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先天性白内障(先天白内障)の遺伝子検査|55遺伝子で原因と子どもに遺伝する確率を調べるパネル検査

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

先天性白内障(先天白内障)の遺伝子検査

先天性白内障(先天白内障)は、生まれつき、または生後まもなく、目の中でレンズの役割をする水晶体が濁る病気です。原因はさまざまで、遺伝子の変化によるもの、妊娠中の感染によるもの、全身の病気の一部として起こるものがあります。このページでご案内するのは、先天性白内障の原因となる55の遺伝子を一度に調べる遺伝子パネル検査です。原因の遺伝子がわかると、白内障が目だけの病気なのか、心臓・代謝・耳や腎臓などの見張りが必要な全身の病気の一部なのかがわかり、次にすることが決まります。生まれ持った遺伝子は一生変わりません。一度の検査でわかったことは、お子さんの健康管理だけでなく、ご家族の健康や、次のお子さんを考えるときにも、ずっと役に立ちます。

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. 先天性白内障の遺伝子検査で何がわかりますか?

先天性白内障の原因となる55の遺伝子をまとめて調べ、白内障の原因の遺伝子の変化があるかを確かめます。原因がわかると、遺伝のしかたと子どもに遺伝する確率、全身の病気の見張りが必要かどうかがわかります。

🧬 Q. どんな人が受けるとよいですか?

先天性白内障・若いうちの白内障と診断された方、ご家族に同じ白内障の方がいる方、白内障のほかに体の症状がある方、次のお子さんへの遺伝が気になる方です。

🧬 Q. 費用・日数・検体は?

検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。検体は血液・唾液・口の内側の粘膜などで、オンライン診療でも受けられます。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。

🧬 Q. 結果のあとはどうなりますか?

結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。原因がわかれば、ご家族の検査や次のお子さんの出生前診断まで考えられます。意義がまだわからない変化(VUS)が見つかることもあります。

\ 一生変わらない遺伝子を知って、これからの計画に /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

検査の前に臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明します。

お問い合わせはこちら | 目の病気をまとめて調べる包括的眼疾患パネル

1. 先天性白内障(先天白内障)とは:生まれつき水晶体が濁る病気

先天性白内障は、生まれつき、または生後早い時期に水晶体が濁る病気です。濁りが強いと、見る力が育つ大切な時期に光の刺激がさえぎられ、弱視(眼鏡をかけても視力が出にくい状態)の原因になります。国立成育医療研究センターは、先天白内障の原因として、生まれつきの素因、胎内での感染、全身の病気などを挙げています。

水晶体は、カメラのレンズのように光を集めて網膜にピントを合わせる、透明な組織です。白内障というと年齢とともに起こるものを思い浮かべる方が多いと思いますが、先天性白内障は、生まれたときから、または生後まもなく濁りがある点が違います。片方の目だけのこと(片眼性)も、両方の目のこと(両眼性)もあり、濁りの場所や程度も人によってさまざまです。

赤ちゃんの症状と、気づきにくいサイン

ひとみの中が白く濁って見えるときは、すぐに眼科を受診することが大切です。国立成育医療研究センターは、眼振(目の揺れ)や斜視(片方の目の視線がずれる)は弱視の症状で、放っておくと治療が難しくなるとしています。小児の白内障の総説でも、片眼性の白内障に斜視を伴うもの、両眼性の白内障に眼振を伴うものは、見え方に大きく影響している白内障と考えるとされています[4]。

一方で、濁りが小さい場合や、ひとみの中心から外れた場所の濁りは、見た目だけではわかりにくいことがあります。赤ちゃんは見えにくさを言葉で伝えられません。気になることがあれば、見た目の印象だけで判断せず、眼科で調べてもらいましょう。

先天性白内障の原因:遺伝・胎内感染・全身の病気・染色体

先天性白内障の原因は、遺伝子の変化、妊娠中の感染、代謝などの全身の病気、染色体の病気に分けられます。原因がわからないものも少なくありません。

  • ●遺伝子の変化:先天性白内障のおよそ半分は遺伝性とする総説があります[2]。一方で、遺伝性は全体の8〜29%とする総説もあり[4]、調べた集団や方法によって数字に幅があります。両眼性の白内障では、遺伝子の変化が原因の大部分を占めるとされています[3]。
  • ●妊娠中の感染:世界的には、風疹が白内障を起こす先天感染の中で最も多いとされ、トキソプラズマ・サイトメガロウイルス・単純ヘルペスウイルスも原因になります[3]。
  • ●代謝の病気:ガラクトース血症では、体にたまった物質が水晶体を濁らせます[3]。くわしくは第3章でご説明します。
  • ●染色体の病気:ダウン症候群(21トリソミー)では、先天性・乳児期の白内障が起こりやすいことが知られています。デンマークの全国調査では、先天性・乳児期の白内障の子ども1,027人のうち29人(2.8%)がダウン症候群でした[5]。

このページの遺伝子パネル検査で調べられるのは、このうち「遺伝子の変化」です。感染による白内障や、染色体の数の変化による白内障は、この検査ではわかりません(第6章)。

