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結節性硬化症の遺伝子検査(TSC1・TSC2)|遺伝の確率・白斑などの症状・寿命と、わかってから始められる治療

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

結節性硬化症の遺伝子検査(TSC1・TSC2)

結節性硬化症の遺伝子検査は、原因遺伝子のTSC1とTSC2を一度に調べる検査です。病気の原因となる変化が見つかれば、症状がそろっていなくても、それだけで結節性硬化症と診断されます(2021年国際診断基準)。結節性硬化症(TSC)は、皮膚・脳・腎臓・肺・心臓などにできものができる遺伝性の病気で、白い斑(白斑)、てんかん、妊娠中のエコーで見つかる赤ちゃんの心臓の腫瘍(横紋筋腫)などをきっかけに疑われます。親から子へ2分の1の確率で伝わる病気なので、あなたの1回の検査結果は、ご家族の検査や、これからの妊娠を考える手がかりにもなります。このページでは、症状・診断基準・遺伝の確率・寿命の見通しと、わかってから始められる治療と見張りの検査を、臨床遺伝専門医が解説します。

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. この検査で何がわかりますか?

結節性硬化症の原因遺伝子TSC1とTSC2の2つを一度に調べます。病気の原因となる変化が見つかれば、それだけで診断が確定します。

🧬 Q. どんな人が受けるとよいですか?

白い斑(白斑)・顔の血管線維腫・乳児期のてんかん(点頭てんかん)・腎臓の血管筋脂肪腫・肺のLAMがある方、妊娠中に赤ちゃんの心臓の横紋筋腫を指摘された方、ご家族に結節性硬化症の方がいる方です。

🧬 Q. 費用・日数・検体は?

検査費用は330,000円(税込)、結果までは2〜3週間です。唾液・頬の粘膜でも検査でき、オンライン診療で受けられます。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。

🧬 Q. 結果のあとはどうなりますか?

結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。原因がわかれば、お子さんに伝わる確率は2分の1です。日本で承認されている治療薬や、年齢に合わせた見張りの検査の計画につなげられます。

\ 一生変わらない遺伝子を知って、治療と見張りの計画に /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

検査の前に臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明します。唾液でのオンライン受検にも対応しています。

お問い合わせはこちら | どの検査がよいか迷う方へ

1. 結節性硬化症の遺伝子検査(TSC1・TSC2パネル)とは

結節性硬化症の遺伝子検査は、結節性硬化症の原因として知られている2つの遺伝子、TSC1とTSC2を一度に調べる検査です。次世代シーケンサー(NGS)で遺伝子の配列を読み、病気の原因となる変化があるかどうかを確かめます。

2021年に改訂された国際診断基準では、TSC1またはTSC2に病気の原因となる変化(病的バリアント)が見つかれば、それだけで結節性硬化症と診断できるとされています[2]。症状がまだそろっていない赤ちゃんや、症状が軽くて診断がつきにくい大人の方でも、遺伝子検査で診断が確定することがあるのは、このためです。

結節性硬化症の原因が見つかった人のうち、TSC1に変化があったのは約26%、TSC2に変化があったのは約74%と報告されています(1万人を超える患者さんのデータ)[1]。どちらの遺伝子に原因があるかは症状だけでは決められないので、2つをまとめて調べる意味があります。遺伝子検査(遺伝学的検査)の種類や結果の見方も、あわせてご覧ください。

遺伝子検査でわかること・わからないこと

結節性硬化症の方のうち約15%は、TSC1・TSC2の検査をしても原因の変化が見つかりません。GeneReviewsによると、こうした方の一部は、体の一部の細胞だけに変化がある体細胞モザイクで、少なくとも約1%の方がモザイクと推定されています[1]。

  • ●わかること:TSC1・TSC2のどちらに、どんな変化があるか。病気の原因と判断できる変化なら、診断が確定します。
  • ●わからないこと:症状がどの臓器に、どのくらい重く出るか。同じ変化でも症状の重さは人によって違います。
  • ●陰性でも否定はできない:変化が見つからなくても、診断基準を満たせば結節性硬化症と診断されます[2]。
  • ●意義がまだわからない変化:病気の原因かどうか判断できない変化(VUS)が見つかることがあります。

2. 結節性硬化症とは|全身に過誤腫ができる遺伝性の病気

結節性硬化症は、TSC1またはTSC2の変化によって、皮膚・脳・腎臓・肺・心臓・目など全身に、良性のできもの(過誤腫)ができる遺伝性の病気です。英語の tuberous sclerosis complex の頭文字をとって、TSCとも呼ばれます。日本では指定難病158に指定されています。病気の全体像は結節性硬化症(TSC)総論で詳しく解説しています。

頻度は、出生6,000〜10,000人に1人と推定され、5,800人に1人という報告もあります[1]。

原因:細胞の増えすぎを止めるブレーキが外れる

TSC1はハマルチン、TSC2はチュベリンというタンパク質の設計図です。この2つは一緒になって、細胞の成長を進めるmTORC1という仕組みに、Rhebを通してブレーキをかけています(AKT-mTOR経路)。TSC1やTSC2が働かなくなるとブレーキが外れ、細胞が増えすぎて過誤腫ができます。TSC1・TSC2は、このように腫瘍ができるのを抑えるがん抑制遺伝子の仲間です。

