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結節性硬化症(TSC)をNIPTで調べることはできるのか?

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

結節性硬化症(TSC)は、家族に同じ病気の人がいなくても生まれてくることのある遺伝性の病気です。結論からお伝えすると、TSCの原因になるTSC1遺伝子・TSC2遺伝子の変化は、当院のダイヤモンドプランとインペリアルプランのNIPTで調べられます。ただしNIPTはスクリーニング検査なので、陽性なら羊水検査・絨毛検査で確かめることが前提です。この記事では、TSCがどんな病気か、なぜ家族歴がなくても起こるのか、NIPTで分かること・分からないこと、陽性のときの確定検査までを、臨床遺伝専門医の立場から順に解説します。

この記事でわかること
📖 読了時間:約10分
🧬 結節性硬化症・NIPT・新生突然変異
★ 臨床遺伝専門医監修
  • ➤結節性硬化症(TSC)の主な症状と頻度
  • ➤TSCの約3分の2が、家族歴のない新生突然変異で起こる理由
  • ➤当院のどのプランのNIPTでTSC1・TSC2遺伝子を調べられるか
  • ➤妊婦健診のエコーで心臓の横紋筋腫が見つかったときの意味
  • ➤自閉スペクトラム症との関係と、親のモザイク・次の妊娠の考え方

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. 結節性硬化症はNIPTで調べられる?

調べられます。TSC1・TSC2遺伝子は、当院のダイヤモンドプラン(56遺伝子)とインペリアルプラン(最大155遺伝子)の対象です。スクリーニング検査なので、陽性なら羊水検査・絨毛検査で確かめます。

🤔 Q. ダウン症候群だけ調べれば大丈夫ですか?

大丈夫とは言えません。子育ての負担を最も大きく左右するのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷、睡眠の問題などの行動の問題だと報告されています。結節性硬化症のような単一遺伝子の病気は、三大トリソミーだけの検査では調べられません。当院のNIPTはこうした病気まで調べられます。

👪 Q. 家族にTSCの人がいなくても起こる?

起こります。TSCの方の約3分の2は、親から受け継いだのではなく新しく起きた遺伝子の変化(新生突然変異)が原因です。家族歴がないことは、TSCの可能性がないことを意味しません。

🧩 Q. 自閉症もNIPTでわかる?

一部はわかります。TSCの方の16〜61%に自閉スペクトラム症がみられると報告されており、TSCのように自閉症の原因になる遺伝子・染色体の変化の一部を当院のNIPTで調べられます。ただし、陰性でも自閉症がないとは言えません。

\ ダウン症候群だけで大丈夫ですか? /
結節性硬化症のTSC1・TSC2遺伝子は、当院のダイヤモンドプラン・インペリアルプランで調べられます。どこまで調べるかは、90分の受診枠の中で臨床遺伝専門医と一緒に決められます。

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結節性硬化症とは?思いのほか多い神経皮膚症候群

結節性硬化症(Tuberous Sclerosis Complex:TSC)は、皮膚や脳、心臓、腎臓、肺など複数の臓器に、過誤腫(かごしゅ)と呼ばれる良性の腫瘍ができる遺伝性の病気です。頻度は出生6,000〜10,000人に1人と推定されており[1]、遺伝性の病気の中では決してまれではありません。

💡 TSCの主な症状

皮膚の白斑(葉状白斑)/顔面の血管線維腫/脳の皮質結節/てんかん発作/知的障害/自閉スペクトラム症/心臓の横紋筋腫/腎臓の血管筋脂肪腫

症状の現れ方や重さには大きな個人差があり、同じ家族の中でも程度が違うことは珍しくありません。なかでも多いのはてんかんで、TSCの方の80%以上にてんかん発作がみられると報告されています[1]。女性では肺にリンパ脈管筋腫症(LAM)を伴うこともあります。

💡 用語解説:過誤腫(かごしゅ)

その臓器にもともとある細胞が、本来の並び方とは違う形で増えてできる良性のかたまりです。がんのように周りに広がって転移するものではありませんが、できる場所や大きさによっては臓器の働きに影響します。