何人に1人?先天性白内障の頻度

国立成育医療研究センターは、先天白内障を約1万人に3人に起こるまれな病気としています。世界の研究をまとめた解析(メタ解析)では、先天性白内障の有病率は1万人あたり4.24人と推定されました[1]。ただし、この解析のアジアのデータは中国とインドの研究によるもので、日本人の数字ではありません。先進国では出生1万人あたり1〜6人とする総説もあります[2]。

治療は眼科で:手術をしないとどうなるか

濁りの強い先天性白内障をそのままにすると、光の刺激がさえぎられて重い弱視になり、あとから濁りを取っても視力が十分に育たないことがあります。先天性・乳児期の白内障の子どもで見る力が失われる主な原因は、この「形態覚遮断弱視」とされています[6]。

そのため、見え方に大きく影響する白内障では、早い時期の手術が勧められています。国立成育医療研究センターは、両眼性では生後10〜12週、片眼性では生後6週までに手術を受ける必要があるとしています。研究では、片眼性の濃い白内障は生後6週より前の手術で弱視の影響を小さくできる可能性が示され[7]、両眼性の濃い白内障では、生後10週を過ぎて手術を受けた子どもで視力の結果が悪くなる例が増えると報告されています[8]。

手術のあとも、眼鏡やコンタクトレンズ・眼内レンズでピントを合わせ、弱視の治療を続けます。手術のあとに緑内障が起こることもあり、片眼性の白内障で手術を受けた114人の乳児を10年追った研究では、緑内障の累積の割合は10年で22%でした[9]。手術・弱視治療・緑内障の見張りは、小児の眼科で行います(当院は眼科の治療・手術は行っていません)。遺伝子検査は、手術の代わりではなく、原因を知って体全体とご家族の計画を立てるための検査です。

2. 先天性白内障は遺伝する?遺伝のしかたと子どもに遺伝する確率

遺伝子の変化による先天性白内障は、親から子へ伝わることがあります。子どもに遺伝する確率は、遺伝のしかたによって大きく違います。家族に白内障の人がいる場合、遺伝のしかたで最も多いのは常染色体顕性(優性)遺伝で、44%とされています[2]。

👪 先天性白内障の遺伝のしかたと、子どもに遺伝する確率

遺伝のしかた どんなときに伝わるか お子さん1人あたりの確率
常染色体顕性(優性)遺伝 親のどちらかが変化をもっている 2分の1(男女とも)
常染色体潜性(劣性)遺伝 両親がともに同じ遺伝子の変化を1つずつもつ保因者 4分の1(保因者になる確率は2分の1)
X連鎖遺伝 お母さんがX染色体の上に変化をもつ(例:ナンス・ホーラン症候群) 男の子は2分の1で発症しうる/女の子は2分の1で変化を受け継ぐ(症状は軽いことが多い)

※確率はお子さん1人ごとのもので、上のお子さんの結果で下のお子さんの確率が変わることはありません。遺伝のしかたの全体像は遺伝形式とはで解説しています。

顕性遺伝の家系が多い。同じ遺伝子でも、現れ方は一つではない

先天性白内障の家系では、親から子へ代々伝わる常染色体顕性遺伝が多くみられます[2][3]。遺伝性の白内障のうち、白内障だけが起こるものが70%、ほかの目の異常を伴うものが15%、全身の症候群の一部として起こるものが15%とされています[3]。

同じ遺伝子でも、変化の種類によって現れ方が違うことがあります。たとえばWFS1遺伝子は、潜性遺伝で糖尿病と視神経萎縮を中心とするウォルフラム症候群を起こす一方、顕性遺伝で白内障だけが起こる家系も報告されています[13]。また、X連鎖のナンス・ホーラン症候群では、男性は濃い白内障になるのに対し、変化をもつ女性は水晶体の後ろの縫い目に沿った軽い濁りにとどまり、視力はほとんど落ちないことが多いとされています[15]。「親の症状が軽いから、子どもも軽い」とは言えないのは、このためです。原因の遺伝子と変化がわかってはじめて、ご家族ごとの見通しを具体的に考えられます。

家族に同じ病気の人がいない場合

ご家族に白内障の人がいなくても、遺伝子の変化による先天性白内障のことがあります。家族歴のある方は先天性白内障の3分の1ほどにとどまるとされ[22]、家族歴がないのは、お子さんの代で新しく起きた変化(De Novo変異)や、ご両親が症状のない保因者の潜性遺伝であることがあります。中国の研究では、家族歴のある先天性白内障の87.5%(16家系中14家系)、家族歴のない先天性白内障の27.0%(37人中10人)で原因の遺伝子の変化が見つかりました[22]。

新しく起きた変化と考えられる場合でも、親御さんの卵子や精子のもとになる細胞(生殖細胞)にだけ変化がある「性腺モザイク」の可能性は残ります。変化をもつ生殖細胞からできる卵子・精子は2分の1の確率で変化を受け継ぎます。生殖細胞のうちどれくらいが変化をもつかは実際の診療では調べられないため、お子さん1人あたりの確率は『最大で2分の1』とお伝えしています。「新しく起きた変化だから、次は大丈夫」と小さく見積もらないことが大切です。

