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高アンモニア血症・尿素サイクル異常症の遺伝子検査|原因を調べる56遺伝子パネル(OTC欠損症・シトリン欠損症も)

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

高アンモニア血症・尿素サイクル異常症の遺伝子検査

高アンモニア血症の原因には、アンモニアを尿素に変える肝臓の働き(尿素サイクル)が生まれつき弱い「尿素サイクル異常症」をはじめ、さまざまな先天代謝異常症があります。この検査は、OTC欠損症・シトルリン血症・シトリン欠損症などの尿素サイクル異常症に加えて、有機酸代謝異常症・脂肪酸酸化異常症・ミトコンドリア病など、高アンモニア血症を起こしうる病気の原因遺伝子56個を一度に調べます。生まれ持った遺伝子は一生変わりません。一度の検査でわかった原因は、治療や食事、病気や手術のときの備え、ご家族の検査、これからの妊娠の計画まで、この先ずっと使える情報になります。このページでは、高アンモニア血症の原因と症状、大人になって見つかる型、遺伝のしかた、この遺伝子検査でわかることを、臨床遺伝専門医が解説します。

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. この検査で何がわかりますか?

高アンモニア血症の原因となる生まれつきの病気を調べる遺伝子パネル検査です。尿素サイクル異常症(OTC欠損症・シトルリン血症1型・シトリン欠損症など)の原因遺伝子に加え、有機酸・脂肪酸・ミトコンドリアの病気の遺伝子まで、56遺伝子を一度に調べます。

🧬 Q. どんな人が受けるとよいですか?

原因のわからない高アンモニア血症や意識障害・周期的な嘔吐があった方、新生児マススクリーニングで再検査と言われた方、ご家族に尿素サイクル異常症の方がいる方です。大人になってから初めて見つかる型や、OTC欠損症の保因者の女性に症状が出ることもあります。

🧬 Q. 費用・日数・検体は?

検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。検体は血液・唾液・口の内側の粘膜などで、オンライン診療でも受けられます。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。

🧬 Q. 結果のあとはどうなりますか?

結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。原因がわかれば、使える治療や食事の考え方、病気・手術のときの注意、ご家族(お母さん・姉妹・きょうだい)の検査を具体的に考えられます。意義がまだわからない変化(VUS)の扱いもご説明します。

\ 一生変わらない遺伝子を知って、これからの計画に /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

検査の前に臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明します。

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1. 高アンモニア血症・尿素サイクル異常症とは|アンモニアを尿素に変えられない生まれつきの病気

尿素サイクル異常症は、肝臓でアンモニアを尿素に変える一連の反応(尿素サイクル)の酵素や運び役のたんぱく質が、生まれつき十分に働かない病気のグループです。体の中にアンモニアがたまり、高アンモニア血症を起こします[1]。アンモニアは、食べ物や体のたんぱく質が分解されるときに必ず出る物質で、脳にとって毒になります。ふつうは肝臓で尿素に作り変えられ、尿に出ていきます。

遺伝性疾患の解説書GeneReviewsでは、尿素サイクル異常症の頻度は、米国の推計で少なくとも3万5,000人に1人から5万1,946人に1人とされ、診断されていない人がいるため実際はもっと多い可能性があると書かれています。いちばん多いのはOTC欠損症(オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症)です[1][5]。日本では、難病情報センターの情報によると、OTC欠損症が約500人、CPS1欠損症とアルギニノコハク酸尿症がそれぞれ約100人、そのほかの型はそれぞれ100人未満と推計されています(2026年10月時点で確認)。

尿素サイクルのしくみ

尿素サイクルは、いくつもの酵素がバトンを渡すように順番に働く反応です。どこか1か所でも止まると、アンモニアを尿素に変えられなくなります。主な酵素と、その設計図になる遺伝子は次のとおりです[1]。

🔄 尿素サイクルの順番と、働かないと起こる病気

順番 働き 遺伝子と病気
スイッチ役 最初の酵素(CPS1)を働かせる物質を作る NAGS:NAGS欠損症
① アンモニアを取り込む最初の反応 CPS1:CPS1欠損症
② シトルリンを作る OTC:OTC欠損症(X連鎖)
③ シトルリンからアルギニノコハク酸を作る ASS1:シトルリン血症1型
④ アルギニンを作る ASL:アルギニノコハク酸尿症
⑤ アルギニンから尿素を切り出す ARG1:アルギニン血症
運び役 反応に必要な物質を細胞の中で運ぶ SLC25A13:シトリン欠損症/SLC25A15:HHH症候群

※GeneReviews「Urea Cycle Disorders Overview」で、尿素サイクル異常症の原因として挙げられている8遺伝子[1]。8遺伝子はすべてこの検査に含まれます。

高アンモニア血症の原因は?生まれつきの病気と、あとから起こる原因

高アンモニア血症の原因は、生まれつきの代謝の病気(先天代謝異常症)と、肝臓の病気や薬などあとから起こるものに分けられます。生まれつきの原因は尿素サイクル異常症だけではなく、有機酸代謝異常症(プロピオン酸血症・メチルマロン酸血症など)、脂肪酸酸化異常症、ミトコンドリア病、高インスリン血症・高アンモニア血症症候群なども、アンモニアを上げることがあります。この検査は、こうした生まれつきの原因を幅広く調べるためのものです。肝硬変などのあとから起こる高アンモニア血症は、このページの検査の対象ではありません。

2. 高アンモニア血症の症状|新生児の重い型から、大人になって見つかる型まで

尿素サイクル異常症の症状は、生まれて数日のうちに重く始まる型から、子どもや大人になってから、病気や出産などをきっかけに初めて現れる型まで、大きな幅があります[1]。酵素がほとんど働かない場合は新生児期に、ある程度働く場合はもっとあとに見つかります。

