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アルビノ(眼皮膚白皮症)の遺伝子検査|症状・原因・遺伝のしかたと15遺伝子パネル

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

アルビノ(眼皮膚白皮症)の遺伝子検査

アルビノ(白皮症・アルビニズム)は、生まれつきメラニン色素がうまく作れないために、皮膚・髪・目の色が薄くなり、目の見え方にも影響が出る遺伝性の病気です。目・皮膚・髪のすべてに症状が出る型を「眼皮膚白皮症」といい、医学的にはこれがアルビノの中心です。多くは両親から1つずつ原因を受け継いで発症するため、ご両親とも肌の色がふつうでも生まれることがあり、その場合、次のお子さんも4人に1人の確率で同じ病気になります。このページでは、アルビノの症状・原因・遺伝のしかたと、原因の15遺伝子を一度に調べる遺伝子検査でわかることを、臨床遺伝専門医が解説します。

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. アルビノは遺伝しますか?

眼皮膚白皮症は常染色体潜性(劣性)遺伝です。ご両親とも保因者(症状のない原因の持ち主)なら、お子さん1人ごとに4分の1の確率で発症します。ご両親の肌の色がふつうでも生まれるのはこのためです。

🧬 Q. 症状と寿命は?

皮膚・髪・目の色が薄く、視力の低下・眼振(目の揺れ)・まぶしさが出ます。目と皮膚の色だけの型では寿命は短くならないとされますが、出血しやすさや免疫の病気を伴う型(症候型)もあり、型の見分けが大切です。

🧬 Q. この検査で何がわかりますか?

TYR・OCA2・SLC45A2など15遺伝子を一度に調べ、どの型か(日本人に多いOCA4・OCA1か、ヘルマンスキー・パドラック症候群などの症候型か)を確かめます。

🧬 Q. 費用・日数・検体は?

検査費用は330,000円(税込)、結果まで2〜3週間です。唾液や頬の粘膜でも検査でき、オンライン診療に対応しています。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。

\ 一生変わらない遺伝子を知って、ご家族のこれからの計画に /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

15遺伝子を一度に調べ、唾液ならオンライン診療で全国から受けられます。結果は臨床遺伝専門医が直接ご説明します。

お問い合わせはこちら | 目だけの症状も含めて調べたい方へ(34遺伝子)

1. アルビノ(白皮症)とは

アルビノとは、メラニン色素を作るしくみに関わる遺伝子の変化によって、生まれつき皮膚・髪・目の色素が少ない、またはない状態のことです。色が薄いことに加えて、目の網膜や視神経の発達にも影響が出るため、視力の低下や眼振(目が細かく揺れる)を伴うのが特徴です[1]。病気ではなく体質のように思われがちですが、医学的には遺伝性の病気として扱われ、日本では指定難病にもなっています(第9章)。

アルビノ・白皮症・白子症・色素欠乏症は同じもの?

呼び方がいくつもあるので、最初に整理しておきます。「アルビノ」「白皮症(アルビニズム)」「先天性白皮症」「色素欠乏症」は、ほぼ同じものを指す言葉です。「白子症(しらこしょう)」は古い呼び方で、今は医学の場ではあまり使いません。このページでは「白皮症(アルビニズム)」を基本の呼び方にし、一般によく使われる「アルビノ」も同じ意味で使います。

🏷️ 白皮症(アルビノ)の呼び方と範囲

呼び方 指している範囲
アルビノ/白皮症(アルビニズム)/先天性白皮症/色素欠乏症 生まれつきメラニン色素が少ない病気の全体を指す言葉。「白子症」は古い呼び方
眼皮膚白皮症(OCA) 目・皮膚・髪のすべての色素が少ない型。白皮症の中心で、このページの検査の主な対象
眼白皮症(OA) 主に目に症状が出て、皮膚や髪の色の変化は目立たない型
症候型の白皮症 色素の少なさに加えて、出血しやすさ・肺の病気・免疫の病気などを伴う型(ヘルマンスキー・パドラック症候群など)