このしくみがわかったことで、mTORの働きを抑える薬(mTOR阻害薬)が治療に使われるようになりました。日本で承認されている薬は、第7章でご説明します。

TSC1とTSC2の違い

TSC2に変化がある方は、TSC1に変化がある方より症状が重い傾向があります。GeneReviewsでは、TSC2の変化は腎臓の血管筋脂肪腫、知的障害、心臓の横紋筋腫がより多いことと関係するとされています。ただし、TSC2の変化の中にも、症状が軽い型が知られています[1]。

🧬 TSC1とTSC2の違い

項目 TSC1 TSC2
つくるタンパク質 ハマルチン チュベリン
原因が見つかった人の中の割合 約26% 約74%
症状の重さの傾向 TSC2より軽い傾向 腎臓の血管筋脂肪腫・知的障害・心臓の横紋筋腫が多い傾向(軽い型もある)
遺伝のしかた 常染色体顕性(優性)遺伝 常染色体顕性(優性)遺伝
病名(OMIM) 結節性硬化症1型(191100) 結節性硬化症2型(613254)

※割合と重さの傾向はGeneReviews[1]による。集団の傾向で、一人ひとりの重さを決めるものではありません。型ごとの詳しい解説は結節性硬化症1型(TSC1)・結節性硬化症2型(TSC2)をご覧ください。

TSC2/PKD1隣接遺伝子欠失症候群

TSC2のすぐ隣には、多発性嚢胞腎の原因遺伝子PKD1があります。TSC2とPKD1の両方が欠けると、結節性硬化症に重い多発性嚢胞腎が重なり、多くは胎内か乳児期にわかります。嚢胞が大きくなって腎臓の働きが落ち、末期の腎不全に至ることがあるほか、肝臓などほかの臓器の嚢胞や脳動脈瘤にも注意が必要とされています[1]。詳しくはTSC2/PKD1隣接遺伝子欠失症候群で解説しています。腎臓の嚢胞が目立つ場合は、多発性嚢胞腎パネルとの選び分けも考えます。

3. 年齢ごとに現れる症状|白斑・てんかん・顔の血管線維腫

結節性硬化症の症状は、年齢によって目立つものが変わります。胎児期は心臓、乳児期は皮膚の白い斑とてんかん、子どものころは顔の血管線維腫や発達の特性、大人になってからは腎臓と肺の病変が中心になります。

📋 結節性硬化症の主な症状と頻度

症状 頻度
皮膚の症状(どれか) ほぼ100%
白い斑(低色素斑) 約90%
顔の血管線維腫 約75%
シャグリンパッチ(腰などの皮膚の盛り上がり) 約50%
爪囲線維腫(爪のまわりのできもの) 20%(年長の大人では最大80%)
てんかん 約80%
TAND(結節性硬化症に伴う神経精神の症状) 90%超
知的障害 44〜64%
自閉スペクトラム症 16〜61%
上衣下巨細胞性星細胞腫(SEGA) 最大25%
腎臓の血管筋脂肪腫 70%
腎臓の嚢胞 20〜30%
腎細胞がん 3%未満
心臓の横紋筋腫 47〜67%
肺のLAM(CTでの所見) 女性の最大80%、男性の10〜12%
網膜の病変 30〜50%

※頻度はGeneReviews[1]による。報告によって幅があります。

胎児期・新生児期:心臓の横紋筋腫

心臓の横紋筋腫は、結節性硬化症の方の47〜67%にみられます。新生児期にいちばん大きいことが多く、時間とともに小さくなり、やがて消えることが知られています[1]。妊娠中のエコーで見つかることがあり、その場合の考え方は第8章でご説明します。

乳児期:白い斑(葉状白斑)と点頭てんかん

白い斑(低色素斑)は結節性硬化症の方の約90%にみられますが、白い斑があるだけで結節性硬化症とは決まりません。GeneReviewsでは、白い斑は健康な新生児の0.8%にもみられ、多くは医学的に問題がないとされています[1]。診断基準で大きな手がかり(大症状)になるのは、直径5mm以上の白い斑が3つ以上ある場合です[2]。木の葉のような形のものは葉状白斑と呼ばれ、紫外線を当てるウッド灯で見つけやすくなります[2]。

てんかんは約80%の方にみられます[1]。乳児期に、首をかくんと前に倒す・手足を縮めるといった発作をくり返す点頭てんかん(West症候群)は、早く見つけて治療することが大切です。2021年の推奨では、結節性硬化症の点頭てんかんでは脳波の典型的な所見(ヒプスアリスミア)を伴わないことも多いとされています[2]。