3. 先天性白内障の遺伝子検査でわかること:原因がわかると次の一手が決まる

原因の遺伝子がわかると、白内障が目だけの病気か、全身の病気の一部かがわかり、見張るべき臓器、ご家族への影響、次のお子さんの見通しが決まります。両眼性の先天性白内障の36人を115遺伝子のパネルで調べた英国の研究では、75%で診断がつき、診断の結果、診療方針が変わったり、受けるべき診療の道筋が決まったり、より正確な遺伝カウンセリングにつながったりしたと報告されています[21]。

目だけの白内障か、全身の病気の一部か

先天性白内障が全身の病気の最初のサインになることがあります。このパネルには、次のような全身の病気の遺伝子が入っています。どれも、白内障の手術だけでは見つからない体の問題に、早めに備えるきっかけになります。

🩺 原因がわかると、見張りや注意点が変わる例

遺伝子・病気 白内障のほかに知られていること わかると変わること
GALK1:ガラクトキナーゼ欠損症 白内障がほぼ唯一の一貫した症状[11] 早くからガラクトースを控える食事を始めると、白内障が軽くなったり防げたりした[10]
AGK:センガーズ症候群 生まれつき〜早い時期の肥大型心筋症、筋力低下、乳酸アシドーシス[12] 亡くなる主な原因は心筋症による心不全とされ[12]、心臓の見張りが大切になる
WFS1:ウォルフラム症候群 16歳までに始まる糖尿病と視神経萎縮。難聴・尿崩症なども[13] 白内障だけの型か、全身の型かを見分け、血糖・視神経・聴力の見張りを考える
FTL:遺伝性高フェリチン血症・白内障症候群 血液のフェリチンが高いが、体に鉄はたまっていない[14] 鉄がたまる病気(ヘモクロマトーシス)と取り違えないで済む。鉄を抜く治療(瀉血)は必要なく、かえって重い貧血を起こしうるとされる[14]。※原因の変化の多くは遺伝子の調節部分にあり、この検査で検出できるかは個別の確認が必要(第6章)
NHS:ナンス・ホーラン症候群 男性に濃い白内障、ねじ回しのような形の前歯・歯の数の異常。知的障害は男性の約30%で報告[15] 歯科・発達の支援につなげ、お母さん・姉妹の検査を考える
EYA1:鰓耳腎症候群 難聴が90%を超え、腎臓・尿路の異常が67%[16] 聴力と腎臓の検査を受けるきっかけになる
CTDP1:先天白内障・顔貌の特徴・ニューロパチー(CCFDN) 手足の末梢神経の障害、感染のあとの横紋筋融解症[17] 麻酔で重い合併症の危険が高いとされ[17]、手術の前に麻酔科と情報を共有できる
SIL1:マリネスコ・シェーグレン症候群 小脳失調、筋力低下。白内障は早く始まるが生まれつきとは限らない[18] 神経・筋の見張りとリハビリの計画を立てる

※見張りや治療の方針は、それぞれの専門の医療機関で決めます。表は、原因がわかることで「何を確かめればよいか」が決まる例です。

遺伝性の白内障の多くは、白内障だけが起こるタイプです[3]。それでも、白内障のほかの症状が軽いと、全身の病気に気づきにくいことがあります。原因の遺伝子がわかることで、「目だけの病気と考えてよい」とわかることにも、大きな意味があります。

新生児スクリーニングとガラクトース血症

日本の新生児マススクリーニング(先天性代謝異常等検査)の対象には、ガラクトース血症が含まれています。日本のスクリーニングでは、血液のガラクトースなどと、GALTという酵素の働きを測っています[11]。

ガラクトース血症にはいくつかの型があり、このパネルで調べるのは、白内障が主な症状となるガラクトキナーゼ欠損症の原因遺伝子GALK1です。古典型のガラクトース血症(GALT)やGALE欠損症の遺伝子は、このパネルには入っていません。ガラクトース血症全体を調べたい場合は、低血糖症・ガラクトース/フルクトース代謝異常遺伝子検査(GALT・GALE・GALK1を含む)が向いています。新生児スクリーニングのしくみは新生児スクリーニングで解説しています。

小眼球症・虹彩の異常・前眼部の異常を伴う場合

白内障に、目が小さい(小眼球症)、虹彩(茶目)がない・小さい、角膜や虹彩など目の前の部分の形の異常を伴う場合は、目ができあがる過程に関わる遺伝子の変化が考えられます。このパネルには、PAX6・FOXE3・PITX3・GJA8・SIX6などが入っています。

無虹彩症(PAX6)では、水晶体の濁りが最終的に50〜85%の方に起こるとされています[19]。また、PAX6の近くにあるWT1遺伝子まで一緒に失われる染色体の欠失(WAGR)では、腎臓のウィルムス腫瘍の危険が高くなるため、まだ検査を受けていない無虹彩症のお子さんでは、まずマイクロアレイ染色体検査を考えるべきとされています[19]。小眼球症やコロボーマ(目の組織の一部が欠ける異常)が中心のときは、小眼球症・無眼球症・眼球コロボーマ遺伝子パネル検査のほうが向いています。

