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視神経萎縮・網膜症の遺伝子検査|278遺伝子でわかること、子どもへの遺伝、レーベル遺伝性視神経症の調べ方

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

視神経萎縮・網膜症の遺伝子検査

視神経萎縮や遺伝性の網膜の病気(網膜症)は、原因になる遺伝子がとても多く、症状や眼底の所見だけでは原因をしぼりきれないことがよくあります。網膜症・視神経萎縮の遺伝子パネル検査は、網膜と視神経の病気に関わる278の遺伝子を一度に調べる検査です。原因がわかれば、病名、これからの見通し、全身で気をつけること、お子さんやご家族に伝わる確率が具体的になります。ただし、レーベル遺伝性視神経症の主な原因であるミトコンドリアDNAの変異は、この検査では調べられません。このページでは、検査でわかること・わからないこと、選び方、結果が出たあとにできることを、臨床遺伝専門医が解説します。

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. この検査で何がわかりますか?

網膜色素変性症・錐体杆体ジストロフィー・優性視神経萎縮など、網膜と視神経の病気の原因278遺伝子に、病気の原因となる変化があるかを一度に調べます。レーベル遺伝性視神経症の主な変異(ミトコンドリアDNA)は対象外で、別の検査で調べます。

🧬 Q. どんな人が受けるとよいですか?

眼科で視神経萎縮や網膜の病気と言われ、原因がわからない方、若いころから見えにくい方、夜に見えにくい・視野が狭いなどの症状がある方、ご家族に同じ目の病気の方がいて、お子さんへの影響を知りたい方です。

🧬 Q. 費用・日数・検体は?

検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。検体は血液・唾液・口の内側の粘膜などで、オンライン診療でも受けられます。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。

🧬 Q. 結果のあとはどうなりますか?

結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。原因がわかれば、遺伝のしかたに合わせてお子さんへの確率や、ご家族の検査、妊娠したときの出生前診断まで考えられます。意義がまだわからない変化(VUS)が見つかることもあります。

\ 一生変わらない遺伝子を知って、これからの計画に /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

検査の前に臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明します。

お問い合わせはこちら | 目の病気をまとめて調べる包括的眼疾患パネル

1. 視神経萎縮・網膜症の遺伝子検査でわかること

網膜症・視神経萎縮の遺伝子パネル検査は、網膜と視神経の病気の原因として知られる278の遺伝子を一度に調べ、病気の原因となる変化があるかを確かめる検査です。原因が見つかれば、ばらばらに見えていた症状に病名がつき、これから気をつけることや、ご家族にとっての意味が具体的になります。

網膜は目の奥で光を感じる膜、視神経は網膜で受けた情報を脳に伝える神経の束です。どちらの病気も、原因となる遺伝子はとても多く、同じような症状でも原因の遺伝子が違えば、遺伝のしかたも見通しも変わります。韓国で両目の視神経萎縮がある57人を調べた研究では、遺伝子パネルなどの検査で原因が見つかったのは31.6%で、最も多い原因はOPA1、次いでNR2F1でした。乳幼児期に発症した方で原因が見つかりやすく、遅い年齢で発症した原因不明の視神経萎縮では見つかりにくかったと報告されています[4]。日本で網膜色素変性症の2,155人を含む2,325人を調べた研究では、網膜色素変性症で遺伝子の原因がわかったのは38.6%でした[5]。全員に原因が見つかる検査ではありませんが、見つかれば次の一手がはっきりします。

視神経萎縮とは?見え方と「生まれつき」かどうか

視神経萎縮とは、視神経の線維が傷んで減り、眼底検査で視神経の入り口(視神経乳頭)が白っぽく見える状態です。病名というより「結果として起きている状態」を表す言葉で、原因はさまざまです。くわしくは視神経萎縮(Optic Atrophy)で解説しています。

見え方は原因によって違いますが、視力が下がる、視野の中心が見えにくい(中心暗点)、色の区別がつきにくい、といった形で気づかれることが多い病気です。「生まれつきですか」とよく聞かれますが、遺伝子が原因の視神経萎縮でも、生まれたときから症状があるとは限りません。乳幼児期から見えにくい方もいれば、10代・20代になって急に見えにくくなる方もいます(第3章のレーベル遺伝性視神経症など)。

視神経萎縮は遺伝する?遺伝子が原因のものと、そうでないもの

視神経萎縮には、遺伝子が原因のものと、そうでないものがあります。緑内障、視神経の圧迫(腫瘍など)、炎症、外傷、薬の影響などで起こる視神経萎縮は、この遺伝子検査の対象ではありません。そうした原因は、眼科での診察・画像検査で先に確かめられていることが前提です。

遺伝子検査が役に立つのは、両目に起きている、若いころから始まっている、ご家族に同じ目の病気の方がいる、ほかの原因が見つからない、といった場合です。先の韓国の研究でも、乳幼児期に発症した方で原因が見つかりやすい傾向でした[4]。

2. このパネルで調べる病気:網膜と視神経の両方

このパネルは、網膜の病気と視神経の病気の両方の原因遺伝子をまとめて調べます。目だけの病気のほか、全身の病気の一部として目に症状が出る病気の遺伝子も含まれています。網膜の病気の全体像は遺伝性網膜ジストロフィでも解説しています。

網膜の病気

代表的なのは網膜色素変性症で、夜に見えにくい、視野が狭くなるといった症状が少しずつ進みます。日本人の網膜色素変性症では、原因がわかった方の46.7%がEYS遺伝子によるものでした[5]。ほかに、錐体杆体ジストロフィー、スターガルト病などの黄斑の病気、乳幼児期から見えにくい重症早期発症型網膜ジストロフィやレーバー先天黒内障、コロイデレミア、先天停止性夜盲、若年網膜分離症などの原因遺伝子を調べます。

