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遺伝性の目の病気の遺伝子検査|視力低下・失明の原因を509遺伝子で調べる包括的眼疾患パネル

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

遺伝性の目の病気の遺伝子検査(包括的眼疾患パネル)

目の病気の一部は、生まれ持った遺伝子の変化が原因で起こります。網膜色素変性症のように夜に見えにくくなる病気、子どもの頃からの視力障害、若いうちに起こる白内障や緑内障、角膜が濁る病気などです。このページの検査では、こうした遺伝性の目の病気に関わる509の遺伝子を一度に調べます。原因がわかると、病名が決まるだけでなく、遺伝子治療の対象になるか、全身の病気の一部として目に症状が出ていないか、お子さんに伝わる確率はどれくらいかまで、次に考えることがはっきりします。病名がまだ絞れない方、いくつもの目の症状がある方のための「入口」の検査です。

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. 目の病気は遺伝しますか?この検査で何がわかりますか?

ふつうの近視は遺伝と環境の両方で起こりますが、網膜・視神経・水晶体・角膜などの病気の一部は遺伝子の変化で起こります。この検査では、遺伝性の目の病気に関わる509遺伝子に原因となる変化がないかを一度に調べます。

🧬 Q. どんな人が受けるとよいですか?

夜盲・視野が狭い・子どもの頃からの視力障害・眼振などがあり、病名がまだ絞れない方、目と耳・腎臓など目以外の症状が重なっている方、ご家族に遺伝性の目の病気の方がいる方です。

🧬 Q. 費用・日数・検体は?

検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。検体は血液・唾液・口の内側の粘膜で、唾液・口の粘膜ならオンライン診療でも受けられます。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。

🧬 Q. 結果のあとはどうなりますか?

結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。原因がわかれば、遺伝子治療の対象か、お子さんに伝わる確率、ご家族の検査について考えられます。意義がまだわからない変化(VUS)が見つかることもあります。

\ 一生変わらない遺伝子を知って、見え方の見通しと家族の計画に /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

検査の前に臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明します。

お問い合わせはこちら | どの検査がよいか迷う方へ

1. 遺伝性の目の病気とは?視力低下・失明の原因が遺伝子にあることも

遺伝性の目の病気とは、生まれ持った遺伝子の変化によって、網膜・視神経・水晶体・角膜など目のどこかの働きが損なわれる病気の総称です。網膜の病気だけを見ても原因の遺伝子はたくさんあり、米国で網膜の遺伝性の病気をもつ1000家系を調べた研究では、原因は104の遺伝子にまたがっていました[1]。症状だけでは原因の遺伝子を決めにくいため、関係する遺伝子をまとめて調べる検査が使われます。網膜の病気を詳しく知りたい方は、遺伝性網膜ジストロフィの解説もご覧ください。

「視力は遺伝する?」近視・乱視と遺伝性の目の病気の違い

ふつうの近視は、遺伝子と環境の両方が重なって起こると考えられており、遺伝子1つで決まる病気ではありません。親が近視だからといって、この検査で原因がわかるわけではありません。一方で、次のような症状は、遺伝性の目の病気を考える手がかりになります。

  • ●暗いところで見えにくい(夜盲)、視野が端から狭くなる
  • ●生まれつき、または子どもの頃から視力が出ない、目が揺れる(眼振)、まぶしさが強い
  • ●若いうちに見つかった白内障・緑内障・角膜の濁り、中心が見えにくい
  • ●目の症状に加えて、難聴・腎臓・肥満・発達など目以外の症状がある
  • ●ご家族に同じような目の病気の方がいる

こうした症状があっても、遺伝子の病気とは限りません。まず眼科で診断を受けたうえで、原因を確かめたいときに遺伝子検査を考えます。

遺伝のしかたは4通り(顕性・潜性・X連鎖・ミトコンドリア)

遺伝性の目の病気は、同じ病名でも原因の遺伝子によって遺伝のしかたが違います。遺伝のしかたが違えば、ご家族やお子さんへの影響もまったく違ってきます。

🧬 遺伝のしかたの4つの型

遺伝のしかた しくみ この検査で
常染色体顕性(優性)遺伝 2本ある遺伝子の片方に変化があると発症しうる 調べる
常染色体潜性(劣性)遺伝 2本とも変化があると発症する。片方だけなら保因者 調べる
X連鎖遺伝 X染色体にある遺伝子の変化。男性に症状が出やすい 調べる
ミトコンドリア遺伝 ミトコンドリアDNAの変化。母親から伝わる ミトコンドリアDNAは対象外

※この検査の対象は、細胞の核にある509遺伝子です。ミトコンドリアDNAの遺伝子は対象の一覧に含まれていません。

たとえば、指定難病のレーベル遺伝性視神経症は、多くがミトコンドリアDNAの変化で起こり、母系で伝わる病気とされています(難病情報センター)。この病気を疑う場合は、ミトコンドリア病の遺伝子検査のほうが向いています。

2. この検査で調べる目の病気のグループ

この検査では、網膜・黄斑・視神経・水晶体・角膜・緑内障・眼の形の異常など、目のほぼすべての部位の遺伝性の病気に関わる遺伝子を調べます。「遺伝性の目の病気にはどんなものがあるか」の一覧として、主なものを表にまとめました。