どれくらいの人がなる病気か

世界全体では、白皮症はおよそ1万7,000人に1人と推定されています[1]。日本の患者数は、厚生労働省の指定難病の資料で約5,000人(推計の幅は2,800〜1万1,200人)とされています(2026年10月時点で確認)。

日本人の白皮症の患者さん・ご家族190例を調べた研究では、最も多かったのは眼皮膚白皮症4型(OCA4)の25.3%で、次いで1型(OCA1)20.0%、ヘルマンスキー・パドラック症候群1型14.7%、2型(OCA2)8.4%でした[2]。それより前の2004年の研究でも、日本人の患者さん75人のうち18人(24%)がOCA4で、チロシナーゼの働きが保たれているタイプの白皮症では最も多い型でした[3]。世界ではOCA2が最も多いとされるのに対し[1]、日本ではOCA4が多く、症候型のヘルマンスキー・パドラック症候群も少なくないのが特徴です。

なお、白皮症の原因遺伝子の変化が人で初めて見つかったのは日本の研究です。1989年、日本の研究チームが眼皮膚白皮症1型の患者さんで、チロシナーゼ(TYR)遺伝子の病的な変化を初めて報告しました[4][5]。

2. アルビノの症状:目・皮膚・髪

アルビノの症状は、皮膚・髪・目の色が薄いことと、視力の低下・眼振・まぶしさなどの目の症状です。見た目の色の薄さより、目の見え方のほうが日常生活に大きく関わります。

目の症状と視力

白皮症の視力はおおむね20/60〜20/400(小数視力に換算するとおよそ0.3〜0.05)とされています[1]。メガネで矯正しても、視力がふつうの人と同じにはならないことが多い病気です。主な目の症状は次のとおりです[1]。

  • ●眼振:生まれつき目が細かく揺れる症状。程度はさまざまです
  • ●中心窩低形成:網膜の中で最も細かいものを見る部分(中心窩)が十分に発達しない状態
  • ●視神経の交叉の異常:目から脳へ向かう神経のつながり方が違うことで、斜視や立体視の低下につながります
  • ●羞明(まぶしさ):虹彩(茶目)の色素が少なく光を遮りにくいため、強いまぶしさを感じることがあります

「アルビノの人は目が赤い」と言われることがありますが、目の色は型や個人によって青から茶色までさまざまです。色素をまったく作れない1型A(OCA1A)では、虹彩が淡い青からほとんどピンク色に見え、光を通してしまいます。一方、2型ではこうしたピンク色の目は通常みられません[1]。

皮膚の症状と日焼け・皮膚がん

メラニンは紫外線から皮膚を守る役目をしているため、白皮症では日焼けしやすく、皮膚がんになる危険が高くなります[1]。日差しの強いアフリカのタンザニアで、白皮症の方86人の皮膚がんの組織を10年分調べた研究では、扁平上皮がんが基底細胞がんよりやや多く(およそ1.2対1)、できた場所は頭と首が56.0%で最も多く、悪性黒色腫は1例だけでした。皮膚がんが見つかった方の年齢の中央値は34歳でした[6]。

日本はタンザニアほど日差しが強くありませんが、この研究は「紫外線を浴び続けると、若いうちから皮膚がんが起こりうる」ことを示しています。帽子や長袖、日焼け止めなどの紫外線対策を子どものころから続け、皮膚科で定期的に診てもらうことが大切です。

髪と目の色、「軽度のアルビノ」

髪の色は、まっ白なものから黄色っぽい色、茶色まで、目の色も青から茶色まで幅があります[1]。「軽度のアルビノ」と呼ばれるのは、色素が少し残る型の方です。眼皮膚白皮症1型のうち、チロシナーゼの働きが少し残るタイプ(OCA1B)や、OCA2・OCA3・OCA4では、時間とともに色素が少しずつたまっていきます。OCA1Bでは、1〜3歳ごろから髪や皮膚に色が出てくることがあります。日本人に多いOCA4は、見た目だけではOCA2と区別できません[1]。

