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先天性腎尿路異常(CAKUT)の遺伝子検査|生まれつき腎臓が一つ・小さい・多嚢胞性異形成腎の原因を88遺伝子で調べる

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

先天性腎尿路異常(CAKUT)の遺伝子検査

先天性腎尿路異常(CAKUT)の遺伝子検査は、生まれつき腎臓が一つ・小さい・形が違う(腎無形成・低形成腎・異形成腎・多嚢胞性異形成腎など)原因になる88の遺伝子を、一度に調べる検査です。原因がわからないまま経過を見てきた方にとって、原因がわかれば、腎臓以外に気をつけたい臓器や、ご家族・次のお子さんへの影響を具体的に考えられるようになります。生まれ持った遺伝子は一生変わりません。一度の検査でわかったことは、ご自身の健康管理だけでなく、これからの妊娠・出産の計画や、ご家族の健康を考えるときにも、ずっと役に立ちます。このページでは、検査で何がわかり、何がわからないか、結果が出たあとに何ができるかを、臨床遺伝専門医が解説します。

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. 先天性腎尿路異常(CAKUT)の遺伝子検査で何がわかりますか?

腎臓・尿管・膀胱の形の異常の原因になる88の遺伝子に、病気の原因となる変化があるかを調べます。鰓耳腎症候群・腎嚢胞糖尿病症候群(HNF1B)など、腎臓以外の臓器にも関わる病気がわかることがあります。

🧬 Q. どんな人が受けるとよいですか?

生まれつき腎臓が一つ・小さい・形が違うと言われた方、多嚢胞性異形成腎・水腎症・膀胱尿管逆流がある方、耳・目・指などほかの症状もある方、ご家族に同じ異常がある方、胎児エコーで腎臓の異常を言われたことがある方です。

🧬 Q. 費用・日数・検体は?

税込330,000円・結果まで2〜3週間です。検体は血液・唾液・頬の内側の粘膜で、オンライン診療でもお受けできます。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。

🧬 Q. 結果のあとはどうなりますか?

結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。原因がわかれば、ご家族の検査や、妊娠したときの出生前診断(絨毛検査・羊水検査)を院内で計画できます。意義がまだわからない変化(VUS)が見つかることもあります。

\ 一生変わらない遺伝子を知って、これからの計画に /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

検査の前に臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明します。

お問い合わせはこちら | どの検査がよいか迷う方へ

1. 先天性腎尿路異常(CAKUT)とは:生まれつき腎臓が一つ・小さい・形が違う病気のまとまり

先天性腎尿路異常(CAKUT)は、おなかの中で腎臓・尿管・膀胱・尿道ができるときに形がうまく作られなかった状態を、まとめて呼ぶ名前です。英語のCongenital Anomalies of the Kidney and Urinary Tractの頭文字をとって、CAKUT(カクート)と呼ばれます。「生まれつき腎臓が一つしかない」「腎臓が小さい」「腎臓に水がたまっている」と言われた状態の多くが、このまとまりに入ります。

腎臓の形の異常と、尿の通り道(尿路)の異常は、一人の方に重なって見つかることもあります。病気の成り立ちや、型ごとの長い経過は、先天性腎尿路異常(CAKUT)の詳しい解説で取り上げています。このページでは、遺伝子検査を受けるかどうかを決めるために必要なことを中心にお伝えします。

腎臓の異常と尿路の異常

🫘 先天性腎尿路異常(CAKUT)に含まれる主な状態

名前 どんな状態か
腎無形成(片腎) 片方(まれに両方)の腎臓ができていない状態。「生まれつき腎臓が一つ」と言われるもののひとつ
低形成腎 腎臓が小さく、腎臓の働きの単位(ネフロン)が少ない状態
異形成腎 腎臓の組織がうまく育たず、形や構造が正常と違う状態
多嚢胞性異形成腎 腎臓が大小の袋(嚢胞)の集まりに置きかわり、ほとんど働かない状態
水腎症・腎盂尿管移行部狭窄 尿が流れにくく、腎臓で尿が集まる部分(腎盂)が広がっている状態
膀胱尿管逆流 膀胱にたまった尿が、尿管・腎臓の方へ逆流する状態
後部尿道弁 男の子の尿道に膜があり、尿の流れを妨げる状態

※両側の腎臓がほとんど働かないと、胎児期に羊水が少なくなり、肺や顔つきにも影響が出ることがあります(ポッターシーケンス)。

子どもの慢性腎臓病のいちばん大きな原因

先天性腎尿路異常は、日本の子どもの慢性腎臓病のいちばん大きな原因です。日本の小児の慢性腎臓病(ステージ3〜5)447人を追った研究では、278人(約62%)の原因が先天性腎尿路異常でした[1]。一方で、片方の腎臓だけの軽い異常では、健康な方と同じように暮らしている方も多く、重さには大きな幅があります。

多嚢胞性異形成腎は、小児慢性特定疾病情報センターの解説で、出生4,300人に1人と、先天性腎尿路奇形の中では頻度が高いとされています。嚢胞は自然に小さくなることが多いとされます(2026年10月時点で確認)。同じ頻度は、観察研究をまとめた解析でも示されており、その解析では、反対側の腎臓にも約3人に1人で異常(主に膀胱尿管逆流)が見つかっていました[2]。

2. 生まれつき腎臓が一つ・小さいのは遺伝?原因と、遺伝子でわかる割合

生まれつき腎臓が一つ・小さいことには、遺伝子の変化・染色体の変化・おなかの中の環境が関わり、遺伝子や染色体の検査で原因がはっきりするのは一部の方です。それでも、原因がわかった方では、腎臓以外の見張りや、ご家族への影響が具体的に考えられるようになります。

