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小児てんかんの遺伝子検査(2歳以降発症・215遺伝子)|子どものてんかんは遺伝する?原因・発達障害・治療につながること

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

小児てんかんの遺伝子検査(2歳以降発症・215遺伝子)

小児てんかんの遺伝子検査は、2歳以降に発作が始まった子どものてんかんの原因を、215の遺伝子でまとめて調べる検査です。原因の遺伝子がわかると、避けたほうがよい薬や、効果が期待できる食事療法など、次の一手が具体的に決まることがあります。生まれ持った遺伝子は一生変わらないので、一度の検査でわかったことは、お子さんの治療だけでなく、きょうだいやご家族のこれからを考えるときにも、ずっと使える情報になります。このページでは、子どものてんかんは遺伝するのか、発達障害との関係、この検査でわかること・わからないことを、臨床遺伝専門医が解説します。

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. 小児てんかんの遺伝子検査で何がわかりますか?

2歳以降に始まったてんかんの原因になりうる215の遺伝子に、病的な変化があるかを調べます。原因がわかると、避けたい薬・食事療法・ご家族への遺伝の確率がはっきりすることがあります。

🧬 Q. どんな人が受けるとよいですか?

2歳以降にてんかん発作が始まった方、薬が効きにくい方、てんかんと発達の遅れ・発達障害が一緒にある方、反復する熱性けいれんがある方、ご家族にてんかんの方がいる方です。

🧬 Q. 費用・日数・検体は?

費用は330,000円(税込)、結果までは2〜3週間です。検体は血液・唾液・口の内側の粘膜で、オンライン診療でも受けられます。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。

🧬 Q. 結果のあとはどうなりますか?

結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。原因が見つかれば、治療の相談先・ご家族の検査・次のお子さんへの確率まで一緒に考えます。意義がまだわからない変化(VUS)が見つかることもあります。

\ 一生変わらない遺伝子を知って、お子さんとご家族のこれからに /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

検査の前に臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明します。

お問い合わせはこちら | どの検査がよいか迷う方へ

1. 小児てんかんとは|子どものてんかんは遺伝する?

小児てんかんは、子どもの時期に始まるてんかんの総称です。てんかんの原因のひとつに遺伝子の変化がありますが、「遺伝子が原因」であっても、親から受け継いだとは限りません。てんかんは、脳の神経細胞が一時的に過剰に興奮することで、発作をくり返す病気です。子どものてんかんは、始まる年齢や発作の形によって多くの型に分かれ、型ごとに原因も見通しも違います。

小児てんかんの症状と発作の種類(欠神発作・ミオクロニー発作など)

発作の形は、脳のどこから異常な興奮が始まるかで変わります。全身がつっぱってガクガクとけいれんする発作だけでなく、次のように、けいれんに見えない発作もあります。

🧠 子どものてんかんでみられる主な発作

発作の種類 どんな様子か
強直間代発作 全身がつっぱったあと、ガクガクとけいれんする
欠神発作 数秒〜十数秒、急に動きが止まってぼーっとする。周りからは気づかれにくい
ミオクロニー発作 手足や体が一瞬ぴくっと動く
脱力発作 急に力が抜けて、倒れたり頭が垂れたりする
焦点発作 脳の一部から始まる発作。意識が保たれることも、ぼんやりすることもある
点頭てんかん(ウエスト症候群) 頭をカクンと前に倒すような短い発作(スパズム)をくり返す。乳児期に始まることが多い

このパネルは、発作が2歳以降に始まった方を対象に遺伝子を選んでいます。2歳以降に始まった発作であれば、てんかん性脳症と言われた方や、熱性けいれんをくり返す方も対象です。乳児期の点頭てんかん(スパズム)など、2歳より前に発作が始まった場合は、新生児てんかんパネルやてんかん包括的遺伝子検査が向いています(第3章の表)。

子どものてんかんの原因:遺伝子が関わるのはどんなとき

国際抗てんかん連盟(ILAE)は、てんかんの原因を「構造的・遺伝的・感染性・代謝性・免疫性・原因不明」の6つに分けています。この分け方は、原因によって治療の考え方が変わりうることから選ばれたものです[1]。脳の形の異常や、脳炎などの病気が原因のこともあれば、遺伝子の変化が原因のこともあります。また、代謝の病気(体の中で物質を分解・利用するしくみの病気)の多くも、遺伝子の変化で起こります。

MRIなどの画像検査や血液検査、脳波でも原因がはっきりしないとき、とくに発作が薬で抑えにくい場合や、発達の遅れが一緒にある場合は、遺伝的な原因を調べる意味が大きくなります。

「遺伝子が原因」と「親から遺伝」は同じではない(新生突然変異)

ILAEの分類は「遺伝的(genetic)は遺伝した(inherited)と同じではない」とはっきり書いています[1]。お子さんの代で新しく起きた遺伝子の変化(新生突然変異(de novo))によるてんかんが多いためです。

