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ドラベ症候群とは|症状・原因(SCN1A)・寿命と、遺伝子検査でわかること

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

ドラベ症候群の遺伝子検査

ドラベ症候群は、1歳ごろまでに、発熱や入浴で体温が上がったときの長いけいれんから始まることが多い、てんかんの病気です。多くはSCN1A遺伝子の変化が原因で、お子さんの代で新しく起きた変化であることがほとんどです。遺伝子検査で原因がわかると、発作を悪くしうる薬を避けるなど、治療の次の一手が決めやすくなります。このページでは、症状・寿命の見通し・治療と避けたい薬・遺伝のしかたと、11の遺伝子を調べる遺伝子検査でわかることを、臨床遺伝専門医が解説します。

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. この検査で何がわかりますか?

ドラベ症候群に関係するとされる11の遺伝子(SCN1Aなど)を一度に調べ、原因となる遺伝子の変化があるかどうかを確かめます。原因がわかると、診断の確定や、避けたい薬を含む治療方針の検討に役立ちます。

🧬 Q. どんな人が受けるとよいですか?

1歳ごろまでに、発熱・入浴・予防接種のあとに長いけいれんを起こしたお子さんや、ドラベ症候群が疑われている方、原因を知って次のお子さんのことを考えたいご両親に向く検査です。

🧬 Q. 費用・日数・検体は?

検査料は税込330,000円で、遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。結果までは2〜3週間です。検体は血液・唾液・口の内側の粘膜などで、オンライン診療でも受けられます。

🧬 Q. 結果のあとはどうなりますか?

結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。原因がわかれば、ご両親の検査で新しく起きた変化かどうかを確かめ、次のお子さんの見通しを一緒に考えます。意義がまだわからない変化(VUS)が見つかることもあります。

\ 一生変わらない遺伝子を知って、治療とこれからの計画に /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

検査の前に臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明します。

お問い合わせはこちら | てんかん全般の遺伝子検査を見る

1. ドラベ症候群とは

ドラベ症候群(Dravet syndrome)は、乳児期に、発熱や入浴などで体温が上がったときの長い全身または半身のけいれんで始まることが多い、てんかんの病気です。発作は年齢とともに形を変えて続き、1歳を過ぎるころから発達の遅れや歩きにくさが目立ってきます[1]。以前は「乳児重症ミオクロニーてんかん」と呼ばれていました。

多くの方で、神経の電気信号にかかわるSCN1A遺伝子に変化が見つかります。難病情報センターは、患者さんの約8割にSCN1Aの変化があり、残りの約2割の原因はわかっていないとしています(2025年11月更新の情報)。病気の全体像や研究中の治療については、ドラベ症候群(乳児重症ミオクロニーてんかん)の詳しい解説もご覧ください。このページでは、遺伝子検査を受けるかどうかを決めるために必要なことを中心にお伝えします。

どれくらいの人がなる病気か

米国の一般住民を対象にした研究では、ドラベ症候群は生まれた赤ちゃんの約15,700人に1人と推定されました。この研究は、2007〜2010年に米国の医療保険組織で生まれたすべての乳児を調べたもので、それまでの推定(約4万人に1人)のおよそ2倍だったと報告しています[3]。

日本では、難病情報センターが患者さんを全国で約3,000人と推定しています。ただし、とくに大人で診断されていない方がいるため、実際にはもっと多い可能性があるとされています(2025年11月更新の情報)。数字は調べ方によって変わるため、目安として受け取ってください。

熱性けいれんとの違い

乳幼児の熱性けいれんの多くは短く終わり、ドラベ症候群ではありません。国際的な専門家の合意(2022年)は、2〜15か月ごろのお子さんが、ほかに原因が見つからないまま、長い半身のけいれんや、発熱・予防接種をきっかけとした全身のけいれんの重積を初めて起こしたときは、ドラベ症候群の遺伝子検査を行うべきとしています[2]。

熱性けいれんと遺伝の関係については、熱性けいれんと遺伝的要因で解説しています。

2. 症状と経過:年齢とともに発作の形が変わる

ドラベ症候群は、正常に発達していた赤ちゃんが1〜18か月ごろに発症し、体温の上昇・光の刺激などをきっかけに発作を繰り返す病気です[1]。発作の形や困りごとは、年齢とともに変わっていきます。

