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子どものADHDは見た目で分かる?診断と検査・治療法や相談先について解説

育児をしていると「周りの子と比べて我が子は少し違うのでは?」と心配になることは多々あります。集中力がなかったり、いつも落ち着かなかったりすることが多いと、ADHDを疑う気持ちも分かります。

そこでこの記事では、「我が子がADHDではないか?」と疑っている両親に向けて、以下について詳しく解説します。

  • ・ADHDの特徴・原因・治療方法・関わり方
  • ・ADHDとASD(自閉スペクトラム症)との違い
  • ・ADHD(注意欠如多動性障害)の方が困る具体的な場面
  • ・ADHDに関する相談先

ADHDの基礎知識に関して体系的に学べる記事になっているので、ぜひ最後までご覧ください。

ADHD(注意欠如多動性障害)の見た目で分かる特徴

見た目(行動パターン)からADHD(注意欠如多動性障害)と判断することはできます。ただし、以下の3つのことについて理解しておく必要があるでしょう。

  • ・【特徴】ADHDの3つのタイプ
  • ・ADHDの原因
  • ・ADHDとASD(自閉スペクトラム症)との違い

これらについて正しく理解していないとADHDか、それ以外の障害による特徴か判断できません。この章でお伝えする内容がADHDの有無を見分ける判断材料になれば幸いです。

 

【特徴】ADHDの3つのタイプ

ADHDとは、注意欠如・多動性障害(Attention-Deficit Hyperactivity Disorder)の略称で発達障害の一つです。近年、医療技術の進歩や社会的理解の浸透によりADHDについて知っている方も増えてきました。

ADHDには以下の3つのタイプがあります。

  • ・不注意優勢型:多動・衝動行動よりも不注意が目立つタイプ
  • ・多動性–衝動性優勢型:不注意よりも多動・衝動行動が目立つタイプ
  • ・混合型:上記の2つのタイプが混合しているタイプ
  • ADHDではない方でも多少当てはまる場合もありますが、ADHDは症状が強く長期的に続くことが特徴です。日常生活に支障が生じたり、社会で上手く馴染めなかったりするなどトラブルに直結する方は、ADHDかもしれません。

    発症は2歳頃と言われており、厚生労働省によると学齢期の小児の約3〜7%がADHDというデータもあります。このデータからも分かる通り、ADHDは一昔前と違い、珍しい障害ではなくなってきています。

    ※参考資料:厚生労働省e-ヘルスネット/ADHD(注意欠如・多動症)の診断と治療

     

    ADHDの原因

    医学的根拠のあるADHDの原因は未だに分かっていません。ただし、近年、医学の進歩
    により脳機能の障害、つまり脳が発達する過程で偏り生じることが原因と分かってきました。

    現時点で分かっている原因は、以下の2つです。

    • ・前頭前野・尾状核の機能障害
    • ・神経伝達物質の働きが弱い

    脳の一部分である前頭前葉・尾状核には、以下の働きがあります。

    • ・一つのことに集中する
    • ・物事のスケジュールを立てる
    • ・スケジュールに沿った行動をする

    つまり、前頭前野・尾状核が障害されると集中力が続かず意識散漫となり、多動・衝動行動として発症するのです。また、脳の神経伝達物質であるドーパミンの働きが弱いことで、物事に対して目的や意欲を持てなくなることも原因と分かってきました。

    「自分の育て方が原因ではないか?」と不安や自責の念を感じる方もいますが、子育てとADHDの因果関係は全くありませんのでご安心ください。

     

    ADHDとASD(自閉スペクトラム症)との違い

    ADHDは注意・多動・衝動性を特徴とした障害です。一方のASD(自閉スペクトラム症)とは、知的障害の有無に関わらず自閉症を伴う障害のことです。

    ASDは相手の言葉や身振り・手振りから感情や考えを読み取ることが苦手です。また自分の気持ちを相手に上手く伝えられないため、対人関係を困難や窮屈に感じやすい特徴もあります(対人関係における相互的反応の障害)。