⚠️ 色が濃いから「軽い」とは限りません

髪や皮膚の色がそれほど薄くなくても、目の症状は出ます。また、出血しやすさや肺の病気を伴うヘルマンスキー・パドラック症候群も、見た目は非症候型の白皮症と区別がつきにくいことがあります。見た目の色の濃さだけで型や将来の見通しを判断せず、遺伝子で型を確かめることに意味があります。

3. アルビノの原因と型:非症候型と症候型

アルビノの原因は、メラニンを作る細胞(メラノサイト)の中で、メラニンを合成する、またはメラニンをためる袋(メラノソーム)を作る・運ぶしくみに関わる遺伝子の変化です。どの遺伝子に変化があるかで型が分かれ、大きく「非症候型」と「症候型」に分けられます。

非症候型:色素だけに症状が出る眼皮膚白皮症

色素の少なさと目の症状だけが出る型で、原因遺伝子ごとにOCA1〜OCA8に分類されています。原因遺伝子は、OCA1がTYR、OCA2がOCA2、OCA3がTYRP1、OCA4がSLC45A2です[1]。その後、SLC24A5[12]、LRMDA(以前の名前はC10orf11)[13]、DCT(OCA8)[14]も原因遺伝子として報告されました。OCA5は場所(遺伝子座)だけがわかっていて、原因遺伝子はまだ特定されていません[14]。各型の詳しい解説は、眼皮膚白皮症1型(OCA1)・2型(OCA2)・4型(OCA4)のページにまとめています。

症候型:全身の症状を伴う白皮症

症候型は、色素の少なさに加えて命に関わる症状を伴うことがあるため、早く見分けることがとても大切です。この検査で調べる症候型は次の3つです。

  • ●ヘルマンスキー・パドラック症候群(HPS):10の型があり、すべての型で白皮症と出血しやすさがみられます。型によっては肺線維症(肺が硬くなる病気)や免疫不全、腸の病気を伴います。有病率は100万人に1〜9人と推定されています[7]。前の章のとおり、日本人の白皮症では1型が14.7%を占めます[2]。
  • ●チェディアック・東症候群:LYST遺伝子(以前の名前はCHS1)の変化で起こり、白皮症に加えて細菌感染をくり返しやすく、神経の症状が少しずつ進みます。日本人5人の報告では、重い経過をたどって血球貪食性リンパ組織球症(HLH)を起こした方もいました[8]。
  • ●グリセリ症候群:皮膚や髪の色が薄くなる病気で、RAB27A遺伝子の変化では血球貪食症候群を起こし、骨髄移植をしなければ命に関わります。MYO5A遺伝子の変化では、免疫の異常はなく、早い時期から重い神経の症状が出ます[9]。

血球貪食性リンパ組織球症は、免疫の細胞が暴走して全身に強い炎症を起こす病気です。家族性の血球貪食性リンパ組織球症を詳しく調べる検査は、家族性血球貪食性リンパ組織球症(fHLH)遺伝子検査で解説しています。

眼白皮症とワーデンブルグ症候群

この検査では、白皮症と区別が必要な2つの病気の遺伝子も調べます。眼白皮症1型(OA1)はGPR143遺伝子の変化によるX連鎖性の病気で、主に男性に眼振・まぶしさ・視力低下・中心窩低形成が出ます。保因者の女性では、目の奥(眼底)に色素の濃い部分と薄い部分がすじ状に混じってみえることがあります[11]。

ワーデンブルグ症候群は、難聴と色素の変化(髪の一部が白い、目の色が左右で違うなど)が出る常染色体顕性(優性)遺伝の病気で、およそ4万人に1人とされています。MITF遺伝子は、その2型の一部の原因です[10]。