💡 白い斑とカフェオレ斑の違い

結節性硬化症で手がかりになるのは「白い斑」です。ミルクコーヒー色の茶色い斑(カフェ・オ・レ斑)がいくつもある場合は、神経線維腫症など別の病気を考えます。その場合は神経線維腫症パネルが向いています。

幼児期〜学童期:顔の血管線維腫とTAND(知的障害・自閉スペクトラム症)

鼻のまわりや頬にできる赤みのある小さなできもの(顔の血管線維腫)は、約75%の方にみられます[1]。

結節性硬化症では、9割を超える方に、TAND(結節性硬化症に伴う神経精神の症状)と呼ばれる発達・行動・心の特性がみられます。知的障害は44〜64%、自閉スペクトラム症は16〜61%と報告されています[1]。GeneReviewsでは、脳など神経の症状が、生活への影響がいちばん大きい症状とされています[1]。2021年の推奨は、TANDの確認を生涯にわたり毎年行うことを勧めています[2]。

思春期〜大人:腎臓の血管筋脂肪腫・肺のLAM・爪囲線維腫

大人になると、腎臓の血管筋脂肪腫(AML)(70%)や、女性の肺のリンパ脈管筋腫症(LAM)が大切な病変になります。LAMを思わせる肺の嚢胞はCTで女性の最大80%にみられ、男性でも10〜12%にみられます[1]。爪のまわりのできもの(爪囲線維腫)は全体では20%ですが、年長の大人では最大80%にみられます[1]。

なお、診断基準では、LAMと腎臓の血管筋脂肪腫の2つだけで、ほかの症状がない場合は、確定診断にはならないとされています[2]。こうした場合も、遺伝子検査でTSC1・TSC2の変化が見つかれば診断が確定します。

4. 結節性硬化症の診断基準(2021年国際診断基準)

結節性硬化症は、大症状2つ、または大症状1つと小症状2つ以上で「確定診断」、大症状1つ、または小症状2つ以上で「疑い(可能性あり)」と診断されます。これとは別に、TSC1またはTSC2に病気の原因となる変化が見つかれば、それだけで診断できます[2]。

🩺 2021年国際診断基準の大症状・小症状

区分 項目
大症状(11項目) 白い斑(直径5mm以上・3つ以上)/顔の血管線維腫(3つ以上)または額の線維性局面/爪囲線維腫(2つ以上)/シャグリンパッチ/多発する網膜過誤腫/多発する皮質結節・放射状移動線/上衣下結節(2つ以上)/上衣下巨細胞性星細胞腫(SEGA)/心臓の横紋筋腫/LAM/腎臓の血管筋脂肪腫(2つ以上)
小症状(7項目) 紙吹雪のような白い斑/歯のエナメル質のくぼみ(3つ以上)/口の中の線維腫(2つ以上)/網膜の色の抜けた斑/腎臓の多発する嚢胞/腎臓以外の過誤腫/骨の硬化性病変
確定診断 大症状2つ、または大症状1つ+小症状2つ以上
疑い 大症状1つ、または小症状2つ以上
遺伝学的診断 TSC1またはTSC2の病的バリアントがあれば診断

※Northrupら(2021年)[2]による。LAMと血管筋脂肪腫の2つだけでは確定診断になりません。2013年版からの変更点は、「皮質異形成」が「多発する皮質結節・放射状移動線」に変わったことと、骨の硬化性病変が小症状に戻ったことです。

臨床遺伝専門医としては、症状だけで「疑い」にとどまる方こそ、遺伝子検査の意味が大きいと考えています。診断が確定すれば、年齢に合わせた見張りの検査を始める根拠になり、ご家族も同じ変化を調べられるようになるからです。

5. 結節性硬化症の遺伝|子どもに伝わる確率

結節性硬化症は常染色体顕性(優性)遺伝の病気で、患者さんのお子さんは、1人ごとに2分の1の確率で同じ変化を受け継ぎます。一方で、結節性硬化症の方の約3分の2は、ご両親から受け継いだのではなく、新しく起きた変化によるものです[1]。

患者さんのお子さんは2分の1

常染色体顕性(優性)遺伝では、対になった2本の遺伝子のうち1本に変化があれば発症します。親が結節性硬化症の場合、お子さんが変化を受け継ぐ確率は、男の子でも女の子でも、1人ごとに2分の1です[1]。上のお子さんが受け継いだかどうかで、下のお子さんの確率は変わりません。

⚠️ 「親が軽いから、子どもも軽い」とは言えません

同じ変化を受け継いでも、症状の重さは人によって大きく違います(表現型の多様性)。親御さんが白い斑や爪のまわりのできものだけで気づいていなかった場合でも、お子さんがてんかんや発達の遅れを伴うことがあります。症状の軽さだけで、ご家族の見通しを決めないことが大切です。

両親に変化がない「新しく起きた変化」:次のお子さんの確率は?

