この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)
ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。
記事の作り方(編集方針)

染色体検査(Gバンド法)は、血液の細胞を育てて、46本の染色体の数と形をまとめて調べる検査です。流産をくり返すご夫婦では、ご本人は健康なまま染色体の一部が入れ替わっている「均衡型転座」が見つかることがあり、原因がわからないまま流産を重ねる回り道を終わらせる手がかりになります。生まれ持った染色体の構成は一生変わらないので、一度の検査でわかったことは、これからの妊娠の計画やご家族の健康にもずっと使える情報です。このページでは、夫婦染色体検査でわかること・わからないこと、均衡型転座と流産の関係、マイクロアレイ検査との違い、費用と結果までの期間を、臨床遺伝専門医が解説します。
⏱️ 30秒でわかる要約
🧬 Q. 染色体検査で何がわかりますか?
46本の染色体の数の変化(クラインフェルター症候群・ターナー症候群など)と、大きな形の変化(均衡型転座・逆位・大きな欠失や重複)がわかります。小さな欠失・重複や、遺伝子の中の小さな変化はわかりません。
🧬 Q. どんな人が受けるとよいですか?
流産をくり返すご夫婦、無精子症など精子がとても少ない男性、月経が来ない・早発卵巣不全の女性、ご家族に転座が見つかった方、染色体の病気が疑われる先天異常のお子さんです。
🧬 Q. 費用・結果までの期間・検体は?
検査費用はお一人税込88,000円、検体は血液(ヘパリン採血)です。細胞を育てる工程があるため、結果までは約1か月です。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。
🧬 Q. 結果のあとはどうなりますか?
結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。均衡型転座が見つかった場合は、次の妊娠の見通し、出生前診断(羊水検査・絨毛検査は院内)、ご家族への影響まで一緒に考えます。
1. 染色体検査(Gバンド法)とは:46本の染色体の数と形を一度に調べる検査
染色体検査(Gバンド法)は、ヒトの細胞にある46本の染色体をすべて並べて、本数と形に変わりがないかを顕微鏡で調べる、いちばん基本の染色体検査です。血液の検査で受けられ、大人の方も、お子さんも受けられます。
染色体は、遺伝子が並んだDNAを細胞の中にしまっておくための「束」です。ヒトの通常の体細胞では、1番から22番までの常染色体が2本ずつ(44本)と、X染色体・Y染色体からなる性染色体が2本、合わせて46本あります。この46本の並びを「核型」といい、核型を調べる検査なので、英語では karyotyping(カリオタイピング)とも呼ばれます。
Gバンドとは:染色体の縞模様で番号と形を見分ける
染色体を特別な方法で染めると、1本1本に白黒の縞模様(バンド)が現れます。ギムザ(Giemsa)という染料を使うことから、この縞模様を「Gバンド」、この染め方を「Gバンド法(G分染法)」と呼びます。縞模様の並び方は染色体ごとに決まっているので、何番の染色体か、どこかが欠けたり、ほかの染色体とつながったりしていないかを見分けられます。
💡 地図にたとえると
Gバンド法は、世界地図を広げて「国」の数や形、配置が合っているかを見る検査です。国どうしが入れ替わっている(転座)といった大きな配置換えは見つけられますが、細かい番地(遺伝子1つ1つ)までは見えません。
Gバンド法の原理や歴史をさらに詳しく知りたい方は、Gバンディング(G分染法)とはで解説しています。このページでは、検査を受けるかどうかを決めるために必要なことを中心にお伝えします。
血液のリンパ球を育てて調べるので、結果まで約1か月
