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神経線維腫症(レックリングハウゼン病)の遺伝子検査|カフェオレ斑の見分けと遺伝する確率

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

神経線維腫症(レックリングハウゼン病)の遺伝子検査

神経線維腫症1型(NF1)は、レックリングハウゼン病とも呼ばれ、カフェオレ斑(ミルクコーヒー色のあざ)と、神経線維腫という皮膚のこぶを特徴とする遺伝性の病気です。同じ「神経線維腫症」の名前がついていても、NF2関連シュワノマトーシス(旧神経線維腫症2型)は原因も症状もまったく別の病気で、カフェオレ斑が多いだけのレジウス症候群という病気もあります。このページの検査は、この3つの原因遺伝子NF1・NF2・SPRED1を一度に調べる遺伝子パネル検査です。わかれば、必要な見張りや治療薬を選べるようになり、ご家族やこれから生まれるお子さんのことも考えられるようになります。唾液での検査ならオンライン診療で受けられます。症状・遺伝する確率・結婚や妊娠のこと・検査でわかることを、臨床遺伝専門医が解説します。

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. カフェオレ斑があると、レックリングハウゼン病ですか?

1〜2個なら珍しくありません。国際診断基準で目安になるのは6個以上(思春期前は直径5mm超、思春期以降は15mm超)です。ただし、カフェオレ斑と脇の下のそばかす様の斑点だけの場合は、腫瘍ができないレジウス症候群のこともあり、見た目だけでは区別できません。

🧬 Q. この検査で何がわかりますか?

NF1(神経線維腫症1型)、NF2(NF2関連シュワノマトーシス)、SPRED1(レジウス症候群)の3遺伝子を一度に調べます。どの病気かがわかると、必要な見張りがまったく変わります。

🧬 Q. 子どもに遺伝する確率は?

NF1は常染色体顕性(優性)遺伝で、お子さん1人ごとに2分の1です。一方で、NF1の約半数はご両親から受け継いだものではなく、新しく起きた変化によるものです。

🧬 Q. 費用・日数・検体は?

検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。検体は血液・唾液・頬の粘膜などで、唾液・頬の粘膜ならオンライン診療で受けられます。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。

\ カフェオレ斑の「見分け」から、ご家族の計画まで /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

NF1・NF2・SPRED1の3遺伝子を一度に。唾液ならオンライン診療で、全国から受けられます。

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1. 神経線維腫症(レックリングハウゼン病)とは

「神経線維腫症」と呼ばれる病気には、原因遺伝子も症状もまったく違う複数の病気が含まれます。いちばん多いのが神経線維腫症1型(NF1)で、これがレックリングハウゼン病です。NF1は最も多い常染色体顕性(優性)遺伝の病気のひとつで、フィンランドの調査では出生1,871人に1人と推定されています[2]。日本では指定難病34に指定されています(難病情報センター、2026年10月時点で確認)。

NF2関連シュワノマトーシスは、以前は「神経線維腫症2型(NF2)」と呼ばれていた病気です。2022年の国際的な合意で、カフェオレ斑や神経線維腫を特徴とするNF1と混同されないよう、主な症状である神経鞘腫(シュワノーマ)にちなんだ名前に改められました[4]。同じ合意で、SMARCB1やLZTR1という遺伝子が原因のシュワノマトーシスも、遺伝子名をつけた名前で整理されています[4]。

3つの病気の違い

🧬 このパネルで調べる3つの病気

項目 神経線維腫症1型(NF1) NF2関連シュワノマトーシス レジウス症候群
原因遺伝子 NF1(17q11.2) NF2 SPRED1
遺伝子がつくるもの ニューロフィブロミン マーリン SPRED1タンパク質
主な症状 カフェオレ斑、脇の下・足の付け根のそばかす様の斑点、神経線維腫、虹彩の小さな結節など 両側の聴神経(前庭神経)の神経鞘腫、髄膜腫など。難聴・耳鳴り・ふらつき カフェオレ斑と、脇の下・足の付け根のそばかす様の斑点。NF1のような腫瘍はできない
遺伝のしかた 常染色体顕性(優性)遺伝(OMIM 162200) 常染色体顕性(優性)遺伝(OMIM 101000) 常染色体顕性(優性)遺伝(OMIM 611431)