最初の発作:1歳ごろまで

遺伝性疾患の解説書GeneReviewsによると、最初は長く続く全身のけいれんや、体の片側のけいれんとして現れます。きっかけとして、発熱(予防接種のあとの発熱を含む)、熱いお風呂、体を動かしたことによる体温の上昇、光の刺激が挙げられています[1]。難病情報センターも、発作が長く続く「けいれん重積」になりやすく、注射の薬で止める必要があることが多いとしています。

1歳を過ぎてからの発作と発達

2歳ごろまでに、体の一部がピクッと動くミオクロニー発作が現れることが多く、2歳以降は意識がぼんやりする発作(非定型欠神発作)や、体の一部から始まる発作もみられます[1]。

発達には、程度の差はあっても、何らかの知的な遅れが必ずみられるとされ、その幅は中等度から重度です[1]。難病情報センターは、1歳を過ぎてから発達の遅れが目立つことが多く、多動・衝動性・集中しにくさがみられることもあるとしています。

歩き方・体の動きの特徴

歩き始めが遅れたり、歩くときのふらつき(運動失調)や手先の不器用さが続いたりすることがあります(難病情報センター、2025年11月更新の情報)。GeneReviewsは、運動失調や発達の後退が、ミオクロニー発作が出てくる時期に重なって現れることがあるとしています[1]。

大人になってから

発作は思春期を過ぎると減る傾向がありますが、完全になくなることはまれです[1]。難病情報センターは、大人になっても発熱で発作が起こりやすいことが多く、知的障害や運動失調のために、ほとんどの方が生活に何らかの支えを必要とする、と説明しています。ドラベ症候群は、子どもの病気として終わるのではなく、大人になっても支えが続く病気です。

3. 寿命・予後と、突然死(SUDEP)

ドラベ症候群は、一般のてんかんより亡くなる方の割合が高い病気です。100人を長く追った研究では17人が亡くなり、亡くなったときの年齢の中央値は7歳でした[4]。ただしこれは集団の数字で、一人ひとりの寿命を予測するものではありません。

この研究(ドラベ症候群の100人、うち87人にSCN1Aの変化)では、亡くなった17人の原因は、てんかんのある人に起こる原因のはっきりしない突然死(SUDEP)が10人、けいれん重積が4人、溺水が2人、窒息が1人でした。死亡率は1,000人年あたり15.84、SUDEPは1,000人年あたり9.32で、SUDEPは主に子どもの時期に起こっていました[4]。

GeneReviewsも、SCN1Aの変化によるてんかんのお子さんはSUDEPのリスクが高いとしています[1]。数字を見て不安になる方も多いと思いますが、長い発作を早く止める準備や、入浴・発熱時の注意など、日々の備えで減らせる危険もあります。まず病名と原因を確かめることが、その備えを始める出発点になります。

4. 治療と、避けたい薬(禁忌)

ドラベ症候群では、ほかのてんかんでよく使われる薬のなかに、かえって発作を悪くしうるものがあります。そのため、早めにドラベ症候群と診断がつくことが、治療の選び方そのものに関わります。

使われる薬

難病情報センターは、バルプロ酸・臭化物・クロバザム・スチリペントール・トピラマートのうち2〜3剤を組み合わせることが多いとし、フェンフルラミンが2022年11月から販売され、2歳以上で保険診療で使えると説明しています(2025年11月更新の情報)。ケトン食などの食事療法も選択肢です。国際的な専門家の合意(2022年)でも、新しく承認された薬を含めて、1〜3番手の治療の考え方がまとめられています[2]。薬の選び方は、てんかんの主治医とご相談ください。

⚠️ 発作を悪くしうる薬(GeneReviewsより)

カルバマゼピン・ラモトリギン・ビガバトリンはミオクロニー発作を起こしたり増やしたりすることがあり、フェニトインも発作を悪くすることがあるとされています。ルフィナミドも発作を悪くしうる薬として挙げられています[1]。ナトリウムチャネルの働きを抑える薬が中心です。いま飲んでいる薬を自己判断でやめるのは危険なので、必ず主治医に相談してください。