👁️ 遺伝性の目の病気の主なグループ

目の部位 主な病気
網膜(光を感じる膜) 網膜色素変性症、重症早期発症型網膜ジストロフィ(レーベル先天黒内障を含む)、錐体杆体ジストロフィー、コロイデレミア、先天停在性夜盲、網膜分離症、網膜芽細胞腫
黄斑(網膜の中心) スターガルト病1型、黄色斑眼底、ベスト病などの黄斑ジストロフィー
視神経 視神経萎縮、Bosch-Boonstra-Schaaf視神経萎縮症候群
水晶体 先天白内障・若年性白内障、遺伝性高フェリチン血症・白内障症候群
角膜 顆粒状角膜ジストロフィーなどの角膜ジストロフィー、斑状角膜ジストロフィー、フックス角膜内皮ジストロフィ
緑内障 若年性の原発開放隅角緑内障、先天性原発性開放隅角緑内障
眼の形の異常 小眼球症・コロボーマ、無虹彩症、前眼部形成異常

※病気のグループの分け方は、検査の対象遺伝子と関係する病気をもとに当院でまとめたもの。同じグループの中でも、遺伝子ごとに遺伝のしかたは違います。

目の症状が全身の病気の一部として出ることがある

目の症状が、実は全身の病気の一部として出ていることがあります。たとえばアッシャー症候群は、難聴に網膜色素変性症を伴う病気です(難病情報センター)。この検査の対象には、こうした全身の病気の遺伝子も含まれます。

韓国で遺伝性の目の病気の149人を429遺伝子のパネルで調べた研究では、60.4%に原因がわかり、14.8%で診断名が見直されました。目以外の病気への対応が変わった例として、スティックラー症候群(COL2A1)で網膜剥離を防ぐ治療につながった例、家族性滲出性硝子体網膜症(LRP5)で骨密度の定期検査につながった例、遺伝性高フェリチン血症・白内障症候群(FTL)で不要な瀉血や肝生検を避けられた例が報告されています[3]。目の病名だけでは気づかなかった全身の見張りが、遺伝子の結果から始まることがあります。

3. どのパネルを選ぶ?病名・症状からの選び方

病名がはっきりしているなら、その病気の個別のパネルを、病名がまだ絞れない・いくつも症状があるなら、このページの包括的眼疾患パネルを選びます。当院の目の遺伝子検査を、病名・症状から選べるようにまとめました。

🔍 病名・症状から選ぶ目の遺伝子検査

こんなとき 向いている検査
病名が絞れない・目以外の症状もある このページの包括的眼疾患パネル(509遺伝子)
夜盲・視野が狭い(網膜色素変性症) 網膜色素変性症の遺伝子検査
網膜と視神経の両方が気になる 網膜症・視神経萎縮パネル
若いうちから中心が見えにくい 黄斑変性症パネル
眼底に白い点がある 斑状網膜(白点状眼底)パネル
色やまぶしさ(錐体の病気) 円錐杆体ジストロフィーの遺伝子検査/1色覚(全色盲)パネル/色覚異常の遺伝子検査
目と耳の両方 アッシャー症候群の遺伝子検査
緑内障(若い発症・子ども) 緑内障の遺伝子パネル
赤ちゃん・子どもの白内障 先天性白内障パネル
角膜の濁り 角膜ジストロフィーパネル
目が小さい・コロボーマ 小眼球症・無眼球症・コロボーマのパネル
目と皮膚・髪の色が薄い 白皮症パネル/眼皮膚白皮症パネル
硝子体・網膜剥離の家族歴 硝子体網膜症・ワーグナー症候群の検査/スティックラー症候群パネル
視神経が細い・ホルモンの異常 中隔視神経形成異常症の検査

※どの検査が合うかは、眼科での診断・ご家族の情報で変わります。迷う場合は、遺伝カウンセリングで一緒に決めます。

この検査より別の検査が向いている場合

次のような場合は、別の検査を選ぶか、遺伝子検査そのものが向かないことがあります。比べる相手は検査の種類です。

4. どんな人がこの検査を受けるとよいか

目の病気の原因がわからないまま、あちこちの病院で検査を続けている方に、まず考えてほしい検査です。日本の未診断疾患イニシアチブ(IRUD)では、遺伝学的解析を終えた5,136家系のうち43.8%で診断が確定しました[5]。目の病気に限った日本の研究でも、1210家系のうち37%で原因の遺伝子が見つかっています[2]。全員に原因がわかるわけではありませんが、長い回り道を短くできる可能性があります。

  • ●眼科で遺伝性の目の病気を疑われたが、病名や原因の遺伝子がまだわからない方
  • ●夜盲・視野が狭い・眼振・子どもの頃からの視力障害など、いくつもの目の症状がある方
  • ●目の症状に加えて、難聴・腎臓・肥満・発達などの症状がある方
  • ●遺伝子治療や治験の対象になるかを知りたい方
  • ●お子さんが遺伝性の目の病気と言われ、原因と次のお子さんの見通しを知りたいご両親
  • ●ご家族に遺伝性の目の病気の方がいて、結婚・妊娠を考えている方

お子さんの病気の原因がわかると、次のお子さんで同じ病気が起こる確率がどれくらいか、次の妊娠でどう備えられるかを、具体的に考えられるようになります。原因がわからないままでは、出生前に調べる的を決めることができません。

ご家族に目の病気の方がいて、「自分もいつか見えなくなるのでは」と不安な方

親やきょうだいが目の病気で見えにくくなっていくのを見てきて、少し見えにくいと感じるたびに「始まったのでは」と不安を抱えながら暮らしている方もいます。ご家族の原因の遺伝子がわかっていれば、ご自身がその変化を受け継いでいるかを調べられます。受け継いでいなければ、その病気について、ご家族と同じ確率を心配する必要はなくなります。受け継いでいた場合も、見張り方や、遺伝子治療・治験の情報、これからの生活の計画を考える手がかりになります。