※症状と名称は文献[1][2][3][4]による。SMARCB1関連シュワノマトーシスや、LZTR1遺伝子が原因のシュワノマトーシスは、このパネルの対象遺伝子に含まれていません。

NF1の病気そのものをさらに詳しく知りたい方は、神経線維腫症1型(NF1/レックリングハウゼン病)総論を、旧2型についてはNF2関連シュワノマトーシス(旧神経線維腫症2型)をご覧ください。このページでは、遺伝子検査を受けるかどうかを決めるために必要なことを中心にお伝えします。

「神経線維腫」とはどんなこぶか

神経線維腫は、末梢神経のまわりの細胞(シュワン細胞など)が増えてできる良性の腫瘍です。NF1では、皮膚の表面や皮膚の下にできる小さなこぶ(皮膚の神経線維腫)が思春期以降に増えてくることが多く、神経に沿って大きく広がる「叢状(そうじょう)神経線維腫」は、全身MRIで調べるとNF1の方の約半数に見つかるとされています[2]。叢状神経線維腫は、場所や大きさによっては痛みや見た目の変化、神経の症状の原因になります。

2. カフェオレ斑があると神経線維腫症?見分けたい病気

カフェオレ斑が1〜2個あるだけなら、珍しいことではありません。目安になるのは「6個以上」ですが、それでもNF1とは限らず、腫瘍ができないレジウス症候群のこともあります。小さなお子さんでは、カフェオレ斑以外の所見がまだ出ていないことが多く、見た目だけで見分けるのは難しいのが実際です。

2021年改訂の国際診断基準

NF1の診断基準は、2021年に国際的な合意で改訂されました[1]。親御さんがNF1でない方は、次のうち2つ以上があればNF1と診断します。

  • ●カフェオレ斑が6個以上(思春期前は直径5mm超、思春期以降は直径15mm超)
  • ●脇の下または足の付け根のそばかす様の小さな斑点
  • ●神経線維腫が2個以上、または叢状神経線維腫が1個
  • ●視神経の通り道にできる神経膠腫(視神経膠腫)
  • ●虹彩の小さな結節(リッシュ結節)が2個以上、または脈絡膜の異常が2個以上
  • ●特徴的な骨の変化(蝶形骨の形成不全、すねの骨の前外側への弯曲、長い骨の偽関節など)
  • ●正常な組織(白血球など)で、ヘテロ接合性に見つかったNF1遺伝子の病的な変化(バリアントアレル頻度50%)

親御さんがこの基準でNF1と診断されている場合は、上の項目が1つあればNF1と診断されます[1]。カフェオレ斑と脇の下・足の付け根の斑点だけで基準を満たす場合は、少なくとも一方の所見が体の左右両側に分布している必要があります。改訂で大きく変わったのは、遺伝子検査の結果が診断の項目に入ったことと、カフェオレ斑と脇の下・足の付け根の斑点だけの場合はレジウス症候群も考えると明記されたことです。

レジウス症候群(SPRED1):腫瘍の見張りがいらない病気

レジウス症候群は、カフェオレ斑と脇の下・足の付け根の斑点はNF1とそっくりですが、神経線維腫・視神経膠腫・リッシュ結節・特徴的な骨の変化は起こらない病気です。2021年の国際基準では、左右に分布する6個以上のカフェオレ斑(脇の下・足の付け根の斑点以外にNF1の所見がない)と、SPRED1の病的な変化の両方がそろったときに診断します[1]。なお、2025年に更新された遺伝性疾患の解説書GeneReviewsでは、カフェオレ斑の数を「5個以上」として記載しています[3]。

GeneReviewsによると、レジウス症候群の方の約半数はNF1の皮膚の基準を満たしてしまいます[2]。また、カフェオレ斑が6個以上あって、ほかにNF1の所見がない子どもの約8%がレジウス症候群だったという研究が紹介されています[3]。

💡 ここが遺伝子検査を受ける大きな意味です

NF1と診断されると、視神経膠腫を見つけるための目の検査や、腫瘍を見張るための診察を、子どもの間は毎年続けることになります。2025年のGeneReviewsは、レジウス症候群では腫瘍の見張りは勧められないとする2022年の総説を紹介しています[3]。見た目では同じカフェオレ斑でも、遺伝子でレジウス症候群とわかれば、何年も続く腫瘍の見張りの負担を減らせる可能性があります。反対にNF1とわかれば、必要な見張りを早くから始められます。