    一方で興味・関心のある特定の物事に対して強いこだわりがあり、反復的かつ機械的な行動を得意とします(同一性へのこだわり)。

    ADHDの方は下記の症状をきっかけに、発症の有無や診断が行われます。

    • ・感情の共有ができない
    • ・目を合わせてくれない
    • ・微笑みかけても反応がない
    • ・口数が少ない、言語の発達が遅い
    • ・模倣が少ない
    • ・こだわりが強い
    • ・感情が敏感
    • ・集団行動が苦手

    言語の発達が遅いなどの知的障害が伴うADHDの場合は早期発見がしやすく、3歳頃までに診断されるケースが多いでしょう。一方でASD(アスペルガー症候群)は知的障害を伴わないケースがあり、学童〜成人以降で発症に気づくパターンもあります。

    同じような障害であるため一括りにされてしまいがちですが、ADHDとASDは似て非なる障害なのです。

    ※参考資料:NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター/自閉スペクトラム症(ASD)

    ADHD(注意欠如多動性障害)の方が困る具体的な場面12選

    注意欠損や多動・衝動性を特徴とするADHDの方は、日常生活を送る上で困難に感じることが多々あります。

    例えば、代表的なものとして以下の12項目が挙げられます。

    • ・周囲が気になり集中力が持続しない
    • ・一箇所に留まれない
    • ・長時間待てない
    • ・遅刻や忘れ物・ケアレスミスが多い
    • ・約束・提出物の期限が守れない
    • ・スケジュールを立てて予定通りに行動するのが苦手
    • ・優先順位をつけられない
    • ・マルチタスクが苦手
    • ・集団行動が苦手であり協調性がない
    • ・整理整頓ができない
    • ・感情が出やすい(すぐに怒るなど)
    • ・眠りが浅いため疲れやすい

    学童期では周囲からキャラクターや性格として受け入れており、ADHDと気づかないこともあります。しかし、社会人になると仕事でミスが目立ち、注意されやすくなります。周囲の目もあり徐々に障害が表面化した結果、発症に気づくこともあるでしょう。

    ADHDの診断と検査

    ADHDはアメリカ精神医学会(APA)のDSM-5(「精神疾患の診断・統計マニュアル 第5版」)に記載されている基準をもとに診断されます。一方で現代医療においてADHDに対する確立された医学的検査(採血やレントゲンなど)はありません。

    診断基準は、以下の通りです。

    • ・「不注意(活動に集中できない・気が散りやすい・物をなくしやすい・順序だてて活動に取り組めないなど)」と「多動-衝動性(じっとしていられない・静かに遊べない・待つことが苦手で他人のじゃまをしてしまうなど)」が同程度の年齢の発達水準に比べてより頻繁に強く認められること
    • ・症状のいくつかが12歳以前より認められること
    • ・2つ以上の状況において(家庭、学校、職場、その他の活動中など)障害となっていること
    • ・発達に応じた対人関係や学業的・職業的な機能が障害されていること
    • ・その症状が、統合失調症、または他の精神病性障害の経過中に起こるものではなく、他の精神疾患ではうまく説明されないこと

    ADHDの診断は、医師による視診や問診で行われます。また、虐待などの環境で育った子供がADHDに似た症状を発症するケースもあります。そのため、診察する医師の宰領や経験が影響することも考えられるでしょう。

    ※引用資料:厚生労働省e-ヘルスネット/ADHD(注意欠如・多動症)の診断と治療

    ADHDの治療法

    脳機能の障害が原因と分かってきたADHDは、以下の3つの治療が行われます。

    • ・薬物療法
    • ・環境調整
    • ・認知行動療法(CBT)

    完治ではなく、症状と上手く付き合えるように寛解(日常生活に支障が出ない程度の症状を維持すること)を目指します。

    では、1つずつ詳しく解説します。

     

    治療法①:薬物療法

    ADHDにおける薬物療法の目的は、完治や消失させることではありません。日常生活に支障なく、障害と上手く付き合っていくために症状を和らげることが目的です。

    薬物治療には、「脳の神経伝達物質のバランスを整えるもの」や「精神状態の安定を整えるもの」など様々です。薬効や副作用を考慮しつつ内服する方に最適な薬剤が選択されます。

    また、薬物治療を理解する上で、以下のポイントを押さえておきましょう。

    • ・薬の効果がで始めるまでに2週間以上かかる
    • ・長期的な内服が前提(寛解維持)