生まれて数日以内に始まる重い型(初期症状)

GeneReviewsによると、重い型の赤ちゃんは生まれたときは元気に見え、2日ほどで退院することもあります。そのあと、おっぱいやミルクの飲みが悪い、吐く、体温が低い、機嫌が悪い、眠ってばかりいる、といった症状が出てきます。呼吸が速くなることも多く、重い高アンモニア血症の新生児の約50%にけいれんが起こりうるとされています[1]。急いで治療が必要な状態です。

子ども・大人になって見つかる型(遅発型)の症状

酵素がある程度働く型では、症状はほぼどの年齢でも始まりうるとされています[1]。OTC欠損症の遅発型では、くり返す嘔吐、ぐったりする、機嫌が悪い、体重が増えない、発達の遅れ、自分からたんぱく質(肉・魚・卵など)を避ける食べ方などがみられます。アンモニアが上がったときには、落ち着きがない・攻撃的になる・せん妄(意識が混乱した状態)などが出て、精神科で診察を受けることもあります[2]。

大人の原因不明の意識障害や精神症状、くり返す嘔吐の背景に、生まれつきの尿素サイクル異常症が隠れていることがあります。尿素サイクル異常症の国際的な診療指針も、見逃しや診断の遅れが今も広くみられると指摘しています[6]。

発作のきっかけになること

GeneReviewsでは、発作(急にアンモニアが上がること)のきっかけとして、病気(熱の出る感染症など)、手術、長い絶食、出産の前後、たんぱく質のとりすぎが挙げられています[1]。OTC欠損症では、これに加えて、ステロイドの大量投与、がんの治療、けがなどによる体の強い負担、抗てんかん薬のバルプロ酸や抗精神病薬のハロペリドールも、きっかけとして記載されています[2]。原因がわかっていれば、こうした場面で前もって備えることができます。

高アンモニア血症は血液検査でわかる?遺伝子検査との役割の違い

高アンモニア血症そのものは、血液のアンモニア値でわかります。けれども「なぜ高いのか」をつきとめ、型を確定するには、遺伝子検査が役立ちます[1]。GeneReviewsでは、新生児で血中アンモニアが150μmol/L以上あり、ほかの血液の値(アニオンギャップ・血糖)が正常なときは、尿素サイクル異常症を強く疑うとされています[1]。

原因を絞り込むために、血液のアミノ酸分析、尿のオロト酸、尿の有機酸、アシルカルニチンなどを調べます。たとえば尿のオロト酸は、OTC欠損症ではとても高くなり、CPS1欠損症・NAGS欠損症では正常か低くなります[1]。こうした生化学的な検査で見当をつけたうえで、GeneReviewsは遺伝子検査を、すべての型の確定診断のいちばんの方法としています[1]。アンモニアの値は採血の条件で変わりやすく、基準値も検査室ごとに違うため、数値の読み方は主治医にご確認ください。

3. 尿素サイクル異常症の種類と原因遺伝子|OTC欠損症・シトリン欠損症ほか

尿素サイクル異常症は、どの酵素・運び役が働かないかで型が分かれ、型ごとに遺伝のしかたや治療の考え方が違います。OTC欠損症だけがX連鎖で、ほかは常染色体潜性(劣性)遺伝です[1]。遺伝のしかたの全体像は遺伝形式のページで解説しています。

OTC欠損症:X連鎖で、保因者の女性にも症状が出ることがある

OTC欠損症は、X染色体にあるOTC遺伝子の変化で起こります。男の子は変化を受け継ぐと発症し、女の子は保因者になりますが、保因者の女性にも症状が出ることがあります[2]。GeneReviewsでは、保因者の女性のうち一生のあいだに症状が出るのは古い推計で約15%とされ、診断されていない人が多いため実際はもっと多い可能性があると書かれています[2]。

女性の症状に差が出るのは、2本あるX染色体のうちどちらが働くかが細胞ごとに決まり(X染色体の不活性化)、肝臓で変化のある側が多く働くと症状が出やすくなるためと説明されています[2]。保因者の女性は妊娠中、とくに出産のあとに体の分解が進みやすく、注意が必要とされています[2]。

💡 用語解説:保因者

病気の原因になる遺伝子の変化を持っているものの、ふだんは症状がない(または軽い)人のことです。潜性遺伝の病気では、2本ある遺伝子の片方だけに変化がある人を指します。OTC欠損症のようなX連鎖の病気では、変化をもつ女性を保因者と呼びますが、症状が出ることもあります。くわしくは保因者とはをご覧ください。

シトリン欠損症:日本人に多い型(新生児の胆汁うっ滞から成人発症Ⅱ型シトルリン血症まで)

シトリン欠損症は、SLC25A13遺伝子の変化による常染色体潜性(劣性)遺伝の病気で、アジア、とくに日本に多いことが知られています[3]。GeneReviewsによると、日本では保因者が33〜51人に1人、新生児の胆汁うっ滞を起こす型(NICCD)が約1万9,000人に1人、大人になって発症する成人発症Ⅱ型シトルリン血症(CTLN2)が約10万人に1人と推計されています[3]。

年齢によって現れ方が変わるのが特徴です。1歳未満では胆汁うっ滞(黄疸)・脂肪肝・低血糖など(NICCD)、1歳以降では体重が増えにくい・低血糖をくり返すなど、大人では主に20〜50歳で、くり返す高アンモニア血症や精神神経症状、膵炎など(CTLN2)がみられます[3]。たんぱく質や脂質の多いもの(豆・肉・魚・卵など)を好み、ご飯・ジュース・甘いものなど糖質の多いものを避ける食べ方をする人が多いことも知られています[3]。