CMMRD・マッキューン・オルブライト症候群などは別の検査で

カフェオレ斑は、NF1とレジウス症候群以外の病気でもみられます。とくに見逃してはいけないのが、体質性ミスマッチ修復欠損症(CMMRD)です。CMMRDは、ミスマッチ修復遺伝子(MLH1・MSH2・MSH6・PMS2)のどれかの変化を両親から1つずつ受け継いで起こる、子どものうちにがんを起こしやすい体質で、報告された患者さんの60%以上にカフェオレ斑などの色素の変化がありました[6]。ご両親が血縁関係にある、ご家族にリンチ症候群に関係するがん(大腸がん・子宮体がんなど)の方がいる、といった場合は、この病気も考えます[6]。

CMMRDの原因遺伝子は、このパネルの対象ではありません。また、カフェオレ斑を伴うマッキューン・オルブライト症候群は、GNAS遺伝子の変化が体の一部の細胞にだけある病気で、このパネルの対象ではありません。カフェオレ斑の形や大きさ、ご家族の病気の情報から、どの検査がよいかを遺伝カウンセリングで判断します。カフェオレ斑そのものの特徴はカフェ・オ・レ斑(カフェオレ斑)とはで解説しています。

この検査と、近い検査の選び方

🔍 症状に合わせた検査の選び方

こんなとき 向いている検査
カフェオレ斑が多い、神経線維腫がある、家族にNF1の方がいる このページの検査(NF1・NF2・SPRED1)
若いうちに両耳の聞こえが落ちてきた、聴神経の腫瘍がある このページの検査(NF2を含む)
カフェオレ斑に加えて、低身長・心臓の病気(肺動脈弁狭窄など)・特徴的な顔立ちがある ヌーナン症候群・RAS病(RASopathies)遺伝子パネル検査/CFC症候群NGS遺伝子パネル検査
茶色ではなく白いあざ(白斑)が多い、てんかんがある 結節性硬化症NGSパネル遺伝子検査
カフェオレ斑はないが、発達や学習のことが心配 発達障害・学習障害・知的障害遺伝子検査

※NF1・ヌーナン症候群・CFC症候群は、どれも細胞の増え方を調節するRAS/MAPK経路の病気で、症状が重なることがあります。どの検査が合うかは、遺伝カウンセリングで一緒に決めましょう。

3. NF1の症状と合併症

NF1の症状は、同じ家族の中でも、軽い人から合併症の多い人まで大きく違います。同じ遺伝子の変化でも症状の重さが違うことを「表現型の多様性」といい、NF1はその代表的な病気です。親御さんが軽いからお子さんも軽い、とは言えません。

年齢によって出てくる症状(いつわかる?)

カフェオレ斑は生まれたときから、または乳児期のうちに出てくることが多く、NF1に気づく最初のきっかけになることがほとんどです。皮膚の神経線維腫は思春期以降に増えてくるのが一般的です[2]。そのため、小さなお子さんではカフェオレ斑しか所見がなく、臨床の基準だけでは診断がつかないことがあります。遺伝子検査は、こうした時期に診断をはっきりさせる手がかりになります。

ほかに、すねの骨の弯曲や偽関節、背骨の曲がり(側弯)など骨の変化、高血圧もみられます。NF1の約12%では、ヌーナン症候群に似た顔立ちなどがみられ、神経線維腫症-ヌーナン症候群と呼ばれます[2]。脊髄の神経の根元に神経線維腫が多発する家族性脊髄神経線維腫症というタイプもあります。

学習・ADHD・自閉スペクトラム症

NF1では、知的障害は4〜8%と多くありませんが、学習の困難は50〜60%と多くみられます[2]。GeneReviewsでは、子どもと思春期の30〜50%に注意欠如・多動症(ADHD)がみられ、約25%が自閉スペクトラム症の診断基準を満たすとされています[2]。「レックリングハウゼン病 発達障害」「カフェオレ斑 発達障害」と調べる方が多いのは、こうした背景があるからだと思います。

NF1とわかっていれば、就学前から発達の評価を受け、学習の支援を早めに考えられます。逆に、発達の心配でカフェオレ斑に気づくこともあります。原因がわかることは、お子さんに合った支援を選ぶ出発点になります。

がん・腫瘍のリスク(がんになりやすい?)