日常生活での注意

難病情報センターは、入浴のお湯の温度を下げる・つかる時間を短くする・シャワーにする、発熱時に座薬を使う、光の点滅や模様を避ける、といった工夫を挙げています。また、5分以上続く発作には、自宅で使える口の中に入れる薬(ミダゾラム)もあるとしています(2025年11月更新の情報)。具体的な使い方は主治医の指示に従ってください。

5. 原因と遺伝のしかた:ほとんどは新しく起きた変化

ドラベ症候群でSCN1Aの変化が見つかったお子さんの約95%(80人中76人)では、その変化はお子さんの代で新しく起きたものでした[1]。親御さんが同じ変化をもっている例は約5%とされています。

原因遺伝子SCN1A

SCN1A遺伝子は、神経細胞のナトリウムチャネル(NaV1.1)の設計図です。2つあるSCN1Aのうち1つに変化があるだけで発症しうる、新生突然変異(de novo)による常染色体顕性(優性)の病気です[1]。SCN1A以外にも、PCDH19・GABRA1・GABRG2・SCN1B・SCN2A・STXBP1などがドラベ症候群やよく似た病気の原因として報告されています(欧州の希少疾患データベースOrphanetの情報)。

次のお子さんで同じ病気が起こる確率

お子さんの変化が新しく起きたものであれば、次のお子さんで同じ病気が起こる確率は低くなります。ただし、ゼロではありません。親御さん自身は元気でも、卵子や精子のもとになる細胞にだけ同じ変化がある「生殖細胞系列モザイク(性腺モザイク)」のことがあり、SCN1Aの変化がきょうだいに繰り返し伝わった家族も報告されています[5]。

変化をもつ生殖細胞からできる卵子・精子は2分の1の確率で変化を受け継ぎます。生殖細胞のうちどれくらいが変化をもつかは実際の診療では調べられないため、お子さん1人あたりの確率は『最大で2分の1』とお伝えしています。

⚠️ 「新しく起きた変化だから、次は大丈夫」とは言えません

血液で親御さんに変化が見つからなくても、生殖細胞の状態までは確かめられません。血液で測ったモザイクの割合も、生殖細胞の割合の目安にはなりません。次の妊娠を考えるときは、原因の遺伝子の変化がわかっていることが、出生前診断を計画するための出発点になります。

ご本人がお子さんを持つ場合

SCN1Aの変化をもつ方のお子さんは、1人ごとに2分の1の確率でその変化を受け継ぎます。ただし、変化を受け継いでも発作が起こらない方もいます(浸透率が100%ではない)[1]。

同じ家族で症状の重さが違う:GEFS+

SCN1Aの変化は、熱性けいれんだけで終わる軽い方から、ドラベ症候群のような重い方まで、同じ家族の中でも症状の幅が大きい「全般てんかん熱性けいれんプラス(GEFS+)」の原因にもなります。GEFS+は常染色体顕性遺伝で、浸透率は約70%と推定されています[1]。親御さんが熱性けいれんだけだったとしても、お子さんが同じ程度になるとは限りません。

6. どんな人がこの検査を受けるとよいか

乳児期に長いけいれんを繰り返していて、ドラベ症候群かどうか確かめたいお子さんと、その原因を知って次のお子さんのことを考えたいご両親に向く検査です。

症状があり、ドラベ症候群かどうか確かめたい方

  • ●1歳ごろまでに、発熱・入浴・予防接種のあとに、長い全身または半身のけいれんを起こした
  • ●けいれん重積を繰り返している、または発作が薬でおさまりにくい
  • ●光の点滅や模様で発作が起こる、ミオクロニー発作や欠神発作がある
  • ●1歳を過ぎてから発達の遅れや歩きにくさが目立ってきた
  • ●てんかんの薬を変えたら、かえって発作が増えたことがある

原因がわからないまま薬を変え続けるより、早く病名がつけば、避けたい薬や生活の注意が決まります。国際的な専門家の合意でも、条件に当てはまる乳児では遺伝子検査を行うべきとされています[2]。