視神経の病気

視神経の病気では、優性遺伝性視神経萎縮の原因であるOPA1遺伝子やOPA3遺伝子、視神経萎縮と発達の遅れなどをともなうBosch-Boonstra-Schaaf視神経萎縮症候群の原因であるNR2F1遺伝子などを調べます。先の韓国の研究で、原因として最も多かったのがOPA1、次がNR2F1でした[4]。常染色体潜性(劣性)遺伝のレーベル遺伝性視神経症の原因であるDNAJC30遺伝子も含まれます(第3章)。

ウォルフラム症候群については、2型の原因遺伝子CISD2はこのパネルに含まれますが、1型の原因遺伝子WFS1は含まれていません。ウォルフラム症候群を疑う場合は、WFS1とCISD2を調べるウォルフラム症候群遺伝子検査が向いています。

全身の病気の一部として目に出るもの

目の症状が、全身の病気の最初のサインになっていることがあります。このパネルには、網膜の病気に腎臓・肥満・指の形の違いなどをともなうバルデー・ビードル症候群、難聴をともなうアッシャー症候群、アルストローム症候群、神経の症状をともなう神経セロイドリポフスチン症、腎臓の病気をともなうジュベール症候群やネフロン癆、関節や骨の特徴をともなうスティックラー症候群などの原因遺伝子が含まれています。目の検査をきっかけに全身の病気の原因がわかれば、腎臓・耳・心臓などを早めに見張ることにつながります。

それぞれの病気を専門に調べる検査もあります。バルデー・ビードル症候群NGSパネル遺伝子検査、神経セロイドリポフスチン症NGS遺伝子パネル検査、ジュベール・メッケル症候群の遺伝子パネル検査、ネフロン癆NGS遺伝子パネル検査、スティックラー症候群NGS遺伝子パネル検査です。目以外の症状が中心のときは、こちらのほうが合うことがあります。

3. レーベル遺伝性視神経症(LHON)は、このパネルでは主な変異を調べられません

レーベル遺伝性視神経症の約90%は、ミトコンドリアDNAにある3つの主な変異(m.11778G>A、m.3460G>A、m.14484T>C)が原因です[1]。このパネルはミトコンドリアDNAを調べないため、これらの変異は見つけられません。レーベル遺伝性視神経症を疑う場合は、ミトコンドリアDNAを調べる検査を選びます。

当院のミトコンドリア病遺伝子検査パネルには、ミトコンドリアDNAの37遺伝子を調べる検査があります。網膜の病気も一緒に疑われるなど、どちらを先に受けるか迷う場合は、遺伝カウンセリングで症状をうかがって決めます。

レーベル遺伝性視神経症の遺伝のしかた

ミトコンドリアDNAの変異によるレーベル遺伝性視神経症は、お母さんからお子さんに伝わります。男性は、この変異をお子さんに伝えません[1]。精子のミトコンドリアは受精卵に受け継がれないためです。

変異をもっていても、全員が見えにくくなるわけではありません。GeneReviewsによると、主な変異をもつ男性の約50%、女性の約90%は失明に至りません。言いかえると、見えにくくなる危険は男性でずっと高く、発症の多くは10代〜30代です[1]。病気の原因となる変化をもつ人のうち、症状が現れる人の割合を浸透率といい、変化をもっていても発症しない人がいることを不完全浸透といいます。また、ミトコンドリアDNAの正常なものと変異したものが細胞の中で混ざっている状態をヘテロプラスミーといいます。イングランド北東部の調査では、8,500人に1人が原因となる変異をもっていました[1]。

治療では、イデベノンが欧州医薬品庁によって例外的な条件のもとで承認されており、とくに見えにくくなってから1年以内に始めた方の一部で効果がみられたと報告されています[1]。治療を受けられるかは、神経眼科を専門とする医療機関でご相談ください。

常染色体潜性(劣性)のレーベル遺伝性視神経症(DNAJC30)は、このパネルで調べられます

2021年に、核の遺伝子であるDNAJC30の両方のコピーに変化があると、ミトコンドリアDNAに変異がなくてもレーベル遺伝性視神経症が起こることが報告されました[2]。報告された33人(29家族)では、ミトコンドリアDNAに病気の原因となる変異はなく、男性に多い傾向もミトコンドリアDNA型と同じでした[3]。この型は常染色体潜性(劣性)遺伝なので、お子さんへの伝わり方がミトコンドリアDNA型とはまったく違います(第5章)。DNAJC30はこのパネルの対象遺伝子です。ミトコンドリアDNAの検査で原因が見つからなかった方にも、この検査が役に立つことがあります。

4. どんな人がこの検査を受けるとよいか

眼科で網膜や視神経の病気と言われたものの、原因がわからない方に向く検査です。原因がわからないまま眼科を回る時間を、1回の検査で短くできる可能性があります。

  • ●両目の視神経萎縮があり、緑内障や圧迫などほかの原因が見つからない方
  • ●子どものころから見えにくい、夜に見えにくい、視野が狭い、まぶしいなどの症状がある方
  • ●網膜電図(ERG)や眼底検査で、遺伝性の網膜の病気を疑われた方
  • ●目の症状に加えて、難聴・腎臓の病気・肥満・指の形の違い・発達の遅れなどがある方
  • ●ご家族に同じ目の病気の方がいて、ご自身やお子さんへの影響を知りたい方
  • ●結婚・妊娠を考えていて、目の病気の家族歴が気になる方