当院は、ライフステージごとに患者さんの人生をサポートするという考え方で診療しており、知りたいと願う方を拒むことはしません。遺伝カウンセリングで十分に考えたうえで、ご本人が知りたいと決めた場合は、その意思を尊重して検査まで行います。知らないでいる選択も、同じように尊重します。

\ 原因がわかれば、遺伝子治療の対象かどうかも考えられます /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

509遺伝子を一度に調べ、結果は臨床遺伝専門医が直接ご説明します。当院では羊水検査・絨毛検査を院内で受けられます(2025年6月から産婦人科を併設)。

海外でPGT-Mを考えている方には、英語の検査結果をお渡しできます(検査の時にお申し出ください)。

お問い合わせはこちら | どの検査がよいか迷う方へ

5. 調べる509遺伝子と主な病気

この検査では、遺伝性の目の病気に関わる509の遺伝子を、まとめて調べます。日本人の遺伝性の網膜の病気では、EYS遺伝子の変化が最も多く、次いでRP1遺伝子が多いと報告されています[2]。米国の1000家系の研究では、ABCA4遺伝子が最も多い原因でした[1]。どの遺伝子が多いかは、国や集団によって違います。

🧬 病気のグループごとの主な遺伝子(例)

病気のグループ 主な遺伝子(例)
網膜色素変性症・網膜ジストロフィー EYS、RP1、RHO、PRPH2、RPGR、USH2A、RPE65、CRB1、CEP290、GUCY2D
黄斑の病気 ABCA4、BEST1、PROM1、TIMP3
錐体の病気・色覚 CNGB3、CNGA3、GNAT2、PDE6C
視神経の病気 OPA1、OPA3、WFS1、NR2F1
白内障 CRYAA、CRYAB、GJA3、GJA8、MIP、HSF4、FTL
角膜の病気 TGFBI、KRT3、KRT12、CHST6、SLC4A11、TCF4
緑内障・眼の形の異常 MYOC、OPTN、CYP1B1、PAX6、PITX2、FOXC1、SOX2
全身の病気の一部 MYO7A・CDH23(アッシャー)、BBS1(バルデー・ビードル)、ALMS1(アルストレーム)、COL2A1(スティックラー)、CHD7(CHARGE)

※遺伝子と病気の関係は文献[1][2][3]と、検査の対象疾患一覧による。同じ遺伝子でも、変化の種類によって病気や遺伝のしかたが変わることがあります。ご自身の結果の遺伝のしかたは、遺伝カウンセリングでご説明します。

📋 対象の509遺伝子をすべて見る(タップで開く)