たとえば、ドラベ症候群でSCN1A遺伝子の病的な変化が見つかった子どもを調べた研究では、95%(80人中76人)で変化はお子さんの代で新しく起きたものでした。ドラベ症候群で、親御さんも同じ変化をもっているのは約5%とされています[4]。「てんかんは母親から遺伝するの?父親からなの?」という疑問は多いのですが、答えは原因の遺伝子と遺伝のしかたによって違います。原因がわかってはじめて、お子さんがどちらかの親から受け継いだのか、新しく起きたのかを確かめられます。

💡 用語解説:遺伝のしかた

常染色体顕性(優性)遺伝は、2本ある遺伝子のうち1本の変化で発症する遺伝のしかたです。常染色体潜性(劣性)遺伝は、2本とも変化したときに発症し、1本だけ変化をもつ人は保因者と呼ばれます。X連鎖遺伝は、X染色体にある遺伝子の変化によるもので、男の子と女の子で現れ方が違います。

小児てんかんと発達障害・知的障害

てんかんと発達の遅れ・知的障害・自閉スペクトラム症などの発達障害が一緒にあるとき、同じ遺伝子の変化が両方の原因になっていることがあります。発作そのものと、もとにある原因の両方が発達に影響する状態は、発達性てんかん性脳症(DEE)と呼ばれます。

このパネルには、発達障害やてんかん性脳症に関わる遺伝子が多く含まれています。たとえばCHD2・SYNGAP1・GRIN2A・KCNT1・PCDH19・TCF4などです。小児期に発症したてんかんの1,000人を大きな遺伝子パネルで調べたフランスの1施設の研究では、2歳以降に発作が始まった発達性てんかん性脳症の33%で、原因となる遺伝子の変化が見つかりました[3]。お子さんの発達障害の原因の一部を、てんかんの検査と一緒に調べられる、というのがこの検査の大きな特徴です。発達の遅れが中心のときは、発達障害の遺伝子検査や自閉症の遺伝子検査も選べます。

熱性けいれんからてんかんになる?

熱性けいれんは、熱が出たときに起こるけいれんで、生後6か月〜5歳ごろの子どもの2〜5%にみられるとされています[13]。熱が原因で起きる発作なので、熱性けいれんがあったというだけで、てんかんと診断されるわけではありません。

ただし、熱性けいれんをくり返す家族の中には、SCN1A遺伝子の変化による「全般てんかん熱性けいれんプラス(GEFS+)」の家系があります。SCN1A遺伝子の病的な変化によるGEFS+の方の95%以上は、親御さんも同じ変化をもつと報告されています[4]。このパネルは、反復する熱性けいれんがある方も対象にしています。熱性けいれんと遺伝の関係は、熱性けいれんと遺伝的要因や家族性熱性けいれん(GEFS+)のページでもくわしく解説しています。

小児てんかんは治る?

子どものてんかんには、成長とともに発作がおさまる「自然終息性」の型があります。ILAEの2022年の分類では、中心側頭部棘波を伴う自然終息性てんかんなどが、ひとつのグループとしてまとめられています[2]。一方で、発達性てんかん性脳症のように、発作が続きやすく発達にも影響する型もあります[2]。「治るのか」の答えは型によって違うので、診断と、必要に応じて原因の検査で見通しを考えることが大切です。

2. 小児てんかんの遺伝子検査でわかること(215遺伝子)

この検査では、2歳以降に始まった小児てんかんの原因として報告されている215の遺伝子を、1回の検査でまとめて調べます。1つずつ遺伝子を調べていく方法と違い、似た症状をおこす多くの遺伝子を同時に確かめられます。遺伝子検査の基本は、遺伝子検査(遺伝学的検査)とはのページで解説しています。

原因がわかると何が変わるか

原因の遺伝子がわかると、病名・避けたい薬・食事療法・見張るべき合併症・ご家族への確率が具体的になることがあります。たとえば、次のような病気が知られています。

💊 わかると治療・管理が変わることがある主な遺伝子(このパネルの対象)

遺伝子 関係する病気 遺伝のしかた わかると変わること
SCN1A ドラベ症候群・GEFS+ 常染色体顕性(ドラベ症候群の約95%は新しく起きた変化) カルバマゼピン・ラモトリギン・ビガバトリン・フェニトイン・ルフィナミドは発作を悪化させることがあり、避けるべき薬とされている[4]
SLC2A1 GLUT1欠損症(グルコーストランスポーター1欠損症) 常染色体顕性(約90%は新しく起きた変化) ケトン食療法が発作のコントロールに高い効果を示すとされる。バルプロ酸などは避けるよう勧められている[5]
POLG POLG関連疾患 多くは常染色体潜性 バルプロ酸は肝不全を引き起こすおそれがあり、禁忌とされている[6]
TSC1・TSC2 結節性硬化症 常染色体顕性(約3分の2は新しく起きた変化) 点頭てんかんにはビガバトリンが第一選択として勧められている。エベロリムスなどの効果も臨床試験で示されている[7]
TPP1 神経セロイドリポフスチン症2型(CLN2病) 常染色体潜性 脳室内に投与する酵素補充療法(セルリポナーゼ アルファ)があり、運動・言葉の機能低下を遅らせるとされる[8]。日本では2019年に承認されている(PMDA添付文書で確認)
BTD ビオチニダーゼ欠損症 常染色体潜性 ビオチンの内服で、発作や検査値の異常が速やかに改善するとされる[9]
CSTB ウンフェルリヒト・ルントボルク病(進行性ミオクローヌスてんかん) 常染色体潜性 フェニトインは症状を悪化させるおそれがあり避けるべきとされる[10]。ただし主な原因のくり返し配列の伸長は、このパネルでは見つけられない(第5章)