原因は遺伝子・染色体・環境(17q12欠失とHNF1Bを含む)

約2,000人の先天性腎尿路異常の患者さん(主に欧州の集団)を調べた2025年の研究では、遺伝子(エクソーム)とマイクロアレイの解析で原因が確定したのは205人(10.3%)、確定に近い候補まで含めると14.1%でした。原因になっていた染色体の構造の変化のうち、いちばん多かったのは17q12欠失(72人中29人、40.3%)でした[3]。

17q12欠失で失われる領域にはHNF1B遺伝子が含まれます。HNF1Bは、腎臓の発生にかかわる病気の原因として、単一の遺伝子では最も多いことがわかっている遺伝子です。腎臓の嚢胞がいちばんよくみられる所見で、腎臓の形の異常や電解質の異常、糖尿病、生殖器の形の異常、肝臓の異常、痛風なども起こりうるとされています[4]。くわしくは腎嚢胞糖尿病症候群(RCAD)と17q12微小欠失症候群のページをご覧ください。

妊娠中の環境(母体の病気や薬など)が関わることもあるとされますが、一人ひとりの原因をそこから決めることはできません。原因を調べる手がかりになるのが、遺伝子検査です。

腎臓だけの場合と、ほかの症状を伴う場合では、見つかる割合が違う

同じ2025年の研究では、腎臓以外にも形の異常がある方で、原因が見つかる割合が高くなっていました(12%と9%)[3]。耳の形や難聴、目、指、肛門、心臓、性器などにも異常がある場合は、鰓耳腎症候群やタウンズ・ブロックス症候群のような、全身にかかわる病気(症候群)の可能性を考えます。

親やきょうだいの超音波で、同じ異常が見つかることがある

ご家族に同じ異常があることに、誰も気づいていない場合があります。トルコの1施設で、先天性腎尿路異常のお子さん218人のご家族を調べた研究では、症状のない第一度近親者(親・きょうだい・子)を超音波で調べると、116人(23%)に腎臓や尿路の異常が新たに見つかりました。家族歴と超音波の結果をあわせると、180家系のうち92家系(51.1%)で、ほかにも異常のある第一度近親者がいました[5]。

同じ遺伝子の変化を持っていても、症状が出ない方や、軽い方がいます。これを「浸透率が100%ではない」「表現型の多様性」といいます。2025年の研究でも、顕性遺伝の原因がわかり家族の情報があった25人のうち、5人は異常を指摘されていない親から変化を受け継いでいました[3]。

⚠️ 「親が元気だから、子どもも軽い」とは言えません

ご両親に症状がなくても、同じ変化を受け継いだお子さんで重い異常が出ることがあります。反対に、お子さんの異常をきっかけに、ご両親のどちらかが同じ変化を持っていたとわかることもあります。遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。前もって知っておくことは、その後の選択肢を増やすことにつながります。

3. どんな人がこの遺伝子検査を受けるとよいか

生まれつき腎臓の形の異常があり、原因を知りたい方、ご家族の情報がほしい方、妊娠を考えている方に向く検査です。見た目や家族歴だけでは判断できないことが多いので、迷ったら、まず遺伝カウンセリングで状況をお聞かせください。

  • ●生まれつき腎臓が一つ(腎無形成)、腎臓が小さい(低形成腎)、異形成腎、多嚢胞性異形成腎と言われた方
  • ●水腎症・膀胱尿管逆流・後部尿道弁など、尿路の異常がある方
  • ●耳の形・難聴、目(コロボーマなど)、指、肛門、心臓、性器などにも異常がある方
  • ●原因のわからない腎臓の働きの低下が、子どものころからある方
  • ●ご家族に、腎臓の形の異常や、若いころからの腎臓病の方がいる方
  • ●胎児エコーで腎臓や尿路の異常を指摘されたお子さんがいて、次の妊娠を考えている方

遺伝子検査の基本(何がわかり、何がわからないか)は、遺伝子検査とはでも解説しています。

💡 やってみないとわからない

遺伝子検査は、やってみないとわからないことを、何度も経験してきました。検査をしないと何も言えない、というのが私の確固たる考えです。たとえば、きょうだいのお子さんの病気をきっかけに念のため検査を受けた方に、まったく関係のない別の遺伝子の病的な変化が、体の一部の細胞だけにある状態(モザイク)で見つかったことがあります。ご本人は発症していませんでしたが、卵子や精子のもとになる細胞にもその変化があれば、お子さんが発症することがある病気でした。こうした経験から、当院では、検査を受けずにリスクだけをご説明することはしておりません。検査をせずにリスクをお伝えするほうが、かえって危険だと考えているためです。(院長 仲田洋美)

受けなくてよい場合・別の検査が向く場合

腎臓の異常が、尿路の感染症や結石などのあとから起きたものとはっきりしている場合は、この検査の対象ではありません。また、知的な発達の遅れや多くの臓器の異常がある場合は、大きな染色体の変化(17q12欠失など)も含めて調べるマイクロアレイ染色体検査や、主にたんぱく質を作る領域を広く調べる全エクソーム検査(WES)・全ゲノム検査のほうが向いていることがあります。