ABCA4, ABCB6, ABCC6, ABCD1, ABHD12, ACBD5, ACO2, ACTB, ACVR1, ADAM9, ADAMTS18, ADGRA3, ADGRV1, ADIPOR1, AFG3L2, AGBL1, AGBL5, AGK, AHI1, AHR, AIPL1, ALDH1A3, ALMS1, ALPK1, AMACR, ARHGEF18, ARL13B, ARL2BP, ARL3, ARL6, ASB10, ATF6, ATOH7, ATXN7, AUH, B3GLCT, B9D1, B9D2, BBIP1, BBS1, BBS10, BBS12, BBS2, BBS4, BBS5, BBS7, BBS9, BCOR, BEST1, BFSP1, BFSP2, BMP4, BMP7, BTK, C12orf57, C12orf65, C1QTNF5, C21orf2, C2orf71, C8orf37, CA2, CA4, CABP4, CACNA1F, CACNA2D4, CANT1, CAPN15, CAPN5, CASK, CAV1, CC2D2A, CDH23, CDH3, CDHR1, CEP164, CEP250, CEP290, CEP41, CEP78, CERKL, CFH, CHD7, CHM, CHMP4B, CHN1, CHRDL1, CHST6, CIB2, CISD2, CLCC1, CLDN19, CLN3, CLN5, CLN6, CLN8, CLPB, CLRN1, CNGA1, CNGA3, CNGB1, CNGB3, CNNM4, COL11A1, COL17A1, COL18A1, COL2A1, COL4A1, COL5A1, COL8A2, COL9A1, COL9A2, CPLANE1, CRB1, CRX, CRYAA, CRYAB, CRYBA1, CRYBA2, CRYBA4, CRYBB1, CRYBB2, CRYBB3, CRYGB, CRYGC, CRYGD, CRYGS, CRYL1, CSPP1, CTC1, CTDP1, CTNNA1, CTNNB1, CTSD, CTSF, CWC27, CYP1B1, CYP4V2, DCN, DGKQ, DHDDS, DHX38, DNAJC30, DNAJC5, DNM1L, DRAM2, DTHD1, EFEMP1, ELOVL4, ELP4, EMC1, EPHA2, ERCC1, ERCC2, ERCC5, ERCC6, EXOSC2, EYA1, EYS, FAM126A, FAM161A, FBLN5, FDX2, FDXR, FLVCR1, FOXC1, FOXE3, FOXL2, FRAS1, FREM1, FREM2, FRMD7, FSCN2, FTL, FYCO1, FZD4, GALK1, GCNT2, GDF3, GDF6, GFER, GJA1, GJA3, GJA8, GJB2, GJB6, GLI2, GNAT1, GNAT2, GNB3, GNPTG, GPR143, GPR179, GRHL2, GRIP1, GRK1, GRM6, GRN, GSN, GUCA1A, GUCA1B, GUCY2D, HARS, HCCS, HCN1, HESX1, HGSNAT, HK1, HMCN1, HMGB3, HMX1, HOXA1, HOXB1, HSF4, IARS2, IDH3A, IDH3B, IFT140, IFT172, IFT27, IFT43, IFT81, IGBP1, IMPDH1, IMPG1, IMPG2, INPP5E, INVS, IQCB1, ISPD, ITM2B, JAG1, JAM3, KCNJ13, KCNV2, KCTD7, KERA, KIAA1549, KIF11, KIF21A, KIF7, KIZ, KLC2, KLHL7, KRT12, KRT3, LAMA1, LAMB2, LCA5, LCAT, LEMD2, LIM2, LMX1B, LOXHD1, LOXL1, LRAT, LRIT3, LRMDA, LRP5, LSS, LTBP2, LZTFL1, MAB21L1, MAB21L2, MAF, MAK, MAPKAPK3, MCAT, MECR, MERTK, MFN2, MFRP, MFSD8, MGME1, MIEF1, MIP, MITF, MKKS, MKS1, MMACHC, MSMO1, MTPAP, MTTP, MVK, MYO7A, MYOC, NAA10, NBAS, NDP, NDUFS1, NEK2, NEUROD1, NGLY1, NHS, NMNAT1, NPHP1, NPHP3, NPHP4, NR2E3, NR2F1, NRL, NTF4, NYX, OAT, OCRL, OFD1, OPA1, OPA3, OPTN, OR2W3, OTX2, OVOL2, P3H2, PANK2, PAX2, PAX6, PCDH15, PCYT1A, PDE6A, PDE6B, PDE6C, PDE6D, PDE6G, PDE6H, PDSS1, PDZD7, PEX1, PEX10, PEX11B, PEX12, PEX13, PEX14, PEX16, PEX19, PEX2, PEX26, PEX3, PEX5, PEX6, PEX7, PGAP1, PGK1, PHOX2A, PHYH, PIGL, PIKFYVE, PITPNM3, PITX2, PITX3, PLA2G5, PLK4, PNPLA6, POC1B, POLG, POLG2, POMGNT1, POMT1, PORCN, PPT1, PQBP1, PRCD, PRDM5, PRKCG, PROM1, PRPF3, PRPF31, PRPF4, PRPF6, PRPF8, PRPH2, PRPS1, PRSS56, PXDN, RAB18, RAB28, RAB3GAP1, RAB3GAP2, RARB, RAX, RAX2, RB1, RBP3, RBP4, RCBTB1, RD3, RDH11, RDH12, RDH5, REEP6, RERE, RGR, RGS9, RGS9BP, RHO, RIMS1, RLBP1, ROBO3, ROM1, RP1, RP1L1, RP2, RP9, RPE65, RPGR, RPGRIP1, RPGRIP1L, RRM2B, RS1, RTN4IP1, SAG, SALL2, SALL4, SBF2, SCAPER, SDCCAG8, SEMA3E, SEMA4A, SH3PXD2B, SHH, SIL1, SIPA1L3, SIX3, SIX6, SLC16A12, SLC24A1, SLC25A46, SLC33A1, SLC38A8, SLC4A11, SLC4A4, SLC4A7, SLC7A14, SMOC1, SNF8, SNRNP200, SOX2, SOX5, SPATA7, SPG7, SPP2, SRD5A3, SSBP1, STRA6, TACSTD2, TBC1D20, TBK1, TCF4, TCTN1, TCTN2, TCTN3, TDRD7, TEAD1, TEK, TENM3, TFAP2A, TGFBI, TGIF1, TIMM8A, TIMP3, TMEM126A, TMEM138, TMEM216, TMEM231, TMEM237, TMEM67, TMEM98, TOPORS, TPP1, TREX1, TRIM32, TRNT1, TRPM1, TSPAN12, TTC21B, TTC8, TTLL5, TTPA, TTR, TUB, TUBB3, TUBGCP4, TUBGCP6, TULP1, TWNK, TYMP, UBIAD1, UNC119, UNC45B, USH1C, USH1G, USH2A, VAX1, VCAN, VIM, VPS13B, VSX1, VSX2, WDPCP, WDR19, WDR36, WFS1, WHRN, YAP1, YME1L1, ZEB1, ZIC2, ZNF408, ZNF423, ZNF469, ZNF513(509遺伝子)

※遺伝子名のリンク先は、当院の遺伝子の解説ページです。

6. この検査でわかること・わからないこと

この検査でわかるのは、509遺伝子の中の、たんぱく質の設計図にあたる部分(エクソン)とその境目にある小さな変化と、遺伝子の大きな欠失・重複です。一方で、遺伝子検査には必ず限界があります。

  • ●RPGR遺伝子の一部:X連鎖の網膜色素変性症に関わるRPGR遺伝子の「ORF15」と呼ばれる部分は、同じ配列のくり返しが多く読み取りが難しい場所です。この検査は多くの変化を見つけられますが、一部の範囲は完全には否定できません。米国の研究でも、この部分の変化は一般的な次世代シーケンサーの解析では見落とされうると報告されています[1]。
  • ●くり返し配列の伸長:3塩基などのくり返しが長くなるタイプの変化(ZIC2遺伝子のくり返しを含む)は調べていません。
  • ●遺伝子のスイッチ部分やエクソンから離れた場所:遺伝子の働きを調節する場所の多くや、エクソンから20塩基より離れた場所の変化は調べていません。
  • ●染色体の組み換わり・モザイク:転座や逆位、体の一部の細胞にだけある変化(モザイク)を見つけるようには作られていません。
  • ●小さな欠失・重複:遺伝子まるごと、または2つ以上続くエクソンの欠失・重複は見つけられますが、エクソン1つだけの欠失・重複はふだんの解析では見つからないことがあります。見つかった欠失・重複は、別の原理の方法(qPCR法やMLPA法)でもう一度確かめてから報告します。
  • ●ミトコンドリアDNA:対象外です(第1章)。
  • ●意義がまだわからない変化(VUS):病気の原因かどうか、まだ判断できない変化が見つかることがあります。