4. どんな人が受けるとよいか、別の検査が向く場合

先天性白内障・若いうちの白内障と診断された方、ご家族に白内障の方がいる方、白内障のほかに体の症状がある方に向く検査です。希少な病気では、診断がつくまでに時間がかかることが少なくありません。欧州の希少疾患の患者さん6,507人を調べた調査では、診断までの期間は平均4.7年でした[23]。原因の遺伝子を一度にまとめて調べることで、原因がわからないまま検査を重ねる時間を短くできる可能性があります。

  • ●生まれつき、または赤ちゃんのうちに白内障と診断された方(とくに両眼性の方)
  • ●子どもの頃〜若いうちに白内障と言われ、原因がわからない方
  • ●ご家族(親・きょうだい・祖父母など)に、若いうちから白内障の人がいる方
  • ●白内障に加えて、小眼球症・虹彩の異常・難聴・腎臓の異常・心臓の病気・発達の遅れ・歯の異常などがある方
  • ●白内障の手術を受けたお子さんがいて、次の妊娠での遺伝の確率を知りたいご両親
  • ●結婚・妊娠を考えていて、ご自身やパートナーの家系の白内障が気になる方

見た目や家族歴だけでは、遺伝かどうかは判断できません。迷ったときは、まず遺伝カウンセリングで状況をお聞かせください。一方で、片眼性の白内障は、多くが白内障だけの病気で遺伝しないものとされています[4]。片眼だけでご家族に白内障の人がいない場合は、遺伝子検査で原因が見つかる見込みは高くないことも、検査の前にご説明します。

🔍 症状に合わせた検査の選び方

こんなとき 向いている検査
白内障が中心(家族に白内障の人がいる・両眼性など) このページの先天性白内障パネル(55遺伝子)
小眼球症・無眼球症・コロボーマが中心 小眼球症・無眼球症・眼球コロボーマ遺伝子パネル検査
網膜・角膜・緑内障など、目のいくつもの場所に症状がある 包括的眼疾患遺伝子検査(ロウ症候群のOCRL遺伝子も含む)
ガラクトース血症が疑われる(新生児スクリーニングで指摘された など) 低血糖症・ガラクトース/フルクトース代謝異常遺伝子検査
無虹彩症が疑われる まずマイクロアレイ染色体検査を考える
ダウン症候群など、染色体の病気が疑われる 染色体の検査(このパネルではわかりません)
発達の遅れなど体の症状が多く、病気をしぼれない 全エクソーム検査(WES)

※男の子の先天性白内障で、筋肉の張りが弱い・腎臓(尿細管)の異常があるときに考えるロウ症候群(OCRL遺伝子[20])は、このパネルには入っていません。どの検査が合うかは、症状・診察所見・ご家族の情報で変わります。

\ 原因がわかれば、全身の見張りと次の一手が決まります /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

原因がわかったご家族には、ご家族の遺伝子検査や、羊水検査・絨毛検査による出生前診断まで、院内で続けてご案内できます。

お問い合わせはこちら | 小眼球症・コロボーマのパネルと比べる

5. 調べる55遺伝子と、それぞれでわかる病気(先天性白内障の原因遺伝子)

このパネルでは、先天性白内障の原因となる55の遺伝子を一度に調べます。水晶体を透明に保つたんぱく質の遺伝子、水晶体の細胞どうしをつなぐギャップ結合の遺伝子、目ができあがる過程に関わる遺伝子、代謝や全身の病気の遺伝子が入っています。非症候群性(白内障だけ)の遺伝性白内障の約50%は、クリスタリンという水晶体のたんぱく質の遺伝子の変化によるとされています[3]。

💎 クリスタリン(水晶体を透明に保つたんぱく質)の遺伝子:12

遺伝子 関係する病気(OMIM) 遺伝のしかた
CRYAA 白内障9型 常染色体顕性・常染色体潜性
CRYAB 白内障16型/筋原線維ミオパチー2型 常染色体顕性・常染色体潜性/常染色体顕性
CRYBA1 白内障10型 常染色体顕性
CRYBA2 白内障42型 常染色体顕性
CRYBA4 白内障23型 常染色体顕性
CRYBB1 白内障17型 常染色体顕性・常染色体潜性
CRYBB2 白内障3型 常染色体顕性
CRYBB3 白内障22型 常染色体顕性・常染色体潜性
CRYGB 白内障39型 常染色体顕性
CRYGC 白内障2型 常染色体顕性
CRYGD 白内障4型 常染色体顕性
CRYGS 白内障20型 常染色体顕性