尿・血液の検査や画像の結果から、どのパネルを選ぶか

🔍 腎臓の遺伝子検査の選び方

こんなとき 向いている検査
腎臓が一つ・小さい・形が違う、水腎症・膀胱尿管逆流 このページの先天性腎尿路異常(CAKUT)パネル(88遺伝子)
耳の形の異常・首のあな・難聴と、腎臓の異常 鰓耳腎症候群の遺伝子検査(このパネルと重なる3遺伝子にしぼった検査)
腎臓に嚢胞がたくさんある 多発性嚢胞腎パネル・多発性嚢胞腎・ネフロン癆パネル・ネフロン癆パネル
血尿があり、難聴や目の異常もある アルポート症候群パネル
蛋白尿・ネフローゼ症候群 ネフローゼ症候群・糸球体性蛋白尿パネル・ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群パネル
血液の酸・カリウム・マグネシウムの異常 尿細管性アシドーシスパネル・低マグネシウム血症パネル・偽性低アルドステロン症2型パネル
子どものころから結石・腎石灰化をくり返す 原発性高シュウ酸尿症パネル
腎臓以外の症状が多く、病気をしぼれない マイクロアレイ染色体検査・全エクソーム検査

※どの検査が合うかは、画像・検査値・ご家族の情報で変わります。遺伝カウンセリングで一緒に決めます。

\ 次のお子さんのことを、具体的に考えるために /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

原因がわかれば、次のお子さんで同じことが起こる可能性と、次の妊娠での備え方を具体的に考えられます。当院では羊水検査・絨毛検査を院内で受けられます。

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4. 胎児エコーで腎臓の異常(水腎症・多嚢胞性異形成腎など)を言われた方へ

胎児エコーで腎臓の異常を言われたら、まずは異常の種類と程度、ほかの臓器にも異常がないかを確かめることが出発点です。腎臓の異常は、軽い水腎症のように生まれたあと自然に良くなるものから、両方の腎臓がほとんど働かないものまで幅があります。胎児の腎盂が広がって見える状態については、胎児尿路拡張(胎児水腎症)や胎児膀胱肥大(巨大膀胱)のページでも解説しています。

まず遺伝カウンセリングと、診断のための検査を考える

米国産科婦人科学会(ACOG)の指針は、胎児の超音波で形の異常が見つかったときは、遺伝カウンセリングと、遺伝の病気を調べる診断のための検査を提案すべきとしています[6]。染色体の大きな変化を調べるのか、遺伝子まで調べるのかは、見つかった異常の種類やほかの所見によって変わります。

赤ちゃんの遺伝子を調べる方法(絨毛・羊水、出生前の全エクソーム・全ゲノム)

赤ちゃんの細胞を調べるには、絨毛検査か羊水検査が必要です。当院では、羊水検査・絨毛検査を院内で行っており(2025年6月から産婦人科を併設)、染色体の検査に加えて、出生前全エクソーム(WES)検査や出生前全ゲノム(WGS)検査もご相談いただけます。ご家族で原因の遺伝子の変化がわかっていれば、次の妊娠で、赤ちゃんに同じ変化があるかをピンポイントで調べられます。

当院のNIPTで調べられる、この検査の遺伝子

この検査の88遺伝子のうち、一部は、赤ちゃんで新しく起きた遺伝子の変化を調べる当院のNIPTでも調べられます。FGFR2・FREM1・NIPBLはダイヤモンドプランとインペリアルプランの両方、GLI3はダイヤモンドプランだけ、ACTG2・FOXP1・PIK3CAはインペリアルプランだけが対象です。当院のNIPTは妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。陽性の場合は、確定検査(羊水検査・絨毛検査)を院内で受けられます。

ただし、NIPTはスクリーニング検査で、腎臓の形の異常の原因になる遺伝子の多くは、NIPTでは調べられません。胎児エコーで異常が見つかっている場合は、まず確定のための検査を考えます。

5. この検査で調べる88遺伝子と、関係する病気

この検査では、腎臓・尿路の形の異常と関係が報告されている88の遺伝子を、まとめて調べます。腎臓だけの異常の原因になる遺伝子に加えて、腎臓以外にも症状が出る症候群の遺伝子が含まれています。

腎臓以外の症状から見つかる、主な症候群

🧩 腎臓の異常を伴うことがある主な症候群

症候群 主な原因遺伝子 腎臓以外の主な特徴
鰓耳腎症候群 EYA1・SIX1(SIX5も検査対象ですが、鰓耳腎症候群の原因遺伝子としての関連は確立していません) 首のあな(瘻孔)、耳の前のあな、耳の形の異常、難聴
タウンズ・ブロックス症候群 SALL1 肛門の異常、耳の形の異常、親指の形の異常
乳頭腎症候群(腎コロボーマ症候群) PAX2 目の視神経乳頭の異常(コロボーマ)
HDR症候群 GATA3 副甲状腺機能低下症、感音難聴
腎嚢胞糖尿病症候群 HNF1B 糖尿病、膵臓・肝臓の異常、生殖器の形の異常
フレイザー症候群 FRAS1・FREM2・GRIP1 まぶたが癒着した目(潜伏眼球)、指の癒合
パリスター・ホール症候群 GLI3 多指症、視床下部の過誤腫
コルネリア・デ・ランゲ症候群 NIPBL 特徴的な顔つき、成長の遅れ、手足の形の異常
デニス・ドラッシュ症候群・フレイジャー症候群 WT1 性の分化の違い、ウィルムス腫瘍(腎臓のがん)
バルデー・ビードル症候群 BBS1・BBS2・ARL6・TTC8 網膜の病気、肥満、多指症
スミス・レムリ・オピッツ症候群 DHCR7 コレステロールを作る働きの異常、発達の遅れ
ファンコニ貧血 FANCB・FANCI・FANCL 骨髄の働きの低下、親指・前腕の異常
X連鎖カルマン症候群 ANOS1 思春期が来ない(性腺機能低下症)、嗅覚の低下