💡 陰性でも「遺伝の病気ではない」とは言えません

原因の変化が見つからなくても、この検査で調べられない場所や、まだ見つかっていない遺伝子に原因がある可能性は残ります。目の病気に限った日本の研究でも、原因の遺伝子が見つかったのは1210家系の37%でした[2]。陰性の結果は、眼科での診断と経過観察とあわせて考えます。

調べた目的とは別の病気の原因が見つかること(二次的所見)の扱いは、当院の二次的所見の開示方針に従います。

7. 病的変異が見つかったら、次にできること

原因の遺伝子がわかると、「わかって終わり」ではなく、ご本人・ご家族・次のお子さんのそれぞれで、次にできることがはっきりします。米国眼科学会のタスクフォースも、遺伝子検査は診断と見通しの正確さを高め、原因に合わせたケアにつながるとし、検査を受けるすべての人に専門的なカウンセリングを行うよう求めています[4]。結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。

ご本人:病名・見通し・遺伝子治療・全身の見張り・支援制度

遺伝子治療は、原因の遺伝子がわかっていることが前提です。日本では2023年6月26日、両方のRPE65遺伝子に変化がある遺伝性網膜ジストロフィーに対する遺伝子治療薬(ボレチゲン ネパルボベク)が承認されました。対象は、遺伝学的検査で両方のRPE65遺伝子の変化が確かめられ、十分な網膜の細胞が残っていることが確かめられた方です(製造販売元の発表による。2026年10月時点で確認)。治療は眼科の専門の医療機関で行われるもので、当院では行っていません。

米国の研究では、原因の遺伝子の75%以上が、遺伝子治療で使われるウイルスの運び役(AAV)に入る大きさだったと報告されています[1]。ほかの遺伝子でも治験が進められており、原因がわかっていることが、将来の治療や治験の情報にたどり着く第一歩になります。

  • ●見え方の見通し:原因の遺伝子がわかると、同じ遺伝子の病気でどのような経過をたどることが多いかを、眼科と一緒に考えられます。
  • ●全身の見張り:アッシャー症候群なら聴力、バルデー・ビードル症候群なら腎臓など、目以外の見張りが始められます。第2章の研究のように、骨や網膜剥離の予防につながる例もあります[3]。
  • ●制度:病名が確定すると、指定難病や、視覚障害の身体障害者手帳など、使える制度を確かめやすくなります(第9章)。

症状のないご本人・ご家族(きょうだい・親・X連鎖ならお母さん・姉妹)

あなたの1回の検査が、ご家族が自分の状態を知る手がかりになります。原因の変化がわかれば、ご家族は同じ場所をピンポイントで調べられます。

  • ●顕性遺伝:親・きょうだい・お子さんも同じ変化をもっている可能性があります。症状のない方の検査は発症前の検査になるため、遺伝カウンセリングで知ることの意味をよく考えてから決めていただきます。
  • ●潜性遺伝:きょうだいは、同じ病気である・保因者である・どちらでもない、のいずれかです。きょうだいが将来、結婚・出産を考えるときに、保因者かどうかを知る手がかりになります。パートナーの方の拡大版保因者スクリーニングも選択肢です(対象かどうかは遺伝子一覧でご確認ください)。
  • ●X連鎖遺伝:お母さんや姉妹が保因者かどうかを調べることで、次の世代の見通しがわかります。

子どもを持つときの選択肢

ご家族で原因の遺伝子の変化がわかっていれば、妊娠したときに赤ちゃんで同じ変化があるかを調べられます。絨毛・羊水からの胎児の出生前診断は当院で承っております。その病気で出生前診断を行えるかは、病気の重さや国内の指針を踏まえて個別に考えますので、妊娠を考えている段階からご相談ください。

妊娠中の方には、NIPTと同じ日に採血できるカップルの保因者検査ファミリーセーフティ プラスもあります(単独では受けられません)。

また、この検査の対象遺伝子の一部は、赤ちゃんに新しく起きた変化(新生突然変異)による病気として、当院のNIPTでも調べられます。CHD7・COL11A1・COL2A1・FREM1はダイヤモンドプランとインペリアルプランで、ACTB・ACVR1・CASK・COL4A1・COL9A2・CTNNB1・JAG1・NR2F1・RERE・TCF4はインペリアルプランで調べられます。当院のNIPTは妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。陽性の場合は、確定検査(羊水検査・絨毛検査)を院内で受けられます。

何もしないでそのまま出産することも、もちろん選べる選択肢です。どの選択も尊重します。

海外でPGT-M(着床前遺伝学的検査)を考えている方へ:英語の検査結果をお渡しできます

PGT-Mは、体外受精でできた受精卵(胚)の一部の細胞を調べ、ご家族でわかっている遺伝子の変化を受け継いでいない胚を選んで子宮に戻す検査です。目の病気は、ご本人が成人して自分の子どもを持つことを考えられる病気が多く、海外でPGT-Mを考える方からのお問い合わせがあります。当院は体外受精・PGT-Mを行っていません。当院でできるのは、原因の遺伝子の確定、英語の検査結果の用意、遺伝カウンセリング、ご家族の遺伝子検査、妊娠後の絨毛検査・羊水検査です。英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。