NF1の遺伝子は、細胞が増えすぎないようにブレーキをかける腫瘍抑制遺伝子です。そのため、NF1ではいくつかの腫瘍が一般の人より起こりやすくなります。

⚠️ NF1で気をつけたい主な腫瘍

腫瘍 頻度・特徴
視神経膠腫 生涯で15〜20%。幼い子どもで多く(約20%)、年長者では5%未満。多くは症状がなく、治療のいらないものが多い
悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST) 生涯で8〜13%。叢状神経線維腫から生じることがある。急に大きくなる・痛みが続くときは早めに受診
乳がん 50歳未満の女性でリスクが大きく上がる。30歳から毎年のマンモグラフィが勧められている

※頻度と見張りはGeneReviews[2]による。

GeneReviewsは、悪性末梢神経鞘腫瘍や血管の病気のため、NF1の方の平均寿命は一般より短くなると報告しています[2]。ただし、これは集団の平均で、一人ひとりの寿命を決めるものではありません。多くの方は日常生活を送っており、腫瘍を早く見つけるための見張りを続けることが、長く元気に過ごすための鍵です。また、放射線治療は新たな腫瘍の原因になりうるため、NF1の方では一般に避けられています[2]。がんの治療を受ける前にNF1とわかっていることは、治療の選び方にも関わります。

4. 原因と遺伝のしかた

NF1は常染色体顕性(優性)遺伝で、親がNF1の場合、お子さん1人ごとに2分の1の確率で受け継ぎます。浸透率(変化をもつ人が症状を示す割合)は、子どもの時期を過ぎるとほぼ100%です[2]。レックリングハウゼン病は遺伝の病気で、人にうつる病気ではありません。

約半数はご両親から受け継がず、新しく起きた変化

NF1の約半数は、ご両親のどちらにも変化がなく、ご本人の代で新しく起きた変化(de novo)によるものです[2]。「家族に誰もいないのに、なぜ」と思われるかもしれませんが、遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、ご両親のせいではありません。

お子さんに伝わる確率は2分の1、症状の重さは予測できない

常染色体顕性(優性)遺伝では、対になった2本の遺伝子のうち1本に変化があれば発症します。NF1の方のお子さんは、性別に関係なく、1人ごとに2分の1の確率で同じ変化を受け継ぎます[2]。上のお子さんが受け継いだかどうかで、下のお子さんの確率は変わりません。

難しいのは、受け継いだお子さんの症状の重さが予測できないことです。浸透率はほぼ100%なのに、症状は人ごとに大きく違います。腫瘍ができるしくみは、生まれつきの1本の変化に加えて、腫瘍になる細胞でもう1本にも変化が起きる「ツーヒット仮説」で説明されます。2本目の変化がいつ・どこで起きるかは偶然に左右されるため、同じ家族でも症状がばらつくと考えられています。

部分型(モザイク)と、親が軽いのに子が全身型になる理由

体の一部の細胞にだけNF1の変化がある状態を「モザイク」といい、カフェオレ斑や神経線維腫が体の一部にだけ出る「部分型(分節型)NF1」の原因になります。部分型の母親から全身型のNF1のお子さんが生まれた家族では、母親の皮膚の一部の細胞にだけ変化が見つかり、卵子のもとになる細胞にも変化が及んでいたと考えられています[7]。

⚠️ 「自分は軽いから、子どもも軽い」とは言えません

体の一部にだけ症状がある方や、カフェオレ斑が少しあるだけで気にしていなかった方でも、お子さんには全身型のNF1として伝わることがあります[7]。なお、この検査は体の一部の細胞にだけある変化(モザイク)を見つけることを目的としていないため、部分型の方は検体の選び方も含めてご相談ください。

5. 結婚・妊娠を考えるときに

ご本人がNF1でも、ご家族にNF1の方がいても、結婚や子どもを持つことをあきらめる必要はありません。知ったうえで選べることがたくさんあります。「レックリングハウゼン病 結婚」「遺伝させない」と検索される方が多いのは、それだけ一人で悩んでいる方が多いということだと思います。病気を理由に結婚に反対されてしまうこともありますが、正しい情報は、ご本人とお相手、ご家族が一緒に考える土台になります。

症状がない自分も、検査でわかる?