※当院はてんかんの治療・薬の処方は行っていません。薬や食事療法は、主治医・てんかんの専門の医療機関で決めます。遺伝のしかたと治療の情報は各文献による。

「わかるだけで何も変わらないのでは」と心配される方もいますが、上のように、原因によっては治療の選び方が具体的に変わります。治療が変わらない場合でも、病名がわかることで、これから起こりうることへの備え、使える制度、ご家族の検査、次の妊娠の計画を考えられるようになります。

原因が見つかる割合

遺伝子パネル検査で原因が見つかる割合は、てんかんの型によって大きく違います。小児期に発症したてんかんの1,000人を調べた研究では、全体の31%で原因の変化が見つかり、78の異なる遺伝子にわたっていました。型ごとにみると、ドラベ症候群では78%、2歳以降に発作が始まった発達性てんかん性脳症では33%、焦点てんかんでは18%、非定型欠神発作では16%でした[3]。

この研究は、当院のパネルとは別の、より大きな遺伝子パネルを使ったものです。そのため、数字は「型によって見つかりやすさが違う」ことを示す目安として受け取ってください。裏を返せば、検査を受けても原因が見つからないこともあります。そのときに何ができるかは、第6章で説明します。

3. 小児てんかんの遺伝子検査を受けるとよい方

受けるとよい場面

原因がわからないまま検査や病院を回る時間を、1回の検査で短くできる可能性があります。次のような方は、この検査を考える意味があります。

  • 2歳以降にてんかん発作が始まり、画像検査や血液検査で原因がわからない方
  • 抗てんかん薬が効きにくい、または薬の副作用で困っている方
  • てんかんと一緒に、発達の遅れ・知的障害・自閉スペクトラム症などがある方
  • 2歳以降に発作が始まり、てんかん性脳症と言われた方
  • 熱性けいれんをくり返す方、ご家族にも熱性けいれんやてんかんの方がいる方
  • きょうだいや次のお子さんへの遺伝が気になっている方

発症年齢で選ぶ:新生児・小児・思春期/成人と包括パネル

てんかんは始まった年齢によって原因になりやすい遺伝子が違うため、当院では発症年齢ごとのパネルを用意しています。迷うときは、遺伝カウンセリングで、発作が始まった年齢・発作の型・発達の状況から一緒に選びます。

🧭 発症年齢で選ぶ、てんかんの遺伝子検査(遺伝子数は2026年10月時点)

検査 向いている方 調べる遺伝子数
新生児てんかんパネル 生まれてすぐ〜2歳より前に発作が始まった方。ビタミンB6が効くてんかんなどが疑われる方 285
小児てんかんパネル(このページ) 2歳以降に発作が始まった子どものてんかん 215
思春期・成人発症てんかんパネル 思春期以降・大人になってから発作が始まった方 84
てんかん包括的遺伝子検査 発症年齢や型が絞れない方。治療に関係する遺伝子を幅広く調べたい方 1,057

この検査より別の検査が向いている場合

比べる相手は「検査の種類」です。お子さんの状況によっては、ほかの検査のほうが向いていることがあります。

🔍 別の検査が向いている場合

お子さんの状況 向いている検査
発作が2歳より前に始まった/ビタミンB6が効くてんかんが疑われる(ピリドキシン依存性てんかんの原因遺伝子ALDH7A1・PNPOは、このパネルに入っていません) 新生児てんかんパネル・てんかん包括的遺伝子検査
発達の遅れや知的障害が中心で、てんかんは一部 発達障害・知的障害の遺伝子検査(知的障害・発達障害の遺伝子パネル(689遺伝子))
染色体の一部が欠けたり増えたりしている可能性がある(顔つきの特徴や体の形の違いが複数ある など) マイクロアレイ染色体検査・染色体シーケンス解析(CSA)
症状が広く、病気をしぼれない/パネルで原因が見つからなかった 全エクソーム検査
型がはっきりしている ドラベ症候群の遺伝子パネル検査・結節性硬化症パネル・神経セロイドリポフスチン症パネル・進行性ミオクローヌスてんかんパネル
ご自身が保因者かどうかを知りたい(結婚・妊娠の前) 拡大版保因者スクリーニング(このパネルは保因者を調べる検査ではありません)

遺伝子検査は、やってみないとわからないことがあります。見た目や家族歴、症状だけでは、原因の有無を判断できないことが少なくありません。当院が、検査をせずにリスクだけをご説明することをしていないのは、そのためです。