TSCと遺伝子変異:新生突然変異が約3分の2を占める

TSCは、TSC1遺伝子またはTSC2遺伝子の変化によって起こる常染色体顕性(優性)遺伝の病気です。これらの遺伝子は、細胞の成長や分裂を抑えるブレーキ役のたんぱく質をつくっています。変化があるとブレーキが効きにくくなり、細胞の増殖を進めるmTOR(エムトア)経路が働きすぎることで、全身に過誤腫ができます。

原因の遺伝子が分かった方のうち、約74%がTSC2、約26%がTSC1の変化で、TSC2の変化のほうが症状が重い傾向があると報告されています[1]。病型ごとの詳しい解説は結節性硬化症1型(TSC1)と結節性硬化症2型(TSC2)のページにまとめています。

⚠️ 家族歴がなくても起こる

TSCの方の約3分の2は、新生突然変異(de novo変異)によるものです[1]。両親には変化がなく、卵子や精子ができる過程、または受精して間もない時期に新しく変化が起きた場合を指します。つまり、TSCの多くは家族に同じ病気の人がいないご家庭に生まれてきます。新生突然変異のしくみはDe Novo変異(新生突然変異)とはで解説しています。

一方、ご両親のどちらかがTSCの場合は、お子さんに受け継がれる確率は50%です[1]。受け継がれた場合も、症状の重さは親子で同じとは限りません。

💡 用語解説:常染色体顕性(じょうせんしょくたいけんせい)遺伝

2本ある遺伝子のうち1本に変化があるだけで病気が現れる遺伝のしかたです。以前は「優性遺伝」と呼ばれていました。「優れている」という意味ではなく、性質が表に出やすいという意味です。

出生前診断の新たな可能性:NIPTでTSCを検出できるか?

これまでTSCは、生まれたあとの皮膚の症状やてんかん、画像検査などをきっかけに診断されることが一般的でした。妊娠中に可能性が分かれば、生まれてすぐの心臓や脳の検査、てんかんの早期発見に向けた準備など、赤ちゃんを迎える体制を前もって整えられます。

NIPTとは?

非侵襲的出生前検査(Non-Invasive Prenatal Testing:NIPT)は、お母さんの血液に含まれる赤ちゃん(胎盤)由来のDNAの断片を調べる検査です。主にダウン症候群などの染色体の数の変化を調べる検査として広まりましたが、現在は一部の単一遺伝子疾患も対象にできるようになっています。しくみは単一遺伝子疾患のNIPD(非侵襲的出生前診断)とはで解説しています。当院のNIPTは妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。

🧬 ミネルバクリニックでのTSC検査

当院では、TSC1遺伝子・TSC2遺伝子の新生突然変異をNIPTで調べられます。対象はダイヤモンドプラン(単一遺伝子56遺伝子)とインペリアルプラン(単一遺伝子最大155遺伝子・202疾患)で、どちらにもTSC1・TSC2が含まれます。結果が出るまでの目安は、ダイヤモンドプランは単一遺伝子も基本10〜14日、インペリアルプランの単一遺伝子だけ3〜4週間です。スタンダードプラン・プレミアムプラン・双子マックスプランは単一遺伝子を調べないため、TSCは対象外です。対象遺伝子の一覧は56遺伝子de novo変異NIPTと155遺伝子de novo変異NIPT、2つのプランの違いはインペリアルプランとダイヤモンドプランの違いをご覧ください。

家族歴のないケースでもTSCの可能性を調べられることには、大きな意味があります。前述のとおり、TSCの約3分の2は新生突然変異によるもので、家族歴からは予測できないからです[1]。