染色体がはっきり見えるのは、細胞が分裂する直前のごく短い時期だけです。そのため、採った血液(ヘパリン採血)の中の白血球(リンパ球)を育てて分裂させ、その途中で止めて染色体を観察します。細胞を育てる工程があるため、ふつうの血液検査よりも時間がかかり、結果までは約1か月です。
染色体検査の結果の見方:46,XX・46,XYと核型の書き方
結果は「核型」として、国際的に決められた記号で書かれます。変わりがない場合、女性は「46,XX」、男性は「46,XY」です。たとえば「46,XY,t(11;22)(q23;q11.2)」は、男性で、11番と22番の染色体の一部が入れ替わっている(t=転座)ことを表します。記号の意味は専門家でないと読み取りにくいため、当院では、臨床遺伝専門医が結果の意味と、これからの妊娠やご家族にとっての意味を、遺伝カウンセリングでご説明します。報告書の読み方の基本はNIPT/遺伝子検査結果の見かたもご覧ください。
2. 夫婦染色体検査でわかること・わからないこと
夫婦染色体検査(ご夫婦それぞれのGバンド法の染色体検査)でわかるのは、染色体の数の変化と、顕微鏡で見える大きさの形の変化です。流産をくり返す原因になりうる均衡型転座は、この検査で見つけるのが基本です。一方で、小さな変化はわかりません。
🔍 染色体検査(Gバンド法)でわかること・わからないこと
※見える大きさの目安は、米国の専門家による合意声明[5]による。
わかること:数の変化と、大きな形の変化
染色体が1本多い・少ないといった数の変化(数的異常)と、染色体の一部が入れ替わる・向きが逆になる・欠ける・増えるといった形の変化(構造異常)がわかります。染色体の変化の全体像は染色体異常の種類とはにまとめています。
わからないこと(検査の限界)
Gバンド法は顕微鏡で見る検査なので、見える大きさに限りがあります。米国の専門家の合意声明では、Gバンド法は3Mbほどの変化を見つけられることもある一方で、5〜10Mbの変化を見逃すことも多いとされています[5]。そのため、次のことはこの検査ではわかりません。
- ●小さな欠失・重複:22q11.2欠失症候群のような微小欠失症候群は、マイクロアレイ染色体検査などで調べます。
- ●遺伝子の中の小さな変化:1つの遺伝子の病気は、遺伝子パネル検査やエクソーム検査で調べます。
- ●割合の低いモザイク:体の一部の細胞にだけ変化があるモザイクは、変化のある細胞の割合が低いと見つけにくくなることがあります。
- ●意味がまだはっきりしない変化:健康に影響しない個人差と考えられる形の違いや、意味の判断が難しい変化が報告されることがあります。どう受け止めればよいかは、遺伝カウンセリングでご説明します(遺伝子検査でいうVUSに近い考え方です)。
「染色体に変わりはありません」という結果でも、流産や不妊の原因がほかにないという意味ではありません。この検査で調べているのは、染色体の数と大きな形だけです。
流産した組織の染色体検査(流産染色体検査)との違い
「流産 染色体異常」で調べると、流産した組織(絨毛)の染色体を調べる検査も出てきます。こちらは赤ちゃん側の染色体を調べる検査で、ご夫婦の血液を調べる夫婦染色体検査とは目的が違います。欧州ヒト生殖学会(ESHRE)の不育症の診療ガイドラインは、流産した組織の遺伝学的検査は「ルーチンには勧めないが、原因の説明のために行ってよい」とし、行う場合はマイクロアレイ(アレイCGH)を勧めています[3]。ご夫婦の染色体検査は、ご夫婦のどちらかに転座などがないかを確かめる検査です。
3. 均衡型転座とは:ご本人は健康でも、流産の原因になることがある
均衡型転座とは、2本の染色体の一部が切れて入れ替わっているものの、遺伝情報の量は過不足なくそろっている状態です。量がそろっているので、ご本人はほとんどの場合健康で、検査を受けるまで気づきません。ただし、染色体が切れた場所で遺伝子の働きが変わることなどがあり、均衡型転座でも健康への影響が生じる場合があります。けれども卵子や精子ができるときに、量が偏った染色体の組み合わせ(不均衡型)が生まれることがあり、流産や不妊の原因になります。