\ 見た目や症状だけでは、わからないことがあります /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

当院は臨床遺伝専門医が常駐し、検査前の遺伝カウンセリングから結果のご説明まで、同じ専門医が担当します。

お問い合わせはこちら | 年齢や型が絞れない方はてんかん包括的遺伝子検査へ

4. 調べる遺伝子と関係する病気(215遺伝子)

このパネルの215遺伝子には、イオンチャネル(神経の電気信号を調節する部品)の遺伝子、神経のつなぎ目(シナプス)や脳の発達に関わる遺伝子、代謝の病気やミトコンドリアの病気の遺伝子が含まれています。代謝の病気には、治療法がある病気もあるため、てんかんの原因として見落とさないことが大切です。

治療につながる主な遺伝子

第2章の表に挙げたSCN1A・SLC2A1・POLG・TSC1・TSC2・TPP1・BTD・CSTBは、わかると治療や管理が変わることがある遺伝子です。ほかにも、このパネルにはPPT1・CLN3・CLN5・CLN6・CLN8・MFSD8など、神経セロイドリポフスチン症の遺伝子が含まれています。神経セロイドリポフスチン症の多くは常染色体潜性遺伝です[8]。くわしくは神経セロイドリポフスチン症1・3・5・6A・8のページで解説しています。代謝の病気をさらに広く調べたいときはライソゾーム病パネル、ミトコンドリアの病気が疑われるときはミトコンドリア病の遺伝子検査も選べます。

このパネルの遺伝子に関係する病気の解説ページ

当院のサイトでは、このパネルの遺伝子に関係する病気を、次のページでくわしく解説しています(かっこ内は関係する遺伝子)。

215遺伝子の一覧

このパネルで調べる215の遺伝子は次のとおりです。当院のサイトに解説ページがある遺伝子にはリンクを付けています。

🧬 小児てんかんパネルの対象遺伝子(215遺伝子)

ADSL、AKT3、ARG1、ARHGEF9、ARL13B、ARSA、ARSB、ASAH1、ASPM、ATIC、ATP1A2、ATP2A2、ATP6AP2、ATP6V0A2、ATP7A、ATRX、AUH、B4GALT1、BCKDK、BCS1L、BOLA3、BRAF、BTD、C12orf57、CACNA1A、CACNA1H、CACNB4、CASK、CASR、CC2D2A、CDKL5、CENPJ、CEP290、CHD2、CHRNA2、CHRNA4、CHRNB2、CLCN2、CLCN4、CLN3、CLN5、CLN6、CLN8、CNTNAP2、COG8、COL4A1、COQ2、COQ8A、COX10、CPA6、CPT2、CRH、CSTB、CTSA、CUL4B、DCX、DEPDC5、DHFR、DLD、DOLK、DPAGT1、DPM1、DPYD、DYRK1A、EEF1A2、EIF2B1、EIF2B2、EIF2B3、EIF2B4、EIF2B5、EMX2、EPM2A、FH、FLNA、FOLR1、GABRA1、GABRB3、GABRD、GABRG2、GALC、GAMT、GBA、GCSH、GFAP、GLB1、GLDC、GLI3、GLUD1、GNAO1、GNE、GNS、GOSR2、GRIA3、GRIN1、GRIN2A、HECW2、HEXA、HEXB、HGSNAT、HSD17B10、IDS、IQSEC2、IRF2BPL、KANSL1、KCNA1、KCNB1、KCNC1、KCNMA1、KCNT1、KDM5C、KDM6A、KMT2D、L2HGDH、LAMA2、LGI1、LRPPRC、MAP2K1、MBD5、MEF2C、MFSD8、MGAT2、MLC1、MOCS1、MTOR、NAGLU、NDUFA1、NDUFA2、NDUFS1、NDUFS3、NDUFS4、NDUFS7、NDUFS8、NDUFV1、NEDD4L、NEU1、NEXMIF、NF1、NGLY1、NHLRC1、NIPBL、NPC1、NPC2、NSD1、OFD1、PANK2、PCDH19、PDHA1、PHF6、PLA2G6、PLP1、PMM2、POLG、PPP3CA、PPT1、PRICKLE1、PRODH、PSAP、PURA、QDPR、RAB39B、RAI1、RARS2、RBFOX1、RBFOX3、RELN、RFT1、RNASEH2A、RNASEH2B、RNASEH2C、ROGDI、RORB、SAMHD1、SCN10A、SCN1A、SCN1B、SCN3A、SCN4A、SCN5A、SCN9A、SDHA、SERPINI1、SETBP1、SLC17A5、SLC19A3、SLC25A15、SLC2A1、SLC46A1、SLC4A10、SLC6A1、SLC6A8、SLC9A6、SMARCA2、SMC1A、SMC3、SMS、ST3GAL5、STX1B、SYN1、SYNGAP1、SZT2、TBL1XR1、TBX1、TCF4、TPP1、TREX1、TSC1、TSC2、TUBA1A、TUBB2B、TWNK、UBE2A、UBE3A、UNC80、VPS13A、ZEB2