※病名と遺伝子の対応はOMIMの登録(ヒト表現型オントロジーの注釈データ経由、2025年1月版)による。腎臓以外の特徴は主なものだけを記載。

鰓耳腎症候群が疑われる場合の検査の選び方は、鰓耳腎症候群の遺伝子検査でもご案内しています。コルネリア・デ・ランゲ症候群やバルデー・ビードル症候群が主に疑われる場合は、コルネリア・デ・ランゲ症候群パネルやバルデー・ビードル症候群パネルも選べます。

88遺伝子の一覧(遺伝子・関係する病気・遺伝のしかた)

🧬 先天性腎尿路異常(CAKUT)パネルで調べる88遺伝子

遺伝子 関係する主な病気 遺伝のしかた
ACE 腎尿細管形成不全 常染色体潜性(劣性)
ACTG2 内臓ミオパチー1型/巨大膀胱短小結腸腸管蠕動不全症候群5型 常染色体顕性(優性)
AFF3 KINSSHIP症候群 常染色体顕性(優性)
AGT 腎尿細管形成不全 常染色体潜性(劣性)
AGTR1 腎尿細管形成不全 常染色体潜性(劣性)
ANOS1 X連鎖カルマン症候群(低ゴナドトロピン性性腺機能低下症1型) X連鎖潜性(劣性)
ARL6 バルデー・ビードル症候群3型/網膜色素変性症55型 常染色体潜性(劣性)
ATN1 歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)/先天性筋緊張低下・てんかん・発達の遅れ・指の異常を伴う症候群 常染色体顕性(優性)
BBS1 バルデー・ビードル症候群1型 常染色体潜性(劣性)
BBS2 バルデー・ビードル症候群2型/網膜色素変性症74型 常染色体潜性(劣性)
BMP4 症候群性小眼球症6型 常染色体顕性(優性)
BMP7 病気との関係を研究中の遺伝子(OMIMに病気の登録なし) (登録なし)
BNC2 先天性下部尿路閉塞 常染色体顕性(優性)
CCNQ STAR症候群 X連鎖顕性(優性)
CDC5L 病気との関係を研究中の遺伝子(OMIMに病気の登録なし) (登録なし)
CENPF ストロンメ症候群 常染色体潜性(劣性)
CEP55 多核神経細胞・無羊水・腎異形成・小脳低形成・水無脳症を伴う症候群 常染色体潜性(劣性)
CHD1L 病気との関係を研究中の遺伝子(OMIMに病気の登録なし) (登録なし)
CPLANE1 ジュベール症候群17型/口顔指症候群6型 常染色体潜性(劣性)
DCHS1 ファン・マルデルゲム症候群1型(常染色体潜性(劣性))/粘液腫様僧帽弁逸脱2型(常染色体顕性(優性)) 病気により異なる
DHCR7 スミス・レムリ・オピッツ症候群 常染色体潜性(劣性)
DSTYK 先天性腎尿路異常(なりやすさ)(常染色体顕性(優性))/痙性対麻痺23型(常染色体潜性(劣性)) 病気により異なる
EYA1 鰓耳腎症候群1型/鰓耳症候群1型/耳顔頸症候群 常染色体顕性(優性)
FANCB ファンコニ貧血B群/X連鎖VACTERL連合 X連鎖潜性(劣性)
FANCI ファンコニ貧血I群 常染色体潜性(劣性)
FANCL ファンコニ貧血L群 常染色体潜性(劣性)
FAT4 ファン・マルデルゲム症候群2型/ヘネカム症候群2型 常染色体潜性(劣性)
FGF20 腎低形成・無形成2型 常染色体潜性(劣性)
FGFR2 アペール症候群・クルーゾン症候群・ファイファー症候群などの頭蓋骨縫合早期癒合症 常染色体顕性(優性)
FOXC1 アクセンフェルド・リーガー症候群3型/前眼部形成不全3型 常染色体顕性(優性)
FOXC2 リンパ浮腫・睫毛重生症候群 常染色体顕性(優性)
FOXP1 言語の障害を伴う知的障害(自閉的な特徴を伴うことがある) 常染色体顕性(優性)
FRAS1 フレイザー症候群 常染色体潜性(劣性)
FREM1 BNAR症候群/マニトバ眼毛髪肛門症候群(常染色体潜性(劣性))/三角頭蓋2型(常染色体顕性(優性)) 病気により異なる
FREM2 フレイザー症候群2型/孤立性潜伏眼球 常染色体潜性(劣性)
GATA3 HDR症候群(副甲状腺機能低下症・感音難聴・腎異形成) 常染色体顕性(優性)
GLI3 パリスター・ホール症候群/グレイグ頭蓋多合指症候群/多指症 常染色体顕性(優性)
GRIP1 フレイザー症候群3型 常染色体潜性(劣性)
HAAO 椎骨・心臓・腎臓・四肢の異常症候群1型 常染色体潜性(劣性)
HNF1B 腎嚢胞糖尿病症候群(RCAD) 常染色体顕性(優性)
HOXA13 手足子宮症候群 常染色体顕性(優性)
HOXA4 病気との関係を研究中の遺伝子(OMIMに病気の登録なし) (登録なし)
HOXB6 病気との関係を研究中の遺伝子(OMIMに病気の登録なし) (登録なし)
HPSE2 尿路顔面症候群 常染色体潜性(劣性)