NF1は浸透率がほぼ100%なので、大人になってカフェオレ斑も神経線維腫もまったくない方が、NF1の変化をもっている可能性は高くありません[2]。ただし、症状がとても軽い方や部分型の方は、ご自身で気づいていないこともあります。きょうだいや親がNF1で、「自分は大丈夫なのか」「自分の子どもにも出るのではないか」と不安を抱えている方は、検査で確かめることができます。

ご家族がすでに遺伝子検査を受けて原因の変化がわかっていれば、その報告書がいちばんの手がかりになります(お持ちください)。わかっていなければ、あなたご自身を検査します。

妊娠したときの選択肢

GeneReviewsでは、ご家族の原因の変化がわかっていれば、妊娠中の出生前検査や着床前検査が可能とされています[2]。絨毛・羊水からの胎児の出生前診断は当院で承っております。当院では2025年6月から産婦人科を併設し、羊水検査・絨毛検査を院内で行っています。出生前診断を計画するためにも、妊娠の前にご本人・ご家族の原因の変化を確かめておくことが出発点になります。

当院のNIPTのインペリアルプラン(妊娠9週から。6〜8週は臨床研究として受けられます)は、単一遺伝子の病気の対象にNF1とNF2を含みます(ダイヤモンドプランには含まれていません)。ただし、NIPTはお母さんの血液に混ざる赤ちゃん由来のDNAを調べる検査なので、お母さんご自身がもっている変化は、赤ちゃんのものかどうか見分けにくくなります。そのため、ご両親のどちらかがNF1の変化をもっている場合は、絨毛検査・羊水検査でご家族の変化があるかを直接確かめるのが確実だと考えています。インペリアルプランが役に立つのは、ご両親に変化がない場合に、赤ちゃんの代で新しく起きた変化をふるい分けたいときです。プランの違いはインペリアルプランとダイヤモンドプランの違いで説明しています。

着床前診断(PGT-M)について

日本では、病気の原因となる変化を受精卵で調べる着床前遺伝学的検査(PGT-M)は、日本産科婦人科学会が症例ごとに審査し、実施できるかを決めています。2026年9月の学会の発表では、2025年7月〜2026年6月の1年間に36件が承認されました。当院は体外受精・PGT-Mは行っていませんが、PGT-Mには、ご本人とご家族の変化がわかっていることが欠かせません。結果は、基本的に日本語版でお渡ししています。海外でPGT-Mを受けるなど、英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。詳しくは海外でPGT-Mを考えている方へ、PGT-Mはなぜ本人だけでは検査できないのか、着床前診断だけが選択肢ではない理由をご覧ください。

6. ミネルバクリニックの神経線維腫症遺伝子パネル検査

この検査は、神経線維腫症1型・NF2関連シュワノマトーシス・レジウス症候群の原因となる3つの遺伝子(NF1・NF2・SPRED1)を、次世代シーケンサー(NGS)で一度に調べる遺伝子検査です。1つずつ順番に調べると、そのたびに費用と時間がかかります。症状から1つの病気にしぼりきれないときこそ、まとめて調べる意味があります。

この検査は、遺伝診療先進国・米国の3大遺伝子検査会社の一角で行います。※

※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。

どんな人が受けるとよいか

  • ●お子さんにカフェオレ斑が多く、NF1かレジウス症候群かをはっきりさせたい方
  • ●皮膚や皮下に神経線維腫がある方、叢状神経線維腫や視神経膠腫と言われた方
  • ●若いうちに聴神経の腫瘍や髄膜腫が見つかった方、両耳の聞こえが落ちてきた方
  • ●臨床的にNF1と診断されているが、遺伝子の変化は調べていない方(ご家族の検査や出生前診断に必要になります)
  • ●親・きょうだいがNF1で、自分も受け継いでいるか知りたい方、結婚や妊娠の前に確かめておきたい方

当院は、ライフステージごとに患者さんの人生をサポートするという考え方で診療しています。知りたいと願う方を拒むことはしません。遺伝カウンセリングで十分に考えたうえで、ご本人が知りたいと決めた場合は、その意思を尊重して検査まで行います。