原因を知って、次のお子さんのことを考えたいご両親

お子さんで原因がわかれば、ご両親の検査で、その変化が新しく起きたものか、親御さんから受け継いだものかを確かめられます。新しく起きた変化であれば、ご両親のせいではないことがはっきりします。遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。原因がわかっていれば、次の妊娠で赤ちゃんに同じ変化があるかを調べる出生前診断も計画できます。

この検査より別の検査が向いている場合

🔍 症状に合わせた検査の選び方

こんなとき 向いている検査
乳児期に発熱で長いけいれんが始まり、ドラベ症候群が疑われる このページの検査(11遺伝子)
てんかんの型をしぼれない、広く原因を探したい てんかん包括的遺伝子検査(NGSパネル)
2歳以降に発作が始まった 小児てんかんNGS遺伝子パネル検査(2歳以降発症)
生まれてすぐ(新生児期)に発作が始まった 新生児てんかんNGSパネル遺伝子検査
治療の選び方に直結する遺伝子をしぼって調べたい アクショナブルてんかんNGSパネル検査
てんかん以外の症状も多く、病気をしぼれない 全エクソーム検査(WES)

※どの検査が合うかは、発作の始まった時期・症状・ご家族の情報で変わります。遺伝カウンセリングで一緒に決めましょう。てんかんと発達の遅れが同じ原因から起こる病気の全体像は、発達性てんかん性脳症(DEE)の総論で解説しています。

\ 原因がわかれば、次の一手が決まります /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

ご両親の検査も、遺伝カウンセリングのうえでお受けしています。絨毛・羊水からの胎児の出生前診断も院内で承っています。

お問い合わせはこちら | どの検査がよいか迷う方へ

7. この検査で調べる11の遺伝子

この検査では、ドラベ症候群に関係するとされる11の遺伝子(CHD2・GABRA1・GABRG2・HCN1・PCDH19・SCN1A・SCN1B・SCN2A・SCN9A・STX1B・STXBP1)をまとめて調べます。それぞれの遺伝子が関係する病気と遺伝のしかたは、次のとおりです。

🧬 調べる遺伝子と、関係する病気

遺伝子 関係する病気 遺伝のしかた
SCN1A ドラベ症候群/全般てんかん熱性けいれんプラス2型・家族性熱性けいれん3A型/発達性てんかん性脳症6B型(非ドラベ型)/家族性片麻痺性片頭痛3型 常染色体顕性(ドラベ症候群の多くは新しく起きた変化)
SCN1B 全般てんかん熱性けいれんプラス1型/発達性てんかん性脳症52型/ブルガダ症候群(5型)/家族性心房細動13型 全般てんかん熱性けいれんプラス1型は常染色体顕性、発達性てんかん性脳症52型は常染色体潜性
SCN2A 発達性てんかん性脳症11型/良性家族性乳児けいれん3型/反復発作性失調症9型 常染色体顕性
CHD2 発達性てんかん性脳症94型 常染色体顕性
GABRA1 発達性てんかん性脳症19型/小児欠神てんかん4型・若年ミオクロニーてんかん5型など ドラベ症候群の原因遺伝子の1つ(常染色体顕性)
GABRG2 全般てんかん熱性けいれんプラス3型・家族性熱性けいれん8型・小児欠神てんかん2型/発達性てんかん性脳症74型 全般てんかん熱性けいれんプラス3型・発達性てんかん性脳症74型は常染色体顕性(全般てんかん熱性けいれんプラス3型は浸透率が100%ではない)
HCN1 発達性てんかん性脳症24型/全般てんかん熱性けいれんプラス10型 全般てんかん熱性けいれんプラス10型は常染色体顕性(浸透率が100%ではない)
PCDH19 発達性てんかん性脳症9型(女性に限って発症するてんかん) X連鎖。変化をもつ女性が発症し、変化をもつ男性は多くの場合発症しない[6]
SCN9A 原発性肢端紅痛症/発作性激痛症/先天性無痛症 常染色体顕性(先天性無痛症は常染色体潜性)
STX1B 全般てんかん熱性けいれんプラス9型 常染色体顕性
STXBP1 発達性てんかん性脳症4型(STXBP1関連障害) 常染色体顕性(多くは新しく起きた変化)[7]