HSPA9 EVEN-PLUS症候群(常染色体潜性(劣性))/鉄芽球性貧血(常染色体顕性(優性)) 病気により異なる
ITGA8 腎低形成・無形成1型 常染色体潜性(劣性)
KCTD1 頭皮・耳・乳頭症候群 常染色体顕性(優性)
KYNU 椎骨・心臓・腎臓・四肢の異常症候群2型/ヒドロキシキヌレニン尿症 常染色体潜性(劣性)
LIFR シュトゥーヴェ・ヴィーデマン症候群 常染色体潜性(劣性)
LRP4 セナーニ・レンツ合指症候群/先天性筋無力症候群17型 常染色体潜性(劣性)
MBTPS2 IFAP症候群(BRESHECK症候群を含む)ほか X連鎖潜性(劣性)
MUC1 常染色体顕性尿細管間質性腎疾患(ADTKD-MUC1) 常染色体顕性(優性)
MYH9 MYH9異常症(巨大血小板症・腎炎・難聴を伴うことがある) 常染色体顕性(優性)
NAA10 オグデン症候群/症候群性小眼球症1型 X連鎖
NFIA 脳の形成異常(尿路の異常を伴うことがある) 常染色体顕性(優性)
NIPBL コルネリア・デ・ランゲ症候群1型 常染色体顕性(優性)
NRIP1 先天性腎尿路異常3型 常染色体顕性(優性)
PAX2 乳頭腎症候群(腎コロボーマ症候群)/巣状分節性糸球体硬化症7型 常染色体顕性(優性)
PBX1 難聴・耳の異常・発達の遅れを伴うことがある先天性腎尿路異常症候群 常染色体顕性(優性)
PDE6D ジュベール症候群22型 常染色体潜性(劣性)
PIK3CA PIK3CA関連過成長(多くは体の一部の細胞だけに変化がある体細胞モザイク) 多くは親から受け継がない
PUF60 フェルハイ症候群 常染色体顕性(優性)
REN 腎尿細管形成不全(常染色体潜性(劣性))/常染色体顕性尿細管間質性腎疾患4型(常染色体顕性(優性)) 病気により異なる
RET ヒルシュスプルング病(なりやすさ)/多発性内分泌腫瘍症2型 常染色体顕性(優性)
RMND1 複合酸化的リン酸化欠損症11型 常染色体潜性(劣性)
RNU4ATAC 小頭症骨異形成性原発性小人症1型/ロイフマン症候群/ローリー・ウッド症候群 常染色体潜性(劣性)
ROBO1 神経眼腎症候群(常染色体潜性(劣性))/下垂体ホルモン欠損症8型(常染色体顕性(優性)) 病気により異なる
ROBO2 膀胱尿管逆流2型 常染色体顕性(優性)
SALL1 タウンズ・ブロックス症候群1型 常染色体顕性(優性)
SALL4 デュアン・橈骨列症候群/IVIC症候群 常染色体顕性(優性)
SIX1 鰓耳腎症候群1型/鰓耳症候群3型/非症候群性難聴23型 常染色体顕性(優性)
SIX2 病気との関係を研究中の遺伝子(OMIMに病気の登録なし) (登録なし)
SIX5 鰓耳腎症候群2型との関連が報告されましたが、現在は原因遺伝子としての関連に異議があり、確立していません 鰓耳腎症候群との関連は未確立
SLIT2 病気との関係を研究中の遺伝子(OMIMに病気の登録なし) (登録なし)
SOX11 コフィン・シリス症候群9型 常染色体顕性(優性)
SOX17 膀胱尿管逆流3型 常染色体顕性(優性)
SRGAP1 非髄様甲状腺がん2型(なりやすさ) 常染色体顕性(優性)
STRA6 症候群性小眼球症9型 常染色体潜性(劣性)
TBC1D1 病気との関係を研究中の遺伝子(OMIMに病気の登録なし) (登録なし)
TBX18 先天性腎尿路異常2型 常染色体顕性(優性)
TNXB 膀胱尿管逆流8型(常染色体顕性(優性))/古典型に似たエーラス・ダンロス症候群(常染色体潜性(劣性)) 病気により異なる
TRAP1 病気との関係を研究中の遺伝子(OMIMに病気の登録なし) (登録なし)
TTC8 バルデー・ビードル症候群8型/網膜色素変性症51型 常染色体潜性(劣性)
UMOD 常染色体顕性尿細管間質性腎疾患(ADTKD-UMOD) 常染色体顕性(優性)
UPK3A 病気との関係を研究中の遺伝子(OMIMに病気の登録なし) (登録なし)
WDR35 頭蓋外胚葉異形成症2型/短肋骨胸郭異形成症7型 常染色体潜性(劣性)
WNT4 腎臓・副腎・肺の形成不全を伴う46,XX性分化疾患(常染色体潜性(劣性))/ミュラー管無形成と高アンドロゲン血症(常染色体顕性(優性)) 病気により異なる
WT1 デニス・ドラッシュ症候群/フレイジャー症候群/ウィルムス腫瘍ほか 常染色体顕性(優性)

※病名と遺伝のしかたは、OMIMの登録をもとにしたヒト表現型オントロジー(HPO)の注釈データ(2025年1月版)による。1つの遺伝子で複数の病気がある場合は主なものを記載。「研究中」の遺伝子は、腎臓・尿路の形の異常との関係が研究で報告されているが、OMIMに病気としての登録がまだない遺伝子。遺伝のしかたの基本は常染色体顕性(優性)遺伝・常染色体潜性(劣性)遺伝で解説しています。