結節性硬化症の約3分の2は、新生突然変異(de novo)によるものです[1]。新しく起きた変化は、誰のせいでもありません。ご両親の生活や妊娠中の過ごし方が原因になったわけではありません。

ただし、ご両親の血液で変化が見つからなくても、次のお子さんの確率はゼロではありません。親御さんの卵子や精子のもとになる細胞にだけ変化がある「性腺モザイク」で説明される家族があるためです[1]。性腺モザイクがあるかどうかは、ふつうの検査ではわかりません。「新しく起きた変化だから、次は大丈夫」と小さく見積もらずに、次の妊娠の前に遺伝カウンセリングで考えておくことをおすすめします。

家族に結節性硬化症の人がいる:症状のない自分も調べられる?

調べられます。2021年の推奨は、患者さんで原因の変化がわかったら、少なくとも第一度近親者(親・きょうだい・子ども)に遺伝学的検査を勧めるとしています[2]。GeneReviewsでも、ご家族の原因がわかっていれば、症状のないご家族の発症前の検査や、出生前・着床前の検査ができるとされています[1]。

ご家族がすでに遺伝子検査を受けていて原因がわかっていれば、その結果がいちばんの手がかりになります(報告書をお持ちください)。わかっていなければ、症状のないあなたご自身を検査します。当院は、ライフステージごとに患者さんの人生をサポートするという考え方で診療しており、知りたいと願う方を拒むことはしません。遺伝カウンセリングで十分に考えたうえで、ご本人が知りたいと決めた場合は、その意思を尊重して検査まで行います。知らないでいる選択も、同じように尊重します。

結婚・妊娠を考えるとき

結婚するか、子どもを持つかは、その人の生き方そのものに関わる大きな選択です。結節性硬化症は顕性遺伝なので、お子さんへの確率は、パートナーの遺伝子には左右されません。潜性遺伝の病気のように、パートナーの保因者検査で確率が変わることはありません。

知ってから結婚や妊娠を考えるのと、知らずに考えるのとでは、選べることが違います。ご自身の原因がわかっていれば、妊娠中に赤ちゃんを調べる出生前診断(第8章)や、NIPT(第9章)、着床前診断(第10章)を、前もって計画できます。病気や家族歴を理由に結婚に反対されて悩む方もいます。そのようなときも、確率や選択肢を正確に知ることが、ご家族と話し合う手がかりになります。

6. どんな人がこの検査を受けるとよいか

結節性硬化症の特徴がある方、診断を確定したい方、ご家族に結節性硬化症の方がいる方、妊娠中に赤ちゃんの心臓の横紋筋腫を指摘された方に向く検査です。

  • ●白い斑(とくに直径5mm以上のものが3つ以上)、顔の血管線維腫、爪囲線維腫、シャグリンパッチがある方
  • ●乳児期に点頭てんかんと診断された方、てんかんと発達の遅れ・自閉スペクトラム症がある方
  • ●腎臓の血管筋脂肪腫・嚢胞、肺のLAM、脳のSEGAや皮質結節を指摘された方
  • ●症状だけでは「疑い」にとどまり、診断を確定したい方
  • ●ご家族に結節性硬化症の方がいて、症状のないご自身が受け継いでいるか知りたい方
  • ●妊娠中のエコーで赤ちゃんの心臓に横紋筋腫を指摘された方(ご両親の検査)

この検査より別の検査が向いている場合

結節性硬化症を疑うなら、まずこの検査です。一方、症状によっては別の検査のほうが向いていることがあります。

🔍 症状に合わせた検査の選び方

こんなとき 向いている検査
白い斑・顔の血管線維腫・てんかん・横紋筋腫など、結節性硬化症の特徴がある このページの検査(TSC1・TSC2)
茶色いカフェ・オ・レ斑がいくつもある 神経線維腫症パネル
てんかんが中心で、皮膚などの手がかりがない てんかん包括的遺伝子検査
発達の遅れ・知的障害が中心 発達障害・学習障害・知的障害遺伝子検査
自閉スペクトラム症が中心 自閉症遺伝子検査
腎臓の嚢胞が中心 多発性嚢胞腎パネル
症状が多く、病気をしぼれない 全エクソーム検査(WES)

※どの検査が合うかは、症状・診察所見・ご家族の情報で変わります。遺伝カウンセリングで一緒に決めます。

\ 原因がわかれば、治療と見張りの計画が立てられます /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

当院では、羊水検査・絨毛検査を院内で受けられます(2025年6月から産婦人科を併設)。

ご家族の検査を考えている方は、遺伝カウンセリングを予約する | どの検査がよいか迷う方へ

7. 病的変異が見つかったら、次にできること

結節性硬化症の原因が遺伝子検査でわかると、年齢に合わせた見張りの検査を計画でき、症状に応じて、日本で承認されているmTOR阻害薬などの治療を専門の医療機関で検討できます。原因そのものを治す治療はまだありませんが、できものを小さくする薬や、早く見つけて早く治療する考え方が整ってきています。当院は治療を行っていないため、治療は専門の医療機関で受けていただきます。

mTOR阻害薬(エベロリムス・シロリムス)の日本での承認

結節性硬化症ではmTORのブレーキが外れているので、mTORの働きを抑える薬が使われます。日本での承認状況は次のとおりです(2026年10月時点、PMDAの資料で確認)。