見た目や家族歴だけでは判断できないことも多く、家族歴がない方でも原因が見つかることがあります。迷ったら、まず遺伝カウンセリングでお話をお聞かせください。

この検査が向かない場合・別の検査が向く場合

病名がはっきりしている場合や、別の種類の原因が疑われる場合は、次の検査のほうが合うことがあります。比べているのは検査の種類と調べる範囲です。

🔍 病名・症状に合わせた検査の選び方

こんなとき 向いている検査
網膜と視神経の両方、または視神経萎縮の原因を調べたい このページの検査(網膜症・視神経萎縮パネル)
病気がしぼれない・目のいろいろな部分に症状がある 包括的眼疾患遺伝子検査
網膜色素変性症と言われている 網膜色素変性症遺伝子検査
若いころからの黄斑の病気(スターガルト病など) 黄斑変性症NGS遺伝子検査パネル
眼底に白い点・斑点が多数ある 斑状網膜(白点状眼底)NGS遺伝子検査
錐体杆体ジストロフィーと言われている 円錐杆体ジストロフィー遺伝子検査
生まれつき色がわからない・まぶしい(1色覚) 1色覚(全色盲)NGS遺伝子検査パネル
網膜の病気と難聴がある アッシャー症候群 遺伝子検査
視神経萎縮と糖尿病・難聴など(ウォルフラム症候群) ウォルフラム症候群遺伝子検査
視神経が生まれつき小さい・ホルモンの異常をともなう 中隔視神経形成異常症NGS遺伝子検査
硝子体の異常・網膜剥離をくり返す 硝子体網膜症・ワーグナー症候群遺伝子検査
10〜30代で片目ずつ急に見えにくくなった(レーベル遺伝性視神経症を疑う) ミトコンドリア病遺伝子検査パネル(ミトコンドリアDNA)
目以外の症状も多く、パネルで原因が見つからなかった 全エクソーム検査(WES)

※どの検査が合うかは、症状・眼科の検査結果・ご家族の情報で変わります。遺伝カウンセリングで一緒に決めましょう。

なお、この検査は一般的な近視・乱視の度合いや、加齢による目の病気を調べる検査ではありません。

\ あなたの1回の検査が、ご家族の手がかりにもなります /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

原因がわかれば、ご両親・きょうだい・お子さんは同じ変化だけを調べて、ご自身の状態を確かめられます。海外でPGT-Mを考えている方には、英語の検査結果をお渡しできます(検査の時にお申し出ください)。

お問い合わせはこちら | どの検査がよいか迷う方へ

5. 遺伝のしかたと、お子さんに伝わる確率

網膜や視神経の病気が子どもに遺伝する確率は、原因の遺伝子と遺伝のしかたによってまったく違います。同じ「網膜色素変性症」でも、遺伝子によって常染色体顕性(優性)・常染色体潜性(劣性)・X連鎖と遺伝のしかたが分かれます。だから、まず原因を知ることが、確率を知る出発点になります。遺伝のしかたの基本は遺伝形式とはで解説しています。

👪 遺伝のしかた別:お子さんに伝わる確率

遺伝のしかた お子さんへの伝わり方(お子さん1人あたり)
常染色体顕性(優性) 親の一方が変化をもっていれば、2分の1の確率で受け継ぐ。受け継いでも症状の重さには幅がある
常染色体潜性(劣性) ご両親がともに保因者なら、4分の1の確率で発症、2分の1の確率で保因者。患者さん本人のお子さんは、パートナーが保因者でなければ発症せず全員が保因者
X連鎖 お母さんが保因者なら、息子さんは2分の1の確率で発症、娘さんは2分の1の確率で保因者。患者さんが男性なら、娘さんは全員保因者、息子さんには伝わらない
ミトコンドリアDNA(レーベル遺伝性視神経症の多く) お母さんから伝わり、お父さんからは伝わらない。変異を受け継いでも発症するとは限らない

※ミトコンドリアDNAの項目はGeneReviews[1]による。X連鎖の病気でも、女性の保因者に軽い症状が出ることがあります。

家族の中で発症しているのが1人だけ、ということもよくあります。潜性遺伝の病気では、ご両親が症状のない保因者のことが多く、ご本人の代で新しく起きた変化(de novo変異)による顕性遺伝の病気もあります。新しく起きた変化と考えられる場合でも、親御さんの卵子や精子のもとになる細胞にだけ変化がある「性腺モザイク」の可能性は残ります。変化をもつ生殖細胞からできる卵子・精子は2分の1の確率で変化を受け継ぎます。生殖細胞のうちどれくらいが変化をもつかは実際の診療では調べられないため、お子さん1人あたりの確率は『最大で2分の1』とお伝えしています。

家族に同じ病気の人がいて「自分も見えなくなるのでは」と不安な方へ

親やきょうだいが見えにくくなっていくのを見てきた方の中には、少し目が疲れただけでも「始まったのでは」と不安を抱えながら暮らしている方もいます。ご家族の原因がわかっていれば、ご自身がその変化を受け継いでいるかを、同じ場所だけを調べて確かめられます。受け継いでいないとわかれば、その病気について、ご家族と同じ確率を心配する必要はなくなります。受け継いでいるとわかった場合は、早めの眼科での見張り、治療や治験の情報、仕事や住まいの計画など、第8章の「次にできること」につながります。

知らないでいることも、ひとつの選択です。当院は、ライフステージごとに患者さんの人生をサポートするという考え方で診療しており、知りたいと願う方を拒むことはしません。遺伝カウンセリングで十分に考えたうえで、ご本人が知りたいと決めた場合は、その意思を尊重して検査まで行います。知らないでいる選択も、同じように尊重します。結果を知ったあとの気持ちの変化にも、遺伝カウンセリングで続けて向き合えます。症状が出ていない未成年のお子さんについては、ご本人が自分で判断できる年齢になるまで待つことも含めてご相談ください。

結婚・妊娠を考えている方へ

ご本人やご家族に目の病気があることは、結婚できない理由にはなりません。ただ、ご家族から反対されたり、お子さんへの影響を心配したりする方がいるのも事実です。そうしたときに力になるのは、漠然とした不安ではなく、事実です。原因の遺伝子と遺伝のしかたがわかれば、お子さんに伝わる確率は上の表のように具体的になり、潜性遺伝の病気ならパートナーが同じ遺伝子の保因者かどうかを調べることもできます。

結婚するか、子どもを持つかは、その人の生き方そのものに関わる大きな選択です。知ってから選べるように、検査・遺伝カウンセリング・出生前診断まで、当院で続けて支えます。どの選択も尊重します。