6. この検査でわかること・わからないこと

この検査でわかるのは、88の遺伝子の小さな変化(1文字の変化や、小さな挿入・欠失)と、遺伝子まるごと・連続する2つ以上のエクソンの大きな欠失・重複です。一方で、どの遺伝子検査にも限界があります。

わかること

  • ●遺伝子の配列の変化:主に、たんぱく質の設計図にあたる部分(エクソン)と、そのつなぎ目(スプライス部位)の変化。RNU4ATACのように、たんぱく質を作らずRNAとして働く遺伝子も対象に含まれます
  • ●遺伝子の大きな欠失・重複:遺伝子まるごと(血液・頬の粘膜の検体)や、連続する2つ以上のエクソンの欠失・重複(血液の検体のみ)。見つかったものは、別の原理の方法(qPCR法やMLPA法)でもう一度確かめてから報告します
  • ●読み取りの精度:調べる領域の99%以上を、20回以上くり返し読み取ります。読み取りが不十分なところは、サンガー法で補います

わからないこと

  • ●大きな染色体の変化の全体像:17q12欠失のように、いくつもの遺伝子にまたがる欠失は、範囲全体を調べるにはマイクロアレイ染色体検査が向いています
  • ●1つのエクソンだけの欠失・重複:見つかることはありますが、いつも検出できるわけではありません
  • ●そのほかの変化:染色体の転座・逆位、繰り返し配列の伸び、遺伝子のスイッチの部分(プロモーター)や、エクソンから離れたイントロンの変化
  • ●モザイク:体の一部の細胞にだけある変化は、検出を目的に作られていません。とくにPIK3CAの変化の多くはモザイクのため、見つからなくても関連する過成長の病気は否定できません
  • ●遺伝子ごとの限界:MUC1の繰り返し配列(VNTR)の中にある病気の原因の変化と、HOXA13の繰り返し配列の伸びは調べられません

陰性でも否定できない・意義がまだわからない変化(VUS)

原因が見つからなくても、先天性腎尿路異常を否定することにはなりません。先に紹介した研究でも、原因が確定したのは1割ほどで[3]、まだ原因のわかっていない遺伝子や、この検査で見つけにくい変化が残っている可能性があります。また、病気の原因かどうかまだ判断できない変化(VUS)が見つかることもあります。VUSは、それだけで診断や、ご家族の検査に使うことはしません。

7. 病的変異が見つかったら、次にできること

原因の遺伝子がわかると、病名が決まり、腎臓以外に何を見張ればよいか、ご家族や次のお子さんにどう影響するかを、具体的に考えられるようになります。わかるだけで終わらせず、次の一手につなげるのが、この検査の目的です。結果は、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。

ご本人(症状がある方):病名が決まり、見張る臓器がわかる

  • ●腎臓の経過観察:血圧・尿の蛋白・腎臓の働きを、腎臓内科・小児腎臓の専門の医療機関で定期的に確かめます(当院は腎臓の治療・透析・移植は行っていません)
  • ●HNF1Bの変化なら:糖尿病・膵臓・肝臓・電解質の見張りにつながります[4]。糖尿病についてはMODY・新生児糖尿病の遺伝子検査のページもご覧ください
  • ●鰓耳腎症候群・HDR症候群などなら:聴力の検査につながります(症候性難聴の遺伝子検査)
  • ●PAX2の変化なら:目(視神経乳頭)の検査につながります(小眼球症・眼球コロボーマの遺伝子検査)
  • ●WT1の変化なら:腎臓の腫瘍(ウィルムス腫瘍)や性の分化に関わる見張りにつながります

症状のないご家族:同じ変化をピンポイントで調べられる

原因の変化がわかると、ご両親・きょうだい・お子さんは、同じ変化を持っているかを、その1か所だけで調べられます。先に紹介したように、症状のないご家族に異常が見つかることは珍しくありません[5]。ご家族の誰かが腎臓移植のドナーになることを考えるときにも、同じ変化を持っていないかの確認が、判断の材料のひとつになります。症状のない方の検査は、ご本人の同意のうえで、遺伝カウンセリングを経て行います。

次のお子さん・ご自身の妊娠:確率がわかり、出生前診断を計画できる

  • ●常染色体顕性(優性)遺伝の変化を親が持っている場合:お子さん1人あたり2分の1の確率で受け継ぎます。症状の重さは同じとは限りません
  • ●常染色体潜性(劣性)遺伝の場合:ご両親がともに保因者なら、次のお子さんが発症する確率は4分の1です
  • ●X連鎖の場合(ANOS1・FANCBなど):お母さんが保因者かどうかで確率が変わります
  • ●お子さんで新しく起きた変化(de novo)の場合:確率は低くなりますが、ゼロではありません。親の卵子や精子のもとになる細胞だけに変化がある場合があるためです(性腺モザイク)

ご家族で原因の遺伝子の変化がわかっていれば、妊娠したときに、赤ちゃんで同じ変化があるかを調べられます。絨毛・羊水からの胎児の出生前診断は当院で承っております。その病気で出生前診断を行えるかは、病気の重さや国内の指針を踏まえて個別に判断しますので、妊娠を考えている段階からご相談ください。潜性遺伝の遺伝子が原因の場合は、パートナーの拡大版保因者スクリーニングや、妊娠中にNIPTと同じ日に採血できるカップルの保因者検査「ファミリーセーフティ プラス」も選べます(その遺伝子が対象かどうかは、それぞれの遺伝子一覧でご確認ください)。