💊 日本で承認されている主な薬

薬 結節性硬化症に関係する効能・効果 承認
エベロリムス(アフィニトール) 結節性硬化症 2012年12月に「結節性硬化症に伴う上衣下巨細胞性星細胞腫」で承認、2019年8月に効能・効果が「結節性硬化症」に変更
シロリムス錠(ラパリムス錠) リンパ脈管筋腫症 2014年7月
シロリムスゲル(ラパリムスゲル) 結節性硬化症に伴う皮膚病変 2018年(審査報告書・部会の審議は2018年2〜3月)
ビガバトリン(サブリル) 点頭てんかん 2016年3月

※効能・効果の範囲や使える条件は、各薬の添付文書と主治医の判断によります。

2021年の推奨では、大きくなっていく直径3cmを超える腎臓の血管筋脂肪腫には、mTOR阻害薬が第一選択の治療とされ、腎臓の摘出は避けるべきとされています。急な出血には、塞栓術(血管をふさぐ治療)とステロイドが適するとされています。LAMにはシロリムスが第一選択、顔の血管線維腫にはシロリムスの塗り薬が安全で有効とされています[2]。

点頭てんかんの治療:ビガバトリンと、早めの脳波検査

2021年の推奨は、結節性硬化症の点頭てんかんの第一選択の治療としてビガバトリンを勧めています。2週間で効果がなければ、ACTHやプレドニゾロンを加えることがあるとされています[2]。日本では、ビガバトリンは不可逆的な視野狭窄(見える範囲が狭くなる)が起こりうる薬のため、登録された医療機関・医師のもとで、定期的な眼科検査をしながら使うことになっています(PMDAの添付文書で確認)。

発作が出る前に見つけるため、2021年の推奨は、症状のない赤ちゃんでも脳波を、生後12か月までは6週ごと、24か月までは3か月ごとに調べることを勧めています[2]。脳波に異常があった段階でビガバトリンを始めると、発作を防いだり遅らせたりできる可能性があるとされています。一方で、予防的な投与を調べた研究(EPISTOP)では、2歳の時点の発達の遅れや自閉症の割合に差はなく、すべての赤ちゃんに予防的に使うことを勧めるには根拠がまだ足りない、とされています[2]。赤ちゃんのうちに診断がつくほど、この見張りを早く始められます。

見張りの検査と間隔

結節性硬化症では、症状が出る前から定期的に調べることで、治療のタイミングを逃さないようにします。2021年の推奨で勧められている主な見張りは次のとおりです[2]。

🗓️ 診断後の主な見張りの検査(2021年の推奨)

検査 間隔・時期
脳のMRI(SEGAの確認) 25歳まで1〜3年ごと
脳波(症状のない赤ちゃん) 生後12か月まで6週ごと、24か月まで3か月ごと
TAND(発達・行動・心の特性)の確認 生涯にわたり毎年
腹部のMRI(腎臓の血管筋脂肪腫・嚢胞) 生涯にわたり1〜3年ごと
血圧・腎臓の働き(GFR)・尿たんぱく 少なくとも毎年
胸部CT(LAM) 18歳以上の女性(症状のある男性も)。異常がなければ閉経まで5〜7年ごと
心エコー(横紋筋腫) 症状のない子どもで1〜3年ごと(横紋筋腫が消えるまで)
心電図 すべての年齢で3〜5年ごと
皮膚の診察 子どもは毎年
歯の診察 最低でも6か月ごと(最初は12か月までに)
目の診察 毎年

※Northrupら(2021年)[2]による。実際の間隔は、症状や主治医の判断で決めます。

寿命と予後

結節性硬化症の寿命は、どの臓器に、どのくらい重い症状が出るかで大きく変わります。GeneReviewsでは、若くして亡くなる原因として最も多いのは腎臓の病気(50%)とされています[1]。難病情報センターも、脳・腎臓・肺の腫瘍が重くなると生命の見通しに関わることが多いとし、根本的な治療がないため、生涯にわたる治療が必要としています(2026年10月時点で確認)。だからこそ、上の表のような見張りを続け、腎臓の血管筋脂肪腫などを早く見つけて治療することに意味があります。

指定難病158と医療費の助成

結節性硬化症は指定難病158で、難病情報センターによると、医療受給者証を持つ方は757人です(令和元年度)。医療費の助成を受けるには、認定の基準を満たして申請する必要があります。基準や申請の方法は、難病情報センターやお住まいの自治体の窓口でご確認ください。当院の検査は、すべて自費診療です。

8. 妊娠中に胎児の心臓の腫瘍(横紋筋腫)を指摘されたら

妊娠中のエコーで赤ちゃんの心臓に横紋筋腫が見つかったときは、結節性硬化症の可能性を考えます。GeneReviewsでは、出生前に2つ以上の心臓の横紋筋腫を指摘された赤ちゃんの90〜95%が結節性硬化症になると推定されています[1]。