※遺伝子の一覧は当院の検査内容による。関係する病気と遺伝のしかたは、UniProt(OMIM番号つき)・Orphanet・MedlinePlus Genetics の各遺伝子・疾患の項目と文献[1][6][7]で確かめた(2026年10月)。

当院のNIPT(インペリアルプラン)で調べられる遺伝子

この検査の11遺伝子のうち、SCN1A・SCN2A・CHD2・GABRA1・STXBP1の5つは、当院のNIPT(インペリアルプラン)の対象遺伝子にも入っています。ドラベ症候群の多くは、お子さんの代で新しく起きた変化によるため、妊娠中に赤ちゃんの遺伝子の変化を調べるという考え方もあります。当院のNIPTは妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。陽性の場合は、確定検査(羊水検査・絨毛検査)を院内で受けられます。なお、ダイヤモンドプランの対象遺伝子には、この11遺伝子はどれも入っていません。

8. この検査でわかること・わからないこと

この検査でわかるのは、11の遺伝子の小さな変化(1文字の変化や小さな挿入・欠失)と、遺伝子全体や連続した複数のエクソンにおよぶ欠失・重複です。一方で、遺伝子検査には必ず限界があります。

  • ●欠失・重複の調べられる範囲:遺伝子1つ全体の欠失・重複は、頬の粘膜と血液のどちらでも調べられます。連続した2つ以上のエクソンにおよぶ欠失・重複は、血液の検体の場合に調べられます。1つのエクソンだけの欠失・重複は、見つかることはあっても、ふだんは検出の対象ではありません。見つかった欠失・重複は、別の原理の方法(qPCR法やMLPA法)でもう一度確かめてから報告します。
  • ●調べていない変化:染色体の転座や逆位、繰り返し配列の伸長、遺伝子の働きを調節する領域(プロモーター)や、エクソンから20塩基以上離れたイントロンの奥の変化は検出できません。
  • ●モザイク:体の一部の細胞にだけ変化がある状態(モザイク)を見つけることを目的とした検査ではありません。親御さんのモザイクを確かめたい場合は、別の方法が必要になることがあります。
  • ●調べていない遺伝子:この検査が対象とするのは11の遺伝子だけです。難病情報センターによると、ドラベ症候群の約2割は原因がわかっていません。
  • ●意義がまだわからない変化(VUS):病気の原因かどうか、まだ判断できない変化が見つかることがあります。
  • ●陰性でも否定はできません:原因が見つからなくても、症状と経過からドラベ症候群と診断されることがあります。

💡 用語解説:カバレッジ

カバレッジは、遺伝子の文字(塩基)を何回読み取れたかを示す目安です。この検査では、対象の領域の99%以上を20回以上読み取ることを基準にしています。同じ場所を何度も読むことで、読み間違いによる見落としや誤りを減らせます。

9. 結果が出たあと

結果は、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。結果だけをお送りすることはありません。陽性・陰性・VUSのそれぞれで、次にできることが違います。

原因がわかったとき:診断の確定と治療の見直し

ドラベ症候群の原因が確かめられると、病名がはっきりし、発作を悪くしうる薬を避ける、長い発作に備える、日常生活の注意を決める、といった次の一手につながります(第4章)。指定難病の申請を考えるときにも、原因の確定が手がかりになります(第10章)。

ご両親・ご家族の検査

お子さんで原因がわかったら、ご両親が同じ変化をもっているかを調べることで、新しく起きた変化か、受け継いだ変化かを確かめられます。受け継いだ変化だった場合は、熱性けいれんの経験があるご家族も含めて、ほかの血縁者が自分のことを考える手がかりになります(第5章)。

原因が見つからなかったとき

原因が見つからなくても、ドラベ症候群が否定されるわけではありません。症状に合わせて、てんかん包括的遺伝子検査や全エクソーム検査(WES)など、より広く調べる検査を考えます。

意義がまだわからない変化(VUS)が見つかったとき

VUSは、それだけで診断に使ったり、ご家族の検査や出生前診断に使ったりはしません。研究が進んで、のちに意味がはっきりすることもあります。扱い方はVUS(意義不明変異)の臨床的取り扱いで、調べた目的とは別の病気の原因が見つかった場合の扱いは当院の二次的所見の開示方針で解説しています。