PGT-Mの準備には、欧州ヒト生殖学会(ESHRE)の指針で次のことが勧められています[6]。

  • ●病気の原因と確かめられた遺伝子の変化があること
  • ●見つかった変化の内容が書かれた元の報告書(認定を受けた検査室のもの)
  • ●ご家族の検体:受精卵から取れるDNAはごくわずかで、変化を直接読むだけでは、2本あるうちの片方が読み取れない「アレルドロップアウト」などで判定を誤るおそれがあります。そのため、変化のある場所の両側にある目印(多型マーカー)で、変化をもつ染色体を家系の中でたどる方法(ハプロタイプ解析)を組み合わせます。

ご本人の検査結果だけでは、PGT-Mの準備はふつう整いません。どちらの染色体に変化が乗っているかを決めるには、ご夫婦に加えて、病気の有無がわかっている血縁者のDNAが必要です。指針の目安は、顕性遺伝なら患者さん少なくとも1人(できれば2人)、および/または発症していない方1人、潜性遺伝なら患者さん・保因者・保因者でない方、X連鎖なら患者さん、および/または発症していない方(保因者と確かめられた方が望ましい)です[6]。血縁者がいない場合、指針は治療の周期の受精卵や1個の精子を調べる方法を挙げていますが、できるかどうかは施設や家系の状況で大きく変わり、受けられないこともあります。新しく起きた変化で、これまでに妊娠歴のないご夫婦では、一般的なハプロタイプ解析の方法は使えないとされています[6]。海外でPGT-Mを考えている方は、ご本人の検査の段階から、検査に協力していただけるご家族(とくに同じ変化をもつ方)がいるかを考えておくことが大切です。当院では、ご家族の遺伝子検査も、遺伝カウンセリングのうえでお受けしています。

臨床遺伝専門医としての判断も添えます。意義がまだわからない変化(VUS)は、病気の原因と確かめられていないため、そのままPGT-Mの対象にするのは難しいと考えます。潜性遺伝の病気では、ご夫婦それぞれがどの変化をもっているかを確かめておく必要があります。海外の施設によって求められる書類や検体は違うので、受ける予定の施設にも前もってご確認ください。

⚠️ PGT-Mは診断ではなく、スクリーニング検査です

PGT-Mは受精卵のごく一部の細胞を調べる検査で、結果が赤ちゃんの状態と食い違うことがあります。ESHREの指針は、多くの施設で誤った結果になる割合は全体で1〜3%まで下げられているとしたうえで、PGTのあとに妊娠したすべての方に出生前診断を提案すべきとしています[7]。PGT-Mで選んだ胚で妊娠した場合も、妊娠中に赤ちゃんそのものを調べる確定検査(絨毛検査・羊水検査)で確かめることが望ましいと考えます。当院では絨毛検査・羊水検査を院内で行っており、海外でPGT-Mを受けたあとの妊娠でもご相談いただけます。

PGT-Mの対象になる病気は、国によって違います。日本では、日本産科婦人科学会の「重篤な遺伝性疾患を対象とした着床前遺伝学的検査(PGT-M)に関する指針」(2026年9月改定)にもとづき、症例ごとに学会の審査を受け、そのうえで実施施設の倫理委員会が承認して行われます。この指針の「重篤」は、原則として、成人に達する前に日常生活が著しく損なわれる、または生存が危ぶまれる状態になる疾患で、申請の時点で有効な治療法がないか、治療法があっても高度かつ侵襲度の高いものとされています。審査が続いている申請も多く、学会の発表では、2025年7月〜2026年6月の1年間に審査した73件のうち、37件が審査継続中でした(2026年9月発表)。その病気が日本で対象になるかどうかは、審査で個別に決まります。

英国では、公的機関(HFEA)がPGT-Mを使える病気の一覧を公表しており、2,000を超える病気が載っています(2026年9月17日更新の一覧で2,067)。目の病気では、網膜色素変性症(21型)、錐体杆体ジストロフィー(15型以上)、1色覚(ACHM2〜7)、レーベル先天黒内障、コロイデレミア、眼皮膚白皮症(OCA1A・1B・2・4)、眼白皮症1型、網膜芽細胞腫、スティックラー症候群、アッシャー症候群が、型ごとに一覧に載っています(2026年9月時点)。米国では、PGTを直接規制する連邦や州の法律はなく、主に医師・施設の判断で行われています[8]。どの病気がPGT-Mの対象になるかは、国や制度、施設によって違います。同じ病気でも、ある国では対象になり、別の国では個別の審査が必要になることがあります。受ける国の制度と、施設の条件を前もって確かめてください。くわしくは海外でPGT-Mを考えている方へで解説しています。

陰性・VUSだったとき

原因の変化が見つからなかった場合でも、遺伝性の目の病気が否定されたわけではありません(第6章)。症状に合わせて、全エクソーム検査やミトコンドリア病の検査を考えます。VUSだけを根拠に、診断やご家族の発症リスクの判定は行いません。ただし、その変化の意味を調べるために、ご家族の検査を検討することがあります。研究が進んで、のちに意味がはっきりすることもあります。

8. 結婚・子どもへの遺伝が心配な方へ

目の遺伝の病気があることは、結婚できない理由にはなりません。子どもに伝わる確率は、病気と原因の遺伝子、遺伝のしかたによってまったく違い、調べればわかります。網膜色素変性症で結婚を心配されている方は、網膜色素変性症の遺伝子検査のページでも詳しく解説しています。

👨‍👩‍👧 お子さん1人あたりの確率の目安(遺伝のしかた別)

遺伝のしかた 親の状態 お子さん
常染色体顕性 親の一方が変化をもつ 2分の1で受け継ぐ(症状の重さは人によって違うことがある)
常染色体潜性 ご本人が患者で、パートナーが保因者でない 発症しない(全員が保因者)
常染色体潜性 ご夫婦とも同じ遺伝子の保因者 4分の1で発症
X連鎖 お父さんが患者 息子は受け継がない/娘は全員保因者
X連鎖 お母さんが保因者 息子は2分の1で発症/娘は2分の1で保因者