6. 調べる278遺伝子と、関係する病気

この検査で調べるのは、下の278遺伝子です。主な病気のグループと、それぞれに含まれる代表的な遺伝子を表にまとめました。遺伝子ごとの解説ページがあるものは、遺伝子名からご覧いただけます。

🧬 主な病気のグループと、このパネルに含まれる代表的な遺伝子

病気のグループ このパネルに含まれる代表的な遺伝子
網膜色素変性症 EYS、RHO、RPGR、RP2、PDE6A、PDE6B、CNGA1、CNGB1、CRB1、CERKL、DHDDS、PRPH2、USH2Aほか
疾患ページ:12型・19型・26型・45型・49型・59型・61型・74型・79型、色素性傍静脈脈絡膜網膜萎縮症
乳幼児期から見えにくい網膜の病気(レーバー先天黒内障・重症早期発症型網膜ジストロフィ) RPE65、CEP290、GUCY2D、AIPL1、LCA5、RDH12、CRX、RPGRIP1ほか
疾患ページ:レーバー先天性黒内障1・8・10、重症早期発症型網膜ジストロフィ
錐体杆体ジストロフィー・1色覚・黄斑の病気 ABCA4、BEST1、TIMP3、CNGB3、CNGA3、PROM1ほか
疾患ページ:錐体杆体ジストロフィー3型・6型、スターガルト病1型、黄色斑眼底、1色覚症2・3
X連鎖の網膜の病気・夜盲 CHM、RS1、NDP、CACNA1F、NYXほか
疾患ページ:コロイデレミア、滲出性硝子体網膜症1・7、網膜芽細胞腫(RB1)
視神経萎縮 OPA1、OPA3、NR2F1、DNAJC30、CISD2、ACO2、MFN2、TMEM126A、SSBP1ほか
疾患ページ:Bosch-Boonstra-Schaaf視神経萎縮症候群
全身の病気の一部として目に出るもの BBS1ほかBBS遺伝子、ALMS1、MYO7A、CDH23、CLRN1、CLN3ほかCLN遺伝子、NPHP1、NPHP4、COL2A1、COL11A1ほか
疾患ページ:バルデー・ビードル症候群総論・BBS1型・2型・4型・7型・10型・12型・14型・18型・アッシャー症候群・1B型・1D型・3A・1D/F二遺伝子遺伝型・アルストローム症候群・神経セロイドリポフスチン症1・3・5・6A・8・8北欧てんかんバリアント・10・11型・ジュベール症候群1・5・メッケル症候群1・4・ネフロン癆4・スティックラー症候群1型・2型・4型・眼球限局型1型

※どの遺伝子がどの病気・遺伝のしかたに当たるかは、結果の報告書と遺伝カウンセリングで、見つかった遺伝子ごとにご説明します。

▶ 対象遺伝子278個の一覧を開く

ABCA4, ABCC6, ABHD12, ACBD5, ACO2, ADAM9, ADAMTS18, ADGRV1, AFG3L2, AGBL5, AHR, AIPL1, ALMS1, ALPK1, AMACR, ARHGEF18, ARL2BP, ARL3, ARL6, ATF6, ATOH7, BBIP1, BBS1, BBS10, BBS12, BBS2, BBS4, BBS5, BBS7, BBS9, BCOR, BEST1, BTK, C12orf65, C1QTNF5, C21orf2, C2orf71, C8orf37, CA2, CA4, CABP4, CACNA1F, CACNA2D4, CAPN5, CDH23, CDH3, CDHR1, CEP250, CEP290, CERKL, CFH, CHM, CIB2, CISD2, CLCC1, CLN3, CLN5, CLN6, CLN8, CLRN1, CNGA1, CNGA3, CNGB1, CNGB3, CNNM4, COL11A1, COL18A1, COL2A1, COL9A1, COL9A2, CRB1, CRX, CTC1, CTNNA1, CTNNB1, CTSD, CTSF, CWC27, CYP1B1, CYP4V2, DGKQ, DHDDS, DHX38, DNAJC30, DNAJC5, DNM1L, DRAM2, DTHD1, EFEMP1, ELOVL4, EMC1, EXOSC2, EYS, FAM161A, FDX2, FDXR, FLVCR1, FOXC1, FSCN2, FZD4, GDF6, GNAT1, GNAT2, GNB3, GPR179, GRK1, GRM6, GRN, GUCA1A, GUCA1B, GUCY2D, HARS, HCN1, HGSNAT, HK1, HMCN1, HMX1, IDH3A, IDH3B, IFT140, IFT172, IFT27, IFT43, IFT81, IMPDH1, IMPG1, IMPG2, INPP5E, IQCB1, ISPD, ITM2B, KCNJ13, KCNV2, KCTD7, KIAA1549, KIF11, KIZ, KLC2, KLHL7, LAMA1, LCA5, LRAT, LRIT3, LRP5, LZTFL1, MAK, MECR, MERTK, MFN2, MFRP, MFSD8, MKKS, MKS1, MMACHC, MYO7A, MYOC, NDP, NEK2, NEUROD1, NMNAT1, NPHP1, NPHP4, NR2E3, NR2F1, NRL, NYX, OAT, OFD1, OPA1, OPA3, OPTN, OR2W3, OTX2, P3H2, PANK2, PAX2, PAX6, PCDH15, PDE6A, PDE6B, PDE6C, PDE6G, PDE6H, PDSS1, PDZD7, PEX7, PGK1, PHYH, PITPNM3, PITX2, PLA2G5, PLK4, PNPLA6, POC1B, POMGNT1, PPT1, PRCD, PROM1, PRPF3, PRPF31, PRPF4, PRPF6, PRPF8, PRPH2, PRPS1, RAB28, RAX2, RB1, RBP3, RBP4, RCBTB1, RD3, RDH11, RDH12, RDH5, REEP6, RGR, RGS9, RGS9BP, RHO, RIMS1, RLBP1, ROM1, RP1, RP1L1, RP2, RP9, RPE65, RPGR, RPGRIP1, RS1, RTN4IP1, SAG, SCAPER, SDCCAG8, SEMA4A, SIX6, SLC24A1, SLC25A46, SLC4A7, SLC7A14, SNF8, SNRNP200, SOX2, SPATA7, SPP2, SSBP1, TCTN3, TEAD1, TIMM8A, TIMP3, TMEM126A, TMEM216, TOPORS, TPP1, TRIM32, TRNT1, TRPM1, TSPAN12, TTC21B, TTC8, TTLL5, TTPA, TUB, TUBGCP4, TUBGCP6, TULP1, UNC119, USH1C, USH1G, USH2A, VCAN, VSX2, WDPCP, WDR19, WHRN, ZNF408, ZNF513(278遺伝子)