次の妊娠を考えている方:出生前診断の相談

ご家族で原因の遺伝子の変化がわかっていれば、妊娠したときに赤ちゃんで同じ変化があるかを調べられます。絨毛・羊水からの胎児の出生前診断は当院で承っております。当院では羊水検査・絨毛検査を院内で行っています(2025年6月から産婦人科を併設)。出生前診断を行えるかは、病気の重さや国内の指針を踏まえて個別に判断しますので、妊娠を考えている段階からご相談ください。

結果の報告書の言語

結果は、基本的に日本語版でお渡ししています。海外でPGT-Mを受けるなど、英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。報告書の見方は、NIPT/遺伝子検査結果の見かたで解説しています。

10. 日本の制度(2026年10月時点)

ドラベ症候群は、指定難病140に指定されています。難病情報センターの「ドラベ症候群(指定難病140)」のページ(2025年11月更新の情報、2026年10月に確認)に掲載されています。医療費の助成を受けるには、認定の基準を満たし、申請する必要があります。認定の基準や申請の方法は、難病情報センターやお住まいの自治体の窓口でご確認ください。

子どもの医療費の助成(小児慢性特定疾病)の対象かどうかは、小児慢性特定疾病情報センターの対象疾病の一覧でご確認ください。

11. 検査の流れ・費用・結果までの日数・検体

結果までは2〜3週間で、唾液・口の内側の粘膜・血液のどれでも、オンライン診療で受けられます。当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。

ご予約
▶
遺伝カウンセリング臨床遺伝専門医・オンライン可
▶
検体の採取お支払い後にキットを送付
▶
結果のご説明2〜3週間後・マイページへ

💴 費用・日数・検体

項目 内容
調べる遺伝子 CHD2・GABRA1・GABRG2・HCN1・PCDH19・SCN1A・SCN1B・SCN2A・SCN9A・STX1B・STXBP1(11遺伝子)
検査料 税込330,000円(塩基配列と欠失・重複の解析を含む)
オプション 至急:結果までの期間が約7日短くなります(55,000円)/VUSを報告から除く:無料
遺伝カウンセリング料 30分22,000円(税込)※検査料とは別
結果までの期間 2〜3週間
検体 血液(EDTA採血管4mL×2本)、抽出したDNA(3μg)、頬の粘膜(スワブ)、唾液
オンライン診療 唾液・口の内側の粘膜・血液のいずれも可能。血液の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします

※オンラインの場合は、遺伝カウンセリング料金を事前にお支払いください。ご夫婦・カップルで同じ検査を同じ日に一緒に受ける場合は、遺伝カウンセリング料が1人分になります(検査料の割引はありません)。

検体を採るキットは、検査料のお支払いのあとにお送りします。キットが届く前に、ご自身で検体を採取しないでください。検体の取り違えを防ぎ、検査に使える品質を保つためです。

遺伝カウンセリングでは、検査で何がわかり、何がわからないか、結果がご家族にとってどういう意味をもつかをご説明します。検査を受けるかどうかは、説明を聞いて納得してから決めていただきます。

\ 人生に一度の遺伝子検査を、お子さんとご家族のこれからに /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

臨床遺伝専門医が常駐し、結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明してからマイページにアップします。

お問い合わせはこちら | どの検査がよいか迷う方へ

12. 院長コラム

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【原因を知ることは、誰かを責めることではありません】

私自身、希少な常染色体顕性(優性)遺伝性疾患の当事者です。子どもに病気を受け渡したくない、という遺伝の病気をもつ方の思いはよくわかります。また、お子さんが重い症状で発症したのをきっかけに、ご自身も同じ遺伝子の変化を持っていたとわかり、自分のせいだと責めてしまう親御さんを、何度も見てきました。私の当事者としての話は、遺伝性疾患の当事者として、臨床遺伝専門医になった理由に書いています。

ドラベ症候群の多くは、お子さんの代で新しく起きた遺伝子の変化によるものです。遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。原因がわかることは、ご両親が自分を責める理由を減らし、お子さんの治療で避けたい薬を決め、次のお子さんのことを具体的に考えるための材料になります。

遺伝子検査は、やってみないとわからないことを、何度も経験してきました。検査をしないと何も言えない、というのが私の確固たる考えです。こうした経験から、当院では、検査を受けずにリスクだけをご説明することはしておりません。検査をせずにリスクをお伝えするほうが、かえって危険だと考えているためです。

わからないまま悩み続けるより、わかったことから次を考えるほうが前に進める、と考えています。次の妊娠を考えるご両親には、出生前診断まで当院で続けて支えられる体制を整えています。どの選択をされても、その選択を尊重します。

よくある質問(FAQ)

Q1. ドラベ症候群の寿命はどれくらいですか?