妊婦健診のエコーで心臓の横紋筋腫が見つかったとき

TSCは、妊娠中の超音波検査で見つかることもあります。赤ちゃんの心臓にできる横紋筋腫(おうもんきんしゅ)という良性の腫瘍はTSCに特徴的で、胎児期に心臓の横紋筋腫が2つ以上見つかった赤ちゃんの90〜95%はTSCと推定されています[1]。エコーで横紋筋腫を指摘された場合は、NIPTではなく、羊水検査などの確定検査でTSC1・TSC2遺伝子を直接調べる方法を主治医と相談してください。胎児の超音波検査で分かること・分からないことは胎児超音波検査(医学用語としての解説)にまとめています。

また、ご両親のどちらかがTSCで、家族の遺伝子の変化が分かっている場合は、その変化を絨毛検査・羊水検査で直接調べる出生前検査や、着床前の遺伝学的検査が可能です[1]。詳しくは単一遺伝子疾患の出生前診断で解説しています。

NIPTによるTSC検査のメリット

  1. 採血だけで受けられる:お母さんの採血だけで行えるため、羊水検査や絨毛検査のような流産のリスクがありません。
  2. 早い時期に調べられる:当院では妊娠9週から(妊娠6〜8週は臨床研究として)受けられ、早い段階でTSCの可能性を知ることができます。
  3. 家族歴がなくても調べられる:新しく起きた遺伝子の変化を対象にしているため、家族に同じ病気の人がいなくても調べられます。
  4. 生まれたあとの準備ができる:可能性が分かれば、出産する施設の選び方や、生まれてすぐの検査・専門の診療科への受診を前もって計画できます。

一方で、限界もあります。NIPTはスクリーニング検査で、陽性でも診断の確定にはならず、確定検査が必要です。陰性でも、体の一部の細胞だけに変化があるモザイクなどを含め、TSCの可能性を完全に否定するものではありません。また、遺伝子の変化が見つかっても、症状がどのくらい重くなるかは予測できません。

TSC診断の重要性と早期介入

TSCでは、年齢とともにさまざまな症状が現れることがあります。早く診断されていると、次のような点で備えることができます。

🩺 早く分かっていると備えられること

てんかん発作の早期発見と治療/脳の腫瘍の定期的な画像検査/腎臓や心臓などの合併症の定期的な評価/自閉スペクトラム症を含む発達の早期確認と療育支援/行動や発達の問題への早めの対応

結節性硬化症と自閉症スペクトラム障害の関連性

結節性硬化症(TSC)と自閉症スペクトラム障害(ASD)には強い関連があります。TSCの方では自閉スペクトラム症の頻度が高く、報告によって幅はありますが、16〜61%にみられると推定されています[1]。

発症のメカニズム

TSC1・TSC2の変化でmTOR経路が働きすぎると、脳の神経細胞の成長や、神経細胞どうしのつながり(シナプス)のでき方に影響が出ます。脳の皮質結節やてんかん発作に加えて、こうした神経ネットワークの発達への影響が、自閉スペクトラム症の特徴や発達の遅れにつながると考えられています。TSCは、1つの遺伝子の変化が自閉スペクトラム症の原因になる代表的な病気の一つです。

当院のNIPTでわかる自閉症・発達障害の原因(一部)

自閉症・発達障害・知的障害の原因はさまざまで、多くは特定できません。ただし一部は、染色体や遺伝子の変化が原因です。一部の自閉症・発達障害は、当院のNIPTでわかります。TSC(ダイヤモンドプラン・インペリアルプラン)のほか、レット症候群・コルネリア・デ・ランゲ症候群・CHARGE症候群(ダイヤモンドプラン・インペリアルプラン)、フェラン・マクダーミッド症候群・16p11.2欠失・重複(インペリアルプラン)、アンジェルマン症候群・プラダー・ウィリー症候群・22q11.2欠失症候群(全プラン)などが対象です。

ただし、NIPTは自閉症そのものを診断する検査ではありません。陽性なら確定検査が必要で、陰性でも自閉症・発達障害・知的障害がないとは言えません。脆弱X症候群など、NIPTで調べられない原因もあります。詳しくは自閉症はNIPTでわかりますか?で解説しています。

💡 早期発見・早期介入の意味

TSCと分かっている赤ちゃんでは、てんかんの兆候や発達の様子を早くから確認し、必要に応じて療育などの支援を早めに始めることができます。出生前に可能性を知ることは、生まれたあとの見守りの計画を立てる手がかりになります。

TSCにおける新生突然変異と親のモザイク状態について

TSCの多くは新生突然変異によるものですが、症状がない、または軽い親が「モザイク」の状態でTSC1・TSC2の変化をもっていることも報告されています。

⚠️ 親のモザイク状態とは?