⚠️ シトリン欠損症は、ほかの尿素サイクル異常症と治療の考え方が逆です

GeneReviewsでは、糖質の多い食事やたんぱく質を減らす食事は、シトリン欠損症ではかえって害になるとされています。成人発症Ⅱ型シトルリン血症では、グリセロールや果糖の点滴は禁忌、濃いブドウ糖の点滴やアルコールも発作のきっかけになりうるとされています[3]。だからこそ、高アンモニア血症の原因が「シトリン欠損症なのか、ほかの尿素サイクル異常症なのか」を遺伝子検査で区別しておくことに意味があります。

シトルリン血症1型・CPS1欠損症・NAGS欠損症・アルギニノコハク酸尿症・アルギニン血症など

ほかの型も、すべて常染色体潜性(劣性)遺伝です[1]。シトルリン血症1型(ASS1)、CPS1欠損症、NAGS欠損症、アルギニノコハク酸尿症(ASL)、アルギニン血症(ARG1)、HHH症候群(SLC25A15)、リジン尿性たんぱく不耐症(SLC7A7)などがあります。アルギニノコハク酸尿症では、高アンモニア血症のほかに、長期的に肝臓の病気・高血圧・髪の毛がもろくなる変化・発達や学習の問題がみられることがあるとされています[4]。それぞれの遺伝子と病気は、第5章の表にまとめました。

4. どんな人がこの検査を受けるとよいか

原因のわからない高アンモニア血症があった方、高アンモニア血症を思わせる症状をくり返す方、新生児マススクリーニングで再検査と言われた方、ご家族に尿素サイクル異常症の方がいる方に向く検査です。見た目や家族歴だけでは判断できないことが多いので、迷ったら遺伝カウンセリングで状況をお聞かせください。

  • ●赤ちゃんのころに、原因のわからない哺乳不良・嘔吐・ぐったり・けいれん・高アンモニア血症があった方
  • ●大人や子どもで、原因のわからない意識障害・精神症状・周期的な嘔吐があり、アンモニアが高いと言われた方
  • ●たんぱく質を極端に避ける・甘いものを嫌うなど、食べ方の特徴があり、発達の遅れや体重の増えにくさがある方
  • ●出産のあとや、病気・手術・薬をきっかけに、アンモニアが上がった方
  • ●ご家族に尿素サイクル異常症・高アンモニア血症の方、原因のわからない新生児期・乳児期の死亡がある方
  • ●ご家族にOTC欠損症の男性がいて、ご自身(お母さん・姉妹)が保因者かどうか知りたい方

日本の未診断疾患イニシアチブ(IRUD)では、遺伝学的な解析を終えた5,136家系のうち2,247家系(43.8%)で診断が確定しました[7]。対象は高アンモニア血症に限らない、原因のわからない病気の方々です。全員に診断がつくわけではありませんが、病院を回っても原因がわからなかった方にとって、遺伝子検査は回り道を短くする手段のひとつになりえます。

新生児マススクリーニングで「再検査・要精密検査」と言われた方へ

生まれてすぐの新生児マススクリーニング(先天性代謝異常等検査)では、尿素サイクル異常症のうちシトルリン血症1型とアルギニノコハク酸尿症が、多くの自治体で公費の対象になっています。たとえば埼玉県(22疾患、2026年7月掲載)と札幌市(26疾患、2025年9月更新)の公式ページで、どちらも対象に入っていることを確認しました。シトリン欠損症は、札幌市では対象、埼玉県では対象外と、自治体によって違います。

一方、OTC欠損症とCPS1欠損症は、確認したどちらの自治体でも対象に入っていません。GeneReviewsも、新生児マススクリーニングは主にアルギニンとシトルリンの値で見るため、すべての尿素サイクル異常症が見つかるわけではないとしています[1]。スクリーニングで異常がなかったことは、尿素サイクル異常症がないことを意味しません。お住まいの自治体の対象は、自治体の窓口でご確認ください。

再検査で「要精密検査」と言われた場合、遺伝子検査は、スクリーニングで疑われた病気を確定する役割を持ちます。生まれた直後からまとめて遺伝子を調べたい場合は、新生児遺伝子スクリーニング検査もあります。

受けなくてよい場合・別の検査が向いている場合

高アンモニア血症の原因を幅広く調べたいなら、まずこの検査です。一方で、生化学的な検査ですでに病名がほぼ決まっている場合や、症状がもっと広い場合は、次の検査のほうが合うことがあります。肝硬変などあとから起こる高アンモニア血症がはっきりしている場合は、遺伝子検査は必要ありません。

🔍 状況に合わせた検査の選び方

こんなとき 向いている検査
高アンモニア血症があり、原因をまとめて調べたい このページの検査(56遺伝子)
代謝の病気が疑われるが、高アンモニア血症に限らず絞り込めない 包括的代謝疾患遺伝子検査(このパネルの遺伝子も含む)
有機酸の検査でプロピオン酸血症・メチルマロン酸血症が疑われる プロピオン酸血症NGS遺伝子パネル検査/メチルマロン酸血症・ホモシスチン尿症NGS遺伝子検査
空腹や発熱での低血糖・筋肉の症状が中心 脂肪酸酸化異常症(FAOD)遺伝子検査/低血糖症・脂肪酸β酸化異常症遺伝子検査パネル
低血糖とアンモニアの上昇が一緒にある 高インスリン血症遺伝子検査
乳酸が高い・筋力低下・多くの臓器の症状 ミトコンドリア病遺伝子検査パネル/乳酸アシドーシス・ピルビン酸代謝異常症パネル
代謝以外の症状も多く、病気をしぼれない 全エクソーム検査(WES)