均衡型転座とは:染色体の一部が入れ替わっている状態
たとえば11番の染色体の先端と22番の染色体の先端が入れ替わっていても、細胞全体で見れば遺伝情報は足りないところも余るところもありません。このため均衡型転座をもつ方(均衡型転座保因者)は、ふつうに生活していて、流産をくり返したり、不妊の検査を受けたりしたことをきっかけに見つかることが多いのです。均衡型の構造異常のしくみは、染色体の均衡型転座(均衡型構造異常)とはで詳しく解説しています。
均衡型転座と不均衡型転座の違い
卵子や精子ができるとき(減数分裂)、対になった染色体は2つに分かれます。転座をもつ方では、入れ替わった染色体の分かれ方によって、量がそろった卵子・精子と、一部が足りない・余る卵子・精子ができます。後者が受精すると、赤ちゃん側の染色体は「不均衡型」になり、多くは流産になります。まれに、不均衡型のまま生まれて、発達の遅れや先天異常につながることもあります。
🧬 均衡型転座と不均衡型転座の違い
※マイクロアレイで量の変わらない組み換えが見つからないことは、文献[5]による。
相互転座・ロバートソン転座・逆位
夫婦染色体検査で見つかる主な変化は、次の3つです。
- ●相互転座:2本の染色体の一部どうしが入れ替わっている状態です。
- ●ロバートソン転座:13・14・15・21・22番のような、くびれが端に近い染色体どうしが、長い腕どうしでくっついている状態です。染色体の数は45本に見えますが、ご本人は健康なことがほとんどです。21番が関わる場合は、お子さんの転座型ダウン症候群につながることがあります。
- ●逆位:1本の染色体の中で、一部の向きが逆になっている状態です。健康に影響しない個人差と考えられるものもあれば、流産に関わるものもあり、場所によって意味が違います。
流産をくり返すご夫婦で、転座が見つかる確率
流産を2回以上経験したご夫婦で、どちらかに転座などが見つかる確率は、ご夫婦の状況によって0.5%から10.2%まで変わると報告されています[1]。この数字は、オランダの6つの遺伝の専門施設で、流産を2回以上経験して染色体検査を受けたご夫婦(転座などがあった279組と、なかった428組)を比べた研究によるものです。
同じ研究では、確率を上げる要因として、2回目の流産のときのお母さんの年齢、流産が3回以上あること、どちらかのきょうだいに2回以上の流産があること、どちらかの親に2回以上の流産があること、の4つが挙げられています[1]。つまり、流産の回数だけでなく、ご家族の流産の歴史も、転座を疑う手がかりになります。
4. どんな人が染色体検査を受けるとよいか
染色体検査(Gバンド法)は、流産をくり返すご夫婦、精子がとても少ない男性、月経が来ない女性、ご家族に転座が見つかった方、染色体の病気が疑われるお子さんに向く検査です。大人になってから受ける方も多い検査です。
流産をくり返すご夫婦(習慣流産・不育症)
流産を2回以上くり返す状態を不育症(3回以上は習慣流産)と呼びます。ESHREのガイドラインは、不育症のご夫婦の染色体検査を「ルーチンには勧めないが、一人ひとりのリスクを評価したうえで行ってよい」としています(2018年。2022年の改訂でも遺伝の項目の推奨は変わっていません)[3][4]。前の章の4つの要因にあてはまる方は、とくに検査を考える意味があります。
ご夫婦のどちらに転座があっても流産の原因になりうるので、ご夫婦そろって受けることをおすすめしています。夫婦染色体検査と不育症の関係、ほかの不育症の原因との位置づけは、コラム夫婦染色体検査でわかること|不育症と転座でも解説しています。
男性不妊:無精子症・精子がとても少ない方
米国泌尿器科学会と米国生殖医学会の男性不妊の診療ガイドライン(2020年、2024年改訂)は、不妊の男性で、精液に精子がいない無精子症の方と、精子の濃度が1mLあたり500万未満で卵胞刺激ホルモン(FSH)が高い方に、染色体検査を勧めています。染色体検査で見つかる代表は、X染色体が1本多いクラインフェルター症候群(47,XXY)です。