🧱 水晶体の膜・骨組み・細胞のはたらきに関わる遺伝子:15

遺伝子 関係する病気(OMIM) 遺伝のしかた
BFSP1 白内障33型 常染色体顕性・常染色体潜性
BFSP2 白内障12型 常染色体顕性
MIP 白内障15型 常染色体顕性
LIM2 白内障19型 常染色体顕性・常染色体潜性
VIM 白内障30型 常染色体顕性
CHMP4B 白内障31型 常染色体顕性
EPHA2 白内障6型 常染色体顕性・常染色体潜性
FYCO1 白内障18型 常染色体潜性
TDRD7 白内障36型 常染色体潜性
SIPA1L3 白内障45型 常染色体潜性
LSS 白内障44型/脱毛・知的障害症候群4型 常染色体潜性/常染色体潜性
UNC45B 白内障43型/筋原線維ミオパチー11型 常染色体顕性/常染色体潜性
LEMD2 若年発症の白内障46型/マーバック・ルスタッド早老症候群 常染色体潜性/常染色体顕性
GCNT2 白内障13型(成人のi型血液型を伴う) 常染色体潜性
SLC16A12 若年性白内障(小角膜・腎性糖尿を伴う) 常染色体顕性

🔗 ギャップ結合(水晶体の細胞どうしをつなぐ通り道)の遺伝子:2

遺伝子 関係する病気(OMIM) 遺伝のしかた
GJA3 白内障14型 常染色体顕性
GJA8 白内障1型 常染色体顕性

👁️ 目ができあがる過程に関わる遺伝子:7

遺伝子 関係する病気(OMIM) 遺伝のしかた
HSF4 白内障5型 常染色体顕性・常染色体潜性
PAX6 無虹彩症1型/前眼部形成異常5型(ピーターズ異常を含む)/中心窩低形成1型(若年の白内障を伴うことがある)/眼のコロボーマ など 常染色体顕性
PITX3 前眼部形成異常1型/白内障11型 常染色体顕性/常染色体顕性・常染色体潜性
FOXE3 前眼部形成異常2型(先天無水晶体)/白内障34型 常染色体潜性/常染色体顕性・常染色体潜性
SIX6 視神経乳頭の異常と網膜・黄斑ジストロフィー 常染色体潜性
EYA1 鰓耳腎症候群1型/鰓耳症候群1型/耳・顔・首の症候群1型 常染色体顕性
PXDN 前眼部形成異常7型 常染色体潜性

🩺 代謝・全身の病気の遺伝子:10

遺伝子 関係する病気(OMIM) 遺伝のしかた
GALK1 ガラクトキナーゼ欠損症(白内障を伴う) 常染色体潜性
AGK センガーズ症候群/白内障38型 常染色体潜性/常染色体潜性
WFS1 ウォルフラム症候群1型/白内障41型/ウォルフラム様症候群/顕性の難聴(6・14・38型) 常染色体潜性/常染色体顕性/常染色体顕性/常染色体顕性
FTL 遺伝性高フェリチン血症・白内障症候群/ニューロフェリチノパチー 常染色体顕性/常染色体顕性
CLPB 3-メチルグルタコン酸尿症7A型・7B型 常染色体顕性/常染色体潜性
GFER 先天白内障・難聴・発達の遅れを伴う進行性ミトコンドリアミオパチー 常染色体潜性
MSMO1 小頭症・先天白内障・乾癬様皮膚炎 常染色体潜性
RDH11 網膜色素変性・若年性白内障・低身長・知的障害 常染色体潜性
CAV1 部分性リポジストロフィー・先天白内障・神経変性症候群(リポジストロフィー遺伝子検査にも含まれる) 常染色体顕性
ABHD12 PHARC(多発ニューロパチー・難聴・運動失調・網膜色素変性・白内障) 常染色体潜性

🧠 神経・筋・脳・網膜などの病気の遺伝子:9

遺伝子 関係する病気(OMIM) 遺伝のしかた
CTDP1 先天白内障・顔貌の特徴・ニューロパチー(CCFDN) 常染色体潜性
SIL1 マリネスコ・シェーグレン症候群 常染色体潜性
SLC33A1 先天白内障・難聴・神経変性(ハプケ・ブレンデル症候群)/痙性対麻痺42型 常染色体潜性/常染色体顕性
FAM126A(別名HYCC1) 髄鞘化不全性白質ジストロフィー5型 常染色体潜性
JAM3 脳の出血性破壊・上衣下石灰化・白内障 常染色体潜性
COL18A1 ノブロック症候群1型/原発閉塞隅角緑内障 常染色体潜性/常染色体顕性
P3H2 強度近視(白内障・硝子体網膜変性を伴う) 常染色体潜性
BEST1 卵黄状黄斑ジストロフィー2型(ベスト病)/顕性の硝子体網膜脈絡膜症/潜性ベストロフィノパチー/網膜色素変性症50型 常染色体顕性/常染色体顕性/常染色体潜性/常染色体顕性
NHS ナンス・ホーラン症候群/白内障40型(X連鎖) X連鎖(顕性)/X連鎖

※遺伝子は今回の検査の対象55遺伝子です。病気の名前と遺伝のしかたは、OMIM(遺伝性疾患のデータベース)の登録をもとに日本語にしています(2026年10月確認)。1つの遺伝子で複数の病気が登録されているときは、主なものを「/」で区切って並べ、遺伝のしかたも同じ順に書いています。