日本でも、日本産科婦人科学会の指針にもとづく審査を経て、着床前遺伝学的検査(PGT-M)が行われています(当院は体外受精・PGT-Mを行っていません)。準備に必要なことは、海外でPGT-Mを考えている方へで解説しています。

当院でのその後

結果をお伝えしたあとも、遺伝カウンセリングで、ご家族の検査、妊娠の計画、腎臓以外の見張りなど、次にどうするかを一緒に考えます。二次的所見(調べた目的とは別の病気の原因が見つかること)の扱いは、当院の二次的所見の開示方針をご覧ください。

8. 日本の制度(2026年10月時点)

小児慢性特定疾病の「慢性腎疾患」には、腎奇形として、低形成腎・腎無形成・ポッター(Potter)症候群・多嚢胞性異形成腎・鰓耳腎症候群などが掲載されています。小児慢性特定疾病情報センターの疾患一覧(2026年10月時点で確認)では、腎奇形の項目に、多発性嚢胞腎・低形成腎・腎無形成・ポッター症候群・多嚢胞性異形成腎・寡巨大糸球体症・鰓耳腎症候群と、「これら以外の腎奇形」が並んでいます。

医療費の助成を受けるには、それぞれの認定の基準を満たし、申請する必要があります。認定の基準や申請の方法は、小児慢性特定疾病情報センターや、お住まいの自治体の窓口でご確認ください。

9. 検査の流れ・費用・結果までの日数・検体

検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。検体は血液・抽出DNA・頬の内側の粘膜・唾液のいずれかで、オンライン診療でもお受けできます。

ご予約
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遺伝カウンセリング臨床遺伝専門医
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検体の採取血液・唾液・頬の粘膜
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結果のご説明2〜3週間後・マイページへ

💴 費用・日数・検体

項目 内容
検査費用 税込330,000円
遺伝カウンセリング料 30分22,000円(税込)※検査費用とは別
結果までの期間 2〜3週間
オプション 至急(結果までの期間が約7日短くなります):55,000円/VUSを報告から除く:無料
検体 血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色のキャップ)・抽出DNA(3μg)・頬の内側の粘膜・唾液
オンライン診療 唾液・頬の粘膜・血液のいずれもオンライン診療でお受けできます。血液の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします
結果の報告書 基本的に日本語版でお渡しします

※ご夫婦・カップルで同じ検査を同じ日に一緒に受ける場合は、遺伝カウンセリング料が1人分になります(検査費用の割引はありません)。

この検査は、遺伝診療先進国・米国の3大遺伝子検査会社の一角で行います。※

※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。

オンライン診療(ビデオ通話)で遺伝カウンセリングを行ったあと、検体を当院にお送りいただく流れです。検体を採取するキットは、検査料金をお支払いいただいたあとにお送りします。検体の取り違えや品質の低下を防ぐため、ご自身の判断で先に検体を採取しないでください。オンラインの場合は、遺伝カウンセリング料金を事前にお支払いください。

結果は、基本的に日本語版でお渡ししています。海外でPGT-Mを受けるなど、英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。報告書の読み方は、遺伝子検査結果の見かたをご覧ください。当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。

検査を受けるかどうかは、遺伝カウンセリングで、何がわかり何がわからないか、結果がご家族にとってどういう意味をもつかをお聞きになり、納得してから決めていただきます。

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臨床遺伝専門医が常駐し、結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明してからマイページにアップします。

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10. 院長コラム

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【腎臓の形の違いを「原因がわからないまま」にしないために】

私自身、希少な常染色体顕性(優性)遺伝性疾患の当事者です。子どもに病気を受け渡したくない、という遺伝の病気をもつ方の思いはよくわかります。また、お子さんが重い症状で発症したのをきっかけに、ご自身も同じ遺伝子の変化を持っていたとわかり、自分のせいだと責めてしまう親御さんを、何度も見てきました。私の当事者としての話は、遺伝性疾患の当事者として、臨床遺伝専門医になった理由に書いています。

生まれつき腎臓が一つ、腎臓が小さいと言われても、「片方が元気なら大丈夫」「家族に同じ人はいないから」と、原因を調べないまま過ごしている方は少なくないと思います。けれども、症状のないご家族の超音波で同じ異常が見つかることがあり、同じ遺伝子の変化でも重さが人によって大きく違うことがわかっています。見た目の印象だけで、次のお子さんのことやご家族の健康を決めてしまわないでほしいと考えています。

原因がわかれば、腎臓以外に何を見張ればよいかがはっきりし、ご家族は同じ変化を1か所だけ調べられ、次の妊娠では出生前診断を計画できます。わからないまま悩み続けるより、わかったことから次を考えるほうが前に進める、と考えています。知ったうえで結婚や妊娠を考えたい方には、出生前診断まで当院で続けて支えられる体制を整えています。どの選択をされても、その選択を尊重します。

よくある質問(FAQ)

Q1. 生まれつき腎臓が一つしかないのは遺伝ですか?

遺伝が関わることも、関わらないこともあります。生まれつき腎臓が一つ(腎無形成)や、片方の腎臓が働かない多嚢胞性異形成腎は、先天性腎尿路異常(CAKUT)のひとつです。約2,000人のCAKUTの患者さんを調べた研究では、遺伝子や染色体の検査で原因が確定したのは10.3%でした。一方、症状のない親やきょうだいを超音波で調べると、腎臓や尿路の異常が新たに見つかることがあると報告されています。遺伝が関わっているかどうかは、遺伝子検査とご家族の情報をあわせて判断します。

Q2. 多嚢胞性異形成腎は遺伝しますか?次の子に起こる確率は?