4. アルビノは遺伝する?次のお子さんへの確率

眼皮膚白皮症は常染色体潜性(劣性)遺伝です[1]。ご両親がともに保因者の場合、お子さん1人ごとに、発症する確率は4分の1、保因者になる確率は2分の1、どちらでもない確率は4分の1です。

ご両親の肌の色がふつうでも生まれる理由

常染色体潜性(劣性)遺伝では、対になった2つの遺伝子の両方に原因となる変化がそろったときに発症します。1つだけ持っている人は保因者と呼ばれ、色素は十分に作られるので、肌や髪の色はふつうで、自分が保因者だと気づくことはまずありません。そのため、白皮症のお子さんは、ご家族に誰も白皮症の人がいないご家庭に生まれることが多いのです。両親それぞれから別の変化を1つずつ受け継ぐ場合もあり、これを複合ヘテロ接合といいます。

👪 ご両親の組み合わせとお子さんの確率(常染色体潜性遺伝の型)

ご両親 お子さん1人ごとの確率
保因者 × 保因者 発症4分の1/保因者2分の1/どちらでもない4分の1
白皮症の方 × 保因者 発症2分の1/保因者2分の1
白皮症の方 × 保因者でない方 発症しない。お子さんは全員保因者

※同じ遺伝子に原因がある場合の確率です。ご両親の原因遺伝子が別々なら、お子さんは発症しません。上のお子さんの結果で、下のお子さんの確率は変わりません。

遺伝のしかたが違う型もある

ほとんどの型は常染色体潜性遺伝ですが、この検査の15遺伝子には遺伝のしかたが違うものが2つ含まれています。眼白皮症1型(GPR143)はX連鎖性で、保因者の母親から息子へ2分の1の確率で受け継がれます[11]。ワーデンブルグ症候群(MITF)は常染色体顕性遺伝で、親が持っていればお子さんへ2分の1の確率で受け継がれます[10]。どの遺伝子が原因かで次のお子さんへの確率がまったく変わるため、遺伝子を確かめることが家族計画の出発点になります。遺伝のしかたの全体像は遺伝形式とはで解説しています。

5. どんな人がこの検査を受けるとよいか

ご本人やお子さんが白皮症と言われた方、白皮症のご家族がいて次の妊娠を考えている方、白皮症の型を確かめて合併症に備えたい方に向く検査です。

ご本人・お子さんに白皮症の症状がある方

  • ●皮膚・髪・目の色が生まれつき薄い
  • ●眼振・強いまぶしさ・矯正しても上がらない視力低下があり、眼科で白皮症を疑われた
  • ●白皮症に加えて、あざができやすい・鼻血が止まりにくい(ヘルマンスキー・パドラック症候群の可能性)
  • ●白皮症に加えて、感染をくり返す(チェディアック・東症候群、グリセリ症候群の可能性)
  • ●色素の変化に加えて難聴がある(ワーデンブルグ症候群の可能性)

白皮症のご家族がいて、妊娠を考えている方

上のお子さんが白皮症だった、ご自身のきょうだいが白皮症である、という方にとって、ご家族の原因遺伝子がわかっていることは、次の妊娠の前に選べることを増やします。原因がわかっていれば、パートナーが同じ遺伝子の保因者かどうかを調べたり、妊娠中に赤ちゃんを調べる出生前診断を考えたりできます(第8章)。原因がわからないままでは、どちらもできません。

この検査より別の検査が向いている場合

🔍 目的に合わせた検査の選び方

こんなとき 向いている検査
目・皮膚・髪の色がすべて薄い(眼皮膚白皮症) このページの検査(15遺伝子)
皮膚や髪の色はあまり変わらず、目の症状が中心(眼白皮症・中心窩低形成など) アルビニズム(白皮症)NGSパネル遺伝子検査(34遺伝子。FRMD7・SLC38A8などを含む)
出血しやすさがあり、ヘルマンスキー・パドラック症候群をしっかり調べたい ヘルマンスキー・パドラック症候群NGS遺伝子パネル検査
難聴と色素の変化がある ワーデンブルグ症候群NGS遺伝子パネル検査
白皮症ではないが、妊娠前に夫婦で保因者かどうか広く知りたい 拡大版保因者スクリーニング(女性版787遺伝子)・男性版714遺伝子