横紋筋腫と結節性硬化症の関係

一方で、この割合は報告によって幅があります。中国の1施設で胎児の心臓の横紋筋腫36例を調べた研究(2026年)では、横紋筋腫が見つかった時期は平均で妊娠29週(22〜37週)、複数あったのは69.4%で、TSC1・TSC2の変化が確かめられたのは5例でした(出生後の経過がわからない例も含む)[3]。「横紋筋腫=必ず結節性硬化症」ではなく、「可能性が高いので確かめる」と考えるのが正確です。2021年の推奨は、出生前に横紋筋腫が見つかった場合、生まれたあとに心不全を起こしやすい赤ちゃんを見つけるために、胎児心エコーが役立つとしています[2]。

当院でできること:ご両親の検査と、絨毛・羊水からの胎児の検査

赤ちゃんに横紋筋腫が見つかったとき、まずできるのは、ご両親がTSC1・TSC2の変化を持っているかを調べることです。ご両親のどちらかに変化があれば、赤ちゃんの確率は2分の1で、その変化を赤ちゃんの検体で直接調べられます。絨毛・羊水からの胎児の出生前診断は当院で承っております。当院では羊水検査・絨毛検査を院内で行っています(2025年6月から産婦人科を併設)。

ご両親に変化が見つからない場合も、新しく起きた変化の可能性があるので、赤ちゃんの検体を調べることを考えます。単一遺伝子の病気の出生前の調べ方は単一遺伝子疾患の出生前診断で、横紋筋腫のほかにも所見がある場合に向く出生前全エクソーム検査もあわせてご覧ください。

9. NIPTで結節性硬化症は調べられる?

当院のNIPTでは、ダイヤモンドプランとインペリアルプランで、赤ちゃんのTSC1・TSC2の変化を調べられます。当院のNIPTは妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。スタンダードプラン・プレミアムプラン・双子マックスプランは単一遺伝子を調べないので、結節性硬化症は対象外です。

心臓の横紋筋腫がエコーで見つかるのは、多くが妊娠の中ごろ以降です(上の研究では平均29週)[3]。NIPTは妊娠の早い時期に、赤ちゃんに新しく起きた変化の手がかりを拾える検査です。ダイヤモンドプランは56遺伝子、インペリアルプランは最大155遺伝子(202疾患)の単一遺伝子を調べ、どちらにもTSC1・TSC2が入っています。2つのプランの違いはインペリアルプランとダイヤモンドプランの違いで、詳しい考え方は結節性硬化症(TSC)をNIPTで調べることはできるのか?で解説しています。

NIPTはスクリーニング検査なので、陽性だった場合は絨毛検査・羊水検査で確かめます。当院では確定検査まで院内で受けられます。ご両親のどちらかがすでに結節性硬化症とわかっている場合は、ご家族の変化を絨毛・羊水で直接調べる方法を、遺伝カウンセリングでご相談ください。NIPTトップでは、ほかに調べられる病気の範囲もご覧いただけます。

10. 着床前診断(PGT-M)について

ご家族の原因の変化がわかっていれば、体外受精でできた受精卵を調べる着床前診断(PGT-M)も、技術的には可能とされています[1]。日本では、PGT-Mは日本産科婦人科学会が1例ずつ審査しています。2024年8月に公表された2023年の審査結果報告書(審査72例・承認58例)を確かめたところ、審査された病気の一覧に結節性硬化症はありませんでした(2026年10月時点で確認)。

海外でPGT-Mを考える方もいます。その場合に必要になる遺伝子検査やご家族の検体については、遺伝性疾患をお持ちで海外でPGT-M(着床前診断)を考えている方へをご覧ください。当院の遺伝子検査の結果は、基本的に日本語版でお渡しします。海外でPGT-Mを受ける場合などは英語版をお渡しできますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の両方をご希望の場合は、追加料金5,500円で承ります。当院は体外受精・PGT-Mは行っていません。

着床前診断だけが選択肢ではありません。絨毛・羊水からの胎児の出生前診断は当院で承っております。選択肢の考え方は着床前診断(PGT-M)だけが選択肢ではない理由で解説しています。

11. 検査の概要・流れ・費用

検査費用は330,000円(税込)、結果までは2〜3週間です。唾液・頬の粘膜・血液のいずれでも検査でき、オンライン診療で受けていただけます。

この検査は、遺伝診療先進国・米国の3大遺伝子検査会社の一角で行います。※

※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。

🧬 対象遺伝子

遺伝子 つくるタンパク質 関係する病気 遺伝のしかた
TSC1 ハマルチン 結節性硬化症1型(OMIM 191100) 常染色体顕性(優性)遺伝
TSC2 チュベリン 結節性硬化症2型(OMIM 613254)、TSC2/PKD1隣接遺伝子欠失症候群(PKD1を含む欠失) 常染色体顕性(優性)遺伝

※TSC2/PKD1隣接遺伝子欠失症候群は、TSC2とPKD1の両方が欠ける場合です。

ご予約
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遺伝カウンセリング臨床遺伝専門医
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検体の採取唾液・頬の粘膜・血液
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結果のご説明2〜3週間後・マイページへ