同じガイドラインは、無精子症や精子がとても少ない方に、Y染色体のAZF領域の微小欠失の検査も勧めています。この微小欠失はGバンド法では見えないため、別の検査になります(Y染色体の異常とは)。精子を作るはたらきに関わる遺伝子の変化は、男性不妊症遺伝子検査(NGSパネル)で調べます。
女性:月経が来ない・早発卵巣不全の方
40歳より前に卵巣のはたらきが落ちる早発卵巣不全(POI)について、ESHREなど4つの学会による2024年のガイドラインは、薬や手術など治療が原因ではないPOIのすべての女性に染色体検査を勧めています[6]。見つかる代表は、X染色体が1本少ない、または一部が欠けているターナー症候群で、女性10万人あたり約50人とされています[7]。
POIの原因はほかにもあり、FMR1遺伝子の繰り返し配列の伸びはFMR1遺伝子リピート伸長検査、卵巣のはたらきに関わる遺伝子の変化は女性不妊症NGS遺伝子パネル検査で調べます。
先天異常があり、染色体の病気が疑われるお子さん
ダウン症候群のように、見た目の特徴などから染色体の病気がはっきり疑われるときは、Gバンド法で診断を確かめます。一方で、原因のわからない発達の遅れ・自閉スペクトラム症・いくつもの先天異常があるお子さんでは、Gバンド法よりもマイクロアレイ染色体検査を最初に選ぶことが勧められています。米国の専門家の合意声明では、こうしたお子さんで原因が見つかる割合は、マイクロアレイで15〜20%、Gバンド法で約3%(ダウン症候群などはっきりわかる染色体の病気を除く)と比べられています[5]。同じ声明は、Gバンド法は、はっきりした染色体の病気が疑われる方、ご家族に染色体の組み換えがある方、流産をくり返す方のためにとっておくべきとしています[5]。
ご家族に転座が見つかった方
均衡型転座は、親から子へ受け継がれていることがあります。ご両親・きょうだい・お子さんの誰かに転座が見つかったときは、ご自身も同じ転座をもっているかを確かめると、これからの妊娠の計画に役立ちます。ご家族がすでに検査を受けていて転座の内容がわかっていれば、その報告書がいちばんの手がかりになります。わかっていなければ、症状のないあなたご自身を検査します。
見た目や家族歴だけではわからないこと
均衡型転座をもつ方の多くは健康で、見た目にも、ふだんの生活にも、何の手がかりもありません。家族歴がはっきりしないことも少なくありません。だからこそ、流産をくり返す、妊娠しにくいといったきっかけがあったときに、一度調べておく意味があります。当院では、検査を受けずにリスクだけをご説明することはしておりません。検査をせずにリスクをお伝えするほうが、かえって危険だと考えているためです。
この検査より別の検査が向いている場合
知りたいことが、小さな欠失・重複(発達の遅れの原因など)や、1つの遺伝子の病気、保因者かどうかであれば、Gバンド法ではわかりません。次の章の表で、目的に合う検査を選んでください。迷うときは、遺伝カウンセリングで一緒に決めます。
5. マイクロアレイ・遺伝子検査との違い:どの検査を選ぶか
染色体検査と遺伝子検査の違いは、「どのくらいの大きさの変化を見るか」です。Gバンド法は染色体全体の数と大きな形を見る検査、マイクロアレイは染色体の小さな欠失・重複(量の変化)を見る検査、遺伝子検査は遺伝子の中の文字の変化を見る検査です。均衡型転座は量が変わらないので、マイクロアレイでは見つかりません[5]。流産をくり返す原因を調べるときに、まずGバンド法を選ぶのはこのためです。
🔬 染色体を調べる検査の違い(Gバンド法・FISH法・マイクロアレイ・CSA)
※Gバンド法とマイクロアレイの違いは文献[5]による。
知りたいことから選ぶと、次のようになります。
🔍 目的に合わせた検査の選び方
※料金は各検査ページに掲載の金額(2026年10月21日時点)。遺伝カウンセリング料は別にかかります。