※どの検査が合うかは、症状・ご家族の情報・目的で変わります。遺伝カウンセリングで一緒に決めましょう。

\ 次の妊娠の前に知れば、選べることが増えます /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

当院では、羊水検査・絨毛検査を院内で受けられます(2025年6月から産婦人科を併設)。

お問い合わせはこちら | どの検査がよいか迷う方へ

6. この検査で調べる15遺伝子

この検査では、非症候型の眼皮膚白皮症、症候型の白皮症、眼白皮症、ワーデンブルグ症候群に関わる15遺伝子を、遺伝子検査で一度に調べます。一つずつ順番に調べると、そのたびに時間と費用がかかりますが、まとめて調べることで、どの型かを一度の検査で確かめられます。

🧪 対象の15遺伝子と、妊娠前の保因者スクリーニングとの関係

遺伝子 関係する病気 遺伝のしかた 拡大版保因者スクリーニング
TYR 眼皮膚白皮症1型(OCA1) 常染色体潜性 女性版・男性版とも含む
OCA2 眼皮膚白皮症2型(OCA2) 常染色体潜性 女性版・男性版とも含む
TYRP1 眼皮膚白皮症3型(OCA3) 常染色体潜性 女性版・男性版とも含む
SLC45A2 眼皮膚白皮症4型(OCA4) 常染色体潜性 女性版・男性版とも含む
SLC24A5 非症候型の眼皮膚白皮症 常染色体潜性 含まない
LRMDA 非症候型の眼皮膚白皮症 常染色体潜性 含まない
DCT 非症候型の眼皮膚白皮症(OCA8) 常染色体潜性 含まない
HPS6 ヘルマンスキー・パドラック症候群 常染色体潜性 女性版・男性版とも含む
AP3D1 ヘルマンスキー・パドラック症候群 常染色体潜性 女性版・男性版とも含む
LYST チェディアック・東症候群 常染色体潜性 女性版・男性版とも含む
MYO5A グリセリ症候群(神経の症状が中心の型) 常染色体潜性 含まない
RAB27A グリセリ症候群(血球貪食症候群を起こす型) 常染色体潜性 含まない
GPR143 眼白皮症1型(OA1) X連鎖性 女性版のみ含む
MITF ワーデンブルグ症候群2型の一部 常染色体顕性 含まない
MC1R 髪や皮膚の色合いの調節に関わる受容体の遺伝子 ― 含まない

※病気と遺伝のしかたは文献[1][7][8][9][10][11][12][13][14]による。右の列は、当院の拡大版保因者スクリーニング(女性版787遺伝子・男性版714遺伝子)の遺伝子一覧で確かめたもの(2026年10月時点)。

右の列は、このページにしかない情報です。日本人に多いOCA4(SLC45A2)・OCA1(TYR)・OCA2(OCA2)と、ヘルマンスキー・パドラック症候群の一部の遺伝子は、当院の拡大版保因者スクリーニングでも調べられます。ご家族の原因がこれらの遺伝子だとわかれば、パートナーの方が同じ遺伝子の保因者かどうかを、妊娠の前に確かめる道があります。

検査の方法とオプション

次世代シーケンサー(NGS)で、15遺伝子のたんぱく質を作る部分(コード領域)と、その境目(スプライス部位)を読みます。塩基配列の変化に加えて、欠失・挿入も料金に含まれます。検査対象の領域の99%以上を20回以上読む精度(カバレッジ≥99% at 20x)で解析します。結果を急ぐ方は、至急オプション(55,000円)で結果までの期間が約7日短くなります。病的意義がまだわからない変化(VUS)を報告から除くオプションは無料です。