6. この検査でわかること・わからないこと

この検査でわかるのは、55の遺伝子の小さな変化(1文字の変化や小さな挿入・欠失)と、遺伝子のまとまった欠失・重複の一部です。一方で、遺伝子検査には必ず限界があります。検査は次世代シークエンサーで、たんぱく質の設計図にあたる部分と、その境目(スプライス部位)を読みます。

  • ●感染や染色体の病気による白内障:風疹などの胎内感染や、ダウン症候群などの染色体の数の変化による白内障は、この検査ではわかりません。
  • ●欠失・重複:遺伝子まるごと1つ分の欠失・重複(血液・頬の粘膜の検体)と、となり合う2つ以上のエクソン分の欠失・重複(血液の検体のみ)を調べます。エクソン1つ分だけの欠失・重複は、ふだんは検出できません。見つかった欠失・重複は、別の原理の方法(qPCR法やMLPA法)でもう一度確かめてから報告します。
  • ●見つけられない変化:染色体の一部が入れ替わる・向きが逆になる変化、同じ配列がくり返して長くなる変化、遺伝子の働きを調節する部分やエクソンから離れた部分の変化は、この検査では見つけられません。
  • ●遺伝性高フェリチン血症・白内障症候群:この病気の原因の変化の多くは、FTL遺伝子のたんぱく質の設計図の外側にある「鉄応答配列(IRE)」という調節部分にあります[14]。この検査はおもに設計図の部分とその境目を読むため、IREの変化を検出できるかは個別の確認が必要です。血液のフェリチンが高く、この病気が疑われる場合は、検査の前にご相談ください。
  • ●モザイク:体の一部の細胞にだけある変化(モザイク)を見つけるための検査ではありません。
  • ●調べていない遺伝子:この55遺伝子以外の原因(たとえばロウ症候群のOCRLやガラクトース血症のGALT)は調べていません。
  • ●意義がまだわからない変化(VUS):病気の原因かどうかをまだ判断できない変化が見つかることがあります。
  • ●陰性でも否定はできません:原因が見つからなくても、遺伝による白内障ではないとは言い切れません。

遺伝子パネルで原因が見つかる割合は、調べた人の条件で大きく変わります。両眼性の先天性白内障では50〜90%とする総説があり[3]、前述の英国の研究では75%[21]、中国の研究では家族歴のある方で87.5%、ない方で27.0%でした[22]。検査の目的と別の病気の原因が見つかった場合の扱いは、当院の二次的所見の開示方針に沿ってご説明します。

7. 結果が出たあと

結果は、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。結果だけをお送りすることはありません。

陽性・陰性・VUSのそれぞれ

陽性(病気の原因となる変化が見つかった):先天性白内障の原因が確定し、遺伝のしかたと、全身の見張りが必要かどうかがわかります。次の項でくわしくご説明します。

陰性(原因となる変化が見つからなかった):このパネルで調べられない原因(感染・染色体の病気・調べていない遺伝子など)が考えられます。症状に合わせて、包括的眼疾患パネルや全エクソーム検査、染色体の検査を考えます。

VUS:それだけで診断に使ったり、ご家族の検査や出生前診断に使ったりはしません。ご家族の検査結果や今後の研究で、意味がはっきりすることもあります。

病的変異が見つかったら、次にできること

原因の遺伝子の変化がわかると、ご本人の健康管理、ご家族の検査、次のお子さんの計画まで、具体的に考えられるようになります。わかるだけで終わらせないために、立場ごとにできることを整理します。

①ご本人(白内障のある方):病名が決まり、目だけの病気か全身の病気の一部かがわかります。全身の病気の一部とわかれば、心臓・血糖・聴力・腎臓など、見張る臓器が決まります(第3章の表)。ガラクトキナーゼ欠損症なら食事の工夫、CCFDNなら手術の麻酔での注意など、治療や手術の前に知っておきたいことも出てきます。眼科では、手術のあとの弱視治療や緑内障の見張りが続きます。見張りや治療は、それぞれの専門の医療機関で行います。

②症状のないご家族・保因者とわかった方:顕性遺伝なら、変化をもっていても症状が軽い方がいます。潜性遺伝の保因者は、ふつう症状がありません。保因者の方は、パートナーが同じ遺伝子の変化をもっているかを調べることで、お子さんの確率がわかります。潜性遺伝の遺伝子が拡大版保因者スクリーニングの対象かどうかは、遺伝子一覧でご確認ください。

③お子さんを持つときの選択肢:ご家族で原因の遺伝子の変化がわかっていれば、妊娠したときに、赤ちゃんで同じ変化があるかを調べられます。絨毛・羊水からの胎児の出生前診断は当院で承っております。その病気で出生前診断を行えるかは、病気の重さや国内の指針を踏まえて個別に考えますので、妊娠を考えている段階からご相談ください。日本でも、日本産科婦人科学会の指針(2026年9月改定)にもとづく審査を経て、PGT-M(着床前遺伝学的検査)が行われています(当院は体外受精・PGT-Mを行っていません)。準備に必要なことは海外でPGT-Mを考えている方へで解説しています。何もしないで自然に妊娠・出産することも、もちろん選べる選択肢です。