5. この検査でわかること・わからないこと

わかる変化

この検査でわかるのは、215の遺伝子の、たんぱく質の設計図になる部分(エクソン)と、その境目付近にある小さな変化です。1つの文字(塩基)の置きかわりや、小さな文字の抜け・入りこみがこれにあたります。遺伝子全体や、つながった2つ以上のエクソンがまるごと抜けたり増えたりする変化(欠失・重複)も調べます。見つかった欠失・重複は、別の原理の方法(qPCR法やMLPA法)でもう一度確かめてから報告します。

📋 検体と調べられる範囲

検体 欠失・重複で見つけられる範囲
血液 遺伝子1つ全体の欠失・重複、つながった2つ以上のエクソンの欠失・重複
口の内側の粘膜 遺伝子1つ全体の欠失・重複

※1つのエクソンだけの欠失・重複は、見つかることもありますが、ふだんの検査では検出の対象にしていません。調べる部分の99%以上を、20回以上くり返し読み取る精度で調べます(読み取る回数が多いほど、読み間違いを減らせます)。

わからない変化

⚠️ 陰性でも、てんかんの原因が否定されるわけではありません

この検査では、次のような変化は見つけられません。染色体の一部が入れかわったり向きが逆になったりする変化(転座・逆位)、同じ文字のならびが長く伸びる変化(リピート伸長)、遺伝子のスイッチの部分(プロモーター)やエクソンから遠く離れた部分(深部イントロン)の変化です。体の一部の細胞にだけある変化(体細胞モザイク)を見つけることも、この検査の目的には入っていません。

とくに、このパネルに入っているCSTB遺伝子が原因のウンフェルリヒト・ルントボルク病では、約90%がくり返し配列の伸長によるもので、遺伝子パネル・エクソーム・ゲノム検査では見つけられないとされています[10]。この病気が疑われるときは、くり返し配列を調べる検査が必要です。

また、このパネルは215の遺伝子だけを調べる検査です。原因の遺伝子がこの中にない場合や、まだ見つかっていない遺伝子が原因の場合もあります。

VUSと二次的所見

検査では、病気との関係がまだはっきりしない変化(VUS:意義がまだわからない変化)が見つかることがあります。VUSは、それだけで診断に使ったり、ご家族の検査の根拠にしたりはしません。研究が進むと、のちに「病気の原因」または「問題のない変化」と判断が変わることがあります。当院ではVUSを報告に含めない選択(無料)もできます。調べた目的とは別の病気の原因が見つかる「二次的所見」の扱いは、二次的所見の開示方針のページをご覧ください。

6. 結果が出たあと

結果は、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。陽性(原因の変化が見つかった)・陰性(見つからなかった)・VUSのそれぞれで、次にできることが違います。

病的変異が見つかったら、次にできること

病的な変化が見つかったときは、読む方の立場によって、次のことを考えられます。

🧭 病的変異が見つかったら、次にできること

立場 できること
① ご本人(てんかんのあるお子さん) 病名が決まります。避けたい薬・試す価値のある食事療法・見張るべき合併症を、結果を主治医・てんかんの専門の医療機関に伝えて相談できます(第2章の表)。指定難病など、使える制度が決まることもあります(第7章)。
② 症状のないご家族 ご両親が同じ変化をもつかを、その変化だけをねらって調べられます。常染色体潜性遺伝なら、ご両親はそれぞれ保因者で、ご自身の健康に影響しないことがほとんどです。常染色体顕性遺伝で親御さんも同じ変化をもつ場合は、症状が軽くて気づいていなかったこともあります。
③ 次のお子さんを考えるとき 原因の変化がわかっていれば、次の妊娠で赤ちゃんに同じ変化があるかを調べる出生前診断を計画できます。絨毛・羊水からの胎児の出生前診断は当院で承っております。PGT-M(受精卵の検査)を考える方もいます(下の「PGT-Mについて」)。何もせずに妊娠・出産を選ぶことも、尊重されるべき選択です。
④ きょうだい・親戚 きょうだいが同じ変化をもつか、保因者かを、その変化だけをねらって調べられます。症状のない方の検査は、ご本人の同意のもとで行います。
⑤ 当院でのその後 結果の意味や次の一手を、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングでご説明し、一緒に考えます(遺伝カウンセリング料は30分22,000円・税込)。ご家族の検査、保因者検査、出生前診断まで、院内で続けて相談できます。

潜性遺伝の病気が見つかり、ご夫婦でこれからの妊娠を考える場合は、パートナーの方が同じ遺伝子の保因者かどうかを拡大版保因者スクリーニングで調べることもできます。妊娠中の方には、NIPTと同じ日に採血できるカップルの保因者検査「ファミリーセーフティ プラス」もあります(NIPTと一緒に受ける検査で、単独では受けられません)。

きょうだい・次のお子さんへの確率

きょうだいや次のお子さんに同じ病気が起こる確率は、原因の遺伝子と遺伝のしかたで大きく変わります。「てんかんは兄弟に遺伝するの?」という疑問には、原因がわかってはじめて、具体的にお答えできます。