    つまり、症状をコントロールし続けるというイメージであり、対症療法が現代治療のメインになります。

     

    治療法②:環境調整

    環境調整をするのもADHDの症状と上手く付き合うための治療の一環です。

    具体的な症状と環境調整の例は、以下の通りです。

    • ・遅刻や忘れ物が多い:リマインダーや持参物を一式にまとめる
    • ・集中して作業ができない:耳栓や音楽を聴きながら作業する
    • ・集団行動が苦手:一人で取り組める習い事を勧める

    ADHDの有り無しに関わらず、人にはそれぞれ得意・不得意なことがあります。自分の特徴を理解しつつ周囲に協力してもらいながら、障害と上手く付き合える環境を整えることが重要なのです。

     

    治療法③:認知行動療法(CBT)

    認知行動療法とは認知(物事の捉え方)に対する歪みや偏りを修正して、あらゆる状況において適切かつ柔軟な行動が取れるようになるためのトレーニングです。

    具体的には、認知・行動への考え方を修正して思考のバランスを整えて、様々なストレスから解放します。

    例えば、学校の宿題が残り10問ある時に、「あと10問もある…」と「あと10問で終わる」という2パターンの捉え方があります。どちらも残り10問であることに変わりはありませんが、捉え方一つでその後の学習意欲や時間に差が現れます。

    このように物事の認知次第で、その後の行動が大きく変わるのです。

    ※参考資料:国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター

    【保護者向け】ADHDの子どもへの上手な関わり方

    我が子がADHD、もしくは可能性がある場合、そのように関われば良いか分からないと悩む方も多いのではないでしょうか?

    そこでこの章では、ADHDの子どもとの上手な関わり方を4つお伝えします。

    • ・「できること」に着目する
    • ・スケジュールを決める
    • ・ルールを決める
    • ・一人で抱え込まない

    ADHDの特徴を考慮した関わり方であるため、効果的かつ即実行可能であることがメリットです。ぜひ、今日からご活用ください。

     

    関わり方①:「できること」に着目する

    ADHDの方と関わる際「できないこと」に着目されがちであり、注意や指摘ばかりになると本人の自尊心や自己肯定感が低下する原因になります。

    そこで「できないこと」よりも「できること・できたこと」に着目する関わり方を心がけましょう。「できること・できたこと」を肯定的なフィードバックとして伝えることで、成功体験を重ねて自己肯定感を高められます。

    結果として次回以降の行動意欲や活力となり、前向きな性格に変化する機会になるのです。また、自分自身の強みを見つけるきっかけや物事へ集中して取り組むきっかけにもなるでしょう。

     

    関わり方②:スケジュールを決める

    ADHDの特性として、物事への柔軟性に欠けることが挙げられます。新しいタスクや急な予定の変更は思考や行動を停止させたり、パニックになりケアレスミスを連発したりします。

    そこで入念なスケジュールを決めて、行動計画を明確にしておく方法が有効です。場面ごとの柔軟な対応は求められず、本人も安心して行動できるメリットもあります。また、スケジュールが決まると行動にメリハリができ、集中力を高めることもできるでしょう。

    このように両親や周囲の関わり方一つで、ADHDと上手く付き合っていけるのです。

     

    関わり方③:ルールを決める

    場面に合わせた柔軟な対応が苦手なADHDの方へは、事前に明確なルールを決めておくと行動前の不安を解消できます。

    ルールが決まっていないと「失敗するのでは?」「自分だけが恥ずかしい思いをしたら?」と不安は膨らむばかりです。一方でルールが決まっているなら事前にあらゆる場面や状況をイメージできます。一緒に考えて安心させることもできるでしょう。

    また、ADHDの特徴である衝動行動やケアレスミスの予防もできます。育児をする両親の負担の軽減にもなるため、親子両者の関係性を保つ上でも重要な役割を果たします。

     

    関わり方④:一人で抱え込まない

    ADHDの子どもとの関わり方に絶対的な正解はありません。そして、育児は常に課題の連続であり、一人で悩んでも明確な解決策は見つからないことがほとんどです。

    そこで、専門家や知人に相談して自分以外の視点を補うことが重要です。

    例えば、精神・心療内科のある病院や家族・子育て経験のある知人へ相談する方法があるでしょう。また、ADHDをはじめ発達障害のある子どもを抱えた親の自助グループ・家族会を上手く活用する方法もあります。