※パネル検査と全エクソーム検査の違いはWESとパネル検査の違いで解説しています。どの検査が合うかは、症状・検査の結果・ご家族の情報で変わります。

\ あなたの1回の検査が、お母さん・姉妹・きょうだいの手がかりに /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

原因がわかれば、ご家族は同じ変化だけを調べて、ご自身の状態を確かめられます。ご家族の遺伝子検査も、遺伝カウンセリングのうえでお受けしています。

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5. この検査で調べる56遺伝子と、それぞれでわかる病気

この検査では、尿素サイクル異常症の8遺伝子を含む56遺伝子を一度に調べます。病名と遺伝のしかたは、遺伝性疾患のデータベースOMIMの情報(OMIMの病名・番号を収録しているデータベースで照合)によります。遺伝のしかたの略は、AR=常染色体潜性(劣性)、AD=常染色体顕性(優性)、XL=X連鎖です。

🧬 尿素サイクルと、アンモニアの処理に関わる遺伝子(14)

遺伝子 関係する病気 遺伝のしかた
NAGS N-アセチルグルタミン酸合成酵素(NAGS)欠損症 AR
CPS1 CPS1欠損症(カルバミルリン酸合成酵素Ⅰ欠損症) AR
OTC OTC欠損症(オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症) XL
ASS1 シトルリン血症1型(古典型シトルリン血症) AR
ASL アルギニノコハク酸尿症 AR
ARG1 アルギニン血症(高アルギニン血症) AR
SLC25A13 シトリン欠損症(新生児・乳児発症型/思春期・成人発症型) AR
SLC25A15 HHH症候群(高オルニチン血症・高アンモニア血症・ホモシトルリン尿症症候群) AR
SLC7A7 リジン尿性たんぱく不耐症 AR
OAT 脳回転状網脈絡膜萎縮 AR
CA5A 炭酸脱水酵素VA欠損による高アンモニア血症 AR
GLUD1 家族性高インスリン血症性低血糖6型(高インスリン血症・高アンモニア血症症候群) AD
GLUL 先天性グルタミン欠乏症(AR)/発達性てんかん性脳症116(AD) AR/AD
ALDH18A1 常染色体潜性皮膚弛緩症ⅢA型(AR)/常染色体顕性皮膚弛緩症3型(AD)/痙性対麻痺9A型(AD)/痙性対麻痺9B型(AR) AR/AD

※遺伝子名のリンク先は、当院の遺伝子解説ページです。

🧪 有機酸代謝異常症・ビオチンの代謝に関わる遺伝子(18)

遺伝子 関係する病気 遺伝のしかた
MUT(現在の名前:MMUT) メチルマロン酸血症(メチルマロニルCoAムターゼ欠損症) AR
MMAA メチルマロン酸尿症 cblA型 AR
MMAB メチルマロン酸尿症 cblB型 AR
MMACHC メチルマロン酸血症・ホモシスチン尿症 cblC型 AR
HCFC1 メチルマロン酸血症・ホモシステイン血症 cblX型 XL
PCCA・PCCB プロピオン酸血症 AR
IVD イソ吉草酸血症 AR
MCCC1・MCCC2 3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ欠損症(個別の検査もあり) AR
BCKDHA・BCKDHB・DBT メープルシロップ尿症(Ⅰa型・Ⅰb型・Ⅱ型) AR
DLD ジヒドロリポアミド脱水素酵素欠損症 AR
HMGCL HMG-CoAリアーゼ欠損症(3-ヒドロキシ-3-メチルグルタル酸尿症) AR
HMGCS2 HMG-CoA合成酵素2欠損症(ケトン体が作れない病気。ケトン体産生異常症の検査にも関係) AR
HLCS 複合カルボキシラーゼ欠損症(ホロカルボキシラーゼ合成酵素欠損症) AR
BTD ビオチニダーゼ欠損症 AR

🔥 脂肪酸酸化異常症に関わる遺伝子(12)

遺伝子 関係する病気 遺伝のしかた
ACADM MCAD欠損症(中鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症) AR
ACADS SCAD欠損症(短鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症) AR
ACADVL VLCAD欠損症(極長鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症) AR
HADHA LCHAD欠損症(長鎖3-ヒドロキシアシルCoA脱水素酵素欠損症)/三頭酵素欠損症 AR
HADHB 三頭酵素欠損症2型 AR
CPT1A CPT1欠損症(カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ1A欠損症) AR
CPT2 CPT2欠損症(新生児型・小児型・ストレス誘発型)/感染で起こる急性脳症のなりやすさ4 AR(なりやすさの型はAR/AD)
SLC22A5 全身性カルニチン欠乏症(カルニチントランスポーター異常症) AR
SLC25A20 カルニチンアシルカルニチントランスロカーゼ(CACT)欠損症 AR
ETFA・ETFB・ETFDH グルタル酸尿症2型(多種アシルCoA脱水素酵素欠損症) AR

⚡ ミトコンドリア・エネルギー代謝ほかに関わる遺伝子(12)

遺伝子 関係する病気 遺伝のしかた
PC ピルビン酸カルボキシラーゼ欠損症 AR
SUCLA2 ミトコンドリアDNA枯渇症候群5型(メチルマロン酸尿症を伴うことがある) AR
SUCLG1 ミトコンドリアDNA枯渇症候群9型(メチルマロン酸尿症を伴う) AR
ATPAF2 ミトコンドリア複合体Ⅴ(ATP合成酵素)欠損症・核遺伝子型1 AR
TMEM70 ミトコンドリア複合体Ⅴ欠損症・核遺伝子型2 AR
ATP5F1E(旧名:ATP5E) ミトコンドリア複合体Ⅴ欠損症・核遺伝子型3 AR
BCS1L ミトコンドリア複合体Ⅲ欠損症・核遺伝子型1/GRACILE症候群/ビョルンスタッド症候群 AR
TTC19 ミトコンドリア複合体Ⅲ欠損症・核遺伝子型2 AR
UQCRB ミトコンドリア複合体Ⅲ欠損症・核遺伝子型3 AR
UQCRQ ミトコンドリア複合体Ⅲ欠損症・核遺伝子型4 AR
TUFM 複合型酸化的リン酸化欠損症4型 2本とも変化があると発症する型(AR)として報告
PYY 病気との関係を研究中の遺伝子(OMIMに病気の登録はありません) —(病気の登録なし)