\ 結婚や妊娠の前に知れば、選べることが増えます /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

原因の変化がわかれば、羊水検査・絨毛検査による出生前診断まで院内で受けられます。

NIPT(新型出生前診断)について | どの検査がよいか迷う方へ

この検査でわかること・わからないこと

この検査では、3つの遺伝子のたんぱく質をつくる部分(コード領域)と、その継ぎ目(スプライス部位)を読み、遺伝子1つ分の大きな欠失や重複も調べます。見つかった欠失・重複はMLPAなどの別の方法で確かめます。一方で、遺伝子検査には必ず限界があります。

  • ●陰性でもNF1を否定はできません:GeneReviewsによると、NF1の変化が見つかる割合は、RNAも読む方法では95%を超えますが、DNAの配列だけを読む方法では約60〜90%です[2]。この検査はDNAを読む検査なので、陰性でも、臨床の基準を満たしていればNF1として見張りを続けます。
  • ●モザイク:体の一部の細胞にだけある変化を見つけることは目的としていません。腫瘍の組織の検査も対象外です。
  • ●検出できない変化:転座や逆位、繰り返し配列の伸長、遺伝子の働きを調節する領域(プロモーターなど)や、継ぎ目から20塩基より奥のイントロンの変化は検出されません。
  • ●意義がまだわからない変化(VUS):病気の原因かどうかまだ判断できない変化が見つかることがあります。

遺伝子の変化の種類で、見通しが変わることがある

NF1では、どんな変化をもっているかで、ある程度見通しが変わることがわかってきました[2]。

  • ●NF1遺伝子全体の欠失:NF1の方の5〜11%にみられます。神経線維腫が早く多くでき、悪性末梢神経鞘腫瘍のリスクも高く、知的な発達の遅れや体の大きさの変化を伴うことが多いとされます(NF1欠失症候群)。見張りをより手厚くする必要があります。
  • ●p.Met992del:この変化をもつ方の約4分の1はNF1の臨床の基準を満たさないとされ、比較的軽い傾向があります。
  • ●p.Arg1809の変化:カフェオレ斑は多いものの、皮膚の神経線維腫はできにくいことが多いとされます。

ただし、同じ変化でも症状には個人差があり、変化の種類だけで一人ひとりの将来が決まるわけではありません。結果の意味は、遺伝カウンセリングでご家族の状況とあわせてご説明します。

7. 病的変異が見つかったら、次にできること

遺伝子で病名がはっきりすると、何を・いつ・どれくらいの間隔で見張ればよいかが決まり、使える治療薬も選べるようになります。当院は治療を行っていないため、治療や定期的な検査は専門の医療機関で受けていただきます。当院では、結果をもとに、どんな見張りが必要かと、受診先を考えるための情報をお伝えします。

NF1:叢状神経線維腫の飲み薬と、毎年の見張り

手術で取り切れない叢状神経線維腫には、MEK阻害薬という飲み薬が使われるようになりました。小児を対象にした臨床試験では、セルメチニブで多くの子どもの叢状神経線維腫が小さくなったと報告されています[5]。日本では、セルメチニブ(コセルゴ)が2022年に「神経線維腫症1型における叢状神経線維腫」の治療薬として承認・発売され、2025年には医薬品医療機器総合機構(PMDA)が、成人の叢状神経線維腫への有効性も示されたとする審査報告書を出しています(2026年10月時点で確認)。使えるかどうかは、腫瘍の場所・大きさ・症状によって専門の医療機関が判断します。

GeneReviewsが勧める主な見張りは次のとおりです[2]。

  • ●NF1にくわしい医師による毎年の診察と、定期的な血圧の測定
  • ●子どもの間は毎年の眼科の検査(視神経膠腫を見つけるため)、大人はそれより少ない頻度で
  • ●子どもの発達の評価
  • ●女性は30歳から毎年のマンモグラフィ、30〜50歳は乳房MRIも検討
  • ●診察でわからない腫瘍が疑われるときのMRI