    周囲へ相談するだけでも不安やモヤモヤした気持ちが解消されます。一人で乗り越えようとせず、辛かったり悩んだりした時は素直に周囲へ協力してもらいましょう。

    ADHDの相談先

    ADHDの子どもの育児は失敗や不安の連続であり、絶対的な正解はありません。そのため、育児について一人で悩んでも解決策や成功法を見つけるのは難しいでしょう。

    そこで重要なのは、ADHD育児の先輩や専門家に相談して、新しい視点や関わり方を学ぶことです。例えば、以下の相談先があります。

  • ・ADHD自体の情報収集や相談がしたい方
  • ・就労に関する相談やサポートを受けたい方
  • また、悩みや不安を周囲と共有することであなたの努力を認めてもらったり、気持ちが楽になったりするメリットもあります。

    では、1つずつ解説します。

     

    ADHD自体の情報収集や相談がしたい方

    ADHDの情報収集や相談なら以下の機関が良いでしょう。

    • ・発達障害者支援センター
    • ・精神保健福祉センター
    • ・自助グループ・家族会

    発達障害者支援センター精神保健福祉センターは、各都道府県に設定された障害者自身の自立支援や社会復帰を目的に設置された機関です。発達・精神障害・疾患の方が日常生活や仕事で抱えている悩みを相談できます。

    自助グループ・家族会を探すなら「日本発達障害支援ネットワーク」を利用すると良いでしょう。日本発達障害支援ネットワークとは、発達障害に関する全国の障害者団体や親の会とのネットワーク支援機関です。

    実際にADHDの子どもの育児経験やリアルな体験など、より身近な内容を聞いたり相談したりできます。

    ADHDをはじめ発達障害について両親や本人だけで悩んでも解決はしません。専門的な相談や支援を受けられるこれらの機関を利用して、1日でも早い解決を目指しましょう。

    ※参考資料
    国立障害者リハビリテーションセンター 発達障害情報・支援センター/発達障害者支援センター・一覧
    全国精神保健福祉センター長会/全国精神保健福祉センター一覧
    JDD 日本発達障害支援ネットワーク

     

    就労に関する相談やサポートを受けたい方

    ADHDが原因で社会に馴染めず、働くことに困難感を抱く方も多くいます。

    そこで就労に関する相談やサポートを受けたい方は、以下の機関を利用すると良いでしょう。

    • ・障害者職業センター
    • ・ハローワーク(公共職業安定所)
    • ・障害者就業・生活支援センター
    • ・就労移行支援事業所

    障害者職業センターとは、各都道府県に設置された職業支援機関のことです。就労継続支援や職業リハビリテーションなど実際に現場で働き続けるための支援が受けられます。

    また、専任の精神障害者担当カウンセラーにて主治医や医療関係者と連携を取りながら総合的な支援をしてくれます。

    ハローワークは発達障害に精通した専門アドバイザーから求人紹介やセミナーの開催、就職相談などを受けられる機関です。実施主体は国であるため初めての方でも安心して利用できるでしょう。

    障害者就業・生活支援センターとは、障害者の就業・生活の両面の相談・支援を総合的に行うために厚生労働省により設置された機関です。就労や障害特性を踏まえた雇用管理、生活設計に関する助言、関係機関との連携などの支援が受けられます。

    就労移行支援事業所は一般企業への就職を目指す65歳未満の人が利用する機関です。事業所内で作業実習や対象者の適正に合わせた就職支援を受けられます。

    ※参考資料
    独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構/地域障害者職業センター
    厚生労働省/ハローワーク
    厚生労働省/障害者就業・生活支援センター
    厚生労働省/就労移行支援事業所

    ADHDの子どもに対する3つの社会的なサポート体制

    近年ADHDに対する社会的な理解が浸透してきており、社会的なサポート体制も整ってきました。例えば、以下の社会的なサポート体制があります。

    • 自立支援医療(精神通院医療)
    • 障害者手帳の交付
    • 障害年金

    通院・治療費など出費が予測されるADHDの育児において、これらのサポートを上手く活用することで経済的な負担を軽減していきましょう。

    また利用したいと感じたら即行動できるように申請先もお伝えするので、ぜひご活用ください。

     