👨‍👩‍👧 遺伝のしかたと、次のお子さんへの確率

遺伝のしかた 次のお子さんへの確率の考え方
常染色体潜性遺伝 ご両親がどちらも保因者の場合、次のお子さんで発症する確率は4分の1
常染色体顕性遺伝(親も同じ変化をもつ) 次のお子さんが変化を受け継ぐ確率は2分の1。ただし症状の重さは人によって違うことがある
常染色体顕性遺伝(お子さんで新しく起きた変化) 低いがゼロではない(下の「性腺モザイク」)
X連鎖遺伝 お母さんが保因者かどうか、お子さんの性別によって変わる

⚠️ 「新しく起きた変化だから、次は大丈夫」とは言い切れません

お子さんで新しく起きたと考えられた発達性てんかん性脳症の120家族を調べた研究では、10家族で、親御さんが体の一部の細胞にだけ同じ変化をもつ「モザイク」だったと報告されています[11]。親御さんの卵子や精子のもとになる細胞(生殖細胞)に変化がある状態を、性腺モザイクといいます。

変化をもつ生殖細胞からできる卵子・精子は2分の1の確率で変化を受け継ぎます。生殖細胞のうちどれくらいが変化をもつかは実際の診療では調べられないため、お子さん1人あたりの確率は『最大で2分の1』とお伝えしています。血液で測ったモザイクの割合も、生殖細胞の割合の目安にはなりません。

遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。新しく起きた変化とわかれば、親御さんの生活や妊娠中の過ごし方が原因ではないことも、はっきりします。

てんかんと結婚

てんかんがあること自体は、結婚できない理由にはなりません。それでも、ご本人やご家族のてんかんを理由に結婚を反対されたり、破談を心配したりして、悩む方がいます。その心配の多くは「子どもに遺伝するのでは」という点にあります。

子どもに遺伝するかどうかは、てんかんの型と原因によって大きく違い、てんかんというだけで決まるものではありません。原因の遺伝子がわかれば、お子さんへの確率、パートナーの保因者検査が必要かどうか、妊娠したときにできることを、事実にもとづいて話し合えます。反対する側もされる側も、わからないことが不安の根になっていることが多いものです。おふたりで遺伝カウンセリングを受けて、同じ説明を一緒に聞くこともできます。

てんかんのある女の子が大人になって妊娠を考えるとき

抗てんかん薬の中には、妊娠中に飲むと赤ちゃんに影響しやすい薬があります。ヨーロッパを中心とした国際的な妊娠登録(EURAP)の7,555件の妊娠を調べた研究では、大きな先天異常がみられた割合は、バルプロ酸で10.3%、ラモトリギンで2.9%、レベチラセタムで2.8%でした。バルプロ酸とラモトリギンでは、量が多いほど割合が高くなりました[12]。

てんかんのある女の子が大人になって妊娠を考えるときは、妊娠より前の段階から主治医と薬について相談しておくことが大切です。自己判断で薬をやめると発作が増えるおそれがあるため、薬の調整は必ず主治医と行ってください(当院は薬の調整は行っていません)。原因の遺伝子がわかっていれば、お子さんへの遺伝の確率も、あわせて考えられます。

原因が見つからなかったとき

陰性の結果は、「この215の遺伝子に、今の知識で原因と判断できる変化が見つからなかった」という意味で、てんかんの診断が否定されるわけではありません。原因が遺伝子以外にあることも、このパネルに入っていない遺伝子や、この検査で見つけられない種類の変化が原因のこともあります。次の選択肢として、てんかん包括的遺伝子検査、全エクソーム検査、マイクロアレイ染色体検査などがあります。研究が進めば、同じデータから新しくわかることもあります。

VUSが見つかったとき

VUSは、それだけで診断を決めたり、ご家族の検査の根拠にしたりはしません。ご両親の検査で、その変化が新しく起きたものか受け継いだものかを確かめることで、判断の手がかりになることがあります。扱いは、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングでご説明します。

PGT-M・出生前診断・NIPTについて

日本でも、日本産科婦人科学会の指針にもとづく審査を経て、PGT-Mが行われています(当院は体外受精・PGT-Mを行っていません)。準備に必要なことは海外でPGT-M(着床前診断)を考えている方へで解説しています。

絨毛・羊水からの胎児の出生前診断は当院で承っております。ご家族で原因の遺伝子の変化がわかっていれば、妊娠したときに赤ちゃんで同じ変化があるかを調べられます。出生前診断を行えるかは、病気の重さや国内の指針を踏まえて個別に判断するため、妊娠を考えている段階からご相談ください。