モザイクとは、体の一部の細胞だけが遺伝子の変化をもっている状態です。親の体の一部の細胞にだけTSC1・TSC2の変化がある場合、症状がないか軽くても、その変化が子どもに伝わることがあります。特に、卵子や精子のもとになる細胞に変化がある「生殖細胞系列モザイク」では、親の血液の検査では見つからないのに、子どもに受け継がれることがあります。

62家系を調べた研究では、6家系でモザイクが見つかりました。このうち5家系では症状の軽い親が体の一部の細胞に変化をもっており、残る1家系では、症状のない両親から3人のTSCのお子さんが生まれ、生殖細胞系列モザイクが確認されています[2]。また、通常の遺伝子検査で変化が見つからなかったTSCの方を詳しく調べ直した研究では、変化が見つかった45人のうち26人(58%)がモザイクでした[3]。

このため、上のお子さんがTSCで、ご両親に症状がない場合でも、次のお子さんに起こる可能性はゼロではありません。ご両親の詳しい診察や遺伝子検査(結節性硬化症NGSパネル遺伝子検査)、次の妊娠での出生前検査の選び方は、臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングでご相談ください。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「家族にいないから大丈夫」とは限らない】

遺伝の病気というと、「家族に同じ病気の人がいなければ関係ない」と考える方が少なくありません。けれどもTSCでは、約3分の2が新しく起きた遺伝子の変化によるものです。家族歴が手がかりにならない病気だからこそ、妊娠中に調べられる手段があることには意味があると考えています。

同時に、NIPTで分かるのは「変化があるかどうか」であって、お子さんがどのような人生を送るかではありません。TSCは症状の幅がとても広い病気です。検査を受ける前に、何が分かり、何が分からないのかを知っていただくことを、臨床遺伝専門医として最も大切にしています。

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陽性の場合も、確定検査(羊水検査・絨毛検査)まで院内で受けられます。

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確定診断のための次のステップ

NIPTでTSCの可能性が示された場合、確定診断のためには次のようなステップを踏みます。

  1. 遺伝カウンセリング:臨床遺伝専門医が結果の意味と今後の選択肢を説明します。当院では陽性後の遺伝カウンセリングを何度でも無料で行います。
  2. 確定検査:羊水検査・絨毛検査で赤ちゃんの遺伝子を直接調べ、診断を確定させます。
  3. 妊娠中の経過観察:超音波検査などで、心臓の横紋筋腫の有無を含め赤ちゃんの様子を確認します。
  4. 生まれたあとの管理計画:てんかんや合併症を早く見つけるための検査と、専門の診療科での診療を準備します。

🏥 当院で陽性になったとき

当院では2025年6月から産婦人科を併設し、羊水検査・絨毛検査を院内で行っています。確定検査の費用は、全員が加入する羊水検査互助会(カトレア会)で補助されます。結果の意味、今後の選択肢、生まれたあとのケアについて、臨床遺伝専門医が説明します。どの選択をされる場合も、その決定を尊重します。

ダウン症候群だけで大丈夫? ― 「値段」ではなく「調べられる範囲」で選ぶ

NIPTを選ぶとき、多くの方がまず比べるのは料金です。けれども、検査ごとに調べられる病気の範囲は大きく違います。ダウン症候群をはじめとする染色体の数の変化を調べる検査では、TSCのような単一遺伝子の病気は見つかりません。TSCは、てんかんが80%以上、自閉スペクトラム症が16〜61%にみられると報告されている病気で[1]、しかも約3分の2は家族歴のない新生突然変異で起こります[1]。ダウン症候群の検査に意味がないということではありません。ダウン症候群のほかにも、妊娠中に調べられる病気があるということです。ダウン症候群以外の病気の全体像はダウン症だけじゃない!出生前診断で後悔しないための疾患の全体像で解説しています。