NF2関連シュワノマトーシス:聞こえを守るための見張り

NF2関連シュワノマトーシスとわかった場合は、聴神経の腫瘍や髄膜腫を早く見つけるために、脳と脊髄のMRIや聴力の検査を、専門の医療機関で定期的に受けていきます。腫瘍が小さいうちに見つかれば、聞こえを残すための治療の選択肢を考えやすくなります。症状のないご家族も、同じ変化があるかを調べることで、見張りが必要な人を見つけられます。

レジウス症候群:腫瘍の見張りは不要とされる

第2章で書いたように、レジウス症候群では腫瘍の見張りは勧められていません[3]。見張りの中心は、発達・学習やADHDの評価と血圧の確認になります。NF1と思って毎年の検査を続けてきたご家族にとって、ここがはっきりすることは大きな意味があります。

ご家族の検査と、日本の制度

ご本人の原因の変化がわかると、ご両親・きょうだい・お子さんは、その同じ変化だけを調べることで、受け継いでいるかを確かめられます。症状のないご家族の検査は発症前の検査になるため、検査の前に遺伝カウンセリングで、知ることの意味をよく考えていただきます。

神経線維腫症は指定難病34に指定されています。医療費の助成を受けるには、認定の基準を満たして申請する必要があります。2024年4月の診断基準では、NF1遺伝子の病的な変化が見つかることが「遺伝学的基準」として示されています(難病情報センター、2026年10月時点で確認)。認定の基準や申請の方法は、難病情報センターやお住まいの自治体の窓口でご確認ください。

8. 検査の流れ・費用・結果までの日数・検体

検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。唾液・頬の粘膜の検体なら、オンライン診療で全国から受けられます。

ご予約
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遺伝カウンセリング臨床遺伝専門医
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検体の提出お支払い後にキット送付
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結果のご説明2〜3週間後・マイページへ

💴 費用・日数・検体

項目 内容
対象遺伝子 NF1、NF2、SPRED1(3遺伝子)
調べる変化 塩基配列の変化、欠失・挿入(料金に含まれます)
読み取りの精度 対象領域の99%以上を20回以上読み取る(≥99% at 20x)
検体 血液(EDTA採血管4mL×2本)、抽出DNA(3μg)、頬の粘膜、唾液
結果までの期間 2〜3週間
検査費用 330,000円(税込)
オプション 至急(結果までの期間が約7日短くなります)55,000円/VUS除外(無料)
遺伝カウンセリング料 30分22,000円(税込)※検査費用とは別
オンライン診療 唾液・頬の粘膜・血液いずれも可能。血液の場合は全国の提携医療機関で採血

※当院の検査はすべて自費診療です。オンラインの場合は、遺伝カウンセリング料金を事前にお支払いください。検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りします。ご自身で先に検体を採取しないでください。

結果は、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。結果だけをお送りすることはありません。陽性・陰性・VUSのそれぞれで、次にできることが違うためです。

\ 人生に一度の遺伝子検査を、ご家族とこれからの計画に /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

臨床遺伝専門医が常駐し、結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明してからマイページにアップします。

お問い合わせはこちら | オンライン診療のご案内

9. 院長コラム

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【同じカフェオレ斑でも、わかれば道が分かれる】

私自身、希少な常染色体顕性(優性)遺伝性疾患の当事者です。子どもに病気を受け渡したくない、という遺伝の病気をもつ方の思いはよくわかります。また、お子さんが重い症状で発症したのをきっかけに、ご自身も同じ遺伝子の変化を持っていたとわかり、自分のせいだと責めてしまう親御さんを、何度も見てきました。私の当事者としての話は、遺伝性疾患の当事者として、臨床遺伝専門医になった理由に書いています。

遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。NF1の約半数は、ご両親から受け継いだものではなく新しく起きた変化です。そして、同じ家族の中でも症状の重さに大きな差がある病気です。だからこそ、「カフェオレ斑が少しあるだけだから」「自分は軽いから」という見た目の印象だけで、将来を決めてしまわないでほしいと考えています。

カフェオレ斑は、NF1でもレジウス症候群でも同じように見えます。けれども、NF1なら毎年の目の検査や腫瘍の見張りが必要になり、レジウス症候群なら腫瘍の見張りの負担を減らせる可能性があります。見た目は同じでも、遺伝子がわかると、その後の何年もの過ごし方が変わります。がん薬物療法専門医としても、腫瘍ができやすい体質を前もって知っておくことは、早く見つけて治療を選ぶための大切な準備だと考えています。

遺伝子検査は、やってみないとわからないことを、何度も経験してきました。検査をしないと何も言えない、というのが私の確固たる考えです。当院では、検査を受けずにリスクだけをご説明することはしておりません。検査をせずにリスクをお伝えするほうが、かえって危険だと考えているためです。知ったうえで結婚や妊娠を考えたい方には、出生前診断まで当院で続けて支えられる体制を整えています。どの選択をされても、その選択を尊重します。

よくある質問(FAQ)

Q1. レックリングハウゼン病(神経線維腫症1型)の寿命は?