※合計56遺伝子:ACADM, ACADS, ACADVL, ALDH18A1, ARG1, ASL, ASS1, ATP5F1E, ATPAF2, BCKDHA, BCKDHB, BCS1L, BTD, CA5A, CPS1, CPT1A, CPT2, DBT, DLD, ETFA, ETFB, ETFDH, GLUD1, GLUL, HADHA, HADHB, HCFC1, HLCS, HMGCL, HMGCS2, IVD, MCCC1, MCCC2, MMAA, MMAB, MMACHC, MUT, NAGS, OAT, OTC, PC, PCCA, PCCB, PYY, SLC22A5, SLC25A13, SLC25A15, SLC25A20, SLC7A7, SUCLA2, SUCLG1, TMEM70, TTC19, TUFM, UQCRB, UQCRQ。ミトコンドリア病全般は核遺伝子ミトコンドリア病NGS遺伝子検査でも調べられます。

6. この検査でわかること・わからないこと

この検査でわかるのは、56遺伝子の文字(塩基)の小さな変化(1文字の置き換わりや、小さな欠けや入り込み)と、ある程度の大きさの欠失・重複です。一方で、遺伝子検査には必ず限界があります。

この検査は次世代シークエンサー(NGS)で、遺伝子のたんぱく質の設計図になる部分(エクソン)と、そのつなぎ目(スプライス部位)を読みます。読み取りの質が十分でなかった変化は、別の方法(サンガー法)でもう一度確かめます。欠失・重複は、遺伝子まるごと、または2つ以上続くエクソンの大きさのものを見つけることができ(2つ以上のエクソンは血液の検体の場合)、見つかったものは別の原理の方法(qPCR法やMLPA法)で確かめてから報告します。

  • ●見つけにくい変化:1つのエクソンだけの欠失・重複は、ふだんは検出されません。染色体の入れ替わり(転座・逆位)、繰り返し配列の伸び、遺伝子の働きを調節する部分(プロモーター)や、エクソンから20塩基より離れた深い部分(深部イントロン)の変化も、この検査の対象外です。OTC欠損症では、こうした深い部分の変化が標準的な検査で見逃された例が報告されています[2]。
  • ●よく似た配列:遺伝子とよく似た配列(偽遺伝子など)があると、まれに判定のじゃまになることがあります。
  • ●モザイク・がん組織:体の一部の細胞にだけある変化(体細胞モザイク)を調べる目的の検査ではありません。がんの組織の検査にも使えません。
  • ●意義がまだわからない変化(VUS):病気の原因かどうかまだ判断できない変化が見つかることがあります。ご希望により、VUSを報告に載せない設定(VUS除外・無料)も選べます。
  • ●陰性でも否定はできません:高アンモニア血症の原因は多く、このパネルに入っていない遺伝子の変化や、ほかの病気・環境の影響でも起こります。原因の変化が見つからなくても、病気を完全に否定することはできません。OTC欠損症でも、生化学的に確定した方のうち遺伝子検査で原因が見つかるのは80〜90%とされています[2]。
専門家向けの補足:読み取りの深さ(カバレッジ)

対象の領域の99%以上を、20回以上重ねて読み取ります(≥99% at 20x)。同じ場所を何度も読むほど、読み間違いと本当の変化を見分けやすくなります。

7. 結果が出たあと

結果は、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。結果だけをお送りすることはありません。陽性・陰性・VUSのそれぞれで、次にできることが違います。

病的変異が見つかったら、次にできること

原因の遺伝子がわかると、型が決まり、使える治療・食事の考え方・避けたほうがよい薬・病気のときの備え・ご家族の検査が、具体的に決まります。治療は先天代謝異常症を専門に診ている医療機関で行います。当院は、遺伝子検査と遺伝カウンセリング、ご家族の検査、出生前診断を担います。

① ご本人(症状がある方):治療と、病気・手術のときの備え
尿素サイクル異常症の長い期間の治療は、たんぱく質の量の調整、必要なアミノ酸の補充、アンモニアを体の外に出す薬(窒素排泄薬)が柱です[2]。急にアンモニアが上がったときは、透析などの腎代替療法がいちばん早くアンモニアを下げる方法とされ、たんぱく質を完全に止めるのは24時間以内にとどめることが勧められています[1]。コントロールが難しい場合には肝移植が検討されます[2]。

💊 日本で承認されている主な薬(2026年10月時点、添付文書で確認)

薬(一般名) 効能・効果(要点)
フェニル酪酸ナトリウム 尿素サイクル異常症
フェニル酪酸グリセロール 尿素サイクル異常症(2026年4月販売開始)
カルグルミン酸 NAGS欠損症、イソ吉草酸血症・メチルマロン酸血症・プロピオン酸血症による高アンモニア血症
アルギニン製剤 CPS欠損症・OTC欠損症・シトルリン血症・アルギニノコハク酸尿症、リジン尿性たんぱく不耐症(点滴は、飲み薬で調節できない急な悪化のとき)