そこで、料金を「調べられる病気の数」で割った「1つの病気あたり」で考えてみると、次のようになります。

🧮 1つの病気あたりで考えると

プラン 料金(当日割引後・税込) 調べる病気の数 1つの病気あたり
三大トリソミーのみ(仮の例) 100,000円(仮) 3 約33,333円
スタンダードプラン 220,000円 14 約15,714円
プレミアムプラン 264,000円 23 約11,478円
ダイヤモンドプラン 407,000円 79 約5,152円
双子マックスプラン 440,000円 114+α 約3,860円
インペリアルプラン 550,000円 320+α 約1,719円

※料金は、事前学習動画を見て来院した場合の当日割引後の税込価格です。結果の作成費用(3,300円)は別途かかります。最新の料金はNIPTの費用・料金のページでご確認ください。
※病気の数え方:性染色体の数の異常は4種類として数え、5Mbを超える構造異常は数に入れていません(+α)。
※三大トリソミーのみの検査は、比較のための仮の例です(当院では提供していません)。

ただし、「病気の数が多いほど良い検査」というわけではありません。調べる範囲が広がれば、陽性になる場面や確定検査が必要になる場面も増えます。TSCを含めて調べるダイヤモンドプラン・インペリアルプランを選ぶか、染色体の検査にとどめるかは、90分の受診枠の中で、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、一緒に考えます。

まとめ:TSCの早期発見がもたらす希望

結節性硬化症(TSC)は、出生6,000〜10,000人に1人と推定される、決してまれではない病気です[1]。その約3分の2は新生突然変異によるもので、家族歴からは予測できません[1]。

当院では、TSC1遺伝子・TSC2遺伝子をダイヤモンドプランとインペリアルプランのNIPTで調べられます。妊娠中に可能性を知ることで、生まれたあとの検査や見守りの計画を早くから立てることができます。陽性の場合は確定検査で確かめることが前提で、その確定検査も院内で受けられます。

💌 検査をご検討の方へ

TSCについての正確な情報は、ご家族がこれからの選択を考えるための土台になります。妊娠中の遺伝カウンセリングや出生前検査については、臨床遺伝専門医にご相談ください。ミネルバクリニックでは、常駐する臨床遺伝専門医が、何を調べ、何が分からないのかを説明したうえで、検査の選択を支えます。

🏥 家族歴がなくても起こる病気を、妊娠中に調べるという選択

TSC1・TSC2遺伝子は、ダイヤモンドプラン(56遺伝子)とインペリアルプラン(最大155遺伝子・202疾患)で調べられます。陽性でも、確定検査(羊水検査・絨毛検査)まで院内で受けられます。90分の受診枠の中で、常駐する臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、どのプランが合うかを一緒に考えます。来院が難しい方は、オンラインNIPT(Zoomでのカウンセリング+全国110か所の提携施設で採血)もご利用いただけます。
NIPT専用ダイヤル:03-3408-3768

よくある質問(FAQ)

Q1. ダウン症候群だけ調べれば大丈夫ですか?

大丈夫とは言えません。子育ての負担を最も大きく左右するのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷、睡眠の問題などの行動の問題だと報告されています。結節性硬化症のように、てんかんや自閉スペクトラム症を伴うことの多い単一遺伝子の病気は、三大トリソミーだけの検査では調べられません。当院のダイヤモンドプラン・インペリアルプランは、TSC1・TSC2遺伝子まで調べられます。

Q2. 結節性硬化症はNIPTで調べられますか?

調べられます。結節性硬化症の原因になるTSC1遺伝子・TSC2遺伝子は、当院のダイヤモンドプラン(56遺伝子)とインペリアルプラン(最大155遺伝子・202疾患)の対象です。スタンダードプラン・プレミアムプラン・双子マックスプランは単一遺伝子を調べないため、結節性硬化症は対象外です。NIPTはスクリーニング検査なので、陽性の場合は羊水検査・絨毛検査で確かめます。

Q3. 結節性硬化症は遺伝しますか?親が健康でも子どもに起こりますか?