7. この検査でわかること・わからないこと

この検査でわかるのは、15遺伝子のどれに病気の原因となる変化があるか、つまり白皮症のどの型かです。一方で、遺伝子検査には必ず限界があります。

  • ●15遺伝子以外の原因:ヘルマンスキー・パドラック症候群には10の型があり[7]、日本人に多い1型のHPS1など、この検査に含まれない遺伝子があります。出血しやすさがある方は、ヘルマンスキー・パドラック症候群の検査も考えます。
  • ●検出できない変化:転座や逆位、繰り返し配列の伸長、プロモーター(遺伝子のスイッチ部分)やエクソンから離れたイントロンの変化は検出できません。日本人のOCA4では、SLC45A2のプロモーター領域の変化が報告されています[2]。
  • ●小さな欠失・重複:1つのエクソンだけの欠失や重複は、日常的には検出されません。
  • ●変化が1つだけ見つかったとき:潜性遺伝の型で変化が1つしか見つからない場合、もう1つが検出できない場所にある可能性と、たまたま保因者である可能性の両方を考えます。
  • ●意義がまだわからない変化(VUS):病気の原因かどうか、今は判断できない変化が見つかることがあります。
  • ●陰性でも否定はできません:原因が見つからなくても、白皮症ではないとは言えません。症状に合わせて、より広い34遺伝子のパネルや全エクソーム検査(WES)を考えます。

また、この検査は体の一部の細胞だけに変化がある状態(体細胞モザイク)の検出を目的としておらず、腫瘍の組織での検査には使えません。

8. 結果が出たあと

結果は、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。結果だけをお送りすることはありません。

原因がわかったとき:型に合わせた次の一手

型がわかると、何に気をつけて過ごせばよいかが決まります。非症候型なら、紫外線対策と皮膚科での定期的な確認、眼科での視力の支え(遮光眼鏡、拡大鏡などの道具、学校や職場での配慮)が中心になります。症候型とわかった場合は、色素の病気としてだけでなく、血液(出血しやすさ)・肺・免疫の専門の診療科につなぐ必要があります。グリセリ症候群のRAB27Aの型のように、骨髄移植をしなければ命に関わる型もあるからです[9]。

非症候型の白皮症では、寿命・発達・知能・妊娠する力(妊孕性)はふつうとされています[1]。「白皮症」とひとくくりにせず、型を確かめることで、必要以上に心配することも、必要な備えを見逃すことも防げます。

ご家族への影響と、パートナーの保因者検査

潜性遺伝の型と確定した場合、ご両親は保因者であることがほとんどで、白皮症の方のきょうだいも、2分の1の確率で保因者です。ご家族の原因がわかっていれば、きょうだいの方が将来の妊娠に向けて、自分とパートナーが同じ遺伝子の保因者かどうかを調べられます。

当院でNIPTを受ける方は、NIPTのオプションとして、ご夫婦それぞれの保因者を調べるファミリーセーフティ プラス(女性787遺伝子・男性714遺伝子)も選べます。保因者検査のしくみは劣性遺伝(潜性遺伝)とは?保因者の仕組みと子どもへ遺伝する確率で詳しく解説しています。

妊娠中にわかる?出生前診断の相談

妊婦健診の超音波(エコー)では、赤ちゃんの皮膚や髪の色を見て白皮症かどうかを判断することはできません。妊娠中に赤ちゃんを調べるには、ご家族の原因となる遺伝子の変化があらかじめわかっていることが前提になります。わかっていれば、その変化を羊水検査・絨毛検査で調べる出生前診断を相談できます。体外受精をする方では、着床前診断という選択肢が話題になることもあります(当院では体外受精は行っていません)。

当院では、羊水検査・絨毛検査を院内で行っています(2025年6月から産婦人科を併設)。妊娠してから原因を調べ始めると、時間が足りなくなることがあります。次の妊娠を考えている段階で、ご家族の原因を確かめておくことが出発点です。