④ご家族:原因の変化がわかると、ご両親・きょうだい・お子さんは、その変化だけをピンポイントで調べられます。X連鎖のナンス・ホーラン症候群なら、お母さんや姉妹が変化をもっているかが、次の世代を考える手がかりになります。症状のない方の検査は、ご本人の同意のうえで行います。

⑤当院でのその後:結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングでご説明し、次にどうするかを一緒に考えます。ご家族の検査、パートナーの保因者検査、妊娠したときの羊水検査・絨毛検査まで、当院で続けて受けていただけます(遺伝カウンセリング料は第9章のとおりです)。

結果の報告書(日本語版・英語版)と読み方

結果は、基本的に日本語版でお渡ししています。海外でPGT-Mを受けるなど、英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。報告書の読み方は遺伝子検査結果の見かたで解説しています。

8. 日本の制度:指定難病・小児慢性特定疾病・身体障害者手帳(2026年10月時点)

先天白内障そのものは、指定難病にも小児慢性特定疾病にも含まれていません(2026年10月時点、厚生労働省の指定難病一覧と小児慢性特定疾病情報センターで確認)。ただし、白内障を起こす全身の病気の中には、制度の対象になっているものがあります。

📋 白内障を起こす病気と制度(2026年10月時点)

病気(このパネルの遺伝子) 指定難病 小児慢性特定疾病
ウォルフラム症候群(WFS1) 233 「糖尿病」の疾患群の中で、原因の1つとして記載
マリネスコ・シェーグレン症候群(SIL1) 112 病名としては確認できず
無虹彩症(PAX6) 329 病名としては記載なし
鰓耳腎症候群(EYA1) 190 慢性腎疾患(腎奇形)
ガラクトキナーゼ欠損症(GALK1) 一覧になし 先天性代謝異常(糖質代謝異常症)
ロウ症候群(OCRL・このパネルには含まれない) 348 慢性腎疾患

※番号は告示番号。厚生労働省の指定難病一覧、難病情報センター、小児慢性特定疾病情報センターの掲載による(2026年10月時点で確認)。助成を受けるには、それぞれの認定基準を満たして申請する必要があります。

見えにくさが残った場合の身体障害者手帳(視覚障害)は、病名ではなく、矯正視力と視野で等級が決まります(厚生労働省の認定基準、2018年7月から適用)。手帳や福祉サービスの手続きは、お住まいの自治体の窓口や、かかりつけの眼科でご相談ください。原因の遺伝子が確定していることは、全身の病気として制度を申請するときの手がかりにもなります。

9. 検査の流れ・費用・結果までの日数・検体

検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。検体は血液・唾液・口の内側の粘膜などで、オンライン診療でも受けられます。この検査は、遺伝診療先進国・米国の3大遺伝子検査会社の一角で行います。※

※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。

ご予約
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遺伝カウンセリング臨床遺伝専門医
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検体の採取キットはお支払い後に発送
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結果のご説明2〜3週間後・マイページへ

💴 先天性白内障パネルの費用・日数・検体

項目 内容
対象遺伝子 55遺伝子(第5章の表)
検査費用 税込330,000円(遺伝子の配列の解析と欠失・重複の解析を含む)
結果までの期間 2〜3週間
オプション 至急(結果までの期間が約7日短くなります):55,000円/VUS除外(意義がまだわからない変化を報告に含めない):無料
検体 血液(EDTA採血管4mL×2本)・抽出DNA・頬の粘膜(スワブ)・唾液
読み取りの精度 対象の領域の99%以上を、20回以上くり返して読み取ります
遺伝カウンセリング料 30分22,000円(税込)※検査費用とは別

※当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。ご夫婦・カップルで同じ検査を同じ日に一緒に受ける場合は、遺伝カウンセリング料が1人分になります(検査費用の割引はありません)。

唾液・頬の粘膜・血液のいずれの検体でも、オンライン診療で受けられます。オンライン診療(ビデオ通話)で遺伝カウンセリングを行ったあと、検体を当院にお送りいただきます。血液の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。オンラインの場合は、遺伝カウンセリング料金を事前にお支払いください。

検体採取キットは、検査料金をお支払いいただいたあとにお送りします。検体の取り違えを防ぎ、検査に使える品質を保つため、ご自身の判断で先に検体を採らないでください。検査を受けるかどうかは、遺伝カウンセリングで説明を聞いて、納得してから決めていただきます。

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臨床遺伝専門医が常駐し、結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明してからマイページにアップします。オンライン診療でも受けられます。

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10. 院長コラム

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【白内障の手術のあとに、遺伝子を調べる意味】

先天性白内障は、まず眼科で手術と弱視の治療を受けることがいちばん大切です。そのうえで私が遺伝子を調べる意味があると考えるのは、白内障が「目だけの病気」なのか「全身の病気の入り口」なのかで、その子のこれからの見張り方がまったく変わるからです。心臓、血糖、聴力、腎臓、麻酔の注意。原因の遺伝子がわかれば、何に気をつければよいかが決まります。