6. 染色体の変化が見つかったら、次にできること
均衡型転座などが見つかっても、そこで終わりではありません。原因がわかれば、次の妊娠の見通しと、選べる道がはっきりします。ここでは、ご本人・これからの妊娠・ご家族のそれぞれについて、知ったあとにできることをお伝えします。
結果の受け取り方:臨床遺伝専門医が説明してからマイページへ
結果は、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。結果だけをお送りすることはありません。見つかった変化が健康に影響しない個人差なのか、流産や妊娠に関わるものなのか、ご家族にとってどういう意味があるのかを、記号の読み方から一緒に確かめます。
ご本人:流産の原因がわかり、次の妊娠の見通しが立つ
転座が見つかると、「なぜ流産をくり返したのか」に一つの答えが出ます。そのうえで知っておいてほしいのは、転座をもつご夫婦の多くが、その後、元気なお子さんを授かっていることです。オランダで、流産を2回以上経験して転座などが見つかったご夫婦278組と、見つからなかった427組を経過を追った研究では、元気なお子さんを授かった割合は、転座などのあったご夫婦で83%、なかったご夫婦で84%と、ほとんど同じでした[2]。
一方で、検査のあとに再び流産を経験した割合は、転座などのあったご夫婦で49%、なかったご夫婦で30%と、高くなっていました。不均衡型の染色体が出生前診断で見つかった割合と、不均衡型の染色体をもって生まれたお子さんの割合は、どちらも0.4%でした[2]。この数字は、流産をきっかけに転座が見つかったご夫婦の研究によるものです。転座の種類や、どちらの親がもっているかによって確率は変わるので、ご夫婦ごとの見通しは遺伝カウンセリングでお伝えします。
子どもを持つときの選択肢:知ってから選べること
転座が見つかったご夫婦には、主に次の道があります。どれを選ぶかはご夫婦が決めることで、どの選択も尊重します。
- ●自然に妊娠して、出生前診断で赤ちゃんの染色体を確かめる:妊娠したときに、赤ちゃんの染色体が正常核型か、均衡型転座か、不均衡型転座かを、絨毛検査や羊水検査で調べられます。絨毛・羊水からの胎児の出生前診断は当院で承っております。2025年6月から産婦人科を併設し、羊水検査・絨毛検査を院内で行っています。妊娠を考えている段階からご相談ください。
- ●体外受精と着床前検査(PGT-SR):体外受精でできた受精卵(胚)の染色体を調べ、量のそろった胚を子宮に戻す方法です。日本では、日本産科婦人科学会がPGT-A・PGT-SRを行う施設を承認し、承認した施設の一覧を公開しています(2026年10月時点で確認)。当院は体外受精・PGT-SRを行っていません。受ける場合は、不妊治療の医療機関でのご相談になります。くわしくはPGT-SR(着床前胚染色体構造異常検査)とはをご覧ください。
- ●出生前の検査をせずに妊娠・出産する:これも、そのまま選べる選択肢です。
体外受精やPGT-SRで妊娠した場合も、受精卵のごく一部の細胞を調べた結果であることに変わりはないため、妊娠中に赤ちゃんそのものを調べる確定検査(絨毛検査・羊水検査)について、当院でご相談いただけます。
ご家族:きょうだいや親も同じ転座をもっていることがある
均衡型転座は、親から受け継いでいることがあります。その場合、ご両親のどちらか、ご自身のきょうだい、ご自身のお子さんも、同じ転座をもっている可能性があります。症状がないまま流産をくり返しているご家族がいれば、その原因がわかるきっかけにもなります。ご家族に伝えるかどうか、どう伝えるかも、遺伝カウンセリングで一緒に考えます。ご家族が検査を受けるときは、あなたの報告書がいちばんの手がかりになります。
数の変化(クラインフェルター症候群・ターナー症候群など)が見つかったとき