このパネルの遺伝子の一部は、当院のNIPT(妊婦さんの血液で赤ちゃんを調べる検査)でも調べられます。ダイヤモンドプランではBRAF・CDKL5・GLI3・KMT2D・MAP2K1・NIPBL・NSD1・SMC1A・SMC3・TSC1・TSC2の11遺伝子、インペリアルプランではAKT3・ATP1A2・BRAF・CACNA1A・CASK・CDKL5・CHD2・COL4A1・DYRK1A・FLNA・GABRA1・GFAP・GNAO1・GRIN1・KANSL1・KCNB1・KCNT1・KMT2D・MAP2K1・MEF2C・NF1・NIPBL・NSD1・PURA・SCN1A・SETBP1・SMARCA2・SMC1A・SMC3・SYNGAP1・TBL1XR1・TCF4・TSC1・TSC2・TUBA1A・ZEB2の36遺伝子が対象です(GLI3はダイヤモンドプランのみ)。NIPTで調べるのは、赤ちゃんで新しく起きた変化(新生突然変異)による病気です。当院のNIPTは妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。陽性の場合は、確定検査(羊水検査・絨毛検査)を院内で受けられます。

7. 日本の制度(2026年10月時点)

このパネルで原因がわかる病気の中には、国の指定難病に含まれるものがあります。難病情報センターの一覧で確かめた、てんかんに関係する主な指定難病は次のとおりです(2026年10月時点)。

🏥 てんかんに関係する主な指定難病(告示番号)

告示番号 病名
140 ドラベ症候群
142 ミオクロニー欠神てんかん
143 ミオクロニー脱力発作を伴うてんかん
144 レノックス・ガストー症候群
145 ウエスト症候群
152 PCDH19関連症候群
154 睡眠時棘徐波活性化を示す発達性てんかん性脳症及びてんかん性脳症
155 ランドウ・クレフナー症候群
158 結節性硬化症
201 アンジェルマン症候群
248 グルコーストランスポーター1欠損症
19 ライソゾーム病
21 ミトコンドリア病

※医療費の助成を受けるには、病気ごとの診断基準と重症度などの条件を満たし、認定を受ける必要があります。申請は主治医(指定医)を通じて行います。

当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。原因の病名がわかることで、こうした制度の対象かどうかを主治医と確かめるきっかけにもなります。

8. 検査の流れ・費用・結果までの日数・検体

費用は330,000円(税込)、結果までは2〜3週間です。検体は血液・唾液・口の内側の粘膜から選べ、オンライン診療でも受けられます。

ご予約
▶
遺伝カウンセリング臨床遺伝専門医
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検体の採取血液・唾液・口の粘膜
▶
結果のご説明2〜3週間後・マイページへ

💴 費用・日数・検体

項目 内容
検査内容 小児てんかん(2歳以降発症)に関係する215遺伝子の塩基配列と欠失・重複の解析
検査費用 330,000円(税込)
遺伝カウンセリング料 30分22,000円(税込)。検査費用とは別にかかります
結果までの期間 2〜3週間
オプション 至急:結果までの期間が約7日短くなります(55,000円)/VUSを報告に含めない選択(無料)
検体 血液(EDTA採血管4ml×2本)、抽出DNA、口の内側の粘膜、唾液
オンライン診療 唾液・口の内側の粘膜・血液のいずれでも可能。血液の場合は全国の提携医療機関で採血します

この検査は、遺伝診療先進国・米国の3大遺伝子検査会社の一角で行います。※

※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。

オンライン診療(ビデオ通話)で遺伝カウンセリングを行ったあと、検体を当院にお送りいただきます。オンラインの場合は、遺伝カウンセリング料金を事前にお支払いください。検体採取キットは、検査料金をお支払いいただいたあとにお送りします。検体の取り違えを防ぎ、検査に使える品質を保つため、キットが届く前にご自身で検体を採取しないでください。

結果は、基本的に日本語版でお渡ししています。海外でPGT-Mを受けるなど、英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。結果の読み方は、遺伝子検査結果の見かたのページで解説しています。

当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。

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📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明し、ご家族の検査や出生前診断(羊水検査・絨毛検査)まで院内で続けて相談できます。

お問い合わせはこちら | 診療時間・アクセス

9. 院長コラム

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【原因がわかれば、次の一手が決まる】

私自身、希少な常染色体顕性(優性)遺伝性疾患の当事者です。子どもに病気を受け渡したくない、という遺伝の病気をもつ方の思いはよくわかります。また、お子さんが重い症状で発症したのをきっかけに、ご自身も同じ遺伝子の変化を持っていたとわかり、自分のせいだと責めてしまう親御さんを、何度も見てきました。私の当事者としての話は、遺伝性疾患の当事者として、臨床遺伝専門医になった理由に書いています。

てんかんの原因が遺伝子の変化だとわかったとき、多くの場合、その変化はお子さんの代で新しく起きたものです。遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。そして、原因がわかることには、責任探しとは別の、大きな意味があると考えています。避けたほうがよい薬がわかる、試す価値のある治療がわかる、きょうだいや次のお子さんのことを具体的に考えられる。わからないまま悩み続けるより、わかったことから次を考えるほうが前に進める、と考えています。