※一般的な遺伝のしかたの目安です。X連鎖の病気では、保因者の女性にも症状が出ることがあります。ご家族ごとの確率は、遺伝カウンセリングでご説明します。

たとえば、ご本人が常染色体潜性の病気で、パートナーが同じ遺伝子の保因者でなければ、お子さんが同じ病気になることはありません。パートナーが保因者かどうかは検査で確かめられます。結婚するか、子どもを持つかは、その人の生き方そのものに関わる大きな選択です。知ってから決めるのと、知らずに決めるのとでは意味が違う、と考えています。どちらを選んでも、その選択を尊重します。

9. 日本の制度(2026年10月時点)

遺伝性の目の病気のうち、難病情報センターの「視覚疾患」の指定難病には、次の9つがあります(2026年10月18日に確認)。

📋 視覚疾患の指定難病

告示番号 病名
90 網膜色素変性症
134 中隔視神経形成異常症/ドモルシア症候群
164 眼皮膚白皮症
301 黄斑ジストロフィー
302 レーベル遺伝性視神経症
303 アッシャー症候群
328 前眼部形成異常
329 無虹彩症
332 膠様滴状角膜ジストロフィー

※難病情報センター「疾患群別索引(視覚疾患)」による。医療費の助成には、認定の条件を満たして申請する必要があります。

見え方の障害が一定の程度にあたる場合は、身体障害者福祉法の視覚障害として身体障害者手帳の対象になり、視力と視野の両方が認定で評価されます(厚生労働省)。お子さんの病気が小児慢性特定疾病の対象かどうかは、小児慢性特定疾病情報センターでご確認ください。認定の基準や申請の方法は、お住まいの自治体の窓口でご確認いただけます。

10. 検査の流れ・費用・結果までの日数・検体

検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。唾液・口の内側の粘膜の検体なら、オンライン診療でも受けられます。

ご予約
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遺伝カウンセリング臨床遺伝専門医
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検体の採取血液・唾液・口の粘膜
▶
結果のご説明2〜3週間後・マイページへ

この検査は、遺伝診療先進国・米国の3大遺伝子検査会社の一角で行います。※

※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。

💴 費用・日数・検体

項目 内容
検査内容 遺伝性の目の病気に関わる509遺伝子の塩基配列と、欠失・重複の解析
検査費用 税込330,000円(塩基配列・欠失/重複の解析を含む)
オプション 至急(結果までの期間が約7日短くなります):55,000円/VUSを報告に含めない(VUS除外):無料
結果までの期間 2〜3週間
検体 血液(4mL×2本)・唾液・口の内側の粘膜(頬粘膜)
遺伝カウンセリング料 30分22,000円(税込)※検査費用とは別
読み取りの深さ・カバー率 対象の領域の99%以上を、20回以上重ねて読み取ります

※ご夫婦・カップルで同じ検査を同じ日に一緒に受ける場合は、遺伝カウンセリング料が1人分になります(検査費用の割引はありません)。当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。

オンライン診療で受ける場合

唾液・口の内側の粘膜・血液のいずれでも、オンライン診療(ビデオ通話)で遺伝カウンセリングを行ったあと、検体を当院にお送りいただけます。ほとんどの場合、唾液・口の内側の粘膜で検査できます。血液の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。オンラインの場合は、遺伝カウンセリング料金を事前にお支払いください。検体採取キットは、検査料金をお支払いいただいたあとにお送りします。検体の取り違えや品質の問題を防ぐため、キットが届く前にご自身で検体を採取しないでください。

結果のお渡しと報告書の言語

結果は、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。結果は、基本的に日本語版でお渡ししています。海外でPGT-Mを受けるなど、英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。報告書の読み方は遺伝子検査結果の見かたで解説しています。

遺伝カウンセリングでは、検査で何がわかり、何がわからないか、結果がご家族にとってどういう意味をもつかをご説明します。検査を受けるかどうかは、説明を聞いて納得してから決めていただきます。

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11. 院長コラム

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【目の病気こそ、原因の遺伝子を知ることに意味がある】

私自身、希少な常染色体顕性(優性)遺伝性疾患の当事者です。子どもに病気を受け渡したくない、という遺伝の病気をもつ方の思いはよくわかります。また、お子さんが重い症状で発症したのをきっかけに、ご自身も同じ遺伝子の変化を持っていたとわかり、自分のせいだと責めてしまう親御さんを、何度も見てきました。私の当事者としての話は、遺伝性疾患の当事者として、臨床遺伝専門医になった理由に書いています。遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。

生まれ持った遺伝子は一生変わりません。一度の検査でわかったことは、ご自身の見え方の見通しだけでなく、これからの妊娠・出産の計画や、ご家族の健康を考えるときにも、ずっと役に立つ情報になります。目の病気は、原因の遺伝子がわかって初めて遺伝子治療の対象かどうかを考えられる、という点で、遺伝子を知る意味がとくにはっきりした分野だと考えています。研究が進めば、同じデータから新しくわかることが出てくる可能性もあります。

遺伝子検査は、やってみないとわからないことを、何度も経験してきました。検査をしないと何も言えない、というのが私の確固たる考えです。こうした経験から、当院では、検査を受けずにリスクだけをご説明することはしておりません。検査をせずにリスクをお伝えするほうが、かえって危険だと考えているためです。

わからないまま悩み続けるより、わかったことから次を考えるほうが前に進める、と考えています。知ったうえで結婚や妊娠を考えたい方には、出生前診断まで当院で続けて支えられる体制を整えています。どの選択をされても、その選択を尊重します。

よくある質問(FAQ)

Q1. 目の病気は遺伝しますか?視力の悪さも遺伝しますか?