※遺伝子名にリンクがあるものは、当院の遺伝子解説ページです。

NIPTとの関係について:このパネルの遺伝子のうち、COL2A1とCOL11A1は当院のNIPTのダイヤモンドプランとインペリアルプランの両方で、COL9A2・CTNNB1・NR2F1はインペリアルプランで、赤ちゃんに新しく起きた変化を調べる対象になっています。当院のNIPTは妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。それ以外の遺伝子は、NIPTでは調べられません。

7. この検査でわかること・わからないこと

この検査でわかるのは、278遺伝子のたんぱく質の設計図にあたる部分(エクソン)とその境目にある、小さな変化(1文字の変化や、小さな挿入・欠失)と、遺伝子やエクソン単位の大きな欠失・重複です。一方で、遺伝子検査には必ず限界があります。

  • ●ミトコンドリアDNA:調べません。レーベル遺伝性視神経症の主な変異は、別の検査が必要です(第3章)。
  • ●見つけにくい変化:染色体の一部が入れ替わる変化(転座・逆位)、同じ配列がくり返して伸びる変化(リピート伸長)、遺伝子の働きを調節する部分や、エクソンから20塩基以上離れたイントロンの深い部分の変化は検出できません。
  • ●小さな欠失・重複:1つのエクソンだけの欠失・重複は、見つかることもありますが、いつも検出できるわけではありません。2つ以上続くエクソンの欠失・重複を調べられるのは血液の検体のときです。
  • ●RPGR遺伝子の一部:X連鎖の網膜色素変性症に関わるRPGR遺伝子の「ORF15」という領域は、配列が複雑なため、一部(chrX(GRCh37):38144792-38146498)の変化を完全には否定できません。
  • ●よく似た配列:よく似た配列(偽遺伝子など)が別の場所にある遺伝子では、判定が難しいことがあります。
  • ●モザイク:体の一部の細胞にだけある変化(体細胞モザイク)を見つけることを目的とした検査ではありません。
  • ●意義がまだわからない変化(VUS):病気の原因かどうか、今の知識ではまだ判断できない変化が見つかることがあります。
  • ●陰性でも否定はできません:原因が見つからなくても、この278遺伝子以外の原因や、この方法で見つけにくい変化が残っている可能性があります。
▶ 検査の技術的な情報を開く

次世代シーケンサー(NGS)で、対象遺伝子の99%以上の領域を20回以上読み取ります(≥99% at 20x)。同じ場所を何度も読むほど、読み間違いを見分けやすくなります。

読み取りの質が十分でない場所は、別の方法(サンガー法)で読み直して確かめます。

見つかった欠失・重複は、別の原理の方法(qPCR法やMLPA法)でもう一度確かめてから報告します。

8. 病的変異が見つかったら、次にできること

結果は、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。原因の変化(病的変異)が見つかったときにできることを、立場ごとにまとめます。

① ご本人(症状がある方):病名と、これからの備え

原因の遺伝子がわかると、病名がはっきりし、進み方の見通しや、全身で見張るべきことが決まります。目の検査をきっかけにバルデー・ビードル症候群やアッシャー症候群などとわかれば、腎臓や耳などの検査を早めに受けられます。

遺伝子の種類によっては、治療の対象になるかどうかが決まります。日本では2023年6月26日に、両方のRPE65遺伝子に変異がある遺伝性網膜ジストロフィーの遺伝子治療薬(ボレチゲン ネパルボベク、販売名ルクスターナ)が承認されています(医薬品医療機器総合機構の承認品目一覧で2026年10月に確認)。この治療を受けられるかどうかは、RPE65の変異が両方のコピーにあることを遺伝子検査で確かめることが出発点です。実際に治療を受けられるかは、専門の医療機関で判断されます。そのほかの遺伝子でも治験が行われていることがあり、原因の遺伝子がわかっていることが参加の条件になるのが一般的です。

見えにくさが進んだときは、拡大鏡や遮光眼鏡などを使うロービジョンケアを眼科で受けられます。視力・視野の障害の程度によっては、身体障害者手帳(視覚障害)の対象になることがあり、お住まいの自治体の窓口で確認できます。

遺伝子検査で原因がわかると、ご家族全体の診療方針が変わることもあります。米国臨床遺伝・ゲノム学会(ACMG)の系統的レビューでは、先天異常・発達遅滞・知的障害のある小児を対象としたエクソーム・ゲノム検査の研究167件のうち95%で、患者さんかご家族の診療方針に何らかの変化があったと報告されています[6]。これは、この眼疾患パネルを受けた方の95%で診療方針が変わるという意味ではありません。変化の中身や大きさは研究ごとに違います。

② 症状のないご本人(保因者だった方・家族歴で受けた方)

潜性遺伝の病気の保因者とわかった方は、ご自身が発症することはふつうありませんが、パートナーが同じ遺伝子の保因者かどうかで、お子さんへの確率が変わります。パートナーの検査や、拡大版保因者スクリーニング(女性版787遺伝子・男性版714遺伝子など)を考えられます。目の病気の遺伝子が対象に入っているかは、遺伝子一覧でご確認ください。妊娠中の方には、NIPTと同じ日に採血できるカップルの保因者検査「ファミリーセーフティ プラス」があります(単独では受けられません)。X連鎖の病気で保因者とわかった女性は、ご自身の目の検査も眼科で受けておくと安心につながります。