遺伝子検査は、やってみないとわからないことを、何度も経験してきました。検査をしないと何も言えない、というのが私の確固たる考えです。たとえば、きょうだいのお子さんの病気をきっかけに念のため検査を受けた方に、まったく別の遺伝子の病的な変化が、体の一部の細胞だけにある状態(モザイク)で見つかったことがあります。ご本人は発症していませんでしたが、卵子や精子のもとになる細胞にもその変化があれば、お子さんが発症することがある病気でした。こうした経験から、当院では、検査を受けずにリスクだけをご説明することはしておりません。検査をせずにリスクをお伝えするほうが、かえって危険だと考えているためです。

結婚するか、子どもを持つかは、その人の生き方そのものに関わる大きな選択です。知ってから選ぶことができるよう、検査・遺伝カウンセリング・出生前診断まで、当院で続けて支えます。どの選択をされても、その選択を尊重します。

よくある質問(FAQ)

Q1. てんかんは遺伝しますか?母親・父親から遺伝しますか?

てんかんの原因のひとつに遺伝子の変化がありますが、国際抗てんかん連盟(ILAE)の分類も述べているとおり、「遺伝子が原因」は「親から受け継いだ」と同じ意味ではありません。たとえばドラベ症候群では、SCN1A遺伝子の病的な変化の約95%がお子さんの代で新しく起きたものと報告されています。母親から・父親からのどちらで受け継ぐかは遺伝子と遺伝のしかたによって違うため、原因の遺伝子がわかってはじめて、ご家族への確率をお伝えできます。

Q2. 子どものてんかんの原因は何ですか?

国際抗てんかん連盟(ILAE)は、てんかんの原因を構造的・遺伝的・感染性・代謝性・免疫性・原因不明の6つに分けています。原因によって治療の考え方が変わることがあるため、この分け方が使われています。脳の画像検査や血液検査で原因がわからないときに、遺伝的な原因を調べるのが遺伝子検査です。

Q3. 小児てんかんは治りますか?

子どものてんかんには、成長とともに発作がおさまる「自然終息性」の型(中心側頭部棘波を伴う自然終息性てんかんなど)があり、国際抗てんかん連盟(ILAE)の分類でも独立したグループになっています。一方で、発達性てんかん性脳症のように発作が続きやすい型もあります。どちらに当たるかは型によって違うため、主治医の診断と、必要に応じて原因の検査で見通しを考えます。

Q4. なぜ2歳以降に発症したてんかんが対象なのですか?

てんかんは、始まった年齢によって原因になりやすい遺伝子が違うためです。この検査は、2歳以降に発作が始まった方を対象に215の遺伝子を選んでいます。2歳より前に始まった場合は新生児てんかんパネル、年齢や型が絞れない場合はてんかん包括的遺伝子検査(1,057遺伝子)が向いています。

Q5. 遺伝子検査の結果で治療は変わりますか?

変わることがあります。SCN1A遺伝子の変化によるてんかんでは、カルバマゼピンやラモトリギンなど避けたほうがよい薬が知られています。GLUT1欠損症(SLC2A1遺伝子)ではケトン食療法が発作のコントロールに役立つとされ、POLG遺伝子の病気ではバルプロ酸が禁忌とされています。薬や食事療法を決めるのは主治医・てんかんの専門の医療機関で、当院は結果をもとに臨床遺伝専門医がその意味をご説明します。

Q6. てんかんがあると結婚に差し支えますか?

てんかんがあること自体は、結婚できない理由にはなりません。ご家族に結婚を反対されたり、遺伝を心配されたりして悩む方もいますが、子どもに遺伝するかどうかは、てんかんの型と原因によって大きく違います。原因の遺伝子がわかれば、お子さんへの確率と、妊娠のときにできることを具体的に考えられます。おふたりで遺伝カウンセリングを受けることもできます。

Q7. きょうだいや次の子にも遺伝する確率は?

原因の遺伝子と遺伝のしかたで決まります。常染色体潜性遺伝なら次のお子さんで4分の1、ご両親のどちらかが同じ変化をもつ常染色体顕性遺伝なら2分の1です。お子さんで新しく起きた変化でも、ご両親の卵子や精子のもとになる細胞にだけ変化がある(性腺モザイク)ことがあり、120家族を調べた研究では10家族で親御さんのモザイクが見つかりました。変化をもつ生殖細胞からできる卵子・精子は2分の1の確率で変化を受け継ぎます。生殖細胞のうちどれくらいが変化をもつかは実際の診療では調べられないため、お子さん1人あたりの確率は『最大で2分の1』とお伝えしています。

Q8. 費用と結果までの日数は?

検査費用は330,000円(税込)、結果までは2〜3週間です(至急オプション55,000円で約7日短くなります)。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。

🧬 一度の検査で、お子さんとご家族のこれからを考える

生まれ持った遺伝子は一生変わりません。小児てんかんの原因がわかれば、お子さんの薬や治療の選び方だけでなく、きょうだいの検査や、次の妊娠の計画を考える手がかりになります。当院では臨床遺伝専門医が常駐し、検査の前後の遺伝カウンセリングから、羊水検査・絨毛検査による出生前診断の相談まで、院内で続けて受けていただけます。

お電話でのお問い合わせ:03-3478-3768

参考文献

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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