※医薬品医療機器総合機構(PMDA)の添付文書による(2026年10月に確認)。どの薬を使うかは、型と状態に合わせて主治医が決めます。カルグルミン酸のように、型がわかってはじめて選べる薬があります。

避けたほうがよいものも、型で決まります。OTC欠損症では、バルプロ酸・ハロペリドール・絶食・ステロイド(命に関わる場合を除く)を避けるよう記載されており[2]、アルギニノコハク酸尿症でもバルプロ酸は避けるとされています[4]。シトリン欠損症では、第3章のとおり、糖質の多い食事や一部の点滴に注意が必要です[3]。熱が出たとき、吐いて食べられないとき、手術や出産のときにどうするかを、前もって主治医と決めておくことが大切です。難病情報センターも、吐く・飲めない・ぐったりするときは早めにアンモニアを測ること、熱や嘔吐・下痢の病気のときはとくに注意することを挙げています。

② 症状のないご本人(家族歴で受けた方・保因者だった方)
OTC欠損症の保因者とわかった女性は、ご自身も出産のあとや病気・薬をきっかけに症状が出ることがあるので、妊娠・出産や手術の前に、主治医と備えを相談できます[2]。潜性遺伝の型の保因者とわかった方は、ふだんの症状はありませんが、パートナーが同じ遺伝子の保因者かどうかで、お子さんへの確率が変わります(第8章)。

③ 子どもを持つときの選択肢(知ってから選べること)
ご家族の原因の変化がわかっていれば、妊娠中に赤ちゃんの遺伝子を羊水検査・絨毛検査で調べることができ、男の子・女の子どちらでも調べられるとされています[1]。絨毛・羊水からの胎児の出生前診断は当院で承っております。その病気で出生前診断を行えるかは、病気の重さや国内の指針を踏まえて個別に判断しますので、妊娠を考えている段階からご相談ください。リスクのある赤ちゃんは、すぐに対応できる専門施設でのお産と、生まれてすぐの検査・治療の準備が勧められています[1]。日本でも、日本産科婦人科学会の指針にもとづく審査を経て、PGT-Mが行われています(当院は体外受精・PGT-Mを行っていません)。準備に必要なことは海外でPGT-Mを考えている方へで解説しています。どれも選ばずに、そのまま出産を迎えることも、尊重される選択です。

④ ご家族
潜性遺伝の型では、患者さんのきょうだいは、25%の確率で発症、50%の確率で保因者、25%の確率でどちらでもない、とされています[1]。OTC欠損症では、お母さんが保因者なら、妊娠のたびに50%の確率で変化が受け継がれます。男の子は受け継ぐと発症し、女の子は保因者になります。発症した男性の娘は全員が保因者になり、息子には受け継がれません[2]。ご家族の中で原因がわかっていれば、ほかのご家族は同じ変化だけをピンポイントで調べられます。生まれたばかりのきょうだいは、すぐにアンモニアやアミノ酸を調べ、家族の変化がわかっていれば遺伝子検査も行うことが勧められています[1]。症状のない方の検査には、発症前の検査(予測的検査)や保因者検査があり、目的に応じた説明と同意のうえで、遺伝カウンセリングで知ることの意味を考えてから行います。

⑤ 当院でのその後
結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングでご説明し、次に何をするか(主治医への連絡、ご家族の検査、妊娠の計画)を一緒に考えます。遺伝カウンセリング料は30分22,000円(税込)です。

陰性・VUSだったとき

原因の変化が見つからなかった場合も、病気を完全に否定することはできません(第6章)。症状や生化学的な検査の結果に合わせて、全エクソーム検査などの次の検査を考えます。VUSは、それだけで診断やご家族の発症予測の根拠にはしません。ただし、病気との関係を検討するために、ご家族の検査を行うことがあります。研究が進んで、のちに意味がはっきりすることもあります。

結果の報告書(日本語版・英語版)と二次的所見

結果は、基本的に日本語版でお渡ししています。海外でPGT-Mを受けるなど、英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。報告書の読み方は遺伝子検査結果の見かたで解説しています。調べた目的と別の病気の原因が見つかった場合の扱いは、当院の二次的所見の開示方針をご覧ください。

8. 結婚・妊娠を考えるときに知っておきたいこと

結婚するか、子どもを持つかは、その人の生き方そのものに関わる大きな選択です。尿素サイクル異常症の当事者の方にとっても、きょうだいやご家族に患者さんがいる方にとっても、ご自身が変化を持っているか、パートナーが同じ遺伝子の保因者か、お子さんへの確率はどれくらいかを、妊娠の前に知っておくと、選べることが増えます。遺伝の確率は病気とご家族ごとに違い、検査で「わかること」があります。

いとこ同士の結婚と、潜性遺伝の病気

潜性(劣性)遺伝の病気は、両親がともに同じ遺伝子の保因者のときに、お子さんで4分の1の確率で起こります。血のつながりのあるご夫婦(いとこ同士など)は、同じご先祖から同じ変化を受け継いでいる可能性があるため、同じ遺伝子の保因者どうしになりやすくなります。ただし、どれくらい確率が変わるかはご家族によって違い、結婚そのものの良し悪しを決めるものではありません。気になる場合は、ご夫婦で保因者検査を受けて、実際の状況を知ることができます。

保因者検査で調べられる尿素サイクルの遺伝子

当院の拡大版保因者スクリーニング(女性版787遺伝子)には、OTC・ASS1・ASL・ARG1・CPS1・NAGS・SLC25A13・SLC25A15・SLC7A7・OATが含まれています(2026年10月に当院の遺伝子一覧で確認)。男性版は714遺伝子、さらに範囲の広い女性版1009遺伝子・男性版911遺伝子もあります。対象かどうかは、それぞれの遺伝子一覧でご確認ください。結婚前・妊娠前の検査の全体像は遺伝子ブライダルチェックで解説しています。妊娠中の方には、ご夫婦の保因者検査「ファミリーセーフティ プラス」(女性787遺伝子・男性714遺伝子、NIPTと同じ日に採血、単独では受けられません)もあります。ご夫婦とも保因者だった場合は、妊娠したときの羊水検査・絨毛検査まで当院で受けられます。