③ 子どもを持つときの選択肢

ご家族で原因の遺伝子の変化がわかっていれば、妊娠したときに赤ちゃんに同じ変化があるかを調べられます。絨毛・羊水からの胎児の出生前診断は当院で承っております。当院では羊水検査・絨毛検査を院内で行っています(2025年6月から産婦人科を併設)。その病気で出生前診断を行えるかは、病気の重さや国内の指針を踏まえて個別に判断しますので、妊娠を考えている段階からご相談ください。出生前に赤ちゃんの遺伝子を広く調べる出生前全エクソーム(WES)検査もあります。

NIPTで調べられる遺伝子は第6章のとおり一部に限られます。何もしないでそのまま妊娠・出産を迎えることも、もちろん選べる選択肢です。どの選択も尊重します。

海外でPGT-M(着床前遺伝学的検査)を考えている方へ:英語の検査結果をお渡しできます

PGT-Mは、体外受精でできた受精卵(胚)の一部の細胞を調べ、ご家族でわかっている遺伝子の変化を受け継いでいない胚を選んで子宮に戻す検査です。当院には、海外でPGT-Mを受けたいというお問い合わせが多く寄せられています。当院は体外受精・PGT-Mを行っていません。当院でできるのは、原因遺伝子の確定、英語の検査結果のご用意、遺伝カウンセリング、ご家族の遺伝子検査、妊娠後の絨毛検査・羊水検査です。英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。

欧州生殖医学会(ESHRE)の指針では、PGT-Mの準備として、病気の原因と確かめられた遺伝子の変化があること、その変化が書かれた元の報告書があること、そしてご家族の検体が求められています[7]。受精卵から取れるDNAはごくわずかで、変化を直接読むだけでは、2本あるうちの片方が読み取れない「アレルドロップアウト」などで判定を誤るおそれがあります。そのため、変化のある場所の両側にある目印で「変化をもつ染色体」を家系の中でたどる方法(ハプロタイプ解析)を組み合わせます。どちらの染色体に変化が乗っているかを決めるには、ご夫婦に加えて、病気の有無がわかっている血縁者のDNAが必要です。目安は、顕性遺伝では患者さん少なくとも1人(できれば2人)、および/または発症していない方1人、潜性遺伝では患者さん・保因者・保因者でない方、X連鎖では患者さん、および/または発症していない方(保因者と確かめられた方が望ましい)です[7]。ご本人の検査結果だけでは、PGT-Mの準備はふつう整いません。血縁者がいない場合は、ご夫婦で目印を調べたうえで受精卵や1個の精子を調べる方法も挙げられていますが、施設や家系の状況によっては受けられないこともあります。新しく起きた変化(de novo)で、これまでに妊娠歴のないご夫婦では、一般的なハプロタイプ解析の方法は使えないとされています[7]。

海外でPGT-Mを考えている方は、ご本人の検査の段階から、検査に協力していただけるご家族(とくに同じ変化をもつ方)がいるかを考えておくことが大切です。当院では、ご家族の遺伝子検査も、遺伝カウンセリングのうえでお受けしています。臨床遺伝専門医としての判断として、意義がまだわからない変化(VUS)はそのままPGT-Mの対象にするのは難しく、潜性遺伝の病気ではご夫婦それぞれがどの変化をもっているかを確かめておく必要があります。求められる書類や検体は海外の施設によって違うので、受ける予定の施設にも前もって確認してください。

⚠️ PGT-Mは診断ではなく、スクリーニング検査です

PGT-Mは受精卵のごく一部の細胞を調べる検査で、結果が赤ちゃんの状態と食い違うことがあります。ESHREの指針は、多くの施設で誤った結果になる割合は全体で1〜3%まで下げられているとしたうえで、PGTのあとに妊娠したすべての方に出生前診断を提案すべきとしています[8]。PGT-Mで選んだ胚で妊娠した場合も、妊娠中に赤ちゃんそのものを調べる確定検査(絨毛検査・羊水検査)で確かめることが望ましいと考えています。当院では絨毛検査・羊水検査を院内で行っており、海外でPGT-Mを受けたあとの妊娠でもご相談いただけます。

PGT-Mの対象になる病気は、国によって違います。日本では、日本産科婦人科学会の「重篤な遺伝性疾患を対象とした着床前遺伝学的検査(PGT-M)に関する指針」(2026年9月改定)にもとづき、症例ごとに学会の審査を受け、実施施設の倫理委員会が承認して行われます。この指針の「重篤」は、原則として、成人に達する前に日常生活が著しく損なわれる、または生存が危ぶまれる状態になる疾患で、申請の時点で有効な治療法がないか、あっても高度かつ侵襲度の高いもの、とされています。審査が続いている申請も多く、学会の発表では2025年7月〜2026年6月の1年間に審査した73件のうち37件が審査継続中でした(2026年9月発表)。英国では、公的機関(HFEA)がPGT-Mを使える病気の一覧を公表しており、2,000を超える病気が載っています(2026年9月17日更新の一覧で2,067)。網膜色素変性症(21の型)、錐体杆体ジストロフィー(15以上の型)、レーバー先天黒内障、コロイデレミア、アッシャー症候群、網膜芽細胞腫、スティックラー症候群などが、この一覧に載っています(型ごとに載っているため、すべての型ではありません)。米国では、PGTを直接規制する連邦や州の法律はなく、主に医師・施設の判断で行われています[9]。米国生殖医学会の倫理委員会は2024年、大人になってから発症する病気に対するPGT-Mも倫理的に許容されうるとする意見を出しています[10]。同じ病気でも、ある国では対象になり、別の国では個別の審査が必要になることがあります。受ける国の制度と、施設の条件を前もって確かめてください。準備に必要なことは、遺伝性疾患をお持ちで海外でPGT-M(着床前診断)を考えている方へでくわしく解説しています。