    サポート体制①:自立支援医療(精神通院医療)

    ADHDの根治的治療法は確立されておらず、生涯にわたり症状を上手くコントロールしていく必要があります。そのため長期的な通院が求められ、治療費や薬代など経済的負担が膨れ上がることが予測されます。

    これらの経済的な負担を軽減するための社会的なサポートとして、自立支援医療(精神通院医療)があります。

    自立支援医療(精神通院医療)とは、医療費が通常3割負担のところを1割負担まで軽減できる制度です。都道府県や指定都市が実施主体であり、対象となる方の状態は以下の3種類です。

    • ・精神通院医療(精神疾患に対する治療)
    • ・更生医療(身体障害に対する治療)
    • ・育成医療(身体障害があるお子様の治療)

    世帯所得や治療内容によって月当たりの自己負担上限金額が決められ、オーバーした分を負担してもらえます。通院・デイケア・訪問看護は保証対象ですが、入院は対象外である点に注意が必要です。

    申請先はお住まいの市区町村窓口で行えます。

    ※参考資料:厚生労働省/自立支援医療(精神通院医療)の概要

     

    サポート体制②:障害者手帳の交付

    ADHDなどの発達障害でも障害者手帳の取得は可能です。

    障害者手帳を取得することは義務ではありません。しかし、様々な社会的支援やサービスを受けられることを考えると、申請して損はないでしょう。

    障害者手帳には、以下の3種類があります。

    • ・身体障害者手帳
    • ・療育手帳
    • ・精神障害者保健福祉手帳

    ADHDで障害者手帳を申請するなら「精神障害者保健福祉手帳」です。取得により受けられる具体的な支援やサービスは、以下の通りです。

    • ・医療費の助成や税金の減免
    • ・特別支援学校への入学ができる
    • ・障害者枠で就職活動ができる
    • ・公共機関の入場料割引もしくは無料化
    • ・交通機関の運賃の割引

    障害者手帳の申請で経済的な負担を軽減しつつ、特別支援学校などの環境調整もしておきましょう。重要なのは、必要な時にすぐ利用できるようにしておくことです。

    申請はお住まいの市区町村窓口にて行えます。

    ※参考資料:厚生労働省/障害者手帳

     

    サポート体制③:障害年金

    障害年金とは公的年金(国民年金・厚生年金)の加入者が先天性障害もしくは何らかが原因で病気やケガを負った場合に支給される年金のことです。障害の程度により1〜3級に区分されます。

    支給金額については、厚生労働省の以下の表をご覧ください。

    障害年金表

    厚生労働省/障害年金について P3より画像引用)

    申請はお住まいの市区町村でできます。ただし、申請基準は厳しく手続きも難しいため、手続きをスムーズに行うためにも事前に市区町村窓口や年金事務所・社会保険労務士事務所に相談しておきましょう。

    ※参考資料
    厚生労働省/障害年金について P3
    厚生労働省/障害基礎年金お手続きガイド

    まとめ: ADHDを疑ったらまず医療機関を受診しましょう

    以上、ADHDの基礎知識から育児をする両親の相談先・社会的サポート体制などについて解説しました。ADHDを疑ったら、まずは医療機関を受診することが大切です。

    ADHDは脳機能の偏りが原因と解明されつつあります。しかし、現代医学では絶対的な原因は分かっていません。ただし、両親の子育ての仕方や関わり方との因果関係はないため、「自分が悪いのでは?」と責任を感じる必要はありません。

    また治療においても完治ではなく、生涯にわたり症状を上手くコントロールする対症療法がメインになります。薬物療法などの医療的な介入に加えて、環境調整や認知行動療法(CBT)など日常的な関わり次第で症状の改善は十分見込めます。

    ADHDの育児は悩みや不安の連続です。そのためこの記事でお伝えした相談先や社会的サポート体制を活用しつつ、精神的・経済的な負担を軽減しましょう。

    この記事がADHDについて詳しく知りたいと感じた方に役立てれば幸いです。

    プロフィール

    この記事の筆者:仲田洋美(医師)

    ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

    仲田洋美のプロフィールはこちら