遺伝性疾患の解説書(GeneReviews)では、悪性末梢神経鞘腫瘍や血管の病気のため、神経線維腫症1型の方の平均寿命は一般より短くなると報告されています。ただし、これは集団の平均で、一人ひとりの寿命を決めるものではありません。腫瘍を早く見つけるための毎年の診察や検査を続けることが大切です。

Q2. レックリングハウゼン病が子どもに遺伝する確率は?

神経線維腫症1型は常染色体顕性(優性)遺伝で、親が神経線維腫症1型の場合、お子さん1人ごとに2分の1の確率で受け継ぎます。受け継いだ場合の症状の重さは、親と同じとは限りません。一方で、神経線維腫症1型の約半数は、ご両親から受け継いだものではなく、新しく起きた変化によるものです。

Q3. レックリングハウゼン病は人にうつりますか?

うつりません。神経線維腫症1型は、NF1遺伝子の変化による遺伝性の病気で、感染症ではありません。カフェオレ斑や神経線維腫に触れても、人にうつることはありません。

Q4. カフェオレ斑が何個あったら検査を受けるべきですか?

2021年の国際診断基準で目安になるのは6個以上(思春期前は直径5mm超、思春期以降は15mm超)です。ただし、カフェオレ斑と脇の下・足の付け根の斑点だけの場合は、腫瘍ができないレジウス症候群のこともあり、見た目では区別できません。数が少なくても、ほかの症状やご家族の病気が気になる場合は、遺伝カウンセリングでご相談ください。

Q5. レックリングハウゼン病はいつわかりますか?

カフェオレ斑は生まれたときから、または乳児期に出てくることが多く、最初のきっかけになります。皮膚の神経線維腫は思春期以降に増えるのが一般的です。小さなお子さんでは臨床の基準だけでは診断がつかないことがあり、遺伝子検査が診断の手がかりになります。

Q6. 検査で異常が見つからなければ、神経線維腫症ではないのですか?

否定はできません。NF1の変化が見つかる割合は、DNAの配列だけを読む方法では約60〜90%とされています。陰性でも臨床の基準を満たしていれば、神経線維腫症1型として見張りを続けます。また、体の一部の細胞にだけある変化(モザイク)は、この検査の対象外です。

Q7. 家族がレックリングハウゼン病です。結婚や妊娠の前に自分を調べられますか?

調べられます。ご家族の遺伝子検査で原因の変化がわかっていれば、その報告書がいちばんの手がかりになります。わかっていなければ、あなたご自身を検査します。原因の変化がわかれば、妊娠中に絨毛検査・羊水検査で赤ちゃんを調べる出生前診断も可能で、絨毛・羊水からの胎児の出生前診断は当院で承っております。

Q8. レックリングハウゼン病は発達障害や知的障害を伴いますか?

知的障害は4〜8%と多くありませんが、学習の困難は50〜60%と多くみられます。子どもと思春期の30〜50%にADHDがみられ、約25%が自閉スペクトラム症の診断基準を満たすとされています。原因がわかっていれば、就学前から発達の評価や学習の支援を考えられます。

🧬 一度の検査で、ご自身とご家族のこれからを考える

生まれ持った遺伝子は一生変わりません。カフェオレ斑がNF1なのかレジウス症候群なのかがわかれば、必要な見張りや治療薬が決まり、ご家族の検査や、結婚・妊娠の計画を考える手がかりになります。当院では臨床遺伝専門医が常駐し、NF1・NF2・SPRED1の3遺伝子の検査から、羊水検査・絨毛検査による出生前診断の相談まで、院内で続けて受けていただけます。

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参考文献

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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