💴 費用・日数・検体

項目 内容
検査内容 TSC1・TSC2の塩基配列と、欠失・重複(どちらも料金に含まれる)
検体 唾液、頬粘膜スワブ、血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)
結果までの期間 2〜3週間
検査費用 330,000円(税込)
至急オプション 55,000円(結果までの期間が約7日短くなります)
VUS除外 無料(意義がまだわからない変化を報告に含めない選択)
遺伝カウンセリング料 30分22,000円(税込)※検査費用とは別
オンライン診療 唾液・頬の粘膜・血液のいずれもオンライン診療で受けられます。血液の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします
読み取りの精度(カバレッジ) 対象領域の99%以上を20回以上読み取る(≥99% at 20x)

※当院の検査はすべて自費診療です。

オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行ったあと、検体を当院にお送りいただきます。オンラインの場合は、遺伝カウンセリング料金を事前にお支払いください。検体採取キットは、検査料金をお支払いいただいた後にお送りします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

結果は、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。遺伝子検査の結果は、基本的に日本語版でお渡しします(英語版については第10章)。

検査の限界

  • ●調べる範囲:遺伝子のたんぱく質をつくる部分(コード領域)と、その境目(スプライス部位)を調べます。転座や逆位、くり返し配列の伸長、多くの調節領域や、エクソンから20塩基以上離れたイントロンの変化は検出できません。
  • ●欠失・重複:遺伝子全体の欠失・重複(頬粘膜・全血)と、連続する2つ以上のエクソンの欠失・重複(全血のみ)を調べられます。1つのエクソンだけの欠失・重複は、日常的には検出されません。見つかった欠失・重複は、qPCRやMLPAで確かめます。
  • ●モザイク:この検査は、体細胞モザイクや体細胞変異を見つけるようには作られていません。腫瘍の組織での検査には使えません。
  • ●陰性でも否定はできない:結節性硬化症の方の約15%は、TSC1・TSC2の検査で原因が見つかりません[1]。診断基準を満たせば、結節性硬化症と診断されます[2]。
  • ●TSC2/PKD1:このパネルにPKD1は含まれていません。TSC2を含む大きな欠失が見つかった場合は、PKD1まで欠けているかを確かめることが大切だと考えています。

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12. 院長コラム

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「新しく起きた変化」は、誰のせいでもない】

私自身、希少な常染色体顕性(優性)遺伝性疾患の当事者です。子どもに病気を受け渡したくない、という遺伝の病気をもつ方の思いはよくわかります。また、お子さんが重い症状で発症したのをきっかけに、ご自身も同じ遺伝子の変化を持っていたとわかり、自分のせいだと責めてしまう親御さんを、何度も見てきました。私の当事者としての話は、遺伝性疾患の当事者として、臨床遺伝専門医になった理由に書いています。

結節性硬化症は、約3分の2が新しく起きた変化による病気です。遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。一方で、症状の重さは人によって大きく違い、白い斑や爪のまわりのできものだけで気づかれていない方もいる病気です。だからこそ、「家族に同じ病気の人はいないから」「自分は軽いから」という印象だけで、次の妊娠やご家族の見通しを決めてしまわないでほしいと考えています。

遺伝子検査は、やってみないとわからないことを、何度も経験してきました。検査をしないと何も言えない、というのが私の確固たる考えです。こうした経験から、当院では、検査を受けずにリスクだけをご説明することはしておりません。検査をせずにリスクをお伝えするほうが、かえって危険だと考えているためです。

結節性硬化症は、原因がわかってから始められることが多い病気です。赤ちゃんのうちに診断がつけば脳波の見張りを始められ、大人の方なら腎臓や肺の見張りと治療につなげられます。知ったうえで結婚や妊娠を考えたい方には、出生前診断まで当院で続けて支えられる体制を整えています。どの選択をされても、その選択を尊重します。

よくある質問(FAQ)

Q1. 結節性硬化症は治りますか?

病気の原因そのものを治す治療は、まだありません。難病情報センターは、根本的な治療がないため生涯にわたる治療が必要としています。一方で、日本ではmTOR阻害薬のエベロリムス(効能・効果「結節性硬化症」)、シロリムス錠(リンパ脈管筋腫症)、シロリムスゲル(結節性硬化症に伴う皮膚病変)、点頭てんかんのビガバトリンが承認されており(2026年10月時点)、症状に合わせて専門の医療機関で治療を受けられます。

Q2. 結節性硬化症の寿命や死亡原因は?

寿命は、どの臓器にどのくらい重い症状が出るかで大きく変わります。GeneReviewsでは、若くして亡くなる原因として最も多いのは腎臓の病気(50%)とされています。脳・腎臓・肺の腫瘍が重くなると生命の見通しに関わることが多いため、定期的な見張りの検査で早く見つけて治療することが大切です。

Q3. 赤ちゃんに白い斑(白斑)があったら、結節性硬化症ですか?

