意が必要です。
大きくなるにしたがって、発達障害の兆候と思える症状が消えることも少なくありません。

3〜4歳は症状が気になり始める

お子さんが3歳から4歳になると、発達障害の症状がやや強く出始めます。
たとえば、特定のものしか食べたがらない、落ち着きがないといった特徴が見られるかもしれません。

さらに、特定の物事に対するこだわりが非常に強く、おもちゃへの執着なども強くなることがあります。

5〜6歳は症状が目立ち始める

5歳から6歳になると、幼稚園や小学校で集団生活を送るようになり、さらに発達障害の症状が強く現れてきます。
集団行動が苦手で、人の話を聞かないという特徴が出てくるお子さんもいます。

さらに、日常と違うことが起こるとパニックになってしまったり、物事への執着やこだわりがさらに強くなったりするかもしれません。
お子さんによって症状の現れ方は異なるので、気になる言動が出てきたら医師や市区町村役場に相談するとよいでしょう。

発達障害の検査方法

お子さんが発達障害かもしれないと思ったなら、検査してみるのも一つの方法です。
発達障害の検査方法にはいくつかの種類があり、それぞれに特徴があるので、親御さんやお子さんによいと思える検査方法を選べるでしょう。

では、発達障害の代表的な検査方法を4つご紹介します。

1. KIDS(キッズ) 乳幼児発達スケール

KIDS(キッズ)乳幼児発達スケールは、1989年に「公益財団法人発達科学研究教育センター」より発表された検査方法です。
0歳1ヶ月から6歳11ヶ月の乳幼児6,000人を対象に行われ、標準化された検査で、場所や時間の制限を受けずに診断できるメリットがあります。

検査時間も10分から15分と短時間で、130個の質問に〇か×で答え、○の数を集計するだけで結果が分かります。
検査領域は運動、操作、理解言語、表出言語、しつけ、食事など9項目あり、乳幼児の行動全般から発達障害があるかどうかを診断します。

2. 新版K式発達検査

新版K式発達検査は、1951年に開発された検査で、改定を重ねながら2020年12月に最新版が発表されました。
新版K式発達検査は、お子さんの発達の状態を精神発達に絞って調べるものです。

全般的な発達の遅れ、バランスの崩れなどを調べるための検査であり、発達障害を早期発見するためのものではない点に注意が必要です。
お子さんが検査の問題に合格したかどうかも重要ですが、どんな反応を示したかに重点を置きます。

動作、言語反応、感情、社会的行動、対人的行動などの全体を観察し、記録を取ります。
「姿勢・運動」「認知・適応」「言語・社会」という3領域の得点を計算し、換算表を用いて発達年齢を導き出すのです。

検査時間はおよそ30分ほどですが、個人差が大きく1時間程度かかるお子さんもいます。

3. 遠城寺式乳幼児分析的発達検査

遠城寺式乳幼児分析的発達検査は、簡便な検査方法によりお子さんの発達を機能ごとに分析する検査方法です。
0歳から4歳7ヶ月のお子さんに適用され、30分前後で終わります。

親御さんとお子さんのかかわりを観察者がチェックし、4ヶ月から5ヶ月の間隔を開けて実施していきます。

「運動」「社会性」「言語」の3分野について質問がなされ、「移動運動」「手の運動」「基本的習慣」「対人関係」「発語」「言語理解」の6つの領域について発達障害を診断します。

4. 田中ビネー知能検査

田中ビネー知能検査は、お子さんの知的側面の発達状態を観察するための検査です。
知的発達のペースや水準について、問題を使ってチェックします。

ただ問題に正解すればよいわけではなく、課題を解決するという目標に向かってお子さんがどのようなアプローチをするかを観察していきます。

田中ビネー知能検査の大きな特徴は、言葉をほとんど使わず、問題をジェスチャーを使って伝え、動作によってお子さんに応えさせる点です。
お子さんが興味を失いにくく、楽しく検査できるのが大きな特徴です。

時間は30分から1時間程度かかります。

【まとめ】

発達障害は妊娠中にはわからない!気になる場合は検査を検討しよう

発達障害は、妊娠中に判断するのは極めて難しく、成長に伴って症状が現れるものです。
発達障害は一種類だけでなく、自閉症や学習障害、注意欠陥多動性障害などさまざまなものがあります。

発達障害の検査方法もたくさんあり、地方自治体からの補助によって無料で受けられるものもあるので、お子さんに気になる兆候がある場合には、利用してみるとよいでしょう。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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