④ ご家族:同じ変化だけをピンポイントで調べる

ご本人で原因がわかると、ご両親・きょうだい・お子さん・いとこなどは、その変化だけを調べて、受け継いでいるかを確かめられます。X連鎖の病気では、お母さんや姉妹が保因者かどうかが、そのご家族の妊娠の計画に関わります。顕性遺伝の優性視神経萎縮などでは、症状の軽いご家族が気づいていないこともあります。症状のないご家族の検査は、ご本人の同意のうえで、遺伝カウンセリングを経て行います。

⑤ 当院でのその後

結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングでご説明し、次にどうするかを一緒に考えます。原因が見つからなかった場合は、ミトコンドリアDNAの検査や全エクソーム検査など、次の選択肢をご案内します。VUSは、それだけで診断やご家族の発症予測の根拠にはしません。ただし、病気の原因かどうかを評価するために、ご本人の同意を得て、ご家族で同じ変化の有無を調べることがあります。研究が進んで、のちに意味がはっきりすることもあります。調べた目的とは別の病気の原因が見つかった場合の扱いは、二次的所見の開示方針をご覧ください。

9. 日本の制度(2026年10月時点)

このパネルで調べる病気のいくつかは、指定難病に含まれています。東京都の難病医療費助成の案内(2026年8月発行)では、網膜色素変性症(90)、ウォルフラム症候群(233)、黄斑ジストロフィー(301)、レーベル遺伝性視神経症(302)、アッシャー症候群(303)、ジュベール症候群関連疾患(177)、ネフロン癆(335)が指定難病として載っています(かっこ内は指定難病の番号)。

医療費の助成を受けるには、病気ごとの認定の基準を満たし、申請する必要があります。くわしくは難病情報センターや、お住まいの自治体の窓口でご確認ください。

10. 検査の流れ・費用・結果までの日数・検体

検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。検体は血液のほか、唾液や口の内側の粘膜でも受けられるので、オンライン診療にも対応しています。この検査は、遺伝診療先進国・米国の3大遺伝子検査会社の一角で行います。※

※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。

ご予約
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遺伝カウンセリング臨床遺伝専門医
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検体の採取血液・唾液など
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結果のご説明2〜3週間後・マイページへ

💴 費用・日数・検体

項目 内容
検査内容 網膜症・視神経萎縮の278遺伝子(配列の解析と、欠失・重複の解析を含む)
検査費用 税込330,000円
遺伝カウンセリング料 30分22,000円(税込)※検査費用とは別
結果までの期間 2〜3週間
オプション 至急:結果までの期間が約7日短くなります(55,000円)
VUS除外:意義がまだわからない変化を報告に含めない(無料)
検体 血液(EDTA採血管4ml×2本)、抽出DNA、口の内側の粘膜、唾液
オンライン診療 対応しています。血液の場合は全国の提携医療機関で採血していただきます

※当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。ご夫婦・カップルで同じ検査を同じ日に一緒に受ける場合は、遺伝カウンセリング料が1人分になります(検査費用の割引はありません)。

オンライン診療では、ビデオ通話で遺伝カウンセリングを行ったあと、検体を当院にお送りいただきます。オンラインの場合は、遺伝カウンセリング料金を事前にお支払いください。検体採取キットは検査料金のお支払いのあとにお送りします。検体の取り違えや品質の問題を防ぐため、キットが届く前にご自身で検体を採取しないでください。

結果は、基本的に日本語版でお渡ししています。海外でPGT-Mを受けるなど、英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。報告書の読み方はNIPT/遺伝子検査結果の見かたで解説しています。

遺伝カウンセリングでは、検査で何がわかり、何がわからないか、結果がご家族にとってどういう意味をもつかをご説明します。検査を受けるかどうかは、説明を聞いて納得してから決めていただきます。

\ 人生に一度の遺伝子検査を、ご家族とこれからの計画に /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

臨床遺伝専門医が常駐し、陽性ならご家族の検査から、妊娠したときの羊水検査・絨毛検査まで院内で続けて受けられます。

お問い合わせはこちら | レーベル遺伝性視神経症を調べたい方へ(ミトコンドリア病遺伝子検査)

11. 院長コラム

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「視神経萎縮」は、答えではなく出発点】

「視神経萎縮」という言葉は、視神経が傷んでいるという状態を表しているだけで、なぜそうなったのかは教えてくれません。遺伝子が原因なら、どの遺伝子かによって、進み方も、全身で気をつけることも、お子さんに伝わる確率もまったく違います。だから私は、原因がわからないまま「様子を見ましょう」で終わらせず、わかることから次を考えるほうが前に進める、と考えています。

私自身、希少な常染色体顕性(優性)遺伝性疾患の当事者です。子どもに病気を受け渡したくない、という遺伝の病気をもつ方の思いはよくわかります。また、お子さんが重い症状で発症したのをきっかけに、ご自身も同じ遺伝子の変化を持っていたとわかり、自分のせいだと責めてしまう親御さんを、何度も見てきました。私の当事者としての話は、遺伝性疾患の当事者として、臨床遺伝専門医になった理由に書いています。遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。

遺伝子検査は、やってみないとわからないことを、何度も経験してきました。検査をしないと何も言えない、というのが私の確固たる考えです。こうした経験から、当院では、検査を受けずにリスクだけをご説明することはしておりません。検査をせずにリスクをお伝えするほうが、かえって危険だと考えているためです。

目の病気は、ご本人が大人になって、仕事をし、結婚し、子どもを持つことを考えられる病気です。だからこそ、知ったうえで人生の計画を立てたい方を、検査から出生前診断まで当院で続けて支えたいと考えています。どの選択をされても、その選択を尊重します。

よくある質問(FAQ)

Q1. 視神経萎縮は生まれつきですか?

生まれつきのこともあれば、そうでないこともあります。緑内障・圧迫・炎症・外傷などで後から起こる視神経萎縮も多くあります。遺伝子が原因の場合でも、乳幼児期から見えにくい方もいれば、10代〜30代になって急に見えにくくなる方(レーベル遺伝性視神経症など)もいます。

Q2. 視神経萎縮は回復しますか?