9. 日本の制度:指定難病・小児慢性特定疾病(2026年10月時点)

尿素サイクル異常症は、指定難病251に指定されています。難病情報センターによると、含まれるのはNAGS欠損症・CPS1欠損症・OTC欠損症・古典型シトルリン血症・アルギニノコハク酸尿症・アルギニン血症で、HHH症候群は今のところ指定難病の対象ではありません。シトリン欠損症は、この指定難病の記載には含まれていません(2026年10月時点で確認)。

18歳未満の方などが対象の小児慢性特定疾病(先天性代謝異常)には、NAGS欠損症、CPS1欠損症、OTC欠損症、シトルリン血症(アルギニノコハク酸合成酵素欠損症)、アルギニノコハク酸尿症、高アルギニン血症、シトリン欠損症、高オルニチン血症、リジン尿性蛋白不耐症が掲載されています(小児慢性特定疾病情報センター、2026年10月時点で確認)。医療費の助成を受けるには、それぞれの制度の認定の条件を満たし、申請する必要があります。遺伝子検査で型が確定していることは、病名をはっきりさせる手がかりになります。認定の基準は、難病情報センター・小児慢性特定疾病情報センターや、お住まいの自治体の窓口でご確認ください。

10. 検査の流れ・費用・結果までの日数・検体

検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。検体は唾液・口の内側の粘膜・血液などで、唾液と口の内側の粘膜ならオンライン診療でも受けられます。

ご予約
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遺伝カウンセリング臨床遺伝専門医・オンライン可
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検体の採取お支払いのあとキットを送付
▶
結果のご説明2〜3週間後・マイページへ

💴 費用・日数・検体

項目 内容
検査内容 高アンモニア血症・尿素サイクル異常症に関係する56遺伝子の塩基配列と、欠失・挿入(どちらも料金に含まれます)
検査費用 税込330,000円
遺伝カウンセリング料 30分22,000円(税込)※検査費用とは別
結果までの期間 2〜3週間
オプション 至急:結果までの期間が約7日短くなります(55,000円)/VUS除外(無料)
検体 血液(EDTA採血管4ml×2本)、抽出DNA(3μg)、口の内側の粘膜(頬粘膜スワブ)、唾液
オンライン診療 可能です。唾液・口の内側の粘膜でほとんどの検査ができ、血液の場合は全国の提携医療機関で採血していただきます。

※当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。オンラインの場合は、遺伝カウンセリング料金を事前にお支払いください。ご夫婦・カップルで同じ検査を同じ日に一緒に受ける場合は、遺伝カウンセリング料が1人分になります(検査費用の割引はありません)。

この検査は、遺伝診療先進国・米国の3大遺伝子検査会社の一角で行います。※

※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。

オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行ったあと、検体を当院にお送りいただく流れです。検体採取キットは、検査料金をお支払いいただいたあとにお送りします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。検体の取り違えを防ぎ、検査に必要な品質を保つためです。検査を受けるかどうかは、遺伝カウンセリングで説明を聞いて納得してから決めていただきます。

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唾液・口の内側の粘膜の検体なら、オンライン診療で全国から受けられます。結果は臨床遺伝専門医が直接ご説明してからマイページにアップします。

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11. 院長コラム

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【原因の名前がわかると、守り方が決まる】

私自身、希少な常染色体顕性(優性)遺伝性疾患の当事者です。子どもに病気を受け渡したくない、という遺伝の病気をもつ方の思いはよくわかります。また、お子さんが重い症状で発症したのをきっかけに、ご自身も同じ遺伝子の変化を持っていたとわかり、自分のせいだと責めてしまう親御さんを、何度も見てきました。私の当事者としての話は、遺伝性疾患の当事者として、臨床遺伝専門医になった理由に書いています。遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。

高アンモニア血症は、原因によって守り方がまるで違います。多くの尿素サイクル異常症ではたんぱく質の量を調整しますが、シトリン欠損症では糖質の多い食事が害になります。OTC欠損症の保因者の女性では、出産のあとや薬がきっかけになることがあります。原因の名前がわからないままでは、こうした備えを前もって立てられません。大人になってからの原因不明の意識障害でも、生まれつきの原因を考える意味があると、私は考えています。

遺伝子検査は、やってみないとわからないことを、何度も経験してきました。検査をしないと何も言えない、というのが私の確固たる考えです。たとえば、きょうだいのお子さんの病気をきっかけに念のため検査を受けた方に、まったく別の遺伝子の病的な変化が、体の一部の細胞だけにある状態(モザイク)で見つかったことがあります。ご本人は発症していませんでしたが、卵子や精子のもとになる細胞にもその変化があれば、お子さんが発症することがある病気でした。こうした経験から、当院では、検査を受けずにリスクだけをご説明することはしておりません。検査をせずにリスクをお伝えするほうが、かえって危険だと考えているためです。

わからないまま悩み続けるより、わかったことから次を考えるほうが前に進める、と考えています。知ったうえで結婚や妊娠を考えたい方には、保因者検査から出生前診断まで、当院で続けて支えられる体制を整えています。どの選択をされても、その選択を尊重します。

よくある質問(FAQ)

Q1. 高アンモニア血症は血液検査でわかりますか?