意義がまだわからない変化(VUS)が見つかったとき

VUSは、それだけで診断に使ったり、ご家族の検査や出生前診断に使ったりはしません。研究が進んで、のちに意味がはっきりすることもあります。結果の伝え方については、当院の二次的所見の開示方針もあわせてご覧ください。

9. 日本の制度(2026年10月時点)

眼皮膚白皮症は指定難病164に指定されています。厚生労働省の資料では、メラニン合成に関わる遺伝子の変化による常染色体劣性(潜性)遺伝の病気で、確立された治療法はないとされ、非症候型・症候型とも対象になっています。

医療費の助成の対象になる重症度の基準には、「良い方の目の矯正視力が0.3未満」という視力の基準が含まれています(そのほかの条件もあります)。認定には診断の要件を満たし、申請する必要があります。基準や申請の方法は、難病情報センターやお住まいの自治体の窓口でご確認ください。

10. 検査の流れ・費用・結果までの日数・検体

検査費用は330,000円(税込)、結果までは2〜3週間です。唾液・頬の粘膜・血液で検査でき、オンライン診療にも対応しています。

ご予約
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遺伝カウンセリング臨床遺伝専門医
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検体の採取唾液・頬の粘膜・血液
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結果のご説明2〜3週間後・マイページへ

💴 費用・日数・検体

項目 内容
対象遺伝子 AP3D1, DCT, GPR143, HPS6, LRMDA, LYST, MC1R, MITF, MYO5A, OCA2, RAB27A, SLC24A5, SLC45A2, TYR, TYRP1(15遺伝子)
検査費用 330,000円(税込)※塩基配列・欠失・挿入の解析を含む
結果までの期間 2〜3週間(至急オプション55,000円で約7日短縮)
検体 血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液
遺伝カウンセリング料 30分22,000円(税込)※検査費用とは別
オンライン診療 対応しています。ほとんどの場合、唾液・頬の粘膜で検査できます。血液の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします
保険 自費診療(保険適用外)

※オンラインの場合は、遺伝カウンセリング料金を事前にお支払いください。検体採取キットは、検査料金をお支払いいただいた後にお送りします。ご自身で先に検体を採取しないでください。

遺伝カウンセリングでは、検査で何がわかり、何がわからないか、結果がご家族にとってどういう意味をもつかをご説明します。検査を受けるかどうかは、説明を聞いて納得してから決めていただきます。

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📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

臨床遺伝専門医が常駐し、結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明してからマイページにアップします。

お問い合わせはこちら | 妊娠前の保因者検査を考えている方へ

11. 院長コラム

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「誰にもいなかったのに」が当たり前の病気だからこそ】

白皮症のお子さんが生まれたご家族が、まず口にされるのは「家族に誰もいないのに、どうして」という疑問だと思います。潜性遺伝の病気では、それがむしろ当たり前です。保因者であることは見た目では何もわからず、ご自身が保因者だと知らないまま親になるのがふつうです。遺伝子の変化は誰のせいでもありません。私自身も希少な遺伝性疾患の当事者で、そのことは遺伝性疾患の当事者として、臨床遺伝専門医になった理由に書いています。

白皮症は見た目で診断がつくように思われがちですが、私は型を遺伝子で確かめることが大切だと考えています。日本人の白皮症では、出血しやすさや肺の病気を伴うヘルマンスキー・パドラック症候群が少なくないことがわかっているからです。色の濃さだけでは、どの型かも、次のお子さんへの確率も決められません。

遺伝子検査は、やってみないとわからないことを、何度も経験してきました。検査をしないと何も言えない、というのが私の確固たる考えです。そのため当院では、検査を受けずにリスクだけをご説明することはしておりません。検査をせずにリスクをお伝えするほうが、かえって危険だと考えているためです。

わからないまま悩み続けるより、わかったことから次を考えるほうが前に進める、と考えています。知ったうえで次の妊娠を考えたい方には、保因者検査から出生前診断まで、当院で続けて支えられる体制を整えています。どの選択をされても、その選択を尊重します。

よくある質問(FAQ)

Q1. アルビノの寿命はどのくらいですか?