一度傷んだ視神経の線維は、一般に元には戻りにくいとされています。ただし、原因によって進み方や見通しは違います。レーベル遺伝性視神経症では、欧州でイデベノンが例外的な条件のもとで承認されており、見えにくくなってから早い時期に治療を始めた方の一部で効果が報告されています。原因を知ることが、見通しを立てる出発点になります。

Q3. 視神経萎縮は遺伝しますか?

遺伝子が原因の視神経萎縮は、親から子へ伝わることがあります。遺伝のしかたは原因によって違い、優性視神経萎縮(OPA1など)は常染色体顕性遺伝、ミトコンドリアDNAによるレーベル遺伝性視神経症はお母さんから伝わります。原因の遺伝子がわかれば、お子さんへの確率を具体的にお伝えできます。

Q4. レーベル遺伝性視神経症はこの検査でわかりますか?

主な原因であるミトコンドリアDNAの3つの変異(全体の約90%)は、この検査では調べられません。ミトコンドリアDNAを調べる検査が必要です。常染色体潜性遺伝のレーベル遺伝性視神経症の原因であるDNAJC30遺伝子は、この検査で調べられます。

Q5. 視力の悪さ(近視)は遺伝しますか?この検査で調べられますか?

この検査は、一般的な近視や乱視の度合いを調べる検査ではありません。網膜や視神経の遺伝性の病気の原因を調べる検査です。メガネで矯正しても視力が上がらない、夜に見えにくい、視野が狭い、色がわかりにくいなどの症状があり、眼科で網膜や視神経の病気を疑われた場合に向いています。

Q6. 子どもに遺伝する確率は?結婚に差し支えますか?

確率は原因の遺伝子と遺伝のしかたで大きく変わります。常染色体顕性遺伝なら2分の1、常染色体潜性遺伝ならご両親がともに保因者のとき4分の1、X連鎖ならお母さんが保因者のとき息子さんの2分の1が目安です。目の病気があることは結婚できない理由にはなりません。原因を調べれば、お子さんへの確率やパートナーの検査など、具体的な事実をもとに考えられます。

Q7. 海外でPGT-Mを受けたいのですが、英語の検査結果はもらえますか?

はい。英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。当院は体外受精・PGT-Mを行っていません。PGT-Mの準備には、ご本人の結果だけでなくご家族の検体が必要になることが多いので、早めにご相談ください。

Q8. 陰性だったらどうなりますか?

原因が見つからなくても、病気を否定できるわけではありません。この278遺伝子以外の原因や、この方法では見つけにくい変化が残っている可能性があります。症状に合わせて、ミトコンドリアDNAの検査や全エクソーム検査など、次の選択肢をご案内します。

🧬 一度の検査で、ご自身とご家族のこれからを考える

生まれ持った遺伝子は一生変わりません。網膜や視神経の病気の原因がわかれば、ご自身の見通しや全身の見張りだけでなく、ご家族の検査や、結婚・妊娠の計画を考える手がかりになります。当院では臨床遺伝専門医が常駐し、検査の前後の遺伝カウンセリングから、羊水検査・絨毛検査による出生前診断の相談まで、院内で続けて受けていただけます。

お電話でのお問い合わせ:03-3478-3768

参考文献

  • [1] Yu-Wai-Man P, Chinnery PF. Leber Hereditary Optic Neuropathy. In: GeneReviews®. University of Washington, Seattle; 2000 (Updated 2021 Mar 11). [NCBI Bookshelf NBK1174]
  • [2] Stenton SL, Sheremet NL, Catarino CB, et al. Impaired complex I repair causes recessive Leber’s hereditary optic neuropathy. J Clin Invest. 2021;131(6):e138267. [DOI: 10.1172/JCI138267]
  • [3] Wiggs JL. DNAJC30 biallelic mutations extend mitochondrial complex I–deficient phenotypes to include recessive Leber’s hereditary optic neuropathy. J Clin Invest. 2021;131(6):e147734. [DOI: 10.1172/JCI147734]
  • [4] Seo Y, Kim TY, Won D, et al. Genetic spectrum and characteristics of autosomal optic neuropathy in Korean: Use of next-generation sequencing in suspected hereditary optic atrophy. Front Neurol. 2022;13:978532. [DOI: 10.3389/fneur.2022.978532]
  • [5] Goto K, Koyanagi Y, Akiyama M, et al. Disease-specific variant interpretation highlighted the genetic findings in 2325 Japanese patients with retinitis pigmentosa and allied diseases. J Med Genet. 2024;61(7):613-620. [DOI: 10.1136/jmg-2023-109750]
  • [6] Malinowski J, Miller DT, Demmer L, et al. Systematic evidence-based review: outcomes from exome and genome sequencing for pediatric patients with congenital anomalies or intellectual disability. Genet Med. 2020;22(6):986-1004. [DOI: 10.1038/s41436-020-0771-z]
  • [7] ESHRE PGT-M Working Group, Carvalho F, Moutou C, et al. ESHRE PGT Consortium good practice recommendations for the detection of monogenic disorders. Hum Reprod Open. 2020;2020(3):hoaa018. [DOI: 10.1093/hropen/hoaa018]
  • [8] ESHRE PGT Consortium Steering Committee, Carvalho F, Coonen E, et al. ESHRE PGT Consortium good practice recommendations for the organisation of PGT. Hum Reprod Open. 2020;2020(3):hoaa021. [DOI: 10.1093/hropen/hoaa021]
  • [9] Nakasato K, Yamamoto BA, Kato K. Evaluating standards for ‘serious’ disease for preimplantation genetic testing: a multi-case study on regulatory frameworks in Japan, the UK, and Western Australia. Hum Genomics. 2022;16:16. [DOI: 10.1186/s40246-022-00390-3]
  • [10] Ethics Committee of the American Society for Reproductive Medicine. Use of preimplantation genetic testing for monogenic adult-onset conditions: an Ethics Committee opinion. Fertil Steril. 2024;122:607-611.

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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