それだけでは決まりません。白い斑は結節性硬化症の方の約90%にみられますが、健康な新生児の0.8%にもみられ、多くは医学的に問題がないとされています。診断基準で大症状になるのは、直径5mm以上の白い斑が3つ以上ある場合です。気になる場合は、ほかの症状とあわせて判断し、遺伝子検査で確かめることができます。

Q4. 結節性硬化症は遺伝しますか?確率は?

常染色体顕性(優性)遺伝で、患者さんのお子さんは1人ごとに2分の1の確率で同じ変化を受け継ぎます。男の子でも女の子でも確率は同じです。顕性遺伝なので、パートナーの遺伝子によって確率は変わりません。

Q5. 両親に症状がないのに、なぜ子どもが結節性硬化症に?次の子は?

結節性硬化症の約3分の2は、ご両親から受け継いだのではなく、新しく起きた変化によるものです。誰のせいでもありません。ただし、親御さんの卵子や精子のもとになる細胞にだけ変化がある性腺モザイクで説明される家族もあるため、次のお子さんの確率はゼロではありません。次の妊娠の前に遺伝カウンセリングで考えておくことをおすすめします。

Q6. 大人になってから結節性硬化症とわかることはありますか?

あります。大人では、腎臓の血管筋脂肪腫(70%)や、女性の肺のリンパ脈管筋腫症(LAM)が大切な病変になり、爪のまわりのできものは年長の大人で最大80%にみられます。2021年の国際診断基準では、TSC1またはTSC2に病気の原因となる変化が見つかれば、年齢に関係なく診断できます。

Q7. 遺伝子検査で異常がなければ、結節性硬化症ではないのですか?

否定はできません。結節性硬化症の方の約15%は、TSC1・TSC2の検査で原因の変化が見つかりません。体の一部の細胞だけに変化があるモザイクの方もいます。診断基準を満たせば、遺伝子検査が陰性でも結節性硬化症と診断されます。

Q8. 結節性硬化症の出生前診断やNIPTはできますか?

ご家族の原因がわかっていれば、絨毛・羊水で赤ちゃんの変化を直接調べられます。絨毛・羊水からの胎児の出生前診断は当院で承っております。当院のNIPTでは、ダイヤモンドプランとインペリアルプランでTSC1・TSC2の変化を調べられます(妊娠9週から、6〜8週は臨床研究)。NIPTはスクリーニング検査なので、陽性なら確定検査で確かめます。

Q9. 妊娠中に赤ちゃんの心臓に横紋筋腫があると言われました。

結節性硬化症の可能性を考えます。GeneReviewsでは、出生前に2つ以上の心臓の横紋筋腫を指摘された赤ちゃんの90〜95%が結節性硬化症になると推定されていますが、この割合は報告によって幅があります。まずご両親の遺伝子検査、必要に応じて絨毛・羊水での赤ちゃんの検査を考えます。

Q10. 結節性硬化症は何科で診てもらえますか?

症状が出ている臓器に合わせて、てんかんや発達は小児科・小児神経科、皮膚は皮膚科、腎臓は腎臓内科・泌尿器科、肺は呼吸器内科など、複数の科が連携して診ます。当院は遺伝子検査と遺伝カウンセリングを行い、治療は専門の医療機関で受けていただきます。

Q11. 結節性硬化症の遺伝子検査の費用と検体は?

検査費用は330,000円(税込)で、遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。当院の検査はすべて自費診療です。唾液・頬の粘膜・血液のいずれでも検査でき、オンライン診療で受けられます。結果までは2〜3週間です。

🧬 原因がわかれば、治療と見張りを始められる

生まれ持った遺伝子は一生変わりません。結節性硬化症の原因がわかれば、年齢に合わせた見張りの検査や、日本で承認されている治療薬を専門の医療機関で検討する手がかりになり、ご家族の検査や結婚・妊娠の計画にもつながります。当院では臨床遺伝専門医が常駐し、唾液でのオンライン受検から、羊水検査・絨毛検査による出生前診断まで、院内で続けて受けていただけます。

お電話でのお問い合わせ:03-3478-3768

参考文献

  • [1] Northrup H, Koenig MK, Pearson DA, Au KS. Tuberous Sclerosis Complex. In: GeneReviews®. University of Washington, Seattle; 1999 (Updated 2024 Aug 1). [NCBI Bookshelf NBK1220]
  • [2] Northrup H, Aronow ME, Bebin EM, et al. Updated international tuberous sclerosis complex diagnostic criteria and surveillance and management recommendations. Pediatr Neurol. 2021;123:50-66. [DOI: 10.1016/j.pediatrneurol.2021.07.011]
  • [3] Zhao J, Jia P, Zhang Q, Li T, Ma B, Yan Z. Prenatal ultrasound diagnosis of fetal cardiac rhabdomyoma and analysis of clinical outcomes. Quant Imaging Med Surg. 2026;16(1):36. [DOI: 10.21037/qims-2025-1208]

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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