高アンモニア血症そのものは、血液のアンモニア値でわかります。新生児では、アンモニアが150μmol/L以上でほかの血液の値が正常なとき、尿素サイクル異常症を強く疑うとされています。原因を絞り込むにはアミノ酸分析や尿のオロト酸などを調べ、型の確定には遺伝子検査が役立ちます。

Q2. 尿素サイクル異常症の原因は何ですか?遺伝しますか?

肝臓でアンモニアを尿素に変える酵素や運び役のたんぱく質の設計図となる遺伝子の変化が原因です。OTC欠損症はX連鎖で、そのほかの型は常染色体潜性(劣性)遺伝です。潜性遺伝の型では、ご両親がともに保因者のとき、お子さん1人ごとに4分の1の確率で発症します。

Q3. 大人になってから尿素サイクル異常症が見つかることはありますか?

あります。酵素がある程度働く型では、症状はほぼどの年齢でも始まりうるとされ、病気・手術・長い絶食・出産の前後・たんぱく質のとりすぎがきっかけになります。シトリン欠損症の成人発症Ⅱ型シトルリン血症は、主に20〜50歳で発症します。

Q4. OTC欠損症の保因者の女性にも症状が出ますか?

出ることがあります。古い推計では保因者の女性の約15%に一生のあいだに症状が出るとされ、実際はもっと多い可能性があります。出産のあと、高たんぱく食、長い絶食、発熱、手術、バルプロ酸などの薬がきっかけになることが知られています。

Q5. シトリン欠損症では、食べてはいけないものがありますか?

シトリン欠損症では、糖質の多い食事やたんぱく質を減らす食事は、かえって害になるとされています。成人発症Ⅱ型シトルリン血症では、アルコールや、グリセロール・果糖の点滴にも注意が必要です。具体的な食事は、主治医や管理栄養士の指示に従ってください。

Q6. 尿素サイクル異常症の治療薬にはどのようなものがありますか?

日本では、アンモニアを体の外に出すフェニル酪酸ナトリウムとフェニル酪酸グリセロール、NAGS欠損症などに使うカルグルミン酸、アルギニン製剤が承認されています(2026年10月時点)。たんぱく質の量の調整も治療の柱で、コントロールが難しい場合は肝移植が検討されます。どの薬を使うかは型と状態で主治医が決めます。

Q7. 尿素サイクル異常症は難病(指定難病)ですか?何科で相談すればよいですか?

はい。尿素サイクル異常症は指定難病251で、NAGS欠損症・CPS1欠損症・OTC欠損症・古典型シトルリン血症・アルギニノコハク酸尿症・アルギニン血症が含まれます(2026年10月時点)。小児慢性特定疾病の対象にもなっています。治療は先天代謝異常症を専門に診ている医療機関で受け、遺伝子検査と遺伝カウンセリングは当院でお受けいただけます。

Q8. 家族に尿素サイクル異常症の人がいます。結婚や子どもへの遺伝が心配です。

遺伝の確率は、病気の型とご家族の状況によって違います。ご自身が変化を持っているか、パートナーが同じ遺伝子の保因者かを検査で知ることで、お子さんへの確率を具体的に考えられます。原因がわかっていれば、妊娠したときの羊水検査・絨毛検査による出生前診断も当院で相談できます。

🧬 一度の検査で、治療とご家族のこれからを考える

生まれ持った遺伝子は一生変わりません。高アンモニア血症の原因がわかれば、使える治療や食事の考え方、病気・手術・出産のときの備えだけでなく、お母さん・姉妹・きょうだいの検査や、結婚・妊娠の計画を考える手がかりになります。当院では臨床遺伝専門医が常駐し、検査の前後の遺伝カウンセリングから、羊水検査・絨毛検査による出生前診断の相談まで、院内で続けて受けていただけます。

お電話でのお問い合わせ:03-3478-3768

参考文献

  • [1] Simpson KL, MacLeod EL, Kakajiwala A, Gropman AL, Ah Mew N. Urea Cycle Disorders Overview. In: GeneReviews®. University of Washington, Seattle; 2003 (Updated 2025 Jul 3). [NCBI Bookshelf NBK1217]
  • [2] Lichter-Konecki U, Caldovic L, Morizono H, Simpson K, Ah Mew N, MacLeod E. Ornithine Transcarbamylase Deficiency. In: GeneReviews®. University of Washington, Seattle; 2013 (Updated 2022 May 26). [NCBI Bookshelf NBK154378]
  • [3] Song YZ, Oishi K, Saheki T. Citrin Deficiency. In: GeneReviews®. University of Washington, Seattle; 2005 (Updated 2025 Mar 20). [NCBI Bookshelf NBK1181]
  • [4] Nagamani SCS, Burrage LC, Lee B. Argininosuccinate Lyase Deficiency. In: GeneReviews®. University of Washington, Seattle; 2011 (Updated 2025 Aug 14). [NCBI Bookshelf NBK51784]
  • [5] Batshaw ML, Tuchman M, Summar M, Seminara J; Members of the Urea Cycle Disorders Consortium. A longitudinal study of urea cycle disorders. Mol Genet Metab. 2014;113:127-130. [DOI: 10.1016/j.ymgme.2014.08.001](PMID: 25135652)
  • [6] Häberle J, Burlina A, Chakrapani A, et al. Suggested guidelines for the diagnosis and management of urea cycle disorders: First revision. J Inherit Metab Dis. 2019;42(6):1192-1230. [DOI: 10.1002/jimd.12100](PMID: 30982989)
  • [7] Takahashi Y, Date H, Oi H, et al. Six years’ accomplishment of the Initiative on Rare and Undiagnosed Diseases: nationwide project in Japan to discover causes, mechanisms, and cures. J Hum Genet. 2022;67(9):505-513. [DOI: 10.1038/s10038-022-01025-0]

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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