目と皮膚の色素だけに症状が出る非症候型の白皮症では、寿命・発達・知能はふつうとされています。ただし紫外線による皮膚がんの危険が高いため、紫外線対策と皮膚科での定期的な確認が大切です。出血しやすさや肺の病気を伴うヘルマンスキー・パドラック症候群や、免疫の病気を伴う型では、見通しは合併症によって変わります。

Q2. アルビノは遺伝しますか?両親の肌の色がふつうでも生まれますか?

はい。眼皮膚白皮症は常染色体潜性(劣性)遺伝で、ご両親がともに保因者なら、お子さん1人ごとに4分の1の確率で発症します。保因者は肌や髪の色がふつうなので、ご両親の肌の色がふつうでも生まれます。白皮症の方と保因者の方のお子さんでは、発症する確率は2分の1です。

Q3. アルビノは難病(指定難病)ですか?

はい。眼皮膚白皮症は指定難病164です(2026年10月時点)。医療費の助成を受けるには、重症度の基準(良い方の目の矯正視力が0.3未満など)を満たし、申請する必要があります。

Q4. アルビノの人の視力はどのくらいですか?

おおむね20/60〜20/400(小数視力でおよそ0.3〜0.05)とされ、メガネで矯正してもふつうの視力にはならないことが多い病気です。眼振、中心窩低形成、まぶしさ、斜視や立体視の低下を伴います。

Q5. アルビノは日本人にどれくらいいますか?

厚生労働省の指定難病の資料では、日本の眼皮膚白皮症の患者数は約5,000人とされています。日本人の190例を調べた研究では、4型(OCA4)が25.3%で最も多く、1型(OCA1)20.0%、ヘルマンスキー・パドラック症候群1型14.7%、2型(OCA2)8.4%でした。

Q6. 軽度のアルビノはありますか?

色素が少し残る型があります。眼皮膚白皮症1型のうちチロシナーゼの働きが少し残るタイプや、2型・3型・4型では、時間とともに色素が少しずつたまっていきます。ただし色が濃くても目の症状は出るので、色の濃さだけで軽いとは判断できません。

Q7. 白皮症・白子症・色素欠乏症・アルビノは同じものですか?

ほぼ同じものを指す言葉です。「白子症」は古い呼び方です。このうち目・皮膚・髪のすべての色素が少ない型を眼皮膚白皮症、主に目に症状が出る型を眼白皮症といいます。

Q8. アルビノは妊娠中にわかりますか?

妊婦健診のエコーでは、白皮症かどうかは判断できません。妊娠中に赤ちゃんを調べるには、ご家族の原因となる遺伝子の変化があらかじめわかっていることが前提です。わかっていれば、羊水検査・絨毛検査による出生前診断を相談できます。当院では羊水検査・絨毛検査を院内で行っています。

Q9. アルビニズム(白皮症)34遺伝子パネルとの違いは?

このページの検査は、目・皮膚・髪の色素が少ない眼皮膚白皮症とその症候型を中心に15遺伝子を調べます。34遺伝子のパネルは、主に目に症状が出る型や中心窩低形成に関わる遺伝子なども含めて、白皮症全体を広く調べる検査です。皮膚や髪の色があまり変わらず目の症状が中心の方は、34遺伝子のパネルが向いています。

🧬 一度の検査で、ご自身とご家族のこれからを考える

生まれ持った遺伝子は一生変わりません。白皮症の型がわかれば、目や皮膚の備えに加えて、合併症の確認、ご家族の保因者検査、次の妊娠の計画を考える手がかりになります。当院では臨床遺伝専門医が常駐し、15遺伝子を一度に調べる検査から、羊水検査・絨毛検査による出生前診断の相談まで、院内で続けて受けていただけます。

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参考文献

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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