ドラベ症候群は、一般のてんかんより亡くなる方の割合が高い病気です。100人を長く追った研究では17人が亡くなり、亡くなったときの年齢の中央値は7歳で、原因はてんかんのある人に起こる原因のはっきりしない突然死(SUDEP)が最も多くみられました。ただしこれは集団の数字で、一人ひとりの寿命を予測するものではありません。

Q2. ドラベ症候群は大人にもなりますか?

ドラベ症候群はふつう1歳ごろまでに発症する病気で、大人になってから始まる病気ではありません。ただし、発作は思春期を過ぎると減る傾向があるものの完全になくなることはまれで、大人になっても発熱で発作が起こりやすいことが多いとされています。大人になってから診断される方もいます。

Q3. ドラベ症候群は完治しますか?

今のところ、病気そのものを治す治療はありません。薬や食事療法、日常生活の工夫で発作を減らすことが治療の中心です。大人になって発作が完全になくなることはまれとされています。

Q4. ドラベ症候群で避けたほうがよい薬(禁忌)はありますか?

あります。カルバマゼピン・ラモトリギン・ビガバトリンはミオクロニー発作を起こしたり増やしたりすることがあり、フェニトインやルフィナミドも発作を悪くすることがあるとされています。ナトリウムチャネルの働きを抑える薬が中心です。いま飲んでいる薬を自己判断でやめず、必ず主治医に相談してください。

Q5. ドラベ症候群は何人に1人くらいですか?

米国の一般住民を対象にした研究では、生まれた赤ちゃんの約15,700人に1人と推定されました。日本では、難病情報センターが患者さんを全国で約3,000人と推定しています(2025年11月更新の情報)。

Q6. ドラベ症候群は指定難病ですか?

はい。ドラベ症候群は指定難病140です(2026年10月時点、難病情報センターの情報)。医療費の助成を受けるには、認定の基準を満たし、申請する必要があります。

Q7. ドラベ症候群は遺伝しますか?次の子も同じ病気になりますか?

SCN1Aの変化が見つかったお子さんの約95%では、変化はお子さんの代で新しく起きたものです。その場合、次のお子さんで同じ病気が起こる確率は低くなりますが、ゼロではありません。親御さんの卵子や精子のもとになる細胞にだけ変化がある場合があるためで、お子さん1人あたりの確率は最大で2分の1とお伝えしています。

Q8. 熱性けいれんとどう違いますか?

乳幼児の熱性けいれんの多くは短く終わり、ドラベ症候群ではありません。2〜15か月ごろのお子さんが、ほかに原因が見つからないまま、長い半身のけいれんや、発熱・予防接種をきっかけとした全身のけいれんの重積を初めて起こしたときは、ドラベ症候群の遺伝子検査を行うべきとする国際的な専門家の合意があります。

Q9. ドラベ症候群は妊娠中にわかりますか?

ご家族で原因の遺伝子の変化がわかっていれば、絨毛検査・羊水検査で赤ちゃんに同じ変化があるかを調べられます。また、SCN1A・SCN2A・CHD2・GABRA1・STXBP1は、当院のNIPT(インペリアルプラン)の対象遺伝子にも入っています。当院のNIPTは妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。

🧬 一度の検査で、お子さんの治療とご家族のこれからを考える

生まれ持った遺伝子は一生変わりません。ドラベ症候群の原因がわかれば、避けたい薬や日常の備えだけでなく、ご両親の検査や次の妊娠の計画を考える手がかりになります。当院では臨床遺伝専門医が常駐し、検査の前後の遺伝カウンセリングから、羊水検査・絨毛検査による出生前診断の相談まで、院内で続けて受けていただけます。

お電話でのお問い合わせ:03-3478-3768

参考文献

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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