私自身、希少な常染色体顕性(優性)遺伝性疾患の当事者です。子どもに病気を受け渡したくない、という遺伝の病気をもつ方の思いはよくわかります。また、お子さんが重い症状で発症したのをきっかけに、ご自身も同じ遺伝子の変化を持っていたとわかり、自分のせいだと責めてしまう親御さんを、何度も見てきました。私の当事者としての話は、遺伝性疾患の当事者として、臨床遺伝専門医になった理由に書いています。

遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。先天性白内障は、同じ遺伝子でも、白内障だけの家系もあれば全身の病気になる家系もあり、親御さんの症状の軽さだけでお子さんの見通しは決められません。遺伝子検査は、やってみないとわからないことを、何度も経験してきました。検査をしないと何も言えない、というのが私の確固たる考えです。こうした経験から、当院では、検査を受けずにリスクだけをご説明することはしておりません。検査をせずにリスクをお伝えするほうが、かえって危険だと考えているためです。

わからないまま悩み続けるより、わかったことから次を考えるほうが前に進める、と考えています。知ったうえで次のお子さんを考えたい方には、ご家族の検査から出生前診断まで、当院で続けて支えられる体制を整えています。どの選択をされても、その選択を尊重します。

よくある質問(FAQ)

Q1. 先天性白内障は手術をしないとどうなりますか?

濁りの強い先天性白内障をそのままにすると、見る力が育つ時期に光の刺激がさえぎられ、重い弱視になります。あとから濁りを取っても視力が十分に育たないことがあるため、国立成育医療研究センターは、両眼性では生後10〜12週、片眼性では生後6週までに手術を受ける必要があるとしています。手術が必要かどうかと時期は、小児の眼科で決めます。

Q2. 先天性白内障は何人に1人ですか?

国立成育医療研究センターは、先天白内障を約1万人に3人に起こるまれな病気としています。世界の研究をまとめた解析では、有病率は1万人あたり4.24人と推定されています(日本人のデータは含まれていません)。

Q3. 先天性白内障は子どもに遺伝しますか?遺伝する確率は?

遺伝子の変化による先天性白内障は、子どもに遺伝することがあります。確率は遺伝のしかたで違い、常染色体顕性遺伝なら2分の1、常染色体潜性遺伝なら両親がともに保因者のときに4分の1です。家族に白内障の人がいる場合、最も多いのは顕性遺伝です。白内障があることは結婚をためらう理由にはなりません。ご自身の原因の遺伝子がわかれば、お子さんへの確率が具体的にわかり、パートナーの検査や出生前診断など、知ったうえで選べることが増えます。

Q4. 大人になってから先天性白内障と言われることはありますか?

このパネルの遺伝子には、生まれたときではなく、子どもの頃から若いうちに白内障が出る型(若年性白内障)を起こすものも含まれています。若いうちに白内障と言われ、ご家族にも同じような人がいる場合は、この検査の対象になります。手術や見え方の相談は眼科で、遺伝の相談は遺伝カウンセリングでお受けしています。

Q5. 先天性白内障は発達障害と関係がありますか?

遺伝性の先天性白内障の多くは、白内障だけが起こるタイプです。一方で、白内障が全身の病気の一部として起こり、発達の遅れや知的障害を伴うことがあります。たとえばナンス・ホーラン症候群では、男性の約30%で知的障害が報告されています。原因の遺伝子がわかると、目だけの病気か、全身の見張りが必要かがわかります。

Q6. 先天性白内障は指定難病ですか?

先天白内障そのものは、指定難病にも小児慢性特定疾病にも含まれていません(2026年10月時点)。ただし、ウォルフラム症候群、マリネスコ・シェーグレン症候群、無虹彩症、鰓耳腎症候群、ロウ症候群など、白内障を起こす病気の一部は指定難病です。見えにくさが残った場合の身体障害者手帳は、病名ではなく、矯正視力と視野で決まります。

Q7. 遺伝子検査で原因が見つかる割合はどれくらいですか?

調べた人の条件で大きく変わります。両眼性の先天性白内障では50〜90%とする総説があり、英国の研究では75%でした。中国の研究では、家族歴のある方で87.5%、家族歴のない方で27.0%でした。原因が見つからなくても、遺伝による白内障ではないとは言い切れません。

Q8. 家族も検査を受けたほうがよいですか?

まず白内障のある方の検査で原因の遺伝子の変化を確かめると、ご家族はその変化だけをピンポイントで調べられます。顕性遺伝なら親やきょうだい、X連鎖ならお母さんや姉妹が、同じ変化をもっているかが大切な手がかりになります。症状のないご家族の検査は、遺伝カウンセリングで意味をよく考えたうえで、ご本人の同意のもとで行います。

🧬 一度の検査で、お子さんとご家族のこれからを考える

生まれ持った遺伝子は一生変わりません。先天性白内障の原因の遺伝子がわかれば、全身の病気の見張りや手術の前の注意だけでなく、ご家族の検査や、次のお子さんの計画を考える手がかりになります。当院では臨床遺伝専門医が常駐し、検査の前後の遺伝カウンセリングから、羊水検査・絨毛検査による出生前診断まで、院内で続けて受けていただけます。

お電話でのお問い合わせ:03-3478-3768

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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