結節性硬化症は常染色体顕性(優性)遺伝の病気で、親がTSCの場合、子どもに受け継がれる確率は50%です。一方で、TSCの方の約3分の2は、親から受け継いだのではなく新しく起きた遺伝子の変化(新生突然変異)が原因です。そのため、両親が健康で家族に同じ病気の人がいなくても、TSCのお子さんが生まれることがあります。

Q4. 妊娠中に結節性硬化症はいつわかりますか?

当院のNIPTは妊娠9週から受けられ(妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます)、ダイヤモンドプランの単一遺伝子の結果は基本10〜14日、インペリアルプランの単一遺伝子の結果は3〜4週間で出ます。また、妊婦健診の超音波検査で赤ちゃんの心臓に横紋筋腫という腫瘍が2つ以上見つかった場合、その90〜95%は結節性硬化症と推定されており、ここから見つかることもあります。

Q5. NIPTが陰性なら、結節性硬化症ではないと言えますか?

言い切ることはできません。NIPTはスクリーニング検査で、陰性は「調べた範囲では可能性が低い」という意味です。体の一部の細胞だけに変化があるモザイクなど、検査で見つけにくい場合もあります。妊娠中の超音波検査で心臓の腫瘍などが見つかったときは、改めて主治医と相談してください。

Q6. 上の子が結節性硬化症で、両親には症状がありません。次の子にも起こりますか?

可能性はゼロではありません。症状のない親の卵子や精子のもとになる細胞だけに変化がある「生殖細胞系列モザイク」によって、きょうだいに同じ病気が起きた家系が報告されています。上のお子さんで遺伝子の変化が分かっていれば、次の妊娠ではその変化を絨毛検査・羊水検査で直接調べる方法があります。どの検査を選ぶかは遺伝カウンセリングで一緒に考えましょう。

Q7. NIPTで結節性硬化症が陽性と出たらどうなりますか?

陽性はまだ診断ではありません。当院では陽性後の遺伝カウンセリングを何度でも無料で行い、確定検査(羊水検査・絨毛検査)も院内で受けられます。確定検査の費用は、全員が加入する羊水検査互助会(カトレア会)で補助されます。症状の重さは遺伝子の検査だけでは予測できないため、結果の意味や生まれたあとの診療体制についても臨床遺伝専門医が説明します。

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参考文献

  • [1] Northrup H, Koenig MK, Pearson DA, Au KS. Tuberous Sclerosis Complex. In: Adam MP, et al., editors. GeneReviews®. Seattle (WA): University of Washington, Seattle; 1999 Jul 13 [Updated 2024 Aug 1]. [NCBI Bookshelf NBK1220]
  • [2] Verhoef S, Bakker L, Tempelaars AM, et al. High rate of mosaicism in tuberous sclerosis complex. Am J Hum Genet. 1999;64(6):1632-1637. [PubMed 10330349] [DOI 10.1086/302412]
  • [3] Tyburczy ME, Dies KA, Glass J, et al. Mosaic and Intronic Mutations in TSC1/TSC2 Explain the Majority of TSC Patients with No Mutation Identified by Conventional Testing. PLoS Genet. 2015;11(11):e1005637. [DOI 10.1371/journal.pgen.1005637]

※本記事は一般の方に向けた情報提供を目的とするもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。検査の選択については、臨床遺伝専門医にご相談ください。

プロフィール

仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

Google公認:仲田洋美 公式プロフィール

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続け、遺伝医療と出生前診断に携わっています。当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、検査結果の数値そのものだけでなく、「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、日本人として異文化の中で生活した経験があります。価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。この経験は現在の診療においても、「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、36週6日で一人を死産した経験があります。その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、家族の未来に関わる重要な意思決定です。年齢や統計だけで判断するのではなく、医学的根拠と心理的支援の両面から、ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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