多嚢胞性異形成腎の多くは原因がはっきりしませんが、遺伝子や染色体の変化が見つかることがあります。次のお子さんに起こる確率は、原因と遺伝のしかたで変わります。たとえば常染色体顕性(優性)遺伝の変化を親が持っていれば、お子さん1人あたり2分の1です。お子さんで新しく起きた変化なら低くなりますが、親の卵子や精子のもとになる細胞だけに変化がある場合もあるため、ゼロとは言えません。原因がわかると、確率をより具体的にお伝えできます。

Q3. 生まれつき腎臓が一つの人の寿命や、気をつけることは?

小児慢性特定疾病情報センターの解説では、多嚢胞性異形成腎は、反対側の腎臓に異常がなければ腎機能の予後は良好とされ、基本の方針は合併症と腎機能の経過観察とされています。ただし、反対側の腎臓にも膀胱尿管逆流などの異常が見つかることがあるため、腎臓の専門の医療機関で、血圧・尿・腎機能を定期的に確かめていくことが大切です。寿命の見通しは、反対側の腎臓の状態や、ほかの症状があるかで一人ひとり違います。

Q4. 胎児エコーで水腎症や腎臓の異常と言われました。遺伝子検査は必要ですか?

まずは産科で、異常の種類と程度、ほかの臓器に異常がないかを確かめます。米国産科婦人科学会の指針は、胎児の超音波で形の異常が見つかったときは、遺伝カウンセリングと、遺伝の病気を調べる診断のための検査を提案すべきとしています。当院では、羊水検査・絨毛検査を院内で行い、必要に応じて赤ちゃんの全エクソーム・全ゲノム検査もご相談いただけます。どの検査がよいかは、遺伝カウンセリングで一緒に考えます。

Q5. 先天性腎尿路異常(CAKUT)があると、結婚や出産に差し支えますか?子どもに遺伝しますか?

CAKUTがあることだけで、結婚や出産ができないということはありません。お子さんに受け継がれるかどうかは、原因の遺伝子と遺伝のしかたによって大きく違い、原因がわからないままでは確率をはっきりお伝えできません。ご自身の遺伝子検査、必要に応じてパートナーの保因者検査を受けておくと、妊娠したときの出生前診断を前もって計画できます。結婚や妊娠を考えている段階からご相談ください。

Q6. 検査で原因が見つからなかったら、どうなりますか?

原因が見つからなくても、先天性腎尿路異常(CAKUT)を否定することにはなりません。原因がわかっていない遺伝子や、この検査では見つけにくい変化(大きな染色体の変化、繰り返し配列の変化など)が残っている可能性があります。腎臓以外の症状がある場合は、マイクロアレイ染色体検査や全エクソーム検査など、次の検査を考えます。腎臓の経過観察は、検査の結果にかかわらず続けることが大切です。

Q7. 費用と、結果が出るまでの日数は?

検査費用は税込330,000円で、遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。結果までは2〜3週間です(至急オプション55,000円で約7日短くなります)。当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。オンラインの場合は、遺伝カウンセリング料金を事前にお支払いください。

🧬 一度の検査で、ご自身とご家族のこれからを考える

生まれ持った遺伝子は一生変わりません。先天性腎尿路異常(CAKUT)の原因がわかれば、腎臓以外の見張りだけでなく、ご家族の検査や、結婚・妊娠の計画を考える手がかりになります。当院では臨床遺伝専門医が常駐し、検査の前後の遺伝カウンセリングから、羊水検査・絨毛検査による出生前診断まで、院内で続けて受けていただけます。

お電話でのお問い合わせ:03-3478-3768

参考文献

  • [1] Ishikura K, Uemura O, Hamasaki Y, et al. Insignificant impact of VUR on the progression of CKD in children with CAKUT. Pediatr Nephrol. 2016;31:105-112. [DOI: 10.1007/s00467-015-3196-1]
  • [2] Schreuder MF, Westland R, van Wijk JA. Unilateral multicystic dysplastic kidney: a meta-analysis of observational studies on the incidence, associated urinary tract malformations and the contralateral kidney. Nephrol Dial Transplant. 2009.(PMID: 19171687)
  • [3] Milo Rasouly H, Krishna Murthy SB, et al. Exome analysis links kidney malformations to developmental disorders and reveals causal genes. Nat Commun. 2025;16:7290. [DOI: 10.1038/s41467-025-62319-3]
  • [4] Clissold RL, Hamilton A, Hattersley AT, Ellard S, Bingham C. HNF1B-associated renal and extra-renal disease: an expanding clinical spectrum. Nat Rev Nephrol. 2015;11:102-112. [DOI: 10.1038/nrneph.2014.232]
  • [5] Bulum B, Özçakar ZB, Üstüner E, et al. High frequency of kidney and urinary tract anomalies in asymptomatic first-degree relatives of patients with CAKUT. Pediatr Nephrol. 2013;28:2143-2147. [DOI: 10.1007/s00467-013-2530-8]
  • [6] American College of Obstetricians and Gynecologists. Screening for Fetal Chromosomal Abnormalities: ACOG Practice Bulletin, Number 226. Obstet Gynecol. 2020.(PMID: 32804883)

仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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