不妊や月経の検査がきっかけで、クラインフェルター症候群やターナー症候群などの性染色体の数の変化が見つかることがあります。ターナー症候群は、多くの臓器に関わり、生涯のどの時期にも影響する病気として、国際的な診療ガイドラインがまとめられています[7]。病名がはっきりすると、受けるべき検査や、妊娠を考えるときの道筋が決まります。治療や経過の確認は、それぞれの専門の医療機関で行います。
変化が見つからなかったとき
ご夫婦とも染色体に変わりがなかった場合は、転座などによる流産の可能性は低くなります。ただし、第2章で書いたように、この検査で調べているのは染色体の数と大きな形だけです。流産をくり返す原因はほかにもあるため、不育症を診療している医療機関での検査とあわせて考えます。
7. 染色体検査の費用・結果までの期間・検査の流れ(夫婦染色体検査の費用)
染色体検査(Gバンド法)の費用は、お一人税込88,000円です。ご夫婦で受ける場合は、お二人分の税込176,000円になります。検体は血液(ヘパリン採血)で、結果までは約1か月です。当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。
ご予約
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遺伝カウンセリング臨床遺伝専門医
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採血ヘパリン採血
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結果のご説明約1か月後・マイページへ
💴 染色体検査(Gバンド法)の費用・期間・検体
※ご夫婦で同じ検査を同じ日に一緒に受ける場合は、遺伝カウンセリング料がおふたりで30分22,000円(税込)になります(検査費用の割引はありません)。
結果は、基本的に日本語版でお渡ししています。海外でPGT-Mを受けるなど、英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。
遺伝カウンセリングでは、この検査で何がわかり、何がわからないか、結果がご夫婦とご家族にとってどういう意味をもつかをご説明します。検査を受けるかどうかは、説明を聞いて納得してから決めていただきます。
8. 院長コラム
🩺 院長コラム【転座は、誰のせいでもありません】
私自身、希少な常染色体顕性(優性)遺伝性疾患の当事者です。子どもに病気を受け渡したくない、という遺伝の病気をもつ方の思いはよくわかります。また、お子さんが重い症状で発症したのをきっかけに、ご自身も同じ遺伝子の変化を持っていたとわかり、自分のせいだと責めてしまう親御さんを、何度も見てきました。私の当事者としての話は、遺伝性疾患の当事者として、臨床遺伝専門医になった理由に書いています。
均衡型転座が見つかると、「流産したのは自分のせいだった」と感じてしまう方がいます。けれども、染色体の組み換えは誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。ご本人は健康で、見た目にも生活にも手がかりがないからこそ、検査をしてはじめてわかります。
遺伝子検査は、やってみないとわからないことを、何度も経験してきました。検査をしないと何も言えない、というのが私の確固たる考えです。たとえば、ご家族の病歴が濃いものの、ご本人は大学を卒業して会社に勤めていた方が念のため検査を受けたところ、染色体の微小欠失が見つかったことがあります。こうした経験から、当院では、検査を受けずにリスクだけをご説明することはしておりません。検査をせずにリスクをお伝えするほうが、かえって危険だと考えているためです。
わからないまま流産をくり返すより、わかったことから次を考えるほうが前に進める、と考えています。転座がわかったご夫婦にも、次の妊娠の計画から出生前診断まで、当院で続けて支えられる体制を整えています。どの選択をされても、その選択を尊重します。
よくある質問(FAQ)
Q1. 夫婦染色体検査で何がわかりますか?
