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GJB2遺伝子| GAP JUNCTION PROTEIN, BETA-2

GJB2遺伝子| GAP JUNCTION PROTEIN, BETA-2

GJB2遺伝子コードするGAP JUNCTION PROTEIN, BETA-2はギャップ結合を形成するコネキシンと呼ばれるタンパクの一種です。
ギャップ結合は、6個のコネキシンサブユニットからなる2本のヘミチャンネルが細胞と細胞のあいだの膜上に縦列に並んだ構造でできているチャネルで、隣接する2つの細胞の細胞質間に低分子が通過できる孔を形成しています。Cx26 (GJB2)は、発達中の大脳皮質に発現するギャップジャンクションサブユニットです。

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表現型疾患名) 遺伝形式 表現型MIM番号
バート・パンフリー症候群 常染色体優性(AD) 149200
常染色体優性難聴-3A(DFNA3A) 染色体優性(AD) 601544
難聴, 常染色体劣性1A 常染色体劣性AR)、2遺伝子遺伝優性(DD) 220290
HID 症候群(hystrix-like ichthyosis deafness)症候群 常染色体優性(AD) 148210
難聴を伴う掌蹠角化症 常染色体優性(AD) 148350
Vohwinkel症候群 常染色体優性(AD) 124500

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GJB2遺伝子の遺伝子座

13q12.11

GJB2遺伝子の病的変異による疾患

バート・パンフリー症候群

Bart-Pumphrey症候群(BAPS)は、感音性難聴、掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)、ナックルパッド(いわゆるタコ)、爪甲白斑を特徴とする常染色体優性遺伝の疾患であり、かなりの表現型(疾患の現れ方)の多様性を示します。
バート・パンフリー症候群BAPSの遺伝形式は常染色体優性遺伝です。

Bart-Pumphrey症候群の患者さんたちでは、ミスセンス変異のGJB2遺伝子変異(121011.0030)が関係していることが確認されています。Cx26の進化的に保存された細胞外の第1ループに影響を与える病原性GJB2突然変異群に含まれていて、コネキシンヘミチャネルの結合と電圧ゲーティングに重要な役割を果たしています。
病変のある掌蹠膿疱症の皮膚では、Cx26の免疫染色は弱~無、しかし同一患者の病変のない、つまり正常部位におけるCx26の発現は正常であり、Cx26や他の表皮コネキシンの膜染色には変化が見られなかった。それにもかかわらず、表皮の有棘細胞層全体にCx30(GJB6)の免疫染色が広く見られたことから、Cx26の発現低下を代償するためのCx30no過剰発現が示唆されています。

常染色体優性難聴3A(DFNA3A)

常染色体優性難聴-3A(DFNA3A)は、染色体13q12上のコネキシン-26遺伝子(GJB2;121011)のヘテロ接合性変異が原因で起こります。

難聴は10歳から20歳の間に診断がなされます。難聴の重症度には家族内でも大きなばらつきがあり、10歳までは高音域に限られているのですが、10歳から50歳の間に中音域へと進行します。

常染色体優性難聴-3A(DFNA3A)ではGJB2遺伝子の変異が見つかっています。また、常染色体劣性の非症候性感音性難聴(DFNB1A)においても、GJB2遺伝子の変異が確認されています。

聴覚器官の構造

上の図のカタツムリの殻に似ている部分が蝸牛、その左側のカタツムリの身体のように見える部分が内耳です。蝸牛の中の蝸牛管と呼ばれる空間は高いカリウムイオン濃度のリンパ液が入っています。音の振動を受けるとリンパ液中の高濃度のカリウムイオンがギャップジャンクションを通って隣接する細胞内に迅速に流入することで、音の振動が電気信号という形で伝えられ、神経細胞を通じて脳に伝わっていきます。

カリウムは隣の細胞から元の細胞に戻っていくことで、常に高いカリウムイオン濃度が蝸牛管では維持されています。

したがって、ギャップジャンクションのカリウム輸送に問題が生じると、音の振動を電気信号に変換することができなくなり、感音性難聴を生じるのです。
ギャップジャンクションについては以下のページもご覧ください。

常染色体劣性難聴1A(DFNB1A)

常染色体劣性難聴-1A(DFNB1A)は、ギャップジャンクションタンパクであるコネキシン26(CX26)をコードするGJB2遺伝子のホモ接合または複合ヘテロ接合の突然変異が原因でおこります。常染色体劣性の非症候性難聴患者の多く(1~4割)でGJB2遺伝子に変異があることがわかっています。
常染色体劣性遺伝形式で難聴を引き起こすGJB2遺伝子の病滝変異は白人等では約3%(30人に一人)が保因していると報告されていますが、日本人での報告は公式にはありません。

※ミネルバクリニックのNIPTメニューのコンプリートNIPTデノボプラスではこの遺伝子の検査が含まれており、検査結果からは白人集団と変わりないくらいの高い保有率となっています。

GJB2遺伝子のホモ接合の突然変異

聴覚障害、ダイジェニック、GJB2/GJB6

GJB2遺伝子の病的変異とGJB6遺伝子の病的変異の複合ヘテロ接合体(compound heterozygote)でも2遺伝子遺伝優性型の感音性軟調が起こることがわかっています。

聴覚障害、ダイジェニック、GJB2/GJB3

GJB2遺伝子の病的変異とGJB3遺伝子の病的変異の複合ヘテロ接合体(compound heterozygote)でも2遺伝子遺伝優性型の感音性軟調が起こることがわかっています。

HID 症候群(hystrix-like ichthyosis deafness)症候群 ヤマアラシ様魚鱗癬難聴症候群

生後まもなく紅斑を伴って症状が顕在化します。1歳ごろになると、とがった玉石のような角質増殖性の腫瘤が皮膚全体に広がりますが、手のひらや足の裏は症状が軽いという特徴があります。瘢痕化して脱毛症も生じます。

類縁疾患とされてきたKID症候群とHID症候群は分子レベルで同一で、単一の臨床的実体を表していると結論づけられていて、KID/HID症候群とも表記されます。

難聴を伴う掌蹠角化症

聴覚障害を伴う掌蹠角皮症は、染色体13q12上のコネキシン26をコードするGJB2遺伝子のヘテロ接合性変異が原因となります。局所性掌蹠角皮症と重度の進行性感音性難聴を呈します。

Vohwinkel症候群

Vohwinkel症候群(VOWNKL)は、染色体13q12上のコネキシン26をコードするGJB2遺伝子のヘテロ接合性変異によって引き起こされます。指端断節に至る指の収縮を伴う丘疹状および蜂巣状角皮症、特徴的なヒトデ状の肢端角皮症、絞扼輪、および中程度の感音性難聴が特徴です。

 

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

  • 仲田洋美総合内科専門医、臨床遺伝専門医
    がん薬物療法専門医
    医療法人社団ミネルバ ミネルバクリニック 院長

プロフィールはこちら


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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