ふつうの近視は遺伝子と環境の両方が重なって起こると考えられており、遺伝子1つで決まるものではありません。一方、網膜色素変性症のような網膜の病気や、先天白内障・角膜ジストロフィーなどの一部は、遺伝子の変化で起こり、親から子へ伝わることがあります。夜盲・視野が狭い・子どもの頃からの視力障害などがある場合は、遺伝性の目の病気を考えます。

Q2. 遺伝性の目の病気で失明する病気はありますか?

網膜色素変性症、レーベル先天黒内障などの網膜ジストロフィー、視神経萎縮などは、進むと強い視覚障害につながることがあります。ただし、進み方は原因の遺伝子や人によって大きく違い、同じ病名でも必ず失明するわけではありません。原因の遺伝子がわかると、見通しを考える手がかりになります。

Q3. 病名がはっきりしない視力低下でも検査できますか?

できます。この包括的眼疾患パネルは、病名がまだ絞れない方や、いくつもの目の症状がある方のための検査で、509遺伝子を一度に調べます。病名がはっきりしている場合は、その病気の個別のパネルが向いていることもあります。

Q4. 遺伝子治療は受けられますか?

日本では2023年6月、両方のRPE65遺伝子に変化がある遺伝性網膜ジストロフィーに対する遺伝子治療薬が承認されました。対象は、遺伝学的検査でRPE65遺伝子の変化が確かめられ、十分な網膜の細胞が残っている方です。治療は眼科の専門の医療機関で行われます。ほかの遺伝子でも治験が進められており、原因の遺伝子を知ることがその第一歩になります。

Q5. 子どもに遺伝する確率はどれくらいですか?

原因の遺伝子と遺伝のしかたで大きく違います。常染色体顕性なら、お子さん1人あたり2分の1です。常染色体潜性なら、パートナーが同じ遺伝子の保因者でなければ、お子さんが発症することはありません。X連鎖は、親の性別によって息子と娘で確率が違います。原因がわかれば、ご家族ごとの確率をお伝えできます。

Q6. 目の遺伝の病気があると結婚できませんか?

目の遺伝の病気があることは、結婚できない理由にはなりません。お子さんに伝わる確率は病気によってまったく違い、検査で調べられます。パートナーの保因者検査や、妊娠したときの出生前診断など、知ったうえで選べることもあります。

Q7. 海外でPGT-Mを受けたいのですが、英語の検査結果はもらえますか?

お渡しできます。英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。なお、ご本人の検査結果だけではPGT-Mの準備はふつう整わず、ご家族の検体が必要になることが多いため、検査の段階からご相談ください。当院は体外受精・PGT-Mを行っていません。

Q8. 保険は使えますか?

当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。この検査の費用は税込330,000円で、遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。

🧬 一度の検査で、見え方の見通しとご家族のこれからを考える

生まれ持った遺伝子は一生変わりません。目の病気の原因の遺伝子がわかれば、遺伝子治療の対象かどうか、全身の見張り、ご家族の検査、結婚・妊娠の計画を考える手がかりになります。当院では臨床遺伝専門医が常駐し、検査の前後の遺伝カウンセリングから、羊水検査・絨毛検査による出生前診断の相談まで、院内で続けて受けていただけます。

お電話でのお問い合わせ:03-3478-3768

参考文献

  • [1] Stone EM, Andorf JL, Whitmore SS, et al. Clinically focused molecular investigation of 1000 consecutive families with inherited retinal disease. Ophthalmology. 2017;124(9):1314-1331. [DOI: 10.1016/j.ophtha.2017.04.008]
  • [2] Suga A, Yoshitake K, Minematsu N, et al. Genetic characterization of 1210 Japanese pedigrees with inherited retinal diseases by whole-exome sequencing. Hum Mutat. 2022;43(12):2251-2264. [DOI: 10.1002/humu.24492]
  • [3] Moon D, Park HW, Surl D, et al. Precision medicine through next-generation sequencing in inherited eye diseases in a Korean cohort. Genes. 2022;13(1):27. [DOI: 10.3390/genes13010027]
  • [4] Stone EM, Aldave AJ, Drack AV, et al. Recommendations for genetic testing of inherited eye diseases: report of the American Academy of Ophthalmology task force on genetic testing. Ophthalmology. 2012;119(11):2408-2410. [PMID: 22944025]
  • [5] Takahashi Y, Date H, Oi H, et al. Six years’ accomplishment of the Initiative on Rare and Undiagnosed Diseases: nationwide project in Japan to discover causes, mechanisms, and cures. J Hum Genet. 2022;67(9):505-513. [DOI: 10.1038/s10038-022-01025-0]
  • [6] ESHRE PGT-M Working Group, Carvalho F, Moutou C, et al. ESHRE PGT Consortium good practice recommendations for the detection of monogenic disorders. Hum Reprod Open. 2020;2020(3):hoaa018. [DOI: 10.1093/hropen/hoaa018]
  • [7] ESHRE PGT Consortium Steering Committee, Carvalho F, Coonen E, et al. ESHRE PGT Consortium good practice recommendations for the organisation of PGT. Hum Reprod Open. 2020;2020(3):hoaa021. [DOI: 10.1093/hropen/hoaa021]
  • [8] Nakasato K, Yamamoto BA, Kato K. Evaluating standards for ‘serious’ disease for preimplantation genetic testing: a multi-case study on regulatory frameworks in Japan, the UK, and Western Australia. Hum Genomics. 2022;16:16. [DOI: 10.1186/s40246-022-00390-3]

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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