ご夫婦それぞれの46本の染色体の数と、大きな形の変化がわかります。流産をくり返す原因になりうる均衡型転座(相互転座・ロバートソン転座)や逆位、クラインフェルター症候群・ターナー症候群などの数の変化が見つかることがあります。小さな欠失・重複や、遺伝子の中の小さな変化はわかりません。
Q2. 染色体検査は血液検査でできますか?大人でも受けられますか?
はい。腕の血管から採血する、ふつうの血液検査と同じ方法で受けられます。大人の方も受けられ、流産をくり返す、妊娠しにくいといったきっかけで、大人になってから受ける方も多い検査です。食事の影響は受けないので、お食事をしてからご来院いただけます。
Q3. 染色体検査の費用はいくらですか?
検査費用はお一人税込88,000円で、ご夫婦お二人で受ける場合は税込176,000円です。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかりますが、ご夫婦で同じ日に一緒に受ける場合は、遺伝カウンセリング料がおふたりで30分22,000円になります。当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。
Q4. 結果はいつわかりますか?
結果までは約1か月です。血液の細胞を育てて分裂させてから染色体を観察するため、ふつうの血液検査よりも時間がかかります。結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングでご説明してから、マイページにアップします。
Q5. 夫婦で受ける必要がありますか?
流産をくり返す原因を調べる場合は、ご夫婦そろって受けることをおすすめしています。転座はご夫婦のどちらにあっても流産の原因になりうるためです。オランダの研究では、ご自身やご家族の流産の回数などによって、転座などが見つかる確率が0.5%から10.2%まで変わると報告されています。
Q6. マイクロアレイ検査とどちらを受ければいいですか?
目的によります。流産をくり返す・不妊の原因を調べるなら、均衡型転座を見つけられるGバンド法の染色体検査が向いています。均衡型転座は量が変わらないので、マイクロアレイでは見つかりません。原因のわからない発達の遅れや先天異常の原因を調べるなら、小さな欠失・重複がわかるマイクロアレイ染色体検査が向いています。
Q7. 均衡型転座が見つかったら、結婚や子どもを持つことに影響しますか?
均衡型転座をもつ方の多くは健康で、ふつうに生活しています。流産をくり返して転座などが見つかったご夫婦を追ったオランダの研究では、元気なお子さんを授かった割合は83%で、転座などがなかったご夫婦の84%とほとんど同じでした。知っておくことで、妊娠したときの出生前診断や、着床前検査(PGT-SR)など、選べる道が増えます。ご夫婦ごとの見通しは遺伝カウンセリングでお伝えします。
Q8. 均衡型転座は治療できますか?着床前診断(PGT-SR)は受けられますか?
染色体そのものを治す治療はありませんが、妊娠の進め方を選ぶことはできます。体外受精と着床前検査(PGT-SR)は、日本産科婦人科学会が承認した施設で行われています。当院は体外受精・PGT-SRを行っていませんが、妊娠したときの羊水検査・絨毛検査は院内で受けられます。
🧬 一度の染色体検査で、次の妊娠をご夫婦で考える
生まれ持った染色体の構成は一生変わりません。均衡型転座などの原因がわかれば、次の妊娠の見通しが立ち、ご家族が自分のことを考える手がかりにもなります。当院では臨床遺伝専門医が常駐し、検査の前後の遺伝カウンセリングから、羊水検査・絨毛検査による出生前診断まで、院内で続けて受けていただけます。
お電話でのお問い合わせ:03-3478-3768
参考文献
- [1] Franssen MTM, Korevaar JC, Leschot NJ, et al. Selective chromosome analysis in couples with two or more miscarriages: case-control study. BMJ. 2005;331(7509):137-141. [DOI: 10.1136/bmj.38498.669595.8F](PMID: 15985440)
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- [5] Miller DT, Adam MP, Aradhya S, et al. Consensus statement: chromosomal microarray is a first-tier clinical diagnostic test for individuals with developmental disabilities or congenital anomalies. Am J Hum Genet. 2010;86(5):749-764. [DOI: 10.1016/j.ajhg.2010.04.006]
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